JP3623147B2 - 半導体レーザ装置の製造方法および半導体レーザ装置の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、ホログラムレーザ等の半導体レーザ素子,信号受信用ホトダイオード,信号光分割用光学素子等の複数の素子を複合化した半導体レーザ装置に好適な製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体レーザ装置の製造装置を、図1と図2を参照して説明する。
【0003】
図1に全体的に示す製造装置では、未完成の半導体レーザ装置3(以下「ワーク3」と呼ぶ)が、回転テーブル13上にあるサブテーブル14に供給される。そして、この回転テーブル13が回転することで、上記ワーク3は、図1において左側のクランプ位置に移動させられる。
【0004】
次に、ワーク3は、突上コンタクトユニット15によってサブテーブル14と共に持ち上げられ、さらに、突上ピン31が上方に突き出して、図4の左側に示すように、基準ブロック2とクランプ爪4の間まで、ワーク3が上昇させられる。次に、ワーク3はクランプ爪4で基準ブロック2に押し付けられる。
【0005】
図2(a)に示すように、このとき、クランプ爪4の先細の先端4aがワーク3に形成された切り欠き7に嵌合する。これにより、ワーク3の傾き(軸回り位置)が所定の基準位置に決まる。その結果、ワーク3に搭載された半導体レーザ素子1の傾き(軸回り位置)を所定の基準位置に定めることができる。
【0006】
図2(a)では、半導体レーザ素子1の長側面1aが基準面RSに対して平行になっている。この基準位置に半導体レーザ素子1が配置されていることを前提として、半導体レーザ装置3のステム3bの基準位置に、信号受信用ホトダイオード(図示せず)を取り付け、ステム3bにキャップ33を被せて封止する。これにより、半導体レーザ装置3が完成する。
【0007】
さらに、半導体レーザ素子1が上記基準位置に有り、図2(a)に示す基準面RSに対して略平行になっていることを前提に、上記キャップ33に光学素子(図示せず)が搭載される。この光学素子は、図示しない光ディスクから反射してきた信号光を上記信号受信用ホトダイオードに向って回折させるものである。これにより、上記光ディスクからの信号光を受けた上記信号受信用ホトダイオードの出力を見ながら、半導体レーザ装置3の出力を微調整することが可能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図2(a)に示すような従来の製造装置における半導体レーザ素子1の傾き調整では、クランプ爪4に取り付けられたスリット板5の位置を光電センサー6で検出して、クランプ爪4の位置を調整していた。
【0009】
ところが、ワーク3の切り欠き部7は、製造上の寸法バラツキが、一例として、0.85mm〜1.15mmである。したがって、切り欠き部7が最小寸法0.85mmのときには、クランプ爪4の位置が0.1mmずれるか否かによって、図2(c)に示すようにクランプ不良となるのか、図2(b)に示すようにクランプ良となるのかに分かれてしまう。このような僅かなずれ量を、光電センサー6で検出することは困難であった。
【0010】
また、図2(a)に示すようなスリット板5と光電センサー6の構成では、クランプ爪4と切り欠き部7との嵌合の成否を判定できるだけであり、クランプが良(図2(b))か不良(図2(c))かを判定できるだけである。したがって、クランプ良の状態であれば、半導体レーザ素子1の基準位置からのずれが必ず許容範囲内になっていると判断しているが、このずれ量を定量的に管理することはできない。たとえば、上記基準位置からのずれ(傾き角度)が所定の値を越えたときに位置決め不良と判断するということができない。
【0011】
例えば、ワーク3が基準面RSから傾きすぎて、半導体レーザ素子1の長側面1aが基準面RSから傾き過ぎると、n図1に示したワーク3のリードピン35とコンタクトピン16との接触不良が発生する。この場合、電流を流しても半導体レーザ素子1が発光しなかったり、上記信号受光用ホトダイオードの信号が得られなかったりする。このような不具合の原因を解明するためには、ワーク3の傾きを定量的に把握することが必要になる。
【0012】
そこで、この発明の目的は、半導体レーザ装置の製造工程における半導体レーザ素子の基準位置からの傾斜を定量的に検出でき、組立不良を大幅に低減できる半導体レーザ装置の製造方法および半導体レーザ装置の製造装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の半導体レーザ装置の製造方法は、半導体レーザ素子がステムに搭載されてなる半導体レーザ装置の製造方法において、
上記半導体レーザ素子に発振閾値未満の微少電流を流すことによって、上記半導体レーザ素子の活性層を発光させ、
上記活性層の発光パターンから、所定の基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを測定し、
