JP3624707B2 - 回転電気機械の転位コイル用の製造装置および回転電気機械用の転位コイルの製造方法 - Google Patents

回転電気機械の転位コイル用の製造装置および回転電気機械用の転位コイルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、大容量の回転電気機械の電機子コイルなどに用いられる転位コイルの製造に係わり、転位部の設置数の増大,転位ピッチの短縮化などに対応しつつ自動製造を可能にした、その製造装置および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タービン発電機,水車発電機などの大容量の回転電気機械の電機子に用いられる電機子コイルなどでは、漏れ磁束による表皮効果の影響を低減するために、コイルを構成している素線の転位が行われている。この転位を,周知のコイルスロットに装填される部位で行うようにした電機子コイルは、一般に転位コイルと呼ばれている(ギッターコイルと呼ぶ場合もある)。従来技術の回転電気機械の転位コイル用の製造装置および回転電気機械用の転位コイルの製造方法の説明に入る前に、まず、転位コイルの一般的構成について図19〜図22を用いて説明する。
【0003】
ここで図19は、一般例の転位コイルの要部を示す斜視図であり、図20は、転位コイルを構成する素線の転位のための成形加工前の要部を示す図であり、(a)は図19におけるR矢視図で、(b)は図19におけるS矢視図である。図21は、転位コイルを構成する素線の転位のための幅方向成形加工後の要部を示す図であり、(a)は図19におけるR矢視図で、(b)は図19におけるS矢視図である。図22は、転位コイルを構成する素線の転位のための幅方向および厚さ方向成形加工後の要部を示す図であり、(a)は図19におけるR矢視図で、(b)は図19におけるS矢視図である。なお、図19は、幅方向成形と厚さ方向成形とが施された素線を用いる転位コイルを示している。
【0004】
図19〜図22において、9は転位コイルであり、同数の素線(この事例の場合には、平角銅線)91を,素線91の厚さ(T)方向に積層(図19に示す事例では層数は6であるが、一般には10〜150前後程度であることが多い)した素線積層体92(以降、図19において紙面に向かって左側に描かれている素線積層体92を素線積層体92Aと呼び、同じく右側に描かれているものを素線積層体92Bと呼び、両者の区分が不要な場合には,単に素線積層体92と呼ぶ)の2個が、素線91の幅(W)方向に並置された状態として配置されている。
【0005】
なお、素線91に,素線91相互間の電気絶縁用に図示しない素線絶縁層が施されていることが主たる理由で、転位コイル9の幅(W)は、素線91の幅(W)の2倍よりも大きく、転位コイル9における素線91の厚さ方向の間隔〔層間隔(T92)〕は、素線91の厚さ(T)よりも大きい。また、用いられる素線91の長さは、適用される回転電気機械の容量などにより当然異なるが、概して、1〔m〕程度から10〔m〕を越える程度の範囲にある。
【0006】
一般に素線の転位は、漏れ磁束により各素線に発生する電圧の均等化を図るために行われるものであるため、転位コイル9では、素線積層体92の相互配列関係(図19における左右関係)を交替させると共に、素線積層体内における層方向配列位置(図19における上下関係)を反転させるように素線91の配置換えをする。したがって、転位コイル9では転位部93において、全ての素線91は幅(W)方向に成形される必要がある。
【0007】
素線91の幅(W)方向成形は、未成形の素線91(図20を参照)に、転位ピッチ(P)(図19を参照)とほぼ同等値に設定した素線91の長さ方向の屈曲量(L)で、幅方向成形量(W)の成形を施す(図21を参照)。この幅方向成形量(W)は、前記したことから、素線91の幅(W)よりも大きく、「W≒W−W」の関係にある。また、転位部93においての素線91相互間の線間短絡の発生などを回避するために、さらに厚さ(T)方向の成形が必要になる場合がある。この厚さ(T)方向成形は、幅(W)方向成形を済ました素線91に対して、層間隔(T92)にほぼ等しい厚さ方向成形量(T)となるように、図22に示すように施す。
【0008】
そうして、転位コイル9では、成形処理が施された素線91が転位部93に関して次のように配列されている。すなわち、一方の素線積層体92(図19の場合には素線積層体92A)に属する各層の素線91については、最上層に位置する素線91から、順次、図19に矢印で示す方向に転位ピッチ(P)だけ成形位置(転位位置)をずらして配列される。また、他方の素線積層体92(図19の場合には素線積層体92B)に属する各層の素線91については、最下層に位置する素線91から、順次、図19に矢印で示す方向に転位ピッチ(P)だけ成形位置(転位位置)をずらして配列される。さらに、図19〜図22には転位部93を1個しか示していないが、転位を行う前記目的から、転位部93の個数は2個以上であることが一般である。
【0009】
次に、回転電気機械用の転位コイルの従来例の製造方法および回転電気機械の転位コイル用の従来例の製造装置について、一般例の転位コイル9に対する図19〜図22を引用して説明する。転位コイルの従来例の製造方法,製造装置としては、(1)人手により行う方法、(2)ロボットを用いて行う方法、(3)自動機を用いる方法が知られている。それらの概要は次のとおりである。
【0010】
(1)人手により行う方法;未成形の素線91を得るため長尺の平角状の線材を所要の長さに切断し、未成形の素線91(図20を参照)に所望の転位位置で幅(W)方向成形を行い、必要に応じて,幅(W)方向成形が施された素線91(図21を参照)にさらに厚さ(T)方向成形を行って、所望の間隔で複数の転位位置で成形加工が施された素線91(図21または図22を参照)を得るまでの工程は、自動機により行われている。そうして、前記成形加工が施された素線91の複数本を、図19に例示するような状態に人手により組み合わせることで、転位コイル9を製造する。
【0011】
すなわち、人手により行う方法では、成形加工が施された複数の素線91を用い、図19に例示するそれぞれの素線積層体92A,素線積層体92Bを組立てる作業と、これ等の素線積層体92Aと素線積層体92Bとを組合わせて、図19に例示する状態に組立る作業が人手により行われている。
(2)ロボットを用いて行う方法;所望の間隔で複数の転位位置で成形加工が施された素線91(図21または図22を参照)を得るまでの工程は、前記(1)項の人手により行う方法と同一である。ロボットを用いて行う方法では、成形加工が施された素線91の複数本を組み合わせる工程を、人手を代用できる機能を持つ産業用ロボットを用いて転位コイル9を製造する。
【0012】
(3)自動機を用いる方法;素線91の幅(W)方向成形と,この幅(W)方向成形が施された素線91の組み合わせとを、自動的に行う自動機を用いて転位コイル9の製造を行う方法である。自動機を用いる方法では、まず、長尺の平角状の線材を所要の長さに自動機により切断して未成形の素線91(図20を参照)を作製する。この未成形の素線91の複数本を用い、素線91をその厚さ(T)方向に所望の本数積層した素線積層体92を作製する。さらに、この素線積層体92の2個を素線91の幅(W)方向に配列した素線91の配列体(図19を参照)を用意する。
【0013】
そうしてこの配列体に対して、転位部93の領域に位置する各層の素線91の幅方向の成形を、一方の素線積層体92(図19の場合の素線積層体92A)に属する素線91については最上層に位置する素線91から、また、他方の素線積層体92(図19の場合の素線積層体92B)に属する素線91については最下層に位置する素線91から、順次、図19に矢印で示す方向に転位ピッチ(P)だけ成形位置(転位位置)をずらしつつ同時に実施して、1個所の転位部93に対する成形処理を終了する。複数個所の転位部93を持つ転位コイル9を製造する場合には、1個所の転位部93に対する成形処理の終了に続いて、順次、残りの転位部93に対する成形処理を同様に実施する。
【0014】
その際、成形位置(転位位置)の転位ピッチ(P)毎のずらしと、次の転位部93への移動とは、素線91の配列体を素線の長さ方向に沿って間欠的に移送できるコイル移送機構により行われている。なお、素線91の幅(W)方向成形には1対の成形処理体が用いられているが、一方の成形処理体の加圧部には片持ち支持されたロールが用いられ、他方の成形処理体の加圧部には金型が用いられている。ただし、従来例による自動機を用いる方法では、素線91の厚さ(T)方向成形を可能にしたものは無い。すなわち、従来例による自動機を用いる方法は、転位ピッチ(P)が比較的に長いなどのため,厚さ(T)方向成形が不要な転位コイル9を製造する場合にのみ適用されている。
【0015】
なお、素線91の相互間に高い電圧が印加される転位コイルなどでは、転位部93における素線絶縁層の電気絶縁性能を強化するために、転位位置の素線91相互間に、電気絶縁材製シート(例えば、0.2〜1〔mm〕程度の厚さを持つポリエステル樹脂材製シート)を用いた図示しない介挿体を介挿する介挿処理が行われている。従来例における介挿体の介挿処理は、前記(1)〜(3)で説明した全ての従来例において、人手により行われている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術による転位コイル9の製造方法および転位コイル9用の製造装置を用いることで、所望の転位コイル9を製造することができているが、近年、次記するようなことが問題となり、その解決が望まれている。すなわち、回転電気機械の大容量化などが進展してその設計条件が苛酷になるのに従い、特にタービン発電機などにおいては、3個所またはそれ以上の個数の転位部93を持つ転位コイル9の必要性が増大してきている。また、転位部93の個数の増大などに対応するために、素線91の長さに沿う方向の転位部93領域の長さ寸法の短縮が必要になり、これにともなって、転位ピッチ(P)の短小化が必要になってきている。
【0017】
▲1▼人手により行う方法では、転位コイル9が必要とする形状・寸法を持つ幅方向および厚さ方向の成形処理を機械的に行うことができるが、それぞれの素線積層体92の組立て作業と、両素線積層体92の組合せ作業に、多くの人手と,長い製作時間が必要となる問題がある。これに加えて、転位ピッチ(P)の短小化を図ることは厚さ(T)方向の成形が必須になることで、成形処理済の素線91の取扱いが困難になり、素線積層体92の組立て作業と,両素線積層体92の組合せ作業に関する前記問題が増大される。特に、3個所以上の転位部93を持つ転位コイル9を製造する場合には、両素線積層体92の組合せ作業時に、それぞれの素線積層体92を互いに反対方向に,素線91の厚さ(T)方向に弓なりに反らせることが必要になるので、前記問題の解決が重要な課題になっている。
【0018】
すなわち、3個所以上の転位部93を持つ転位コイル9では、多くの場合に転位ピッチ(P)が短小化されるが、転位ピッチ(P)の短小化は、素線積層体92を弓なりに反らせる際の曲げ剛性を増大させるので、両素線積層体92の組合せ作業が極めて困難になる。そうして、素線91を多数(例えば、数十層程度あるいはそれ以上)積層する転位コイル9を製造する場合では、このような転位コイル9では、多くの場合に、素線91の積層方向の外形寸法が100〔mm〕程度あるいはそれ以上になることもあって、その困難さが飛躍的に増大される。
【0019】
▲2▼ロボットを用いて行う方法では、2個所以内の転位部93を持つ転位コイル9を製造する場合には、素線積層体92の前記組立て作業と,両素線積層体92の前記組合せ作業とを、産業用ロボットにより行うことができるので、人手により行う方法の場合の前記人手と製作時間の問題はほぼ解決されている。しかしながら、3個所以上の転位部93を持つ転位コイル9は、ロボットを用いて行う方法では製造することができない。したがって、3個所以上の転位部93を持つ転位コイル9の場合には、人手により行う方法の場合の前記問題が存在する。
【0020】
▲3▼従来例による自動機を用いる方法では、厚さ(T)方向成形が不要な転位コイル9を製造する場合には、3個所以上の転位部93を持つ場合を含めて、長尺の線材を切断して未成形の素線91を得る工程以降,転位コイル9の製造を完了するまでの工程の全てを連続して自動的に実行できる。したがって、人手により行う方法やロボットを用いて行う方法が持つ前記問題はほぼ解決されている。しかしながら前記したところにより、転位ピッチ(P)の短小化にともなって厚さ(T)方向成形を行う必要がある転位コイル9が増大していることから、このような転位コイル9の製造が可能な自動機が強く望まれている。
【0021】
▲4▼転位部93に対する介挿体の介挿処理は、人手により行われているので、長い製作時間を要することが問題になっている。
この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その第1の目的は、素線の幅および厚さ方向の成形処理の自動化が可能な回転電気機械の転位コイル用の製造装置を提供することであり、その第2の目的は、素線の幅および厚さ方向の成形処理の自動化が可能な回転電気機械用の転位コイルの製造方法を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この発明では前述の第1の目的は、
