JP3623162B2 - ウイルスの検出又は測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はウイルスの検出又は測定方法及びそのための試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、種々のウイルス検出法は、血液や血液製剤中の感染性ウイルスの存在のスクリーニングや、疾患患者中のウイルスの有無の判定などに用いられている。しかしながら、それらの方法は、各種ウイルスによっても若干異なるが、必ずしも高感度、高特異性を有している場合だけではなく、たとえそうであっても、高コストであったり、ウイルス分離培養のように長時間を必要としたりするものが多い。以下、主にC型肝炎に関して述べ、本発明の背景技術とする。
【0003】
C型肝炎は、長い間その原因因子が明らかではなかったが、その遺伝子がクローニングされ(Science 244:359−362,1989)、その遺伝子を基に作られたリコンビナント抗原を用いた抗体測定による診断法が開発されたことにより(Science 244:362−364,1989);特表平2−500880号公報)、HCV(C型肝炎ウイルス、HepatitisC Virus)を原因因子とする、血液及び血液関連製剤を主たる感染経路とする感染症であることが明らかとなった。組換えコア抗原、組換えNS3抗原を加えたいわゆる第2世代抗体検査法の開発により、HCV感染者のほとんどを血清検査により判別する事が可能となった。このことにより国内献血による感染をほとんど絶つことが可能となった。
【0004】
しかしHIV(ヒト免疫不全症ウイルス)などの一般的なウイルス感染症同様に、感染初期の抗体が生じて来るまでの期間、いわゆるウィンドピリオドと呼ばれる判別不能期間が存在し、売血が認められている地域などや国内の一部でも抗体検査では判別できなかった血液由来の成分により、依然として二次感染が起こるリスクが存在している。また抗体検査は、その原理から感染後治癒した既住者か、活動性の感染者か否かを判別することが出来ないことが問題である。
【0005】
また現在C型肝炎の治療にはインターフェロン(IFN)が用いられているが、IFNによりHCVが駆除されて6ヶ月後にはHCV抗体価が低下することからHCV抗体価を測定することのみにて治療効果を判別することが可能であるとする研究者もいる。しかし抗体価の動きは抗原刺激低下後、すなわち抗原駆除後数カ月間以降でないと低下しないことから、抗体検査を行なうのみではIFN投与によりHCVが駆除されたか否かを適時に的確に判別することが出来ない。すなわち治療のモニタリングを行なうためには、HCVに対する抗体ではなく、HCVそのものを検出する方法が必要である。
【0006】
HCVは他のウイルスたとえばHBV(B型肝炎ウイルス)などに比して血中ウイルス量が低い事、および生体外(in vitro)で、または動物などを宿主としてウイルスを増殖させることが出来ないため、ウイルス粒子(ウイルス抗原)を直接検出する方法を確立することが困難であった。そのためウイルス抗原を検出する代わりにPCR(ポリメレースチェーンリアクション)法(Science 230:1350−1354,1985)や分岐鎖DNAプローブ法により、ウイルスゲノムRNAを検出する方法が開発された。しかしウイルスゲノムを検出する方法は、ウイルス抗原を検出する方法と比較していくつかの問題点がある。
【0007】
まず検出する物質がRNAであるため保存安定性が低いため、血清の凍結融解操作により定量値が低下するなどの問題が指摘されている。そのため従来の血清検査法よりも検体の保存に留意する必要が生じる。また検体の輸送の際にも細心の注意をはらう必要が有る。
【0008】
例えばPCR法を用いた検査法は、遺伝子断片を検出するには最も高感度な検出方法であるが、検体中からHCVゲノムRNAを抽出する際、またゲノムRNAから鋳型DNAへの逆転写の際にロスを生じやすく安定した定量値を得るためには熟練を要すること、また増幅を行うことが重要な原理であるために、コンタミネーションを起こした際、高頻度に偽陽性を生ずるなどの問題があり、一度に大量の検体を処理することができない。また簡便とされる方法を用いても前処理時間が2時間以上も必要であり、多数回の遠心操作を含むなど煩雑である。加えて、このように操作が繁雑であるために、コンタミネーションの機会が増え、偽陽性検体の生じる可能性を増加させている。一方分岐鎖DNAプローブ法は検出感度が低く、結果が得られるまで約20時間を要し(医学と薬学 31:961−970,1994)、感度、操作時間という点で課題が残されている。
【0009】
上記のウイルスゲノムを検出する方法の問題点を解決するために、ウイルス抗原を直接検出する方法も開発された。特開平8−29427に示されているように、HCVのコア抗原に対して特異性を有するモノクローナル抗体を用いて、血清中のコア抗原を検出する方法が開発された。本報は田中等(Jounal of Hepatology 23:742−745,1995)および藤野等(医学と薬学 36:1065−1070,1996)に報告されているように血清中に存在するコア抗原を検出することにより、上記のウイルスゲノムを検出する方法同様に臨床的有用性を持つことが示されている。しかしながらウイルスゲノム検出法と同様にいくつかの点で大きな問題が残されている。
【0010】
一点はPCR法と比較して感度が低いため、血清スクリーニングの最終検査に用いることが出来ないことである。田中等(Jounal of Hepatology 23:742−745,1995)は,HCV RNA量として、10 〜10 コピー/ml間が検出限界であることを示しており、藤野等(医学と薬学 36:1065−1070,1996)は、最も感度が高い検出方法であるCRT(コニペティテブリバーストランスクリプション)−PCR法でRNA陽性に分類されるC型慢性肝炎患者102例の治療前血清において、67%の陽性率であることを報告している。すなわち、感度の高いCRT−PCR法と比較した場合に感度の面で大きく劣っている。
【0011】
さらに測定のための検体処理の工程が繁雑であり、かつ時間がかかることがスクリーニングなどの用途に用いようとした際に問題となる。すなわち検体(血清)の処理のために、ウイルス粒子の濃縮と血清成分の除去のためのポリエチレングリコール(PEG)処理(4℃1時間)、遠心操作(15分間)、上清の除去、尿素処理、アルカリ処理(37℃30分間)、中和剤添加といった多段階処理工程を必要とする。また強固に形成され、PEGにより粘性を増した沈殿の尿素処理による分散工程は、非常に熟練を要する作業である。そのため、再現性を得るためには熟練度が必要であり、また最低約2時間の処理時間が必要である。さらに遠心操作、上清除去等の工程があるために、自動化が困難で、かつ同時大量処理を困難にしており操作面においてもスクリーニングなどの大量処理を必要とする用途に適していない。
【0012】
一方ウイルス抗原検出系は、以下の点で高感度PCR法と比較して優れている点がある。すなわち検出過程で過度の増幅処理操作が加わらないため、コンタミネーションに対し、非常に寛容である。またRNAのように不安定な物質を検出するのではなく、比較的安定な物質である抗原蛋白質を検出することから、検体の保存に過度の注意をはらう必要がなく、PCR検体に求められる超低温槽のような特別な機器を用いる必要もなく、また検体の輸送も容易になる。
【0013】
これらの特長は、例えば血液事業や健康診断の様に、多数の検体を測定する用途に適した要件である。しかしながら、既に指摘したように、開示されているコア抗原検出法は、前処理が煩雑で自動化に適していない、感度が低く例えば血液事業などの感度が求められる様な用途におけるゴールデンスタンダードになり得ないなどの理由により、多数の検体を扱ういわゆるスクリーニング用途に用いることが出来ず、PCR法に対して優れている点を活かすことが出来ていない。また、臨床的に有用性が高い測定方法は、常に感度、特異性、再現性、操作性、低コストを課題とし、これらを全て満たすように鋭意開発していく必要性がある。HCV以外のウイルス抗原の検出に関しても、特に多数の検体を測定するスクリーニング用途においては、PCR法と比較して低感度であり、有用な前処理法やその抗原の露出がされないといった理由のために実用化されていないものが多い。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、血液事業や健康診断のような、いわゆるスクリーニング用途の如き多数の検体を処理するのに適したウイルス抗原検出法を提供することである。すなわちPCR法と比較し同等の感度、特異度を持ち、前処理を簡便化すること、あるいは前処理操作をせずに容易に自動化などの大量処理システムに適用可能なウイルス抗原検出系を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様によれば、ウイルス粒子を破壊して、ウイルス抗原を十分に露出し、ウイルス抗原に対する抗体が存在する場合には該抗体を破壊して、ウイルス抗原を検出又は測定することによりウイルスを検出又は測定する手段を提供する。
従って、本発明は、()ウイルスを含む検体を、(1)陰イオン性界面活性剤及び、(2)両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又は蛋白質変性剤のいずれかを含む処理液で処理することを特徴とするウイルス含有検体の処理方法を提供する。
【0016】
本発明はまた、()ウイルスを含む検体を、(1)陰イオン性界面活性剤、(2)両イオン性界面活性剤、及び(3)非イオン性界面活性剤又は蛋白質変性剤のいずれかを含んだ処理液で処理することを特徴とするウイルス含有検体の処理方法を提供する。
