JP3624948B2 - インクカートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷信号に対応してインク滴を吐出する記録ヘッドにインクを適正な負圧状態で供給するインクカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録ヘッドを備えたキャリッジに着脱可能にインク容器を搭載した記録装置にあっては、印刷時のキャリッジの移動による抜けを防止するとともに、外部操作により容易に係合が解除できる係止機構を備えている。
このような係止機構は、例えば特開平10−44451号公報に見られるように、インクタンクの対向する2つの側面に一方にはインクカートリッジホルダに係合する凸部を、また他方の面には回動可能なレバーに爪を形成して、凸部をインクカートリッジホルダに係合させた状態で、凸部を回動支点とするように他方の面を移動させて爪をインクカートリッジホルダに係合させるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクカートリッジの回動により装着するものにあっては、記録ヘッドに連通するインク供給針を介してインク流路を形成するインク容器には適用が困難である。
すなわち、インク供給針は、インク容器との確実な連通を確保するため、所定の長さを有するから、軸方向以外の外力を受けると折損する虞があり、このため、インク容器をインク供給針の長さ方向に平行に移動させる必要がある。
また、特開平9-11500号公報に見られるようにインクを収容する容器の対向する2つの面に、インクカートリッジホルダと係合する爪部を備えた弾性変形可能なレバーを形成してインク供給針に挿通可能としたインクカートリッジも提案されている。
さらには、特開平2001-105587号公報に見られるように、インクを収容する容器を扁平な直方体状の構成し、長手方向の前面側の壁にラッチ部材を設けるとともに、この近傍の両側壁に挿入ガイド用の凸状部を形成したインクカートリッジが提案されている。
しかしながら、インクカートリッジに関する情報等を格納した記憶手段が付帯されたインクカートリッジにあっては、微細な電極との確実な接続を必要とするため、確実な位置決めが必要となる。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、インク供給針に挿抜可能で、かつインクカートリッジを、これに付帯されている記憶手段との通信を確保できる正確な位置に装着することができるインクカートリッジを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような第1の課題を達成するため、記録ヘッドと、前記記録ヘッドと連通するインク供給針とが搭載されると共に、インクカートリッジに形成された電極と接続する電極及びインクカートリッジに形成された係止部材と係合する係合部とを備えたインクカートリッジ収容領域を有するキャリッジを備えた記録装置の前記インクカートリッジ収容領域に着脱可能に構成されたインクカートリッジであって、前記インクカートリッジ収容領域への挿入方向の先端側に前記インク供給針と係合する前記インク供給口が設けられたインクを収容する容器と、前記インクカートリッジを構成する壁の、前記インクカートリッジ収容領域への挿入方向に延びる前記容器の同一側に、前記インクカートリッジ収容領域に形成された前記電極に接続可能な記憶手段の電極と、前記記憶手段の電極よりも前記挿入方向の後端側に位置するように前記インクカートリッジ収容領域の前記係合部に係合する突起を有する係止部材とがそれぞれ形成されている
【0005】
【発明の実施の形態】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1(イ)、(ロ)、及び図2(イ)乃至(ニ)は、それぞれ本発明のインクカートリッジの一実施例の外観を示すものであり、また図3、図4は、インクカートリッジの組立斜視図を示すものであって、カートリッジ1は、一方の面が開口した扁平な矩形状の有底箱型の容器本体2と、この開口を封止する蓋体3とを主体として構成されている。挿入方向の先端側、この実施例では底面の、長手方向の一方に偏するようにインク供給口4が、形成されている。また、インクカートリッジ1の挿抜時に前方、及び後方となるそれぞれの壁の上部にはそれぞれ係止部材5、6が容器本体2と一体に形成されている。
【0006】
インク供給口側に偏して位置する係止部材5は、挿入方向の先端側、この実施例では下端より若干上部を回動支点とし、かつ上部が外側に拡開可能に形成され、また対向する他方の係止部材6は、係止部材5と協働してカートリッジの把持を補助するように形成されている。