1)請求項1に記載したところにより、平角状の外形を持つ導電材製の素線の複数を素線の厚さ方向に積層した素線積層体の2個を素線の幅方向に並置した断面構成を持ち,素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造に際し、前記転位部において素線を幅方向および厚さ方向に屈曲させる成形処理を行って回転電気機械用の転位コイルの製造を行う回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、
素線積層体を素線の長さ方向に沿って移送するコイル移送部と、転位対象の素線をその幅方向側端部で掴んで把持すると共に成形処理用の空間が形成された後に素線の把持を解く素線把持機能,素線把持機能で把持された状態の素線を素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させてこの素線が属していた素線積層体から分離する素線分離機能,および成形処理を済ませた素線を素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させて素線積層体に戻す素線戻し機能を有する素線分離部と、転位対象の素線が分離された素線積層体を素線の積層方向に沿って移動させて転位対象の素線との間に前記成形処理用の空間を形成する機能を有するコイル引離部と、転位対象の素線を素線積層体から引き離された位置で保持する素線保持部と、転位対象の素線の幅方向の両側のそれぞれに配置され転位対象の素線の幅方向の屈曲成形を行う1対の幅方向用の成形処理体,転位対象の素線を幅方向の一方の端部で押えて前記成形処理を行う際の素線の跳ね上がりを防止する素線押え体,前記成形処理用空間を利用して転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置され幅方向用の成形処理体による幅方向の成形処理を済ませた転位対象の素線の厚さ方向の屈曲成形を行う1対の厚さ方向用の成形処理体,および前記両成形処理体を支持する支持体を有する成形処理部と、を備える構成とすること、または、
2)請求項2に記載したところにより、平角状の外形を持つ導電材製の素線の複数を素線の厚さ方向に積層した素線積層体の2個を素線の幅方向に並置した断面構成を持ち,素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造に際し、転位部において前記素線を幅方向および厚さ方向に屈曲させる成形処理と,素線の転位位置に電気絶縁材製の介挿体を介挿する介挿処理とを行って回転電気機械用の転位コイルの製造を行う回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、
素線積層体を素線の長さ方向に沿って移送するコイル移送部と、転位対象の素線をその幅方向側端部で掴んで把持すると共に成形処理用の空間が形成された後に素線の把持を解く素線把持機能,素線把持機能で把持された状態の素線を素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させてこの素線が属していた素線積層体から分離する素線分離機能,および成形処理を済ませた素線を素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させて素線積層体に戻す素線戻し機能を有する素線分離部と、転位対象の素線が分離された素線積層体を素線の積層方向に沿って移動させて転位対象の素線との間に前記成形処理用の空間を形成する機能を有するコイル引離部と、転位対象の素線を素線積層体から引き離された位置で保持する素線保持部と、転位対象の素線の幅方向の両側のそれぞれに配置され転位対象の素線の幅方向の屈曲成形を行う1対の幅方向用の成形処理体,転位対象の素線を幅方向の一方の端部で押えて前記成形処理を行う際の素線の跳ね上がりを防止する素線押え体,前記成形処理用空間を利用して転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置され幅方向用の成形処理体による幅方向の成形処理を済ませた転位対象の素線の厚さ方向の屈曲成形を行う1対の厚さ方向用の成形処理体,前記両成形処理体を支持する支持体,および前記成形処理が行われる位置に支持体の移動を行う移動機構を有する成形処理部と、前記介挿体をその貯留部から1個ずつ取り出す取出機構,取出機構から介挿体を受取って前記成形処理を済ませた転位対象の素線と隣接する他の素線との間に挿入する挿入機構,および介挿処理の実施に備えて挿入機構などの移動を行う移動機構を有する介挿処理部と、を備える構成とすること、または、
3)請求項3に記載したところにより、前記1項または2項に記載の手段において、成形処理部が有する厚さ方向用の成形処理体は、成形処理部による転位対象の素線の幅方向の成形処理時に,この素線を厚さ方向で支持する機能を兼ねる構成とすること、または、
4)請求項4に記載したところにより、前記1項から3項までのいずれかに記載の手段において、成形処理部は、成形処理が行われる部位に転位対象の素線を案内する案内機構を有する構成とすること、または、
5)請求項5に記載したところにより、前記1項から4項までのいずれかに記載の手段において、成形処理部が持つ1対の幅方向用の成形処理体のそれぞれは転位対象の素線の加圧用にロールを備え、転位対象の素線の幅方向の前記素線押え体で押さえられない方の端部側に配設される成形処理体は、素線押え体で押さえられる方の端部側に配設される成形処理体が持つロールよりもコイル移送部による転位コイルの移送方向とは反対側に、複数のロールを有する構成とすること、または、
6)請求項6に記載したところにより、前記1項から5項までのいずれかに記載の手段において、成形処理部が有する幅方向用の成形処理体は、転位対象の素線の幅方向の端部と接触する部位が,素線に向かって凸となる押圧部を持つ金型である構成とすること、または、
7)請求項7に記載したところにより、前記1項から6項までのいずれかに記載の手段において、成形処理部が有する厚さ方向用の成形処理体は、成形処理後の素線の厚さ方向外形と同等の輪郭を持つ加圧面を有する金型である構成とすること、または、
8)請求項8に記載したところにより、前記2項から7項までのいずれかに記載の手段において、介挿処理部は、成形処理を済ませた転位対象の素線と隣接する他の素線との間に挿入した介挿体の抜け出しを防止するための、介挿体用の仮支持機構を有する構成とすること、または、
9)請求項9に記載したところにより、前記1項または前記3項から7項までのいずれかに記載の手段において、素線分離部,コイル引離部,素線保持部,および成形処理部のそれぞれを2セット備え、転位部における素線の成形処理を、前記素線積層体の素線の積層方向の両側のそれぞれにおいて平行して行えるようにした構成とすること、さらにまたは、
10)請求項10に記載したところにより、前記2項から8項までのいずれかに記載の手段において、素線分離部,コイル引離部,素線保持部,および成形処理部のそれぞれを2セット備えると共に、前記介挿処理部,または介挿処理部および介挿体用の前記仮支持機構を2セット備え、転位部における介挿体の介挿処理を、前記素線積層体の素線の積層方向の両側のそれぞれにおいて平行して行えるようにした構成とすること、により達成される。
【0023】
また、この発明では前述の第2の目的は、
11)請求項11に記載したところにより、平角状の外形を持つ導電材製の素線の複数を素線の厚さ方向に積層した素線積層体の2個を素線の幅方向に並置した断面構成を持ち,素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられ、この転位部において素線を幅方向および厚さ方向に屈曲させる成形処理を行う回転電気機械用の転位コイルの製造方法において、
コイル移送部により素線の長さ方向に移送される素線積層体が持つ転移対象の素線の転位位置が成形処理部の直下に到達すると,コイル移送部による素線積層体の移送を一時停止し、転位対象の素線をその幅方向側端部で素線分離部が持つ素線把持機能を用いて把持し、この状態の素線を素線分離部が持つ素線分離機能を用いて素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させてこの素線が属していた素線積層体から分離し、転位対象の素線が分離された素線積層体を,コイル引離部が持つ機能を用いて素線の積層方向に沿って移動させて転位対象の素線との間に成形処理用の空間を形成し、転位対象の素線を素線積層体から引き離された位置で素線保持部により保持し、その後,素線分離部による転位対象の素線の把持を解放し、成形処理部が有している転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置される1対の厚さ方向用の成形処理体により転位対象の素線を厚さ方向の両側で支持し、続いて成形処理部が有している転位対象の素線の幅方向の両側のそれぞれに配置される1対の幅方向用の成形処理体により,転位位置においての転位対象の素線の幅方向の屈曲成形を行い、引き続いて、成形処理部が有している転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置される1対の厚さ方向用の成形処理体による転位位置においての転位対象の素線の厚さ方向の屈曲成形を実行し、続いて、前記成形処理を済ませた素線を,素線保持部による保持から解放すると共に素線分離部が持つ素線戻し機能を用いて素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させて素線積層体に戻し,1個所の転位位置における素線の成形処理を完了させ、続いて、コイル移送部により素線積層体の次の転位対象の素線に関する転位位置を成形処理部の直下に向けて移送し、以上の工程を,一方の素線積層体が持つ素線の本数に従う回数繰り返すことで、一方の素線積層体が持つ全ての素線の1個所の転位部における幅方向および厚さ方向の成形処理を行う製造方法とすること、または、
12)請求項12に記載したところにより、平角状の外形を持つ導電材製の素線の複数を素線の厚さ方向に積層した素線積層体の2個を素線の幅方向に並置した断面構成を持ち,素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられ、この転位部において素線を幅方向および厚さ方向に屈曲させる成形処理と,素線の転位位置に電気絶縁材製の介挿体を介挿する介挿処理とを行う回転電気機械用の転位コイルの製造方法において、
コイル移送部により素線の長さ方向に移送される素線積層体が持つ転移対象の素線の転位位置が成形処理部の直下に到達すると,コイル移送部による素線積層体の移送を一時停止し、転位対象の素線をその幅方向側端部で素線分離部が持つ素線把持機能を用いて把持し、この状態の素線を素線分離部が持つ素線分離機能を用いて素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させてこの素線が属していた素線積層体から分離し、転位対象の素線が分離された素線積層体を,コイル引離部が持つ機能を用いて素線の積層方向に沿って移動させて転位対象の素線との間に成形処理用の空間を形成し、転位対象の素線を素線積層体から引き離された位置で素線保持部により保持し、その後,素線分離部による転位対象の素線の把持を解放し、成形処理部が有している転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置される1対の厚さ方向用の成形処理体により転位対象の素線を厚さ方向の両側で支持し、続いて成形処理部が有している転位対象の素線の幅方向の両側のそれぞれに配置される1対の幅方向用の成形処理体により,転位位置においての転位対象の素線の幅方向の屈曲成形を行い、引き続いて、成形処理部が有している転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置される1対の厚さ方向用の成形処理体による転位位置においての転位対象の素線の厚さ方向の屈曲成形を実行し、その後に、成形処理部が持つ移動機構により成形処理部の転位部の周辺からの退避を行い、続いて,介挿処理部が持つ挿入機構などを介挿処理部が持つ移動機構により転位部の位置に移動し、前記介挿体をその貯留部から取出機構により1個取り出し、前記1個の介挿体を取出機構から挿入機構に受渡し、挿入機構によりこの1枚の介挿体を,前記成形処理を済ませた転位対象の素線と隣接する他の素線との間に挿入し、介挿体の挿入処理後に介挿処理部が持つ移動機構により介挿体の挿入機構などを転位部の周辺から退避し、続いて、前記成形処理を済ませた素線の素線保持部による保持を解放すると共に,素線分離部が持つ素線戻し機能を用いて素線の厚さ方向に沿って移動させて素線積層体に戻して1個所の転位位置における素線の成形処理および介挿処理を完了させ、続いて、コイル移送部により素線積層体の次の転位対象の素線に関する転位位置を成形処理部の直下に向けて移送し、以上の工程を,一方の素線積層体が持つ素線の本数に従う回数繰り返すことで、一方の素線積層体が持つ全ての素線の1個所の転位部における幅方向および厚さ方向の成形処理,および介挿処理を行う製造方法とすること、または、
13)請求項13に記載したところにより、前記11項または12項に記載の手段において、成形処理部が有する厚さ方向用の成形処理体により厚さ方向で支持される製造方法とすること、または、