上記軸回りの傾きの大きさに応じて半導体レーザ装置の良否を判定することを特徴としている。
【0014】
この発明では、半導体レーザ素子は発光層が直線上に延びており、発振閾値よりも低い電流値では発光層に沿って発光部が拡がることに着目し、半導体レーザ素子を実際に発光させ、この発光パターンの傾きから半導体レーザ素子の傾きを計測する。
【0015】
この発明では、従来のようにクランプ爪がステムの切り欠きとの嵌合によって半導体レーザ素子の傾きが基準値以下であると判断するのではなく、発光パターンの傾きから半導体レーザ素子の傾きを計測するから、半導体レーザ装置の製造工程における半導体レーザ素子の基準位置からの傾斜を定量的に検出でき、組立不良を大幅に低減できる。
【0016】
また、一実施形態の半導体レーザ装置の製造方法は、上記活性層の発光パターンをCCDカメラで検出し、この検出した発光パターンを表すデータから上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きの大きさを算出する。
【0017】
この実施形態では、CCDカメラで上記活性層の発光パターンを撮像して取り込んだ画像データから、活性層の発光形状の拡がりの方向を計算して活性層の向き(半導体レーザ素子の向き)を高精度に算出できる。
【0018】
また、他の実施形態の半導体レーザ装置の製造方法は、上記発光パターンを表すのデータの内、上記所定の基準面に平行な方向の座標が最大の点の位置座標と最小の点の位置座標とから上記半導体レーザの軸回りの傾きの大きさを算出する。
【0019】
この実施形態では、CCDで取り込んだ発光パターンの画像の境界(輪郭)を構成する点の位置データをコンピュータに取り込み、それらの点のうち基準面に平行な方向の座標(x座標)の最も大きい点の座標と最も小さい点の座標から発光層(活性層)の傾きθ(半導体レーザ素子の傾き)を算出する。したがって、傾きの基準値を制御装置(コンピュータ)に予め入力しておくことによって、測定されたθから半導体レーザ素子の傾きが許容範囲内にあるか否かを瞬時に判断できる。
【0020】
また、一実施形態の半導体レーザ装置の製造方法は、
上記半導体レーザ素子をステムに搭載し、
上記ステムをクランプ爪で基準ブロックに押し当てることによって、上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを調整した後、
上記半導体レーザ素子に発振閾値未満の微少電流を流し、上記半導体レーザ素子の活性層を発光させ、
上記活性層の発光パターンから上記所定の基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを測定する。
【0021】
この実施形態では、活性層の発光パターンから半導体レーザ素子の軸回りの傾きを測定する前に、半導体レーザ素子を搭載したステムをクランプ爪で基準ブロックに押し当てることによって、半導体レーザ素子の軸回りの傾きを予め調整する。したがって、半導体レーザ素子の軸回りの傾きのレンジを予め狭めておくことができ、発光パターンに基いた傾き測定の精度向上を図れる。
【0022】
また、他の実施形態の半導体レーザ装置の製造方法は、
上記基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きが基準値より大きい場合には、上記クランプ爪による上記基準ブロックヘの上記半導体レーザ素子の押し当てを解除した後、
上記半導体レーザ素子を上記クランプ爪で再度、上記基準ブロックヘ押し当て、
上記基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを再度、測定し、
この測定した軸回りの傾きが、再度、基準値を越えた半導体レーザ素子を製造工程から排除する。
【0023】
この実施形態では、半導体レーザ素子を有するワークの傾きが基準値より大きい(不良)の場合、いったんクランプ爪をステムから開放し、再度ステムをクランプし直す。これにより、クランプ爪がステムの正規の位置に嵌る確率が50%程度ある。
【0024】
したがって、最初のクランプにおいてワーク(半導体レーザ素子)の傾きが基準値よりも大きい場合には、再クランプを行い、この再クランプの後にも、ワークの傾きが基準値を越えている場合には、製造工程から排除することによって、歩留まりの向上と同時に不良品の流出を防止する。
【0025】
ワークの傾きが基準値を越えている場合には、リードピンとコンタクトピンとの接触がうまくいかず半導体レーザ素子に電流を流すことができず、半導体レーザ素子が発光しない。
【0026】
また、一実施形態は、半導体レーザ素子をステムに搭載し、
上記ステムをクランプ爪で基準ブロックに対して押し当てることによって、上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを調整し、
上記半導体レーザ素子に発振閾値未満の微少電流を流すことによって上記半導体レーザ素子の活性層を発光させ、上記発光した活性層の発光パターンから基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを測定し、