これら係止部材5、6は、その側面が幅方向の位置を規制するガイド部材となるように、キャリッジに設けられた挿入口の幅に対応する幅として構成されている。
【0007】
またインク供給口側の係止部材5の下部には、基板の表面に電極7aが複数個列状に幅方向に配置され、上下方向に2列形成され、基板の裏面に電極7aに接続された半導体記憶素子を実装して構成された記憶手段7が設けられ、他方の係止部材6の下部にはバルブ収容室8が形成されている。
これら複数の電極7aは、インク供給口4の中心軸と平行な線C1を対称線とするように対称に配置されている。また電極7aの対称線は係止部材5の係合領域、つまり突起5aの中心線C2に対してもほぼ対称となるように配置されている。
【0008】
インク供給口4の近傍で、かつ容器の中央領域側にはカートリッジの挿抜方向に延び、かつ少なくとも先端側が開口したスリット部9が形成されている。このスリット部9は、少なくともインク供給口4の先端がキャリッジのインク供給針に到達する以前にインク供給口の開口面がインク供給針に対して直交するように規制できる長さ、及び幅となるように構成されている。
【0009】
一方、カートリッジが装着されるキャリッジ100は、図5に示したように底面に記録ヘッド101を設けるとともに、記録ヘッド101に連通するインク供給針102を設けて構成されている。インク供給針102が設けられている領域から離れた領域にはインクカートリッジ押圧部材、この実施例では板バネ103が設けられ、またインク供給針102との間に位置決め用の凸片104がカートリッジの挿抜方向に延出形成されている。また、インク供給針102の側の側壁105には電極106が配置され、その上部に係止部材5の突起5aと係合する凹部107が形成されている。
【0010】
このような構造を採ることにより、図6(イ)に示したようにインクカートリッジ1のインク供給口4を奥側としてキャリッジに挿入し、板バネ103に抗して押え込むと、スリット部9が凸片104に規制されるため、一方に偏して設けられた板バネ103によりインク供給口4の側が下方となるように回転力(図中、矢印A)を受けるとしても、姿勢が規定の挿抜方向、この実施例では上下方向に略平行となるように規制される。
【0011】
さらにカートリッジ1をその上面2bに指を当てて板バネ103に抗して押し込むと、容器本体2の上面2bが奥側、つまり係止部材5の側を上方とするように角度θの斜面として形成されているため、カートリッジ1の記憶手段7が設けられている面がキャリッジ100の電極106に押し付ける分力が発生する。これにより、記憶手段7の電極7aを電極106に確実に接触させつつ、インクカートリッジをインク供給針102に押し込むことができる。この押し込みの過程で、図6(ロ)に示したように他方の係止部材5の突起5aが、係止部材5の全体の弾性に抗して凹部107に落ち込んで係合する。これにより指に明確なクリック感が伝わり、ユーザは、カートリッジがキャリッジ100に確実に装着されたことを判定できる。
なお、係止部材6にも係止部材5の突起5aと同様の突起を設けることも可能であるが、記憶手段7の側の係止部材5にのみ突起5aを設けておく方が、インクカートリッジの装着ミスを防止することができる。つまり、記憶手段7を有しない側の係止部材6がクリック感を発生させると、記憶手段7の側の係止部材5が正規の位置、つまりクリック感を発生しない位置で留まっている場合にも、ユーザが誤って正規に装着されたと勘違いするといった不都合を防止することができる。
【0012】
装着された状態では、カートリッジ1の記憶手段7が設けられている面が、係止部材5の突起5aにより挿抜方向の位置を規制されてバネ103による付勢力(図中、矢印Aの力)によりキャリッジ100の電極106に押し付けられているため、印刷時の振動に関わりなく、確実にコンタクトを維持する。
【0013】
一方、交換等によりインクカートリッジ1をキャリッジ100から取り外す場合には、係止部材5を容器本体2側に弾圧すると、係止部材5は、下端より若干上部を回動支点として回動し、係止部材5の突起5aが凹部107から離れる。この状態でカートリッジ1を引き抜くと、カートリッジ1は、板バネ103の付勢力によりガイド片104にガイドされてインク供給針102に平行に移動し、インク供給針4に曲げ力などを作用させることなく取り外すことができる。
【0014】
図7、図8は、同上インクカートリッジを構成する容器本体2に形成された流路の一実施例を示すものであって、容器本体2は、略水平方向に延びる壁10により上下に分割されている。
下部領域には第1インク収容室11が、また上部は、壁10を底面とするように容器本体2の壁12と一定の間隙を持たせて大気連通路13を形成するように壁10と連続するように枠部14により区画されている。枠部14は、底部に連通口15aが形成された垂直な壁15により分割され、一方の領域を第2インク収容室16として、また他方の領域を第3インク収容室17として形成されている。
