JP3622424B2 - 刷版の識別付与方法,刷版の装着・確認方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、印刷機の版胴に適数の刷版を装着せしめる際の刷版を識別せしめ、また装着すると共に確認する刷版識別付与方法,刷版の装着方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、新聞印刷では、1乃至2台の折機と、8乃至10台程度の輪転機が連結組み合わされて、1単位(通常、1セットという)の輪転機列が構成されている。大規模な印刷工場にあっては、複数セットの輪転機列が設備され、1乃至複数の異なる紙面編成の新聞を新聞配布地区別に印刷部数に応じてセット数が割当られる。1セット内の各輪転機に装着する刷版の装着位置は、新聞の頁数、1セットの輪転機台数、輪転機の種類など輪転機稼働条件により決まる。
【0003】
例えば、32頁の新聞を印刷するのに、4台の輪転機を用いるならば、1つの版胴に8種類の刷版が装着される。さらに、同一紙面の刷版が、同一版胴に2頁分ずつ装着される。すると、32頁の新聞を印刷するのに、計64枚の刷版が必要となる。そこで、これらの多数枚の刷版をオペレータ(作業員)が輪転機別に装着する際に、刷版を誤装着する虞れがあった。
【0004】
かかる刷版の誤装着を防ぐためには、従来は装着の際のオペレータの注意力と、印刷開始直後のオペレータの目視による検紙に依存している。最近は、要員合理化により1人のオペレータの作業量が増加し作業密度が高くなっていると共に、新聞頁数の増加および印刷速度の向上等によって、検紙作業も限界に達した状況である。しかも、この検紙作業によって刷版の誤装着が発見されれば、直ちに輪転機列を停止させて誤装着された刷版の再装着の作業が必要であり、極めて煩雑な作業であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
刷版の誤装着の検出をオペレータの判断により行う方法では、オペレータの勘違い等により誤装着の可能性を零とすることができない。また、検紙作業自体が煩雑であるとともに、検紙作業により発見され誤装着された刷版の再装着はより煩雑である。このために、オペレータの判断に依存せずに、しかも印刷開始前に刷版の誤装着を確実に検出できることが強く望まれている。
【0006】
そこで本発明者らは、刷版の誤装着を確実に検出できる刷版誤装着検出装置としてすでに例えば特開平5−169638号公報を提案しているが、この同公報による装置では構成上複雑で完全なものに到っていない。
【0007】
また、最近では刷版の表面にバーコードをインキで印刷表示してこのバーコードをバーコード読み取り機で読み取って刷版の誤装着を防ぐものを開発しようとしている。このバーコードによる誤装着の防止手段では、刷版の表面に小さな気孔があり、ザラザラであるため、バーコード用の水溶性インキで印刷すると、乾燥性が悪く、毛細現象で広がり、にじんでしまうから、バーコードの作成が難しい。また、バーコードのときは1対1で赤外線用バーコード読み取り機を使用する必要があり、印刷の刷版上のバーコードを読み取るには複数のバーコード読み取り機が必要でコスト高となってしまう。
【0008】
この発明の目的は、刷版の識別付与を自動的に行うと共に、刷版の誤装着検出をより一層確実にかつ合理的に行い得るようにした刷版の識別付与方法,刷版の装着確認方法およびその装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1によるこの発明の刷版識別付与方法は、刷版の所望位置に2列、複数行からなる識別エリアを区画し、識別エリアの1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号を付すと共に、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号を付すことを特徴とするものである。
【0010】
したがって、刷版の所望位置に区画された2列、複数行からなる識別エリアのうち、1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号が符される。また、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号が付されることによって、刷版の所望位置に胴位置識別符号がにじむことなく確実にかつ明確に印刷表示される。しかも、各刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号のインキは湿し水で消去され印刷に影響を及ぼさない。