14)請求項14に記載したところにより、前記11項から13項までのいずれかに記載の手段において、転位対象の素線は、成形処理部が持つ案内機構により成形処理が行われる部位に案内される製造方法とすること、または、
15)請求項15に記載したところにより、前記12項から14項までのいずれかに記載の手段において、介挿処理部による前記介挿体の挿入に際し、挿入機構により挿入される介挿体を、介挿処理部が持つ介挿体用の仮支持機構によって反挿入側へ抜け出すのを防止する製造方法とすること、または、
16)請求項16に記載したところにより、前記11項,13項および14項のいずれかに記載の手段において、素線分離部,コイル引離部,素線保持部,成形処理部のそれぞれが2セット備えられ、転位部における素線の成形処理を、前記素線積層体の素線の積層方向の両側のそれぞれにおいて平行して行うようにした製造方法とすること、さらにまたは、
17)請求項16に記載したところにより、前記12項から15項までのいずれかに記載の手段において、素線分離部,コイル引離部,素線保持部,成形処理部のそれぞれが2セット備えられと共に、前記介挿処理部,または介挿処理部および介挿体用の前記仮支持機構が2セット備えられ、転位部における介挿体の介挿処理を、前記素線積層体の素線の積層方向の両側のそれぞれにおいて平行して行うようにした製造方法とすること、により達成される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、図19〜図22に示した一般例の転位コイルと同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、以後の説明に用いる図中には、図19〜図22で付した符号については、極力代表的な符号のみを記すようにしている。
【0025】
まず、図1〜図6を用いて、この発明の実施の形態の一例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置と、この製造装置を用いての回転電気機械用の転位コイルの製造方法を説明する。ここで、図1は、この発明の実施の形態の一例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す正面図であり、図2は、図1に示した転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図である。図3は、図1に示した素線分離部の要部を転位コイルと共に示す図1におけるA−A断面図であり、図4は、図1に示したコイル引離部を周辺装置と共に示す図1におけるB−B破断部を含む側面図である。
【0026】
図5は、図1に示した成形処理部の幅方向成形処理前後の要部を示す図であり、(a)は成形処理部の要部の正面図で、(b)は図5(a)におけるC−C矢視図である。また、図6は、図1に示した成形処理部の幅方向成形処理時の要部を示す図であり、(a)は成形処理部の要部の正面図で、(b)は図6(a)におけるD−D矢視図である。なお、図1,図2中には、図3〜図6で付した符号については、極力代表的な符号のみを記すようにしている。
【0027】
図1〜図6において、1は、素線分離部2と、コイル引離部3と、素線保持部4と、成形処理部11と、スライドベース7と、基台99とを備えた回転電気機械の転位コイル用の製造装置である。スライドベース7は、製造装置1が据付けられる基台(例えば、定盤であり、基礎や床面などに載置または固定される)99に固定され、その反基台99側には、成形処理部11の転位対象の素線91の長さ方向に沿う方向の移動を案内するための、周知の案内溝が形成されている。この発明による転位コイル用の製造装置1では、前記したものの他に、従来例の前記自動機も備えていた、長尺の平角状の線材を所要の長さに切断するステーション、未成形の素線91の複数本を用いた素線91の配列体を作製するステーションなども必要であるが、周知のことなのでその図示と説明を割愛する。
【0028】
素線分離部2は、図3に詳細に示すように、大きく分けて、素線分離機構部2Aと、コイル押圧機構部2Bとを備え、素線分離機構部2Aは、素線把持機構22と、素線分離機構23と、長さ方向移動案内機構24と、位置出し機構25とを備えている。コイル押圧機構部2Bは、コイル支え台211と、コイル支え具212と、素線積層体押圧機構213とを備え、転位対象の素線91が含まれる素線積層体92(図1〜図6に示した事例の場合には、素線積層体92A)を素線91の積層方向に押圧して転位対象の素線91を素線把持機構22の動作領域に位置させる役目を担う。コイル支え台211は、素線91の幅(W)方向側で,かつ,素線積層体92B側の側面で転位コイル9を保持すると共に、基台99に固定される。コイル保持具212は、コイル支え台211に保持された素線積層体92Bの素線91の積層方向で,かつ,素線把持機構22に対して反対側となる端部を保持している。
【0029】
素線積層体押圧機構213は、素線積層体92Aの素線把持機構22に対して反対側となる端部に当接される当接具214と、素線積層体92Aを素線把持機構22の動作領域に向けて押圧する押圧機構215とを有している。素線把持機構22は、転位対象の素線91をその幅(W)方向側の両端部で掴んで把持する機能を有し、転位対象の素線91を直接に把持する爪体221,221と、爪体用移動体222,222と、爪体駆動機構223とを備えている。それぞれの爪体用移動体222は、ほぼ矩形状の断面形状を持つ柱状体で、それぞれの爪体221を,転位コイル9側の外側面に装着し、反転位コイル9側の外側面は、素線分離機構23の把持機構支持体231が持つ案内溝にしゅう動自在に案内される。
【0030】
爪体用移動体222の残る相対する外側面には、把持機構支持体231が持つ案内溝と嵌合う案内部が形成され、爪体用移動体222のその中心部には互いに異なる方向のめねじ孔が形成されている。爪体用移動体222,222が中心部にそれぞれに持つめねじ孔は、同一ねじピッチ,同一ねじ径のねじ(ただし、互いに異なる方向のねじ)を、ねじの中心軸線を互いに一致させて形成されている。爪体駆動機構223は、爪体用移動体222,222が持つ前記ねじとそれぞれに嵌合うねじを一体に有する軸状体であり、素線分離機構23が持つ把持機構支持体231に形成された駆動機構支持部に回転自在に支持されると共に、図示しない駆動体(例えば、モータ)により駆動される。
【0031】
素線分離機構23は、素線把持機構22を支持する把持機構支持体231と、連結体232と、連結軸233と、厚さ方向移動体234と、駆動軸235と、旋回止め236とを備えている。把持機構支持体231は、反転位コイル9側に持つ円形軸によって連結体232と回動自在に結合し合っており、転位コイル9側には把持機構支持体231をしゅう動自在に案内する案内溝が形成されている。把持機構支持体231の前記案内溝と対向し合う部位の外端部には爪体駆動機構223が持つ軸部を回転自在に支持する駆動機構支持部が形成され、また、前記案内溝を真ん中に挟んでその両側の部位には、位置出し機構25を装着する1対の位置出し機構装着部が形成されている。この位置出し機構装着部のそれぞれには、転位対象の素線91の厚さ(T)方向に沿う方向の中心軸線を持つねじ孔が形成されている。把持機構支持体231の反転位コイル9側には、旋回止め236と協同して、軸部を中心とする把持機構支持体231の過度の回動を制限するための凹孔が形成されている。
【0032】
連結体232は、転位コイル9側に把持機構支持体231が持つ円形軸と回動自在に嵌合う貫通孔が形成され、反転位コイル9側で連結軸233〔その中心軸線は、転位対象の素線91の幅(W)方向にほほ平行すると共に,転位対象の素線91の長さ方向にほぼ直交する〕を介して、厚さ方向移動体234と回動自在に結合されている。連結体232が持つ貫通孔は、転位対象の素線91の厚さ(T)方向に沿う方向の中心軸線を持ち、この中心軸線は、転位対象の素線91の幅(W)方向の中心位置にほぼ合致するように設定されている。また、連結体232には、旋回止め236を収納するための収納部が形成されている。この旋回止め236は、把持機構支持体231に形成された収納部に装填され、把持機構支持体231が持つ前記凹孔に嵌まり込む鋼球と、この鋼球を前記凹孔側に押圧するばね体とで構成されている。
【0033】
厚さ方向移動体234は、ほぼ矩形状の断面形状を持つ柱状体で、矩形状の中心部にはねじ孔が、両外側面には,長さ方向移動体241が持つ案内溝と嵌合う案内部が、転位コイル9側の端部には連結軸233を嵌込む貫通孔が、それぞれ形成されている。厚さ方向移動体234が持つねじ孔は、転位対象の素線91の厚さ(T)方向にほぼ沿う方向の中心軸線を持ち、また、連結軸233を嵌込む貫通孔は、転位対象の素線91の幅(W)方向に沿うと共に,転位対象の素線91の長さ方向にほぼ直交する方向の中心軸線を持つように形成されている。また、厚さ方向移動体234は、長さ方向移動体241が持つ案内溝にしゅう動自在に嵌込まれている。駆動軸235は、転位コイル9側の端部に、厚さ方向移動体234が持つねじ孔と嵌合うおねじが形成されており、反転位コイル9側の端部で、図示しない駆動体(例えば、モータ)により駆動されて、転位対象の素線91の厚さ(T)方向に沿って移動できる。
【0034】
長さ方向移動案内機構24は、長さ方向移動体241と、長さ方向案内体242と、支え台243とを備えている。長さ方向移動体241は、その下部で長さ方向案内体242と案内溝によってしゅう動自在に結合され、その上部には、厚さ方向移動体234が持つ案内部と嵌合う案内溝が形成され、転位対象の素線91の長さ方向に関する両側面のそれぞれは、長さ方向案内体242に装着されたばね体によって弾性的に支持されている。また、長さ方向案内体242は、その上部で前記案内溝によって長さ方向移動体241を、転位対象の素線91の長さ方向にしゅう動自在に支持し、その側部で,案内溝によって支え台243としゅう動自在に結合されと共に、図示しない駆動体(例えば、モータ)により駆動されて、転位対象の素線91の幅(W)方向(図1における上下方向)に沿って移動できる。支え台243は、その側部で案内溝によって長さ方向案内体242をしゅう動自在に支持すると共に、その基部は基台99に固定される。位置出し機構25は、把持機構支持体231が持つ1対の位置出し機構装着部に形成されたそれぞれのねじ孔に装着されるねじ体であり、位置出し機構25の先端部は、転位対象の素線91の素線分離機構部2A側の側面に接触できるように設定される。
【0035】
以上説明した構成を持つ素線分離機構部2Aでは、素線把持機構22は、2本爪を持つ工作機用のバイスと同様に機能する。この素線把持機構22は、把持機構231に支持されることで、転位対象の素線91の幅(W)方向の中心位置にほぼ合致する中心軸線を中心として回動することができ、また、連結軸233を中心として左右に回動できることで、素線把持機構22が持つ爪体221,221による転位対象の素線91の把持を確実にすることができている。また、転位対象の素線91を素線把持機構22で把持した状態で、駆動軸235を駆動して素線把持機構22を反転位コイル9側に移動させることで、転位対象の素線91を、この素線91が属していた素線積層体92Aから分離させる。
【0036】
転位対象の素線91は、素線把持機構22で把持する際に素線積層体押圧機構213によって素線積層体と共に押圧されるが、位置出し機構25は、その際の転位対象の素線91の位置を定めている。また位置出し機構25は、成形処理を終えた転位対象の素線91を素線積層体92Aに戻す際には、その先端部で転位対象の素線91を素線積層体92Aに向けて押圧する役目も果たしている。また、長さ方向移動体241は、長さ方向案内体242により、案内溝に案内されると共に,転位対象の素線91の長さ方向に関する両側面を弾性的に支持されているので、爪体221,221が転位対象の素線91を把持する際の転位対象の素線91の配置関係などに対応して、案内溝による案内方向に従動的に移動する。
【0037】
このような素線分離機構部2Aの構成により、爪体221,221で把持したとしても、転位対象の素線91が受ける力を僅かなものにできる。ところで、成形処理部11が備える後記する幅方向成形部5は、素線91の幅(W)方向成形処理を行う際には、成形処理体51Aが持つ成形ロール52の表面が素線91の幅(W)方向の端面に接触した後、成形処理体51Aを素線91に抗してさらに移動させて、素線91を図21(a)に示した状態に屈曲させる。そうして、素線分離機構部2Aは、長さ方向案内体242を駆動体により駆動することで、成形処理体51Aの素線91に抗してさらに移動する動作に同期して、成形処理体51Aと同一方向に移動する。素線分離機構部2Aは、成形処理を終えた転位対象の素線91が位置出し機構25に押圧されて素線積層体92Aに戻った後に、元の状態に復帰する。
【0038】
コイル引離部3は、図4に詳細に示すように、引張り体31,32と、ホルダー33,34と、引張り体駆動軸35,36と、ホルダー駆動軸37と、ホルダー案内体38,38と、支持フレーム39とを備えている。引張り体31は、その基部を、ホルダー33に素線積層体92Aの素線91の積層方向に沿ってしゅう動可能に保持され、その先端部で転位対象の素線91が分離された素線積層体92Aの素線分離機構部2A側の端面を保持する。引張り体31の基部には、素線積層体92Aの素線91の積層方向に沿う中心軸線を持つねじ孔が形成されている。ホルダー33は、引張り体31を転位コイル9側の側部で,しゅう動可能に保持すると共に、反素線分離機構部2A側となる基部でホルダー案内体38に、案内溝により転位コイル9の素線91の幅(W)方向に沿う方向にしゅう動可能に組合わされて支持されている。このホルダー33には、転位コイル9側の側部に支持部が、また、ホルダー駆動軸37が持つねじ部と嵌合うねじ孔が、それぞれ形成されている。