【0015】
第2インク収容室16の下方の第1インク収容室11の領域には、第2インク収容室16の底面と容器本体2の底面2aとを接続する吸い上げ流路18が形成されている。なお、この実施例では吸い上げ流路18は、容器本体2の表面に凹部18c(図9)を形成し、この凹部18cを遮気性のフィルム57により封止することにより構成されている。
【0016】
吸い上げ流路18の下部に連通口19a、19bを備えた壁19が形成され、また吸い上げ流路18の一端に対向する箇所には容器本体2に外部からインクの注入のための1つの開口20が、またこれと並ぶように第1インク収容室11に連通する他の開口21が形成されている。
【0017】
第3のインク収容室17は、枠部14の上面14aと一定の間隙を隔てて壁22、24、26により、また第4のインク収容室23は壁10、24、26、27により区画されている。また、差圧弁収容室33(図10)の裏面に連通する流路が、壁24により区画されている。
【0018】
壁24の下部には壁10との間に連通口26aを備えた区画壁26が、また枠部14との間には下部に連通口27aを備えた区画壁27を設けてインク流路28が形成されている。インク流路28の上部は、フィルタ室となる貫通穴29を介してカートリッジ1の表面側に連通している。この貫通孔29には多孔質材からなるフィルタ55(図3)が挿入されている。なお、図中符号2cは、記憶手段7を収容する凹部を示す。
【0019】
貫通穴29は、図8に示したように壁27に連続するように形成された壁30により分離され凹部29aによりインク流路28の上端に連通し、容器本体2の表面側の水滴形の凹部30a(図9)を介して差圧弁収容室33の裏面の壁34、及び壁24で区画された流路の上部の凹部24aに連通されている。
【0020】
差圧弁収容室33の下部とインク供給口4とは、容器本体2の表面に形成された凹部35と、この凹部35を覆う遮気性フィルム57(図10)とからなる流路により接続されている。
【0021】
また、容器本体2の表面には、可及的に流路抵抗が高くなるように蛇行する細溝36と、これの周囲に幅広の溝37と、第2インク収容室16に対向する領域に矩形状の凹部38が形成されている。矩形状の凹部38にはさらに一段下がった位置に枠部39とリブ40が形成され、これらに撥インク性と通気性とを備えた図示しない通気性フィルムを張設して大気通気室が区画形成されている。凹部38の底面には貫通穴41が形成され、第2インク収容室16の壁42で区画された細長い領域43(図7)に連通されている。また凹部38の、通気性フィルムよりも表面側の領域で細溝36が連通されている。領域43の他端は貫通穴44、連通用の溝45、及び貫通穴46(図9(ロ))を介してバルブ収容室8に連通されている。
【0022】
バルブ収容室8の、カートリッジ挿入側の先端、この実施例では図8に示したように下部に窓8aが形成されて開放されていて、記録装置本体のキャリッジ100に設けられた複数の識別片110、111、112(図5)及びバルブ作動杆が進入可能な後述する識別ブロック70(図3、図4、及び図12)が装着されている。
【0023】
図10は、差圧弁収容室33の近傍の断面構造を示すものであって、差圧弁収容室33には、バネ50と、エラストマー等の弾性変形可能な材料により構成され、中心に貫通穴51を備えた膜弁52が収容されている。膜弁52はその周囲を環状の厚肉部52aと、この厚肉部52aと一体的に形成された枠部54とを備え、この枠部54を介して容器本体2に固定され、またバネ50は、一端を膜弁52のバネ受け部52bに、他端を収容室33の開口に嵌装される蓋体53のバネ受け部53aに支持されている。
【0024】
なお、符号56、57は、容器本体2の表面、及び開口面側に貼付された遮気性フィルムで、フィルム56は、図7における壁10、枠部14、壁15、22、24、26、27、30、及び42に溶着等により接着されている。またフイルム57は、容器本体2の表面に形成された細溝36、及び差圧弁収容室33を覆うように貼着されている。
【0025】
このような構成により、インク流通口34aを通過したインクは、膜弁52に阻止される。この状態でインク供給口4の圧力が低下すると、膜弁52がバネ50の付勢力に抗して弁座部34bから離れるため、貫通穴51を通過し、凹部35により形成された流路を経由してインク供給口4に流れ込む。
【0026】
インク供給口4のインク圧力が所定の値に上昇すると、膜弁52がバネ50の付勢力に負けて弁座部34bに弾接され、インクの流通が遮断される。このような動作を繰返すことにより一定の負圧を維持しながらインクをインク供給口4に排出することができる。
【0027】