上記半導体レーザ素子の傾きが設定値以下になった場合にのみ、上記半導体レーザ装置内の所定箇所に信号受信用ホトダイオードまたは信号分割用光学素子を搭載する。
【0027】
この実施形態では、以上の操作を行うことによって、ステムと半導体レーザ素子を含んだワークの傾きが基準値以内であり、リードピンとコンタクトピンとの接触が良好であって、半導体レーザ素子の傾きも基準以内にした状態で、信号光受光用ホトダイオードおよび信号光分割(回折)用光学素子の組立ができる。したがって、半導体レーザ装置の組立不良を大幅に低減できる。
【0028】
また、一実施形態の半導体レーザ装置の製造装置は、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置の製造方法を用いる。
【0029】
この実施形態の製造装置では、上述したように、発光パターンの傾きから半導体レーザ素子の傾きを計測するから、半導体レーザ装置の製造工程における半導体レーザ素子の基準位置からの傾斜を定量的に検出でき、組立不良を大幅に低減できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
図1に、この発明の半導体レーザ装置の製造装置の実施の形態を全体的に示し、図5に、この製造装置によるクランプ動作の工程を示す。
【0032】
この半導体レーザ製造装置では、クランプのスタートに伴い(ステップS1)、クランプ不良カウントがクリアされ(ステップS2)、未完成の半導体レーザ装置であるワーク3が回転テーブル13上に配置されたサブテーブル14に供給される。そして、回転テーブル13が回転軸13aを中心に回転することによって、サブテーブル14上のワーク3が、図において軸13aの左側のクランプ位置に移動させられる。次に、ワーク3は、突上コンタクトユニット15によって、サブテーブル14と共に持ち上げられ、さらに、突上コンタクトユニット15が上昇することによって、ワーク3が基準ブロック2とクランプ爪4の間に押し上げられる(ステップS3)。
【0033】
次に、クランプ爪4がワーク3を基準ブロック2に押しつける(ステップS5)。この状態を図2(a)に示す。クランプ爪4はワーク3のステム3bに形成された切り欠き7に嵌合することによってワーク3の傾き(軸回り位置)を所定の基準位置に定める。その結果、ワーク3に搭載された半導体レーザ素子1の傾き(軸回り位置)を所定の基準位置に定めることができる。このクランプ爪4とワーク3との嵌合による軸回りの傾き位置の設定動作は、前述した従来技術と同様である。
【0034】
しかし、この実施形態の製造装置では、前述の従来技術と異なり、クランプ爪4に取り付けたスリット板5の位置を光電センサ6で検出することで、クランプ爪4の位置を判断することはしない。
【0035】
この実施形態の製造装置では、ワーク3をクランプ爪4で基準ブロック2にクランプした後、図1に示すように、コンタクトピン16をリードピン35に突き当て、半導体レーザ素子1に電流を流して発光させる(ステップS6)。このとき、半導体レーザ素子1にはレーザ発振しないように閥値以下の電流を流す。なお、上記コンタクトピン16は、突上コンタクトユニット15の中央に位置するコンタクトピンユニット41から上方に突き出したものであり、リードピン35はワーク3のステム3bから下方に突き出している。
【0036】
図3に示すように、典型的な半導体レーザ素子1は、クラッド層9,9で挟まれた活性層10を備え、P型電極11,N型電極8から電流を流すと活性層10が発光する。通常、素子1の中央付近にのみ電流が流れ、レーザ発振を生じるが、発振閾値未満の電流では活性層10に沿って光が拡がる。この状態を、図1に示すCCDカメラ17で、図3に示す半導体レーザ素子1の断面上方から白黒のCCD画像として測定し、2値化することによって、図4(a),(b)に示すような発光パターンが観測される。半導体レーザ素子1の面1aが、図2(a)に示すように、基準面RSと平行になっている状態では、基準座標xyに対して、図4(a)に示す発光パターン81が観測される。一方、半導体レーザ素子1の面1aが、基準面RSに対してθだけ傾いた状態では、基準座標xyに対して、図4(b)に示す発光パターン82が観測される。
【0037】
上記CCDカメラ17が撮影した発光パターンの画像の外周(輪郭)を構成する点の座標を、図1に示す制御装置(コンピュータ)91に取り込み(ステップS7)、それらの点のうちx座標値(基準面の方向の座標値)が最も大きい点の座標(Xmax,Ymax)とx座標値が最も小さい点の座標(Xmin,Ymin)を求める。なお、上記制御装置91は、画像入力部92と演算部93からなり、この演算部93は発光回路95とタッチパネル等の入力機器96に接続されている。
【0038】
上記最大点(Xmax,Ymax)は、図4(a),(b)に示す発光パターン81,82の右端点81a,82aに対応し、最小点(Xmin,Ymin)は、発光パターン81,82の左端点81b,82bに対応する。