【0039】
ホルダー33が持つ前記支持部には、引張り体駆動軸35を回転自在に支持すると共に、引張り体31の基部に形成されたねじ孔と同心に貫通孔が形成されている。ホルダー駆動軸37は、前記爪体駆動機構223と同様な構成を有し、ホルダー33が持つ前記ねじ孔と,ホルダー34が持つ後記するねじ孔とそれぞれに嵌合うねじを一体に有する軸状体であり、図示しない駆動体(例えば、モータ)によって駆動される。それぞれのホルダー案内体38は、支持フレーム39に装着され、ホルダー33,34を転位コイル9の素線91の幅(W)方向にほぼ沿う方向にしゅう動可能に保持する。引張り体32は、引張り体31と全く同一の形状を持ち、その先端部で素線積層体92Bの素線分離機構部2A側の端面を保持し、その基部はホルダー34に素線積層体92Bの素線91の積層方向に沿ってしゅう動可能に保持される。
【0040】
ホルダー34は、ホルダー駆動軸37が持つ前記ねじと嵌合うねじ孔を除いては,ホルダー33と全く同一の形状を持ち、基部で、ホルダー33の場合と同様に支持されている。ホルダー34が持つホルダー駆動軸37のねじと嵌合うねじ孔は、ホルダー33が持つホルダー駆動軸37のねじと嵌合うねじ孔と対比すると、ねじの中心軸線を互いに一致させると共に、同一ねじピッチ,同一ねじ径のねじを有しており、相異点は、ねじの方向が互いに異なることのみである。引張り体駆動軸35,36は、同一の形状・構造を有しており、ホルダー33,34がそれぞれの支持部に持つ前記貫通孔に回動自在に支持されると共に、先端部に持つねじ部で、引張り体31,32がそれぞれの基部に持つ前記ねじ孔と嵌合う。支持フレーム39は、素線分離機構部2A側の側面でホルダー案内体38,38を装着すると共に、その基部は基台99に据付けられる。
【0041】
以上説明した構成を持つコイル引離部3では、ホルダー33,34とホルダー駆動軸37とは、2本爪を持つ工作機用のバイスと同様に機能する。そうして、転位対象の素線91が素線分離機構部2Aによって素線積層体92Aから分離されて、まだ、素線把持機構22で把持されている状態において、ホルダー駆動軸37を駆動体により駆動して、ホルダー33,34を介して引張り体31,32を素線積層体92A,92Bに向かって同時に移動を開始させる。引張り体31,32の先端部が素線積層体92A,92Bの押圧を可能な位置になると、ホルダー駆動軸37の駆動は停止される。
【0042】
次に、引張り体駆動軸35,36を図示しない駆動体(例えば、モータ)により同時に駆動して、引張り体31,32の転位コイル9側への移動を開始させる。引張り体31,32の先端部はやがて素線積層体92A.92Bに接触するが、この状態でさらに引張り体駆動軸35,36の駆動を継続し、引張り体31,32の先端部で素線積層体92A,92Bを押圧し、転位対象の素線91と,素線積層体92A,92Bとの間に成形処理用の空間を形成する。なお、引張り体31,32は、成形処理が終了した転位対象の素線91を素線積層体92に戻す直前のタイミングで、素線積層体92A,92Bから離される。
【0043】
素線保持部4は、転位対象の素線91の長さ方向に沿って配列された複数対(この場合の事例では2対)の案内体41と、全ての案内体41を装着する案内体ホルダー42と、支持体43と、案内体ホルダー用の図示しない駆動体(例えば、モータ)とを備えている。それぞれの案内体41は、尖頭状の先端部を持つ円柱体であり、対となる他の案内体41との間には、転位対象の素線91を厚さ(T)側で案内するために、素線91の素線絶縁層を含む厚さ(T)方向寸法に対応した隙間が形成されている。案内体ホルダー42は、転位対象の素線91の幅(W)方向に沿う方向に移動自在に,支持体43に支持されると共に、前記駆動体により駆動される。そうして、支持体43は、この事例の場合には、スライドベース7の端部に固定される。
【0044】
以上説明した構成を持つ素線保持部4は、転位対象の素線91が、素線分離部2によって素線積層体92から分離された後に、この素線91をそのままの位置に保持する役目を担っている。転位対象の素線91が素線積層体92から分離される前では、案内体41が邪魔になるので、案内体41は、転位コイル9の周辺から離しておく。転位対象の素線91が素線積層体92から分離されると、案内体ホルダー42が転位対象の素線91に向けて前記駆動体により駆動されて、素線91の厚さ(T)側を、案内体41の相互間で保持する。この時、複数対の案内体41が備えられているので、転位対象の素線91の長さ方向も、所定の位置に案内する。なお、素線保持部4は、転位対象の素線91の成形処理が終了すると、案内体ホルダー42を移動して、案内体41による転位対象の素線91の支持を解除する。
【0045】
成形処理部11は、幅方向用成形部5と、厚さ方向用成形部6と、スタンド19と、スタンド19用の図示しない移動機構(例えば、シリンダー)とを備える。スタンド19は、幅方向用成形部5と厚さ方向用成形部6とを支持し、スライドベース7に、転位対象の素線91の長さ方向に沿って移動自在に支持されると共に、前記移動機構によって駆動される。
【0046】
幅方向用成形部5は、転位対象の素線91の幅(W)方向の両側のそれぞれに配置されて、転位対象の素線91の幅(W)方向の屈曲成形を行う1対の幅方向用の成形処理体51A,51Bを備える。成形処理体51A,51Bは、図5,図6に詳細に示されている。成形処理体51Aは、成形ロール52と、ホルダ53と、成形処理体51A用の図示しない支持体とを備える。成形ロール52は、ロールと同心の支持軸を有するいわゆる片持ちロールであり、ホルダ53が持つ滑り軸受機構により回転自在に支持される。この滑り軸受機構には、滑り軸受ブッシュや、支持軸を支持するホルダ53の面に硬化処理などを施す構造などの周知の適宜の構造を採ることができる。
【0047】
ホルダ53は、成形処理体51A用の支持体(厚さ方向用成形部6が持つ後記する支持体69と同様の構造を持つ)に固定される。この支持体は、転位対象の素線91の幅(W)方向に移動自在にスタンド19に支持されており、素線91の幅(W)方向の屈曲成形を行う際には、図示しない駆動体(例えば、シリンダー)によって、素線91に向けて移動する(図1に矢印で示す)。ホルダ53は、成形ロール52を後記するホルダ63が持つ凹溝64から進入して、素線91に当接できるようにするために、成形ロール52を支持する部位は、成形ロール52の外径と同等の幅に設定されている〔図5(a),図6(a)参照〕。成形処理体51Bは、成形ロール54と、2本の成形ロール55と、ホルダ56と、成形処理体51B用の図示しない支持体とを備え、それぞれの成形ロール54,55は、転位対象の素線91の長さ方向に沿って図示のように配列されている。
【0048】
成形ロール54,55は、成形ロール52と同様に、ロールと同心の支持軸を有する片持ちロールであり、ホルダ56が持つ滑り軸受機構(ホルダ53が持つ滑り軸受機構と同様)により回転自在に支持されている。そうして、成形ロール54の表面と成形ロール55,55との表面との間には、前記幅(W)方向成形量(W)に対応する間隔が形成されるように、成形ロール54および両成形ロール55の支持位置が設定されている〔図5(a),図6(a)参照〕。成形ロール55を2本(複数)用いる構成は、この発明による特長的な構成であり、幅方向用成形部5による幅(W)方向成形処理後の素線91の長さ方向の平行度の維持に有効に寄与する。ホルダ56は、成形処理体51B用の支持体(前記支持体69と同様の構造を持つ)に固定される。この支持体は、転位対象の素線91の幅(W)方向に移動自在にスタンド19に支持されており、素線91の幅(W)方向の屈曲成形を行う際には、例えば、図示しない駆動体(例えば、シリンダー)によって、素線91に向けて移動する(図1に矢印で示す)。そうして、成形ロール52,54,55は、成形処理体51A用の支持体,および成形処理体51B用の支持体により、転位対象の素線91の幅(W)方向の端面に当接されるように支持されている。
【0049】
厚さ方向用成形部6は、転位対象の素線91の成形処理時に素線91の厚さ(T)方向の両側のそれぞれに配置されて、幅方向用成形部5による幅方向成形時に転位対象の素線91を厚さ(T)方向の両側で支持すると共に、転位対象の素線91の厚さ(T)方向の屈曲成形を行う1対の厚さ方向用の成形処理体61A,61Bを備える。成形処理体61A,61Bは、図5,図6に詳細に示されている。成形処理体61Aは、成形ロール62,62と、ホルダ63と、成形処理体61A用の支持体69とを備えている。両成形ロール62は、ロールと同心の支持軸を有するいわゆる片持ちロールであり、ホルダ63が持つ滑り軸受機構(ホルダ53が持つ滑り軸受機構と同様)により回転自在に支持される。そうして、両成形ロール62のロール長は、成形処理体61Bが持つ後記する成形ロール65,66のロール長とほぼ同等に設定されている。
【0050】
ホルダ63は、両成形ロール62のそれぞれを支持するための滑り軸受機構(ホルダ53が持つ滑り軸受機構と同様)を持つと共に、この両滑り軸受機構に挟まれる部位に、転位対象の素線91に向けて開口した凹溝64を有する。凹溝64は、転位対象の素線91の幅(W)方向に沿って、ホルダ63を貫通して形成されている。厚さ方向用成形部6が持つ特長的な構造として、ホルダ63の転位対象の素線91側の端面と、両成形ロール62の外周面の素線91に接触する部位とは、ほぼ同一面になるように設定されている。ホルダ63は、転位対象の素線91の長さ方向に沿って移動自在に支持体69に支持されており、支持体69に対して図示しない駆動体(例えば、シリンダー)により駆動される。支持体69は、ホルダ63を前記のように支持すると共に、転位対象の素線91の幅(W)方向ヘの移動が自在なように、スタンド19に支持されており、スタンド19に対して図示しない駆動体(例えば、シリンダー)により駆動される。
【0051】
成形処理体61Bは、2本の成形ロール65と、2本の成形ロール66と、ホルダ67と、成形処理体61B用の支持体68A,68Bと、ホルダ67用の図示しない駆動体(例えば、シリンダー)とを備える。両成形ロール65は、両成形ロール66に対して、転位対象の素線91に対する成形処理を前記転位ピッチ(P)毎に進める際の、転位コイル9を進める方向側に配設されている。両成形ロール65と,両成形ロール66とは、ロールと同心の支持軸を有するいわゆる片持ちロールであり、ホルダ67が持つ滑り軸受機構(ホルダ54が持つ滑り軸受機構と同様)により回転自在に支持される。そうして、幅(W)方向の成形処理後の転位対象の素線91の形状(図21参照)を考慮して、この事例の場合には、ロール長は、成形ロール66が、成形ロール65の場合よりも長く設定されている。
【0052】
また、図6において中央部に配置されたそれぞれ1本の成形ロール65,66を、図6において端部に配置されたそれぞれ1本の成形ロール65,66と対比すると、中央部のロールの表面と,端部のロールの表面との間には、前記厚さ(T)方向成形量(T)に対応する間隔が形成されるように、それぞれの成形ロール65,66の支持位置が設定されている。さらに、厚さ方向用成形部6が持つ特長的な構造として、ホルダ67の転位対象の素線91側の端面と、中央部の両成形ロール65,66の外周面の素線91に接触する部位とは、ほぼ同一面になるように設定されている。
【0053】
ホルダ67は、転位対象の素線91の厚さ(T)方向ヘの移動が自在なように、支持体68A,68Bに支持されており、素線91の厚さ(T)方向の屈曲成形を行う際には、例えば、図示しない駆動体によって、素線91の厚さ(T)方向に沿って、素線91に向けて移動する。支持体68Aと支持体68Bとは、共にその基部で,成形処理体61A用の支持体69に固定されており、対となってホルダ67を移動自在に支持する。また、支持体68Aは、転位対象の素線91の幅(W)方向の成形処理を行う際に、素線91の幅(W)方向の一方の端部(成形処理体51A側)を、支持体68Aの図5(a),図6(a)における下側の端面で押え、前記成形処理を行う際の素線91の跳ね上がりを防止する素線押え体の役目も担っている。
【0054】
以上説明した構成を持つ成形処理部11では、幅方向用成形部5と厚さ方向用成形部6とは、成形処理前においては、図1に概要を示したように位置している。成形処理部11で転位対象の素線91の成形処理を行う場合には、まず、厚さ方向用成形部6を素線91に向けて移動し、成形ロール62と中央部の成形ロール65,66とで、転位対象の素線91を厚さ(T)方向の両端面でガイドする(図5参照)。この時、厚さ方向用成形部6が持つ成形ロール62,65,66は、いずれも片持ちロールであるので、成形処理用空間への進入を比較的に容易にしている。その際、必要がある場合には、スタンド19を転位コイル9の長さ方向に沿って両方向に繰返し移動し、厚さ方向用成形部6が持つ成形ロール65,66を、前記成形処理用空間にしごくようにして挿入する。
【0055】
