JP3622700B2 - 電子機器および電子機器の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、充電可能な二次電池を備えた電子機器に係り、特に二次電池の充電状態の表示制御および二次電池の充電制御のための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子時計などの電子機器には、内蔵の二次電池の電池容量または電池電圧を表示する機能を備えたものがある。この種の電子時計では、通常使用時を想定して予め用意された二次電池の端子電圧と電池容量または電池電圧との対応テーブルを使用し、端子電圧の測定結果から電池容量または電池電圧を推定し、その表示を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の電子機器を充電用のステーションに収容して、二次電池の充電を行う場合、電子機器の表示部には充電中の二次電池の電池容量または電池電圧が表示される。従って、ユーザとしては、その表示により二次電池が所望の電池容量または電池電圧に充電されたか否かを確認し、適当なところで充電を終了させたいところである。
【0004】
しかしながら、充電時においては充電電流によって生じる二次電池の内部抵抗による電圧降下分だけ二次電池の端子電圧が増加するため、この端子電圧から上記対応テーブルにより推定された電池容量または電池電圧は不正確なものになってしまう。
【0005】
従って、電子機器の表示部の表示により電池容量または電池電圧が十分にあると判断し、電子機器をステーションから取り外したユーザが、その期待を裏切られ、比較的短時間のうちに再度充電を行う羽目になることもある。
【0006】
一方、充電は二次電池の電池容量が所望の電池容量に達するまで行われれば十分である。それ以上の長時間の充電は不要な電力の消費であり、不経済である。さらに、定格容量以上の充電が行われると、二次電池に液漏れ等が発生するとともに、二次電池の劣化を招くおそれすらある。したがって、二次電池の充電を行う場合には、二次電池の電池容量に応じて、充電制御を行うことが望ましい。しかしながら、上述したように充電時には、二次電池の電池電圧を推定しても正確な推定値が得られないので、このような充電制御を行うことはできなかった。
【0007】
この発明の目的は、このような問題を解決し、二次電池の電池容量を簡易な構成によって推定し、充電の制御を行うことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、この発明は、充電器から周期的かつ断続的に電気エネルギを受け取って二次電池の充電を行う充電部と、前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、非充電時における前記二次電池の端子電圧と前記二次電池の電池容量または電池電圧との関係を表す第1のデータテーブルを記憶するとともに、充電時における前記二次電池の端子電圧と前記二次電池の電池容量または電池電圧との関係を表す第2のデータテーブルとして、前記充電の周期に対する充電時間のデューティ比に対応した複数のデータテーブルを記憶する記憶部と、非充電時においては、前記第1のデータテーブルを用いて前記電圧検出部により検出された端子電圧から前記二次電池の電池容量または電池電圧を推定し、充電時においては、所定の条件が満たされたときに、前記デューティ比の切り換えを要求するコマンドを前記充電器に送信するとともに、前記第2のデータテーブルのうち現在行われている充電のデューティ比に対応したデータテーブルを用いて前記電圧検出部により検出された電圧から前記二次電池の電池容量または電池電圧を推定する制御部とを具備することを特徴とする電子機器を提供する。
かかる電子機器によれば、非充電時および充電時の各々において正確に電池容量または電池電圧を推定することができる。
好ましい態様において、この電子機器は、表示部を有し、前記制御部は、前記電池容量または電池電圧の推定結果を前記表示部に表示する。
この場合において、前記表示部は、前記電池容量または電池電圧の推定結果の表示の代わりに、またはこれにさらに追加して、前記電池容量または電池電圧の推定結果に基づいて当該電子機器の使用可能日数を求め、前記表示部に表示してもよい。
好ましい態様において、前記制御部は、前記二次電池の充電が開始されてからの経過時間が所定時間に達したときに現在よりも高いデューティ比への切り換えを要求するコマンドを送信する。
若しくは前記制御部は、前記二次電池の端子電圧または電池容量の推定値が所定値に達したときに現在よりも高いデューティ比への切り換えを要求するコマンドを送信する。
好ましい態様において、前記制御部は、前記二次電池の電池容量または電池電圧が所定値に達したときに充電の停止を要求するコマンドを送信する。
以上掲げた諸態様において次のような改良を行ってもよい。すなわち、電子機器には、前記二次電池の内部抵抗を測定する内部抵抗測定部を設ける。また、前記記憶部には、前記第1のデータテーブルおよび第2のデータテーブルとして、複数の異なった内部抵抗に対応した複数のデータテーブルを各々記憶させる。そして、前記制御部は、前記内部抵抗測定部により測定された前記二次電池の内部抵抗に対応した第1のデータテーブルまたは第2のデータテーブルを用いて、前記二次電池の電池容量を推定するのである。
ここで、前記内部抵抗測定部は、例えば前記二次電池の開放電圧と、前記二次電池に所定の負荷を接続したときの電圧とに基づいて前記内部抵抗を算出する。
