JP3623861B2 - 中空繊維シート状物の製造方法及びこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents

中空繊維シート状物の製造方法及びこれを用いた中空糸膜モジュールの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の分離用および精製などの目的に有用に用いられる中空繊維シート状物および中空糸膜モジュールに関し、中空糸膜モジュールの強度を向上させることのできる中空繊維シート状物およびその製造方法と、これを用いた中空糸膜モジュールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
中空糸膜モジュールは、無菌水、飲料水、高純度水の製造や、空気の浄化などの分野、さらに半導体分野などに用いられる溶剤の洗浄精製などに使用されている。
中空糸膜モジュールは、複数本の中空繊維からなる中空繊維束がポッティング樹脂によって筺体に固定され、一体化されたもので、モジールの形態としては円筒状、円柱状などの他に、シート状などのタイプがある。
【0003】
中空糸膜モジュールは、均一な分離性能、ろ過性能の他に機械的特性および耐溶剤性などが求められ、これらを最適にするための開発が続けられている。しかしながら、前記中空繊維束をポッティング樹脂によって筺体に固定して一体化するポッティング時に生ずる種々の問題が、中空糸膜モジュールの性能を制限する要因のひとつとなっている。
従来、このポッティング方法としては重力ポッティング法、遠心ポッティング法などがよく知られている。
【0004】
前記重力ポッティング法は、筺体内に中空繊維を収納し、その端部にポッティング樹脂を充填し、前記中空繊維束末端内へポッティング樹脂を重力により浸透、充填させ、そして固定化させる方法である。
また、前記遠心ポッティング法は、中空繊維束をハウジングに挿入し、アセンブリーをその中間点で回転させて遠心力を生じさせ、ポッティング樹脂を中空繊維束の両端付近の外郭側部空間に導入し、固定化させる方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これら重力ポッティング法および遠心ポッティング法は、例えば以下のような種々の問題を有している。
すなわち、労力を要する手動操作がある。また、個々の性能にばらつきが生じ、常に均一な性能の製品を高品質で得ることが難しい。
さらに、ポッティング樹脂は、特に浸漬課程で、中空繊維の乾燥した部分に沿って吸い上げられる傾向があり、常に要求されるポッティング位置にこのポッティング樹脂を配することが難しい。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、労力を要する手動操作をできるだけ少なくし、常に均一な性能の製品を高品質で得ることができる中空糸膜モジュールを製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、熱可塑性樹脂からなる中空繊維が実質的に互いに平行に配されてなるシート状中空繊維を連続的に移送し、このシート状中空繊維の端部のいずれか一方もしくは両方に、この端部より10cm以内の範囲に、薄膜状溶融熱可塑性樹脂を該シート状中空繊維の両面から供給して熱可塑性樹脂接合部を形成し、中空繊維シート状物とすることを特徴とする中空繊維シート状物の製造方法である。
【0008】
前記中空繊維シート状物は以下のような方法で製造することができる。
すなわち、シート状中空繊維織物を連続的に移送し、このシート状中空繊維織物端部の一方または両方に、この端部より10cm以内の範囲に、薄膜状溶融熱可塑性樹脂(以下、薄膜状溶融樹脂と略記する)を供給する。そして、このシート状中空繊維織物端部を接合し、熱可塑性樹脂接合部(以下、樹脂接合部と略記する)を形成して中空繊維シート状物とする。
このとき、前記薄膜状溶融樹脂のメルトフローレートは20〜150であると好ましい。
また、前記シート状中空繊維織物に接触する際の薄膜状溶融樹脂の温度を中空繊維材料の融点以上とすると、これらの接着状態が良好となり好ましい。
【0009】
さらに、シート状中空繊維織物に薄膜状溶融樹脂が供給される際に、下記の式Iで表される関係を満足すると、薄膜状溶融樹脂の熱容量を、中空繊維の熱容量以下とすることができるので、薄膜状溶融樹脂が接触した際のヒートショックが小さく、中空繊維にダメージを与えることが少なく、好ましい。
W1・C1(T−T1)≧W2・C2(T2−T) ・・・(I)
ここで、前記式I中の符号は以下のものを表している。
C1:中空繊維材料の材料比熱
T :中空繊維材料の融点
W1:中空繊維の単位重量
C2:溶融熱可塑性樹脂の材料比熱
W2:溶融熱可塑性樹脂の単位重量
T1:溶融熱可塑性樹脂と中空繊維とが接触するときの中空繊維の温度