図11は、大気連通用のバルブ収容室8の断面構造を示すものであって、バルブ収容室8を区画する壁には貫通穴60が穿設され、ここにゴム等の弾性部材により構成された押圧部材61がその周囲を容器本体2に支持されて移動可能に挿入されている。押圧部材61の進入側の先端には、下端を突起63により固定され、中央部を突起64により規制された板バネなどの弾性部材62に支持され、貫通穴60に常時付勢された弁体65が配置されている。
【0028】
また押圧部材61の他面には図12に示した識別ブロック70が位置するように装着されている。
識別ブロック70は、爪70a、70bによりカートリッジの凹部80(図9)に固定される基体に、カートリッジの挿入方向に平行で、かつカートリッジの一定の幅をもった複数、この実施例では3本の溝71、72、73を形成し、また1つの溝72にはインクカートリッジの挿入方向側、この実施例では挿入方向の下端が押圧部材61を押圧するためのアーム74を形成して構成されている。各溝71、72、73は、その奥行きを複数の識別片の挿通が可能な程度に設定されている。
【0029】
アーム74は、若干内側に位置するように回動支点74aにより回動可能で、かつ引き抜き側、この実施例では挿入方向の上部側が作動杆113(図14)の進入路に斜めに突出するように構成されている。
また、それぞれの溝71乃至73には、キャリッジ100の識別片110、111、112の先端に対向するように突出部71a、72a,73aが形成されている。
【0030】
このような構成により、アーム74の位置を一定とする一方、これら係合部71a、72a、73aの位置、及び対応する識別片110、111、112の先端の位置を、カートリッジのインクの種類に対応させて設定することにより、カートリッジの誤装着を防止することができる。これら係合部71a、72a、73aの位置は、カートリッジの挿抜方向だけではなく、カートリッジの厚み方向の位置を変えることにより、3次元的な配列構造を採ることが可能となり、識別領域形成面積の拡大を招くことなく多くのインク種を識別することができる。
【0031】
図13、図14は、インクカートリッジが装着されるキャリッジの一実施例を示すものであって、複数個、この実施例ではブラックインク用カートリッジを1つ、及びカラーインク用カートリッジを3つ装着可能に構成されている。
すなわち、一側側に若干幅広の第1の装着領域120を設け、これに隣り合うように同一幅の第2乃至第4の装着領域121乃至123が、両端のリブ124〜126、リブ127〜129により区画されている。
【0032】
各カートリッジの装着領域には、図5に基づいて説明したように、記録ヘッド101に連通するインク供給針102が設けられ、インク供給針102が設けられている領域から離れた領域には押圧部材、この実施例では板バネ103が設けられ、またインク供給針102との間に位置決め用の凸片104がカートリッジの挿抜方向に延出形成されている。さらに、係止部材5の側の側部をガイドする凹部107’が形成されている。
【0033】
また、インク供給針102の側の側壁105には電極106が配置され、その上部には係止部材5の突起5aと係合する凹部107が形成され、これの近傍に係止部材5の側部から突出する突起5bと係合する凹部107aが形成されている。
同様に、係止部材6が当接する領域には係止部材6の側部をガイドする凹部109、及び係止部材6の側部から突出する突起6bと係合する凹部109aが形成されている。
【0034】
この実施例では、位置決め用の凸片104は、図15(イ)に示したようにカートリッジの表面に平行に延びる側部104aが形成され、位置決めの確実性と、薄くて長い凸片104の強度を確保するように構成されている。これに対応するようにインクカートリッジのスリット部9は、カートリッジの挿入方向の先端が、図15(ロ)に示したように少なくとも側部104aに対向する領域に凹部9aが形成されていて表面側に延出されている。
【0035】
インク供給針102の周囲には、インクカートリッジのインク供給口4を挟むように形成された断面「コ」の字状のリブ4a、4aと係合するリブ102aが形成されていて、これらリブによりインク供給口4にインク供給針102が挿通された状態に保持することができる。
【0036】
ところで、幅広とされた装着領域120に装填される大容量タイプのインクカートリッジは、図16(イ)〜(ハ)に示したように基本的には前述の実施例(図1、図2に示した小容量タイプのインクカートリッジ)と同様の構造に構成されるものではあるが、容器本体2’は、開口面の形状は同一で、その深さWだけ大きくなるように構成されている。これにより、容器本体2’の深さWを変更するだけで収容可能なインク量を増加することができる。なお、図1、図2と同一機能を奏する部材には、図1、図2の符号にダッシュを付されている。
