JP4208817B2 - 燃料のガス化による発電方法 - Google Patents
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Description
一方、従来の微粉炭ボイラは炭種の制限や効率に限界があるなど問題があるため、常圧型流動床ボイラが多品種石炭用として開発されてきた。
ところが常圧型流動床ボイラ(AFBC)自体期待されたほどの機能を発揮出来ていないこと、また常圧型流動床ボイラでは蒸気タービンしか設置することが出来ないため高効率化、大出力化に限界があることから、ガスタービンを利用した複合発電システムが可能な加圧型流動床ボイラ(PFBC)へ移行しつつある。
(A)負荷制御方法における課題
現在は、流動層高を変化させて負荷制御する方法が採用されている。すなわち、燃焼器内部から流動媒体を抜きだして別の貯留容器に送給し、流動層内伝熱面を露出させることによって熱伝達率を低下させて、熱回収量を減少させ、スチームタービン出力を低下させる。また燃料供給量が低下した流動層から排出される燃焼ガスはさらに露出した伝熱面で冷却されるため、燃焼器出口温度すなわちガスタービン入口温度が低下し、その結果ガスタービン出力が低下するものである。一方、負荷を上げる時はこの逆の方法をとる。
(1)高温の流動媒体を燃焼器から出し入れする貯留容器が必要であり、しかも高温高圧下での操作は容易ではなく、さらに発熱密度が高い流動媒体を貯留容器内へ出し入れする際にはアグロメレーション(凝集灰)が発生する。
(2)ボイラが加圧下にあるため、流動層内伝熱面を露出させたとき、スプラッシュゾーンでの摩耗の問題は常圧バブリング流動床ボイラ(AFBC)よりも大きな問題である。
(3)低負荷時流動層を出た燃焼排ガスが層内管に冷却されること、および層高が浅くなって燃焼ガスの層内滞留時間が減少することによって、一酸化炭素(CO)の発生量が増大する、又、NOx(窒素酸化物)排出量も増加する。
(1)これまでのバブリング式加圧流動層ボイラは平面的に見て角型の燃焼器を円筒型の圧力容器に収納するようになっているため、どうしても無駄なスペースがあり、必然的に圧力容器が大型化しコストの上昇につながる。
それに対しては1993年5月サンディエゴにおける第12回ASME流動床国際会議において、
「PRINCIPLES AND DESIGN PHILOSOPHY FOR A 350 MWe PFBC MODULE」として A. B. B. Carbon, A. B. の Jim Anderson らによる発表によれば、350MWeのような大型化にあたっては従来は図14に示すように円形の圧力容器145に2基の矩形の燃焼器146を収容した平面構成であったバブリング式加圧流動層ボイラを図15に示すように1つの燃焼器147を菱形に変形させ、さらにそれを3基組み合わせて1基の炉としてまとめ、全体の平面形状を六角形としてできるだけ円形に近付けて円形の圧力容器145に収容し、圧力容器の小型化をはかるとしているが、これはバブリング式加圧流動層の場合、円筒形にすると層内伝熱管の配列構成が極めて困難となるからである。
(2)負荷制御を行うために流動媒体を出し入れする貯蔵容器および配管等が必要であり、これら貯蔵容器等を圧力容器内部に収納すると圧力容器が大型化する。
従来のバブリング式加圧流動層ボイラは流動化速度の大きな層内に伝熱管を配置しているため伝熱管の摩耗が激しく、溶射等による表面硬化処理などの対策が必要である。
従来のバブリング式加圧流動層ボイラは層内での石炭等燃料の水平方向への拡散が不十分なことから、燃焼の不均一を避けるため多数の給炭管を配置しなければならず、給炭機構が複雑化するばかりでなく、各給炭管への均等な石炭の分配は難しく、万一、不均等が生じた場合は層内燃焼の不均一からアグロメレーションの発生を招き、運転不能となる。
従来の加圧流動床式発電システムにおいては、脱硫を行うために石灰石を流動媒体に混合させていたが、この石灰石は摩耗が激しく、脱硫反応に十分寄与することなく集塵装置から飛灰として飛散してしまっていた。そのため、火力発電所が要求する高い脱硫率は望めず、脱硫率を上げようとすると膨大な量の廃棄物(飛灰)を作ることになる。