T2:溶融熱可塑性樹脂と中空繊維とが接触するときの溶融熱可塑性樹脂の温度
【0010】
このような中空繊維シート状物を用いた中空糸膜モジュールは、以下のような方法で製造することができる。
すなわち、上述の中空繊維シート状物を、その樹脂接合部がカートリッジ筺体内のポッティング部に貫通するように収め、熱可塑性樹脂からなる固定用樹脂をこのカートリッジ筺体のポッティング部内に封入、固定化させた後、前記中空繊維シート状物を構成する中空繊維に対して垂直に、かつ前記樹脂接合部に交わるように中空繊維シート状物のポッティング部貫通端を切断し、前記中空繊維を開口させて中空糸膜モジュールとする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の中空繊維シート状物の製造工程の一例を示したものである。
また、図2は、本発明の中空繊維シート状物の製造に用いるシート状中空繊維織物の一例を示したものである。
図3は、図2に示されたシート状中空繊維織物に樹脂接合部を設けた本発明の中空繊維シート状物の一例を示したもので、図4は、図3に示された切断線A−A’における断面図である。
【0012】
図1中符号1はシート状中空繊維織物であり、このシート状中空繊維織物1は、図2に示されるように、平行に配された複数本の熱可塑性樹脂からなる中空繊維aが横糸とされ、これら中空繊維aの配列間隔が、縦糸を構成するフィラメントbによって保持されてなるスダレ編みシートである。
この他、中空繊維が縦糸と平行な両端部で複数回で折り返され、略平行に配されて横糸が構成され、この横糸が縦糸を構成するフィラメントによって相互に保持されてなるラッセル編みシートなどを用いることもできる。
【0013】
前記中空繊維aは、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスルホン樹脂などからなる一般的なものを用いることが可能であり、目的とする中空糸膜モジュールの用途における分離物質の特性もしくは他に要求される特性に適したものを選定することが好ましい。
この中空繊維aの形状は、その口径、空孔率、膜厚、外径などに特に制限はなく適宜選択される。
また、中空繊維aをシート状とするためのフィラメントbによる保持方法は、たとえばモノフィラメント、もしくはマルチフィラメントのポリエステル繊維などによる公知の方法などを適宜に用いることができる。
【0014】
中空繊維シート状物を製造するにあたって、図1に示されるように、前記シート状中空繊維織物1は、予め中空繊維aに折り曲げがおこらないように巻き上げられたものを用いるのがよい。
一方、前記駆動ロール2の上流側には、樹脂定量供給機3、樹脂送液管4、吐出ダイ5からなる二系列の薄膜状溶融樹脂供給手段が設けられている(図示されているのは一系列のみである)。これら薄膜状溶融樹脂供給手段を構成する吐出ダイ5は、ボトムロール7の回転軸方向に対して並行して配置されており、二列の薄膜状溶融樹脂6がボトムロール7上に送り出されるようになっている。
すなわち、この薄膜状溶融樹脂供給手段は、前記二列の薄膜状溶融樹脂6が、後の工程で、前記ボトムロール7上の薄膜状溶融樹脂6の上に供給されるシート状中空繊維織物1のフィラメント(縦糸)bに平行な両端部からそれぞれ10cm以内、実質的には4〜10cmの位置までに供給されるように配置されている。
シート状中空繊維織物1の一方の端部のみに薄膜状溶融樹脂6が供給される場合には、前記薄膜状溶融樹脂供給手段は一系列のみ設けてもよい。
【0015】
まず最初に、シート状中空繊維織物1が、周速一定の一対の駆動ロール2によって引き出される。この引き出し方法は限定されるものではなく、中空繊維シート状物9に要求される性能に対して悪影響を与えない構造であれば使用可能である。
一方、二系列の薄膜状溶融樹脂供給手段において、樹脂定量供給機3に薄膜状溶融樹脂6の材料が供給され、溶融状態にて定量で樹脂送液管4を通り、吐出ダイ5により、二列の薄膜状溶融樹脂6としてボトムロール7上に供給される。
【0016】
ついで、前記駆動ロール2によって引き出されたシート状中空繊維織物1のフィラメント(縦糸)bに平行な両端部は、ボトムロール7上で二列の前記薄膜状溶融樹脂6の上に、それぞれ重ね合わされる。
さらにこの駆動ロール2の下流側に配された二系列の樹脂定量供給機3’、樹脂送液管4’、吐出ダイ5’から、前記薄膜状溶融樹脂6と同様にして二列の薄膜状溶融樹脂6’が送り出され、前記ボトムロール7上のシート状中空繊維織物1を介して、前記二列の薄膜状溶融樹脂6とそれぞれ重ね合わされる。
これら薄膜状溶融樹脂6、6’両方供給することによって、シート状中空繊維織物1の両面がこれら薄膜状溶融樹脂6、6’によって覆われるとともに、中空繊維a相互の間に樹脂がより密に充填され、中空繊維シート状物や中空糸膜モジュールの強度が向上する
【0017】
