JP3622288B2 - 倒立容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、練り歯磨き、食品、化粧品や医薬品などに用いられる倒立容器に関するもので、詳しくは、静置されたキャップから容器本体をワンタッチで着脱可能な倒立容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、倒立容器としては、例えば、ラミネートチューブがある。このラミネートチューブは、歯磨き、山葵、洗顔クリームやカーワックスなど広い分野に使用されており、口頚部を起立した肩部の外周面に、積層材料を筒状に背貼りした胴部の片側の端部内面を熱融着し、口頚部に倒立用のキャップを螺合又は咬合して装着し、内容物を充填したのちに、胴部の他の端部をヒートシール法で熱融着して密封したものであった。そして、この倒立タイプのラミネートチューブは、使用中は常時、キャップを下方にして倒立状態で静置して保管することで内容物を注出口近くに満たした状態にし、使用するときにキャップを取り外して容器を開封し、胴部を押圧して、内容物を任意の量だけ押し出して使用するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した倒立容器であるラミネートチューブは、使用するときに、一方の手で容器を持ち上げ、他方の手でキャップを取り外してから、胴部を押圧して内容物を吐出していた。つまり、使用時に両手を必要とし、また、容器を握りながらキャップを取り外さねばならないため、不用意に内容物が吐出してしまう場合があった。
【0004】
本発明は、前述の従来の倒立容器の使用時の煩わしさを解決したものであり、使用するときに、容器本体を押圧することなく片手でワンタッチで着脱が可能な倒立容器を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、図1(a)、(b)及び(c)に示すように、逆向きに静置されたキャップ(20)の上方に、容器本体(10)を装着する倒立容器であって、前記容器本体(10)が、上方へ順に、注出口部(11)、頸部(12)、嵌合溝部(13)、肩部(14)、胴部(15)とからなり、且つ、前記キャップ(20)が、外周壁(110)と、前記容器本体の嵌合溝部(13)に嵌合する嵌合突起(121)を部分的に設けた内周壁(120)とからなるキャップ本体(100)の周壁に、回転軸部(141)を設けた側壁(131,132)を側面にもち固定板(133)を下方にもつ切欠き部(130)を前記嵌合突起に対向する位置に設け、この切欠き部に、容器本体の注出口部を係合する注出口係合部(220)と周壁部(220)とからなる回転部材(200)を、前記切欠き部(130)の側壁(131,132)に設けた回転軸部(141)と係合させて回転自在に取り付け、前記回転部材の注出口係合部(220)に前記容器本体の注出口部(11)を係合させるとともに、前記キャップ本体の嵌合突起(121)に前記容器本体の嵌合溝部(13)を嵌合させることにより、前記容器本体(10)が前記キャップ(20)に倒立状態で保持され、この状態から前記容器本体を傾けて回転部材(200)を回転させることによって、前記キャップ本体の嵌合突起(121)と前記容器本体の嵌合溝部(13)との嵌合が外れ、前記容器本体(10)が前記キャップ(20)から取り外されるように構成されていることを特徴とする倒立容器(1)である。
【0006】
第2の発明は、前記容器本体(10)の注出口部(11)の周壁内面と圧接するインナーリング(223)を、図3に示すように、前記キャップ(20)の回転部材(200)の注出口係合部(220)の封止板(222)に設けたことを特徴とする第1の発明に記載の倒立容器である。
【0007】
上述の容器本体は、肩部の外周面に筒状に背貼りした積層材料を熱融着した前述のラミネートチューブの他に、肩部の外周面に単層又は多層の押出成形チューブを熱融着したチューブでもよく、また、ブロー成形法で単層又は多層で成形したチューブ状のブロー容器でもよい。
【0008】
また、キャップのキャップ本体と回転部材とは、通常、ポリプロピレンやポリエチレンを用いて、射出成形法で成形するものである。そして、キャップの形状は、回転部材が回転可能な構造設計がとれれば、丸形、楕円形、角形、三角形など各種の形状であってもよい。また、容器の安定性を図るため、図4(a)に示すように、キャップ(20)の外周壁(110)の裾を末広がりにしたり、また、図4(b)に示すように、外周壁(110)の下端に鍔状突起(111)を設けてもよい。
【0009】
