JP3621253B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキンや失禁パッド、母乳パッド等の、肌当接面を形成する液透過性の表面層、液不透過性の裏面層、及び該表面層と該裏面層との間に介在された液保持性の吸収層を有する実質的に縦長の吸収性物品に関し、更に詳しくは、優れた防漏性が発揮され、良好な装着感を得ることのできる吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、生理用ナプキンや失禁パッド、母乳パッド等の吸収性物品として、肌当接面を形成する液透過性の表面層、液不透過性の裏面層、及び該表面層と該裏面層との間に介在された液保持性の吸収層を有する実質的に縦長の吸収性物品はよく知られている。この様な吸収性物品は、血液、尿等の体液を漏れなく吸収・保持させることが要求される。
【0003】
体液を漏れなく吸収・保持させるための技術としては、従来より、吸収性物品の両側部に装着者側に突出する防漏部を形成させる技術が知られている。この様な防漏部を形成させる技術としては、吸収層の側外方において表面層である表面シートに吸収性物品の長手方向に弾性部材を固定して、該表面シートを裏面層としての裏面シートから断面山形に起立させる技術(特開平1−213402号)や、吸収体の周囲において起立するシート状のバリアカフスと、該バリアカフスの更に外方に配置されるガスケットカフスとを設ける技術(特開昭62−250201号)、弾性片(合成樹脂フィルム)を肌当接面の両側縁部に伸張させた状態で配置しその両端を固定させて、伸縮により弾性片の中央部を起立させる技術(特開平8−117273号)等がある。
【0004】
しかし、上記の従来技術における防漏部では、漏れ防止効果と違和感のない良好な装着感の両方を満足することはできない。
【0005】
従って、本発明の目的は、優れた防漏性が発揮され、良好な装着感を得ることのできる吸収性物品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、肌当接面を形成する液透過性の表面層、液不透過性の裏面層、及び該表面層と該裏面層との間に介在された液保持性の吸収層を有する実質的に縦長の吸収性物品において、上記吸収性物品の両側部それぞれに、帯状の伸縮性シートが、それぞれ吸収性物品の長手方向に延びるように配設及び固定されており、上記各伸縮性シートは、その内側縁部が前記表面層及び前記吸収層に固定されているか又はその内側縁部が前記表面層を介して該表面層と共に前記吸収層に固定されており、上記各伸縮シートの収縮により、該各伸縮シート自体が肌当接面側に凸の凸曲面形状の立体形態をなし、該各伸縮シートの収縮により、吸収性物品の両側部それぞれの肌当接面に、肌当接面側に凸の凸曲面形状の立体形態が形成されていることを特徴とする吸収性物品を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸収性物品の実施形態を図面を参照しながら具体的に説明する。ここで、図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキンを示す斜視図、図2は図1のI−I線矢視断面図、図3は、図1の生理用ナプキン1の概略側面図である。
【0008】
本形態の生理用ナプキン1は、肌当接面を形成する液透過性の表面層としての表面シート11、液不透過性の裏面層としての裏面シート12、及び該表面シート11と該裏面シート12との間に介在された液保持性の吸収層としての吸収体13を有し、実質的に縦長の形状をしている。
詳述すると、表面シート11及び裏面シート12は、吸収体13よりも幅広かつ長く形成され、吸収体13の周縁部において接着されて吸収体13を挟持している。
また本形態の生理用ナプキン1では、長手方向の中央部1aの肌当接面に生理用ナプキン1の長手方向に沿う一対の溝14,14がエンボス加工により形成されており、該中央部1aが装着者の股間において装着者に沿う凸のアーチ形状に容易に変形して良好にフィットするようになっている。
この各構成については従来の公知技術と同じであり、上記表面シート11、裏面シート12及び吸収体13としては、従来より用いられているものを特に制限なく用いることができる。
【0009】
次いで、本実施形態の生理用ナプキン1の特徴部分について説明する。
本実施形態の生理用ナプキン1では、図1又は図2に示すように、帯状の伸縮性シート15が、上記生理用ナプキン1の長手方向に配設及び固定されており、該伸縮性シート15の収縮により、肌当接面側に凸の凸曲面形状の立体形態U,Uが形成されている。