また、この発明は、充電器から周期的かつ断続的に電気エネルギを受け取って二次電池の充電を行う充電部と、前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、記憶部と、表示部とを具備する電子機器の制御方法において、非充電時における前記二次電池の端子電圧と前記二次電池の電池容量または電池電圧との関係を表す第1のデータテーブルを前記記憶部に予め記憶させるとともに、充電時における前記二次電池の端子電圧と前記二次電池の電池容量または電池電圧との関係を表す第2のデータテーブルとして、前記充電の周期に対する充電時間のデューティ比に対応した複数のデータテーブルを前記記憶部に予め記憶させ、非充電時においては、前記第1のデータテーブルを用いて前記電圧検出部により検出された端子電圧から前記二次電池の電池容量または電池電圧を推定し、充電時においては、所定の条件が満たされたときに、前記デューティ比の切り換えを要求するコマンドを前記充電器に送信するとともに、前記第2のデータテーブルのうち現在行われている充電のデューティ比に対応したデータテーブルを用いて前記電圧検出部により検出された電圧から前記二次電池の電池容量または電池電圧を推定し、この推定結果を前記表示部により表示することを特徴とする電子機器の制御方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0010】
[1] 機械的構成
図1はこの発明の一実施形態にかかる電子時計とステーションの構成を示す平面図である。図1において、電子時計200は、腕時計型の電子機器であり、電源として二次電池を内蔵しており、この二次電池からの電源供給を受け、時計としての機能と情報処理装置としての機能を営むことができる。更に詳述すると、この電子時計200は、通常の使用状態ではユーザの腕に装着されて、表示部204により日付時刻等を表示する一方、図示しないセンサ等によって、脈拍数や心拍数などの生体情報を一定時間毎に検出して記憶する情報処理を行う。ステーション100は、この電子時計200の二次電池への充電や電子時計200とのデータ転送などを行うために用いられる装置である。このステーション100は、電子時計200の本体201およびバンド202よりも若干大きめな形状の凹部101を有している。電子時計200は、その本体201およびバンド202が凹部101に収容された状態でステーション100に固定される。また、ステーション100には、充電の開始を指示するための充電開始ボタン1031や、データ転送の開始を指示するための転送開始ボタン1032などの各種入力部とともに、各種の表示を行うための表示部104が設けられている。
【0011】
図2に、図1におけるA−A線の断面図を示す。
図2に示すように、電子時計200の本体201の下面は裏蓋212によって塞がれている。電子時計200は、この裏蓋212を凹部101の底部に対向させた状態でステーション100に固定される。本体201における裏蓋212の内側の空間には、回路基板221やこの回路基板221上の回路に電源電圧を供給する二次電池220が収納されている。裏蓋212には開口部があり、この開口部はカバーガラス211によって塞がれている。このカバーガラス211の内側の表面にはデータ転送や充電のための時計側コイル210が配置されている。
【0012】
一方、ステーション100の凹部101の底部には、充電開始ボタン1031、転送開始ボタン1032、表示部104、一次電源(図示省略)などと接続された回路基板121を収納した空室がある。この空室の天井に開口部があり、この開口部はカバーガラス111によって塞がれている。このカバーガラス111の内側には、ステーション側コイル110が固定されている。このステーション側コイル110は、ステーション100側のカバーガラス111と電子時計200のカバーガラス211とを介して、電子時計200の本体201内部のコイル210と対向している。
【0013】
このように、電子時計200がステーション100に収容された状態において、ステーション側コイル110と時計側コイル210とは、カバーガラス111、211により物理的には非接触である。しかしながら、コイル巻回面が略平行なので電磁的には結合した状態となる。
【0014】
また、ステーション側コイル110および時計側コイル210とは、それぞれ時計機構部分の着磁を避ける理由や、時計側の重量増加を避ける理由、磁性金属の露出を避ける理由などにより、磁心を有さない空心型となっている。しかし、このようなことが問題とならない電子機器に適用する場合には、磁心を有するコイルを採用しても良い。もっとも、コイルに与える信号周波数が十分に高いのであれば、空心型で十分である。
【0015】
[2] 本実施形態における電池容量または電池電圧の表示のための制御方法および充電制御方法
本実施形態では、充電時における電池容量または電池電圧を正確に推定するため、非充電時または通常使用時を想定して用意された対応テーブルとは別に、充電時を想定して二次電池の端子電圧と電池容量または電池電圧との関係を示す対応テーブルを予め用意する。そして、電子時計では、非充電時または通常使用時には、これに対応して用意された対応テーブルが使用され、そのときの端子電圧から電池容量または電池電圧が推定される。一方、充電時には、これに対応して用意された充電時用の対応テーブルが使用され、そのときの端子電圧から電池容量または電池電圧が推定される。
【0016】
また、本実施形態では、充電時における電池容量または電池電圧の推定を正確なものにするため、2種類の充電方法を併用して二次電池の充電を行う。以下、その原理について説明する。
【0017】
図3は、デューティが100%に近い電流パルスであるフルデューティ充電パルスを二次電池に与えることにより二次電池の充電を行ったときの端子電圧(単位:V)、電池電圧(単位:V)、電池容量(単位:mAH)の時間的変化を示している。なお、図3において横軸は時間軸であり、右側の縦軸は端子電圧および電池電圧のスケールであり、左側の縦軸は電池容量のスケールである。
【0018】
充電時には、充電電流が二次電池の内部抵抗に流れるので、二次電池の端子電圧は電池電圧よりも内部抵抗による電圧降下分だけ高くなる。図3に示すように、フルデューティ充電パルスにより充電を行った場合、端子電圧は初期値3.00Vから急激に上昇し、充電開始から約1時間で略一定電圧となる。一方、電池電圧は緩やかなカーブを描いて徐々に上昇する。二次電池の電池容量は、この電池電圧に追従するように緩やかなカーブを描いて上昇する。このように充電の初期においては端子電圧は実際の電池電圧と大きくかけ離れるが、充電開始から約12時間後には、実際の電池電圧とほぼ等しくなる。
【0019】
図4は、デューティが50%の電流パルスであるハーフデューティ充電パルスを二次電池に与えることにより二次電池の充電を行ったときの端子電圧(単位:V)、電池電圧(単位:V)、電池容量(単位:mAH)の時間的変化を示している。
