JP3621356B2 - クレーンにおける運転室 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設機械における運転室に関するものである。特に運転室の下方視認性を向上させる構成を備えた運転室に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
運転室の下方視認性向上を目的として、クレーン等の運転室を昇降させるものはしられている。
【0003】
たとえば図5は特開平05−124788号公報に開示されたものである。これは、走行車21に設置する移動式クレーンの操縦者の視界を広くして作業の安全性を向上するため、走行車21に設置したクレーンの回転台上のクレーン運転室22を、油圧シリンダ23の作動によって上下に昇降できるように構成したものである。
【0004】
また図6は特開2000−238991号公報に開示されたものである。これは油圧ショベルや油圧クレーン等の作業車両において、操作部からの視野を広げることができるとともに、操作部の揺れを軽減することができるようにしたものである。図6で運転室24は昇降リンク25に支持され、油圧シリンダ28によって昇降され、この昇降リンク25はマスト26に取り付けられている。このマスト26は、スライドレール27上を前後にスライドする。
【0005】
これら図5と図6に示すものは、運転室22又は24の中心が機械中心に対しこれと平行に昇降する。そしてブームの平行部に対しブームフートが狭くなっているクレーンにおいては、運転室22又は24を上方に移動するとき、運転室とブームが干渉し、かえって視認性が悪くなる。
【0006】
このような運転室とブームとの干渉をさける方式として、昇降装置の下部をクレーンの機械中心より外側へスライド(スイング)させる方式のものがしられている。これは、図7に示す運転室の昇降方式と、図8に示す運転室スイング方式を組合せて構成したものである。
【0007】
図7は運転室の昇降方式を示し、運転室29を通常の位置より約1.2m高くできるようにしたものである。このように上下することによって高所作業や見通しの悪い場所で作業する時、視界を広く保つことができると同時に、オペレーターの疲労を軽減することができる。
【0008】
又図8は運転室スイング方式を示し、本体を、輸送する場合、全幅を縮小して移送可能にしたもので、ブームを装着する場合は必らず、運転室30を油圧シリンダ31の伸縮により外側に張り出してから取り付けるようになっている。
【0009】
この方式は図7の上下動操作と図6の張出し操作の操作順序を誤まると、運転室29がブームと干渉すること、又2つの装置を使用するためコストが高くなること、さらに操作順序の誤りを防ぐため、インターロック装置を追加するとさらにコスト高になる上に故障に対する信頼度も低くなること、等の問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ブームフート部がブーム平行部分に比べて、狭くなった形状のブームを設けたクレーンにおいて、運転室とブームを干渉させることなく、運転室を昇降させる装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明のクレーンにおける運転室は、ブームフート部がブーム上部の平行部に比べて、狭くなった形状のブームを設けたクレーンにおいて、運転室の昇降装置を、機械中心を通る面に対して斜め外向きに角度を以て配置し、該昇降装置により、運転室が最下限位置から上昇されると運転室の床面を水平にした状態で保持されると共に前記機械中心を通る面から外方に向かって離れることを特徴とする。
そして、本発明の他のクレーンにおける運転室は、さらに前記昇降装置が直立するマストと運転室の後壁間に設けた平行リンク機構と、運転室を上昇する油圧シリンダとで構成し、前記平行リンク機構の軌跡がなす立平面が機械中心を通る面に対し斜め外向きに角度を成して配置され、
前記油圧シリンダの伸縮により平行リンクが下方から水平方向まで回動すると、運転室が前記機械中心を通る面から外方に向かって離れることを特徴とする。
また、本発明のさらに他のクレーンにおける運転室は、さらに前記昇降装置が斜め上方へ斜設する昇降ガイドと、該昇降ガイドに案内される運転室の後壁に設けた案内ブロックと運転室を昇降する油圧シリンダとからなり、
前記斜め上方へ斜設する昇降ガイドの軌跡がなす斜平面が機械中心を通る面に対し斜め外向きに角度を以って配置されることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明は、クレーンの機械中心に対し、昇降装置の作動する中心平面を、角度を設けて斜めにするものである。図3は本発明に関る運転室を備えた自走式クレーンの側面図である。1はブーム、2は機械を操作する運転室(キャブ)である。ブーム1は図4の平面図に示すように、その基部即ちブームフート部1aの幅wが、ブーム上部の平行部1bの幅Wより狭くなっている(W>w)。
【0013】