【0011】
請求項2によるこの発明の刷版識別付与方法は、請求項1の刷版識別付与方法において、1列目,2列目の識別エリアに符号を符する色が異なっていることを特徴とするものである。
【0012】
したがって、1列目,2列目の識別エリアに符号を符する色が異なった色のインキで符することによって、後でこの必要な符号を撮像する際、符号個所を汚れやかすれなどとは間違えることなく、容易かつ確実しかも正確に撮像される。
【0013】
請求項3によるこの発明の刷版の装着・確認方法は、印刷機の版胴に適数の刷版を装着すると共に確認する刷版の装着・確認方法において、
(A).装着胴位置情報を含む胴位置識別符号から選択された刷版をインキジェットプリンタに対応した位置へ搬送する搬送工程、
(B).この搬送工程にてインキジェットプリンタに対応した位置に搬送された前記刷版の表面の所望位置に区画された識別エリアのうちの1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキでインキジェットプリンタにより符号を印刷表示すると共に、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキでインキジェットプリンタにより符号を印刷表示する印刷表示工程、
(C).この印刷表示工程にて符号を表面に印刷表示された刷版を、前記版胴の所定位置に装着する装着工程、
(D).上記(A)〜(C)の工程を繰り返し、適数の刷版を前記版胴に装着した後、前記版胴に装着された各刷版の識別エリアに印刷表示された符号を照合用カラー撮像手段で撮像する撮像工程、
(E).この撮像工程で撮像された識別エリアに印刷された符号で表される実際の胴位置識別符号と、予め入力されて記憶された2進法の”0”、”1”ビットの符号からなる設定の胴位置識別符号とをそれぞれ比較し照合する比較・照合工程、
の各工程からなることを特徴とするものである。
【0014】
したがって、装着位置情報を含む胴位置識別符号から選択された刷版がインキジェットプリンタに対応した位置へ搬送される。この位置で刷版の表面の所望位置に区画された2列,複数行からなる識別エリアのうち、1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキでインキジェットプリンタにより符号が印刷表示される。また、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキでインキジェットプリンタにより符号が印刷表示される。この印刷表示された胴位置識別符号を基にして例えばオペレータが指定された版胴の所望位置に刷版が装着される。
【0015】
上記要領にて適数の刷版が版胴に装着されると、版胴に装着された実際の各刷版の胴位置識別符号である各刷版の2進法の”0”、”1”ビットからなる実際の胴位置識別符号が照合用カラー撮像手段で同時に撮像される。この照合用カラー撮像手段で撮像された2進法の”0”、”1”ビットからなる実際の胴位置識別符号と予め入力されて記憶されている2進法の”0”、”1”ビットからなる設定の胴位置識別符号とが比較されて照合される。
【0016】
而して、例えばオペレータが誤って各刷版を版胴に装着したとしても、実際の胴位置識別符号と予め設定された胴位置識別符号とが比較されて照合されるから、この時点で誤装着が自動的に検出されるので、安心して印刷機が運転される。
しかも、各刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号のインキは湿し水で消去され印刷に影響を及ぼさない。
【0017】
請求項4によるこの発明の刷版の装着・確認方法は、請求項2の刷版の装着・確認方法において、(F).印刷機を運転した後、前記版胴における所望の位置の刷版を取り外し、新しい刷版と交換する場合には、新しい刷版を上記(A)〜(D)の工程を経て前記版胴における所望の位置に装着した後、この装着された新しい刷版の実際の胴位置識別符号と、予め入力されて記憶された設定の胴位置識別符号とを少なくとも比較し照合する工程、を備えてなることを特徴とするものである。
【0018】
したがって、版胴の所望位置に刷版を装着し、適数の刷版が版胴に装着されて、印刷機が運転されると、各刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号のインキは湿し水でもって短時間で消去されるから、印刷に影響を及ぼさず運転される。そして運転の途中で装着されている刷版のうちの所望の刷版を取り外し新しい刷版が上記(A)〜(D)の工程で装着された場合には、この新しい刷版の実際の胴位置識別符号と予め設定された胴位置識別符号とが少なくとも比較照合される。
