JP3624249B2 - 真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体 - Google Patents

真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通行券、パスポート、カード等の偽造、複写、改ざんを防止する必要性のある貴重印刷物に適用される真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通行券、パスポート、カード等の貴重印刷物は、その性質上、偽造や改ざんされないことが要求される。この改ざん防止策として、従来から、パスポート、カード等は、基材の表面に文字、記号、顔写真等の情報を施し、表面に透明なプラスチックシートを貼着してラミネートし、文字、記号、顔写真等の改ざん防止を図っている。更に、貴重印刷物は、偽造されているか否かを判別できる真偽判別技術が必要不可欠と言える。
【0003】
透き入れ模様入り用紙は用紙に意匠性や偽造防止効果を付与する目的として美術性を有する用紙や銀行券等の貴重印刷物に使用されている。通常、透き入れ模様入り用紙の透き入れ模様を判別するには透過光により用紙を透かして判別していた。よって、透き入れ模様入り用紙を手にとって透過光で判別する方法以外に透き入れ模様を視認することができず、透き入れ模様を設けた面に印刷模様を設けた場合、透過光において透き入れ模様の視認性が低下する恐れがあった。また、特開2001−10197号公報にあるように、透き入れに赤外光を照射して得られる透過光強度によって透き入れの有無を判別し、真偽判別に用いる方法がある。
【0004】
印刷物を傾けて観察することにより潜像画像を確認できるようにして真偽判別を行う技術は公知であり、凹版印刷物の画線構成を利用するもの、凹凸基材と印刷画線を利用するもの、レンチキュラー板を利用するもの等が挙げられる。
【0005】
画線構成を利用し潜像画像を確認できる方法として、印刷基材上に縦横の画線で構成される画像を凹版印刷することで印刷面を真上から観察した場合には確認できない潜像が印刷面の角度を変えて観察すると潜像が顕像化される方法が開示されている(特公昭56−19273号公報参照)。
【0006】
凹凸基材と印刷画線を利用し潜像画像を確認できる方法として、印刷素材と同色又は近似した色の各種万線模様又はレリーフ模様、及びそれら双方の模様のいずれかの隆起した画線と、隆起した画線の色と異なった他の有色の一定な間隔を持つ各種万線画線又は網点画線、及びそれら双方の画線のいずれかを組み合わせることによって、ある特定の方向から観察する時にのみ、特定の文字、図柄などが認識できるようにした潜像印刷物とその印刷方法が開示されている(特許2600094号公報参照)。
【0007】
レンチキュラー板を利用するもの、例えば、レンチキュラー板を用いて、観察角度を変えることにより当月、翌月のカレンダー表示を選択的に視認可能なカレンダーとして開示されている(実開昭51−67043号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特公昭56−19273号公報の方法では、印刷面を真上から見たとき印刷画像を構成している縦横の画線構成により潜像とするデザインが確認されやすく、このためデザイン上何らかのカモフラージュを必要とする。また、万線方向からは潜像画像が発現せず、万線に対して直角方向でしか発現しないめ、本物か否かを判別する効果としては低かった。特許第2615401号は、凹凸形状を有する素材と、各種万線画線又は網点画線との刷り合わせが難しい欠点があった。また、実開昭51−67043号公報はレンチキュラー板を用いているためコストが高く、レンチキュラーレンズ自体に厚みがあり、製品自体に厚みが生じるため、薄い印刷物には不向きであり、更に、レンチキュラー板は凹凸形状を有するため、変形しやすく、破損する恐れがあった。
【0009】
以上のことから、本発明は前述した問題点を解決することを目的としたもので、真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、抄紙機等で形成した透き入れ模様は確認できないが、斜めから観察した場合、白色光を照射して観察した場合、エネルギー線を照射して観察した場合等に透き入れ模様が視認できるため誰でも容易に真偽判別することが可能である。
【0010】
本発明は画線構成を利用して潜像画像を形成することなく、基材に透き入れによる凹凸により潜像画像を形成するためデザインの制限を受けることなく、レンチキュラーレンズを用いることなく、薄い製品にも対応でき、デザイン上、異なる複数の観察方向により潜像画像を出現させることが可能であり、真偽判別装置等を用いることなく誰でもその場で真偽判別することができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材に透き入れ模様を設けた第1の層と、接着剤からなる第2の層と、光透過性基材に万線パターン又は網点パターンを印刷した第3の層を順次積層してなる真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体において、前記第1の層に、前記第3の層の万線パターン又は網点パターンが印刷されている面を前記第2の層で接着されてラミネートされた真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体であって、前記真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、前記透き入れ模様は確認できないが、斜めから観察した場合又は白色光を照射して観察した場合に、前記透き入れ模様が視認されることを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体である。