【0020】
図4に示すように、ハーフデューティ充電パルスを用いて充電を行った場合、フルデューティ充電パルスを用いて充電を行った場合と比較して、端子電圧の時間的変化は穏やかであり、端子電圧は充電開始から約4時間で略一定電圧となる。そして、電池電圧は、フルデューティ充電パルスを用いて充電を行った場合と同様、緩やかなカーブを描いて徐々に上昇する。二次電池の電池容量は、この電池電圧に追従するように緩やかなカーブを描いて上昇する。
【0021】
このように、ハーフデューティ充電パルスを用いて充電を行った場合、充電の初期においては、端子電圧と電池電圧との差がフルデューティ充電パルスの場合よりは小さい。従って、端子電圧から電池電圧や電池容量を推定するのが容易である。しかし、ハーフデューティ充電パルスを用いると、フルデューティ充電パルスを用いる場合よりも、二次電池が十分な電池容量まで充電されるのに要する時間が長くなってしまう。
【0022】
そこで、本実施形態においては、充電開始から約4時間が経過するまでの充電前半期間は、ハーフデューティ充電パルスを用いて充電を行う。そして、充電開始から約4時間経過後、約12時間経過までの充電後半期間は、フルデューティ充電パルスを用いて充電を行う。
【0023】
[3] ステーション100および電子時計200の構成
次に、本実施形態におけるステーション100および電子時計200の構成について説明する。
【0024】
図5は、本実施形態におけるステーション100の構成を示すブロック図である。図5において、発振回路140は、各部の動作を同期させるためのクロック信号CLKを出力する回路である。ステーション側コイル110は、電子時計200側から送られてくる信号を受信するアンテナとしての役割を担っている。また、ステーション側コイル110は、電子時計200内の二次電池220の充電を行う場合に、バースト状の交流磁界を断続的に発生する役割を担っている。このバースト状の交流磁界は、電子時計200内において上述のフルデューティ充電パルスまたはハーフデューティ充電パルスとなるものである。
【0025】
ステーション側コイル110の一方の端子は、電源電圧Vccに固定され、その他方の端子Dは、トランジスタ153のドレインに接続されている。このトランジスタ153のソースは接地されており、ゲートは、アンドゲート152の出力と接続されている。このアンドゲート152の一方の入力端には、クロック信号CLKが供給され、他方の入力端には充電・転送切換器170から信号eが供給される。充電・転送切換器170は、この信号eのレベル切換を行う。なお、この信号eのレベル切換の詳細については後述する。
【0026】
トランジスタ153のゲートには、信号eがHレベルである期間、アンドゲート152を介してクロック信号CLKが供給され、ドレイン−ソース間のON/OFF切換が行われる。このため、ステーション側コイル110には、電源電圧Vccをクロック信号CLKでスイッチングしたパルス信号が印加される。したがって、信号eがHレベルである期間、ステーション側コイル110は、バースト状の交流磁界を発生する。
【0027】
電子時計200では、この交流磁界によって時計側コイル210に誘起される信号が整流され、上述したフルデューティ充電パルスまたはハーフデューティ充電パルスとして、二次電池220に与えられる。
【0028】
一方、信号eがLレベルである期間においては、アンドゲート152の出力信号はLレベルに固定され、トランジスタ153はOFF状態を継続する。このため、ステーション側コイル110から電子時計200への交流磁界の供給は行われず、電子時計200の二次電池220の充電も行われない。この充電が行われない期間、電子時計200は、ステーション100宛てのデータ信号によって変調された交流磁界を出力することができる。このとき、ステーション側コイル110は、一端が電源電圧Vccに固定され、他端Dがフローティング状態であるため、時計側コイル210に交流磁界が与えられると、ステーション側コイル110の端子Dには、信号S2が誘起される。受信回路154は、クロック信号CLKを用いて、この信号S2からデータ信号S3を復調する。また、デコーダ155は、信号eがLレベルである期間、受信回路154によって復調されたデータ信号から、コマンドcom1、com2およびcom3などの電子時計200からのコマンドを復号する。
【0029】
ここで、コマンドcom1は、二次電池220の電池容量が飽和しておらず、さらに充電の余地があるときに電子時計200から送られてくるコマンドである。このコマンドcom1は、オアゲート156の第1入力端と充電・転送切換器170に供給される。コマンドcom2は、ハーフデューティ充電からフルデューティ充電への切換を指令するコマンドである。このコマンドcom2は、充電・転送切換器170に供給される。コマンドcom3は、二次電池220が十分に充電され、その容量が飽和しており、もはや充電の余地がない状態(以下、フル充電状態という)になったときに電子時計200から送られてくるコマンドである。このコマンドcom3は、オアゲート156の第2入力端とオアゲート157の第3入力端に供給される。
【0030】
充電開始ボタン1031および転送開始ボタン1032は、ユーザによって押下されると、それぞれ1ショットのパルス信号を出力するボタンである。いずれのボタンから出力されるパルス信号も、オアゲート105を介し、パルス信号STRとしてタイマ141および142に供給される。また、充電開始ボタン1031から出力されるパルス信号は、パルス信号CSとして充電・転送切換器170に供給される。
【0031】
タイマ141には、パルス信号STRにより、プリセット値mが書き込まれる。以後、タイマ141は、プリセット値mをカウント値の初期値として、クロック信号CLKによるダウンカウントを行う。そして、タイマ141は、カウント値が「0」になるまでダウンカウントを行い、このカウント動作中には、Hレベルの信号aを出力する。ここで、プリセット値mは、信号aが例えば12時間に亙ってHレベルを維持するような値に設定されている。信号aは、反転回路143によりレベル反転されて、オアゲート157の第2入力端と処理回路130とに供給される。