本発明はまた、()ウイルスを含む検体を、(1)陰イオン性界面活性剤、(2)両イオン性界面活性剤、(3)非イオン性界面活性剤、及び(4)蛋白質変性剤を含んだ処理液で処理することを特徴とするウイルス含有検体の処理方法を提供する。
【0017】
本発明はさらに()前記()〜()のいずれかに記載の検体処理方法を用いて、ウイルス抗原を特異的に認識するプローブを反応させることにより、ウイルス抗原の存在を検出又は定量することを特徴とするウイルスの測定方法を提供する。
本発明はさらに、前記()の免疫測定方法に用いるための、陰イオン性界面活性剤を含んで成る、検体中のウイルスの有無を判別するキット、定量するキット又は診断薬を提供する。
本発明はさらに、前記()の免疫測定方法に用いるための、後記のモノクローナル抗体を含んでなる、検体中のウイルスの有無を判別するキット、定量するキット又は診断薬を提供する。
【0018】
本発明の第二の態様によれば、ウイルスに対する抗体がまだ生成していないウインドピリオドにおけるウイルス抗原の検出又は測定方法を提供する。この方法においては、ウイルス粒子を破壊してウイルス抗原を露出せしめるだけで十分であり、ウイルス抗原に対する血中の抗体を破壊する必要がない。
従って本発明はさらに、ウイルスの測定方法において、炭素原子数10個以上のアルキル基と第2〜第4級アミンとを有する界面活性剤もしくは非イオン界面活性剤、又はこの両者の存在下で、ウイルス抗原をそのプローブとの結合により測定することを特徴とする方法を提供する。
【0019】
本発明はさらに、上記のウイルス抗原の中で、HCVコア抗原の検出のためのプローブとして適するモノクローナル抗体を生産するHC11−14(FERMBP−6006),HC11−10(FERM BP−6004),HC11−3(FERM BP−6002)、及びHC11−7(FERM BP−6003)から成る群から選択されるハイブリドーマ細胞株を提供する。
本発明はまた、HC11−14(FERM BP−6006),HC11−10(FERM BP−6004),HC11−3(FERM BP−6002),HC11−7(FERM BP−6003)から成る群から選択されるハイブリドーマによって産生されるモノクローナル抗体を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の対象となるウイルスは、ゲノムRNA又はDNAを包む構造蛋白質と、それを取り囲む膜蛋白質又は脂質膜から構成される構造を有するウイルス粒子を形成するウイルスである。
ゲノムとしてRNAを有する上記ウイルスの代表的例としてはC型肝炎ウイルス(HCV)、及びHCV類縁ウイルスが挙げられる。
【0021】
HCV類縁ウイルスとしては、C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、手足口病ウイルス、フラビウイルス(黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、日本脳炎ウイルス、デングウイルス)、トガウイルス(アルファウイルス、ルビウイルス、アルテリウイルス、ルベラウイルス)、ペスチウイルス(ブタコレラウイルス、ウシ下痢ウイルス)、パラミクソウイルス(パラインフルエンザウイルス1,2,3,4、イヌジステムパ−ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、RSウイルス、リンダペストウイルス、サルパラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス)、オルソクソウイルス(ヒトインフルエンザウイルス、
【0022】
トリインフルエンザウイルス、ウマインフルエンザウイルス、ブタインフルエンザウイルス)、ラブドウイルス(狂犬病ウイルス、水泡性口内炎ウイルス)、ピコルナウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ウシエンテロウイルス、ブタエンテロウイルス、サルエンテロウイルス、マウス脳脊髄炎ウイルス、ヒトライノウイルス、ウシライノウイルス、ウマライノウイルス、口蹄疫ウイルス、A型肝炎ウイルス)、コロナウイルス(ヒトコロナウイルス、ニワトリ伝染性気管支炎ウイルス、マウス肝炎ウイルス、豚伝染性胃腸炎ウイルス)、アレナウイルス(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ラサウイルス、韓国型出血熱ウイルス)、レトロウイルス(HTLV:ヒト成人白血病ウイルス、HIV:エイズウイルス、ネコ白血病肉腫ウイルス、牛白血病ウイルス、ラウス肉腫ウイルス)、レオウイルス(ロタウイルス)、カリシウイルス(ノーウオークウイルス)、ブンヤウイルス(腎症候性出血熱ウイルス)、フィロウイルス(エボラウイルス、マールブルグウイルス)などがあげられる。
【0023】
また、ゲノムとしてDNAを有する上記ウイルスの代表例としてはB型肝炎ウイルス(HBV)、及びHBV類縁ウイルスが挙げられる。HBV類縁ウイルスとしては、ポックスウイルス(ワクシニアウイルス、アラストリウムウイルス、牛痘ウイルス、天然痘ウイルス)、パルボウイルス(ヒトパルボウイルス、豚パルボウイルス、牛パルボウイルス、犬パルボウイルス、ネコ白血球減少症ウイルス、ミンクアリューシャン病ウイルス)、パポーバウイルス(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス)、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、EBウイルス、馬ヘルペスウイルス、ネコヘルペスウイルス、マレック病ウイルス)、アフリカ豚コレラウイルスなどがあげられる。
【0024】
また、これらの他にも各種病原性のあるウイルスが知られているし、また未確認のウイルスもまだ存在しているが、それらのウイルス構造が前述のように、ゲノムRNA又はDNAを包む構造蛋白質と、それを取り囲む膜蛋白質や脂質膜から構成される構造をもつウイルス粒子を形成するウイルスであれば、本発明も処理方法により、免疫測定法に適した状態に遊離させることができることは明白である。
【0025】
以下に、HCVコア抗原を中心に実施形態を述べる。
HCVは血中濃度が10 コピー/ml〜10 コピー/mlと、HBV(10 コピー/ml)と比較し低いことから、ウイルス抗原を検出するためには極めて高い感度を必要とする。
一般に抗体をプローブとする免疫学的な手法に代表される検出方法に於て、検出感度を増加させる方法としては、I)検出する抗原分子の分子数を上昇させる、II)抗原に結合するプローブ、例えば抗体の分子数を上昇させる、III)検出感度の下限を規定するプローブ、例えば抗体と抗原以外の物質との結合などに起因する非特異反応を減少させる、IV)検出に用いる標識物の検出感度を増加させる方法が考えられ、これらの方法を組み合わせることにより感度を上昇させることが可能となる。
【0026】
抗原分子数を増加させる方法としては、I−1)検体の量を増加させる事が最も容易に考えられることであるが、一般的に用いられている反応系(例えば96wellイムノプレート)では最大添加可能な容量は300μl程度であり自ずと上限が規定されるので、I−2)濃縮により反応系に加える分子数を増加させる方法が用いられる。
【0027】
抗原に結合する検出のためのプローブ、例えば抗体の分子数を上昇させるためには、II−1)複数のプローブ、例えば抗体を用いることにより認識エピトープの数を増加させる、II−2)プローブ、例えば抗体と抗原との親和性(アフィニティー及びアビディティー)を上昇させることにより、単位時間あたりに結合する抗体の数を増加させる事が容易に考えつく手法である。ここで抗原とプローブ、例えば抗体の親和性を向上させる方法としては、反応系の緩衝液の組成を変化させる方法、プローブを改変する方法、これらの組み合わせが考えられる。II−3)ビーズや磁性粒子などの表面積の広い担体に多量に抗体を結合させることによって、限られた量の抗原との反応面積を広くすることにより、多くの抗原を捕獲することも考えられる。
【0028】
また感染症の場合は検体中に抗原と結合する高い親和性を示すヒト抗体が存在することが予想され、これらの抗体のエピトープが検出に用いるプローブ、例えば抗体のエピトープと重なることにより競合反応が起こり検出に用いる抗体数の減少につながることが予想されるため、この検体中の反応を阻害する抗体を除く事により抗原に結合する検出のための抗体の分子数を増加させる事につながる(II−3)。
非特異反応を減少させる方法を一般化することは困難であるが、III −1)緩衝液組成を変化させることによりプローブ、例えば抗体の抗原との親和性(アフィニティー及びアビディティー)を上昇させることにより非特異反応を軽減させる、III −2)非特異反応の原因物質を除去するなどの方策が考えられる。
【0029】
標識物の検出感度を上昇させる方法としては、IV−1)検出感度の高い標識物(放射性同位元素など)を用いる、IV−2)酵素や触媒を標識物に用いることにより信号を増幅させる、IV−3)酵素基質をより感度の高い基質に改変する、IV−4)酵素反応、化学反応の基質のシグナルを化学的、または電気的、機械的に増幅させる、IV−5)抗体当たりの標識物の数を増加させる、IV−6)シグナルの検出に用いる機器の感度を上昇させるなどの方法が考えられる。
【0030】
