JP3621690B2 - コントロールシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、スラリー(Slurry)液等の移送に適したチューブフラムを用い、移送流量を制御するコントロールバルブを使用したコントロールシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
チューブフラムを用いて移送流体の制御をするものとして、ピンチバルブ(Pinch Valve:PV)が知られている。ピンチバルブは、その方式の違いや用途により、大きく分けて手動式、エア駆動式、電磁駆動式及び電動駆動式等の形態がある。手動式ピンチバルブは、手動によりチューブフラムを径方向に伸縮させて移送流体の移送流量を制御するものであり、微小流量の制御をすることができるものである。これに対し、エア駆動式、電磁駆動式及び電動駆動式ピンチバルブは、エア圧力や電磁石及びモータ等によりチューブフラムを径方向に伸縮させて移送流体の移送流量を制御するものであり、いわゆるオン/オフ制御をすることができるものである。これらの方式のピンチバルブは、半導体用、研究用及びプラント用と、様々な用途で用いられている。これらのうち、例えばエア駆動式ピンチバルブは、円筒状で可撓性のチューブフラムの外側を作動流体空間とすると共に内側を移送流体空間とし、その一端に移送流体の注入管、他端に注出管を配置したもので、作動流体空間に作動流体としてエアを送り込むことによってチューブフラムを径方向に伸縮させ、移送流体の移送流量を制御するものである。チューブフラムを用いることにより、移送流路を円筒状で真っ直ぐな構造とすることができるので、移送流体が滞留することがなく、移送流体の移送を円滑にすることができる。このため、この種のピンチバルブは、スラリー液等の移送に適すると共に移送流体の適切な流量制御を行うことができるという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば半導体用に用いられる手動式、エア駆動式、電磁駆動式及び電動駆動式ピンチバルブでは、チューブフラムが破損したときには移送流体が液漏れ(飛散)すると共に、流量制御を電気信号により自動化することは困難である。殊に、エア駆動式、電磁駆動式及び電動駆動式ピンチバルブでは、オン/オフ制御にしか適用できないため、微小流量の調節等の流量制御には適さない。これら半導体用のピンチバルブでは、移送流体として強酸やガス化し易い薬液(過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム)等を移送するため、安全性の確保は重大な課題である。これに対し、プラント用のピンチバルブでは、移送流量の自動制御が可能な完全密封式のものが市販されているが、ピンチバルブ自体が大型となると共にバルブボディが鋳鉄であるため、酸の雰囲気等に非常に弱く半導体用に適用し難いという問題がある。
【0004】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、微小流量の流量自動制御が可能となると共に、安全性能に優れ、小型化・軽量化を図ることができるコントロールシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るコントロールシステムは、内側に移送流体が通過する移送流体空間を形成してなるチューブフラム、このチューブフラムを内部に収容すると共に前記チューブフラムの一端と連通して前記チューブフラムの内側に移送流体を導入する導入口及び前記チューブフラムの他端と連通して前記チューブフラムの内側から移送流体を排出する排出口が形成され、前記チューブフラムの外側に作動液体を充填する作動液体室を形成するバルブヘッド本体、及び前記作動液体室の容積を可変する作動液体駆動手段を備え、前記作動液体駆動手段で作動液体室の容量を可変して前記作動液体によって前記チューブフラムの径を制御することにより前記チューブフラム内を通過する移送流体の流量を制御するコントロールバルブと、このコントロールバルブの注出側に設けられた背圧弁と、前記コントロールバルブから注出された移送流体の流量を検出する流量センサと、この流量センサの出力に基づいて前記コントロールバルブから注出された移送流体の流量が一定になるように前記コントロールバルブの作動液体駆動手段を制御する流量制御コントローラとを備えたことを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、チューブフラムの周囲が作動液体で満たされている、いわゆる液封構造のため、チューブフラムの内圧が高くてもチューブフラムが膨張し難く、もしチューブフラムが破損しても移送流体が周囲に飛散しないため、高い安全性を確保することができると共に、作動液体室の作動液体の容量を可変させチューブフラムの径を制御して移送流体の流量を制御することができるため、例えば流量計やPID調節計と組み合わせて流量フィードバック制御をすることができると共に、圧力センサと組み合わせて圧力フィードバック制御をすることができ、移送流体の微小流量制御を容易に実行することができる。