一方、加圧型流動床ボイラについては海外で既に80MWe級の発電所が稼働していることや、脱硫装置不要などの利点があるものの、効率の点では石炭ガス化複合発電システムが優れているため、両者の特徴を合わせ持つ、より性能の優れたトッピングサイクル複合発電システムが検討されている。
本トッピングサイクル複合発電システムは基本的には、石炭をガス化炉において石炭ガスとチャーに分解し、チャーを流動床ボイラ(酸化炉)で燃焼させ、その燃焼排ガスと石炭ガスをガスタービン入口で混合燃焼させて高温ガスを発生させ、それによってガスタービンを高効率で運転するものである。
これに対し、流動床ガス化炉はその中間温度で運転するため、タールの問題や、灰のスティックが避けられ、また炉内脱硫も可能であるなど様々な利点もあるが、バブリング型加圧流動床ボイラを採用した場合にはやはり上記の(A)〜(D)に掲げる問題点が残されている。
本発明の好ましい態様の複合流動層炉の運転方法は、ガス化炉と酸化炉の二つの機能を有する複合流動層炉の運転方法であって、燃料を前記流動層ガス化炉に供給し、該燃料を該流動層ガス化炉の流動層内で循環させながらガス化し、得られた生成ガスを該流動層ガス化炉外部に導出し、該流動層ガス化炉でガス化されなかったチャーを前記流動層酸化炉へ入り込ませ、該流動層酸化炉で該チャーを完全燃焼する。
また、前記流動層酸化炉は、炉内に流動媒体の循環流を形成させてもよい。
また、前記流動層酸化炉でチャーの完全燃焼による排ガスは、該流動層酸化炉の燃焼ガス出口から排出されてもよい。
また、前記流動層ガス化炉と流動層酸化炉は、仕切壁によって分割され、該仕切壁に設けられた連絡流路を介して前記チャーを流動媒体とともに前記流動層酸化炉に入り込ませてもよい。
また、前記流動層酸化炉の流動媒体を、該流動層酸化炉内を沈降させたのち前記仕切壁の連絡流路を通過して前記流動層ガス化炉に還流させてもよい。
また、前記仕切壁の前記流動層ガス化炉側に、該仕切壁に沿って流動媒体を上昇させ、該仕切り壁の前記流動層酸化炉側に、該仕切壁に沿って流動媒体を沈降させてもよい。
また、前記流動層ガス化炉は、炉底を該仕切壁に向かって低くしてもよい。
また、前記流動層ガス化炉は、炉底を傾斜させてもよい。
また、前記流動層酸化炉は、流動層内に層内伝熱管を配置してもよい。
一方、ガス化されなかったチャーは酸化炉へ入り込み、流動層内で循環しながら完全燃焼される。そして、燃焼ガスは酸化炉の上部にある燃焼ガス出口から外部に取り出される。酸化炉に入る未燃チャー等が酸化炉流動層内を燃焼しつつ緩やかに沈降した後、仕切壁下部の連絡流路を通過してガス化炉流動層に還流する。流動媒体の循環流によって、酸化炉内で未燃チャー等が充分な滞留時間をとって完全燃焼をすることをより確実にする。
なお、酸化炉フリーボードに2次空気ノズルを設け、2段階燃焼させることも可能である。
本発明の一実施形態によれば、前記フリーボードにおいて、前記熱回収室と主燃焼室の間にはスクリーンを設け、粒径の大きな燃焼物が熱回収室へ飛び込むのを防止する一方、熱回収室からの燃焼ガスに整流効果を与えつつ通過させ、主燃焼室の燃焼ガスと十分に混合するように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記フリーボードにおいて、側面に単数もしくは複数の空気ノズルを設けて2次空気を吹き込み、前記主燃焼室および熱回収室からの燃焼ガスを混合攪拌し、該燃焼ガスに含まれる未燃物質を十分に燃焼させるように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記フリーボードにおいて、前記熱回収室と主燃焼室の間にはスクリーンを設け、粒径の大きな燃焼物が熱回収室へ飛び込むのを防止する一方、熱回収室からの燃焼ガスに整流効果を与えつつ通過させ、主燃焼室の燃焼ガスと十分に混合するように