【0039】
そして、この最小点の座標(Xmin,Ymin)と最大点の座標(Xmax,Ymax)から、半導体レーザ素子1の傾きθを、次の式(1)によって算出する(ステップS8)。
【0040】
θ=(Ymax,Ymin)/(Ymax,Xmin) … (1)
この傾きθの絶対値が予め設定されている基準値よりも大きい場合は、クランプ不良と判断し、コンタクトピン16をリードピン35から離し、クランプ爪4を開放する(ステップS10,S13,S14,S15)。更に、一旦、突き上ピン31および突上コンタクトユニット15も最下方まで降ろした後に(ステップS16)、再度、クランプ状態にし、コンタクトピン16とリードピン35を接触させ、半導体レーザ素子1を発光させ、傾きθを測定する(ステップS3〜S7)。それでもなお、上記式(1)で算出した傾きθが基準値よりも大きい場合や、発光が観測されなかった場合には、そのワーク3は、回転テーブル13の回転で、図1における回転テーブル13の回転軸13aの右側位置に移され、不良ワークとして製造工程から排出される(S10,S13,S14,S17)。なお、上記傾きθの基準値は、図1に示す入力機器96から入力される。
【0041】
一方、傾きθが、基準値以内の良品ワーク3に対しては、制御装置91の演算部93によって、次工程で使用する発光中心位置座標(Xc,Yc)の演算も行い(S11)、次工程処理に進む(S12)。この次工程では、信号検出用ホトダイオード(図示せず)をステム3bヘ取り付ける。この信号検出用ホトダイオードの取り付け位置は半導体レーザ素子1の発光中心位置座標(Xc,Yc)を基準とする相対位置に基いて管理する。
【0042】
以上のように、この半導体レーザ装置の製造装置は、半導体レーザ素子1に発振閾値未満の微少電流を流すことによって、半導体レーザ素子1の活性層10を発光させ、発光パターン81,82の傾きから半導体レーザ素子1の傾きを計測するから、製造工程における半導体レーザ素子1の基準位置からの傾斜θを定量的に検出できる。また、この実施形態は、CCDカメラ17で活性層10の発光パターン81,82を撮像して取り込んだ画像データから、活性層10の発光形状の拡がりの傾きを計算して活性層の傾き(半導体レーザ素子の傾き)を高精度に求めることができる。また、この実施形態では、上記発光パターンを表すデータの内、上記所定の基準面RSに平行な方向の座標が最大の点の位置座標と最小の点の位置座標とから上記半導体レーザ1の傾きθの大きさを算出する。したがって、傾きの基準値を制御装置91に予め入力しておくことによって、測定されたθから半導体レーザ素子1の傾きが許容範囲内にあるか否かを瞬時に判断できる。
【0043】
また、この実施形態では、活性層10の発光パターンから半導体レーザ素子1の軸回りの傾きを測定する前に、半導体レーザ素子1を搭載したステム3bをクランプ爪4で基準ブロック2に押し当てることによって、半導体レーザ素子1の軸回りの傾きを予め調整する。したがって、半導体レーザ素子1の軸回りの傾きのレンジを予め狭めておくことができ、発光パターンに基いた傾き測定の精度向上を図れる。また、この実施形態では、半導体レーザ素子1を有するワーク3の傾きが基準値より大きい(不良)の場合、いったんクランプ爪4をステム3bから開放し、再度ステム3bをクランプし直す。これにより、クランプ爪4がステム3bの正規の位置に嵌る確率が50%程度ある。したがって、最初のクランプにおいてワーク3(半導体レーザ素子1)の傾きが基準値よりも大きい場合には、再クランプを行い、この再クランプの後にも、ワーク3の傾きが基準値を越えている場合には、製造工程から排除することによって、歩留まりの向上と同時に不良品の流出を防止する。また、この実施形態では、半導体レーザ素子1の傾きが設定値以下になった場合にのみ、半導体レーザ装置内の所定箇所に信号受信用ホトダイオードまたは信号分割用光学素子を搭載する。以上の操作を行うことによって、ステム3bと半導体レーザ素子1を含んだワーク3の傾きが基準値以内であり、リードピン35とコンタクトピン16との接触が良好であって、半導体レーザ素子1の傾きも基準以内にした状態で、信号光受光用ホトダイオードおよび信号光分割(回折)用光学素子の組立ができる。したがって、半導体レーザ装置の組立不良を大幅に低減できる。
【0044】
尚、図6(a)〜(c)に示すような薄型のステム12をクランプする場合には、図6にように、Y字型のクランプ爪である可動側ブロック72を使用すれば良い。この可動側ブロック72は、図6(b)に示すように、Y軸方向に移動できるようになっており、薄型ステム12の長側面12aとその両側に連なる短側面12b,12cに嵌合するように窪んでいるくぼみ面73を有する。このくぼみ面73は長側面12aに合わさる底面72cとその両側の側斜面72a,72bからなる。一方、固定側ブロック62は、図6(b)に示すように、X軸方向に移動できるようになっており、平坦面60とその両側の窪み63,64を有し、平坦面60が薄型ステム12の長側面12dに合わさるようになっている。