また、既存のチューブフラムを適用することができるため、部品単価を安くすることができ、コストの低減を図ることができる。
【0007】
なお、コントロールバルブに備えられる作動液体駆動手段は、バルブヘッド本体と共に作動液体室を形成するダイアフラムと、このダイアフラムを作動液体室に対して突出及び後退する方向に駆動するダイアフラム駆動手段とを備えたものであることが好ましく、この場合、ダイアフラム駆動手段は、ダイアフラムをエア圧によって作動液体室に対して突出及び後退する方向に駆動するものであることが好ましく、例えば電空レギュレータや空圧レギュレータ等が考えられる。このような構成にすれば、コントロールバルブと電空レギュレータ等とを別々の場所に設置することができ、コントロールバルブの小型化・軽量化を促進することができると共に、エア圧によりダイアフラムを駆動すれば、循環圧力制御から複数分岐して、各々異なる微小流量の制御に適用することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るコントロールバルブを示す断面図である。
このコントロールバルブ1は、チューブフラムを内蔵したバルブヘッド本体部2と、これを駆動するプランジャを内蔵した駆動部3とを備えて構成され、駆動部3のプランジャを駆動するための、コントロールバルブ1とは別の場所に設置されたプランジャ駆動手段としてのエア供給部4が連結された構造からなる。
【0009】
バルブヘッド本体部2は、中央部に垂直方向に延びる円筒状空間11が形成されたバルブヘッド本体10と、このバルブヘッド本体10の円筒状空間11に着脱自在に装着された円筒状のシリンダユニット20と、このシリンダユニット20の下端部と連通するようにバルブヘッド本体10の下端部に取り付けられた導入ユニット30と、シリンダユニット20の上端部と連通するようにバルブヘッド本体10の上端部に取り付けられた排出ユニット40とを備えて構成されている。
【0010】
バルブヘッド本体10の駆動部3側の壁には、後述する駆動部3のダイアフラム52と共に作動液体室12を形成する、ダイアフラム52の形状に沿った凹部13と、この凹部13と円筒状空間11とを連通する縦方向に並んだ2つの作動液体通路14a,14bとが形成されている。また、バルブヘッド本体10の駆動部3とは反対側の壁には、円筒状空間11と連通する作動液体注入口15及びエア排出口16が形成されており、これらは栓17,18によりそれぞれ塞がれている。
【0011】
シリンダユニット20は、円筒状のシリンダ21と、このシリンダ21の内側に同軸的に装着された円筒状で可撓性のチューブフラム22と、このチューブフラム22の両端をシリンダ21に固定するためのチューブ押さえ23a,23bとを備えて構成されている。チューブフラム22は、その外径がシリンダ21の内径よりも小さく形成されており、その内側が移送流体が通過する移送流体空間としてのバルブ室24、外側が作動液体が充填される作動液体空間としての作動液体室25を形成している。チューブフラム22の両端部には、径方向外側に広がる形状の鍔部221a,221bが形成され、シリンダ21の両端に形成された段部に鍔部221a,221bがそれぞれ嵌合した状態となっている。チューブ押さえ23a,23bは、先端部がチューブフラム22の内側に挿入される凸部をなし、基端部がシリンダ21の両端の段部との間でチューブフラム22の鍔部221a,221bを挟み込む円盤状部を形成する。また、チューブ押さえ23aは、チューブフラム22の内側から移送流体を排出する排出口43を形成し、チューブ押さえ23bは、チューブフラム22の内側に移送流体を導入する導入口33を形成する。この円盤状部の外側端面にオーリング(Oリング)26a,26bがそれぞれ装着され、シリンダ21の両端近傍の外周部にオーリング27a,27bがそれぞれ装着されている。これにより、シリンダユニット20がバルブヘッド本体10の円筒状空間11及び排出ユニット40と液密に結合される構造となっている。