また、キャップ本体の内周壁に部分的に設ける嵌合突起は、長さが内周壁の円周長の半分より短く、周壁に設けられた切欠き部と対応する位置に、そして、容器本体がキャップに装着したときに、容器本体の頸部と肩部との間に設けられた嵌合溝部と嵌合し、しかも、容器本体の注出口部の先端が、キャップの回転部材の注出口係合部の封止板に圧接するように設けるものである。
【0010】
また、容器本体の注出口部と頸部とを、例えば別体の中栓で作製し、容器本体の口頚部に被せてもよいが、この場合には、キャップとの嵌合溝部として、中栓と容器本体の口頚部との段差を利用するとよい。
【0011】
【作用】
図1(b)に示すように、逆向きに静置されたキャップ(20)に容器本体(10)を装着した本発明の倒立容器(1)は、容器本体の胴部(15)を片手でもち右側へ引くと、図1(c)及び図2に示したように、キャップの回転部材(200)が、キャップ本体(100)の回転軸部(141)を軸として回転し、容器本体を乗せたまま回転方向に傾斜する。この過程において、容器本体の頚部(12)と肩部(14)との間の嵌合溝部(13)とキャップ本体の内周壁(120)に設けられた嵌合突起(121)との嵌合が外れ、容器本体とキャップとの固定が解かれる。このため、片手で容器本体の胴部をもったまま斜め上方に引き上げると、容器本体の注出口部(11)がキャップの回転部材の注出口係合部(220)から抜け、容器本体をキャップから容易に取り外すことができる。
【0012】
次に、使用後の容器本体(10)を、図1(c)に示すように、逆向きに静置されたキャップ(20)の傾斜して開いている回転部材(200)の注出口係合部(220)に、容器本体の胴部(15)を片手でもって注出口部(11)を挿着し、胴部を左側へ移行すると、キャップの回転部材(200)が、キャップ本体(100)の回転軸部(141)を軸として回転し、図1(b)に示すように、容器本体(10)を乗せたまま水平となり、容器本体(10)が垂直な倒立状態でキャップ(20)に装着する。この過程において、容器本体の頚部(12)と肩部(14)との間の嵌合溝部(13)が、キャップ本体の内周壁(120)に設けられた嵌合突起(121)と嵌合し、また、キャップ本体の固定板(133)と回転部材(200)とが当接して容器本体(10)がキャップ(20)に固定され、容器本体(10)の注出口部(11)の先端が、キャップ(20)の回転部材(200)の注出口係合部(220)の封止板(222)に圧接して、容器本体(10)が封止される。
【0013】
さらに、図3に示すように、キャップ(20)の回転部材(200)の注出口係合部(220)の封止板(222)にインナーリング(223)を設けると、容器本体をキャップに装着したときに、インナーリングの外面が容器本体の注出口部の周壁内面と圧接するため、容器本体の封止がより完全となる。
【0014】
【実施例】
まず、順に注出口部(11)と頚部(12)と嵌合溝部(13)とからなる口頚部を肩部(14)に起立した口部材の射出成形用金型内に、積層材料を筒状に背貼りし、所定の長さに切断した胴部材を装着して、射出成形機で金型内に着色したポリエチレンを射出し、口部材を成形すると同時に、肩部の外周面に、胴部材の端部内面を熱融着させて、図1(a)に示す容器本体(10)を作製した。これとは別個に、図1(a)及び(b)に示す外周壁(110)と部分的に嵌合突起(121)を設けた内周壁(120)とからなる周壁に、回転軸部(141,もう1つは図示せず)を設けた側壁(131,132)を両側面にもち固定板(133)を下方にもつ切欠き部(130)を設けたキャップ本体(100)と、この切欠き部に挿着する注出口係合部(220)と周壁部(210)とからなる回転部材(200)とを、着色したポリプロピレンを用いて射出成形法で作製した。なお、キャップ本体(100)の内周壁(120)に設けた嵌合突起(121)は、長さが内周壁の円周長の8分の3で、周壁に設けられた切欠き部(130)と対応する位置に設け、また、図3に示すように、回転部材(200)の注出口係合部(220)の封止板(222)にインナーリング(223)を設け、回転部材(200)の周壁部(210)の両側壁(213,214)には、キャップ本体(100)の切欠き部(130)の両側壁(131,132)に設けた回転軸部(141,もう1つは図示せず)に対応する軸受け孔(215,もう1つは図示せず)を設けた。そして、キャップ本体(100)の切欠き部(130)に、回転部材(200)を、キャップ本体の回転軸部(141,もう1つは図示せず)と回転部材の軸受け孔(215,もう1つは図示せず)とを係合させて回転自在に取り付けて、キャップ(20)を作製した。
【0015】