【0045】
この可動側ブロック72と固定側ブロック62は、それぞれ、図6(b)に示すように、Y軸方向とX軸方向にスライドさせることで、傾いた薄型ステム12を矢印で示す回転方向に回転させて、薄型ステム12を、図6(c)に示すように、基準位置にすると同時に固定側ブロック62と可動側ブロック72とで挟んで位置固定する。この可動側ブロック72によれば、クランプ爪4を用いる場合に比べて、より効果的にステムの姿勢を矯正できる。
【0046】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の半導体レーザ装置の製造方法は、半導体レーザ素子に発振閾値未満の微少電流を流すことによって、半導体レーザ素子の活性層を発光させ、発光パターンの傾きから半導体レーザ素子の傾きを計測するから、半導体レーザ装置の製造工程における半導体レーザ素子の基準位置からの傾斜を定量的に検出でき、組立不良を大幅に低減できる。
【0047】
また、一実施形態では、CCDカメラで上記活性層の発光パターンを撮像して取り込んだ画像データから、活性層の発光形状の拡がりの方向を計算して活性層の向き(半導体レーザ素子の向き)を高精度に求めることができる。
【0048】
また、他の実施形態では、上記発光パターンを表すのデータの内、上記所定の基準面に平行な方向の座標が最大の点の位置座標と最小の点の位置座標とから上記半導体レーザの傾きの大きさを算出する。したがって、傾きの基準値を制御装置(コンピュータ)に予め入力しておくことによって、測定されたθから半導体レーザ素子の傾きが許容範囲内にあるか否かを瞬時に判断できる。
【0049】
また、一実施形態では、活性層の発光パターンから半導体レーザ素子の軸回りの傾きを測定する前に、半導体レーザ素子を搭載したステムをクランプ爪で基準ブロックに押し当てることによって、半導体レーザ素子の軸回りの傾きを予め調整する。したがって、半導体レーザ素子の軸回りの傾きのレンジを予め狭めておくことができ、発光パターンに基いた傾き測定の精度向上を図れる。
【0050】
また、他の実施形態では、半導体レーザ素子を有するワークの傾きが基準値より大きい(不良)の場合、いったんクランプ爪をステムから開放し、再度ステムをクランプし直す。これにより、クランプ爪がステムの正規の位置に嵌る確率が50%程度ある。したがって、最初のクランプにおいてワーク(半導体レーザ素子)の傾きが基準値よりも大きい場合には、再クランプを行い、この再クランプの後にも、ワークの傾きが基準値を越えている場合には、製造工程から排除することによって、歩留まりの向上と同時に不良品の流出を防止する。
【0051】
また、一実施形態では、半導体レーザ素子をステムに搭載し、このステムをクランプ爪で基準ブロックに対して押し当てることによって、半導体レーザ素子の傾きを調整し、この半導体レーザ素子に発振閾値未満の微少電流を流すことによって上記半導体レーザ素子の活性層を発光させ、この発光した活性層の発光パターンから基準面に対する半導体レーザ素子の傾きを測定し、この半導体レーザ素子の傾きが設定値以下になった場合にのみ、上記半導体レーザ装置内の所定箇所に信号受信用ホトダイオードまたは信号分割用光学素子を搭載する。以上の操作を行うことによって、ステムと半導体レーザ素子を含んだワークの傾きが基準値以内であり、リードピンとコンタクトピンとの接触が良好であって、半導体レーザ素子の傾きも基準以内にした状態で、信号光受光用ホトダイオードおよび信号光分割(回折)用光学素子の組立ができる。したがって、半導体レーザ装置の組立不良を大幅に低減できる。
【0052】
また、一実施形態の半導体レーザ装置の製造装置では、上述したように、発光パターンの傾きから半導体レーザ素子の傾きを計測するから、半導体レーザ装置の製造工程における半導体レーザ素子の基準位置からの傾斜を定量的に検出でき、組立不良を大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の半導体レーザ装置の製造装置の実施形態の構造を示す部分断面図である。
【図2】図2(a)は、上記半導体レーザ装置においてワーク3をクランプ爪4と基準ブロック2で挟んでいる状態を上方から見た様子を示す図であり、図2(b)は、ワーク3のステム3bに形成された切り欠き7に、クランプ爪4が正しく嵌合している様子を示す部分拡大図であり、図2(c)は、クランプ爪4によるクランプ不良の状態を示す部分拡大図である。
【図3】半導体レーザ素子1の構造を示す断面図である。
【図4】図4(a)は、半導体レーザ素子1の活性層がしきい値以下の電流で帯状に発光しているパターンを示す図であり、図4(b)は、上記発光パターンが基準座標軸に対して傾斜している様子を示す図である。
【図5】上記半導体レーザ装置によるクランプ工程を説明するフローチャートである。