【0032】
また、タイマ142には、パルス信号STRにより、プリセット値nが書き込まれる。以後、タイマ142は、カウント値がプリセット値nから「0」になるまで、クロック信号CLKによるダウンカウントを行う。このカウント動作中、タイマ142は、Hレベルの信号bを出力する。ここで、プリセット値nは、mよりも十分に小さく設定されており、信号bのHレベル期間が、例えば30分となるような値に設定されている。
【0033】
コマンド検出器160は、パルス信号STRが出力された後、信号bがHレベルを維持している期間、オアゲート156を介してデコーダ155の出力信号を監視する。そして、この期間が終了するまでにデコーダ155からコマンドcom1あるいはcom3が出力されなかった場合、Hレベルの信号dを出力する。この信号dは、オアゲート157の第1入力端と処理回路130とに供給される。
【0034】
充電・転送切換器170は、オアゲート105からパルス信号STRが出力されたとき、パルス信号CSが出力されているか否かを判定する。そして、パルス信号STRとともにパルス信号CSが出力されている場合、充電・転送切換器170は、充電開始ボタン1031の押下により充電の指示が与えられたと解し、以下説明する充電制御処理を開始する。ただし、以下の充電制御処理は、オアゲート157の出力信号OFFがLレベルであることを条件として行われる。
【0035】
まず、充電・転送切換器170は、図6に示すように60秒の周期と50%のデューティ比を有するハーフデューティ充電指令信号SHALFを生成し、これを信号eとして出力する。
【0036】
次に、デコーダ155からコマンドcom2が出力されると、充電・転送切換器170は、図7に示すように590秒間のHレベル期間と10秒のLレベル期間とを交互に繰り返すデューティ比が98.3%のフルデューティ充電指令信号SFULLを生成し、信号eとして出力する。
【0037】
一方、オアゲート157の出力信号OFFがHレベルである場合、充電・転送切換器170は、信号eをLレベルに固定し、ステーション側コイル110による交流磁界の発生を禁止する。ここで、どのような場合に信号OFFがHレベルになって交流磁界の発生が禁止されるのか、また、何故そのような場合に交流磁界の発生を禁止するのかについて説明する。
【0038】
まず、交流磁界の発生が禁止される場合として、電子時計200がステーション100に完全に収容されておらず、ステーション側コイル110と時計側コイル210とが対向していないような場合が考えられる。このような場合、ステーション100と電子時計200とを結ぶ通信リンクがない。このため、充電開始ボタン1031または転送開始ボタン1032が押下されたとしても、ステーション100に電子時計200からコマンドcom1やcom3が届くことなく、タイマ142のダウンカウントが終了し、コマンド検出器160からHレベルの信号dが出力される。この結果、信号OFFがHレベルとなるのである。
【0039】
このように信号dがHレベルとなる場合にステーション側コイル110による交流磁界の発生を禁止するのは、ステーション側コイル110と時計側コイル210とが対向していない状態では、ステーション側コイル110から交流磁界を発生したとしても、時計側コイル210に交流電圧が誘起されず、無駄に電力を消費するだけだからである。
【0040】
タイマ142を用いた計時により、コマンドcom1やcom3の受信を30分待ってから交流磁界の発生を禁止する措置を採っているのは、ステーション100に収容された電子時計200の二次電池220の残りの電池容量が空に近いような状況を配慮したものである。すなわち、このような場合、ステーション100に収容された電子時計200は、二次電池220の電池容量が空に近いので、たとえステーション側コイル110と時計側コイル210とが対向していたとしても、ステーション100にコマンドを送ることができない。しかし、充電を30分も行えば、二次電池220の電池容量は、電子時計200からステーション100にコマンドを送るのに十分な電池容量に達すると考えられる。そこで、本実施形態では、タイマ142により30分の計時を行いながらコマンドcom1やcom3の受信を監視し、30分待ってもコマンドcom1またはcom3が受信されないときには、ステーション側コイル110と時計側コイル210とが対向していないとみなし、ステーション側コイル110による交流磁界の発生を禁止しているのである。
【0041】
この他、交流磁界の発生が禁止される場合として、充電開始ボタン1031の押下により充電開始の指示がなされた後、タイマ141による12時間の計時が終了し、信号aがLレベルになった場合が挙げられる。このように12時間を以てステーション側コイル110による交流磁界の発生を停止するのは、一般に12時間も充電を行えば、二次電池220はフル充電状態になり、それ以上の時間に及ぶ充電は、二次電池220の劣化の原因になるからである。ただし、これには例外がある。すなわち、たとえ信号aがLレベルになったとしても、デコーダ155からコマンドcom1が出力され続ける限り、充電・転送切換器170は、フルデューティ充電指令信号SFULLを生成し、信号eとして出力する。二次電池220の容量が十分でない旨のコマンドcom1が送られてきている以上は、たとえ充電時間が12時間を越えたとしても、充電を停止することはできないからである。
【0042】
この他、デコーダ155からコマンドcom3が出力され、信号OFFがHレベルになった場合には、交流磁界の発生が禁止される。充電終了を指示するコマンドcom3が電子時計200から送られてきているのに充電を続行すると、二次電池220の劣化を招くからである。
以上が本実施形態におけるステーション100の詳細である。
【0043】
図8は、本実施形態における電子時計200の構成を示すブロック図である。図8において、時計側コイル210は、制御回路230による制御の下、コマンドやデータによって変調された信号をステーション100に送信する役割と、ステーション100から与えられる交流磁界に応じた交流電圧を発生する役割とを担っている。
【0044】