【0019】
而して、交換した刷版の胴位置識別符号が短時間で比較照合されると共に短時間でインキは消去される。また、他の胴位置識別符号が消去された所へ誤装着した場合も検出される。
【0020】
請求項5によるこの発明の刷版の装着・確認装置は、印刷機の版胴に適数の刷版を装着すると共に確認する刷版の装着・確認装置において、
(A).各刷版における装着胴位置を含む設定胴位置識別符号を予め入力せしめて記憶せしめておく胴位置識別符号・メモリを備えた上位制御装置と、
(B).前記胴位置識別符号・メモリからの胴位置識別符号を基にして制御されるインキジェットプリンタ用制御装置と、
(C).このインキジェットプリンタ用制御装置の制御により指定された刷版の表面の所望位置に区画された識別エリアのうちの1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号を印刷表示すると共に、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号を印刷表示するインキジェットプリンタと、
(D).このインキジェットプリンタで刷版の表面に印刷表示された符号を基にして前記版胴に前記刷版を適数装着し、この版胴に装着された刷版の表面に印刷表示された実際の符号を撮像する照合用カラー撮像手段と、
(E).この照合用カラー撮像手段で撮像された識別エリアに印刷表示された符号で表される実際の胴位置識別符号と、前記上位制御装置に備えられた胴位置識別符号・メモリに予め記憶された2進法の”0”、”1”ビットの符号からなる設定胴位置識別符号とを比較照合する前記上位制御装置に備えた比較・照合手段と、
を備えてなることを特徴とするものである。
【0021】
したがって、請求項5の刷版の装着・確認装置により、請求項3,4による刷版の装着・確認方法が行われ、例えばオペレータが間違って誤装着しても、比較・照合手段で実際の胴位置識別符号と予め設定した胴位置識別符号とが自動で比較し照合されるから、ほとんど誤検出ができ、安心して印刷機の運転が行われる。
【0022】
印刷機が運転されると、短時間で各刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号のインキが湿し水で消去されるので、印刷に影響を及ぼすことはない。
【0023】
請求項6によるこの発明の刷版の装着・確認装置は、請求項5の刷版の装着・確認装置において、(F).前記印刷機の版胴に装着された刷版のスタート位置を読み取るスタート位置読み取りセンサと、
(G).このスタート位置読み取りセンサで読み取ったスタート位置を基にして作動せしめる前記カラー撮像手段に備えたシャッタと、
を備えてなることを特徴とするものである。
【0024】
したがって、版胴に装着された適数の刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号を、照合用カラー撮像手段で撮像する際には、版胴が回転された際に、刷版のスタート位置がスタート位置読み取りセンサで読み取られる。この読み取られた信号により照合用カラー撮像手段のシャッタが作動して直ちに適数の刷版の表面に印刷された胴位置識別符号が容易にかつ確実に、しかも正確に短時間で撮像される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態の例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1を参照するに、印刷機における輪転機の版胴1は左右方向へ延伸されており、この版胴1の長手方向には複数の区画領域が形成されている。この各区画領域には例えば複数の刷版3A,3B,3C,3Dがオペレータ(作業者)によって装着されるものである。
【0027】
オペレータが前記版胴1における複数の区画領域に刷版3A,3B,3C,3Dを装着し、しかもこの装着を確認する刷版3A,3B,3C,3Dの装着・確認装置5が配置されている。この装着・確認装置5は、入力手段により刷版3A,3B,3C,3Dに相当する胴位置識別符号を予め記憶せしめておく胴位置識別符号・メモリ7,比較・照合手段9を備えた上位制御装置11と、前記刷版3A,3B,3C,3Dの表側の表面3Sで所望位置に胴位置識別符号を印刷表示するためのインキジェットプリンタ13と、このインキジェットプリンタ13を作動せしめるインキジェットプリンタ用制御装置15と、前記版胴1に装着した刷版3A,3B,3C,3Dの胴位置識別符号を撮像するための照合用カラー撮像手段としてのカラーテレビ17と、画像処理装置19と、で構成されている。