【0012】
シリンダ21は、両端部を除く部分の外径がバルブヘッド本体10の円筒状空間11の内径よりも小さく設定され、円筒状空間11の内面とシリンダ21の外面との間に作動液体が充満される空間が形成されている。また、シリンダ21には、作動液体通路14a,14bに対応する位置にシリンダ21の内外を連絡する連通孔211a,211bが形成されると共に、これら連通孔211a,211bと径方向に対向する位置に連通孔212a,212bが形成されている。これら作動液体室25を除く作動液体室12、作動液体通路14a,14b、作動液体注入口15、エア排出口16及び連通孔211a,211b,212a,212bによりバルブヘッド本体10の封止空間が形成されている。
【0013】
導入ユニット30は、バルブヘッド本体10の下端部にバルブ室24の下端部と連通するように設けられた導入管31と、この導入管31を支持すると共にバルブヘッド本体10の下端部に取り付けるための螺子が形成された継手32とから構成されている。また、排出ユニット40は、バルブヘッド本体10の上端部にバルブ室24の上端部と連通するように設けられた排出管41と、この排出管41を支持すると共にバルブヘッド本体10の上端部に取り付けるための螺子が形成された継手42とから構成されている。
【0014】
一方、駆動部3は、作動流体駆動手段(ダイアフラム駆動手段)を構成するもので、ブラケット50と、このブラケット50に固定された固定部60と、ブラケット50に接続されるエンドプレート51とを備えて構成されている。ブラケット50の前面には、可撓性のダイアフラム52が装着され、このダイアフラム52がバルブヘッド本体10の凹部13に作動液体室12を形成しつつ収容された状態でブラケット50の前面がバルブヘッド本体10の後端面に結合されている。
【0015】
ダイアフラム52と棒状のプランジャ71とはプランジャ71の先端部72で一体化され、圧縮空気により駆動される。固定部60は、この例では空圧室64を備え、この空圧室64に圧入される圧縮空気によりダイアフラム52を変形させる。また、ダイアフラム52と固定部60との間には、リテーナ63が介挿されており、このリテーナ63により、ダイアフラム52の後端位置を規制している。エンドプレート51の中心には、空圧室64と連通する空気通路53が形成されており、エア供給部4から供給される圧縮空気がこの空気通路53を通って空圧室64に送られる。エア供給部4は、例えば電空レギュレータや空圧レギュレータからなるものであるが、電空レギュレータ等については公知であるため、ここでは説明を省略する。なお、例えばエア供給部4として空圧レギュレータを用いた場合、いわゆる配管ブロックとしてのバルブヘッド本体10に手を入れる必要のない遠隔手動操作での流量調整弁としてコントロールバルブ1を使用することができる。
【0016】
次に、このように構成されたコントロールバルブ1の動作を説明する。エア供給部4から供給され、エンドプレート51の空気通路53を通り固定部60の空圧室64に圧入された圧縮空気により、ダイアフラム52が前に押し出される(往動作する)ので、作動液体室12内の作動液体が作動液体通路14a,14b及びシリンダ21の連通孔211a,211bを介してチューブフラム22の周囲に押し出される。これにより、チューブフラム22の内側のバルブ室24が収縮し、導入管31からバルブ室24を通って排出管41に移動する移送流体の流量が減少方向に制限される。反対に、エア供給部4からの圧縮空気の供給が止まれば、バルブ室24の内圧によりチューブフラム22の周囲に押し出された作動液体がシリンダ21の連通孔211a,211b及び作動液体通路14a,14bを介して作動液体室12に押し戻されるため、ダイアフラム52が後ろに押し戻される(復動作する)ので、導入管31からバルブ室24を通って排出管41に移動する移送流体の流量は増加方向に移行する。
【0017】
このコントロールバルブ1によれば、ダイアフラム52が駆動され、作動液体室25及び上記封止空間内に充満された作動液体がチューブフラム22のバルブ室24を収縮したり元の大きさの径に戻したりするように移動する。このような動作により、導入管31からバルブ室24を通って排出管41に移動する移送流体の流量を制御することができるので、従来のピンチバルブ方式のコントロールバルブに比べて微小な流量の制御が可能となる。
【0018】