送信回路250、抵抗251およびトランジスタ252は、時計側コイル210による信号の送信を行う送信部を構成している。ここで、トランジスタ252は、エミッタが二次電池220の正側端子に接続され、コレクタが時計側コイル210を介して接地されている。送信回路250は、制御回路230からステーション100宛てのコマンドやデータが与えられたとき、このコマンドやデータを一連のビットからなるシリアルデータに変換する。そして、送信回路250は、送信すべきビットが例えばLレベルであるときには、一定の周波数と持続時間を有する交流ベース電流をトランジスタ252に流し、送信すべきビットがHレベルであるときには一定時間に亙ってトランジスタ252に対するベース電流の供給を断つ。この結果、ステーション100宛てのシリアルデータによって変調された交流磁界が時計側コイル210によって発生される。時計側コイル210による信号の送信を行わないとき、送信回路250は、トランジスタ252に対するベース電流を断ち、トランジスタ252をOFF状態に維持する。
【0045】
次に、時計側コイル210によりステーション100から交流磁界を受け取り、これから得られる電気エネルギにより二次電池220の充電を行うための回路構成について説明する。
【0046】
図8に示すように、時計側コイル210の一方の端子Pは、ダイオード245を介して二次電池220の正側端子に接続されている。また、時計側コイル210の他方の端子は、二次電池220の負側端子に接続されている。このため、ステーション側コイル110(図2参照)からバースト状の交流磁界が発生すると、その交流磁界により時計側コイル210の一方の端子Pにバースト状の交流電圧が誘起される。この交流電圧は、ダイオード245によって整流された後、充電パルスとして二次電池220に充電される。そして、二次電池220の電圧Vccが、電子時計200における各部の電源として用いられる。
【0047】
充電期間検出回路261は、ダイオード245のカソードから得られる電圧に基づいて、端子Pに交流電圧が誘起されているか否かを検出し、交流電圧が誘起されている場合にはHレベルの充電期間信号CHRを出力し、誘起されていない場合にはLレベルの充電期間信号CHRを出力する。電圧検出回路281は、二次電池220における両端子間の電圧値Evを検出してディジタルデータとして出力する。
【0048】
本実施形態における電子時計200は、二次電池220の内部抵抗を求めるための回路を有している。以下、これについて説明する。
【0049】
まず、二次電池220の正側端子には、抵抗値Rの放電用抵抗301の一端が接続され、この抵抗301の他端はトランジスタ302のコレクタに接続され、トランジスタ302のエミッタは二次電池220の負側端子に接続されている。トランジスタ302がオン状態であるとき、トランジスタ302および抵抗301は、二次電池220の放電路を形成する。
【0050】
次に、放電抵抗スイッチング回路303は、制御回路230の制御下で、トランジスタ302のON/OFF切換およびレジスタ282、283に対するデータ書き込みを行うための信号DTCを出力する回路である。さらに詳述すると、制御回路230は、充電期間信号CHRがHレベルからLレベルに変化してから所定時間経過したとき、放電抵抗スイッチング回路303に指令を送り、信号DTCをHレベルに立ち上げる。この信号DTCの立ち上がりエッジにより、その時点における二次電池220の電圧値Evdを表す電圧検出回路281の出力データがレジスタ283に書き込まれる。
【0051】
また、信号DTCがHレベルになると、トランジスタ302がON状態となり、放電用抵抗301が二次電池220に並列に接続され、放電路が形成される。そして、制御回路230は、このようにして二次電池220の放電路が形成されてから所定時間が経過したとき、放電抵抗スイッチング回路303に指令を送り、信号DTCをLレベルに立ち下げる。この信号DTCの立ち下がりエッジにより、その時点における電圧検出回路281の出力データがレジスタ282に書き込まれる。
【0052】
以上のように、充電が行われていない期間を利用して、二次電池220の開放時の端子電圧値Evdと、放電用抵抗301が並列接続された状態における二次電池220の端子電圧の電圧値Evrが求められ、前者がレジスタ283に、後者がレジスタ282に保持される。
【0053】
減算器284は、レジスタ283に保持された電圧値Evdからレジスタ282に保持された電圧値Evrを減算し、結果ΔEvを出力する。このΔEvは、二次電池220の内部抵抗による電圧降下に相当するものである。
【0054】
また、内部抵抗算出回路305は、減算器284の出力データΔEv、レジスタ282の出力データである電圧値Evr及び放電用抵抗301の抵抗値Rに基づいて次式により二次電池220の内部抵抗の抵抗値Reを算出する。
【0055】
内部抵抗算出回路305は、二次電池220の内部抵抗の大小のクラス分けのためのテーブルを有しており、得られた内部抵抗の抵抗値Reがいずれのクラスに属するかを判定し、そのクラスを示す信号を変換テーブル部285に供給する。
以上が本実施形態における二次電池220の内部抵抗を求める回路の詳細である。
【0056】
変換テーブル部285は、以下に列挙する変換テーブルを備えている。
変換テーブルTA:これは、充電が行われていない時あるいは通常使用時における二次電池220の端子電圧値Evを電池容量Fまたはこれに対応した電池電圧値に変換するための変換テーブルである。
変換テーブルTB:これは、ハーフデューティ充電パルスによる充電が行われているときの二次電池220の端子電圧値Evを電池容量Fまたはこれに対応した電池電圧値に変換するための変換テーブルである。
変換テーブルTC:これは、フルデューティ充電パルスによる充電が行われているときの二次電池220の端子電圧値Evを電池容量Fまたはこれに対応した電池電圧値に変換するための変換テーブルである。
【0057】
ところで、二次電池が劣化して内部抵抗が上昇するのに従って、二次電池の端子電圧値Evと電池容量Fまたは電池電圧値との関係は変化してゆく。そこで、本実施形態における変換テーブル部285には、上記の変換テーブルTA、TBおよびTCとして、内部抵抗の各クラスに対応したものが設けられている。
【0058】