素線91の幅方向の成形処理を行うには、まず、ホルダ63を、転位対象の素線91の長さ方向に沿って前記駆動体により移動し、凹溝64を、成形ロール52が進入できる位置にセットする。この状態(図6参照)で、幅方向用成形部5を用いて、転位対象の素線91の幅(W)方向の成形処理を次記のようにして行う。まず、成形処理体51Bを素線91に向けて移動し、成形ロール54の表面を素線91の幅(W)方向の端面に接触させる。その際、成形ロール55の表面と,素線91の幅(W)方向端面との間には間隔が存在し、転位対象の素線91の成形ロール54の表面に接触していない方の幅(W)方向端面は、支持体68Aで押さえられている。その後、成形処理体51Aを素線91に向けて移動させ、成形ロール52の表面を、支持体68Aで押さえられている素線91の幅(W)方向の端面に接触させる。続いて、成形処理体51Aを素線91に抗してさらに移動させて、所定の成形位置(転位位置)において、素線91を図20(a)に示した状態から図21(a)に示した状態に屈曲させ、転位対象の素線91の幅(W)方向の成形処理を終了する。
【0056】
その際、成形ロール54の表面に一部が接触されている方の幅(W)方向の端面の屈曲された部分に関しては、成形ロール55,55によっても支持される。この素線91の幅(W)方向の屈曲成形に際して,成形処理体51Aが加える加圧力は、発明者らが調査したところでは、素線91が2〔mm〕×5〔mm〕の平角銅線の場合に約2500〔N〕程度、素線91が2〔mm〕×10〔mm〕の平角銅線である場合に約3500〔N〕程度と、大きな加圧力が必要であることが確認できている。
【0057】
素線91の幅(W)方向の成形処理の終了後、成形処理体51A,成形処理体51B,ホルダ63を元の位置に復帰させたうえで、この状態(図5参照)で、厚さ方向用成形部6を用いて、転位対象の素線91の厚さ(T)方向の成形処理を次記のようにして行う。すなわち、成形処理体61Bを素線91に抗して成形処理体61Aに向けて前記駆動体を用いて移動させて、所定の成形位置(転位位置)において、素線91を図21(b)に示した状態から図22(b)に示した状態に屈曲させ、転位対象の素線91の厚さ(T)方向の成形処理を終了する。素線91の厚さ(T)方向の成形処理の終了後、成形処理体61Bは、元の状態に復帰され、続いて、幅方向用成形部5,厚さ方向用成形部6が転位部93の周辺領域から退去される。
【0058】
転位対象の素線91の1個所の成形位置(転位位置)においての、幅方向用成形部5による前記幅(W)方向成形と、厚さ方向用成形部6による前記厚さ(T)方向成形とが終了すると、転位対象の素線91は、素線分離機構部2Aが転位コイル9に向けて移動し,位置出し機構25によって押圧されることによって、素線積層体92に戻される。続いて、転位コイル9を、転位コイル9用の図示しないコイル移送部(従来例によるものと同一)によって、図2におけるQ矢方向に転位ピッチ(P)だけ移動したうえで、次の転位対象の素線91に対する成形処理を前記したところと同様に実施する。
【0059】
前記した成形処理は、1個所の転位部93の素線積層体92Aが持つ全ての素線に対して繰り返して実施される。さらに、複数個所の転位部93がある場合には、前記コイル移送部により転位コイル9を、Q矢方向に転位部93の間隔だけ移動したうえで、前記工程を繰り返す。そうして、素線積層体92Aが持つ全ての成形位置(転位位置)の成形処理を終了したら、転位コイル9を最初の位置に戻し、反転をしたうえで、続いて素線積層体92Bに対する成形処理を、素線積層体92Aの場合と同様に実施して、転位コイル9の全ての成形処理を完了する。
【0060】
図1〜図6に示すこの発明の実施の形態の一例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置1では前述構成とし、また、製造装置1を用いての転位コイルの製造方法を前述方法としたので、素線分離部2,コイル引離部3,素線保持部4を用いることで、短い転位ピッチ(P)の場合でも、転位対象の素線91の成形位置(転位位置)の周囲に、特に厚さ(T)方向の成形処理に必要な成形処理用空間を、確実に形成することができる。これにより、この成形処理用空間を利用することで、転位コイル9を得るための前記成形処理を、成形処理部11を使用して自動化することができる。すなわち、製造装置1を用いることにより、短小の転位ピッチ(P)を持ち,幅方向および厚さ方向の成形が必要な転位コイル9の製造を自動化することができ、その製造工数および製造原価を低減することができる。
【0061】
これまでの説明では、転位対象の素線91に対する成形処理は、幅(W)方向と厚さ(T)方向の両方向が行われるとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば、素線91の幅(W)寸法に対して,転位ピッチ(Pd )が相対的に長い場合などでは、幅(W)方向のみの成形を行うようにしてもよいものである。また、これまでの説明では、一方の成形処理体51Bは、2本(複数)の成形ロール5を備えるとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば、幅(W)方向成形処理後の素線91の長さ方向の平行度が比較的に良好である場合などでは、成形ロール5の本数は1本であってもよいものである。
【0062】
なおまた、これまでの説明では、製造装置1は、スライドベース7を備え、また、成形処理部11は、スタンド19がスライドベース7に移動自在に支持されると共に,このための移動機構を備えるとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば、厚さ方向用成形部6が持つ成形ロール65,66を成形処理用空間に挿入する際に、しごくようにして挿入する必要が無い場合などでは、スタンド19は基台99に固定できて,スライドベース7は不要になる。したがって、スタンド19用の移動機構も不要である。なおこの場合には、素線保持部4が持つ支持体43も、基台99などに固定することになる。
次に、図7,図8を用いて、この発明の実施の形態の異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置と、この製造装置を用いての回転電気機械用の転位コイルの製造方法を説明する。なお、以下の説明においては、図1〜図6に示したこの発明の実施の形態の一例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、以後の説明に用いる図中には、図1〜図6で付した符号については、極力代表的な符号のみを記すようにしている。ここで、図7は、この発明の実施の形態の異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図であり、図8は、図7に示した介挿処理部の図7においてのE−E矢視図である。なお、図7中には、図8で付した符号については、代表的な符号のみを記すようにしている。なおまた、図8には、一部部品の動作状況を一点鎖線で示している。
【0063】
図7,図8において、1Aは、図1〜図6に示したこの発明による回転電気機械の転位コイル用の製造装置1に対して、介挿処理部8を追加して備えるようにした回転電気機械の転位コイル用の製造装置である。介挿処理部8は、図8に詳細に示すように、貯留部81と、取出機構84と、挿入機構86と、仮り支え部88と、介挿処理部用のスタンド89と、挿入機構86用の図示しない駆動体と、スタンド89用の図示しない移動機構とを備え、転位処理を施された素線91の転位位置(成形位置)の隣接する他の素線との間に、電気絶縁材製シート(例えば、0.2〜1〔mm〕程度の厚さを持つポリエステル樹脂材製シート)を用いたシート状の介挿体98を機械的に挿入する装置である。
【0064】
貯留部81は、複数の貯留槽82と、取出機構84が介挿体98を受取れるように貯留槽82内から介挿体98を押出す動作を行う押出し機構83と、貯留部81の移動を行う図示しない駆動体とを有する。貯留槽82は、介挿体98をその厚さ方向に積層して貯留できる有底筒状に形成された容器であり、スタンド89に面する壁面には、貯留槽82を転位対象の素線91の長さ方向に沿う方向に案内するあり溝821が形成されている。また、貯留槽82の底部には開口822が形成され、貯留槽82のあり溝821が形成された壁面の反対側の壁面には、介挿体98の積層方向に沿って長く溝822が形成されている。
【0065】
押出し機構83は、貯留槽82中の介挿体98の内,前記開口822側に最も近い介挿体98を押圧する押圧体832と、駆動軸833と、駆動軸833を駆動するモータ834と、移動体835と、駆動軸833,移動体835などを支持する支持体831とを持つ。駆動軸833は、外周におねじが形成されると共に、支持体831に回転自在に支持されている。移動体835は、駆動軸833が持つおねじと嵌合うねじ孔と、支持体831の側面にしゅう動自在に案内される側部を持つと共に、端部に押圧体832を固着している。
【0066】
取出機構84は、貯留槽82に貯留されている介挿体98の面方向にほぼ沿って移動する横移動体と,横移動体用の案内部と,横移動体を移動させる駆動モータと,支持部とを持つ横移動部841と、縦移動部85とを持つ。取出機構84は、横移動部841が持つ支持部でスタンド89に装着されている。縦移動部85は、前記横移動体に装着された駆動モータ851と、横移動部841の横移動体に案内されて,貯留槽82に貯留されている介挿体98の厚さ方向にほぼ沿って移動する縦移動部852と、縦移動部852に装着されて,介挿体98の吸着を行う真空チャック853とを持つ。
【0067】
縦移動部852は、駆動モータ851の回転方向に従って、図8における紙面の上下方向に移動する。そうして、取出機構84は、真空チャック853が貯留槽82から受取った1枚の介挿体98を、まず、駆動モータ851を駆動して上方向に移送し、次いで前記横移動体を移動することで,図8における紙面の右方向に移送し、さらに,駆動モータ851を逆方向に駆動して下方向に移送し、この位置で介挿体98を挿入機構86に渡す役割を務めている。挿入機構86は、取出機構84からの介挿体98の受取りと,介挿体98の転位コイルへの挿入とを行う挿入部87と、支持部861と、挿入部87の回動時に支持部861を回動するモータ862とを有する。
【0068】
支持部861は、挿入部87を回動自在に支持する回動部と、スタンド89が持つ案内溝891に,転位コイル9の素線91の長さ方向に移動自在に支持される横移動部と、挿入機構86による介挿体98の転位コイルへの挿入位置を調整する調整部とを持ち、回動部はモータ862によりほぼ90度だけ回動される。挿入部87は、支持部861が持つ回動部に装着されるシリンダー871と、シリンダー871に駆動されると共に,前記回動部にしゅう動自在に支持される移動体872と、移動体872の反シリンダー871側に装着された開閉式バイス873とを有する。
【0069】
挿入機構86は、介挿体98の受取りと転位コイル9への挿入に関し、次のように動作する。挿入機構86は、取出機構84から前記1枚の介挿体98を開閉式バイス873で受取ると、支持部861が反時計方向にほぼ90度回動する。この状態で、シリンダー871が伸長して移動体872を図8における紙面の下方向に移動し、開閉式バイス873が掴んでいる介挿体98を、転位処理を施された素線91と隣接する他の素線との間に挿入する。次いで、開閉式バイス873は、介挿体98を離したうえでシリンダー871を動作させて後退する。
【0070】
仮り支え部88は、シリンダー881と、シリンダー881の先端部に装着された仮り支え体882と、シリンダー881をスタンド89に取付ける取付部883とを有する。仮り支え部88は、転位コイル9が介挿体98の挿入を受ける際に、転位コイル9に関する介挿体98の反挿入側に仮り支え体882を延ばし、介挿体98の転位コイル9からの抜出しを防止する役目を担っている。スタンド89は、貯留部81,取出機構84,挿入機構86,および仮り支持部88を前記のように支持すると共に、スライドベース7に、転位対象の素線91の長さ方向に沿って移動自在に支持されると共に、前記移動機構(例えば、シリンダー)によって駆動される。
【0071】
以上説明した構成を持つ介挿処理部8では、転位対象の素線91の成形位置(転位位置)における前記成形処理を済ませた後に、転位対象の素線91の転位位置と隣接する他の素線との間に介挿体98の挿入を次記のような工程で行う。まず、貯留部81から取出機構84を介して前記手順で介挿体98を挿入機構86に受け渡す。介挿体98を開閉式バイス873により掴んだ挿入機構86は、まず、90度反時計方向に回動し、続いて、図示しない挿入機構86用の駆動体を動作させて、開閉式バイス873を、介挿体98の転位コイル9への挿入位置まで移動させる。
【0072】
次に、挿入機構86は、シリンダー871を伸長して、介挿体98を転位コイル9に挿入する。その際、仮り支え部88は、転位コイル9の介挿体98が挿入される部位の反挿入側に、仮り支え体882を位置させておく。次いで、挿入機構86は、開閉式バイス873から介挿体98を離したうえでシリンダー871を動作させて開閉式バイス873をいったん後退させ、開閉式バイス873を閉じる。挿入機構86は、シリンダー871を再度動作させて開閉式バイス873の先端で介挿体98を転位コイル9に深く挿入する。
【0073】