【0012】
また、本発明は、基材に透き入れ模様を設けた第1の層と、接着剤からなる第2の層と、光透過性基材に万線パターン又は網点パターンを印刷した第3の層を順次積層してなる真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体において、前記第1の層の透き入れ模様を有する領域に有色インキで印刷した隠蔽模様を有し、前記隠蔽模様を有した第1の層に、前記第3の層の万線パターン又は網点パターンが印刷されている面を前記第2の層で接着されてラミネートされた真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体であって、前記真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、前記透き入れ模様は確認できないが、前記有色インキと同色又は近似した色相の光を照射して観察した場合に、前記透き入れ模様が視認されることを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体である。
【0013】
また、本発明は、基材に透き入れ模様を設けた第1の層と、接着剤からなる第2の層と、光透過性基材に万線パターン又は網点パターンを印刷した第3の層を順次積層してなる真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体において、前記第1の層の透き入れ模様を有する領域に有色蛍光インキで印刷した隠蔽模様及び前記有色蛍光インキとエネルギー線照射時に同色又は近似した色相で発光する無色蛍光インキで印刷したベタ模様を有し、前記隠蔽模様及び前記ベタ模様を有した第1の層に、前記第3の層の万線パターン又は網点パターンが印刷されている面を前記第2の層で接着されてラミネートされた真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体であって、前記真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、前記透き入れ模様は確認できないが、エネルギー線を照射して観察した場合に、前記透き入れ模様が視認されることを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体である。
【0014】
また、本発明は、真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体の透き入れ模様が透過光で確認できないように、第1層の第2層が積層されない面にカモフラージュ印刷したことを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体である。
【0015】
また、本発明は、真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体の透き入れ模様が透過光で確認できないように、第1層の第2層が積層されない面に不透明度の高い基材からなる第4の層を接着したことを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体である。
【0016】
また、本発明の透き入れ模様は文字、数字、記号及び絵柄の少なくとも一つ以上であることを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体である。
【0017】
また、本発明の前記光透過性基材に印刷したの万線パターンは、1インチ当たり150から300本の万線パターンであることを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体である。
【0018】
また、本発明の前記光透過性基材に印刷した網点パターンはスクリーン線数が150線から300線の範囲で、網点面積率が30%〜70%であることを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体である。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の基本原理を示す。図1(a)に抄紙機等で形成した「A」の透き入れ模様Aを作製した透き入れ模様入り基材1を示す。図1(b)に万線パターン(網点パターンでも良い)3を印刷した光透過性基材2を示す。図1(c)、図1(d)に示すように透き入れ模様入り基材1に、光透過性基材2の万線パターン3が印刷されている面を接着層4によってラミネートされた真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体5を示す。図1(c)は透き入れ模様入り基材1の全面に光透過性基材2がラミネートされており、図1(d)は透き入れ模様入り基材1の透き入れ模様Aの領域に光透過性基材2がラミネートされている。図1(c)、図1(d)のどちらの場合においても本発明の効果を奏することができる。真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体5は通常光(太陽光等の日常の光)により、透き入れ模様入り基材1に透き入れによって設けたの透き入れ模様Aの凹んでいるところでは光透過性基材2の万線パターン3による影6が発生する。
【0020】