前記薄膜状溶融樹脂6、6’は少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂からなり、そのJIS K7210に規定されるメルトフローレートは20以上、好ましくは20〜150、より好ましくは40〜100とする。
具体的にはポリエチレン、ロウ、ロウとポリエチレンとの混合物、ポリ酢酸ビニルなどをあげることができるが、特に耐溶剤性能を要求される場合は、ポリオレフィン樹脂などが好ましく、この場合、価格も安価で経済的である。
【0018】
上述のようなメルトフローレートを有する熱可塑性樹脂は、溶融状態での流動性が良好であるので、中空繊維a相互の間に薄膜状溶融樹脂6、6’が入り込み、間隙なく充填され、薄膜状溶融樹脂6、6’どうしも十分に密着するので、後述する図3、4に示される樹脂接合部c、cの内部に間隙が形成されることがなく、好ましい。
【0019】
メルトフローレートが150を越えると、柔らかすぎて、均一で適当な膜厚の樹脂接合部c、cが得られない場合がある。
特にシート状中空繊維織物1両表面部分に薄膜状溶融樹脂6、6’が保持されず、このシート状中空繊維織物1両表面部分の樹脂接合部c、cの膜厚が薄くなってしまうことがあり、この結果、中空繊維シート状物および中空糸膜モジュールの強度が低下する場合があるので、この樹脂接合部c、cにおける薄膜状溶融樹脂6、6’の充填は十分に行われることが好ましい。
【0020】
また、薄膜状溶融樹脂6、シート状中空繊維織物1、薄膜状溶融樹脂6’が順次重ね合わされる際の薄膜状溶融樹脂6、6’の温度は、中空繊維aの材料の熱可塑性樹脂の融点以上となるように制御されることが好ましく、実質的には前記融点よりも1〜30℃高い温度とされ、設定温度は供給される薄膜状溶融樹脂6、6’の供給量によって調整されることが好ましい。
このことによって薄膜状溶融樹脂6、6’と接触した中空繊維aとの密着性が向上し、これら薄膜状溶融樹脂6、6’と中空繊維aとの接着状態が良好になる。
【0021】
さらに、このとき下記の式Iの関係を満足するようにすると好ましい。
下記の式Iにおける左辺は中空繊維aの熱容量、右辺は薄膜状溶融樹脂(溶融熱可塑性樹脂)6、6’の熱容量を示すものである。
すなわち、薄膜状溶融樹脂6、6’の熱容量を中空繊維aの熱容量以下とすることによって、薄膜状溶融樹脂6、6’との接触による中空繊維aのヒートショックをやわらげることができる。
【0022】
この式Iにおいて、左辺と右辺が等号で結ばれる関係を満たす場合、中空繊維aを構成する樹脂の殆どが溶融するが、この溶融によって、中空繊維a内部が閉塞したりすることはなく、この中空繊維aの内部形状は保持される。
また、左辺が右辺よりも大きい場合には、中空繊維aの一部が溶融する。
【0023】
W1・C1(T−T1)≧W2・C2(T2−T) ・・・(I)
ここで、前記式I中の符号は以下のものを表している。
C1:中空繊維材料の材料比熱
T :中空繊維材料の融点
W1:中空繊維の単位重量
C2:溶融熱可塑性樹脂の材料比熱
W2:溶融熱可塑性樹脂の単位重量
T1:溶融熱可塑性樹脂と中空繊維とが接触するときの中空繊維の温度
T2:溶融熱可塑性樹脂と中空繊維とが接触するときの溶融熱可塑性樹脂の温度
【0024】
また、ボトムロール7上に薄膜状溶融樹脂6、6’が供給されたときに、これら薄膜状溶融樹脂6、6’の過度の冷却を避け、その温度を適切に制御するために、前記ボトムロール7はその表面温度が制御可能な構造であることが好ましい。
この制御方法として、例えば、ヒータや温度制御エアー、熱媒など公知の方法の使用が可能であり、これらを組み合わせて使用することにより正確な温度制御を行うことはさらに好ましい。
【0025】
また、樹脂定量供給機3、3’は、例えば、押出機やギアポンプのようなものであり、これらの性能と同等の性能を有するものであれば使用可能である。また、これらは樹脂を溶融するための加熱機構を有することが好ましい。
樹脂送液管4、4’は、それぞれ樹脂定量供給機3、3’より定量供給された樹脂を、溶融状態で吐出ダイ5、5’へ送り込むための加熱機構を有することが好ましい。また吐出ダイ5、5’についても同様の加熱機構を有すると好ましい。
上述のように、加熱機構が備えられた樹脂定量供給機3、3’樹脂送液管4、4’吐出ダイ5、5’を用い、これらの加熱機構を制御することによって、上述のボトムロール7の表面温度を制御するとともに、薄膜状溶融樹脂6、6’とシート状中空繊維織物1とが重ね合わされる際のこれら薄膜状溶融樹脂6、6’の温度を、中空繊維aの融点以上に制御することができる。
【0026】
ついで、前記薄膜状溶融樹脂6、シート状中空繊維織物1、薄膜状溶融樹脂6’からなる積層物は、ニップロール8にて加圧され、前記薄膜状溶融樹脂6、6’がシート状中空繊維織物1に含浸し、図3、4に示されるような樹脂接合部c、cが形成された中空繊維シート状物9となる。
