JP3625785B2 - 角形鋼管の製造方法および角形鋼管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば鉄骨構造物の支柱(鋼管柱)として使用される角形鋼管の製造方法および角形鋼管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄骨構造物の支柱を高さ方向で溶接により継ぎ足して構成するに、支柱側にダイヤフラムが取り付けられている。そして、支柱側に対してダイヤフラムを取り付ける方式として、たとえば通しダイヤフラム方式や内ダイヤフラム方式などが提供されている。
【0003】
このうち通しダイヤフラム方式は、たとえば図13に示されるように、支柱が、その長さ方向において下部支柱41とパネルゾーン用のコラム42と上部支柱43とに切断(分断)されている。そして下部支柱41の上端に、裏当て材を介して下部ダイヤフラム44が溶接されるとともに、この下部ダイヤフラム44上に裏当て材を介してコラム42の下端が溶接される。さらにコラム42の上端に、裏当て材を介して上部ダイヤフラム45が溶接されるとともに、この上部ダイヤフラム45上に裏当て材を介して上部支柱43の下端が溶接される。
【0004】
このようにして形成された支柱46に対する梁材(主にH形鋼材)47の連結は、この梁材47の遊端を、両ダイヤフラム44,45やコラム42に溶接することで行っていた。そして両ダイヤフラム44,45は、応力の伝達の役目を成していた。
【0005】
また内ダイヤフラム方式は、たとえば図14に示されるように、支柱が、その長さ方向において下部支柱51と上部支柱52とに切断(分断)されている。そして下部支柱51内の上部と上部支柱52内の下部とに、それぞれ裏当て材を介してダイヤフラム53が溶接結合されている。これら下部支柱51と上部支柱52とは、直線状に位置されたのち、その遊端間が溶接結合されている。
【0006】
このようにして形成された支柱54に対する梁材55の連結は、この梁材55の遊端を、上下のダイヤフラム53に対向させた状態で、下部支柱51と上部支柱52との外面に溶接結合することで行われていた。
【0007】
しかし、上記した従来の構成において、図13に示される通しダイヤフラム方式によると、支柱(鋼管柱)46は、短く切断するとともに溶接のための開先加工を行い、そして両ダイヤフラム44,45は、それぞれ上下の2箇所、合計4箇所を溶接することから、組立て工数が多くかつ溶接長さは長くなり、以て全体作業が複雑化するとともに製作費が高くなる。
【0008】
また図14に示される内ダイヤフラム方式によると、両ダイヤフラム53のそれぞれの溶接と、下部支柱51と上部支柱52との溶接との、合計3箇所の溶接が必要となることから、組立て工数が多くかつ溶接長さは長くなり、以て全体作業が複雑化するとともに製作費が高くなる。さらにダイヤフラム53は、下部支柱51と上部支柱52との端部近くにしか配置できず、また下部支柱51と上部支柱52との溶接結合部56を跨いで梁材55が溶接結合されることから、支柱54は、梁材55の連結位置に応じて短く切断され、長い一本ものの支柱にはできなかった。
【0009】
なお、別に外ダイヤフラム方式もあるが、これによると支柱外部の構造物が大型、重量大となり、しかも溶接長さが長いものとなる。
そこで最近では、たとえば、所定の板厚の長尺角形鋼管と、この長尺角形鋼管よりも板厚が厚くかつ梁材連結部を形成する長さの短尺角形鋼管とを、その外周形状を同一状として、相当接間を長さ方向で溶接結合する構成が考えられている。
【0010】