また、このコントロールバルブ1は、バルブヘッド本体部2のバルブヘッド本体10のシリンダユニット20に備えられたチューブフラム22の周囲が作動液体により封止される液封構造を採用するため、バルブ室24の内圧が高くなってもチューブフラム22は膨張し難く、万が一チューブフラム22が破損した場合でも移送流体がバルブヘッド本体部2や駆動部3の周囲に液漏れしたり飛散したりすることはない。このため、移送流体として強酸やガス化し易い過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム等の薬液を用いる半導体用のコントロールバルブとして最適である。
【0019】
また、従来のピンチバルブ方式のコントロールバルブと比較してこのコントロールバルブ1は、バルブヘッド本体部2と駆動部3とから構成されるコントロールバルブ1と電空レギュレータ等で構成されるエア供給部4とを離れた場所に設置することができるため、コントロールバルブ1自体の小型化・軽量化を促進することができると共に、例えば循環圧力制御から複数分岐して各々異なる流量制御に応用することが可能となる。
【0020】
即ち、例えばこのコントロールバルブ1を用いて図2に示すようなコントロールシステムを構成することにより、▲1▼薬液を複数の使用場所(ユースポイント)で、各々異なる微小流量で注入・噴霧・混合させる、▲2▼各ユースポイントでランダムにバルブを開閉しても他のユースポイントには影響を与えない、▲3▼ガスロックし易い薬液でも微小流量で移送する、▲4▼危険な薬液(強酸・強アルカリ等)でも、液漏れのない自動ピンチバルブ方式のコントロールバルブなので安全性を確保することができる、▲5▼微小流量でもポンプの脈動を除去して安定した流量で注入することができる、等の効果を得ることができ、複数の微小な流量制御を実現することができる。
【0021】
このコントロールシステム80は、薬液Aが貯留された薬液タンク81と、薬液Bが貯留された薬液タンク82とを備えて構成され、薬液Aと薬液Bとを混合することができるシステムである。薬液タンク81に貯留されている薬液Aは、エア駆動ベローズポンプ(FS)83で循環される。このエア駆動ベローズポンプ83の薬液吐出先には、ダンパー(D)84が設けられており、このダンパー84でエア駆動ベローズポンプ83の脈動を吸収する。エア駆動ベローズポンプ83の圧力は、圧力センサ(PT)85で検出され、圧力制御コントローラ(PIC/FS)86により圧力の一定制御が行われる。
【0022】
エア駆動ベローズポンプ83から吐出された薬液Aは、循環ライン88を流れ、チューブフラムを内蔵するコントロールバルブ(FV)1a及び1cに分岐されて注入される。一方、薬液Bは、コントロールバルブ1bに流入される。各コントロールバルブ1a〜1cの注出側に設けられた背圧弁(BV)89a〜89cは、循環ライン88から全注入点までの距離・揚程による末端での圧力差を補正し、いわゆるオーバーフィード現象を防止する。
【0023】
コントロールバルブ1a,1cから注出された薬液Aの流量は、流量センサ(FT)87a,87cで検出され、流量制御コントローラ(FIC/FV)90a,90cにより上述したような流量(微小流量)の制御が行われる。同じくコントロールバルブ1bから注出された薬液Bの流量は、流量センサ87bで検出され、流量制御コントローラ90bにより流量の制御が行われる。エアオペレイトバルブ(AV)91a〜91cは、薬液の注入時のみに開かれるものである。コントロールバルブ1cにおいては、薬液Aの単独微小流量制御が行われ、流量制御された薬液Aが吐出口95から吐出される。
【0024】
コントロールバルブ1aにおいて微小流量制御された薬液Aは、コントロールバルブ1bにおいて微小流量制御された薬液Bとインラインミキサ(MX)93で混合された後、吐出口96から吐出される。なお、逆止弁(CV)92a,92bは、インラインミキサ93での薬液Aと薬液Bの混合液の循環ライン88への逆流を防止する。このようなコントロールシステム80においては、以下▲1▼〜▲4▼のような特徴がある。
【0025】
即ち、▲1▼エア駆動ベローズポンプ83の圧力を一定に制御することにより、各分岐ラインがランダムに開閉しても配管内圧力を復旧することができる。配管内圧力(バルブ一次側圧力)が変動すると、分岐流量が変化するからである。▲2▼背圧弁89a〜89cとコントロールバルブ1a〜1cによる各分岐ラインの流量制御により、広範囲(15〜1000ml/min、但し、流量センサ87a〜87cの精度による。)での流量調節が可能である。これは、ダンパー84とコントロールバルブ1a〜1cと背圧弁89a〜89cとで3段階の脈動制御を行い、これらの組み合わせが配管前後の差圧が変化しても流量を維持する、いわゆる「定流量弁」として機能するからである。