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記仕切壁の下部に設けられた前記主燃焼室と前記熱回収室との連絡口の下方の炉床部に散気装置を設け、連絡口を流動化するようにしてもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記熱回収室の伝熱面を放射状に配置された層内伝熱管で構成し、該層内伝熱管を用途別に蒸発管ブロック、蒸気過熱管ブロック、蒸気再熱管ブロックとして使用するため、平面的にみて数個の管群に分割してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記燃焼器から導出される燃焼排ガスの通路には集塵装置を設置し、該集塵装置で捕集した飛灰を、前記圧力容器側面の開口部を通して前記熱回収室へ戻すように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記燃焼器から導出される燃焼排ガスの通路には集塵装置を設置し、該集塵装置で捕集した飛灰を、前記圧力容器側面の開口部を通して前記主燃焼室およびまたはフリーボードへ戻すように構成してもよい。
本発明の一実施形態によれば、ガス化炉で生成したチャーを酸化炉で燃焼させ、燃焼排ガスと前記ガス化炉からの発生ガスをガスタービン入口で混合燃焼し、高温ガスを発生させてガスタービンを駆動し、発電や燃焼用空気の圧縮などに利用するトッピングサイクル複合発電システムにおいて、前記ガス化炉及び/または酸化炉として加圧内部循環型流動床ボイラを利用してもよい。
(1)燃焼室と熱回収室とを同一炉内にて機能的に分離したことにより、負荷制御は流動層高変化法によることなく、熱回収室の風量調節による層内伝熱管の総括熱伝達係数の変化により容易に行うことができるため、流動媒体の出し入れなどに伴う複雑な操作や設備が不要であり、また、流動媒体の出し入れの際に生ずるアグロメレーションの発生を防止できる。また、負荷変化時であっても流動層温度をほぼ一定に保持できることから、常にNOx,SOx等の抑制に最適な温度条件で運転することができる。しかも、層内伝熱管は緩やかな流動状態にある熱回収室にのみ存在するため、激しい流動状態にある流動層内に配置された場合に比べ摩耗が少ない。
また、流動層内部に旋回流が形成されるため、流動層内での流れの滞留が無く、石炭等の燃料が均一に分散燃焼するため、アグロメの発生を防止できる。そして、流動層を出たガスが層内管で冷却されることがないため、一酸化炭素(CO)の発生量を低く抑えることができるほか、ガスタービン効率の低下を防げる。
さらに熱回収室の上方は主燃焼室の上方と一体となって広い空間のフリーボードを形成し、このフリーボード内で熱回収室からの燃焼ガスと主燃焼室からの燃焼ガスとが混合される。したがって、フリーボードにおける燃焼ガス滞留時間を長くすることができ、可燃分をフリーボード内で十分に燃焼させることができる。また、フリーボードにおいて、2次空気を吹き込むことにより、主燃焼室および熱回収室からの燃焼ガスを混合攪拌し、燃焼ガスに含まれる燃焼物質を十分に燃焼させることができる。
また、加圧流動床複合発電システムにおける円筒形流動層炉において該流動層内に円筒外壁と同心の仕切壁を設け、該仕切壁の中間部および下部に空隙を設けて連絡口とするほか、上端部は円筒外壁の天井面と接し、ガス出口を形成しており、該仕切壁の内側をガス化炉とし、該仕切壁の外側の環状空間は酸化炉として使用することにより、1つの炉でありながら、ガス化炉と酸化炉の2つの機能を有する複合炉として高効率で運転することができる。
(実施例1)
図1は本発明の加圧円筒形内部循環型流動床ボイラの縦断面図を示し、図2(a)は図1のII(a)−II(a)線断面図である。
図1に示す実施例は、円筒形の圧力容器に円筒形内部循環型流動床ボイラを内蔵した実施例であり、これを用いて本発明の概略の構成を説明する。