前記ニップロール8による加圧力は、中空繊維aが押し潰されず、かつ薄膜状溶融樹脂6、6’と中空繊維aの間に間隙が発生しないように調節することが好ましい。
【0027】
さらに、この中空繊維シート状物9は、ガイドロール類10によってニップロール11に導かれるまでの間に、必要によっては圧力空気などにより強制的に冷却されて前記樹脂接合部c、cが固化され、このニップロール11を介して、巻き取り部13にて巻き取られる。
また、巻き取り部13では、円筒状の中空糸膜モジュールを目的とする場合には、中空繊維シート状物9を巻き取るためのマンドレルを用いてもよい。
【0028】
前記樹脂接合部c、cの形成範囲は、シート状中空繊維織物1の両端部から、それぞれ10cm以内、実質的には4〜10cmまでの範囲とされる。
この範囲を10cm以内とするのは、本発明の中空繊維シート状物9を用いて中空糸膜モジュールを作成した場合に中空繊維のろ過機能の低下を来さないためである。
【0029】
このようにして製造した中空繊維シート状物9の樹脂接合部c、cは、図4に示したように、中空繊維a相互の間に樹脂が充填され、かつシート状中空繊維織物1(中空繊維a)の表面が樹脂で覆われるように形成されている。これら樹脂接合部c、cと中空繊維aとは、間隙なく十分に密着されている。また、この樹脂接合部c、c内部にも間隙は存在していない。このため、中空繊維aが十分に集束、固定され、中空繊維シート状物9と、この中空繊維シート状物9から形成される中空糸膜モジュールの強度を高めることができる。
【0030】
前記樹脂接合部c、c表面の凹凸の状態は、薄膜状溶融樹脂6、6’の樹脂供給量、中空繊維aの外径および配列間隔などによって決定される。
すなわち、薄膜状溶融樹脂6の樹脂供給量が多く、中空繊維aの外径が小さく、中空繊維aの配列間隔が小さい場合は、樹脂接合部c、cの表面が滑らかになり、逆の場合は凹凸が形成されやすくなる。
これら薄膜状溶融樹脂6、6’の樹脂供給量、中空繊維aの外径および配列間隔などは、この中空繊維シート状物9から形成する中空糸膜モジュールにおいて要求される中空繊維aの容積率によって決定する。
【0031】
上述の中空繊維シート状物9の製造方法によれば、製造工程の殆どを機械的かつ連続的に行うことができる。
また、ボトムロール7へのシート状中空繊維織物1と薄膜状溶融樹脂6、6’の供給位置と、これら薄膜状溶融樹脂6、6’の幅を調節すれば、樹脂接合部c、cの形成位置や範囲を調節することができ、要求される位置に樹脂接合部c、cを設けることができる。
また、前記薄膜状溶融樹脂6、6’とシート状中空繊維織物1を重ね合わせる際に、これら薄膜状溶融樹脂6、6’の温度を、中空繊維a材料の融点以上に制御するので、これら薄膜状溶融樹脂6、6’と接触した中空繊維aが密着し、これらを十分強固に接着することができる。
【0032】
また、樹脂接合部c、cを構成する薄膜状溶融樹脂6、6’としてメルトフローレートが20以上、好ましくは20〜150、さらに好ましくは40〜100という条件を満足する、溶融状態の流動性が良好な熱可塑性樹脂を用いているので、樹脂接合部c、cを形成する際には、中空繊維a相互の間に薄膜状溶融樹脂6、6’が入りこみ、シート状中空繊維織物1を介して重ね合わされるこれら薄膜状溶融樹脂6、6’どうしも、中空繊維a相互の間において接触し、密着するので、樹脂接合部c、c内部に間隙が存在せず、かつ中空繊維aと樹脂接合部c、cとが十分に接着された中空繊維シート状物9とすることができる。
このとき上述の式Iを満足すると、薄膜状溶融樹脂6、6’がシート状中空繊維織物1に接触した際のヒートショックが小さく、この中空繊維aにダメージを与えることがなく好ましい。
【0033】
このように、樹脂接合部c、c内部に間隙が存在せず、かつ中空繊維aと樹脂接合部c、cとが十分に接着されているので、中空糸繊維シート9や後述するこの中空繊維シート状物9を用いた中空糸膜モジュールに外部から応力が加わっても、樹脂接合部c、cが中空繊維aからはがれたりすることがなく、中空繊維シート状物9および中空糸膜モジュールの機械的強度を向上させることができる。
【0034】
また、中空繊維aと樹脂接合部c、c(薄膜状溶融樹脂6、6’)を構成する熱可塑性樹脂の選択条件は、樹脂接合部c、cの材料の溶融温度とメルトフローレート(20以上)のみで、各々の融点などによって左右されることはない。
したがって、中空繊維aの材料は自由に選択することができ、これら中空繊維aと樹脂接合部c、cの材料の幅の広い組み合わせが可能となり、耐溶剤性などの化学的特性に関しても、要求される性能に対応することができる。
【0035】
このように、ほとんどの工程を機械的かつ連続的に行うことができ、確実に中空繊維aと樹脂接合部c、cとが十分に接着された中空繊維シート状物9を得ることができるので、個々の製品の性能のばらつきが小さく、安定して高性能の中空繊維シート状物9とこれを用いた中空糸膜モジュールを製造することができ、効率的で、かつ経済性にも優れている。