【図6】図6(a)は、半導体レーザ装置の薄型ステム12をクランプする変形例を示す模式図であり、図6(b)は、この変形例によるクランプ過程でステム姿勢が矯正される様子を示す模式図であり、図6(c)は、上記クランプが略完了した状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1…半導体レーザ素子、2…基準ブロック、3…ワーク、3b…ステム、
4…クランプ爪、5…スリット板、6…光電センサ、7…切り欠き、
10…活性層、13…回転テーブル、13a…回転軸、14…サブテーブル、
15…突上コンタクトユニット、16…コンタクトピン、
17…CCDカメラ、35…リードピン、81,82…発光パターン。
Claims (7)
- 半導体レーザ素子がステムに搭載されてなる半導体レーザ装置の製造方法において、
上記半導体レーザ素子に発振閾値未満の微少電流を流すことによって、上記半導体レーザ素子の活性層を発光させ、
上記活性層の発光パターンから、所定の基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを測定し、
上記軸回りの傾きの大きさに応じて半導体レーザ装置の良否を判定することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 請求項1に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、
上記活性層の発光パターンをCCDカメラで検出し、この検出した発光パターンを表すデータから上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きの大きさを算出することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 請求項2に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、
上記発光パターンを表すデータの内、上記所定の基準面に平行な方向の座標が最大の点の位置座標と最小の点の位置座標とから上記半導体レーザの軸回りの傾きの大きさを求めることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 請求項1に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、
上記半導体レーザ素子をステムに搭載し、
上記ステムをクランプ爪で基準ブロックに押し当てることによって、上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを調整した後、
上記半導体レーザ素子に発振閾値未満の微少電流を流し、上記半導体レーザ素子の活性層を発光させ、
上記活性層の発光パターンから上記所定の基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを測定することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 請求項4に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、
上記基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きが基準値より大きい場合には、上記クランプ爪による上記基準ブロックヘの上記半導体レーザ素子の押し当てを解除した後、
上記半導体レーザ素子を上記クランプ爪で再度、上記基準ブロックヘ押し当て、
上記基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを再度、測定し、
この測定した軸回りの傾きが、再度、基準値以上となった半導体レーザ素子を製造工程から排除することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 半導体レーザ素子をステムに搭載し、
上記ステムをクランプ爪で基準ブロックに対して押し当てることによって、上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを調整し、
上記半導体レーザ素子に発振閾値未満の微少電流を流すことによって上記半導体レーザ素子の活性層を発光させ、上記発光した活性層の発光パターンから基準面に対する上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きを測定し、
上記半導体レーザ素子の軸回りの傾きが設定値以下になった場合にのみ、上記半導体レーザ装置内の所定箇所に信号受信用ホトダイオードまたは信号分割用光学素子を搭載することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 請求項1乃至6のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置の製造方法を用いることを特徴とする半導体レーザ装置の製造装置。
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