圧力容器1の下部には給水入口16が設置されており、給水入口16から導入されたボイラ水は前記円筒外壁11を経由したあと、連絡管16aを経由して層内管用下部ヘッダー14に導入され、この層内管用下部ヘッダー管14から層内伝熱管15に分配される。そして、層内伝熱管15で発生した蒸気は層内管用上部ヘッダー13に集合し蒸気出口17から外部に導出される。
そのため、燃焼炉内で可燃分を完全に燃焼することが望ましく、前記スクリーン12のバッフル作用による攪拌混合効果は、後述の2次空気の投入方法や、フリーボード高さ、フリーボードにおける燃焼ガス滞留時間などとも相乗的に作用し、燃焼中の可燃分をフリーボード内で十分に燃焼させる上で大きな効果を発揮している。
また円錐状仕切壁8bの背面にも空気導入パイプ25、背面散気ノズル26を設け、熱回収室10に入ってきた流動媒体を流動化させ、部分的に燃焼させることが可能であるが、円錐状仕切壁8bの角度を大きくした場合には設けなくてもよい。
またフリーボード31には複数の2次空気ノズル33が設置されており、二段燃焼方式の採用が可能になっている。なお、符号34は2次空気入口である。本出願の内部循環流動床ボイラは主燃焼室9には伝熱面を有しないため、主燃焼室を還元雰囲気で燃焼することが可能である。還元燃焼によって石炭の揮発分放出を活発に行い、気相反応においてCH4などの炭化水素やCOあるいは気相のN化学種(NHi、HCNなど)等が燃焼によって生成した窒素酸化物を還元するとともにN化学種が酸化物へ転換する選択性を低下させることから、低NOx燃焼が可能である。
したがって主燃焼室9には燃焼に必要な理論空気量以下の空気を供給するほか、熱回収室10には制御に必要な空気量を投入し、さらに完全燃焼に必要な残りの空気量は2次空気として2次空気ノズル33からフリーボード31に供給する2段燃焼方式を採用している。
発生した過熱蒸気は高圧蒸気タービンに導かれたあと、再び蒸気再熱管ブロック44に戻って加熱され、次に中圧蒸気タービンへ導入される。
したがって、主燃焼室9を還元雰囲気で燃焼することが出来、還元燃焼によって石炭の揮発分放出を活発に行い、気相反応においてCH4などの炭化水素やCOあるいは気相のN化学種(NHi,HCNなど)等が生成した窒素酸化物を還元するとともに、N化学種が酸化物へ転換する選択性を低下させる結果、低NOx燃焼が可能となるものである。
熱回収室における層内伝熱管の総括伝熱係数は図4に示すように熱回収室流動層内の流動化ガス速度(fluidizing gas velocity)とほぼ比例するので熱回収空気量すなわち流動化ガス速度の増加によって収熱量が増加し、蒸気圧力が回復する。蒸気圧力が設定値より増加した時はこの逆動作となり、熱回収空気量を減少させることにより蒸気圧力を低下させる。
このように主たる操作して燃料供給量の調整、副次的な操作として熱回収空気量の調整を行うことによって、負荷変化に伴う影響を最小限に抑え、素早く安定した制御を可能とするものである。
しかしながら、従来は仕切壁8の下部、連絡流路27には散気装置がないため、熱回収室空気分散ノズル24、主燃焼室空気分散ノズル21からの流動空気によって副次的に流動化しているだけであり、図の符号27aのように流動が活発でない部分が存在した。それを解消するため仕切壁8の下部、連絡流路27の炉床に空気室30′と空気分散ノズル24′を設けたものである。これによって連絡流路27全体が流動化し、熱回収室10を通って主燃焼室9へ循環する流動媒体の量を増加させることができる。
空気室30′は熱回収制御用空気室30と連通してもよく、または該空気室30とは独立して制御してもよい。独立制御の場合は熱回収室散気量とは無関係に流動媒体循環量を制御することができ、1種の調節弁のような作用を行わせることも可能である。
図6は燃焼排ガスの処理系統まで含めた本発明の第2実施例を示す説明図である。
図6に示されるように、圧力容器1から排出された燃焼排ガスは排ガス系統50に導かれ、サイクロン51に導入される。サイクロン51で捕集された飛灰は重力で落下し、シール機構52に貯留されつつ灰リサイクル空気53によって、圧力容器1および円筒形燃焼器2の側面を貫通するリサイクル灰導入管54を経由して熱回収室10に戻される。