開示されているHCVコア抗原検出法の前処理法の工程を解析すると、検体にポリエチレングリコールを加えた後に遠心操作によりHCVを沈殿として回収することにより抗原を濃縮する(I−2)ことと同時に血清成分の一部を除去する(II−2)工程を行った後、尿素とアルカリ剤を含む溶液に再懸濁することにより検体中に存在するヒト抗体を不活化し(II−3)HCVからコア抗原を遊離させる工程、非イオン性界面活性剤(Triton−X100)と中和剤を含む溶液を加えることによりモノクローナル抗体と反応させる溶液にする工程から成り立っている。
【0031】
既に上記に指摘したように遠心操作、沈殿の再懸濁操作が操作上煩雑な過程であり、熟練度を必要とする過程である。従って本発明の達成目標は、これらの操作上の問題点を解決したコア抗原検出系である。
HCVそれ自体はいまだその姿が明らかとなっていないが、そのゲノム構造、類縁のウイルス粒子の構造、一般的なウイルスに関する情報から、HCV粒子はゲノムRNAがコア抗原によりパッキングされ、それを取り囲むように脂質膜にアンカリングしているE1,E2/NS1抗原からなる外被蛋白質によって囲まれた状態で存在するものと推定される。
【0032】
そのためコア抗原を検出するためには外被を取り除き、コア抗原の検出に用いるプローブ、例えば抗体が結合できるようにする必要がある。またウイルス粒子は血中ではLDL(低密度リポ蛋白質)などに囲まれた複合構造を取っていることが報告されており、さらに外被蛋白質に対する抗体も存在することから、ウイルス粒子と抗外被蛋白質抗体との免疫複合体としても存在することが予想される。すなわち検出する抗原の分子数を増加させるためには、ウイルス粒子から効率よく外被やウイルス粒子を取り囲む夾雑物を取り除き、かつコア抗原分子を効率よく遊離させることことが重要である。HCV以外のウイルスに関してもほぼ同様のことが言え、ウイルス抗原を効率よく遊離させることが必要となる。
【0033】
従って、本発明は、検体(血清)中のウイルス抗原を、遠心分離のような煩雑な操作によって濃縮することなく、プローブを用いた検出に適した状態にさせる処理方法に関する。
さらに上記のように検体中には検出に用いるプローブ、例えば抗体と結合を競合するヒト抗体が高力価で存在するため、これを取り除く操作が、感度上昇のために重要である。
従って本発明の1つの態様においては、検体中のウイルス抗原を簡易に遊離させる処理方法を用い、検体中に存在するヒト抗体をも同時に不活化させる処理方法に関する。
【0034】
本発明によって示される処理方法を用いることにより、検体中に存在するウイルス抗原は、プローブ、例えば抗体との免疫複合体を形成するのに適した状態でウイルス粒子または免疫複合体から遊離し、同時に検出反応を阻害する検体中に存在するヒト抗体をも同時に不活化させることにより、例えば抗体のようなプローブを用いた免疫測定法によって容易にかつ感度高く検出することが可能となる。
【0035】
検出に用いるプローブ、例えば抗体はウイルスの抗原に特異的に結合するもので有り、一定の高い親和性を示し、反応系に加えた際に非特異反応などを誘発しないようなものであればかまわないが、実施例4に示す様に、一次反応に用いるプローブの一つはHCVコア抗原のC端側を認識し結合できるものが含まれていることが好ましい。ここでHCVコア抗原のC端側とは、配列番号2に示す配列の81番目から160番目の配列、もしくはその一部をいう。さらにここにHCVコア抗原のN端側に対するプローブが含まれていても良い。ここでHCVコア抗原のN端側とは、配列番号2に示す配列10番目から70番目の配列、もしくはその一部をいう。
【0036】
ここでプローブとは、マウス、ウサギ、ニワトリ、ヤギ、ヒツジ、ウシなどの実験動物を免疫して得られるポリクローナル抗体、免疫した個体から、脾臓細胞を分離し、ミエローマ細胞と融合させることによって得られるハイブリドーマの産生するモノクローナル抗体、または脾臓細胞、血中白血球をEBウイルスによって不死化させた細胞の産生するモノクローナル抗体、HCVに感染しているヒトもしくはチンパンジーなどが産生している抗体;マウス、ヒトなどのイムノグロブリンのcDNAもしくは染色体DNAから得られる可変領域遺伝子断片、またはイムノグロブリンのcDNAもしくは染色体DNAの一部と人工的に作製した配列とを組み合わせることによって構成される可変領域遺伝子断片、人工的な遺伝子配列を用いて構成される可変領域遺伝子断片またはこれらを材料に遺伝子組換え手法によって作製される可変領域遺伝子断片を、イムノグロブリン定常領域遺伝子断片を組み合わせることによって構成される組換え抗体遺伝子によって形質転換された細胞が産生する組換え抗体;
【0037】
上記の可変領域遺伝子断片と例えばバクテリオファージの構造蛋白質と融合させて作られるファージ抗体、上記の可変聴域遺伝子断片を他の適用な遺伝子断片例えばmyc遺伝子の一部などと組み合わせることにより構成される組換え抗体遺伝子によって形質転換された細胞が産生する組換え抗体、トリプシン分子に可変領域を人工的に導入することによって産生されるプローブ、レセプターなどの蛋白質に特異的に結合する分子を人工的に改変することによって得られるプローブ、その他コンビナトリアルケミストリー技術によって作製されたプローブなど、コア抗原に高い特異性、親和性を示す分子であればそれを用いることが出来る。
【0038】
さらに本発明はウイルス抗原を含む検体から、上記のウイルスコア抗原とプローブ、例えば抗体との免疫複合体を形成するのに適した状態にするため、ウイルス粒子または免疫複合体から遊離し、同時に検出反応を阻害する検体中に存在するヒト抗体をも同時に不活化させる処理剤によって検体を処理する工程、遊離したコア抗原を例えば抗体のようなプローブを用いた免疫測定法によって検出並びに定量するアッセイ方法、並びに検査キットを提供する。
【0039】
本発明によって示される検体処理剤と処理方法
本発明における検体には、全血、血漿、血清、尿、唾液、脳脊髄液などの生物学的体液、および肝組織などが含まれる。
本発明においては、検体を煩雑な操作なく、プローブ例えばモノクローナル抗体と結合反応させるのに適した状態に検体中のコア抗原を処理する方法が最も重要な要件である。すなわち、抗原分子数を増加させるために、ウイルス粒子中などに含まれるコア抗原を効率よく遊離させることが重要になる。
【0040】
既にSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)ポリアクリルアミド電気泳動法(SDS−PAGE)によっても知られているように、ほとんどの蛋白質はSDS存在下の熱処理により変性し、共有結合によって結合している分子以外はモノマーになる。すなわち、測定検体にSDS等の陰イオン性界面活性剤を含む処理剤を添加すると、ウイルスを破壊すると同時に検体中の抗コア抗体をも変性させ、検体中のコア抗原を遊離させることが可能である。このことは、実施例7に示す様に、SDSを含む処理剤で処理した検体中のHCVコア抗原を、ゲル濾過を用いた分子量解析にかけると、理論上から予想される単量体の位置に検出されることからも確認された。
【0041】
また柏熊等(J.lmmunological Methods 190 79−89,1996)によって報告されているように、組換えHCV発現細胞抽出液からなる検体を、SDS−PAGEにより分離し、ウェスタンブロット法によりHCVコア抗原を検出すると、単量体と思われる分子量の位置にその免疫活性が検出される。SDSを含む変性剤を検体に加えることにより、抗原を効率よく遊離させ抗原分子数を増加させることができることはこの分野に属するものであれば容易に考え得る。
【0042】
しかしながらよく知られているようにSDS等の陰イオン性界面活性剤は蛋白質変性作用が大きいため、その存在下でそのままプローブ、例えば抗体との免疫複合体形成反応に加えると、抗体をも変性させ、その機能を失わせ感度低下を導く。また、SDS等の陰イオン性界面活性剤処理によってエピトープ構造が失われることが知られており、その結果として抗体の結合が弱められ、感度が低下する。これらの感度低下につながる影響を除くため、SDS処理後何らかの方法で変性作用を弱める必要が有る。
【0043】
陰イオン界面活性剤を含む界面活性剤は、例えば透析、限外濾過、ゲル濾過法、電気泳動法、イオン交換法、沈殿法、膜転写法などにより除くことが出来ることが知られており、上記のようにウェスタンブロット法、ゲル濾過法により抗原が検出可能であることは、SDS処理後、なんらかの操作を加えることにより抗原抗体反応を行なわせることが可能であることを示している。しかしながら、これらの処理を行なうことは、何れも時間と煩雑な操作を必要とするため本発明の目的に適した方法ではない。
【0044】
また過剰量の反応液によって希釈することにより、変性作用を示さない濃度まで低下させることにより反応に影響を与えない様に出来るが、この方法では反応液が増加し、例えばマイクロタイターウェルを用いる測定方法などの加えるサンプル量に制約が有る免疫測定法に適用できないため、本発明の目的に適していないことは明らかである。
そこで本発明者は、陰イオン性界面活性剤を含む処理剤を添加し、さらに何らかの添加剤を加えることにより、陰イオン性界面活性剤による変性効果を、抗体などのプローブに影響を与えないように弱めることが出来ないか、また同時に陰イオン性界面活性剤によるHCVコア抗原遊離作用を増強することができないかを検討した。
【0045】
ここで本発明者は、SDS等の陰イオン性界面活性剤以外の界面活性剤を含む処理剤を添加することにより、SDSの固相化抗体に対する変性作用を弱め、その結果SDSを含む処理剤のみと比較して、感度を上昇させることが出来ることを見いだした。また、SDS等の陰イオン性界面活性剤を含む処理剤に、それ以外の界面活性剤や尿素などの水素イオン結合を弱める薬剤を同時に加えた処理剤とした場合にも、同様の効果を認めるとともに、ウイルス粒子からのHCVコア抗原遊離および検体中抗コア抗原抗体の不活化を強くすることによって、HCVコア抗原の遊離がさらに増強されることを見いだした。さらにSDSとその他の界面活性剤を含む処理剤を添加した後熱処理工程を行なうことにより、より高感度にHCVコア抗原を検出できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0046】