図2に示すように真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体5に対して垂直方向から観察した場合、透き入れ模様入り基材に設けた透き入れ模様は光透過性基材2に印刷された万線パターン3によりカモフラージュされて確認できない。また、真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体5に対して垂直方向から観察しているため、透き入れ模様入り基材に透き入れによって設けたの透き入れ模様Aの凹んでいるところでは光透過性基材の万線パターン3による影の影響を受けることがない。つまり、垂直方向から観察した場合、光透過性基材2に設けた万線パターン3のみが確認される。
【0021】
図3に示すように、真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体5を斜めから観察した場合又は白色光を照射して観察した場合に、透き入れ模様入り基材1に透き入れによって設けたの透き入れ模様Aの凹んでいるところでは光透過性基材2の万線パターン3による影6が、光透過性基材2の非画線部7より観察できるため、光透過性基材2の万線パターン3による影6が確認できる非画線部7の領域は明度が濃く確認でき、透き入れ模様である「A」が確認できるようになる。図3(a)は真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して斜めから観察した場合の図であり、図3(b)は真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に斜めから白色光を照射して真上から観察した場合の図である。
【0022】
しかし、光透過性基材に付与されたパターンが万線パターンの場合、照明方向及び観察方向の両方が万線の方向もしくは真上である場合、もしくは全く同じである場合、発生した影を確認できないため、透き入れ模様「A」が確認できないが、それ以外の条件で有れば照明方向及び観察方向は任意でよい。また、光透過性基材に付与されたパターンが網点パターンの場合、照明方向及び観察方向が全く同じである場合をのぞいて、照明方向及び観察方向は任意でよい。
【0023】
本発明に用いる光透過性基材はプラスチック、ラミネートフィルム等であればよく、光透過性基材に付与する模様は上記の万線パターンの場合、線の数は1インチあたり150〜300本程度の本数があれば透き入れ模様を確認することができる。ほかには、網点パターンでも同様の効果を得ることができる。網点パターンの場合、線数が150〜300線で、網点面積率が30%〜70%であれば、透き入れ模様を確認することができる。網点形状においては、特に限定されることなく、スクエアドット、チェーンドット、ラウンドドット、特殊網点等を使用することができる。また、万線形状は、特に限定されることなく、平行万線、波万線等を使用することができる。また、光透過性基材に付与する各パターンは影を発生させるための高い、不透明度を有していればよく、不透明度が高ければ、黒以外の白等も可能であり、特に限定されるものではない。
【0024】
また、図4のように抄紙機等で形成した「A」の透き入れ模様Aを作製した透き入れ模様入り基材1の透き入れ模様Aを施した領域に隠蔽模様8を施すことによって、透き入れ模様Aの秘匿性を向上させることができる。図4では隠蔽模様8は透き入れ模様A及び透き入れ模様Aの周辺領域に印刷しているが透き入れ模様入り基材の全面に隠蔽模様8を設けてもよい。請求項2記載の透き入れ模様を有する領域とは、透き入れ模様Aの領域、透き入れ模様A及び透き入れ模様Aの周辺領域、透き入れ模様Aを有する透き入れ模様入り基材の全面の領域を示す。有色インキを用いて隠蔽模様8を施し、万線パターン又は印刷パターンを印刷した光透過性基材2を積層させて、白色光を照射する場合、透き入れ模様Aの視認性を阻害させるため、有色インキと同色又は近似した色相の光(白色光を色フィルターに通したり、発光ダイオードを用いる)を照射することで、隠蔽模様8による透き入れ模様Aの視認性の低下を抑えることができる。本発明の隠蔽模様8は特に限定されることなく彩紋模様、微小文字、ベタ、通常の絵柄を用いることができる。また、本発明の有色インキは、特に限定されないが、黒インキを用いる場合、印刷絵柄はベタを用いると本発明の効果を得ることができない。
【0025】
また、図5のように印刷模様を有色蛍光インキによる隠蔽模様8と、紫外線等のエネルギー線を照射したときに、有色蛍光インキと同色又は近似した色相に発色をする無色蛍光インキにより、透き入れ模様の全面にわたるベタ模様9にすることによって、紫外線等のエネルギー線を照射したときに、有色蛍光インキによる模様を見えなくすることによって、透き入れ模様Aのみを視認させることができる。なお、紫外線等照射時に同色又は近似した色相に発色するのであれば、有色蛍光インキは複数色を同一領域に用いてもかまわない。図5では隠蔽模様8及びベタ模様9は透き入れ模様A及び透き入れ模様Aの周辺領域に印刷しているが透き入れ模様入り基材の全面に隠蔽模様8及びベタ模様9を設けてもよい。請求項3記載の透き入れ模様を有する領域とは、透き入れ模様Aの領域、透き入れ模様A及び透き入れ模様Aの周辺領域、透き入れ模様Aを有する透き入れ模様入り基材の全面の領域を示す。
【0026】
本発明は透き入れ模様上に光透過性基材を積層させるため、従来の透き入れのように透過光での観察はできない方がいい。そのため、光透過性基材を積層させる面とは反対側の面にカモフラージュ模様などの印刷などを行って、透過光での透き入れの観察ができないようにする事も可能である。カモフラージュ模様は特に限定されることなく彩紋模様,微小文字,ベタ,通常の絵柄を用いることができる。
【0027】
また、不透明度の高い別の基材(用紙、フィルム等)を裏面に接着し、透過光での透き入れの観察ができないようにすることも可能である。
【0028】