【0037】
そして、インク供給口4’、及び記憶手段7’、特にその電極7a’は、その配列中心が、他のカートリッジと同様に容器本体2の表面、つまり底から一定の位置W1となるように設定されている。
すなわち、電極7a’は、その対称線C3が、インク供給口4’の中心軸を通る線C4と略交差するように配置されている。
なお、識別ブロック70’は、容器本体2’の表面側に装着されているから、当然に同一の位置に配置されることになる。
【0038】
また、係止部材5’、6’は、装填時にインク供給口4’に確実に押圧力が作用するように、インク供給口4’と同様に容器本体2’の側に偏して配置されている。なお、図16(イ)に示したように装着時に後端側となり親指で把持する側の係止部材6’の幅W2を、先端側つまり人差し指で把持する係止部材5’の幅W3よりも大きく構成するのが、挿抜性の面から好ましい。
容器本体2のフィルム57の表面に貼付される装飾用フィルム130(図17(イ))のインク注入口20、21’に対向する領域に舌部130aを形成し、図17(ロ)に示したように装飾用フィルム130と一体に舌部130aを形成し、この舌部130aによりインク吸入口20’、21’を封止してもよい。
【0039】
図18図は、上述した小容量インクカートリッジ1と大容量インクカートリッジ1’をキャリッジ100に装着した状態を示すものである。
【0040】
なお、上述の実施例においては、電極7aをインクカートリッジを構成する容器本体2に設けるようにしたが、容器本体2の形状によっては、図19に示したように容器本体2に、カートリッジの挿入方向に平行な先端面を持つ突部2dを形成し、この先端面に電極7aを配置しても同様の作用を奏する。
【0041】
さらに、上述の実施例においては、電極7aと記憶素子とを基板の表裏に実装しているが、図20(イ)に示したように基板7cに電極7aを配置すると共に、電極7aにフレキシブルケーブル7dを取り付け、フレキシブルケーブル7dに記憶素子7bを実装したり、図20(ロ)に示したように単一のフレキシブルケーブル7dの異なる領域に電極7aと、記憶素子7bを実装しても同様の作用を奏する。
【0042】
また、電極7aは、カートリッジの挿入方向の長さが幅よりも長くなる形状、例えば、図20(イ)、(ロ)に見られるように楕円形に形成しても同様の作用を奏する。
【0043】
さらに、上述の実施例においては、係止部材をレバーとして構成し、突起5a、6aを係止部材により進退させるように構成しているが、図21(イ)に示したようにインクカートリッジ1を構成する容器本体2に突起131として形成しても、図21(ロ)に示したように記録装置の凹部107の弾性を利用して挿入固定し、また引き抜くことが可能となる。
【0044】
なお、上述の実施例においては、負圧発生手段として差圧弁を使用する場合について説明したが、スポンジ等の多孔質材にインクを含浸させ、細孔の毛細管力により負圧を維持するようにしても同様の作用を奏することは明らかである。
また上述の実施例においては、複数のインクカートリッジを同一のキャリッジに収容するように構成しているが、複数のキャリッジのそれぞれに1、又は複数個を搭載するようにも構成できる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、インクカートリッジの電極とインクカートリッジ収容領域の電極とが接触するように装填されると、係止部材の爪が係合部に係合して係止部材にクリック感が生じてユーザが検知できるため、インクカートリッジの電極をキャリッジのインクカートリッジ収容領域の電極に確実に接続させて通信を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明のインクカートリッジのうち、小容量タイプに構成された一実施例の表裏の外観を示す図である。
【図2】図(イ)乃至(ニ)は、それぞれ同上インクカートリッジの上面図、正面図、底面図、及び側面図である。
【図3】同上インクカートリッジの一実施例を示す組立斜視図である。
【図4】同上インクカートリッジの一実施例を示す組立斜視図である。
【図5】同上インクカートリッジが装着されるキャリッジの一実施例を示す断面図である。
【図6】図(イ)、(ロ)は、それぞれインクカートリッジをキャリッジに装着する過程を示す図である。
【図7】同上インクカートリッジを構成する容器本体の開口面の構造を示す斜視図である。
【図8】同上インクカートリッジを構成する容器本体の底面の構造を示す斜視図である。
【図9】図(イ)は同上インクカートリッジを構成する容器本体の表面の構造を示す斜視図であり、また図(ロ)は、連通用の溝に形成された貫通孔を示す図である。
【図10】負圧発生手段収容室の断面構造を拡大して示す図である。
【図11】大気連通用のバルブ収容室の断面構造を拡大して示す図である。
