JP3625083B2 - 断熱内装材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、建築物の室内に用いられる断熱内装材に関し、詳しくは、簡単な構成で断熱性に優れた断熱内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の室内に用いられる断熱材として、各種の樹脂発泡体やガラス繊維に代表される如き繊維状物の集合体が汎用されている。これらは低熱伝導率を利用して単独で用いられる例が多かった。
【0003】
一方、内部の寒冷地の窓ガラスには、暖房効率を向上させるため、2枚のガラス板間に乾燥空気の層を設けた複層ガラスが用いられている。これは乾燥空気層により低熱伝導率の特徴を生かしたものである。
【0004】
熱伝導率を小さくするためには、小さな空隙を有する層を設ける方法が一般的であり、従って発泡体を用いてその発泡率を上げたり、発泡体のクラッド層の熱伝導を小さくするためかさ比重を上げることが試みられているがこれらにも限界があった。
【0005】
これらは、外気の影響を遮断する目的で構成されており、室内の温暖な若しくは冷涼な空気や冷暖房による熱を効率よく利用するという点ではなお不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このため、簡単な構成で断熱効果の高い断熱内装材が望まれていた。即ち、本発明の目的は、簡単な構成で、しかも、室内の雰囲気を効率よく利用しうる断熱性に優れた断熱内装材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を考慮してなされたものであり、本発明の断熱内装材は、建築物の室内に用いられる断熱内装材であって、内装材担体と、インジウム錫酸化物、及び、錫酸化物からなる群から選ばれる金属化合物の薄膜からなる熱反射層を含み、室内側最外面に熱反射層を有することを特徴とする。本発明の請求項2記載の断熱内装材は、前記断熱内装材であって、前記熱反射層を構成する金属化合物の薄膜が、プラズマ溶射、高周波スパッタリング、真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、基材上で化学反応を起こす化学蒸着法(CVD)、プラズマCVD法から選択される成膜法により形成された、厚み5nm〜10μmの薄膜であることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明の断熱内装材は、室内側最外面に熱反射層を有しているため、室内の冷暖房による温暖な若しくは冷涼な雰囲気が熱反射層によって再び室内へ反射されるため、室内の熱を効率よく利用し、外気への熱のロスを防止することができ、熱の輻射による伝導をも防止しうる。さらに、熱反射層が、金属又は金属化合物の薄膜や金属粉又は金属化合物粉を含む塗装薄膜からなるため、熱伝導防止効果が高い熱反射層を簡単に作成することができ、厚みも薄くしうる。従って、この内装材は室内面積を効率よく利用することができ、また、任意の場所に使用しうる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の断熱内装材を実施例をあげて詳細に説明する。
(実施例)
図1は、実施例の断熱内装材10を外装材16表面に貼付した状態の一部分を示す断面図である。断熱内装材10は、ポリ塩化ビニル製壁紙12の表面にインジウム錫酸化物をマグネトロンスパッタ法により1000Å程度に製膜して構成されている。ポリ塩化ビニル製壁紙12の表面に形成されたインジウム錫酸化物薄膜14が即ち熱反射層である。
【0010】
得られた断熱内装材10をインジウム錫酸化物薄膜14側を室内側として、厚さ30mmのコンクリート製外壁材16で構成された開口部のない6畳の大きさの部屋の内部(壁面、床面、天井)に貼付して空調機を用い、基準温度を20℃として室内温度を1℃変化させるのにかかる時間を測定した。
【0011】
また、コントロールとして、インジウム錫酸化物薄膜を形成しないポリ塩化ビニル製壁紙を比較例とし、これを実施例と同じ部屋の内部に貼付して、同じ空調機を用いて同じ条件で作動し、同様の実験を行った。ここで、室内温度を1℃変化させるのにかかる時間が短いもの程、断熱性が良好であると評価した。結果を下記表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
表1に明らかなように、本発明の断熱内装材(実施例)を貼付した室内は、コントロールの内装材(比較例)を貼付した室内と対比して冷房、暖房ともに効率が向上していることがわかった。
【0014】
次に、本発明に用いられる熱反射層について説明する。