ここで、検体の処理に用いる陰イオン性界面活性剤はSDS以外でも、セチル硫酸ナトリウムや他のアルキル化硫酸エステル、ドデシルスルホン酸ナトリウムのようなアルキル化スルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などでも可能であり、陰イオン性界面活性剤以外に加える界面活性剤としては、CHAPS(3−〔3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ〕−1−プロパンスルホン酸),CHAPSO(3−〔コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ〕−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、ドデシル−N−ベタインなどの両イオン性界面活性剤やTritonX100などのポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル類、NP40などのポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル類、Tween80などのポリオキシエチレンソルビトールエステル類、Brij58のようなポリオキシエチレンドデシルエーテル類、オクチルグルコシドといった非イオン性界面活性剤が適当で有り、好ましくはCHAPSなどの両イオン性界面活性剤とTriton−X100などの非イオン性界面活性剤を含む。また、ここに尿素、チオ尿素などの蛋白質の高次構造を壊す様な作用を示す薬剤(蛋白質変性剤)を加えることも効果的である。
【0047】
処理の際の濃度は、SDSは0.5%以上、CHAPSは、0.1%以上、尿素は1M以上、TritonX100は0.1%以上0.75%以下で使用することがより好ましい。
以上のような検体の処理温度は、通常一般実験室で用いられている範囲である4℃以上100℃以下であればよいが、非イオン性界面活性剤添加の場合は、その曇点に注意が必要である。好ましくは、37℃以上であり、さらに血清の非働化に一般的に用いられている50〜60℃処理が効果的である。
【0048】
本発明の処理方法を用いることにより、HCVと同様の構造を持つウイルス粒子を含む検体から、ウイルス抗原を、抗体などをプローブとして用いるいわゆる免疫測定方法に適した状態に遊離させることが出来ることは明らかである。ここでHCVと同様の構造を持つウイルスとは、ゲノムRNA,DNAをパッキングする蛋白質と、それを取り囲む膜タンパク質と脂質膜から構成される構造を持つウイルス粒子を形成するウイルスであり、例えばHCVの類縁のウイルスであるフラビウイルス類、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などのレトロウイルスなどが含まれる。さらにゲノムとしてDNAを持つものであっても同様の構造を持つものが含まれる。
【0049】
さらに、RNAウイルスであるHCVや、DNAウイルスであるHBVはともにこれらのゲノムRNAやDNAを包む構造蛋白質と、それを取り囲む膜蛋白質や脂質膜からなる構造をもつウイルス粒子を形成するウイルスである。いずれの態様においても、本発明の処理法を用いることにより、HCVやHBVだけでなく、これらと同じような構造をもつウイルス粒子を破壊して、ウイルスの抗原を十分に露出させ、その抗原を検出または測定することによりそのウイルスを検出または測定することをも提供する。
【0050】
ヘモグロビンによる妨害の除去
測定用試料として血清等を使用する場合、該試料に含まれる赤血球が、前記の前処理の間に溶血してヘモグロビンが放出され、この変性ヘモグロビンが測定を妨害する場合がある。従って本発明の第一の態様においては、このような測定の妨害を除去することが好ましい。このための添加剤として、尿素、イミダゾール環含有化合物及びインドール環含有化合物の内少なくとも1種を添加するのが好ましいことを見い出した。
【0051】
イミダゾール環含有化合物としてはイミダゾール、ヒスチジン、イミダゾールアクリル酸、イミダゾールカルボキシアルデヒド、イミダゾールカルボキサミド、イミダゾールジオン、イミダゾールジチオカルボン酸、イミダゾールジカルボン酸、イミダゾールメタノール、イミダゾリジンチオン、イミダゾリドン、ヒスタミン、イミダゾピリジン等が挙げられる。
【0052】
また、インドール環含有化合物としては、トリプトファン、インドールアクリル酸、インドール、インドール酢酸、インドール酢酸ヒドラジド、インドール酢酸メチルエステル、インドール酪酸、インドールアセトニトリル、インドールカルビノール、インドールカルボキシアルデヒド、インドールカルボン酸、インドールエタノール、インドール乳酸、インドールメタノール、インドールプロピオン酸、インドールピルビン酸、インドリルメチルケトン、インドーマイシン、インドールアセトン、インドメタシン、インドプロフェン、インドラミン等が挙げられる。
【0053】
添加量としては尿素は0.5M〜5Mの濃度が適当であり、インドールアクリル酸は5mM〜50mMの濃度が適当であり、その他の添加物は0.05M〜0.5Mの濃度が適当である。
【0054】
ウイルス抗原の露出
本発明の第二の態様によれば、ウインドピリオドにおいて採取した試料中のウイルス抗原の検出方法に関し、この方法においてはウイルス抗原に対する抗体はまだ生成していないので、ウイルス粒子を破壊してウイルス抗原を露出させるだけで十分であり、試料中に存在する抗体を破壊する必要はない。従って、前に説明した試料の前処理は必要でなく、測定反応液中に、ウイルス抗原を露出するためのウイルス粒子破壊剤が存在すれば十分である。ここで述べるウイルス抗原とは、ウイルス粒子内部に存在する抗原を意味し、コア抗原はその代表である。
【0055】
ウイルス粒子は、ゲノムである核酸とコア抗原が複合体を形成して粒子を形成し、その粒子を脂質膜とエンベロープタンパク質からなる外膜が覆った構造をしていると考えられているものが多い。さらに血液中では低密度リポプロテイン(LDL)やウイルスに対する抗体などとの複合体を形成して存在していると考えられている。そのため、血液中に存在するウイルス粒子のままでは、プローブは、ウイルス粒子内部に存在するコア抗原に代表されるウイルス抗原を認識し結合することが出来ない。故にコア抗原を検出するためには、コア抗原を取り囲むこれらの構造物を除去するなどの処理をして、コア抗原がプローブに認識されるようにする必要がある。
【0056】
すなわち本発明においては、検体中に含まれるウイルス粒子中のコア抗原を、コア抗原を認識するためのプローブが認識できるように露呈させる反応条件、反応させる系からなる反応方法、および反応させる系を含む試薬をも提供する。
本発明が提供する系における抗原検出に適した反応系とは、ウイルス抗原エピトープに対する抗体の機能を失わせない程度のマイルドな条件でありながら、検体中に存在する複雑な構造体であるウイルス粒子から、ウイルス抗原を認識するプローブである抗体の認識する領域を十分に露呈させる条件からなる系である。
【0057】
すでに超遠心法にて分離したウイルス粒子(Takahashi et al.,1992,J.Gen.Virol,73:667−672))、ポリエチレングリコールによって凝集沈殿させたHCV粒子をTween80やTritonX100の様な非イオン性の界面活性剤によって処理することにより(Kashiwakuma et al.,1996,J.Immunologicalmethods:190:79−89)、コア抗原が検出可能であることが示されているが、前者においてはその検出感度が不十分であり、十分に抗原が露呈されているかは疑問である。また後者においては他の処理剤を加えることにより抗体を失活させており、界面活性剤の効果そのものについては触れられていない。
【0058】
本発明においては、始めに界面活性剤を基本に条件を検討し、反応液を界面活性剤を中心とした組成にすることにより、すでに報告されているHCV抗原検出系のように、遠心操作や加熱などの操作からなる前処理法を適用することなく、単に反応液中で検体を希釈することのみにより、ウイルスパーティクル中の抗原を効率良く検出することが可能となった。
効果的にウイルス粒子中からコア抗原を抽出し、かつ血清中の様々な物質との相互反応を抑制し、効率よくプローブと抗原とが反応できる条件を与えることが必要である。この際の効果的な界面活性剤としては、炭素原子数10個以上のアルキル基と第2、第3もしくは第4級アミンを同一分子内に有する界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0059】
前記アルキル基と第2、第3又は第4アミンを有する界面活性剤において、アルキル基は好ましくは直鎖アルキル基であり、その炭素原子数は好ましくは10個以上、さらに好ましくは10〜20個である。アミンとしては第3級アミン又は第4級アミン(アンモニウム)が好ましい。具体的な界面活性剤としては、ドデシル−N−サルコシン酸、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、3−(ドデシルジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホン酸、3−(テトラデシルジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホン酸、ドデシルピリミジウム塩、セチルピリジウム塩、デカノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−10)、ドデシル−N−ベタイン等が挙げられる。ドデシル−N−サルコシン酸及びドデシルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。