これによると、短尺角形鋼管によって梁材連結部を形成でき、2箇所の溶接でよいことから組立て工数が削減されるとともに溶接長さは短くなり、以て全体を簡略化して経済的となり、かつ溶接歪などが生じ難いものになる。また外周形状を同一状としていることで、溶接結合は十分に強固にかつ綺麗に行え、さらに梁材連結部は、短尺角形鋼管の予め厚い板厚によって十分な強度を確保できて、梁材の溶接結合は何ら支障なく行えることになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した長尺角形鋼管や短尺角形鋼管は、プレス成形などしたときに、通常、薄い板厚の長尺角形鋼管におけるコーナの曲率半径に対して、厚い板厚の短尺角形鋼管におけるコーナの曲率半径は大であり、その外周形状は異なっている。したがって、薄い板厚の長尺角形鋼管と厚い板厚の短尺角形鋼管とを相当接させて溶接結合する場合、外寸が同等状であることから四辺部分の溶接は支障なく行えるが、コーナ部の溶接は、曲率半径が異なり段部が生じていることで好適に行えない。そのために、長尺角形鋼管と短尺角形鋼管との外周形状、特に各コーナ部の曲率半径を同一状にする成形が重要であるが、このような成形は簡単に行えない。
【0012】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、各コーナ部の曲率半径も含めて、外周形状を同一状にする成形を簡単かつ容易に、しかも正確に行える角形鋼管の製造方法を提供することを目的としたものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の角形鋼管の製造方法は、加熱した状態の半成形角形鋼管における複数の側板部に平形状ロールを当て付けて、各コーナ部が所定の曲率半径よりも小さい曲率半径の半成形角形鋼管を熱間成形し、次いで各コーナ部に鼓形状ロールを当て付けて、各コーナ部が所定の曲率半径の角形鋼管を熱間成形することを特徴としたものである。
【0014】
したがって請求項1の発明によると、複数の側板部に平形状ロールを当て付けることで、各コーナ部を所定の曲率半径よりも小さい曲率半径とした半成形角形鋼管を熱間成形し得、その際に各コーナ部は、平形状ロールなどが当て付けられておらずフリーな状態であることから、小さい曲率半径は不揃い(バラツキ状)である。次いで、小さい曲率半径であった半成形角形鋼管の各コーナ部に対して、鼓形状ロールを当て付けて熱間成形することで、各コーナ部を所定の曲率半径とした角形鋼管を熱間成形し得る。その際に各コーナ部は、小さい曲率半径の部分が鼓形状ロールの曲面に押し込み状に当て付けられることになって、全てが揃った曲率半径に熱間成形し得る。
【0015】
これにより、外周形状を最終製品形状とした角形鋼管、すなわち各コーナ部の全てを所定の曲率半径に揃え、かつ所望の外寸であり、しかも側板部とコーナ部とを均質化した角形鋼管を製造し得る。
【0016】
また本発明の請求項2記載の角形鋼管の製造方法は、上記した請求項1記載の構成において、丸形鋼管を加熱した状態で、前段成形部における複数段のロール成形スタンドに通して、次第に半成形角形鋼管になるように熱間成形し、前段成形部における最終段のロール成形スタンドにおいて、複数の側板部に平形状ロールを当て付けて、各コーナ部が所定の曲率半径よりも小さい曲率半径の半成形角形鋼管を熱間成形することを特徴としたものである。
【0017】
したがって請求項2の発明によると、丸形鋼管を、まず前段成形部における複数段のロール成形スタンドにおいて、次第に角形状になるように熱間成形し得、そして最終段のロール成形スタンドにおいて、複数の側板部に平形状ロールを当て付けることで、各コーナ部を所定の曲率半径よりも小さい曲率半径とした半成形角形鋼管を熱間成形し得る。
【0018】
そして本発明の請求項3記載の角形鋼管は、上記した請求項1または請求項2に記載した工程を経て製造することで、各コーナ部を所定の曲率半径としたことを特徴としたものである。
【0019】