【0010】
更に詳述すると、上記生理用ナプキン1の両側部それぞれに、伸縮性シート15,15が上記吸収層を構成する上記吸収体13よりも肌当接面側に配設されており、該伸縮性シート15,15の収縮により、該上記生理用ナプキン1の両側部に、それぞれ該生理用ナプキン1の長手方向に延び、幅方向の断面形状が肌当接面側に凸の円弧形状である凸曲面形状の立体形態U,Uが形成されている。
一対の上記伸縮性シート15,15は、それぞれ、生理用ナプキン1の長手方向に伸張された状態で、その両側縁を固定されている。
【0011】
上記伸縮性シート15,15は、それぞれ生理用ナプキン1の長手方向の両端部間に亘るように設けられている。この伸縮性シート15,15は、生理用ナプキン1の長手方向に30%伸張された状態で、表面シート11の非肌当接面側に固着されている。
【0012】
上記各伸縮性シート15は、上記生理用ナプキン1の長手方向及び幅方向、即ち、一対の伸縮性シート15,15の長手方向に沿う両側縁部15b,15c及び幅方向に沿う両端部15a,15aにおいて、それぞれ上記表面シート11の非肌当接面側の面に固定されている。
より具体的に説明すると、一対の伸縮性シート15,15における、生理用ナプキン1の側外方側に配置される外縁部15b,15bは吸収体13の側部外方において表面シート11の非肌当接面側の面に接着されて表面シート11及び裏面シート12とともに生理用ナプキン1の側縁部を形成しており、生理用ナプキン1の側内方側に配置される内縁部15c,15cは表面シート11の肌当接面側からの熱溶着により表面シート11及び吸収体13に接着されて熱溶着部16,16を形成している。一方、一対の伸縮性シート15,15における、幅方向に沿う各端部15a,15a,15a,15aは吸収体13の両端外方において表面シート11の非肌当接面側の面に接着されて表面シート11及び裏面シート12とともに生理用ナプキン1の端部を形成している。
【0013】
伸縮性シート15,15の両側縁15b,15c部分における収縮力は、伸縮性シート全体の収縮力よりも弱く、伸縮性シート11の両側縁間、即ち外縁部15b,内縁部15c間の中央部分のみが生理用ナプキン1の長手方向に積極的に収縮する。そして、この収縮により、生理用ナプキン1全体の形状が、図3に示すように、該生理用ナプキン1の長手方向に沿って肌当接面側に凹状に湾曲した形状となると共に、生理用ナプキン1の両側部に、それぞれ生理用ナプキン1の長手方向に延び、幅方向の断面形状が肌当接面側に凸の略円弧形状である上記立体形態U,Uが形成される。そして、上記立体形態U,Uは、経血等の体液の漏れを防止する防漏部として機能する。
【0014】
尚、伸縮性シート15の長手方向における固定(長手方向に沿う方向の固定)は、本実施形態におけるように、外縁部15bを全長に亘って接着すると共に内縁部15cを中央部1aにおいて接着することにより固定しても良いが、両側縁部15b,15cを、それぞれ全長に亘って接着しても良いし、それぞれ長手方向の中央部1aにおいてのみ接着しても良い。
また、伸縮性シート15の幅方向における固定(幅方向に沿う方向の固定)は、本実施形態におけるように、伸縮性シート15の両端部において接着することにより固定しても良いが、該両端部よりも中央部1aよりの位置において接着して固定しても良い。
【0015】
上記伸縮性シート15は、更に、本実施形態におけるように吸収体13にも接着されていることが好ましい。該伸縮性シート15が、表面シート11のみならず吸収体13にも接着されて固定されていると、生理用ナプキン1の湾曲した凹面形状及び上記防漏部U,Uの立体形態の保形性がより優れたものとなる。
【0016】
上記伸縮性シート15,15は、シート状であり、伸縮性を有するものであれば特に限定されない。例えば、シート材料としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等が挙げられる。
具体的には、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる材自体が伸縮性を有するフィルム、不織布、織物やこれらフィルムと不織布等の積層物等が挙げられる。
上記伸縮性フィルムは、表面シートよりも肌当接面側に使用する場合には、肌触りを良好にする為、及びヒートシール性を向上する為に、ポリエチレン/ポリエステル、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリプロピレンからなる熱可塑性不織布と積層し、積層材として用いることが好ましい。