【0036】
上述の中空繊維シート状物9を用いて、シート状、円筒状、円柱状などの中空糸膜モジュールを製造する。
図5は、2枚の中空繊維シート状物9を一度に処理することができるシート状中空糸膜モジュールの製造方法の一例を示したもので、(a)は正断面図、(b)は側面図である。
図中符号20はカートリッジ筺体であり、このカートリッジ筺体20は、2枚の中空繊維シート状物9の端部をそれぞれを挿入するためのスリット(ポッティング部)24、24が形成された板状枠23と、この板状枠23下面と対向する凹部21aを有する凸部成形具21と、これらを固定するための固定治具23bとから構成されている。
前記スリット24、24は、その内部に中空繊維シート状物9の周囲に後述するポッティングによる固定部d、dを形成するためのものである。
【0037】
シート状の中空糸膜モジュールを製造するには、まず、固定用治具23bの収納部23aに凸部成形具21を収め、さらに板状枠23の下面とこの凸部成形具21の上端面とが密接するように組み込み、カートリッジ筺体20を構成する。
ついで、2枚の中空繊維シート状物9、9の一端部の樹脂接合部c、cを、それぞれ板状枠23に設けられたスリット24、24を貫通させて、前記凸部成形具21の凹部21a内に挿入する。
そして、この凸部成形具21の凹部21aおよび板状枠23のスリット24、24内に熱可塑性樹脂からなる溶融状態の固定用樹脂22を注入して、この凸状成形具21内に凸状部22aを形成し、中空繊維シート状物9、9を封着、固定する。
【0038】
前記固定用樹脂22の固化後、板状枠23および凸部成形具21を固定具23bから取り出し、この板状枠23の下面と中空成形具21の上端面との間(図中矢印B)において、中空繊維aに対して垂直に、かつ前記樹脂接合部c、cに交わるように前記中空繊維シート状物9、9の一方の端部(ポッティング部貫通端)を切断し、中空繊維を開口させ、前記樹脂接合部c、cと固定用樹脂22からなる固定部d、dを形成する。
この中空繊維シート状物9、9の他の端部に設けられた樹脂接合部についても同様の操作を行い、その両端部を開口させたシート状中空糸膜モジュールとする。
【0039】
図6は、円筒状または円柱状の中空糸膜モジュールの製造方法の一例を示したものである。
上述の図5に示したカートリッジ筺体20と、図6に示したカートリッジ筺体30において主に異なる点は、スリット24にかわって、目的とする円筒状または円柱状の中空糸膜モジュールの外周に対応する円形の挿入部(ポッティング部)34が形成されている板状枠33を用いるところである。
前記挿入部34は、その内部に前記中空繊維シート状物9の周囲に後述する固定用樹脂(ポッティング樹脂)による固定部d’を形成するためのものである。
【0040】
まず、固定用治具33bの収納部(図示せず)に凸部成形具31を収め、さらに板状枠33の下面とこの凸部成形具31の上端面とが密接するように組み込み、カートリッジ筺体30を構成する。
ついで、中空繊維シート状物9が図1に示したように巻き取り部13にて巻取られて形成された巻状物9aの一方の端部の樹脂接合部cを、挿入部34を貫通させて凸部成形具31の凹部31a内に挿入する。
そして、凸部成形具31の凹部31aおよび板状枠33の挿入部34内に溶融状態の固定用樹脂32を注入して、この凸状成形具31内に凸状部32aを形成し、前記巻状物9aの端部を封着、硬化固定する。
【0041】
前記固定用樹脂32の固化後、板状枠33と凸部成形具31を、固定具33bから取り出し、板状枠33の下面と中空成形具31の上端面との間(図中矢印B’)において、中空繊維aに対して垂直に、かつ前記樹脂接合部cに交わるように、中空繊維シート状物9からなる巻状物9aの一方の端部(ポッティング部貫通端)を切断し、中空繊維を開口させ、前記樹脂接合部cと固定用樹脂32とからなる固定部d’を形成する。
この巻状物9aの他の端部に設けられた樹脂接合部についても同様の操作を行い、この巻状物9aの両端部を開口させ、円筒状または円柱状の中空糸膜モジュールとする。
【0042】
このとき、上述の図1に示された中空繊維シート状物9の製造において、巻き取り部13でマンドレルを用いた場合、このマンドレルは円筒状の中空糸膜モジュールを成形した後、取り除いてもよいし、取り除かなくてもよく、中空糸膜モジュールの要求される仕様によりその有無が決定されることが好ましい。
マンドレルを除去する場合は、マンドレルを除去した後の穴に、溶融熱可塑性樹脂を注入し、この穴を射止することは公知の方法であるが、この場合も射止樹脂と巻き状物に間隙がないよう留意することは当然である。
【0043】
このため、この射止樹脂として固定用樹脂32と同一のものを用い、かつこの樹脂を加熱溶融状態で前記マンドレルを除去した後の穴に注入する。すると、この樹脂と接触した固定部d’が一部溶融し、この射止樹脂と固定部d’とを一体化せしめることができ、中空糸膜モジュールの機械的強度を向上させることができる。