【0026】
例えば、図3に示すように、コントロールシステム80の立上り時は供給エア圧力0.00MPaで、この時点では各流量はエア駆動ベローズポンプ83の脈動の影響を受けるが、24秒後から流量センサ87aでは15ml/min、流量センサ87bでは30ml/minの流量目標で制御を開始すると、供給エア圧力が高くなり、40秒後より脈動が低減されることが分かる。これにより、インラインミキサ93での混合(インライン混合)で他方の流量が変化しても注入量に影響を与えない構造とすることができる。
【0027】
ここで、インライン混合時に最も問題となるのは、注入量を制御しようとするときに合流点で他の移送流体流量が変化すると、混合点の圧力が変化(例えば、他方の流量が増加すると圧力が上昇し、他方の流量が止まると圧力が最低に変化)することである。この場合、何ら対策をしなければ注入側の流量が変動してしまい、流量制御が追従できなくなることがある。図3のグラフで24秒から40秒までの間は、流量センサ87bで検出された流量が60ml/minから40ml/minに低下するので混合点での圧力、即ち、圧力センサ83で検出される圧力が0.3MPaから0.22MPaに低下するため、流量センサ87aでの検出流量が20ml/minから40ml/minに上昇してしまう。この問題を解決するために、上記「定流量弁」が必要となる。
【0028】
一般的に、チューブフラムを用いたバルブは、機構的にはピンチバルブであり、流量調節機能を備えていても単独では二次圧力が変化すると流量も変化するため、本出願人は、チューブフラムを備えたコントロールバルブ1と背圧弁89a〜89cとを組み合わせることで、「定流量弁」としての性能を得られることに着目してこのコントロールシステム80を考え出した。そこで、このコントロールシステム80においては、▲3▼背圧弁89a〜89cが各ユースポイントまでの距離・揚程差を補正する、▲4▼チューブフラムを備えたコントロールバルブ1により微小流量のフィードバック制御をする、ということも特徴としている。
【0029】
図4は、背圧弁89a〜89cの二次側に手動弁を取り付けて二次圧力を変化させたときの流量変化を1秒毎にプロットしたグラフである。このグラフにおいて、「ピンチ開放」は、背圧弁単独の特性と考えることができ、200〜650ml/minの間で大きく変化し、且つバックラッシュ(手動弁を全開→全閉、全閉→全開と操作したときに同じ二次圧力での流量の違い。)も大きくなる。これに対し、「0.25MPa(スプリング強/1秒毎)」は、手動弁全開時にコントロールバルブ1の流量を20ml/minに調節して固定し、手動弁により二次圧力を変化させたときの特性である。これにより、二次圧力が変化しても流量が殆んど変化せず、「定流量弁」としてコントロールバルブが機能していることが把握できる。
【0030】
図5は、コントロールバルブ1の供給エア圧力を固定した「MAN」状態を示すグラフであり、図6は、各流量をフィードバック制御した「AUTO」状態を示すグラフである。これら図4及び図5のグラフでは、1分サイクルで40秒通水、20秒停止を繰り返し、30分毎に1分サイクルを重ね書きして表したものである。このうち、図6(d)は、コントロールバルブ1が流量制御されているときの供給エア圧力の変化を、パーセント表示で示したものである。これら図5及び図6では、各流量が30分毎にどのように変化していくかを読み取ることができる。両図を比較した場合、明らかに「AUTO」状態の方が優れていることが把握できる。
【0031】
例えば、図5(b)と図6(b)とを比較した場合、図5(b)では、立上りピーク値・安定流量が経過時間と共に低下して収束するのに対し、図6(b)では、初めから安定している。また、図5(b)では、流量が落ちる時間が長くなっているのに対し、図6(b)では、流量が落ちる時間にバラツキがない結果となっている。更に、図6(c)では、図5(c)に比べ、背圧弁二次側圧力にバラツキがない結果となっている。