【0060】
前記の非イオン性界面活性剤としては12〜14の間の親水疎水比を有するものが好ましく、ポリオキシエチレンイソオクチルフェニルエーテル類、例えばTriton X100、Triton X114など、あるいはポリオキシエチレンノニファニルエーテル類、例えばNonidet P40、Triton N101、Nikkol NP等が好ましい。
本発明においては、上記2つのタイプの界面活性剤を単独で用いてもよいが、併用するのが一層好ましく、併用により相乗効果が得られる。
さらに、尿素など、水環境を変化させるような因子を加えてもよい。
【0061】
本発明によって示されるプローブとしてのモノクローナル抗体
本発明でいうHCVの構造蛋白質遺伝子断片とは、HCVの構造蛋白質遺伝子のコア領域を含む遺伝子断片であり、少なくともHCVのN末端の1番目から160番目のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNA断片である。具体的には、配列番号2のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む遺伝子断片である。
【0062】
本発明でいうHCV抗原活性を有するポリペプチドとは、抗HCV抗体と免疫学的に反応する融合ポリペプチドもしくはポリペプチドを意味し、本発明のハイブリドーマならびにそれから得られるモノクローナル抗体の作製に利用するための抗原として用いることができる。具体的には、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCV抗原活性を有する融合ポリペプチドもしくは配列番号1のアミノ酸配列の一部を含むHCV抗原活性を有するポリペプチドであり、そのN末端あるいはC末端に余分なアミノ酸配列が付加されたものであってもよい。
【0063】
本発明の上記融合ポリペプチドならびに配列番号3〜6に示されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドに対するモノクローナル抗体類は、当業者により容易に作製することができる。ハイブリドーマによるモノクローナル抗体の作製は良く知られている。例えば、BALB/cマウスなどの腹腔内あるいは皮内に、上記融合ポリペプチドもしくはポリペプチド(以下、本抗原)を単独もしくはBSA,KLHなどと結合させた抗原として、単純あるいはフロイント完全アジュバント等のアジュバントと混合して定期的に免疫する。血中の抗体価が上昇した時点で、追加免疫として本抗原を尾静脈内に投与し、無菌的に脾臓を摘出した後、適当なマウス骨髄腫細胞株と細胞融合し、ハイブリドーマを得る。本方法は、KoehlerとMilsteinの方法(Nature 256:495−497,1975)に従って行なうことができる。
【0064】
上記方法により得られたハイブリドーマ細胞株を適当な培養液中で培養し、その後、本抗原に対して特異的な反応を示す抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を選択してクローン化する。抗体産生ハイブリドーマのクローニングには限界希釈法のほか軟寒天法(Eur.J.Immunol.6:511−519,1976)などを利用することができる。そして、産生されたモノクローナル抗体をプロテインAなどを用いたカラムクロマトグラフィーなどの方法により精製する。
上記のモノクローナル抗体以外にもプローブとして用いる分子は作製することが出来る。例えば組換え抗体についてはHoogenboonの総説などに詳しく記載されている(Trends in Biotechnology,15:62−70,1997)。
【0065】
プローブを用いた検出系
本発明に従って調製されたモノクローナル抗体は、ウイルス構造蛋白質の検出および定量用に、エンザイム−リンクイムノソルベントアッセイ(ELISA)、酵素イムノドットアッセイ、ラジオイムノアッセイ、凝集に基づいたアッセイ、あるいは他のよく知られているイムノアッセイ法で検査試薬として用いることができる。また、検出に標識化抗体が使用される場合は、標識化合物としては例えば蛍光物質、化学発光物質、放射性物質、酵素、染色物質などが使用される。
【0066】
例えば、検体(血清)中のウイルス抗原を検出するためにサンドイッチ反応系を原理とした方法を用いる場合、使用すべき診断キットは、固体支持体(例えばマイクロタイターウェルの内壁)に被覆された本発明の1種類以上のモノクローナル抗体および標識物質と結合させた1種類以上のモノクローナル抗体またはそのフラグメントを含む。固体支持体に固相化するモノクローナル抗体および標識するモノクローナル抗体の組み合わせは自由であり、高感度の得られる組み合わせを選択できる。
【0067】
使用できる固体支持体としてはポリスチレンやポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリビニール製のマイクロタイタープレート、試験管、キャピラリー、ビーズ(ラテックス粒子や赤血球、金属化合物など)、膜(リポソームなど)、フィルターなどが挙げられる。
【0068】
【発明の効果】
本発明により示される方法により、抗体などをプローブとして検出するいわゆる免疫測定方法に適した状態に、ウイルス粒子から簡便にウイルス抗原を遊離させることが可能となる。また本発明によって示される方法によってウイルス粒子を含む検体を処理することにより、抗体などをプローブとして抗原を検出するいわゆる免疫測定方法により、ウイルス抗原を簡便にかつ感度よく検出、及び定量することが可能となる。また本発明によって示される検体処理方法を用いた免疫測定方法を用いた、検体中のウイルスの有無を判別するキット、定量するキット及び診断薬を作製することが可能となる。
【0069】
【実施例】
以下の実施例は本発明を例証するものであるが、これによって本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1.HCV由来ポリペプチドの発現および精製
(A)発現プラスミドの構築
HCVのコア領域に相当する発現プラスミドは以下の方法で構築した。C11−C21クローンおよびC10−E12クローン(特開平6−38765)をpUC119に組み込んで得られたプラスミドpUC・C11−C21およびpUC・C10−E12の各DNA1μgを制限酵素反応液20μl〔50mM Tris−HCl(pH7.5),10mM MgCl ,1mM ジチオスレイトール、100mM NaCl,15単位のEcoRIおよび15単位のClaI酵素〕中、および〔10mM Tris−HCl(pH7.5),10mM MgCl ,1mMジチオスレイトール、50mM NaCl,15単位のClaIおよび15単位のKpnI酵素〕中で各々37℃1時間消化し、その後0.8%アガロースゲル電気泳動を行ない、約380bpのEcoRI−ClaI断片および約920bpのClaI−KpnI断片を精製した。
【0070】
この2つのDNA断片とpUC119をEcoRIおよびKpnIで消化したベクターに10×リガーゼ用緩衝液〔660mM Tris−HCl(pH7.5),66mM MgCl ,100mMジチオスレトール、1mM ATP〕5μl,T4リガーゼ 1μl(350単位/μl)に水を加えて50μlとし、16℃で一晩保温し、連結反応を行なった。このプラスミドを用い大腸菌JM109を形質転換させ、プラスミドpUC・C21−E12を得た。
【0071】
このプラスミドpUC・C21−E12 DNA1ngを2つのプライマー(5′−GAATTCATGGGCACGAATCCTAAA−3′(配列番号:7),5′−TTAGTCCTCCAGAACCCGGAC−3′(配列番号:8))を用いPCRを行なった。PCRはGeneAmpTM (DNA Amplification Reagent Kit, Perkin Elmer Cetus製)のキットを用いDNA変性95℃1.5分、アニーリング50℃2分、DNA合成70℃3分の条件で行ない、得られたDNA断片を0.8%アガロースゲル電気泳動により分離し、グラスパウダー法(Gene Clean)で精製した。
【0072】
一方、pUC19を制限酵素SmaIで消化し、PCR法によって得られたDNA断片を10×リガーゼ用緩衝液〔660mM Tris−HCl(pH7.5),66mM MgCl2,100mMジチオスレトール、1mM ATP〕5μl,T4リガーゼ 1μl(350単位/μl)に水を加えて50μlとし、16℃で一晩保温し、連結反応を行なった。このプラスミドを用い大腸菌JM109を形質転換させ、プラスミドpUCl9・C21−E12・SmaIを得た。
【0073】
このプラスミドDNA1μgを制限酵素反応液20μl〔150mM NaCl,6mM Tris−HCl(pH7.5),6mM MgCl ,15単位のEcoRIおよび15単位のBamHI酵素〕中で37℃1時間消化反応を行ない、その後0.8%アガロースゲル電気泳動を行ない、約490bpのEcoRI−BamHI断片を分離し、これをグラスパウダー法で精製した。
【0074】
次に発現ベクターであるTrp・TrpE(特開平5−84085)のDNA1μgを制限酵素反応液20μl〔150mM NaCl,6mM Tris−HCl(pH7.5),6mM MgCl ,15単位のEcoRIおよび15単位のBamHI酵素〕中で37℃で1時間消化し、その反応液に水39μlを加え、70℃で5分間熱処理した後にバクテリアアルカリ性ホスファターゼ(BAP)1μl(250単位/μl)を加えて37℃で1時間保温した。
