JP3623801B2 - 牛乳やクリームなどの流体を連続的に殺菌するための設備 - Google Patents

Description

技術分野
本発明は、牛乳やクリームなどの流体を連続的に殺菌するための設備に関し、この設備は、水蒸気を供給する間に流体を殺菌する殺菌装置と、流体から水を除去し、ポンプによりそこから流体を抽出するための真空室とを備える。
背景の技術
とりわけ、AU−PS610233は、牛乳を殺菌するための設備を開示している。この設備は、直接UHT設備（直接超高温設備）と呼ばれる。これらの設備では、殺菌装置に送られた牛乳に水蒸気を噴霧して、牛乳を約140℃の温度に加熱する。続いて、牛乳をいわゆる保持室に送り、所定期間（およそ２〜15秒間）加熱状態に保つ。その後、牛乳はあふれ出て真空室に移動する。この真空室で、真空室を出るときの牛乳の固体含有量が水蒸気を供給する前と同じになるように、水蒸気から得た水分を再び除去する。真空室での処理の後、通常、牛乳をホモジナイザーに送り、その後冷却およびパック詰めを行う。
また、蒸気注入器によって直接水蒸気を牛乳に噴霧することによって、殺菌を行う設備も知られている。
前記の設備は、とりわけ殺菌装置における加熱処理の後、各構成部分を無菌状態にしなければならないため、比較的コストが高くつく。この要件に応じるために、いたるところで予防措置を講じなくてはならない。とりわけ、真空室と、ポンプやホモジナイザーなどの殺菌装置以後の残りの構成部分との両方における、水蒸気止め付きの高価なガスケットが問題である。
発明の簡単な説明
本発明の目的は、既知のものより低コストで製造することができる設備を提供することである。
本発明による設備は、流体が流れる方向に見たとき、殺菌装置より前に真空室が設置されていることを特徴とし、この真空室は、流体を殺菌装置に入る前に加熱する第一熱交換器を介して、前記の殺菌装置に接続される。
このようにして、殺菌に続く構成部分の数が大幅に削減される。真空室では、当該の流体から水を除去して流体を更に濃縮し、殺菌室では、水蒸気によってこれと同量の水を再び加える。既知の設備と同様に、温度、ならびに水の除去と添加は、当該流体中の固形物の設備の出口における濃度が、同設備の入口と同じになるように制御される。真空室およびこれに関連する構成部分が殺菌装置より前に配置されているため、設備のこの部分には無菌措置に関する要件は存在せず、その結果、設備全体が既知のものより低コストで製造される。
本発明によれば、ホモジナイザーは、真空室の出口にあるポンプと第一熱交換器の間に連結することができ、その結果、この設備は、牛乳の処理に特に適している。また、殺菌装置より前にホモジナイザーを配置するということは、このホモジナイザーが無菌状態である必要がないことをも意味する。したがって、ホモジナイザーもまた、比較的低コストで製造することができる。
本発明によると、第一熱交換器は、流体を殺菌装置に移送する前に、約115℃〜約120℃の温度に流体を加熱するように構成されていると有利であり、その結果、殺菌装置は最適に作動する。同様に、これに対応する流体の濃縮を真空室内で確実に実施するために、本発明によると、第二熱交換器が、流体の流れの方向に見て前記の真空室の前に配置されていると有利であり、この第二熱交換器は、前記流体が真空室に入る前に、約90℃〜約100℃の温度に流体を加熱する。さらに、前記第二熱交換器と真空室の間に、比較的長い管を配置することができる。この管により、流体が真空室に移送される前に、流体の当該の温度での適切な滞在期間を確保する。牛乳の場合、ここでは、牛乳の蛋白質含有量の適当な安定化が実施される。殺菌装置の出口は、流体の殺菌装置からの迅速な除去及びその保持室への移送を確実にするために、しばしばポンプに接続される。本発明によれば、このポンプの出口は、保持室として機能する比較的長い管によって流体を冷却するため、第三熱交換器に接続されていてもよい。この熱交換器により、それまで保持室に約140℃の高温に適当な短期間滞在していた流体の迅速な再冷却を確実にすることができる。
最後に、本発明によると、第三熱交換器は、適切に、流体の温度を約25℃に低下させる二段熱交換器とすることができる。このようにして、第三熱交換器の各段は、順に第一熱交換器および第二熱交換器とそれぞれと協働するように適切に構成させることができる。
【図面の簡単な説明】
牛乳またはクリームを殺菌するための設備の概略図を示す添付図面を参照しながら、以下に本発明を詳細に説明する。
本発明を実施するベストモード
本設備は、真空室１および殺菌タンク２を含み、これらは共に既知の従来型のものである。真空室１の入口３は、適当に長い管４を介して熱交換器５に接続され、熱交換器５は管６を介して未殺菌の牛乳またはクリームを入れた供給源に接続される。真空室の出口７は渦巻ポンプ８に接続され、渦巻きポンプ８の出口は、従来の既知の型のホモジナイザー10を介して熱交換器11と連通する管９に接続される。この熱交換器11は、適当な長さの管12を介して殺菌タンク２の入り口13に接続される。殺菌タンク２の出口14は、渦巻きポンプ15に接続され、それによって、適当な長さの管16を介して連続する二つの熱交換器17および18に接続される。後者の熱交換器18は、管19を介して、殺菌済みの牛乳またはクリームのその後の処理用の構成部分（図示せず）に接続される。
本設備を牛乳の殺菌に使用する場合は、未殺菌の生乳を、約５℃の温度で管６を介して熱交換器５に移送し、そこで牛乳の温度を、約90〜100℃に上げる。この熱交換器５から、流体は、比較的長い管４を介して真空室１へと流れるが、この管４の長さは、牛乳がこの管の内部に約30秒程とどまり、その結果牛乳が真空室１に到達する前に確実に蛋白質が適当に安定化するように構成される。真空室では、牛乳が受ける圧力の低下により、水は沸騰して除去される。牛乳の温度は、真空室１の出口で約75℃に低下し、一方水蒸気は、管20を介して従来通りの既知の方法で排出される。その結果生じた、更に濃縮された牛乳は、渦巻きポンプ８により真空室から素速く移送され、続いてホモジナイザー10に移る。その後、濃縮牛乳は熱交換器11を通過し、そこで約115℃〜120℃に温度が上げられる。熱交換器11から、牛乳は管12を介して殺菌タンク２へ進み、ここで濃縮牛乳は、管21を介して直接水蒸気を供給される間に殺菌される。上記AU−PS610233を参照のこと。殺菌タンク２で、牛乳は約140℃の温度に加熱され、続いて、渦巻きポンプ15によってそこから素速く移送され、管16に数秒間とどまった後、熱交換器17および18に移送される。熱交換器17で、温度が約85℃に下げられ、熱交換器18で、温度が約25℃に下げられる。管16では、渦巻きポンプ15により、殺菌済み牛乳は、水蒸気が残っていても牛乳に吸収されるように比較的高圧力に保たれる。
当該温度ならびに真空室と殺菌タンクの制御は、殺菌タンク２に供給される水の量が真空室１で除去される水の量と等しいことを確実にするように監視される。
図面に図示されているように、使用されるエネルギーが最大限に利用されるように、熱交換器５および18は流体回路22を介して協働し、熱交換器11および17は流体回路23を介して協働する。適当な熱交換器24および25はそれぞれ、前記の流体回路22と23の中間に連結され、これらの熱交換器は、必要な温度が水蒸気によって維持されることを確実にする。
以上、本発明を、好ましい実施の形態に関して説明した。本設備を、デザート製造用の製品やクリームなど、牛乳以外の流体の処理に使用する場合には、ホモジナイザー10を省略することができる。
AU−PS610233による既知の型の殺菌タンク２の代わりに、牛乳の流れに直接水蒸気を噴霧する蒸気注入器を使用することもできる。
本発明の範囲から逸脱することなく、多くの修正を本設備に加えることができる。