熱回収室10においては流動化ガス速度が最低流動化速度の2倍程度と小さいため、リサイクルした粒子が再飛散することなく、したがって熱回収室10内の平均粒子径および比重量は主燃焼室9に比べて小さくなる。
熱回収室内に配置された層内伝熱管の摩耗速度は流動化ガス速度(UO)の3乗に比例することから、UOが小さくなることにより、摩耗は大きく低減することになる。
また、熱回収制御用空気量は、図3に示すように主燃焼室9の流動層温度をコントロールするため常に変動しているが、この空気量が少なくてすむことは、熱回収空気量の変動が燃焼に及ぼす影響を少なくすることになり、安定燃焼にきわめて効果的である。
燃料については、原炭バンカ59に貯留された石炭は破砕機60によって粉砕されて攪拌槽61に送られ、脱硫剤バンカ62から投入される脱硫剤と水64を攪拌混合してスラリー状の燃料を作り、スラリーポンプ65によって燃焼器2に送られ、給炭ノズル22から主燃焼室流動層内に供給される。
その結果、燃焼効率の上昇、脱硫脱硝性能の向上につながる。
また、リサイクル灰導入官54aを延長して主燃焼室9の中央付近、移動層の層表面もしくは層中に飛灰をリサイクルC、下降する流動媒体に同伴させることにより主燃焼室流動層内で十分な滞留時間をとって未燃分の燃焼や、脱硫脱硝反応の向上に寄与させることも可能である。
一方、汽水胴71で発生した蒸気74は、特に図示しないが連絡管によって熱回収室層内に設けた過熱管に送られ、そこで発生した過熱蒸気74′は高圧蒸気タービンへと供給される。
図7は、燃焼排ガスの処理系統まで含めた本発明の第3実施例を示す説明図である。
図7に示されるように、排ガス系統50の途中に設けたサイクロン51で捕集した飛灰を灰クーラ77で冷却する。特に図示はしないが、この冷却用の媒体としてはボイラへの給水や、流動用空気などを用い、有効に熱回収をはかることが可能である。
冷却された飛灰はロックホッパ78を介して分級槽79に導入され、同じく集塵装置55から、灰クーラー56、ロックホッパ57を介して得られた飛灰と混合して、分級される。本図では分級用空気80を散気パイプ81から投入して行う流動層分級の例を示すが、かならずしもこれに限定されるものではない。
燃焼器2に戻すにあたり、リサイクル灰導入管54によって、熱回収室に戻す方法をとる場合、図6の詳細説明に述べたような特徴が発揮出来るほかまた、リサイクル灰導入管54aによりフリーボード31に飛灰をリサイクルすることの可能である。この時、フリーボード内の粒子濃度が増加し、燃焼ガスの撹拌効果を増すとともに未燃チャーや未反応脱硫剤と燃焼ガスの接触効率を上げる。
その結果、燃焼効率の上昇、脱硫脱硝性能の向上につながる。
このように粒径別に3段階に分級し、チャー濃度が最も高い通常10〜60μm程度の範囲の粒子のみ円筒形燃焼器2へ戻すことにより、最少の循環灰量でNOx低減、燃焼ガス系統の摩耗の低減、燃焼効率上昇などの効果を上げることが可能となる。
分級槽79で選択的に分離された通常60μm以下の粒径の未反応脱硫剤や未燃炭素などは空気によってサイクロン83に運ばれる。ここでさらに分級され、約10μm以下の粒子は、集塵装置84へ導入されて、移送空気と分離されたあと外部へ排出される。
一方サイクロン83から排出される粒径が10〜60μmの飛灰は、シール弁85、ロックホッパ86、ロータリーバルブ87を経てから、ホッパ89に貯留したあと、混合装置90で石炭や脱硫剤と一緒に粒子状の燃料に混合され、燃料圧送空気によって円筒形燃焼器2に供給される。
一方、ロータリーバルブ87から排出される10〜60μmの飛灰を燃焼系ではなく2次空気34によって空気輸送し、2次空気ノズル33からフリーボード31へ投入することも可能である。
図9は本発明の実施例の一つであるとともに加圧流動床ボイラとしての全体系統図の一例を示す。
図9に示した系統を概略説明する。本図に示すボイラは貫流型ボイラとして構成されており、運転中はスラリー状の燃料をスラリーポンプ65で燃焼器2に送り、主燃焼室9の流動層内に供給、燃焼する。燃焼排ガスは排ガス系統50を通って、集塵装置55によって除塵されたあと高圧ガスタービン100、低圧ガスタービン101を駆動したあと、さらに排ガスクーラ102でボイラ給水を加熱し、煙突103から大気放出される。