なお、貯留部81が持つ駆動体は、ある貯留槽82に貯留される介挿体98を使い切って,次の貯留槽82から介挿体98を供給する必要がある場合に、次の貯留槽82の移動のために用いられる。転位コイル9への1枚の介挿体98の挿入が終えると、介挿処理部8は、挿入機構86用の駆動体などを動作させて、挿入機構86と仮り支え体882とを、転位部93の周辺領域から退避させる。その後、前述したように成形処理を施された素線91が素線積層体に戻されるので、挿入された介挿体98は、素線91の間に確実に保持される。このように動作する介挿処理部8は、成形処理が施された転位対象の素線91の成形位置(転位位置)に対して、介挿体98の挿入を行う。
【0074】
このため、製造装置1Aでは、転位対象の素線91の成形処理が終了すると、成形処理部11は、介挿処理部8が待機している場所とは反対側に転位対象の素線91の長さ方向に沿って移動して、転位部93の周辺域から退避する。こうして、成形処理部11が退避した後に、介挿処理部8は転位部93の周辺域に移動機構を駆動させて移動する。そうして、介挿体98の介挿処理が終了すると、介挿処理部8は待機場所に退避し、転位部93の周辺域には成形処理部11を移動させる。
【0075】
図7,図8に示すこの発明の実施の形態の異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置1Aでは前述構成とし、また、製造装置1Aを用いての転位コイルの製造方法を前述方法としたので、前述の転位コイル用の製造装置1および製造装置1を用いての転位コイルの製造方法の場合の作用・効果に加えて、素線91の成形位置(転位位置)に対しての介挿体98の挿入処理を自動的に行うことができる。すなわち、製造装置1Aを用いることにより、介挿体98を挿入する構造を持つ転位コイル9では、介挿体98を挿入する工程も含めてその製造を自動化することができ、その製造工数および製造原価を低減することができる。
【0076】
図7,図8を用いてのこれまでの説明では、製造装置1Aが備える介挿処理部8は仮り支え部88を有するとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば、転位対象の素線91の幅(W)方向を、水平面に対してある角度(例えば、45度)を持たせるようにした場合などでは、素線91間に挿入された介挿体98が転位コイル9から抜出すことが少ないので、仮り支え部88の設置は必ずしも必要ではない。
【0077】
また、図7,図8を用いてのこれまでの説明では、製造装置1Aが備える成形処理部11および介挿処理部は、それぞれ別個にスタンド19,スタンド89を備えるとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば、両者が同一のスタンドに搭載されてもよく、その場合には、それぞれの転位部93の周辺域への移動と,転位部93の周辺域からの退避に際しては、同一のスタンドに搭載されたユニットは一体となって移動を行うことになる。なお、このような構成とすることにより、スタンドが持つ移動機構を含めてスタンドが集約されるので、製造装置1Aの構造を簡略化することができる。
【0078】
次に、図9,図10,図11を用いて、この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置と、この製造装置を用いての回転電気機械用の転位コイルの製造方法を説明する。ここで、図9は、この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図である。図10は、図9に示した成形処理部の幅方向成形処理前後の要部を示す図であり、(a)は成形処理部の要部の正面図で、(b)は図10(a)におけるF−F矢視図である。また、図11は、図9に示した成形処理部の幅方向成形処理時の要部を示す図であり、(a)は成形処理部の要部の正面図で、(b)は図11(a)におけるG−G矢視図である。
【0079】
図9〜図11において、1Bは、図1〜図6に示したこの発明による回転電気機械の転位コイル用の製造装置1に対して、成形処理部11に替えて、成形処理部11Aを用いるようにした転位コイル用の製造装置である。成形処理部11Aは、成形処理部11に対して、厚さ方向成形部6に替えて、成形処理体61C,61Dを有する厚さ方向成形部6Aを備えることのみが異なる。成形処理体61C,61Dは、図10,図11に詳細に示されている。
【0080】
成形処理体61Cは、成形処理部11が備える成形処理体61Aと対比して、成形ロール62,62およびホルダ63に替えて、金型63Aを用いるようにしている。金型63Aは、ホルダ63が有していた凹溝64に加えて、案内機構12を有している。案内機構12は、転位対象の素線91に対する成形処理を前記転位ピッチ(P)毎に進める際の,転位コイル9を進める方向とは反対側の、金型63Aの端部に配設されている。案内機構12は、尖頭状の先端部を持つ円柱体である1対の案内体13,13で構成されている。この案内体13,13は、両案内体の相互間に素線91の素線絶縁層を含む厚さ(T)方向寸法に対応した隙間が形成されると共に、その隙間の中心が、転位対象の素線91の厚さ(T)の中心に合致するようにして、金型63Aに固着されている。
【0081】
成形処理体61Dは、成形処理部11が備える成形処理体61Bと対比して、成形ロール65,66およびホルダ67に替えて、金型67Aを備えている。成形処理体61C,61Dがそれぞれに持つ金型63Aと金型67Aとは、転位対象の素線91の厚さ(T)方向の成形処理後の素線91の厚さ方向外形〔図22(b)を参照〕と同等の輪郭を持つ加圧面62A,65Aをそれぞれに有して、周知の金型の機能を持っている。
【0082】
以上説明した構成を持つ製造装置1Bでは、成形処理部11Aが備える厚さ方向成形部6Aは、厚さ方向成形部6と対比すると、厚さ方向成形時に素線91を直接加圧する成形処理体を、金型としていることが大きな相異点である。そうして、例えば、厚さ(T)方向の寸法が薄いなどの,成形処理が容易な素線91を対象にできる転位コイル用の製造装置の場合には、厚さ方向用の成形処理体を金型化することで、厚さ方向成形処理時の成形荷重は多少増大はするが、厚さ方向成形部の構成を簡単化すると共にその製造原価を低減できる。
【0083】
また、成形処理部11Aでは、案内機構12を有しており、成形処理体61Dを前記成形処理用空間に挿入しつつ、厚さ方向用成形部6Aを移動する際に、1対の案内体13,13の隙間に転位対象の素線91を挟込み、案内機構12で素線91の厚さ(T)側を保持する。案内機構12による素線91の保持は、転位対象の素線91の成形処理が行われる部位の極く近くで行われるので、成形処理体61Dを成形処理用空間に挿入する際に、転位対象の素線91を、成形処理体61Cと成形処理体61Dで確実に鋏込むことができる。これによって、厚さ方向成形部6Aの成形処理用空間への進入が容易になると共に、転位対象の素線91の成形を素線91に損傷を与えることなく行うことができる。
【0084】
次に、図12,図13,図14を用いて、この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置と、この製造装置を用いての回転電気機械用の転位コイルの製造方法を説明する。なお、以下の説明においては、図9〜図11に示したこの発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、以後の説明に用いる図中には、図9〜図11で付した符号については、極力代表的な符号のみを記すようにしている。ここで、図12は、この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図である。図13は、図12に示した成形処理部の幅方向成形処理前後の要部を示す図であり、(a)は成形処理部の要部の正面図で、(b)は図13(a)におけるH−H矢視図である。また、図14は、図12に示した成形処理部の幅方向成形処理時の要部を示す図であり、(a)は成形処理部の要部の正面図で、(b)は図14(a)におけるJ−J矢視図である。
【0085】
図12〜図14において、1Cは、図1〜図6に示したこの発明による回転電気機械の転位コイル用の製造装置1に対して、成形処理部11に替えて、成形処理部11Bを用いるようにした転位コイル用の製造装置である。成形処理部11Bは、成形処理部11に対して、厚さ方向成形部6に替えて、成形処理体61E,61Bを有する厚さ方向成形部6Bを備えると共に、幅方向成形部5に替えて、成形処理体51C,51Dを有する幅方向成形部5Aを備える。成形処理体61E,61B,51C,51Dは、図13,図14に詳細に示されている。
【0086】
成形処理体61Eは、成形処理部11が備える成形処理体61Aと対比して、ホルダ63に替えて、案内機構12を持ち、しかも、凹溝64および支持体69に対する駆動体を持たないホルダ63Bを用いるようにしている。成形処理体51Cは、成形処理部11が備える成形処理体51Aと対比して、成形ロール52およびホルダ53に替えて、金型53Aを用いるようにしている。また、成形処理体51Dは、成形処理部11が備える成形処理体51Bと対比して、成形ロール54,55およびホルダ56に替えて、金型56Aを用いるようにしている。
【0087】
成形処理体51C,51Dがそれぞれに持つ金型53Aと金型56Aとは、素線91の厚さ(T)方向寸法とほぼ同等の厚さを持つ薄板状体であり、転位対象の素線91の幅(W)方向成形処理時に,素線91の幅(W)方向の端面と接触する全ての部位52A,54A,55Aを,素線91に向かって凸となる円弧状の押圧部として形成している。したがって、成形処理体51C,51Dは、成形処理部11が持つ成形処理体51A,51Bの場合と同様に素線91の幅(W)方向の端面を押圧し、転位対象の素線91を幅(W)方向に屈曲形成する。
【0088】
以上説明した構成を持つ製造装置1Cでは、成形処理部11Bが備える幅方向成形部5Aは、幅方向成形部5と対比すると、幅方向成形時に素線91を直接加圧する成形処理体を、金型としていることが大きな相異点である。そうして、例えば、幅(W)方向の寸法が狭いなどの,成形処理が容易な素線91を対象にできる転位コイル用の製造装置の場合には、幅方向用の成形処理体を金型化することで、幅方向成形処理時の成形荷重は多少増大はするが、幅方向成形部の構成を簡単化すると共にその製造原価を低減できる。また、成形処理体51Aが薄板状の金型化されることで、成形処理体51Cは、厚さ方向成形部6Bの成形ロール62と、中央部の成形ロール65,66との間の、厚さ方向成形処理前の間隙に進入可能になるので、成形処理体61Eが持つホルダ63Bには、凹溝64の形成が不要になると共に駆動体が不要になる。すなわち、幅方向成形部5Aの金型化は、成形処理部11Bの全体構成の簡単化と、その製造原価の低減に有効である。
【0089】
図12〜図14を用いてのこれまでの説明では、成形処理体61Eが備える案内機構12は、案内機構12に専用の案内体13,13を有するとしてきたが、これに限定されるものではなく、例えば、成形処理体61Eが備える成形ロール62および成形処理体61Bが備える成形ロール66の先端部を尖頭状に形成して、成形ロール62と成形ロール66とに、案内機構用の案内体の機能を持たせるようにしてもよいものである。
【0090】
次に、図15,図16,図17を用いて、この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置と、この製造装置を用いての回転電気機械用の転位コイルの製造方法を説明する。なお、以下の説明においては、図12〜図14に示したこの発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。また、以後の説明に用いる図中には、図12〜図14で付した符号については、極力代表的な符号のみを記すようにしている。ここで、図15は、この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図である。図16は、図15に示した成形処理部の幅方向成形処理前後の要部を示す図であり、(a)は成形処理部の要部の正面図で、(b)は図16(a)におけるK−K矢視図である。また、図17は、図15に示した成形処理部の幅方向成形処理時の要部を示す図であり、(a)は成形処理部の要部の正面図で、(b)は図17(a)におけるM−M矢視図である。
【0091】
図15〜図17において、1Dは、図1〜図6に示したこの発明による回転電気機械の転位コイル用の製造装置1に対して、成形処理部11に替えて、成形処理部11Cを用いるようにした転位コイル用の製造装置である。成形処理部11Cは、成形処理部11に対して、厚さ方向成形部6に替えて、成形処理体61F,61Dを有する厚さ方向成形部6Cを備えると共に、幅方向成形部5に替えて、成形処理体51C,51Dを有する幅方向成形部5Aを備える。成形処理体61F,61D,51C,51Dは、図13,図14に詳細に示されている。
【0092】
成形処理体61Fは、成形処理部11が備える成形処理体61Aと対比して、成形ロール62,62およびホルダ63に替えて、案内機構12を持ち、しかも、凹溝64,および支持体69に対する駆動体を持たないと共に、支持体69の機能も兼ねる金型63Cを用いるようにしている。成形処理体61Fが持つ金型としての構造・機能は、成形処理体61Cが持つ金型63Aの場合と同一である。すなわち、成形処理体61Fは、成形処理部11Aが備える厚さ方向成形部6Aの特長(金型化された成形処理体61C,61Dを持つ)に加えて、幅方向成形用として幅方向成形部5A(金型化され,しかも薄板状化された成形処理体51C,51Dを持つ)を用いることを利用して、凹溝64の形成と駆動体の設置とを不要にし、さらに、支持体69の機能も金型63Cに一体に備えるようにしている。