【0075】
この反応液にフェノールを加えてフェノール抽出を行ない、得られた水層をエタノール沈殿し、沈殿物を乾燥した。得られたEcoRI−BamHI処理ベクターDNA1μgと上述のコア140断片を10×リガーゼ用緩衝液〔660mMTris−HCl(pH7.5),66mM MgCl ,100mMジチオスレトール、1mM ATP〕5μl,T4リガーゼ 1μl(350単位/μl)に水を加えて50μlとし、16℃で一晩保温し、連結反応を行なった。
【0076】
この反応液の10μlを用いて大腸菌HB101株を形質転換した。形質転換に用いる感受性大腸菌株は塩化カルシウム法〔Mandel, M.とHiga, A., J. Mol. Biol., 53, 159−162 (1970) 〕により作られる。形質転換大腸菌を25μg/mlのアンピシリンを含むLBプレート(1%トリプトン、0.5%NaCl,1.5%寒天)上に塗布し、37℃に一晩保温した。プレート上に生じた菌のコロニーを1白金耳取り、25μg/mlのアンピシリンを含むLB培地に移し、一晩37℃で培養した。1.5mlの菌培養液を遠心して集菌し、プラスミドDNAのミニプレパレーションをアルカリ法〔Manniatis ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, (1982)〕により行なった。
【0077】
得られたプラスミドDNA1μgを制限酵素反応液20μl〔150mM NaCl,6mM Tris−HCl(pH7.5),6mM MgCl ,15単位のEcoRIおよび15単位のBamHI酵素〕中で37℃、1時間消化し、アガロースゲル電気泳動を行なって、約490bpのEooRI−BamHI断片が生じるTrp・TrpEコア160発現プラスミドを選別した。
【0078】
(B)クローンコア160でコードされるポリペプチドの発現および精製
発現プラスミドTrp・TrpEコア160をもつ大腸菌HB101株を50μg/mlのアンピシリンを含む3mlの2YT培地(1.6%トリプトン、1%酵母エキス、0.5%NaCl)に接種し、37℃で9時間培養する。この培養液1mlを50μg/mlのアンピシリンを含む100mlのM9−CA培地(0.6%Na HPO ,0.5%KH PO ,0.5%NaCl,0.1%NH Cl,0.1mM CaCl ,2mM MgSO ,0.5%カザミノ酸、0.2%グルコース)に植え継ぎ、37℃で培養した。OD600=0.3の時に終濃度40mg/lになるようにインドールアクリル酸を加え、さらに16時間培養した。この培養液を遠心分離して菌体を集めた。
【0079】
菌体に20mlの緩衝液A〔50mM Tris−HCl(pH8.0),1mM EDTA,30mM NaCl〕を加えて懸濁し、再び遠心分離を行なって発現菌体2.6gを得た。得られた菌体を緩衝液A 10ml中に懸濁し、超音波破砕により大腸菌膜を破砕した後に遠心分離を行ない、HCV cDNAでコードされるポリペプチドとTrpEの融合ポリペプチドを含む不溶性画分を得た。その画分に10mlの6M尿素を含む緩衝液Aを加えて融合ポリペプチドを可溶化抽出した。可溶化した抽出物をS−Sepharoseを用いたイオン交換カラムクロマトグラフィーにかけて、融合ポリペプチドの精製を行なった。
【0080】
実施例2.ハイブリドーマの作製法
前記方法により調製した融合ポリペプチド(TrpC11)を6M尿素溶解後、0.15M NaClを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.3)に終濃度が0.2〜1.0mg/mlとなるように希釈し、等量のアジュバント(タイターマックス)と混和し、TrpC11懸濁液とした。TrpC11濃度が0.1〜0.5mg/mlとなるように調製した該懸濁液を4〜6週令のBALB/c系マウスに腹腔内投与した。2週間ごとに同様の免疫を行いさらに約2週間後、生理食塩水に溶解したTrpC11 10μgを尾静脈内に投与した。
【0081】
最終追加免疫後3日目に、この免疫動物より無菌的に脾臓を摘出し、ハサミで切片としてさらにメッシュを用いて脾臓を個々の細胞にほぐし、RPMI−1640培地で3回洗浄した。対数増殖期のマウス骨髄腫細胞株SP2/0Ag14を前記と同様に洗浄後、該細胞2.56×10 個と脾臓細胞1.64×10 個を50ml容の遠心管に入れ混合した。200×g、5分間遠心分離を行ない、上清を除去し、37℃に保温した50%ポリエチレングリコール(PEG)4000(メルク社製)を含むRPMI−1640培地1mlを加え、さらにRPMI−1640培地10mlを加えて細胞融合させた。
【0082】
融合細胞は、遠心分離(200×g、5分間)によってPEGを除いた後、96ウエルプレートを用いて、10%ウシ胎児血清ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(以下、HATと省略)を含むRPMI−1640培地中で約10日間培養してハイブリドーマのみを増殖させた。その後、目的の抗体を産生するクローンをELISA法により検索し、所望の反応特異性を有する本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得た。
【0083】
得られたハイブリドーマについて、常法の限界希釈法に従い、単一クローン化を行ない、得られたハイブリドーマをHC11−14,HC11−10、およびHC11−3、およびHC11−7と命名した。該4種類のハイブリドーマは、工業技術院生工学工業技術研究所に平成9年7月4日付でそれぞれFERM BP−6006,FERM BP−6004,FERM BP−6002及びFERM BP−6003として寄託された。
【0084】
実施例3.モノクローナル抗体の作製法
実施例2に記載の方法により得られたハイブリドーマをプリスタン等で処理したマウス腹腔に移植し、腹水中に産生されてくるモノクローナル抗体を取得した。該モノクローナル抗体の精製は、プロテインAを結合させたセファロースカラムによりIgGフラクションを分離した。
【0085】
前記5種類のハイブリドーマから産生されたそれぞれのモノクローナル抗体、C11−14,C11−10,C11−7およびC11−3のアイソタイプは、ウサギ抗マウスIg各アイソタイプ抗体(Zymed社製)を用いたイムノアッセイにより、C11−10,C11−7がIgG2a,C11−14,C11−3がIgG1であることが明らかとなった。得られた4種類のモノクローナル抗体について、HCV・コア領域由来の配列によって合成した20アミノ酸からなる合成ペプチドを用いてエピトープ解析を行なった結果、表1に示す如くコア領域の一部を特異的に認識するモノクローナル抗体であることがわかった。
【0086】
【表1】
Figure 0003623162
【0087】
実施例4.検体処理条件検討
1)SDS濃度検討
健常人血清およびHCV−RNA陽性血清100μlに、種々の濃度に溶解したSDSと0.6%CHAPSを含んだ処理液を100μl添加した。56℃に設定している保温箱に入れて30分間処理をおこない、その80μlを測定試料とした。以下に記す測定法による結果を、横軸に処理反応時のSDS濃度をとり、図1に示した。
【0088】
2)CHAPS濃度検討
健常人血清およびHCV−RNA陽性血清100μlに、種々の濃度に溶解したCHAPSと5%SDSを含んだ処理液を100μl添加した。56℃に設定している保温箱に入れて30分間処理をおこない、その80μlを測定試料とした。以下に記す測定法による結果を、横軸に処理反応時のCHAPS濃度をとり、図2に示した。
【0089】
3)尿素濃度検討
健常人血清およびHCV−RNA陽性血清100μlに、種々の濃度に溶解した尿素を含んだ処理液(5%SDS,0.6%CHAPS)を100μl添加した。56℃に設定している保温箱に入れて30分間処理をおこない、その80μlを測定試料とした。以下に記す測定法による結果を、横軸に処理反応時の尿素濃度をとり、図3に示した。
【0090】
4)TritonX100濃度検討
健常人血清およびHCV−RNA陽性血清100μlに、種々の濃度に溶解したTritonX100を含んだ処理液(5%SDS,0.6%CHAPS,6M尿素)を100μl添加した。56℃に設定している保温箱に入れて30分間処理をおこない、その80μlを測定試料とした。以下に記す測定法による結果を、横軸に処理反応時のTritonX100濃度をとり、図4に示した。
【0091】
5)反応温度検討
健常人血清およびHCV−RNA陽性血清100μlに、処理液(5%SDS,0.6%CHAPS,6M尿素、0.75%TritonX100)を100μl添加した。4℃、室温(23℃)、37℃,45℃,56℃,70℃で30分間処理をおこない、その80μlを測定試料とした。以下に記す測定法を用いて検討した結果を図5に示した。
【0092】
測定法
血清処理法の検討で得られた試料は各々以下の測定法を用いて評価した。すなわち、抗HCVコア抗原モノクローナル抗体(抗体C11−3とC11−7の等量混合)を終濃度が計6μg/mlになるように0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)で希釈し、96ウエルマイクロプレート(ヌンク社製)1ウエルにつき100μlずつ分注した。4℃で一晩静置後、0.15M NaClを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)0.35mlを用いて2回洗浄し、0.5%カゼイン−Naを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.35)(以下ブロッキング液)、0.35mlを添加し、さらに室温で2時間静置した。