【0044】
上述のシート状、円筒状または円柱状の中空糸膜モジュールの製造においては、シート状中空繊維織物1としてスダレ編みシートが用いられ、連続していない複数本の中空繊維aがシートの横糸を形成しているので、その両端部に樹脂接合部c、cを設けて中空繊維シート状物9とした。
また、シート状中空繊維織物1としてラッセル編みシートを用いた場合には、隣接する横糸どうしがつながっているので、一方の端部のみに樹脂接合部cを設け、中空繊維シート状物9とすることが多い。
また前記固定用樹脂22、32として、前記樹脂接合部cの材料と同様のものを用いると、これらの接着状態が良好で、好ましい。
また、前カートリッジ筺体20、30内に中空繊維シート状物9を挿入する範囲は、中空繊維シート状物9端部から2〜7cmとされる。
【0045】
上述の中空糸膜モジュールの製造においては、中空繊維aの上に、間隙なくこの中空繊維aに密着し、かつその内部にも空隙などが存在しない樹脂接合部cが設けられた中空繊維シート状物9を用いているので、中空繊維aの束の端部に直接溶融状態の固定用樹脂を封入する場合と比べて、樹脂接合部cと固定用樹脂22、32によって構成される固定部d、d’内に間隙が形成されることが少ない。
すなわち、シート状の中空糸膜モジュールの場合の固定用樹脂22は、固定部dの表面を平坦にするとともに、その強度をさらに向上させる役割を果たせばよい。
また、円筒状、または円柱状の中空糸膜モジュールを製造する場合の固定用樹脂32は、巻状物9aをなす複数層の中空繊維シート状物9を相互に接着し、円筒状、または円柱状の形状を保持するとともに、固定部d’表面を平坦にする役割を果たせばよい。
【0046】
また、前記樹脂接合部cによって中空繊維aが保護されているので、溶融状態の固定用樹脂22、32を封入しても、中空繊維aが熱によるダメージを直接うけることが少なく、また、中空繊維aによって溶融状態の固定用樹脂が吸い上げられて、固定部d、d’の位置がずれたりすることがない。
こうして、前記中空繊維aの束の端部に直接溶融状態の固定用樹脂を封入する場合と比べて固定部d、d’と中空繊維aとの接着状態が良好で、これら固定部d、d’内部に空隙などが存在しない、強度の高い中空糸膜モジュールを安定して得ることができる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
(実施例1)
上述のようにして中空繊維シート状物と、これを用いた中空糸膜モジュールを製造した。
ただし、シート状中空繊維織物としてラッセル編みシートを用いたので、樹脂接合部はこのシート状中空繊維織物の一方の端部のみに形成し、この中空繊維シート状物を用いて一方の端部のみを開口させた円筒状の中空糸膜モジュールを製造した。
【0048】
シート状中空繊維織物としては、三菱レイヨン(株)製EHF410A(ラッセル編みシート)を用いた。
このシート状中空繊維織物を構成する中空繊維は、平均外径415.8μm、平均内径279.8μmで、その構成材料はポリエチレン樹脂であり、その融点は136℃、空孔率は71.2%、材料比熱は0.50、単位重量は0.02g/mであった。
このシート状中空繊維織物は幅265mm、相隣合う中空繊維間の距離は中空繊維断面の中心間距離で0.7mmであった。
また、樹脂接合部の材料としては、三井石油化学(株)製 ミラソン(製品記号 FL60)を用いた。この樹脂接合部の材料は、融点106℃、メルトフローレート70、材料比熱0.50、単位重量0.9g/ccであった。
【0049】
最初に図1に示すように、前記シート状中空繊維織物1を、引き出し速度500mm/minで駆動ロール2によって引き出した。このときのこのシート状中空繊維織物1の温度は室温と同等の25℃であった。
一方、幅40mmのシート状の薄膜状溶融樹脂6、6’が、各々に一系列ずつ吐出ダイ5および5’から、それぞれ約3.4cc/minの速度で供給されるように、樹脂定量供給機3、3’を駆動した。
このときの薄膜状溶融樹脂6、6’の温度は145℃であった。
【0050】
上述の薄膜状溶融樹脂6、6’とシート状中空繊維織物1の一方の端部をボトムロール7上で重ね合わせ、このシート状中空繊維織物1の両面から薄膜状溶融樹脂6、6’を供給し、この積層物にニップロール8を線圧200g/40mmとなるように押しつけ、樹脂含浸し、図2に示すような、ただし、その一方の端部のみに樹脂接合部cを有する中空繊維シート状物9とした。
このとき、前記式Iにおける左辺の値は34.88であり、右辺の値は27.54であったので、この式Iの関係は満足されていた。
【0051】
この中空繊維シート状物9をガイドロール類10によってニップロール11に導くまでの間に圧力空気により強制的な冷却を行い、室温と同等の温度として前記樹脂接合部cを固化し、ニップロール11を介して巻き取り部13にて巻き取った。