【0093】
以上説明した構成を持つ製造装置1Dが備える成形処理部11Cは、幅方向成形部5Aと厚さ方向成形部6Cとが、共に金型化されていることが構成上の特長である。そうして、例えば、成形処理が容易な素線91を対象にできる転位コイル用の製造装置の場合には、幅方向用,厚さ方向用の成形処理体を共に金型化することで、成形処理時の成形荷重は多少増大はするが、成形処理部部の構成を簡単化すると共にその製造原価を低減できる。
【0094】
続いて、図18を用いて、この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置と、この製造装置を用いての回転電気機械用の転位コイルの製造方法を説明する。ここで、図18は、この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図である。
【0095】
図18において、1Eは、図1〜図6に示したこの発明による回転電気機械の転位コイル用の製造装置1に対して、素線分離部2およびコイル引離部3に替えてそれぞれ素線分離部2Cおよびコイル引離部3Aを備えると共に、素線分離部2C,コイル引離部3A,素線保持部4,成形処理部11,およびスライドベース7のそれぞれを各2セット備えるようにした転位コイル用の製造装置である。素線分離部2Cおよびコイル引離部3Aの素線分離部2およびコイル引離部3に対する相異点は、素線分離機構部2Aの主要部と、素線分離部3の主要部とを、転位コイル9の素線91の積層方向の側面の、成形処理部11などが配置されている側に集約化したものである。したがって、素線分離部2Cおよびコイル引離部3Aが持つ機能は、素線分離部2およびコイル引離部3が持つ機能と全く同一であるので、重複を避けてその説明を省略する。なお、素線積層体92Bが持つ転位対象の素線91の前記分離処理を行う素線分離部2Cでは、コイル押圧機構部2Bが備える素線積層体押圧機構213は、素線積層体92Bを押圧するようにしている。
【0096】
転位コイル用の製造装置1Eの特徴的な構成は、図18に示されているように、各1セットの素線分離部2C,コイル引離部3A,素線保持部4,成形処理部11,およびスライドベース7でなる構成体を、転位コイル9の素線91の積層方向のそれぞれの側面に配設したことである。それぞれの前記構成体は、当然のこととして、前記転位コイル用の製造装置1と同等の構成と機能とを持つ。そうして、転位コイル用の製造装置1Eは、この2セットの構成体を用いて、転位コイル9の素線91の積層方向の両側のそれぞれにおいて、一方の構成体は、素線積層体92Aが持つ素線91の前記成形処理を、他方の構成体は、素線積層体92Bが持つ素線91の前記成形処理を、同時平行して実施できる。したがって、転位コイル用の製造装置1Eでは、製造装置1が持つ作用・効果をそのまま保持しながら、多数の転位部93を持つ転位コイル9の製造を容易に行うことができる。
【0097】
また、前記転位コイル用の製造装置1を用いる場合には、転位コイル9の製造は、素線積層体92Aの成形処理を終了したら、転位コイル9を最初の位置に戻し、反転をしたうえで、素線積層体92Bに対する成形処理を実施する必要があった。また、製造装置1を用いる場合には、転位コイル9の反転時に、半製状態の転位コイル9が崩れないように慎重に取扱う必要もあった。この転位コイル用の製造装置1Eを用いる場合では、素線積層体92Aと素線積層体92Bの成形処理が同時に行われることと、製造装置1を用いる場合とは異なり,半製状態の転位コイル9を反転するという面倒な作業も不要になるので、転位コイル9の製造原価の大幅な低減を図れる。
【0098】
図18を用いてのこれまでの説明では、転位コイル用の製造装置は介挿処理部8は備えていないとしてきたが、これに限定されるものではなく、成形処理部11,スライドベース7などと共に、介挿処理部8も2セット備え、介挿体98の挿入も含めて、転位コイル9の素線91の積層方向の両側のそれぞれにおいて、同時平行して実施するようにしてもよいものである。そうしてその場合には、介挿処理部8の一部の機能,例えば,貯留部81を、共用化してもよいものである。
【0099】
【発明の効果】
この発明による回転電気機械の転位コイル用の製造装置および回転電気機械用の転位コイルの製造方法においては、前記課題を解決するための手段の項で述べた構成または製造方法とすることで、次記する効果が有る。
▲1▼前記課題を解決するための手段の項の第1項による構成または第11項による製造方法とすることで、転位対象の素線の成形位置(転位位置)の周囲に、成形処理に必要な成形処理用空間を確実に形成することができ、転位コイルの各転位部における転位対象の素線の屈曲成形を、成形処理部を使用して自動化できる。これにより、厚さ方向成形が必要な転位コイルの製造工数および製造原価の低減が可能になる。また、
▲2▼前記課題を解決するための手段の項の第2項による構成または第12項による製造方法とすることで、転位対象の素線それぞれの成形位置(転位位置)での成形処理を実施しながら介挿体の挿入が可能になるので、転位コイルへの介挿体の介挿処理を自動化できる。これにより、前記▲1▼項の効果を有しながら、介挿体の介挿が必要な転位コイルの製造工数および製造原価の低減が可能になる。また、
▲3▼前記課題を解決するための手段の項の第3項による構成または第13項による製造方法とすることで、幅方向の成形処理時に転位対象の素線の姿勢を正しく維持することができる。これにより、前記▲1▼,▲2▼項の効果を保持しながら、素線の屈曲成形時の寸法精度を向上することが可能になる。また、
▲4▼前記課題を解決するための手段の項の第4項による構成または第14項による製造方法とすることで、成形処理体の近傍で転位対象の素線を正確に案内でき、厚さ方向用の成形処理体の成形処理用空間への進入が容易になる。これにより前記▲1▼〜▲3▼項による効果に加えて、素線を損傷させることなど無しに転位コイルの製造が可能になる。また、
▲5▼前記課題を解決するための手段の項の第5項による構成とすることで、素線の幅方向の成形時の平行度に関する寸法精度の向上が可能になる。これにより、前記▲1▼〜▲4▼項による効果に加えて、より高品質な転位コイルの製造が可能になる。また、
▲6▼前記課題を解決するための手段の項の第6項,第7項による構成とすることで、前記▲1▼〜▲4▼項による効果に加えて、素線の成形に必要な成形処理部の製造原価の低減が可能になる。また、
▲7▼前記課題を解決するための手段の項の第8項による構成または第15項による製造方法とすることで、前記▲1▼〜▲6▼項による効果に加えて、介挿体の介挿が必要な転位コイルの製造において、介挿体の確実な介挿の実現が可能になる。また、
▲8▼前記課題を解決するための手段の項の第9項による構成または第16項による製造方法とすることで、転位コイルの成形処理を、素線積層方向の両側で同時に実施することが可能になるので、前記▲1▼〜▲7▼項による効果に加えて、転位コイルの製造工数および製造原価の一層の低減が可能になる。また、このことと共に、厚さ方向成形が必要で、しかも、3個所以上の転位部を持つ転位コイルの製造の自動化が可能になる。さらにまた、
▲9▼前記課題を解決するための手段の項の第10項による構成または第17項による製造方法とすることで、3個所以上の転位部を持ちながら厚さ方向成形が必要で、しかも、介挿体の介挿が必要な複雑な構成を要求される転位コイルの製造の自動化が可能になり、この転位コイルの製造工数および製造原価の低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す正面図
【図2】図1に示した転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図
【図3】図1に示した素線分離部の要部を転位コイルと共に示す図1におけるA−A断面図
【図4】図1に示したコイル引離部を周辺装置と共に示す図1におけるB−B破断部を含む側面図
【図5】図1に示した成形処理部の幅方向成形処理前後の要部を示す図で、(a)は成形処理部の要部の正面図、(b)は図5(a)におけるC−C矢視図
【図6】図1に示した成形処理部の幅方向成形処理時の要部を示す図で、(a)は成形処理部の要部の正面図、(b)は図6(a)におけるD−D矢視図
【図7】この発明の実施の形態の異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図
【図8】図7に示した介挿処理部の図7においてE−E矢視図
【図9】この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図
【図10】図9に示した成形処理部の幅方向成形処理前後の要部を示す図で、(a)は成形処理部の要部の正面図、(b)は図10(a)におけるF−F矢視図
【図11】図9に示した成形処理部の幅方向成形処理時の要部を示す図で、(a)は成形処理部の要部の正面図、(b)は図11(a)におけるG−G矢視図
【図12】この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図
【図13】図12に示した成形処理部の幅方向成形処理前後の要部を示す図で、(a)は成形処理部の要部の正面図、(b)は図13(a)におけるH−H矢視図
【図14】図12に示した成形処理部の幅方向成形処理時の要部を示す図で、(a)は成形処理部の要部の正面図、(b)は図14(a)におけるJ−J矢視図
【図15】この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図
【図16】図15に示した成形処理部の幅方向成形処理前後の要部を示す図で、(a)は成形処理部の要部の正面図、(b)は図16(a)におけるK−K矢視図
【図17】図15に示した成形処理部の幅方向成形処理時の要部を示す図で、(a)は成形処理部の要部の正面図、(b)は図17(a)におけるM−M矢視図
【図18】この発明の実施の形態のさらに異なる例による回転電気機械の転位コイル用の製造装置の要部を転位コイルと共に示す上面図
【図19】一般例の転位コイルの要部を示す斜視図
【図20】転位コイルを構成する素線の転位のための成形加工前の要部を示す図で、(a)は図19におけるR矢視図、(b)は図19におけるS矢視図
【図21】転位コイルを構成する素線の転位のための幅方向成形加工後の要部を示す図で、(a)は図19におけるR矢視図、(b)は図19におけるS矢視図
【図22】転位コイルを構成する素線の転位のための幅方向および厚さ方向成形加工後の要部を示す図で、(a)は図19におけるR矢視図、(b)は図19におけるS矢視図
【符号の説明】
1 製造装置
11 成形処理部
2 素線分離部
3 コイル引離部
4 素線保持部
7 スライドベース
9 転位コイル
99 基台

Claims (17)

  1. 平角状の外形を持つ導電材製の素線の複数を素線の厚さ方向に積層した素線積層体の2個を素線の幅方向に並置した断面構成を持ち,素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造に際し、前記転位部において素線を幅方向および厚さ方向に屈曲させる成形処理を行って回転電気機械用の転位コイルの製造を行う回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、
    素線積層体を素線の長さ方向に沿って移送するコイル移送部と、転位対象の素線をその幅方向側端部で掴んで把持すると共に成形処理用の空間が形成された後に素線の把持を解く素線把持機能,素線把持機能で把持された状態の素線を素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させてこの素線が属していた素線積層体から分離する素線分離機能,および成形処理を済ませた素線を素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させて素線積層体に戻す素線戻し機能を有する素線分離部と、転位対象の素線が分離された素線積層体を素線の積層方向に沿って移動させて転位対象の素線との間に前記成形処理用の空間を形成する機能を有するコイル引離部と、転位対象の素線を素線積層体から引き離された位置で保持する素線保持部と、転位対象の素線の幅方向の両側のそれぞれに配置され転位対象の素線の幅方向の屈曲成形を行う1対の幅方向用の成形処理体,転位対象の素線を幅方向の一方の端部で押えて前記成形処理を行う際の素線の跳ね上がりを防止する素線押え体,前記成形処理用空間を利用して転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置され幅方向用の成形処理体による幅方向の成形処理を済ませた転位対象の素線の厚さ方向の屈曲成形を行う1対の厚さ方向用の成形処理体,および前記両成形処理体を支持する支持体を有する成形処理部と、を備えることを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  2. 平角状の外形を持つ導電材製の素線の複数を素線の厚さ方向に積層した素線積層体の2個を素線の幅方向に並置した断面構成を持ち,素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられる転位コイルの製造に際し、転位部において前記素線を幅方向および厚さ方向に屈曲させる成形処理と,素線の転位位置に電気絶縁材製の介挿体を介挿する介挿処理とを行って回転電気機械用の転位コイルの製造を行う回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、