【0093】
ブロッキング液除去後、0.15M NaCl,1%BSA,0.5%カゼイン−Na,0.05%Tween20を含む100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)160μlと各々の血清処理法で得られた測定試料をそれぞれのウエルに加え、室温で2時間反応させ、洗浄液300μlで5回洗浄し、さらにペルオキシダーゼ(POD)標識したモノクローナル抗体(C11−10とC11−14の等量混合)100μlを添加して室温で30分間反応させた。反応後、上記洗浄液300μlで5回洗浄し、基質(オルトフェニレンジアミン、以下OPD)溶液100μlを加え室温で30分間反応させた後、2N硫酸溶液100μlを添加し、波長630nmの吸光度を対照として波長492nmにおける吸光度(OD492)を測定した。
【0094】
図1〜4から、各々の処理条件の最適化が行われたが、未処理検体ではコア抗原の検出が困難であったが、このような簡易な処理を行うことによって、劇的にコア抗原の検出が可能となった。特に、処理反応時のSDS濃度は0.5%以上で、CHAPS濃度は0.1%以上で、尿素濃度は1M以上で、TritonX100濃度は0.1〜0.75%で使用することで、4℃から70℃の範囲で、良好にコア抗原を検出できることが示された。
【0095】
実施例5.構造領域コア抗原の検出および測定法(1)
血清100μlに、処理液(5%SDS,0.6%CHAPS,6M尿素、0.75%TritonX100)を100μl添加した。56℃に設定している保温箱に入れて30分間処理をおこない、その120μlを測定試料とした。
抗HCVコア抗原モノクローナル抗体(C11−3とC11−7等量混合)を終濃度が計6μg/mlになるように0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)で希釈し、96ウエルマイクロプレート(ヌンク社製)1ウエルにつき100μlずつ分注した。4℃で一晩静置後、0.15M NaClを含む10nMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)0.35mlを用いて2回洗浄し、ブロッキング液0.35mlを添加し、さらに室温で2時間静置した。
【0096】
ブロッキング液を除去後、反応緩衝液120μlと前述した処理法で得た測定試料をそれぞれのウエルに加え、室温で2時間反応させた。洗浄液300μlで5回洗浄し、さらにペルオキシダーゼ(POD)標識したモノクローナル抗体(C11−10とC11−14:等量混合)100μlを添加して室温で30分間反応させた。洗浄液300μlで5回洗浄し、基質(OPD)溶液100μlを加え室温で45分間反応させた後、2N硫酸溶液100μlを添加し、波長630nmの吸光度を対照として波長492nmにおける吸光度(OD492)を測定した。尚、標準血清として、パネル血清50を1U/mlとして、1%BSAを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)で段階的に希釈したものについて同様に処理をおこない測定した。
【0097】
図6に、標準血清として使用したパネル血清50の希釈直線を示した。試料中コア抗原が濃度依存的に測定されており、約0.5mU/mlの検出が可能であった。すなわち、本発明の極めて簡易な検体処理法とモノクローナル抗体を組み合わせて用いることにより、HCVコア抗原を検出または定量できることが明らかとなった。
【0098】
実施例6.HCV構造領域コア抗原の検出および定量(2)
アルカリフォスファターゼ標識モノクローナル抗体を用いた方法
固相担体として96ウエル黒マイクロプレート(ヌンク社)を、標識抗体としてアルカリフォスファターゼ標識モノクローナル抗体を、基質としてCDPstar(増感剤としてエメラルドII)を使用した。標準血清として使用したパネル血清50の希釈直線を図7に示したが、試料中コア抗原が濃度依存的に測定されており、約0.5mU/mlの検出が可能であった。このアルカリフォスファターゼ標識モノクローナル抗体を用いた測定法を用いても、HCVコア抗原を検出または定量できることが明らかとなった。
【0099】
実施例7.血清処理と測定法で認識されている分子形の解析
パネル血清13の0.25mlを各々の血清処理法で処理し、ゲルロカカラム(Superdex200HR,1x30)で分画し、それらのフラクション中の抗コア免疫活性を測定し、その結果を図8に示した。分子量約20〜30kDaの分子を認識していると考えられ、ウイルス中のコア抗原は前述した前処理によって、ウイルス破壊および血清中に存在する抗コア抗体の不活化により、遊離されていることが示された。
【0100】
実施例8.血清試料中のHCV構造領域コア抗原の測定法
PCR法であるアンプリコアHCVモニターキット(ロッシュ社)を用いて、HCV−RNA量が10 〜10 コピー/mlと測定された血清と健常人血清を用い、前述の方法で、血清中のHCVコア抗原の定量を行なった。
また、標準血清として、パネル50血清(1U/mlと設定)を1%BSAを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3)にて段階的に希釈し、同様に処理したものを用い、表2にその測定結果を示した。今回測定した検体のうち、健常人検体は全て検出限界以下であり、PCR法陽性例の全てを検出できた。このときの相関性を図9に示したが、PCR法との相関係数も0.8以上となり高い相関性を示した。
【0101】
【表2】
Figure 0003623162
【0102】
実施例9.溶血血清による感度低下を抑えるための添加剤の検討
血清成分の感度に与える影響を検討したところ、ヘモグロビンを加えると著しく感度が低下することが確認された。SDS,CHAPS又はTritonX100を含む前処理剤による前処理により、ヘモグロビンが変性し、遊離したヘムの影響である可能性が考えられた。そこで変性ヘモグロビンの影響を軽減することのできうる添加剤を検討した。
【0103】
HCVコア抗原陽性血清(パネル血清No3)に、高濃度ヘモグロビン(国際試薬製:干渉チェック)を添加してモデル検体を作製し、前述の前処理剤に尿素を添加して、実施例6に準じてコア抗原測定をおこない、尿素の添加効果を検討した。コントロールとしたヘモグロビン無添加群のコア抗原活性量を100%としたときの430mg/dlヘモグロビン添加群のコア抗原活性量を表3にあらわした。尿素無添加のときのヘモグロビン添加群のコア抗原活性量は約30%に減少したが、添加尿素量の増加により、ヘモグロビン添加群のコア抗原活性量が増加し、ヘモグロビンによる干渉作用が減じていることが確認された。
【0104】
【表3】
Figure 0003623162
【0105】
一方各種アミノ酸と、ヘムとの相互作用や、アミノ基やカルボキシル基による緩衝能効果も考えられたため、各種アミノ酸を添加し、その効果を調べた。結果を表4に示した。
【0106】
【表4】
Figure 0003623162
【0107】
干渉の抑制効果がもっとも認められたものはトリプトファン及びヒスチジンであった。これらの干渉抑制効果の濃度依存性を検討した結果を表5に示した。
【0108】
【表5】
Figure 0003623162
【0109】
ヘムはヘモグロビン中でヒスチジンの側鎖により配位され、ヘモグロビン中に保持されていることから、この効果は側鎖によるものであることが示唆された。そこでヒスチジンの側鎖であるイミダゾール、トリプトファンの側鎖であるインドール環を含むインドールアクリル酸の効果を検討した。結果を表6に示した。
【0110】
【表6】
Figure 0003623162
【0111】
インドール、およびインドールアクリル酸を反応液中に加えた場合、アミノ酸を加えた場合と同様に濃度依存的なヘモグロビンの干渉抑制効果が認められた。このことから反応液にイミダゾール環を含む物質、たとえばヒスチジンまたはインドール環を含む物質、たとえばトリプトファンを加えることにより、ヘモグロビンを含む検体でも感度良くコア抗原を検出できることが分かった。
上記の各種添加剤を組み合わせた場合の効果を検討した。結果を表7に示した。ヒスチジンとトリプトファンを組み合わせることにより、90%以上回復し、尿素を組み合わせることによりさらに検出感度が上昇した。
【0112】
【表7】
Figure 0003623162
【0113】
実施例10.B型肝炎ウイルス(HBV)コア抗原の検出
前記種々の実施例に記載の処理法が、他のウイルス中の構造蛋白質の検出に応用可能かどうか検討した。
HBVコア抗原に対するモノクローナル抗体(特殊免疫研究所)を3μg/mlとなるように0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)で希釈して、96ウエルマイクロプレートに100μlずつ分注した。4℃で一晩静置した後、りん酸緩衝液で洗浄し、1%BSA溶液を350μlずつ分注した。室温で2時間静置したのち、1%BSA溶液を吸引除去し、反応液200μlを添加した。
【0114】
組換えHBVコア抗原をスタンダードとして用い、B型肝炎と診断され、HBe抗原が陽性で抗HBe抗体が陰性である患者血清5例と健常人血清10例を検体として用いた。検体100μlに、処理試薬(7.5%SDS,0.75%CHAPS,0.15%Triton X−100)を50μl添加し56℃で30分間処理した。処理後、その50μlを反応液が満たされたウエルに添加し、室温で90分間反応させた。