そして、変換テーブル部285には、変換テーブルTA、TB、TCのうちの1種類を指定する信号SELTが制御回路230から与えられる。変換テーブル部285は、内部抵抗算出回路305によって指定された内部抵抗のクラスに対応し、かつ、信号SELTによって指定された種類の変換テーブルを制御回路230に提供する。
【0059】
制御回路230は、一時記憶メモリや演算ユニットなどを備える一種の中央処理制御装置である。この制御回路230によって行われる制御のうち主要なものを挙げると次の通りである。まず、制御回路230は、電子時計200に時計としての機能を営ませるための制御、具体的には計時のための制御および表示部204による現在時刻の表示制御を行う。また、入力部203によりユーザからの指示が入力された場合にはその指示に対応した制御を行う。さらに制御回路230は、二次電池220の電池容量を求めてその表示を行うための制御を適当な時間間隔を空けて定期的に行う。この制御の態様は、非充電時または通常使用時と充電時とで異なる。また、制御回路230は、充電時、ステーション100に対して充電の制御のための指令を送信する制御を適当な時間間隔で定期的に行う。なお、制御回路230が行うこれらの制御の内容については、説明の重複を避けるため、本実施形態の動作説明において詳細を明らかにする。
【0060】
[4] 本実施形態の動作
次に、本実施形態の動作について説明する。
まず、非充電時または通常動作時における電子時計200の動作について説明する。まず、制御回路230は、電池容量または電池電圧値の表示を行うべきとき、非充電時または通常動作時に対応した変換テーブル群TAを指定する選択信号SELTを変換テーブル部285に送る。この選択信号SELTと、内部抵抗算出回路305から出力される内部抵抗のクラスを示す信号とにより、変換テーブル群TAの中の1つが特定される。そして、この特定された変換テーブルTAにより、電圧検出回路281から得られる二次電池220の端子電圧値Evが、電池容量Fまたはこれに対応した電池電圧値に変換される。制御回路230は、この変換テーブルTAにより得られた電池容量Fまたは電池電圧値を表示部204に表示する。
【0061】
次に充電時における電子時計200およびステーション100の動作を説明する。まず、ユーザは、電子時計200をステーション100の凹部101に収容させる。これにより、ステーション側コイル110と時計側コイル210とは、図2に示したように互いに対向するため、電磁的に結合した状態となる。
【0062】
この後、ユーザによって充電開始ボタン1031が押下されると、図5に示すパルス信号STRが発生し、タイマ141およびタイマ142がカウント動作を開始する。また、パルス信号STRによって、充電・転送切換器170は、ハーフデューティ充電指令信号SHALFを信号eとして出力する。この信号eは、図6に示すように30秒のHレベル期間と30秒のLレベル期間を交互に繰り返す。信号eがHレベルである期間は、トランジスタ153のスイッチングが行われ、ステーション側コイル110からバースト状の交流磁界が断続的に発生される。
【0063】
この交流磁界の発生により、電子時計200側においては、時計側コイル210に交流電圧が誘起され、ダイオード245によって整流される。この結果得られるハーフデューティ充電パルスが二次電池220に与えられ、二次電池220の充電が行われる。
【0064】
また、充電期間検出回路261は、ダイオード245を介して、時計側コイル210に交流電圧の誘起されているか否かを監視し、交流電圧が誘起されている期間は充電期間信号CHRをHレベルとし、交流電圧が誘起されていない期間は充電期間信号CHRをLレベルとする。
【0065】
このような充電期間信号CHRのH/Lレベル切換が始まると、制御回路230は、二次電池220の充電が開始されたことを検知し、元々有している時計機能により充電開始時刻を求め、制御回路230に内蔵されるメモリに記録する。
【0066】
そして、充電開始から4時間が経過するまでの間、制御回路230は、適当な時間間隔で定期的に、電池容量Fまたは電池電圧値を求めて表示部204に表示する。すなわち、次の通りである。
【0067】
まず、制御回路230は、ハーフデューティ充電に対応した変換テーブル群TBを指定する選択信号SELTを変換テーブル部285に送る。この選択信号SELTと、内部抵抗算出回路305から出力される内部抵抗のクラスを示す信号とにより、変換テーブル群TBの中の1つが特定される。
【0068】
そして、この特定された変換テーブルTBにより、電圧検出回路281から得られる二次電池220の端子電圧値Evが、電池容量Fまたはこれに対応した電池電圧値に変換される。制御回路230は、この変換テーブルTBにより得られた電池容量Fまたは電池電圧値を表示部204に表示する。
以上の動作が充電開始から4時間が経過するまで定期的に繰り返されるのである。
【0069】
そして、充電開始から4時間が経過すると、制御回路230は、充電期間信号CHRがLレベルである期間、すなわち、ステーション側コイル110がバースト状の交流磁界を発生しない期間内において、コマンドcom2のデータビットを送信回路250に送り、このデータビットによって変調された交流磁界を時計側コイル210から出力する。
【0070】
ステーション100では、この交流磁界により交流電圧がステーション側コイル110に誘起される。そして、受信回路154によりこの交流電圧からコマンドcom2のデータビットが復調され、デコーダ155によりコマンドcom2が出力される。
【0071】
充電・転送切換器170は、このコマンドcom2を受け取ると、それまで出力していたハーフデューティ充電指示信号SHALFに代えて、フルデューティ充電指令信号SFULLを信号eとして出力する。この信号eは、図7に示すように590秒のHレベル期間と10秒のLレベル期間を交互に繰り返す。この信号eがHレベルである期間だけトランジスタ153のスイッチングが行われる。この結果、ステーション側コイル110により、バースト状の交流磁界が断続的に発生される。
【0072】
電子時計200では、このバースト状の交流磁界の発生により、フルデューティ充電パルスが生成され、これにより二次電池220の充電が行われる。