熱反射層は、壁紙等の内装材担体の室内側最外面に設けられるが、それは、金属又は金属化合物(以下、金属類と称する)の薄膜からなるものであっても、金属粉又は金属化合物粉を含む塗装薄膜であってもよく、例えば、金属類の薄膜としては、内装材表面に直接形成された金属類の薄膜;アルミ箔の如き金属箔;プラスチック等に金属又は金属化合物の薄膜層を設けたフィルムを用いることができ、また、金属粉又は金属化合物粉を含有した塗料等のマトリックスを塗布して形成する薄膜層等を用いることができる。
【0015】
これらの層を形成する金属類には特に限定はないが、赤外線放射率の小さいものが好適に用いられる。例えば、アルミニウム、金、銀及び銅等の金属、前記金属類を主成分とする合金、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化錫、インジウム錫酸化物等の金属化合物及びこれらを主成分とする金属混合物が好適に用いられる。なかでも、インジウム錫酸化物、酸化亜鉛、酸化錫等が好ましい。
【0016】
これらの金属類の適用方法としては、前記の如くプラスチックフィルム等の支持体上に金属類の薄膜を蒸着等の方法で形成したものを貼付する、内装材担体表面に直接金属類の薄膜を蒸着等の方法で形成する等が挙げられる。
【0017】
金属又は金属化合物薄膜の形成方法に特に制限はないが、例えば、金属薄膜の形成方法としては、電気メッキ法、無電解メッキ法等のメッキ液を使用する湿式メッキ法、及び、真空蒸着法、イオンプーティング法、スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、ECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマ法等のドライメッキ法が挙げられる。本発明においては、金属薄膜を形成することができればよく、上記いずれの方法をも好適に採用しうる。これらのうち、ドライメッキ法は、例えばλ/4制御法等の光学的膜厚制御方法等により薄膜形成中に容易に膜厚が制御、管理しうるという利点があり、好ましい。また、金属化合物薄膜の形成方法としては、プラズマ溶射、高周波スパッタリング、真空蒸着法等で必要な化合物を成膜する方法と、金属薄膜作製時に反応性ガスを混入することで成膜する反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、基材上で化学反応を起こす化学蒸着法(CVD)、プラズマCVD法等の反応型成膜法がある。前者のような方法では成膜するために電子銃や高周波放電を用いる。後者、特に反応性スパッタリング法を行う場合には、得たい金属化合物の原料となる金属をターゲットに設置し、例えば、酸化皮膜の場合には、成膜時に酸化性を有するガスとスパッタリングのためのガスとを混合し反応させる。この場合、酸化するためのガスとして、酸素、オゾン、空気、水等の酸素原子を有するものを使用できるが、特に限定するものではない。炭化の場合も、メタン、エタン等の炭化水素ガスを始めとする炭素原子を有するものを使用できるが、特に限定するものではない。同様に、スパッタリング用の不活性ガスとしてはヘリウム、アルゴン等が用いられるが、工業的に用いることから最も安価なアルゴンが一般的には用いられている。これらのガスの混合比を変えることで膜の酸化度、窒化度を制御することができる。
【0018】
形成された金属又は金属化合物層の厚みは金属箔では1μm〜2mm程度、フィルム上に形成された金属薄膜層としては5nm〜10μm程度、金属類粉を混合した塗料薄膜層としては金属類粉の添加量にもよるが、0.1μm〜5mm程度さらに、1μm〜500μm程度であることが効果の点から好ましい。
【0019】
熱反射層を形成する金属、金属化合物の種類、形成される層の厚みは本発明の目的を損なわない範囲において、断熱内装材を設置する部位に応じて任意に選択することができる。本発明の熱反射層を有する断熱内装材は、壁紙に金属薄膜等の薄い熱反射層を形成して構成されるため、全体の厚みがうすく、室内面積を効率よく利用することができ、また、壁、天井、床等の任意の場所に使用しうる。また、室内側最外面に形成される熱反射層は金属を主材とするため光沢があり、装飾上も好ましい効果が得られる。
【0020】
熱反射層を担持するための内装材担体としては、通常用いられるポリ塩化ビニル等の合成樹脂又は紙を主材とする壁紙、織布、不織布からなる壁紙等を好適に使用することができる。
【0021】