【0028】
また、前記版胴1の図1において左側面には、スタート位置を決めるスタートマーク21が設けられている。このスタートマーク21を検出するスタート位置用読み取りセンサ23が前記版胴1の近傍に設けられている。このスタート位置読み取り用センサ23は前記カラーテレビ17に設けられたシャッタ25に接続されている。
【0029】
前記刷版3A,3B,3C,3Dの表面3Sの所望位置例えば図2(A)〜(D)に示されているように下側に胴位置識別符号を符す2列,複数行(本実施の形態では4行)からなる識別エリア27が区画されている。この各識別エリア27に胴位置識別符号として例えば2進法の“0”のビットが1列目に、“1”のビットが2列目に印刷表示されるものである。また、各刷版3A,3B,3C,3Dの色は一般的に青色であるため、この青色と異なった例えば赤色が1列目に、黄色が2列目に印刷表示される。
【0030】
例えば胴位置識別符号・メモリ7に刷版3A,3B,3C,3Dに相当する胴位置識別符号として例えば2進法で、1100,1101,1110,1011が記憶されているとすると、この胴位置識別符号・メモリ7よりインキジェットプリンタ用制御装置15を介してインキジェットプリンタ13に信号が送られることにより、インキジェットプリンタ13が作動し、図2(A)に示すごとく、刷版3Aの表面3Sの識別エリア27の2列目の1,2行に黄色で印刷表示されると共に、1列目の3,4行に赤色で印刷表示される。図2(B)に示すごとく、刷版3Bの表面3Sの識別エリア27の2列目の1,2,4行に黄色で印刷表示されると共に、1列目の3行で赤色で印刷表示される。図2(C)に示すごとく、刷版3Cの表面3Sの識別エリア27の2列目の1,2,3行に黄色で印刷表示されると共に1列目の4行目に赤色で印字表示される。同様に図2(D)に示すごとく、刷版3Dの表面3Sの識別エリア27の2列目の1,3,4行に黄色で印刷表示されると共に1列目の2行に赤色で印刷表示される。
【0031】
1列目,2列目の胴位置識別符号の色として異なった色で印刷表示せしめることが望ましいが、1列目,2列目とも刷版3A〜3Dの青色と異なっていれば同色であっても構わない。しかも、このインキは印刷工程で印刷に影響が出ないインキすなわち印刷されないインキであることが必要で、そのインキは親水性で、水,光,熱で分解してしまうのがよい。しかも、このインキは印刷工程における湿し水でもって溶けて印刷されないのがよい。なお、湿し水の組成は水99.5%,ノニオン界面活性剤0.5%とからなっいる。
【0032】
図1において刷版3Aに対して刷版3B,3C,3Dがずれて装着された場合には、各刷版3B,3C,3Dのスタートマークをそれぞれ設けて対応せしめることができる。また、図2(A)〜(D)における刷版3A〜3Dの識別エリア27の左右にはスタートマーク,エンドマークがそれぞれ印刷表示されるものである。
【0033】
このように、刷版3A〜3Dの表面3Sの所望位置例えば下側に、1列目と2列目とに色の付いた胴位置識別符号を印刷表示せしめることによって、従来よりも容易で確実に、しかも、正確に付与せしめることができる。また、色がにじまずに後で明確に識別せしめることができる。
【0034】
前記インクジェットプリンタ13により、図2(A)〜(D)に示したように刷版3A,3B,3C,3Dに胴位置識別符号が印刷表示された後、オペレータが図1に示すごとく、版胴1に刷版3A,3B,3C,3Dをそれぞれ装着せしめる。このとき、オペレータは単に2列4行に印刷表示された赤,黄色からなる胴位置識別符号を見て刷版3A,3B,3C,3Dを版胴1に装着せしめるだけであるから、従来のバーコードよりも見やすくかつ区別し易いので、誤装着をなくすることができ、しかも、従来よりも装着時の操作が楽になると共に短時間で装着でき、作業性の向上を図るこができる。
【0035】
前記版胴1に胴位置識別符号を印刷表示した刷版3A,3B,3C,3Dを装着した後、印刷機のスタートボタンを押すと、版胴1がゆっくりと回転される。
そのとき、スタート位置用読み取りセンサ23でスタートマーク21を検出すると、版胴1の上方に設けられたカラーテレビカメラ17のシャッタ21が働いて、カラーテレビカメラ17で刷版3A,3B,3C,3Dの胴位置識別符号が撮像される。
【0036】