【0052】
このようにして製造した中空繊維シート状物9を用いて、図6に示したように、円筒状の中空糸膜モジュールを製造した。
このとき固定用樹脂32として、前記樹脂接合部cを構成する樹脂と同様のものを用い、その溶融状態での温度は145℃とした。また、固定部d’の厚さは3mmであった。
この中空糸膜モジュールの固定部d’に3kg/cmとなるように水圧をかけたが、リークは認められなかった。
【0053】
(実施例2)
実施例2と上述の実施例1と異なるところは、樹脂接合部cおよび固定用樹脂32の材料をかえた点である。
すなわち、実施例2においては、住友化学(株)製 スミカロン(製品記号 G806)を用いた。
この材料は、融点104℃、メルトフローレート50、材料比熱0.50、単位重量0.92g/ccであった。
また、薄膜状溶融樹脂6、6’の温度は143℃とし、溶融状態の固定用樹脂32の温度は140℃とした。
【0054】
実施例2の中空糸膜モジュールについて実施例1と同様に、この中空糸膜モジュールの固定部d’に3kg/cmとなるように水圧をかけたが、中空繊維aと固定部d’との境界部分からのリークは認められなかった。
【0055】
(比較例)
薄膜状溶融樹脂6、6’の温度を115℃、すなわち中空繊維aの構成材料の融点よりも低い温度とした以外は、実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを製造した。
このとき上述の式Iの左辺の値は34.88で、右辺の値は−76.5であった。
この比較例の中空糸膜モジュールについて実施例1と同様に、この中空糸膜モジュールの固定部dに3kg/cmとなるように水圧をかけたが、中空繊維aと固定部d’(樹脂接合部c)との接合力が弱く、これらの境界部分からのリークが多数発生した。
【0056】
これら実施例および比較例の結果より、本発明に係る実施例においては中空繊維aと固定部d’との接着状態が良好で、強度の高い中空糸膜モジュールを製造できることが確認された。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、中空繊維シート状物の製造工程の殆どを機械的かつ連続的に行うことができる。
また、ボトムロールへのシート状中空繊維織物と溶融熱可塑性樹脂の供給位置を調節すれば、熱可塑性樹脂接合部の形成位置を調節することができ、要求される位置にこの樹脂接合部を設けることができる。
【0058】
また、前記熱可塑性樹脂接合部を形成するにおいて、溶融熱可塑性樹脂(薄膜状溶融樹脂)とシート状中空繊維織物とを重ね合わせる際、溶融熱可塑性樹脂の温度を、中空繊維材料の融点以上に制御するので、溶融熱可塑性樹脂と接触した中空繊維の表面との密着性が向上し、これらが十分強固に接着される。
【0059】
また、前記溶融熱可塑性樹脂としてメルトフローレートが20以上、好ましくは20〜150、さらに好ましくは40〜100という条件を満足する熱可塑性樹脂を用いているので、溶融状態の流動性が良好で、熱可塑性樹脂接合部を形成する際に、中空繊維相互の間にこの樹脂が入り込み、間隙なく充填される。
また、前記溶融熱可塑性樹脂をシート状中空繊維織物の両面から供給する場合には、シート状中空繊維織物を介して重ね合わされる溶融熱可塑性樹脂どうしも、中空繊維相互間において接触し、密着するので、熱可塑性樹脂接合部内部に間隙が存在せず、かつ中空繊維と、熱可塑性樹脂接合部とが十分に接着された中空繊維シート状物とすることができる。
このとき上述の式Iを満足することによって、溶融熱可塑性樹脂が接触した際の中空繊維に対するヒートショックが小さく、中空繊維にダメージを与えることが少ないので好ましい。
【0060】
このように、熱可塑性樹脂接合部内部に間隙が存在せず、かつ中空繊維と熱可塑性樹脂接合部とが十分に接着されているので、中空糸繊維シートと、この中空繊維シート状物から構成された中空糸膜モジュールに外部から応力が加わっても、熱可塑性樹脂接合部が中空繊維からはがれたりすることがなく、中空繊維シート状物および中空糸膜モジュールの機械的強度を向上させることができる。
【0061】
また、中空繊維と熱可塑性樹脂接合部の材料である熱可塑性樹脂の選択は、熱可塑性樹脂接合部の材料をメルトフローレート20以上のものとするという条件に制限されるのみで、各々の融点などによって左右されることはない。
したがって、中空繊維の材料は自由に選択することができ、中空繊維と熱可塑性樹脂接合部の材料の幅の広い組み合わせが可能となり、耐溶剤性などの化学的特性に関しても、要求される性能に対応することができる。
【0062】
さらに殆どの工程を機械的かつ連続的に行うことができ、確実に中空繊維と熱可塑性樹脂接合部が十分に接着された中空繊維シート状物を得ることができるので、個々の製品の性能のばらつきが小さく、高性能の中空繊維シート状物を安定して製造することができる。