【図12】図(イ)、(ロ)は、それぞれ識別用ブロックの一実施例を示す斜視図と正面図である。
【図13】複数のインクカートリッジが収容可能に構成されたキャリッジの一実施例を示す斜視図である。
【図14】同上キャリッジの向きを変えて示す斜視図である。
【図15】図(イ)、(ロ)は、それぞれ同上キャリッジのインク供給針の近傍、及びインクカートリッジのインク供給口の近傍を拡大して示す図である。
【図16】図(イ)乃至(ハ)は、それぞれ本発明のインクカートリッジを大容量タイプとして構成した場合の実施例を示す斜視図と底面図である。
【図17】図(イ)、(ロ)は、それぞれ同上大容量タイプのインクカートリッジのインク注入口の構造を示す図である。
【図18】小容量タイプ、及び大容量タイプのインクカートリッジをキャリッジに装着した状態を示す図である。
【図19】本発明のインクカートリッジの電極取り付け構造の他の実施例を示す図である。
【図20】図(イ)、(ロ)は、それぞれ記憶手段の他の実施例を示す斜視図である。
【図21】図(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明のインクカートリッジの係止部材の他の実施例、及び記録装置に固定された状態を、固定領域を拡大して示す図である。
【符号の説明】
1、1’ カートリッジ
2 、2’ 容器本体
3 蓋体
4、4’ インク供給口
5、6、5’、6’ 係止部材
5a 突起
7 、7’ 記憶手段
7a 電極
8、8’ バルブ収容室
9、9’ スリット部
70、70’ 識別ブロック
71〜73 溝
71a、72a,73a 突出部
100 キャリッジ
101 記録ヘッド
102、102’ インク供給針
103、103’ 板バネ
106 電極
110、111、112 識別片
113 作動杆
121〜123 装着領域
130 装飾用フィルム

Claims (10)

  1. 記録ヘッドと、前記記録ヘッドと連通するインク供給針とが搭載されると共に、インクカートリッジに形成された電極と接続する電極及びインクカートリッジに形成された係止部材と係合する係合部とを備えたインクカートリッジ収容領域を有するキャリッジを備えた記録装置の前記インクカートリッジ収容領域に着脱可能に構成されたインクカートリッジであって、
    前記インクカートリッジ収容領域への挿入方向の先端側に前記インク供給針と係合する前記インク供給口が設けられたインクを収容する容器と、
    前記インクカートリッジを構成する壁の、前記インクカートリッジ収容領域への挿入方向に延びる前記容器の同一側に、前記インクカートリッジ収容領域に形成された前記電極に接続可能な記憶手段の電極と、前記記憶手段の電極よりも前記挿入方向の後端側に位置するように前記インクカートリッジ収容領域の前記係合部に係合する突起を有する係止部材とがそれぞれ形成されているインクカートリッジ。
  2. 前記記憶手段を構成する電極が、前記容器を構成する壁に形成された突部に設けられている請求項1に記載のインクカートリッジ。
  3. 前記電極の前記挿入方向側の長さが、挿入方向に垂直な方向の長さよりも長く構成されている請求項1に記載のインクカートリッジ。
  4. 前記容器の、前記記憶手段の前記電極が形成された壁に相対向する壁に、前記キャリッジにガイドされるガイド部材を備えた請求項1に記載のインクカートリッジ。
  5. 前記容器が、インク供給口が形成された有底箱型の容器本体と、前記容器本体の開口面を封止する蓋体とから構成され、前記容器本体の深さ方向に偏して前記インク供給口が形成されている請求項1に記載のインクカートリッジ。
  6. 前記記憶手段を構成する電極が形成されている側から見たとき、前記記憶手段を構成する電極、及び前記係止部材の係合部が前記インク供給口の中心軸に重なるように配置されている請求項1に記載のインクカートリッジ。
  7. 前記記憶手段を構成する電極が、前記インク供給口の中心軸に平行な線を対称線とするように前記容器の幅方向に複数列状に設けられている請求項1に記載のインクカートリッジ。
  8. 前記記憶手段を構成する列状に配置された複数の電極の幅方向の中心と、前記係止部材の係合部の幅方向の中心とが、前記インク供給口の中心軸に平行な同一の線上に略一致するように位置している請求項1に記載のインクカートリッジ。
  9. 前記記憶手段は、基板と、該基板上に形成された複数の電極からなる電極列と、前記基板に実装された半導体記憶素子とから構成されている請求項1に記載のインクカートリッジ。
  10. 前記係止部材は、その一端が前記記憶手段の前記電極が形成された壁に固定されている請求項1に記載のインクカートリッジ。
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