カラーテレビカメラ17で撮像された胴位置識別符号が画像処理装置19に取り込まれる。この画像処理装置19では、刷版の表面の青色,胴位置識別符号の赤色,黄色の3者が区別されると共に、赤色,黄色をタテ,ヨコに区分された画素の数を基にして赤色,黄色の面積を抽出させる。このとき、汚れや色のかすれによるミスを極力なくすようにする。
【0037】
この画像処理装置19で画像処理された実際の胴位置識別符号が比較・照合手段9に取り込まれ、すでに胴位置識別符号・メモリ7から取り込れている予め設定された胴位置識別符号と比較されると共に照合される。この照合結果が即座に回答、表示あるいは警告が行われる。
【0038】
したがって、オペレータがたとえ間違って装着しても、この比較・照合手段9によって誤装着を検出して輪転機を停止させることができるから、安心して輪転機を運転することができる。しかも、バーコードでなく色の付いた胴位置識別符号を各刷版3A,3B,3C,3Dに印刷表示せしめるので、確実に撮像できる。
【0039】
輪転機を運転させて良紙が生産されるまでには、湿し水により印刷表示された胴位置識別符号を短時間で消去せしめることができ、印刷に影響を及ぼさない。
【0040】
輪転機を運転している途中で版胴1に装着されている刷版3A,3B,3C,3Dのうち、例えば版胴1の左側から2番目の刷版3Bを取り外し、新しい刷版3Bに上記の要領で胴位置識別符号を印刷表示し、オペレータが版胴1に装着した場合には、刷版3A,3C,3Dの胴位置識別符号は湿し水で消去されている。
【0041】
したがって、2回目以降については交換必要な刷版3Bのみの胴位置識別符号のみの印刷表示となるので、交換分のみ照合すればよく、短時間で行うことができる。他の刷版3A,3C,3Dには胴位置識別符号が消去されているので、胴位置識別符号がない(交換しない)として照合することができる。当然胴位置識別符号がないところへ誤装着した場合も検出できる。また、新たに印刷表示された胴位置識別符号も運転再開と同時に湿し水で短時間に消去せしめることができる。
【0042】
図1において、上位制御装置11に備えられた胴位置識別符号・メモリ7に記憶された胴位置識別符号を基にして説明したが、搬送されてくる刷版3A,3B,3C,3D上の一部例えば右上部に胴位置識別符号として例えばバーコードを予め貼付けておき、このバーコードをバーコード読み取り機で読み取った信号を、胴位置識別符号・メモリ7とインキジェットプリンタ用制御装置15に転送するるようにしてもよい。
【0043】
また、版胴1に装着された適数の刷版3A,3B,3C,3Dの表面3Sに印刷表示された胴位置識別符号を照合用カラー撮像手段のカラーテレビ17で撮像する際には、版胴1が回転された際に、刷版3A,3B,3C,3Dのスタート位置のスタートマーク21がスタート位置読み取りセンサ23で読み取られる。
この読み取られた信号によりカラーテレビ21のシャッタ25が作動して直ちに適数の刷版3A,3B,3C,3Dの表面3Sに印刷された胴位置識別符号を容易にかつ確実に、しかも正確に短時間で撮像せしめることができる。
【0044】
なお、この発明は、前述した発明の実施の形態の例に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。上記の図1の例において、照合用カラー撮像手段としてのカラーテレビ17で撮像した胴位置識別符号を画像処理装置19を介して、上位制御装置11に備えた比較・照合手段9へ転送する際、通信手段を用いて転送するようにしても構わない。
【0045】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態から理解されるように、請求項1の発明によれ
ば、 刷版の所望位置に区画された2列、複数行からなる識別エリアのうち、1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号が符される。また、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号が付されることによって、刷版の所望位置に胴位置識別符号がにじむことなく確実にかつ明確に印刷表示される。しかも、各刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号のインキは湿し水で消去され印刷に影響を及ぼさない。
【0046】
請求項2の発明によれば、1列目,2列目の識別エリアに符号を異なった色のインキで符することによって、後でこの必要な符号を撮像する際、符号個所を汚れやかすれなどとは間違えることなく、容易かつ確実しかも正確に撮像せしめることができる。