また、本発明の断熱内装材においては、壁紙等の内装材担体の外装材側に断熱効果を一層向上する目的で、本発明の効果を損なわない範囲において対流防止層を設けることもできる。対流防止層は多数の小孔を有する多孔質構造体や、繊維間に多くの空隙を有する繊維塊状物を用いるのが好適である。多孔質構造体は、各々のセル(小孔)が連通している連通気性のもの、周囲を壁体で囲まれたセルを有する独立気泡性のもの、及びこれらのセルが混在するもの等が挙げられる。多孔質構造体のうちでも、対流防止効果の観点から形成されるセルの最大径は、0.1〜20mmの範囲であることが好ましく、さらに0.1〜5mmの範囲であることが、断熱性及び強度の観点から好ましい。また、セルは25mm当たり1〜30個形成されていることが好ましく、25mm当たり30個を超えると各々のセルの体積が小さくなって熱反射層の有効性が低下し、1個未満であると強度及び断熱性が低下するため好ましくない。さらに好ましくは、25mm当たり2〜20個である。単位距離当たりに存在するセルの数は、例えば、多孔質構造体の写真撮影を行い、25mmに該当する直線を引き、その直線上に存在するセルの数を目視にて数えることによって測定することができる。測定は1試料あたり10箇所行ない、その数平均をセルの数とする。多孔質構造体のセルの数は、その製造条件、例えば、触媒、整泡剤等の配合材料を変化させることによって制御することができる。
【0022】
多孔質構造体を形成する材質は、通常の発泡体を形成しうる材料、すなわち、構造体中に気体を包含しうるものであれば任意に用いることができ、例えば、ポリウレタン系、ポリスチレン系、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンービニルアセテート、ポリ塩化ビニル等のビニル系、ポリエステル系、ポリアミド系、EPDM系、塩化ビニリデン系、フェノール系、ユリア系、シリコーン系等の樹脂等を用いることができる。
【0023】
また、繊維塊状物としては、グラスウールに代表されるような、短繊維が繊維状のまま若しくはマット状に集められた塊状物、繊維同士を接着剤を用いずに絡み合わせて成形した不織布等が例示され、これらのうち低密度のものが好適に用いられる。ここで、低密度とは、例えば、比重では0.02以下、単位面積当たりの空隙率で言い換えれば80〜99.5%の如きものを指す。
【0024】
繊維塊状物を形成する繊維には、特に制限はないが、例えば、ガラス繊維等の無機質繊維、ポリエステル、ポロプロピレン、ポリアミド等の有機合成繊維等を挙げることができる。
【0025】
この対流防止層の厚みは、空間利用の効率の観点から5mm以下であることが好ましく、0.5〜3mmであることがさらに好ましい。厚みが5mmを超えると、断熱内装材全体の厚みが厚くなり、空間利用の効率が低下するため好ましくない。
【0026】
また、本発明の断熱内装材においては、必要に応じて、熱反射層と担体又は担体と対流防止層と、を接着層を介して接合することができる。この接着層を構成する接着剤は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル系接着剤、ポリビニルブチラール系接着層、シアノアクリレート系接着層、不飽和ポリエステル−スチレンモノマー系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、フェノリック−ニトリルゴム系接着剤、ビニル−ニトリルゴム系接着剤、ポリクロロプレン系接着剤等が挙げられる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の断熱内装材は、前記構成としたため、簡単な構成で、しかも、室内の雰囲気を効率よく利用することができ、断熱性に優れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の断熱内装材の一部分を示す断面図である。
【符号の説明】
10 断熱内装材
12 内装材担体(壁紙)
14 熱反射層(インジウム錫酸化物薄膜)
16 外装材
Claims (3)
- 建築物の室内に用いられる断熱内装材であって、内装材担体と、インジウム錫酸化物、及び、錫酸化物からなる群から選ばれる金属化合物の薄膜からなる熱反射層を含み、室内側最外面に熱反射層を有することを特徴とする断熱内装材。
- 前記熱反射層を構成する金属化合物の薄膜が、プラズマ溶射、高周波スパッタリング、真空蒸着法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、基材上で化学反応を起こす化学蒸着法(CVD)、プラズマCVD法から選択される成膜法により形成された、厚み5nm〜10μmの薄膜であることを特徴とする請求項1記載の断熱内装材。
- 前記内装材担体の外装材側に対流防止層を設けてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱内装材。
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