蒸気系統に関しては、給水はボイラ給水ポンプ107によって、途中排ガスクーラ102で加熱されつつ、ボイラに送られ、円筒壁を構成する水管を経由した後、熱回収室層内の蒸発管108、蒸気過熱管109を通って過熱蒸気となる。
発生した過熱蒸気は高圧蒸気タービン110を駆動した後、再び燃焼器2に戻り、再熱用層内伝熱管111で加熱された後、中圧タービン112、低圧タービン113を駆動し、発電機114で発電した後、復水器115で復水となり、再びボイラ給水として使用される。
図10は本発明の実施例の1つとして内部循環型流動床ボイラをトッピングサイクル複合発電システムの酸化炉として組み込んだ実施例を示す。
また、特に図示はしないが図10に示すトッピングサイクル複合発電システムのガス化炉として本発明による加圧円筒形流動床ボイラを使用することも可能である。
ガス化炉への応用については以下のように説明できる。すなわち、図1及び図3で詳述したように本願の加圧型内部循環型流動床ボイラの主燃焼室9には伝熱面が配置されていない。そのためNOx低減を目的として2段燃焼を行い、その結果主燃焼室9は空気比0.8程度の還元雰囲気での燃焼となっている。しかも主燃焼室9の内部では流動化ガス速度に差をつけるように構成しているため、主燃焼室移動層部では実質空気比は約0.5とガス化炉に近い運転となっている。そのため、トッピングサイクルのガス化炉に転換するのはきわめて容易であり、熱バランス上、層内熱回収が不要であれば熱回収制御用空気を停止すればよく、また層内伝熱管を除去してもよい。
まず、ガス化炉120に石炭121と脱硫剤122が供給されガス化炉120内部で空気124によって石炭ガスとチャー及び、CaSなどに分解する。
チャー及び、CaSなどはガス化炉120からと、および石炭ガス通路に設けられた集塵器123から排出され、通路125を通って、内部循環形流動床ボイラからなる酸化炉126に導入され、円筒形燃焼器2の炉床付近に供給される。供給先は必ずしも炉床付近でなくてもよく流動層層上でもよい。
一方、酸化炉126で発生した燃焼ガスは集塵器127で除塵されたあと、ガスタービン128入口の燃焼器129に導入され、そこでガス化炉120から排出され、集塵器123、集塵器130で除塵された石炭ガスと混合燃焼して高温ガスとなり、ガスタービン128を高効率で駆動する。
一方、ボイラで発生した過熱蒸気74′は、蒸気タービン134と該タービン134に連結された発電機135を駆動したあと、復水器136で復水に戻り、ボイラ給水ポンプ137で再びボイラに給水される。なお、酸化炉126内部での加圧円筒形流動床ボイラの作動は実施例1乃至4の場合と同様である。
図11は本発明の実施例の1つとして加圧円筒形流動床ボイラをトッピングサイクル複合発電システムのガス化炉120および酸化炉126として組み込んだ実施例を示す。
図11においては、ガス化炉120に石炭121、脱硫剤122を供給し、空気19を供給することによって部分燃焼ガス化させる。酸化剤として空気のほか酸素150、あるいは水蒸気151を投入することも可能である。
図12は、本発明の実施例の1つとして加圧円筒形流動床ボイラをトッピングサイクル複合発電システムのガス化炉と酸化炉とを一体化した炉として構成した例である。
加圧流動床複合発電システムにおける円筒形流動層炉201において、該流動層内に円筒外壁202と同心の仕切壁203を設け、該仕切壁203は円筒状仕切壁203aおよび円錐状仕切壁203bからなり、該仕切壁203の中間部及び下部に空隙204,205を設けて連絡口とするほか、上端部は円筒外壁202の天井面と接続され、ガス出口206を形成している。
酸化炉208の炉床212は内側に向かって傾斜しており、流動層炉全体では炉床断面がどの方向においても全体でW字形を形成している。また前記ガス化炉207の炉床209および酸化炉208の炉床212の下方には、それぞれ独立した空気室214〜217(後述)が設置されている。