【0047】
請求項3の発明によれば、装着位置情報を含む胴位置識別符号から選択された刷版がインキジェットプリンタに対応した位置へ搬送される。この位置で刷版に区画された2列,複数行からなる識別エリアのうち、1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキでインキジェットプリンタにより符号が印刷表示される。また、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキでインキジェットプリンタにより符号が印刷表示される。この印刷表示された胴位置識別符号を基にして例えばオペレータが指定された版胴の所望位置に刷版が装着される。
【0048】
上記要領にて適数の刷版が版胴に装着されると、版胴に装着された実際の各刷版の胴位置識別符号である各刷版の2進法の”0”、”1”ビットからなる実際の胴位置識別符号が照合用カラー撮像手段で同時に撮像される。この照合用カラー撮像手段で撮像された2 進法の”0”、”1”ビットからなる実際の胴位置識別符号と予め入力されて記憶されている2進法の”0”、”1”ビットからなる設定の胴位置識別符号とが比較されて照合される。
【0049】
而して、例えばオペレータが誤って各刷版を版胴に装着したとしても、実際の胴位置識別符号と予め設定された胴位置識別符号とが比較されて照合されるから、この時点で誤装着が自動的に検出されるので、安心して印刷機が運転される。
しかも、各刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号のインキは湿し水で消去され印刷に影響を及ぼさない。
【0050】
請求項4の発明によれば、版胴の所望位置に刷版を装着し、適数の刷版が版胴に装着されて、印刷機が運転されると、各刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号のインキは例えば湿し水でもって短時間で消去されるから、印刷に影響を及ぼさず運転される。そして運転の途中で装着されている刷版のうちの所望の刷版を取り外し新しい刷版が上記(A)〜(D)の工程で装着された場合には、この新しい刷版の実際の胴位置識別符号と予め設定された胴位置識別符号とが少なくとも比較照合される。
【0051】
而して、交換した刷版の胴位置識別符号が短時間で比較照合されると共に短時間でインキを消去せしめることができる。また、他の胴位置識別符号が消去された所へ誤装着した場合も検出せしめることができる。
【0052】
請求項5の発明によれば、請求項4の刷版の装着・確認装置により、請求項2,3による刷版の装着・確認方法が行われ、例えばオペレータが間違って誤装着しても、比較・照合手段で実際の胴位置識別符号と予め設定した胴位置識別符号とが自動で比較し照合されるから、ほとんど誤検出ができ、安心して印刷機の運転が行うことができる。
【0053】
印刷機が運転されると、短時間で各刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号のインキが湿し水で消去されるので、印刷に影響を及ぼすことはない。
【0054】
請求項6の発明によれば、版胴に装着された適数の刷版の表面に印刷表示された胴位置識別符号を、カラー撮像手段で撮像する際には、版胴が回転された際に、刷版のスタート位置がスタート位置読み取りセンサで読み取られる。この読み取られた信号によりカラー撮像手段のシャッタが作動して直ちに適数の刷版の表面に印刷された胴位置識別符号が容易にかつ確実に、しかも正確に短時間で撮像せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施する一実施の形態の刷版の装着・確認装置の概念図である。
【図2】(A)〜(D)刷版に胴位置識別符号を印刷表示した例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 版胴
3A〜3D 刷版
5 刷版の装着・確認装置
7 胴位置識別符号・メモリ
9 比較・照合手段
11 上位制御装置
13 インキジェットプリンタ
15 インキジェットプリンタ用制御装置
17 カラーテレビカメラ(照合用カラー撮像手段)
19 画像処理装置
21 スタートマーク
23 スタート位置用読み取りセンサ
25 シャッター
Claims (6)