【0063】
また、本発明の中空糸膜モジュールの製造方法においては、予め熱可塑性樹脂接合部が設けられた中空繊維シート状物を用いるため、この中空繊維シート状物を構成する中空繊維上には予め、間隙なくこの中空繊維に密着し、かつその内部にも空隙などが存在しない熱可塑性樹脂接合部が設けられている。したがって、中空繊維束に直接溶融状態の固定用樹脂を封入する場合と比べて、熱可塑性樹脂接合部とこの固定用樹脂によって構成される固定部内に間隙が形成されることが少ない。
【0064】
また、前記熱可塑性樹脂接合部によって前記中空繊維が保護されているので、溶融状態の固定用樹脂を封入しても、中空繊維aが直接ダメージをうけることが少なく、また、中空繊維によって溶融状態の固定用樹脂が吸い上げられて、固定部の位置がずれたりすることがない。
こうして、前記熱可塑性樹脂接合部と固定用樹脂からなる固定部と中空繊維との接着状態が良好で、固定部の内部に空隙などが存在せず、強度の高い中空糸膜モジュールを安定して得ることができる。
【0065】
このように、中空繊維シート状物を機械的かつ連続的に製造することができるので、中空繊維シート状物およびこれを用いた中空糸膜モジュールの不良品の発生率が低く、効率的であり、かつ経済性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空繊維シート状物の製造方法の一例を示した図である。
【図2】本発明において用いられるシート状中空繊維織物の一例を示した斜視図である。
【図3】本発明の中空繊維シート状物の一例を示した斜視図である。
【図4】図3における切断線断A一A’における断面図である。
【図5】本発明のシート状中空糸膜モジュールの製造方法の一例を示した図である。
【図6】本発明の円筒状または円柱状の中空糸膜モジュールの製造方法の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 シート状中空繊維織物
9 中空繊維シート状物
20 カートリッジ筺体
22 固定用樹脂
24 スリット(ポッティング部)
30 カートリッジ筺体
32 固定用樹脂
34 挿入部(ポッティング部)
a 中空繊維(横糸)
b フィラメント(縦糸)
c 熱可塑性樹脂接合部
d、d’ 固定部

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂からなる中空繊維が実質的に互いに平行に配されてなるシート状中空繊維を連続的に移送し、このシート状中空繊維の端部のいずれか一方もしくは両方に、この端部より10cm以内の範囲に、薄膜状溶融熱可塑性樹脂を該シート状中空繊維の両面から供給して熱可塑性樹脂接合部を形成し、中空繊維シート状物とすることを特徴とする中空繊維シート状物の製造方法。
  2. 前記薄膜状溶融熱可塑性樹脂のメルトフローレートが20〜150である請求項1に記載の中空繊維シート状物の製造方法。
  3. 前記シート状中空繊維に接触する際の前記薄膜状溶融熱可塑性樹脂の温度が、中空繊維材料の融点以上である請求項1又は2に記載の中空繊維シート状物の製造方法。
  4. 前記シート状中空繊維に前記薄膜状溶融熱可塑性樹脂を供給する際に、下記の式Iで表される関係を満足することを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の中空繊維シート状物の製造方法。
    W1・C1(T−T1)≧W2・C2(T2−T) ・・・(I)
    ここで、前記式I中の符号は以下のものを表している。
    C1:中空繊維材料の材料比熱
    T :中空繊維材料の融点
    W1:中空繊維の単位重量
    C2:薄膜状溶融熱可塑性樹脂の材料比熱
    W2:薄膜状溶融熱可塑性樹脂の単位重量
    T1:薄膜状溶融熱可塑性樹脂と中空繊維とが接触するときの中空繊維の温度
    T2:薄膜状溶融熱可塑性樹脂と中空繊維とが接触するときの薄膜状溶融熱可塑性樹脂の温度
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法で得られた中空繊維シート状物を、その熱可塑性樹脂接合部が、カートリッジ筺体内のポッティング部を貫通するように収め、熱可塑性樹脂からなる溶融固定用樹脂をこのポッティング部内に封入、固定化させた後、前記中空繊維シート状物を構成する中空繊維に対して垂直に、かつ前記熱可塑性樹脂接合部に交わるように中空繊維シート状物のポッティング部貫通端を切断し、前記中空繊維を開口させることを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
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