一方流動層表面に残った流動媒体は中心付近で円筒状の流れとなって周囲の流動媒体を巻き込みながら沈降し、前記円錐状炉床中心付近に到達すると今度は再び水平全周方向への移動に転じる循環流が生じる。この循環流の効果により炉床付近に設けた給炭ノズル211から投入した石炭や脱硫剤などがガス化炉流動層内全方位方向へ均一に分散し、簡素な給炭設備でありながら燃料の偏在が避けられ、クリンカ発生の恐れがない。
また、酸化炉208の炉床212の下部には、円錐状内壁側に空気室216が設けられ、円筒外壁側に空気室217が設けられ、それぞれ流動化空気量を制御できるようになっている。酸化炉208上部の円筒外壁202には燃焼ガス出口218が設けられている。
図13はガスの処理系統まで含めた本発明の一例を示す実施例を示す系統図である。ガス化炉207に石炭251,脱硫剤252を供給し、空気253によって部分燃焼ガス化させる。酸化剤として空気のほか酸素150、あるいは水蒸気151を投入することも可能である。
一方、空隙204を通過してガス化炉207から酸化炉208に導入された未燃チャーは酸化炉208内で完全燃焼し、その燃焼排ガスは燃焼ガス出口218を出たあと、後段に設置したガス冷却装置256で600℃以下に冷却され、この冷却によって固化したNa,Kなどのアルカリ金属粒子は集塵装置257で捕集され、系外に排出される。
また、酸化炉208の流動層内に層内伝熱管265を配置することも可能である。さらに、流動層炉の外側に圧力容器266を設けて、流動層炉を非耐圧構造とすることも可能である。
(1)燃焼室と熱回収室を同一燃焼容器内部で機能的に分離したことにより、負荷制御は流動層高変化方法によることなく、熱回収室の風量調節による層内伝熱管の総括伝熱係数の変化により容易に行うことができるため、流動媒体の出し入れに伴う複雑な操作や設備(ベッド材貯蔵容器等)が不要であり、また流動媒体の出し入れの際に生じるアグロメの発生を防止できる。また、負荷変化時であって流動層温度の変化が少ないことから、常にNOx,SOx等の抑制に最適な温度条件で運転することが可能である。しかも層内伝熱管は緩やかな流動状態にある熱回収室にのみ存在するため、激しい流動状態にある流動層内に配置された場合に比べ、摩耗が少ない。
(2)流動媒体が中央から円錐状炉床面に沿いながら全方位に向かって緩やかに分散移動する拡散流が生じるため燃料や脱硫剤などの均一な拡散が行われるため、燃焼が均一となりアグロメの発生がなく、また給炭口も中央付近に設けるだけでよく、給炭設備がきわめて簡素化されるなどの効果がある。
(3)流動層表面の流動媒体は中心付近で円筒状の流れとなって周囲の流動媒体を巻き込みながら沈降するため、燃料や脱硫剤などの層内滞留時間が長くとれ、燃焼効率の向上、脱硫効率の向上にきわめて効果的である。
(4)従来の矩形内部循環流動床ボイラの場合は長方形の相対する2辺に層内伝熱管が配置されているのに比べ、本発明の場合は全周を利用できるため、より多くの伝熱管が配置できることから、さらにコンパクトな構造となる。
(5)従来の加圧流動床ボイラは水管構造の矩形燃焼容器を圧力容器の中に納めているが、燃焼器内部と圧力容器内部の圧力変動が発生した場合に備えて、燃焼器を保護するため充分な補強が必要であるのに対し、本発明においては燃焼器が円筒であるため充分な強度をもっており、補強も簡便でよい。また、圧力容器と燃焼器が円と円の組み合わせであることから無駄なスペースが無く、コンパクトな配置となる。
(6)フリーボードに熱回収室を覆うように、クシ歯状などの形状をしたスクリーンを設けることによって、熱回収室への粒径の粗い石炭などの固形燃料の混入を避け、熱回収室におけるアグロメレーションの形成を防ぐほか、熱回収室から発生する燃焼ガスに対してバッフル作用を果たし、主燃焼室燃焼ガスと十分に混合攪拌する効果が得られる。