したがって請求項3の発明によると、各コーナ部の全てを所定の曲率半径に揃え、かつ所望の外寸であり、しかも側板部とコーナ部とを均質化した角形鋼管であることから、長さ方向での継ぎ足し状の溶接結合は、容易にして、十分に強固にかつ綺麗に行える。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、四角形の角形鋼管を製造する状態として、図1〜図7に基づいて説明する。
【0021】
すなわち図1、図2に示すように、厚い板厚Tでかつ梁材連結部を形成する長さ(高さ)Lの短尺の丸形鋼管(短尺鋼管)1が準備されている。ここで丸形鋼管1としては、最終の角形鋼管が所望の外寸になり得る直径Dのものが採用されており、その際に近似丸形鋼管も含まれるものである。そして丸形鋼管1の両端内部には、予め段部Aが形成されている。このような丸形鋼管1は、搬入テーブル11などを介して加熱手段(加熱炉など)12に搬入され、この加熱手段12において加熱12Aされて、たとえば680℃〜950℃になるように全体が均一状に加熱される。
【0022】
そして、加熱手段12から取り出された丸形鋼管1は熱間成形ライン20において熱間成形され、次いで冷却床15において冷却されたのち、搬出テーブル16などを介して搬出される。ここで熱間成形ライン20は、前段成形部21と後段成形部31などから構成される。
【0023】
前述したように加熱手段12から取り出された丸形鋼管1は、前段成形部21における複数段のロール成形スタンドに通されて、次第に半成形角形鋼管になるように熱間成形される。ここで各ロール成形スタンドには、それぞれ4個のロールが正面視において矩形状として配置されている。
【0024】
すなわち丸形鋼管1は、まず図1、図3に示すように、前段成形部21における最始段のロール成形スタンド22において、その曲面が小さな鼓形状ロール23群によって四角状へと熱間成形される。次いで図1、図4に示すように、前段成形部21における中間段のロール成形スタンド24において、その曲面が大きな鼓形状ロール25群によって四角状へと熱間成形される。
【0025】
そして図1、図5に示すように、前段成形部21における最終段のロール成形スタンド26において、複数の側板部2aに平形状ロール27が当て付けられることで、各コーナ部2bが所定の曲率半径Rよりも小さい曲率半径rの半成形角形鋼管2が熱間成形されることになる。その際に各コーナ部2bは、平形状ロール27などが当て付けられておらずフリーな状態であることから、小さい曲率半径rは不揃い(バラツキ状)である。
【0026】
なお、最始段のロール成形スタンド22と最終段のロール成形スタンド26との間に1台の中間段のロール成形スタンド24が介在された形式とされているが、これは曲面が次第に(段階的に)大きくなる鼓形状ロール群が配設される状態で、複数台の中間段のロール成形スタンドが介在された形式であってもよい。
【0027】
このようにして熱間成形された半成形角形鋼管2は前段成形部21から後段成形部31へと搬送され、この後段成形部31にはコーナ部成形スタンド32と整形スタンド34とが設けられている。
【0028】
すなわちコーナ部成形スタンド32においては、図1、図6に示すように、小さい曲率半径rであった半成形角形鋼管2の各コーナ部2bに対して、その曲面が所定の曲率半径Rとされた鼓形状ロール33が当て付けられて熱間成形され、以て各コーナ部3bを所定の曲率半径Rとした角形鋼管3が熱間成形される。その際に各コーナ部3bは、小さい曲率半径rの部分が鼓形状ロール33の曲面に押し込み状に当て付けられることになって、全てが揃った曲率半径Rに熱間成形される。なお鼓形状ロール33は、駆動回転形式と遊転形式とのいずれであってもよい。
【0029】