そして、制御回路230は、適当な時間間隔で定期的に、電池容量Fまたは電池電圧値を求めて表示部204に表示する。ただし、この場合、制御回路230は、フルデューティ充電に対応した変換テーブル群TCを指定する選択信号SELTを変換テーブル部285に送る。この選択信号SELTと、内部抵抗算出回路305から出力される内部抵抗のクラスを示す信号とにより、変換テーブル群TCの中の1つが特定される。そして、この特定された変換テーブルTCにより、電圧検出回路281から得られる二次電池220の端子電圧値Evが、電池容量Fまたはこれに対応した電池電圧値に変換される。制御回路230は、この変換テーブルTCにより得られた電池容量Fまたは電池電圧値を表示部204に表示する。
【0073】
以上のようにして充電および電池容量などの表示動作が行われる間、制御回路230は、電池容量Fまたは電池電圧値を監視し続ける。そして、制御回路230は、二次電池220がフル充電状態に至ったと判定した場合に、充電期間信号CHRがLレベルである期間を利用して、コマンドcom3のデータビットを送信回路250に送り、このデータビットによって変調された交流磁界を時計側コイル210から出力する。この結果、ステーション100では、デコーダ155からコマンドcom3が出力され、信号OFFがHレベルとなる。
【0074】
充電・転送切換器170は、このHレベルの信号OFFを受け取ると、信号eをLレベルとし、ステーション側コイル110による交流磁界の発生を停止する。これにより電子時計200の二次電池220の充電が終了する。
【0075】
さて、充電開始から12時間が経過すると、ステーション100ではタイマ141のカウント動作は終了する。しかし、そのカウント動作終了時刻になっても二次電池220がフル充電状態に至らない場合がある。そのような場合に対処するため、本実施形態における電子時計200の制御回路230は、充電開始から12時間経過したときにコマンドcom1をステーション100に送る。ステーション100では、このコマンドcom1がデコーダ155から出力される。この場合、充電・転送切換器170は、タイマ141のカウント動作が終了し、信号OFFがHレベルになっていたとしても、フルデューティ充電指令信号SFULLを信号eとして出力し、フルデューティ充電を続行する。
【0076】
また、例えば二次電池220がフル充電状態になる前に、ユーザが電子時計200をステーション100から取り外す場合もある。この場合、ステーション100では、いつまで待ってもコマンドcom3が受信されない。しかしながら、充電開始から12時間が経過すると、タイマ141のカウント動作が終了し、信号OFFがHレベルになる。これにより充電・転送切換器170は、信号eをLレベルに固定し、充電のための交流磁界の発生を停止する。
【0077】
図9は、以上説明した本実施形態の動作をまとめた表である。
この表の最も左の欄には、非充電時または通常動作時における端子電圧が6種類記載されるとともに、各端子電圧に対応した電池容量がカッコ書きで付されている。その右隣りの欄には、左の端子電圧値Evに対応した数値で表したレベルが記載されている。非充電時または通常動作時には、以上挙げた端子電圧値Evと電池容量Fまたは電池電圧値との対応テーブル(上述した変換テーブルTA)を使用して、端子電圧Evから電池容量Fまたは電池電圧値が推定される。そして、その推定結果が電池の残量を視覚的に表現したアイコンにより表示される。表における第3欄目がこのようにして電子時計200の表示部204に表示されるアイコンである。また、このアイコンの他に、例えば端子電圧値Evが「15」であるときには「あと22日間使用可能です」、端子電圧値Evが「12」になると「あと14日間使用可能です」という具合に、二次電池220の充電を行うことなく電子時計200の使用をすることが可能な日数が表示部204に表示される。
【0078】
一方、ハーフデューティ充電またはフルデューティ充電が行われているときには、それ専用の対応テーブル(上述した変換テーブルTBまたはTC)を使用して、端子電圧値Evから電池容量Fまたは電池電圧値が推定され、その推定結果がアイコンにより表示される。この場合、電池容量Fなどの推定に使用するテーブルが非充電時または通常動作時のものと異なるので、同一端子電圧値Evであっても、残量表示のためのアイコンとして異なったものが表示される。図9では、その違いを明らかにするために、4種類のアイコンに符号SB1〜SB4を付した。
【0079】
[5] 本実施形態の変形例
上記実施形態においては、充電開始から4時間経過したときに、電子時計200の制御回路230からステーション100にハーフデューティ充電からフルデューティ充電への切換を要請するコマンドcom2を送信した。しかし、このように設定時間により充電方法の切換を行うのでなく、二次電池220の電池容量Fまたは端子電圧値Evが予め設定した値に至ったときに、制御回路からステーションにコマンドcom2を送信してもよい。
【0080】
また、入力部103の操作により、充電開始から4時間経過後にコマンドcom2を送信するモードと、電池容量Fまたは端子電圧値Evが所定値になったときにコマンドcom2を送信するモードのうち所望のモードを選択し得るように電子時計200を構成してもよい。
【0081】
上記実施形態においては、充電信号のデューティ比を2段階に変更する場合であったが、3段階以上に変更するように構成することも可能である。
この場合においては、電池容量Fを推定するための変換テーブルについても3種類以上設けるように構成すればよい。
【0082】
上記実施形態においては、充電機器としてステーション100を、被充電機器として電子時計200を例にとって説明したが、本発明は、充電可能な全ての電子機器とその充電器に適用可能である。例えば、電動歯ブラシや、電動ひげ剃り、コードレス電話、携帯電話、パーソナルハンディフォン、モバイルパソコン、PDA(Personal Digital Assistants:個人向情報端末)などの二次電池を備える被充電機器と、その充電機器とに適用可能である。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、非充電時および充電時の各々において正確に電池容量または電池電圧を推定することができる。また、この発明によれば、この推定結果を利用して適切な充電制御をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるステーションおよび電子時計の構成を示す平面図である。