(7)加圧内部循環流動床ボイラは主燃焼室に伝熱面を有しないため、還元雰囲気で燃焼することができる。その結果、石炭の揮発分放出が活発に行われ、気相反応においてCH4などの炭化水素やCOあるいは気相のN化学種(NHi,HCNなど)等が、生成した窒素化合物を還元するとともに、N化学種が酸化物へ転換する選択性を低下させる効果をもたらし、低NOx燃焼が可能となる。
(8)熱回収室流動層内部に層内伝熱管を放射状に配置し、しかも用途別に蒸発管ブロック、蒸気過熱管ブロック、蒸気再熱管ブロックとして使用するため、平面で見て数個の管群に機能別に分割して配置したことにより、それぞれのブロック毎に熱回収空気量を調節することにより、蒸発管ブロック、蒸気過熱管ブロック、蒸気再熱管ブロックそれぞれの収熱量を独立して制御することが可能である。
(9)燃焼排ガス系統に設けたサイクロンで捕集した飛灰を熱回収室に戻すように構成することにより、熱回収室内の平均粒子径および比重量が小さくなる。その結果、最低流動化速度が小さくなり、熱回収空気量が少なくて済む。そのため、層内伝熱管の摩耗が大幅に低減するほか、熱回収空気量の変動が燃焼に及ぼす影響も小さくなり、安定燃焼にきわめて効果的である。
(10)燃焼器から排出された燃焼ガスから回収した飛灰、未燃炭素分、未反応脱硫剤などを分級して、粒径が10〜60μmの範囲の飛灰のみ主燃焼室もしくは熱回収室へ戻すことにより、最少の循環灰量でNOx低減、燃焼ガス系統の摩耗の低減、燃焼効率上昇などの効果を上げることが可能となる。従って、脱硝装置を省略できる可能性があり、また炉内脱硫において脱硫剤利用率の向上が期待できるとともに脱硫率を上げることが可能である。
(11)集塵装置で捕集した飛灰を、冷却したあと大気圧下で分級し、未燃炭素分や未反応脱硫剤を選択的に燃焼器に戻すようにしたことにより、高温の粒子を高圧下で取り扱うことに伴うスラッギングなどの問題を避けることができるほか、分級することによって有用な物質のみを戻すことになり取り扱う量が少なくなるなどの効果が生じる。また燃料系統にリサイクルし、スラリー状燃料に混練して燃焼器に供給することにより、燃焼器へのリサイクル系統を省略できるほか、未反応脱硫剤と燃料との接触も良好となり脱硫率の向上にも効果的である。
2 円筒形燃焼器
3 流動用空気入口
4 燃焼ガス出口
5 熱回収制御用空気入口
6 給炭入口
7 円筒形サポート
8 仕切壁
9 主燃焼室
10 熱回収室
11 円筒外壁
12 スクリーン
13 層内管用上部ヘッダー
14 層内管用下部ヘッダー
15 層内伝熱管
16 給水入口
18 均圧ノズル
19 流動用空気系統
20 主燃焼室炉床
21 主燃焼室空気分散ノズル
22 給炭ノズル
23 熱回収室炉床
24 熱回収室空気分散ノズル
27 連絡流路
28 流動燃焼用空気室
30 熱回収制御用空気室
31 フリーボード
33 2次空気ノズル
51 サイクロン
55 集塵装置
58 ガスタービン
100 高圧ガスタービン
101 低圧ガスタービン
120,207 ガス化炉
126,208 酸化炉
201 流動層炉
Claims (2)
- 仕切壁によってガス化炉と酸化炉に仕切られた大気圧以上の圧力で運転される複合流動層炉により燃料をガス化して発電する発電方法であって、
燃料を前記複合流動層炉の前記ガス化炉に供給し、
該供給された燃料を該ガス化炉でガス化してガスとチャーを生成し、
該ガス化炉より該生成されたガスを排出し、冷却装置で冷却し、集塵装置で除塵し、
該ガス化炉にて生成されたチャーを、流動媒体とともに該ガス化炉から前記複合流動層炉の前記酸化炉へ、前記仕切壁の連絡口を介して供給し、
該供給されたチャーを該酸化炉で燃焼し、
該酸化炉より生成した燃焼ガスを排出し、冷却装置で冷却し、集塵装置で除塵し、前記冷却し除塵した生成ガスと燃焼ガスを混合して燃焼器で燃焼させ、発生した高温の燃焼ガスをガスタービンに供給して発電することを特徴とする燃料のガス化による発電方法。 - 脱硫剤を前記燃料とともに供給することを特徴とする請求項1に記載の燃料のガス化による発電方法。
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