次いで図1、図7に示すように、整形スタンド34において、複数の側板部3aに平形状ロール35が当て付けられて熱間整形され、これにより、たとえば、前述したコーナ部成形スタンド32での熱間成形時において側板部3aに生じた撓みなどが修正され、以て外周形状が最終製品形状になった角形鋼管3が製造される。すなわち、厚い板厚Tであり、そして各コーナ部3bの全てが所定の曲率半径Rに揃い、しかも所望の外寸Wの角形鋼管3が製造される。
【0030】
なお、厚い板厚Tとは、鉄骨構造物の規模に応じて採用される鋼管柱の外寸Wなどにより決定されるもので、たとえば外寸Wが400mmのときに板厚Tは40mm位であり、そして所定の曲率半径Rは70mm位である。また小さい曲率半径rは50mm位である。
【0031】
その後に角形鋼管3は、冷却床15に移されて冷却されたのち、搬出テーブル16などを介して搬出される。
次に、上述したようにして製造された短尺の角形鋼管3を梁材連結部に使用した角形鋼管柱(支柱)を、図8〜図12に基づいて説明する。
【0032】
すなわち図12に示されるように、前記角形鋼管3の他に、所定の板厚tの長尺角形鋼管(長尺鋼管)4が準備される。ここで所定の板厚tとは、鉄骨構造物の規模に応じて採用される鋼管柱の外寸Wなどにより決定されるもので、たとえば前述したように外寸Wが400mmのときに板厚tは20mmである。すなわち、長尺角形鋼管4の板厚tと角形鋼管3の板厚Tとは、たとえば2t≒Tとされている。
【0033】
そして長尺角形鋼管4と角形鋼管3とは、その外周形状が同一状に形成されている。すなわち長尺角形鋼管4は、前述した角形鋼管3と同様にして熱間成形され、各コーナ部4bの全てが所定の曲率半径Rに揃い、しかも側板部4aの外面間が所望の外寸Wとされている。
【0034】
このような角形鋼管3と長尺角形鋼管4とを直線状に位置させる。そして図8〜図11に示されるように、角形鋼管3と長尺角形鋼管4との相当接間を長さ方向で溶接結合5することで、角形鋼管3を梁材連結位置として角形鋼管柱6を構成し得る。その際に、角形鋼管3の両端で内面に形成された段部Aにより、その厚さを長尺角形鋼管4の板厚tに合わせ得る。
【0035】
なお溶接結合5を施工する際に、その段部Aを利用して溶接箇所の内側には、必要に応じてリング状のフラットバーがセットされる。このフラットバーを使用しないときには、内外からの溶接結合が採用される。
【0036】
このような角形鋼管柱6は、所定本数が建築現場などに運搬され、そして梁材連結部を形成する長さLの角形鋼管3の外面に、梁材7が溶接結合8によって連結される。なお角形鋼管柱6は、図8の仮想線に示すように、積上げ状に配置されたのち、その上下間が溶接結合5されることで、所定長さ(高さ)に構成される。
【0037】
上述した角形鋼管柱6によると、角形鋼管3の両端に長尺角形鋼管4を溶接結合5することで、この角形鋼管3によって梁材連結部を形成し得る。したがって、2箇所の溶接でよいことから組立て工数を削減し得るとともに溶接長さは短くなり、以て全体を簡略化して経済的となり、かつ溶接歪などが生じ難いものとなる。また角形鋼管3と長尺角形鋼管4とを、その外周形状を同一状(同様な外寸W、同様な曲率半径R)として相当接間を長さ方向で溶接結合5することで、その溶接結合5は十分に強固にかつ綺麗に行える。
【0038】
さらに梁材連結部は、角形鋼管3の予め厚い板厚Tによって十分な強度を確保し得、梁材7の溶接結合8は何ら支障なく行える。そして角形鋼管柱6はパイプジョイント形式で得られ、内蔵リブや裏当て金などがない状態に仕上げ得る。したがって、中にコンクリートなどを充填させる構成も容易に採用し得る。
【0039】