このように、コントロールバルブ1を用いたコントロールシステム80では、微小流量のフィードバック制御を容易に行うことができ、且つ液漏れのない安全構造を実現することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、チューブフラムの周囲が作動液体で満たされる液封構造のため、チューブフラムの内圧が高くてもチューブフラムが膨張し難く、もしチューブフラムが破損しても移送流体が周囲に飛散しないため、高い安全性を確保することができると共に、作動液体室の作動液体の容量を可変させチューブフラムの径を制御して移送流体の流量を制御することができるため、例えば流量計やPID調節計と組み合わせて流量フィードバック制御をすることができると共に、圧力センサと組み合わせて圧力フィードバック制御をすることができ、移送流体の微小流量制御を容易に実行することができる。また、既存のチューブフラムを適用することができるため、部品単価を安くすることができ、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るコントロールバルブを示す断面図である。
【図2】同コントロールバルブを用いたコントロールシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図3】同システムにおけるコントロールバルブの流量−時間特性を示すグラフである。
【図4】同システムにおける背圧弁二次圧力−流量特性を示すグラフである。
【図5】同システムにおけるコントロールバルブの供給エア圧力を固定した状態を示すグラフである。
【図6】同システムにおけるコントロールバルブの各流量をフィードバック制御した状態を示すグラフである。
【符号の説明】
1…コントロールバルブ、2…バルブヘッド本体部、3…駆動部、4…エア供給部、10…バルブヘッド本体、11…円筒状空間、12,25…作動液体室、13…凹部、14…作動液体通路、15…作動液体注入口、16…エア排出口、17,18…栓、20…シリンダユニット、21…シリンダ、22…チューブフラム、23…チューブ押さえ、24…バルブ室、26,27…オーリング、30…導入ユニット、31…導入管、32,42…継手、40…排出ユニット、41…排出管、50…ブラケット、51…エンドプレート、52…ダイアフラム、53…空気通路、60…固定部、61…固定コア、62…スラスト軸受、63…リテーナ、64…空圧室、71…プランジャ、72…プランジャ支持体、80…コントロールシステム、81,82…薬液タンク、83…エア駆動ベローズポンプ、84…ダンパー、85…圧力センサ、86…圧力制御コントローラ、87…流量センサ、88…循環ライン、89…背圧弁、90…流量制御コントローラ、91…エアオペレイトバルブ、92…逆止弁、93…インラインミキサ、95,96…吐出口、211,212…連通孔、221…鍔部。

Claims (3)

  1. 内側に移送流体が通過する移送流体空間を形成してなるチューブフラム、このチューブフラムを内部に収容すると共に前記チューブフラムの一端と連通して前記チューブフラムの内側に移送流体を導入する導入口及び前記チューブフラムの他端と連通して前記チューブフラムの内側から移送流体を排出する排出口が形成され、前記チューブフラムの外側に作動液体を充填する作動液体室を形成するバルブヘッド本体、及び前記作動液体室の容積を可変する作動液体駆動手段を備え、前記作動液体駆動手段で作動液体室の容量を可変して前記作動液体によって前記チューブフラムの径を制御することにより前記チューブフラム内を通過する移送流体の流量を制御するコントロールバルブと、
    このコントロールバルブの注出側に設けられた背圧弁と、
    前記コントロールバルブから注出された移送流体の流量を検出する流量センサと、
    この流量センサの出力に基づいて前記コントロールバルブから注出された移送流体の流量が一定になるように前記コントロールバルブの作動液体駆動手段を制御する流量制御コントローラと
    を備えたことを特徴とするコントロールシステム
  2. 前記作動液体駆動手段は、
    前記バルブヘッド本体と共に前記作動液体室を形成するダイアフラムと、
    このダイアフラムを前記作動液体室に対して突出及び後退する方向に駆動するダイアフラム駆動手段と
    を備えたものであることを特徴とする請求項1記載のコントロールシステム
  3. 前記ダイアフラム駆動手段は、前記ダイアフラムをエア圧によって前記作動液体室に対して突出及び後退する方向に駆動するものであることを特徴とする請求項2記載のコントロールシステム
JP2002113763A 2002-04-16 2002-04-16 コントロールシステム Expired - Fee Related JP3621690B2 (ja)

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