次に、図1(c)に示すように、逆向きに静置されたキャップ(20)の傾斜して開いている回転部材(200)の注出口係合部(220)に、容器本体(10)の注出口部(11)を挿着し、胴部(15)が垂直になるよう回転させて、容器本体の頚部(12)と肩部(14)との間の嵌合溝部(13)とキャップ本体(100)の内周壁(120)に設けられた嵌合突起(121)とを嵌合させ、また、キャップ本体の固定板(133)と回転部材(200)を当接させて、容器本体(10)をキャップ(20)にしかりと装着し、さらに、容器本体の胴部の開口端部から内容物の練り歯磨きを充填してのち、胴部の開口端部をヒートシール法で熱融着して密封し、本実施例の倒立容器(1)を作製した。なお、キャップの回転部材の注出口係合部の封止板のインナーリングの外面が容器本体の注出口部の周壁内面と圧接するため、容器本体は完全に封止され、内容物の漏れの危惧はまったくなかった。
【0016】
次に、本実施例の倒立容器の片手で胴部をもち、胴部を押圧せずにキャップの回転部材を斜めに回転させると、容器本体とキャップとの固定が解かれ、容器本体をキャップから容易に取り外すことができた。内容物を使用後、キャップの傾斜して開いている回転部材の注出口係合部に、容器本体の注出口部を挿着し、胴部を回転して垂直に立てると、容器本体がキャップに容易に固定された。容器本体のキャップからに取り外し、内容物の吐出、容器本体のキャップへの装着の一連の操作は、片手ですべて行うことができた。
【0017】
【発明の効果】
本発明の倒立容器は、キャップからの容器本体の取り外し、使用後の容器本体のキャップへの装着の操作が、胴部を押圧せずに片手でワンタッチで行うことができ、従来の倒立容器の使用時の煩わしさが解決でき、しかも不用意な内容物の吐出を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、キャップに容器本体を装着する直前又は取り外した直後の状態を示す本発明の一実施例の倒立容器の斜視図であり、(b)は、この倒立容器のキャップに容器本体を装着した状態を示す説明図であり、(c)は、キャップから容器本体を取り外す状態又は容器本体をキャップへ装着する状態を示す説明図である。
【図2】実施例の倒立容器のキャップの回転部材の回転状態を示す説明図である。
【図3】回転部材の注出口係合部の封止板に、注出口部の周壁内面と圧接するインナーリングを形成した状態を示す実施例のキャップの断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の倒立容器のキャップの他の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
1……倒立容器
10……容器本体
11……注出口部
12……頸部
13……嵌合溝部
14……肩部
15……胴部
20……キャップ
100……キャップ本体
110……外周壁
111……鍔状突起
120……内周壁
121……嵌合突起
130……切欠き部
131,132,213,214……側壁
133……固定板
141……回転軸部
200……回転部材
210……周壁部
211……外周壁
212……内周壁
215,216……軸受け孔
220……注出口係合部
221……周壁
222……封止板
223……インナーリング

Claims (2)

  1. 逆向きに静置されたキャップの上方に、容器本体を装着する倒立容器であって、前記容器本体が、上方へ順に、注出口部、頸部、嵌合溝部、肩部、胴部とからなり、且つ、前記キャップが、外周壁と、前記容器本体の嵌合溝部に嵌合する嵌合突起を部分的に設けた内周壁とからなるキャップ本体の周壁に、回転軸部を設けた側壁を側面にもち固定板を下方にもつ切欠き部を前記嵌合突起に対向する位置に設け、この切欠き部に、容器本体の注出口部を係合する注出口係合部と周壁部とからなる回転部材を、前記切欠き部の側壁に設けた回転軸部と係合させて回転自在に取り付け、前記回転部材の注出口係合部に前記容器本体の注出口部を係合させるとともに、前記キャップ本体の嵌合突起に前記容器本体の嵌合溝部を嵌合させることにより、前記容器本体が前記キャップに倒立状態で保持され、この状態から前記容器本体を傾けて回転部材を回転させることによって、前記キャップ本体の嵌合突起と前記容器本体の嵌合溝部との嵌合が外れ、前記容器本体が前記キャップから取り外されるように構成されていることを特徴とする倒立容器。
  2. 前記容器本体の注出口部の周壁内面と圧接するインナーリングを、前記キャップの回転部材の注出口係合部の封止板に設けたことを特徴とする請求項1記載の倒立容器。
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