【図2】ステーションおよび電子時計の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の同実施形態において行われるフルデューティ充電を説明する図である。
【図4】同実施形態において行われるハーフデューティ充電を説明する図である。
【図5】同実施形態にかかるステーションの構成を示すブロック図である。
【図6】同実施形態におけるハーフデューティ充電指令信号の波形を示す図である。
【図7】同実施形態におけるフルデューティ充電指令信号の波形を示す図である。
【図8】同実施形態における電子時計の構成を示すブロック図である。
【図9】同実施形態の動作を説明する図である。
【符号の説明】
200……電子時計、210……時計側コイル、220……二次電池、
230……制御回路、285……変換テーブル部、250……送信回路、
154……受信回路、281……電圧検出回路、
303……放電抵抗スイッチング回路、282,283……レジスタ、
284……減算器、305……内部抵抗算出回路。
Claims (9)
- 充電器から周期的かつ断続的に電気エネルギを受け取って二次電池の充電を行う充電部と、
前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、
非充電時における前記二次電池の端子電圧と前記二次電池の電池容量または電池電圧との関係を表す第1のデータテーブルを記憶するとともに、充電時における前記二次電池の端子電圧と前記二次電池の電池容量または電池電圧との関係を表す第2のデータテーブルとして、前記充電の周期に対する充電時間のデューティ比に対応した複数のデータテーブルを記憶する記憶部と、
非充電時においては、前記第1のデータテーブルを用いて前記電圧検出部により検出された端子電圧から前記二次電池の電池容量または電池電圧を推定し、充電時においては、所定の条件が満たされたときに、前記デューティ比の切り換えを要求するコマンドを前記充電器に送信するとともに、前記第2のデータテーブルのうち現在行われている充電のデューティ比に対応したデータテーブルを用いて前記電圧検出部により検出された電圧から前記二次電池の電池容量または電池電圧を推定する制御部と
を具備することを特徴とする電子機器。 - 表示部を有し、前記制御部は、前記電池容量または電池電圧の推定結果を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
- 表示部を有し、前記制御部は、前記電池容量または電池電圧の推定結果に基づいて当該電子機器の使用可能日数を求め、前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
- 前記制御部は、前記二次電池の充電が開始されてからの経過時間が所定時間に達したときに現在よりも高いデューティ比への切り換えを要求するコマンドを送信することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
- 前記制御部は、前記二次電池の端子電圧または電池容量の推定値が所定値に達したときに現在よりも高いデューティ比への切り換えを要求するコマンドを送信することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
- 前記制御部は、前記二次電池の電池容量または電池電圧が所定値に達したときに充電の停止を要求するコマンドを送信することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1の請求項に記載の電子機器。
- 前記二次電池の内部抵抗を測定する内部抵抗測定部を具備し、前記記憶部は、前記第1のデータテーブルおよび第2のデータテーブルとして、複数の異なった内部抵抗に対応した複数のデータテーブルを各々記憶し、前記制御部は、前記内部抵抗測定部により測定された前記二次電池の内部抵抗に対応した第1のデータテーブルまたは第2のデータテーブルを用いて、前記二次電池の電池容量を推定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1の請求項に記載の電子機器。
- 前記内部抵抗測定部は、前記二次電池の開放電圧と、前記二次電池に所定の負荷を接続したときの電圧とに基づいて前記内部抵抗を算出することを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
- 充電器から周期的かつ断続的に電気エネルギを受け取って二次電池の充電を行う充電部と、前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、記憶部と、表示部とを具備する電子機器の制御方法において、
非充電時における前記二次電池の端子電圧と前記二次電池の電池容量または電池電圧との関係を表す第1のデータテーブルを前記記憶部に予め記憶させるとともに、充電時における前記二次電池の端子電圧と前記二次電池の電池容量または電池電圧との関係を表す第2のデータテーブルとして、前記充電の周期に対する充電時間のデューティ比に対応した複数のデータテーブルを前記記憶部に予め記憶させ、
非充電時においては、前記第1のデータテーブルを用いて前記電圧検出部により検出された端子電圧から前記二次電池の電池容量または電池電圧を推定し、充電時においては、所定の条件が満たされたときに、前記デューティ比の切り換えを要求するコマンドを前記充電器に送信するとともに、前記第2のデータテーブルのうち現在行われている充電のデューティ比に対応したデータテーブルを用いて前記電圧検出部により検出された電圧から前記二次電池の電池容量または電池電圧を推定し、この推定結果を前記表示部により表示することを特徴とする電子機器の制御方法。
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