また上述した角形鋼管柱6においては、熱間成形した角形鋼管3の両端に熱間成形した長尺角形鋼管4を溶接結合5することで、この角形鋼管3によって梁材連結部を形成し得る。したがって、2箇所の溶接でよいことから、組立て工数を削減し得るとともに、溶接および検査などを軽減し得、さらに厚い板厚Tでかつ熱間成形した角形鋼管3を使用することにより、地震時に、応力のかかる梁材連結位置(パネルゾーン)において、特に鉄本来の粘りを発揮し、塑性変形性能に優れ、脆性破壊を未然に防止し得るなど、角形鋼管柱6を高品質化し得る。
【0040】
上述した実施の形態においては、丸形鋼管1から角形鋼管3へと熱間成形しているが、これはプレス成形した半成形角形鋼管から角形鋼管3へと熱間成形してもよい。この場合には、プレス成形した半成形角形鋼管が搬入テーブル11などを介して加熱手段12に搬入され、この加熱手段12において加熱12Aされたのち、最終段のロール成形スタンド26において、複数の側板部2aに平形状ロール27が当て付けられることで、各コーナ部2bが所定の曲率半径Rよりも小さい曲率半径rの半成形角形鋼管2が熱間成形される工程となる。
【0041】
上述した実施の形態においては、厚い板厚Tの角形鋼管3と所定(薄い)の板厚tの長尺角形鋼管4とを溶接結合5することで角形鋼管柱6を構成しているが、これは同じ板厚の角形鋼管3と長尺角形鋼管4とを溶接結合5することで角形鋼管柱6を構成する構成であってもよい。
【0042】
上述した実施の形態においては、短尺の丸形鋼管1を熱間成形して短尺の角形鋼管3を製造しているが、これは長尺の丸形鋼管1を熱間成形して長尺の角形鋼管3を製造する構成であってもよい。
【0043】
上述した実施の形態においては、熱間成形した角形鋼管3の両端に熱間成形した長尺角形鋼管4を溶接結合5しているが、これは熱間成形した角形鋼管3の両端に冷間成形した長尺角形鋼管4を溶接結合5した角形鋼管柱6であってもよい。この場合には、長尺角形鋼管4をプレス成形した時のコーナ部4bの曲率半径Rが所定の曲率半径として基準となり、これに合わせて角形鋼管3が熱間成形される。
【0044】
上記した実施の形態において、丸形鋼管1としては、たとえば鋼板を曲げ成形したのち突き合わせ溶接することで得た丸形鋼管が適宜に使用される。また角形鋼管としては、たとえば、ロール成形によるワンシーム角形鋼管、プレス成形による一対のみぞ形材を向き合わせて突き合わせ溶接したツーシーム角形鋼管、一対の圧延みぞ形材を溶接してなるツーシーム角形鋼管、圧延山形材を一対、向き合わせて溶接したツーシーム角形鋼管、四面ボックス、シームレス鋼管など、いずれも既製の角形鋼管が適宜に使用される。
【0045】
上記した実施の形態では、断面で正四角形状の角形鋼管3を製造しているが、これは断面で長方形の角形鋼管も同様に製造し得るものである。さらには、正五角形や正六角形など、各種の多角形の角形鋼管も同様に製造し得るものである。
【0046】
【発明の効果】
上記した本発明の請求項1によると、複数の側板部に平形状ロールを当て付けることで、各コーナ部を所定の曲率半径よりも小さい曲率半径とした半成形角形鋼管を熱間成形でき、その際に各コーナ部は、平形状ロールなどが当て付けられておらずフリーな状態であることから、小さい曲率半径は不揃い(バラツキ状)である。次いで、小さい曲率半径であった半成形角形鋼管の各コーナ部に対して、鼓形状ロールを当て付けることで、各コーナ部を所定の曲率半径とした角形鋼管を熱間成形できる。その際に各コーナ部は、小さい曲率半径の部分が鼓形状ロールの曲面に押し込み状に当て付けられることになって、全てが揃った曲率半径に熱間成形できる。
【0047】
これにより、外周形状を最終製品形状とした角形鋼管、すなわち各コーナ部の全てを所定の曲率半径に揃え、かつ所望の外寸であり、しかも側板部とコーナ部とを均質化した角形鋼管を製造でき、したがって、各コーナ部の曲率半径も含めて、外周形状を同一状にする成形を簡単かつ容易に、しかも正確に行うことができる。