【0115】
比較(前処理無し)として、各サンプル100μlに精製水50μlで希釈しその50μlを反応に用いた。洗浄液で5回洗浄後、ビオチン標識抗HBVコアモノクローナル抗体(HBc−2,HBc−5,HBc−14等量混合)を添加し、室温で30分間反応させた。洗浄液で5回洗浄後、アビジン標識アルカリフォスファターゼを添加し、室温で30分間反応させた。洗浄液で5回洗浄後、CDPstar(増感剤としてエメラルドIIを使用)を添加し、室温で15分間反応させ、その相対発光強度を測定した。
【0116】
段階的に希釈した組換えHBVコア抗原の標準曲線を図10に示し、測定されたサンプル中のコア抗原量を表8に示した。検出限界は、21ng/mlで、コア抗原陽性と陰性を振り分けるカットオフ値は60ng/mlとしたところ、健常人血清では、10例全て前処理、無前処理どちらにおいてもコア抗原は陰性となり、B型肝炎患者血清においては、無前処理では検出されなかったが、前処理をおこなうことにより全例でコア抗原が陽性と判定された。
【0117】
B型肝炎患者血清においては、前処理によって、ウイルス粒子の破壊および抗HBc抗体が不活化され、検出可能になったと考えられる。以上のように、HCVのみならず、ゲノムとしてDNAをもつたとえばHBVなどのウイルスの構造蛋白質を検出する際においても、この検体前処理は有用であることが確認された。HCVの類縁のウイルスであるフラビウイルス類、HIVなどのレトロウイルスにおいても同様のことが推察できることはいうまでもない。
【0118】
【表8】
Figure 0003623162
【0119】
実施例11.抗原を前処理操作なしで効率的に検出させるための方法
HCVを含む検体を界面活性剤を加えた反応液に希釈し、HCVコア抗原の検出される効率を検討した。
なおHCVコア抗原の検出は、HCVコア抗原に対するモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ酵素免疫アッセイ(EIA)で行った。実施例3で得られたモノクローナル抗体のうち、C11−3とC11−7をコア抗原を補足する抗体として用い、C11−10及びC11−14を補足されたコア抗原を検出するための抗体として用いた。
【0120】
EIAは基本的には以下の条件で行った。モノクローナル抗体C11−3及びC11−7を酢酸緩衝液にそれぞれ4μg/mlとなるよう希釈した溶液をミクロタイタープレートに加え、4℃一夜保温した。燐酸緩衝液で洗浄し1%BSAを含む燐酸緩衝液を加えることによるブロッキング操作を施した。そこに反応液100μl、検体100μlを加え、撹拌後、室温で1.5時間反応させた。低濃度の界面活性剤を加えた燐酸緩衝液で洗浄することにより未反応物を除いた後、アルカリフォスファターゼで標識したモノクローナル抗体C11−10及びC11−14を加え、室温30分反応させた。
【0121】
反応終了後、未反応物を低濃度の界面活性剤を加えた燐酸緩衝液で洗浄することにより除き、基質液(CDP−Star/emeraldll)を加え室温20分反応後、発光量を測定した。
前記反応液中に各種界面活性剤を加えその効果を検討した。HCVに対する抗体の力価が検出感度以下であり、ほとんどHCVに対する抗体を含まないと考えられるHCV抗原陽性血清を用いて、発光量の多寡によるコア抗原活性を健常人血清の発光量を1.0としたときの、それに対する反応比で表わした。その結果を表9及び表10に示す。
【0122】
【表9】
Figure 0003623162
【0123】
【表10】
Figure 0003623162
【0124】
この結果から、Triton X100に代表されるように、HLB値が12〜14間を示す非イオン性界面活性剤の添加により、HCV抗原陽性血清では、健常人血清と比較して発光量が増大し、検出感度が上昇することが判明した。また、同様にドデシル−N−サルコシン酸ナトリウムやドデシルトリメチルアンモニウムに代表されるように、炭素原子数10個以上の直鎖アルキル基と第2、第3又は4級アミンを同時にその構造にもつ界面活性剤の添加により、HCV抗原陽性血清における検出感度が上昇することも判明した。炭素数8以下のアルキル基をもつ前記界面活性剤はこのような感度上昇効果は認められなかった。また、これらの2種類の界面活性剤を混合(表8では2%ドデシル−N−サルコシン酸ナトリウムと2%Triton X100を混合)添加することにより、さらにHCV抗原陽性血清における検出感度が上昇することも判明した。
【0125】
実施例12.HCV感染後の抗HCV抗体出現前(ウインドピリオド期)の検体中のコア抗原検出
市販セロコンヴァージョンパネルPHV905(B.B.I.inc.)を、一次反応液中に2%のTriton X100及び2%のドデシルN−サルコシン酸ナトリウムを添加し、実施例11に準じて測定した。ここで用いたPHV905パネルは、観察開始後21日目(血清No.PHV905−7)に抗HCV抗体検査(オルソEIA.3.0)で陽転化を示したものであり、その抗体価はカットオフインデックス(S/CO)で表され、1.0以上が陽性と判定される。HCVコア抗原活性(発光量)は、健常人血清の発光量を1.0として、それに対する比率(S/N)で表した。
【0126】
表11に示したように、まだ抗HCV抗体が陽性となる前にコア抗原活性が認められ、この界面活性剤の添加により、ウイルス粒子からコア抗原性が露呈し、固相化されたモノクローナル抗体と反応し、検出できていることが確認された。
【0127】
【表11】
Figure 0003623162
【0128】
【配列表】
Figure 0003623162
Figure 0003623162
【0129】
Figure 0003623162
【0130】
Figure 0003623162
【0131】
Figure 0003623162
【0132】
Figure 0003623162
【0133】
Figure 0003623162
【0134】
Figure 0003623162
【0135】
Figure 0003623162

【図面の簡単な説明】
【図1】検体処理においてSDS添加濃度による効果を検討した結果を示す図である。健常人血清(normal)およびHCV−RNA陽性パネル血清13,50を使用した。
【図2】検体処理においてCHAPS添加濃度による効果を検討した結果を示す図である。健常人血清(normal)およびHCV−RNA陽性パネル血清13,50を使用した。
【図3】検体処理において尿素添加濃度による効果を検討した結果を示す図である。健常人血清(normal)およびHCV−RNA陽性パネル血清13,44,50を使用した。
【図4】検体処理におけるTritonX100添加温度による効果を検討した結果を示す図である。健常人血清(normal)およびHCV−RNA陽性パネル血清13,44,50を使用した。
【図5】検体処理中の温度による効果を検討した結果を示す図である。健常人血清(normal)およびHCV−RNA陽性パネル血清13,44,50を使用した。
【図6】標準血清のパネル血清を50を1U/mlとして段階的に希釈し、検体処理した試料を本発明のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチ反応系の希釈検量線と検出感度を示す図である。
【図7】標準血清のパネル血清50を1U/mlとして段階的に希釈し、検体処理した試料をサンドイッチイムノアッセイ反応系で測定したときの希釈検量線と検出感度を示す図である。基質に発光物質を用いている。
【図8】パネル血清13を、検体処理をおこなってから、ゲルロカカラムを用いて分画し、その分画中のコア抗原免疫活性を測定したものである。分子量は、IgGは約150kD、アルブミンは約68kDである。
【図9】PCR陽性検体を、本発明の検体処理後その遊離したコア抗原活性を測定した値とアンプリコアHCVモニター(PCR法)で求めたHCV−RNA量との相関性を示す図である。
【図10】組換えB型肝炎(HBV)コア抗原を本発明の方法により測定した場合の標準曲線を示す。

Claims (5)

  1. C型肝炎ウイルスコア抗原の測定方法であって、
    (1)C型肝炎ウイルスのコア抗原を含む検体を、炭素原子数 10 個以上のアルキル基と第3又は第4級アミンとを有する界面活性剤の存在下で、該抗原に対するプローブと結合させる工程、および
    (2)結合した該抗原を検出する工程
    を含む方法。
  2. 前記アルキル基と第3又は第4級アミンとを有する界面活性剤が、炭素原子数10〜20個のアルキル基と第3又は第4級アミンとを有する界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記界面活性剤が両イオン性界面活性剤である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第3又は第4級アミンを有する界面活性剤が、ドデシル−N−サルコシン酸、セチルもしくはドデシルトリメチルアンモニウム塩、3−(ドデシルジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホン酸、ドデシルピリミジウム塩、又はデカノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−10)である請求項1に記載の方法。
  5. 前記抗原に対するプローブが、C型肝炎ウイルスコア抗原に対する抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
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