- 刷版の所望位置に2列、複数行からなる識別エリアを区画し、識別エリアの1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号を付すと共に、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号を付すことを特徴とする刷版識別付与方法。
- 1列目,2列目の識別エリアに符号を符する色が異なっていることを特徴とする請求項1記載の刷版識別付与方法。
- 印刷機の版胴に適数の刷版を装着すると共に確認する刷版の装着・確認方法において、
(A).装着胴位置情報を含む胴位置識別符号から選択された刷版をインキジェットプリンタに対応した位置へ搬送する搬送工程、
(B).この搬送工程にてインキジェットプリンタに対応した位置に搬送された前記刷版の表面の所望位置に区画された識別エリアのうちの1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキでインキジェットプリンタにより符号を印刷表示すると共に、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキでインキジェットプリンタにより符号を印刷表示する印刷表示工程、
(C).この印刷表示工程にて符号を表面に印刷表示された刷版を、前記版胴の所定位置に装着する装着工程、
(D).上記(A)〜(C)の工程を繰り返し、適数の刷版を前記版胴に装着した後、前記版胴に装着された各刷版の識別エリアに印刷表示された符号を照合用カラー撮像手段で撮像する撮像工程、
(E).この撮像工程で撮像された識別エリアに印刷された符号で表される実際の胴位置識別符号と、予め入力されて記憶された2進法の”0”、”1”の符号からなる設定の胴位置識別符号とをそれぞれ比較し照合する比較・照合工程、
の各工程からなることを特徴とする刷版の装着・確認方法。 - (F).印刷機を運転した後、前記版胴における所望の位置の刷版を取り外し、新しい刷版と交換する場合には、新しい刷版を上記(A)〜(D)の工程を経て前記版胴における所望の位置に装着した後、この装着された新しい刷版の実際の胴位置識別符号と、予め入力されて記憶された設定の胴位置識別符号とを少なくとも比較し照合する工程、を備えてなることを特徴とする請求項3記載の刷版の装着・確認方法。
- 印刷機の版胴に適数の刷版を装着すると共に確認する刷版の装着・確認装置において、
(A).各刷版における装着胴位置を含む設定胴位置識別符号を予め入力せしめて記憶せしめておく胴位置識別符号・メモリを備えた上位制御装置と、
(B).前記胴位置識別符号・メモリからの胴位置識別符号を基にして制御されるインキジェットプリンタ用制御装置と、
(C).このインキジェットプリンタ用制御装置の制御により指定された刷版の表面の所望位置に区画された識別エリアのうちの1列目において刷版の装着位置を2進法で表した胴位置識別符号の”0”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符号を印刷表示すると共に、識別エリアの2列目において前記胴位置識別符号の”1”のビットに対応する位置の行に、刷版の色と異なる色からなり、かつ印刷工程における湿し水で溶けて消去されるインキで符 号を印刷表示するインキジェットプリンタと、
(D).このインキジェットプリンタで刷版の表面に印刷表示された符号を基にして前記版胴に前記刷版を適数装着し、この版胴に装着された刷版の表面に印刷表示された実際の符号を撮像する照合用カラー撮像手段と、
(E).この照合用カラー撮像手段で撮像された識別エリアに印刷表示された符号で表される実際の胴位置識別符号と、前記上位制御装置に備えられた胴位置識別符号・メモリに予め記憶された2進法の”0”、”1”ビットの設定胴位置識別符号とを比較照合する前記上位制御装置に備えた比較・照合手段と、
を備えてなることを特徴とする刷版の装着・確認装置。 - (F).前記印刷機の版胴に装着された刷版のスタート位置を読み取るスタート位置読み取りセンサと、(G).このスタート位置読み取りセンサで読み取ったスタート位置を基にして作動せしめる前記カラー撮像手段に備えたシャッタと、
を備えてなることを特徴とする請求項5記載の刷版の装着・確認装置。
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- 1997-06-06 JP JP14936697A patent/JP3622424B2/ja not_active Expired - Fee Related
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