この様な熱可塑性不織布は、不織布自身が伸縮性を有する様に、クリンプ加工した繊維を用いることが好ましく、伸び難いクリンプ加工していない不織布を積層する場合においては、積層する前にあらかじめ伸縮性フィルムのみを所定の伸張率まで伸張し、不織布材料とホットメルトやヒートシール等によって接着し、弾性フィルムがその他の層をギャザリングする様にして作っても良い。
【0017】
上記伸縮性シート15,15は、生理用ナプキンの長手方向に沿って(15b,15c)及び幅方向に沿って(15a,15a)接着固定した時、長手方向の肌当接面に凹面形状となす好ましい湾曲率及び幅方向の両側部に、好ましい高さの上記立体形態が得られるように、伸縮物性、伸縮率、固定箇所等を調整する。
【0018】
生理用ナプキンの長手方向における肌当接面側に凹状に湾曲する湾曲率としては、曲率半径r(図3参照)が50〜300mmであることが好ましく、100〜200mmであることがより好ましい。曲率半径rが50mm未満では、ナプキンが湾曲しすぎてフィット性が低下したりショーツにつけずらくなったりして好ましくなく、300mmを越えると、身体への好ましいフィット性が得られ難くなる。
本実施形態の生理用ナプキン1におけるように凸面形状の立体形態を吸収性物品の両サイドに設ける場合には、該立体形態の高さh(図2参照)は、1〜15mmが好ましく、2〜10mmがより好ましい。高さが1mm未満であるとサイド部分で高いフィット性が得られず、漏れ防止力として弱くなってしまい、15mmを越えると違和感となってしまったりして好ましくない。
【0019】
このように好ましい曲率半径r及び幅方向の凸面形状の高さhを得ることは、伸縮性材料の伸縮物性、伸縮率及び伸縮材料の幅方向の固定点15b,15cに関係する。
上記伸縮性シート15,15の伸縮物性は、生理用ナプキン1の長手方向において5〜50%伸張したときの応力が、50〜500gf/幅25mmが好ましく、100〜300gf/幅25mmがより好ましい。
応力が50fg/幅25mm未満では、伸縮力が弱すぎ、好ましい湾曲が得られなかったり、高さhが得られなかったりして好ましくなく、500gf/幅25mmを越えると、長手方向の湾曲の程度が過大となる等によりフィット性が低下するので好ましくない。。
また、伸縮材料の幅方向の固定15b,15cに関しては、好ましい凸面形状の高さhを得るためには、15bと15cとの幅W1(図2参照)は3〜30mmが好ましく5〜20mmがより好ましい。幅W1が3mm未満では、固定間隔が狭すぎ好ましい高さhが得られず凸面形状とならないため好ましくなく、W1が30mmを越えると、即ち防漏部分の幅が大となるため、吸収部分の幅W0が狭くなってしまい逆に好ましくない。
【0020】
本実施形態の生理用ナプキン1によると、生理用ナプキン1の左右両側縁部に、肌当接面側に凸の凸曲面形状の立体形態U,Uが形成されており、該立体形態U,Uが、横漏れ防止用の防漏部として機能するため、経血等の漏れ、特に横漏れを確実に防止することができる。
【0021】
また、上記立体形態の凸曲面形状が、生理用ナプキン1の長手方向に延びているため、体へのフィット性が良好であり、また、漏れ防止効果に、より優れたものとなっている。
また、伸縮性シート15,15の収縮により生理用ナプキン1が、その長手方向において、肌当接面側に凹状に湾曲した形状となっているため、長手方向においても、身体の曲線にフィットし前後の液漏れも効果的に防止できる。
【0022】
本実施形態の生理用ナプキン1は、防漏部U,Uが伸縮性シート15,15により形成されているので、当接部位の変形につれての他の部分の変形が生じ難く、装着者との間に隙間が生じ難いので、優れた防漏性が発揮される。
また、防漏部U,Uが凸曲面状且つ断面円弧状なので、肌触りが良好であり、装着者からの負荷は防漏部U,U内においてスムーズに増加減少した状態で加えられ、身体の圧力に応じて防漏部U,Uがスムーズに変形するので、変形による装着感の低下が回避され、また吸収体等への応力が分散するため良好な防漏性が発揮される。
【0023】
また、本実施形態の生理用ナプキン1は、防漏部U,Uが生理用ナプキン1の長手方向に伸縮性を有する伸縮性シート15,15により形成されており、防漏部U,Uが形成されるので、この点からも良好な肌触りが保持される。
また、伸縮性シート15,15が表面シートよりも非肌当接面側に配置され、肌当接面が表面シート11により構成されるので、伸縮性シート15,15の材料の種類の影響を受けることなく良好な肌触りを得ることができる。