    素線積層体を素線の長さ方向に沿って移送するコイル移送部と、転位対象の素線をその幅方向側端部で掴んで把持すると共に成形処理用の空間が形成された後に素線の把持を解く素線把持機能,素線把持機能で把持された状態の素線を素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させてこの素線が属していた素線積層体から分離する素線分離機能,および成形処理を済ませた素線を素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させて素線積層体に戻す素線戻し機能を有する素線分離部と、転位対象の素線が分離された素線積層体を素線の積層方向に沿って移動させて転位対象の素線との間に前記成形処理用の空間を形成する機能を有するコイル引離部と、転位対象の素線を素線積層体から引き離された位置で保持する素線保持部と、転位対象の素線の幅方向の両側のそれぞれに配置され転位対象の素線の幅方向の屈曲成形を行う1対の幅方向用の成形処理体,転位対象の素線を幅方向の一方の端部で押えて前記成形処理を行う際の素線の跳ね上がりを防止する素線押え体,前記成形処理用空間を利用して転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置され幅方向用の成形処理体による幅方向の成形処理を済ませた転位対象の素線の厚さ方向の屈曲成形を行う1対の厚さ方向用の成形処理体,前記両成形処理体を支持する支持体,および前記成形処理が行われる位置に支持体の移動を行う移動機構を有する成形処理部と、前記介挿体をその貯留部から1個ずつ取り出す取出機構,取出機構から介挿体を受取って前記成形処理を済ませた転位対象の素線と隣接する他の素線との間に挿入する挿入機構,および介挿処理の実施に備えて挿入機構などの移動を行う移動機構を有する介挿処理部と、を備えることを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  3. 請求項1または2に記載の回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、成形処理部が有する厚さ方向用の成形処理体は、成形処理部による転位対象の素線の幅方向の成形処理時に,この素線を厚さ方向で支持する機能を兼ねることを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載の回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、成形処理部は、成形処理が行われる部位に転位対象の素線を案内する案内機構を有することを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  5. 請求項1から4までのいずれかに記載の回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、成形処理部が持つ1対の幅方向用の成形処理体のそれぞれは転位対象の素線の加圧用にロールを備え、転位対象の素線の幅方向の前記素線押え体で押さえられない方の端部側に配設される成形処理体は、素線押え体で押さえられる方の端部側に配設される成形処理体が持つロールよりもコイル移送部による転位コイルの移送方向とは反対側に、複数のロールを有することを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、成形処理部が有する幅方向用の成形処理体は、転位対象の素線の幅方向の端部と接触する部位が,素線に向かって凸となる押圧部を持つ金型であることを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  7. 請求項1から6までのいずれかに記載の回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、成形処理部が有する厚さ方向用の成形処理体は、成形処理後の素線の厚さ方向外形と同等の輪郭を持つ加圧面を有する金型であることを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  8. 請求項2から7までのいずれかに記載の回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、介挿処理部は、成形処理を済ませた転位対象の素線と隣接する他の素線との間に挿入した介挿体の抜け出しを防止するための、介挿体用の仮支持機構を有することを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  9. 請求項1または請求項3から7までのいずれかに記載の回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、素線分離部,コイル引離部,素線保持部,および成形処理部のそれぞれを2セット備え、転位部における素線の成形処理を、前記素線積層体の素線の積層方向の両側のそれぞれにおいて平行して行えるようにしたことを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  10. 請求項2から8までのいずれかに記載の回転電気機械の転位コイル用の製造装置において、素線分離部,コイル引離部,素線保持部,および成形処理部のそれぞれを2セット備えると共に、前記介挿処理部,または介挿処理部および介挿体用の前記仮支持機構を2セット備え、転位部における介挿体の介挿処理を、前記素線積層体の素線の積層方向の両側のそれぞれにおいて平行して行えるようにしたことを特徴とする回転電気機械の転位コイル用の製造装置。
  11. 平角状の外形を持つ導電材製の素線の複数を素線の厚さ方向に積層した素線積層体の2個を素線の幅方向に並置した断面構成を持ち,素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられ、この転位部において素線を幅方向および厚さ方向に屈曲させる成形処理を行う回転電気機械用の転位コイルの製造方法において、
    コイル移送部により素線の長さ方向に移送される素線積層体が持つ転移対象の素線の転位位置が成形処理部の直下に到達すると,コイル移送部による素線積層体の移送を一時停止し、転位対象の素線をその幅方向側端部で素線分離部が持つ素線把持機能を用いて把持し、この状態の素線を素線分離部が持つ素線分離機能を用いて素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させてこの素線が属していた素線積層体から分離し、転位対象の素線が分離された素線積層体を,コイル引離部が持つ機能を用いて素線の積層方向に沿って移動させて転位対象の素線との間に成形処理用の空間を形成し、転位対象の素線を素線積層体から引き離された位置で素線保持部により保持し、その後,素線分離部による転位対象の素線の把持を解放し、成形処理部が有している転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置される1対の厚さ方向用の成形処理体により転位対象の素線を厚さ方向の両側で支持し、続いて成形処理部が有している転位対象の素線の幅方向の両側のそれぞれに配置される1対の幅方向用の成形処理体により,転位位置においての転位対象の素線の幅方向の屈曲成形を行い、引き続いて、成形処理部が有している転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置される1対の厚さ方向用の成形処理体による転位位置においての転位対象の素線の厚さ方向の屈曲成形を実行し、続いて、前記成形処理を済ませた素線を,素線保持部による保持から解放すると共に素線分離部が持つ素線戻し機能を用いて素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させて素線積層体に戻し,1個所の転位位置における素線の成形処理を完了させ、続いて、コイル移送部により素線積層体の次の転位対象の素線に関する転位位置を成形処理部の直下に向けて移送し、以上の工程を,一方の素線積層体が持つ素線の本数に従う回数繰り返すことで、一方の素線積層体が持つ全ての素線の1個所の転位部における幅方向および厚さ方向の成形処理を行うことを特徴とする回転電気機械用の転位コイルの製造方法。
  12. 平角状の外形を持つ導電材製の素線の複数を素線の厚さ方向に積層した素線積層体の2個を素線の幅方向に並置した断面構成を持ち,素線の転位が行われる転位部が素線の長さ方向に間隔をおいて複数個所に設けられ、この転位部において素線を幅方向および厚さ方向に屈曲させる成形処理と,素線の転位位置に電気絶縁材製の介挿体を介挿する介挿処理とを行う回転電気機械用の転位コイルの製造方法において、
    コイル移送部により素線の長さ方向に移送される素線積層体が持つ転移対象の素線の転位位置が成形処理部の直下に到達すると,コイル移送部による素線積層体の移送を一時停止し、転位対象の素線をその幅方向側端部で素線分離部が持つ素線把持機能を用いて把持し、この状態の素線を素線分離部が持つ素線分離機能を用いて素線の厚さ方向にほぼ沿って移動させてこの素線が属していた素線積層体から分離し、転位対象の素線が分離された素線積層体を,コイル引離部が持つ機能を用いて素線の積層方向に沿って移動させて転位対象の素線との間に成形処理用の空間を形成し、転位対象の素線を素線積層体から引き離された位置で素線保持部により保持し、その後,素線分離部による転位対象の素線の把持を解放し、成形処理部が有している転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置される1対の厚さ方向用の成形処理体により転位対象の素線を厚さ方向の両側で支持し、続いて成形処理部が有している転位対象の素線の幅方向の両側のそれぞれに配置される1対の幅方向用の成形処理体により,転位位置においての転位対象の素線の幅方向の屈曲成形を行い、引き続いて、成形処理部が有している転位対象の素線の厚さ方向の両側のそれぞれに配置される1対の厚さ方向用の成形処理体による転位位置においての転位対象の素線の厚さ方向の屈曲成形を実行し、その後に、成形処理部が持つ移動機構により成形処理部の転位部の周辺からの退避を行い、続いて,介挿処理部が持つ挿入機構などを介挿処理部が持つ移動機構により転位部の位置に移動し、前記介挿体をその貯留部から取出機構により1個取り出し、前記1個の介挿体を取出機構から挿入機構に受渡し、挿入機構によりこの1枚の介挿体を,前記成形処理を済ませた転位対象の素線と隣接する他の素線との間に挿入し、介挿体の挿入処理後に介挿処理部が持つ移動機構により介挿体の挿入機構などを転位部の周辺から退避し、続いて、前記成形処理を済ませた素線の素線保持部による保持を解放すると共に,素線分離部が持つ素線戻し機能を用いて素線の厚さ方向に沿って移動させて素線積層体に戻して1個所の転位位置における素線の成形処理および介挿処理を完了させ、続いて、コイル移送部により素線積層体の次の転位対象の素線に関する転位位置を成形処理部の直下に向けて移送し、以上の工程を,一方の素線積層体が持つ素線の本数に従う回数繰り返すことで、一方の素線積層体が持つ全ての素線の1個所の転位部における幅方向および厚さ方向の成形処理,および介挿処理を行うことを特徴とする回転電気機械用の転位コイルの製造方法。
  13. 請求項11または12に記載の回転電気機械用の転位コイルの製造方法において、転位対象の素線は、成形処理部による転位対象の素線の幅方向の成形処理時に、成形処理部が有する厚さ方向用の成形処理体により厚さ方向で支持されることを特徴とする回転電気機械用の転位コイルの製造方法。
  14. 請求項11から13までのいずれかに記載の回転電気機械用の転位コイルの製造方法において、転位対象の素線は、成形処理部が持つ案内機構により成形処理が行われる部位に案内されることを特徴とする回転電気機械用の転位コイルの製造方法。
  15. 請求項12から14までのいずれかに記載の回転電気機械用の転位コイルの製造方法において、介挿処理部による前記介挿体の挿入に際し、挿入機構により挿入される介挿体を、介挿処理部が持つ介挿体用の仮支持機構によって反挿入側へ抜け出すのを防止することを特徴とする回転電気機械用の転位コイルの製造方法。
  16. 請求項11,13および14のいずれかに記載の回転電気機械の転位コイル用の製造方法において、素線分離部,コイル引離部,素線保持部,成形処理部のそれぞれが2セット備えられ、転位部における素線の成形処理を、前記素線積層体の素線の積層方向の両側のそれぞれにおいて平行して行うようにしたことを特徴とする回転電気機械用の転位コイルの製造方法。
  17. 請求項12から15までのいずれかに記載の回転電気機械の転位コイル用の製造方法において、素線分離部,コイル引離部,素線保持部,成形処理部のそれぞれが2セット備えられと共に、前記介挿処理部,または介挿処理部および介挿体用の前記仮支持機構が2セット備えられ、転位部における介挿体の介挿処理を、前記素線積層体の素線の積層方向の両側のそれぞれにおいて平行して行うようにしたことを特徴とする回転電気機械用の転位コイルの製造方法。
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