本発明の透き入れ模様は、円網、長網、手すき等の通常の透き入れ手法を用いて作製することができる。
【0029】
また、本発明は基材に設けた透き入れ模様入り基材と光透過性基材を積層させるために、透き入れ模様入り基材と光透過性基材の間に接着層を設ける必要がある。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
円網抄紙機にて透き入れ模様入り用紙を作製し、透き入れ模様を付与した。光を透過できるフィルムの表面に150線の平行万線を印刷し、透き入れ模様が付与されている場所に、フィルムの平行万線がある面を接着剤により密着させ、フィルムを積層し、真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体を作製した。真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、透き入れ模様は確認できなかったが、斜め方向から観察した場合に透き入れ模様が確認することができた。また、フィルムを積層した面に白色光(この実施例では懐中電灯を利用した)を照射して観察することによって透き入れ模様が確認できた。また、正面から白色光を照射して観察しても透き入れ模様が確認することができた。
【0032】
(実施例2)
円網抄紙機にて透き入れ模様入り用紙を作製し、透き入れ模様の視認性を低下させるために、透き入れ模様に重なるように、可視光下で観察すると赤色で、紫外線下で観察すると同様の赤色に発光する有色蛍光インキを用いた隠蔽模様をオフセット印刷にて行い、また、可視光下では無色透明で、紫外線下で観察すると有色蛍光インキと同色の赤に発光する無色蛍光インキを同一領域に全面を覆うようにベタ模様をオフセット印刷で印刷した。光を透過できるフィルムの表面に150線の平行万線を印刷し、透き入れ模様が付与されている場所に、フィルムの平行万線がある面を接着剤により密着させ、フィルムを積層し、真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体を作製した。真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、透き入れ模様は確認できなかったが、紫外線を照射し、観察することによって、ベタ模様が赤色に発光し、赤色の有色蛍光インキで印刷した隠蔽模様と同色となったために、隠蔽模様の視認が困難になったために、透き入れ模様のみが確認できた。
【0033】
(実施例3)
円網抄紙機にて透き入れ模様入り用紙を作製し、透き入れ模様の視認性を低下させるために、透き入れ模様に重なるように、通常の赤色の有色インキで隠蔽模様の印刷を行った。光を透過できるフィルムの表面に150線の平行万線を印刷し、基材の凹状の模様が付与されている場所に、フィルムの平行万線がある面を接着剤により密着させ、フィルムを積層し、真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体を作製した。真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、透き入れ模様は確認できなかったが、隠蔽模様を印刷した有色インキと同色の赤色のフィルターを通した光を照射し、観察することによって、赤色の光源を照射したことにより、赤色の有色蛍光インキで印刷した隠蔽模様と同色となったために、隠蔽模様の視認が困難になったために、透き入れ模様のみが確認できた。
【0034】
以上、本発明の実施例に基づいて説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が考えられる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、透き入れ模様は確認できないが、斜めから観察した場合、白色光を照射して観察した場合、エネルギー線を照射して観察した場合等に透き入れ模様が視認できるため誰でも容易に真偽判別することが可能であるため、通行券、パスポート、カード等の偽造、複写を防止する必要性のある貴重印刷物に適用することができる。
【0036】
また、透き入れ模様を有する領域に透き入れ模様とは異なった模様の印刷を行って透き入れ模様の形状を識別する事が難しい場合であっても容易に透き入れ模様の形状のみを識別することが可能となる。
【0037】
また、本発明は、基材に設けた透き入れ模様と光透過性基材に印刷した万線パターン又は網点パターンの位置合わせが必要としないため容易に作製でき、光透過性基材に印刷した万線パターン又は網点パターンの影が透き入れ模様の凹部に写り、光透過性基材に印刷した万線パターン又は網点パターンの非印刷領域から透き入れ模様が認識できるためデザイン上の制約も受けることがない。また、本発明の真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体は判別装置を用いる必要がないため、判別装置のコスト、設置スペース等を抑えることができる。
【0038】
本発明は画線構成を利用して潜像画像を形成することなく、透き入れ模様により潜像画像を形成するためデザインの制限を受けることなく、レンチキュラーレンズを用いることなく、薄い製品にも対応でき、デザイン上、異なる複数の観察方向により潜像画像を出現させることが可能であり、真偽判別装置等を用いずに誰でもその場で真偽判別することができる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本原理を示す図である。
【図2】本発明における真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体を垂直方向から観察した場合を示す図である。