【0024】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、各部材の具体的な形状や寸法等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更可能である。
例えば、図4に示すように、伸縮性シート15,15を表面シート11の肌当接面側に配置し、表面シート11の肌当接面側の面に接着して、伸縮性シート15,15と表面シート11の両方によって上記立体形態(防漏部U,U)を形成させることもできる。この生理用ナプキン1’によっても、上述の第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。また、この様な場合においては、表面シートを両側端の15bまで延出しなくとも、内側の固定部15cの外側まで幅があれば、同様の立体形状効果は得られる。
【0025】
また、一対の上記伸縮性シート15を、上記吸収体13の裏面側に配設及び固定することにより、生理用ナプキン1の両側部に、上記凸曲面形状の立体形態を形成させても良い。
【0026】
また、上記伸縮性シート15の表面シート11等への接着手法としては、上述の実施形態の如き熱溶着の他、超音波、接着剤等を用いることができる。
また、裏面層と吸収層とを一体に成形することもできる。また、伸縮性シートが肌当接面に配置される場合には、表面層と吸収層とを一体に成形することもできる。
また、吸収性物品1,1’の裏面シート12側にウイングを設け、これにより装着固定を容易なものとしても良い。また、伸縮性シート15,15を幅方向に延出させ、伸縮性を有するウイングを形成するのも好ましい。
また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンに限られず、失禁者用パッドや母乳パッド、外科用パッド等であっても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の吸収性物品によれば、優れた防漏性が発揮され、良好な装着感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキンを示す斜視図である。
【図2】図1のI−I線矢視断面図である。
【図3】図1の生理用ナプキン1の凹面形状を説明するための概略側面図である。
【図4】本発明の吸収性物品の実施形態の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,1’生理用ナプキン
11 表面シート(表面層)
12 裏面シート(裏面層)
13 吸収体(吸収層)
14 溝
15 伸縮性シート
16 熱溶着部
U 肌当接面側に凸の凸曲面形状の立体形態(防漏部)
Claims (5)
- 肌当接面を形成する液透過性の表面層、液不透過性の裏面層、及び該表面層と該裏面層との間に介在された液保持性の吸収層を有する実質的に縦長の吸収性物品において、
上記吸収性物品の両側部それぞれに、帯状の伸縮性シートが、それぞれ吸収性物品の長手方向に延びるように配設及び固定されており、上記各伸縮性シートは、その内側縁部が前記表面層及び前記吸収層に固定されているか又はその内側縁部が前記表面層を介して該表面層と共に前記吸収層に固定されており、上記各伸縮シートの収縮により、該各伸縮シート自体が肌当接面側に凸の凸曲面形状の立体形態をなし、該各伸縮シートの収縮により、吸収性物品の両側部それぞれの肌当接面に、肌当接面側に凸の凸曲面形状の立体形態が形成されていることを特徴とする吸収性物品。 - 上記各伸縮性シートが上記吸収層よりも肌当接面側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
- 上記伸縮性シートは、上記吸収性物品の長手方向に伸張された状態でその両側縁を固定されていることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
- 上記表面層は、表面シートにより形成され、上記伸縮性シートは、少なくとも該表面シートに固定されており、上記凸曲面形状は長手方向に延びていることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
- 上記吸収性物品は、該吸収性物品の長手方向において、肌当接面側に凹状に湾曲した形状を有することを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
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