【0048】
また上記した本発明の請求項2によると、丸形鋼管を、まず前段成形部における複数段のロール成形スタンドにおいて、次第に角形状になるように熱間成形でき、そして最終段のロール成形スタンドにおいて、複数の側板部に平形状ロールを当て付けることで、各コーナ部を所定の曲率半径よりも小さい曲率半径とした半成形角形鋼管を熱間成形できる。すなわち丸形鋼管から、各コーナ部の曲率半径も含めて、外周形状を同一状にした角形鋼管の製造を、簡単かつ容易に、しかも正確に行うことができる。
【0049】
そして上記した本発明の請求項3によると、各コーナ部の全てを所定の曲率半径に揃え、かつ所望の外寸であり、しかも側板部とコーナ部とを均質化した角形鋼管であることから、長さ方向での継ぎ足し状の溶接結合は、容易にして、十分に強固にかつ綺麗に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、角形鋼管の製造方法における工程説明図である。
【図2】同角形鋼管の製造方法における丸形鋼管の正面図である。
【図3】同角形鋼管の製造方法における最始段のロール成形スタンド部分の正面図である。
【図4】同角形鋼管の製造方法における中間段のロール成形スタンド部分の正面図である。
【図5】同角形鋼管の製造方法における最終段のロール成形スタンド部分の正面図である。
【図6】同角形鋼管の製造方法におけるコーナ部成形スタンド部分の正面図である。
【図7】同角形鋼管の製造方法における整形スタンド部分の正面図である。
【図8】同角形鋼管柱の縦断正面図である。
【図9】同角形鋼管柱の一部切り欠き斜視図である。
【図10】同角形鋼管柱の要部の縦断正面図である。
【図11】同角形鋼管柱の横断平面図である。
【図12】同角形鋼管柱の溶接結合前の一部切り欠き斜視図である。
【図13】従来例を示し、角形鋼管柱の一部切り欠き斜視図である。
【図14】別の従来例を示し、角形鋼管柱の一部切り欠き斜視図である。
【符号の説明】
1 短尺の丸形鋼管
2 半成形角形鋼管
2a 側板部
2b コーナ部
3 角形鋼管
3a 側板部
3b コーナ部
4 長尺角形鋼管
4a 側板部
4b コーナ部
5 溶接結合
6 角形鋼管柱
7 梁材
12 加熱手段(加熱炉)
20 熱間成形ライン
21 前段成形部
22 最始段のロール成形スタンド
23 曲面が小さな鼓形状ロール
24 中間段のロール成形スタンド
25 曲面が大きな鼓形状ロール
26 最終段のロール成形スタンド
27 平形状ロール
31 後段成形部
32 コーナ部成形スタンド
33 鼓形状ロール
34 整形スタンド
35 平形状ロール
T 厚い板厚
t 所定の板厚
L 梁材連結部を形成する長さ
R 所定の曲率半径
r 小さい曲率半径
W 鋼管柱の外寸
Claims (3)
- 加熱した状態の半成形角形鋼管における複数の側板部に平形状ロールを当て付けて、各コーナ部が所定の曲率半径よりも小さい曲率半径の半成形角形鋼管を熱間成形し、次いで各コーナ部に鼓形状ロールを当て付けて、各コーナ部が所定の曲率半径の角形鋼管を熱間成形することを特徴とする角形鋼管の製造方法。
- 丸形鋼管を加熱した状態で、前段成形部における複数段のロール成形スタンドに通して、次第に半成形角形鋼管になるように熱間成形し、前段成形部における最終段のロール成形スタンドにおいて、複数の側板部に平形状ロールを当て付けて、各コーナ部が所定の曲率半径よりも小さい曲率半径の半成形角形鋼管を熱間成形することを特徴とする請求項1記載の角形鋼管の製造方法。
- 上記した請求項1または請求項2に記載した工程を経て製造することで、各コーナ部を所定の曲率半径としたことを特徴とする角形鋼管。
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