【図3】本発明における真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体を斜めから観察した場合又は白色光を照射して観察した場合を示す図である。
【図4】本発明における有色インキによる隠蔽模様を示す図である。
【図5】本発明における蛍光インキを用いた隠蔽模様を示す図である。
【符号の説明】
1 透き入れ模様入り基材
2 光透過性基材
3 万線パターン又は網点パターン
4 接着層
5 真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体
6 影
7 非画線部
8 隠蔽模様
9 ベタ模様

Claims (8)

  1. 基材に透き入れ模様を設けた第1の層と、接着剤からなる第2の層と、光透過性基材に万線パターン又は網点パターンを印刷した第3の層を順次積層してなる真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体において、
    前記第1の層に、前記第3の層の万線パターン又は網点パターンが印刷されている面を前記第2の層で接着されてラミネートされた真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体であって、
    前記真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、前記透き入れ模様は確認できないが、斜めから観察した場合に、前記透き入れ模様が視認されることを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体。
  2. 基材に透き入れ模様を設けた第1の層と、接着剤からなる第2の層と、光透過性基材に万線パターン又は網点パターンを印刷した第3の層を順次積層してなる真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体において、
    前記第1の層の透き入れ模様を有する領域に有色インキで印刷した隠蔽模様を有し、前記隠蔽模様を有した第1の層に、前記第3の層の万線パターン又は網点パターンが印刷されている面を前記第2の層で接着されてラミネートされた真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体であって、
    前記真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、前記透き入れ模様は確認できないが、前記有色インキと同色又は近似した色相の光を照射して斜めから観察した場合に、前記透き入れ模様が視認されることを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体。
  3. 基材に透き入れ模様を設けた第1の層と、接着剤からなる第2の層と、光透過性基材に万線パターン又は網点パターンを印刷した第3の層を順次積層してなる真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体において、
    前記第1の層の透き入れ模様を有する領域に有色蛍光インキで印刷した隠蔽模様及び前記有色蛍光インキとエネルギー線照射時に同色又は近似した色相で発光する無色蛍光インキで印刷したベタ模様を有し、前記隠蔽模様及び前記ベタ模様を有した第1の層に、前記第3の層の万線パターン又は網点パターンが印刷されている面を前記第2の層で接着されてラミネートされた真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体であって、
    前記真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体に対して垂直方向から観察した場合、前記透き入れ模様は確認できないが、エネルギー線を照射して斜めから観察した場合に、前記透き入れ模様が視認されることを特徴とする真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体。
  4. 前記真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体の透き入れ模様が透過光で確認できないように、第1層の第2層が積層されない面にカモフラージュ印刷したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体。
  5. 前記真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体の透き入れ模様が透過光で確認できないように、第1層の第2層が積層されない面に不透明度の高い基材からなる第4の層を接着したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体。
  6. 前記透き入れ模様は文字、数字、記号及び絵柄の少なくとも一つ以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体。
  7. 前記光透過性基材に印刷したの万線パターンは1インチ当たり150から300本の万線パターンであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体。
  8. 前記光透過性基材に印刷した網点パターンはスクリーン線数が150線から300線の範囲で、網点面積率が30%〜70%であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の真偽判別可能な透き入れ模様入り積層体。
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