さて、図1と図2は、上にのべたクレーンにおける運転室2をブームと何等干渉することなく昇降させる装置を示す。図1(a)は運転室の取付状態を示す平面図、(b)は(a)のA矢視側面図である。
【0014】
運転室2はブームフート部1aの側方に設置されているが、上下動するときブームフート部1aと干渉するのを防止するため、機械中心3を通る面と角θだけ斜め外向きに設けたリンク機構5によって床面を水平に保ちつつ昇降するよう構成されている。即ち図1(a)に示す如く昇降装置の作動する中心面4は機械中心を通る面3に対し外に向って角θをなしている。
【0015】
運転室の昇降装置はマスト6と運転室2の後壁間に設けた左右2本宛の計4本のリンク5からなるリンク機構と、リンク機構の中心に設けた油圧シリンダ7とからなっている。各リンク5はその両端でマスト6及び運転室2の後部に回動自在に枢支されている。
【0016】
以上の構成であるから運転室2は油圧シリンダ7の伸縮によって、図1(b)の最下限位置2’を下限とし、実線で示す位置との間を昇降可能である。
【0017】
図2は昇降装置の第2例を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA矢視側面図、(c)は(b)のB矢視図である。
【0018】
図2で8は運転室2の昇降ガイドで、運転室2の後壁に設けた案内ブロック9が、昇降ガイド8にガイドされて床面水平状態で昇降する。10は一端を昇降ガイド8の下端にピン11で枢支された油圧シリンダで、その上端は運転室2の底面にピン12で枢支されている。
【0019】
前記昇降ガイド8は図2(c)に示すように機械中心3を通る面に対し、角θ斜め外向きに傾斜している。そしてこの外に向って傾斜した昇降ガイド8に案内されて、案内ブロック9がガイドされて昇降する。
【0020】
以上の構成であって、油圧シリンダ10を伸長させると符号2’で示す最下限位置から実線位置まで、運転室2は床面を水平に保持した状態で昇降する。しかし、上昇するに従って、機械の外側に向かって離れるので、ブームと干渉することなく上昇させることができる。
【0021】
【発明の効果】
昇降式の運転室の昇降装置を機械中心に対して斜め外向きに角θを以て配設し、油圧シリンダ等の駆動力によって昇降させ、昇降時にブームに干渉することなく昇降するようにしたので、運転室の上昇により視界が良好になると共に、ブームとの干渉もなく、安全に操作することができる。
【0022】
昇降装置はリンク機構と油圧シリンダあるいはガイド装置と油圧シリンダで構成できるので、コスト的にも有利であり、安価に装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる運転室の昇降装置を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA矢視側面図。
【図2】本発明の運転室の昇降装置の第2実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA矢視側面図、(c)は(b)のB矢視図。
【図3】移動式クレーンの側面図。
【図4】図3の上面図。
【図5】公知昇降式運転室の第一例を示す。
【図6】公知昇降式運転室の第二例を示す。
【図7】上下昇降の可能な昇降装置を示す。
【図8】側方張出し可能な昇降装置を示す。
【符号の説明】
1 ブーム 1a ブームフート部
1b ブーム上部の平行部 2 運転室
3 機械中心 4 中心面
5 リンク機構 6 マスト
7 油圧シリンダ 8 昇降ガイド
9 案内ブロック 10 油圧シリンダ
11,12 ピン 23,28,31 油圧シリンダ

Claims (3)

  1. ブームフート部がブーム上部の平行部に比べて、狭くなった形状のブームを設けたクレーンにおいて、昇降する運転室を設けた建設機械において、運転室の昇降装置を、機械中心を通る面に対して斜め外向きに角度を以て配置し、
    該昇降装置により、運転室が最下限位置から上昇されると運転室の床面を水平にした状態で保持されると共に前記機械中心を通る面から外方に向かって離れることを特徴とするクレーンにおける運転室。
  2. 前記昇降装置が直立するマストと運転室の後壁間に設けた平行リンク機構と、運転室を上昇する油圧シリンダとで構成し、前記平行リンク機構の軌跡がなす立平面が機械中心を通る面に対し斜め外向きに角度を成して配置され、
    前記油圧シリンダの伸縮により平行リンクが下方から水平方向まで回動すると、運転室が前記機械中心を通る面から外方に向かって離れることを特徴とする請求項1記載のクレーンにおける運転室。
  3. 前記昇降装置が斜め上方へ斜設する昇降ガイドと、該昇降ガイドに案内される運転室の後壁に設けた案内ブロックと運転室を昇降する油圧シリンダとからなり、
    前記斜め上方へ斜設する昇降ガイドの軌跡がなす斜平面が機械中心を通る面に対し斜め外向きに角度を以って配置されることを特徴とする請求項1記載のクレーンにおける運転室。
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