Claims (7)

1. 水蒸気が供給される間に流体を殺菌する殺菌装置と、前記流体から水分を除去し、かつ該流体がポンプによって抽出される真空室とを備える牛乳やクリームなどの流体を連続的に殺菌する設備であって、前記流体の流れる方向に見たとき、前記真空室（１）が前記殺菌装置（２）より前に設置され、前記真空室（１）が、流体が前記殺菌装置（２）に入る前にこれを加熱するための第一熱交換器（11）を介して、前記殺菌装置（２）に接続されており、殺菌装置が、真空室によって取り除 かれた量に実質的に対応する量の水分を流体に供給する ように構成されていることを特徴とする設備。
2. ホモジナイザー（10）が、前記真空室（１）の出口（７）にあるポンプ（８）と、前記第一熱交換器（11）の間に設けられていることを特徴とする請求の範囲第１項に記載の設備。
3. 前記流体が前記殺菌装置（２）に移送される前に、前記第一熱交換器（11）が、該流体を約115℃から約120℃の温度に加熱するように構成されていることを特徴とする請求の範囲第１項または第２項に記載の設備。
4. 前記流体の流れの方向に見たとき、第二熱交換器（５）が前記真空室（１）より前に設けられており、前記第二熱交換器が、前記流体が前記真空室（１）に移送される前に該流体を約90℃から100℃の温度に加熱し、比較的長い管（４）が、前記第二熱交換器（５）と前記真空室（１）の間に設けられていることを特徴とする請求の範囲第１項、第２項、または第３項に記載の設備。
5. 前記流体の流れの方向に見たとき、前記殺菌装置（２）から流体を吸い出す第二ポンプ（15）が前記殺菌装置（２）より後に設けられており、前記第二ポンプ（15）の出口が、前記流体を冷却する第三熱交換器（17,18）に、比較的長い管（16）を介して接続されていることを特徴とする請求の範囲第１項から第４項のいずれか一つ以上の項に記載の設備。
6. 前記第三熱交換器（17,18）が、前記流体の温度を約25℃に低下させる二段熱交換器であることを特徴とする請求の範囲第５項に請求の設備。
7. 前記殺菌装置が蒸気注入器であることを特徴とする請求の範囲第１項から第６項のいずれか一つ以上の項に記載の設備。

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