JP3620460B2 - シリンダー錠装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピッキング対策において強化されたピンタンブラ方式のシリンダー錠装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
錠本体にロータを回転可能に収容し、錠本体に形成した半径方向のピン受孔とロータに形成した半径方向のピン受孔に従動ピンと駆動ピンを収容し、錠本体側のピン受孔に収容した圧縮コイルバネによって、従動ピンの先端部がロータに形成した軸方向の鍵孔に突出するように駆動ピンと従動ピンを移動付勢し、従動ピンの先端部に摺接する鍵山を有する所定の鍵を鍵孔に差込んだとき、従動ピンと駆動ピンの当接点が錠本体とロータの当接面に移動して、錠本体に対するロータの回転拘束が解除され、鍵によってロータを解錠位置へと回転させることができる錠装置は、ピンタンブラ方式のシリンダー錠装置として広く一般に使用されている。
【0003】
このような構造のシリンダー錠装置については近年、ピッキングという不正解錠の被害が続出している。このピッキング操作は、鉤状の第1のピッキング用具を鍵孔の前端部に引っ掛けてロータに一方向の回転モーメントを付与しながら、特殊形状の金属帯板や線材からなる第2のピッキング用具を鍵孔に挿入し、この第2のピッキング用具を鍵孔に沿って数回押し引きする過程において、従動ピンの先端部を引っ掻いて所要量押し上げ、従動ピンと駆動ピンの当接点をロータと錠本体の当接面に移動させるものである。
このようなピッキング対策として、これまでも種々の提案がなされているが、ピッキング防止機構が複雑であるために製作加工のコストが割高となってしまうなど、ピッキング防止機能とそれに要するコストとの釣合いの点において十分実用に耐えるものが少ないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、必要十分なピッキング防止機能を備えるとともに、ピッキング防止機構が簡略化されているため製作加工のコストが節減でき、実用性に優れたシリンダー錠装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のシリンダー錠装置の特徴とするところは、錠本体1にロータ2を回転可能に収容し、錠本体1に形成した半径方向のピン受孔3とロータ2に形成した半径方向のピン受孔4に従動ピン5と駆動ピン6を収容し、錠本体1側のピン受孔3に収容した圧縮コイルバネ7によって、従動ピン5の先端部がロータ2の軸方向の鍵孔8に突出するように駆動ピン6と従動ピン5を移動付勢し、従動ピン5の先端部に摺接する鍵山9aを有する正規の鍵9を鍵孔8に差込んだとき、従動ピン5と駆動ピン6の当接点が錠本体1とロータ2の当接面に移動して、錠本体1に対するロータ2の回転拘束が解除され、鍵9によってロータ2を解錠位置へと回転させることができるシリンダー錠装置において、
鍵孔8の内端部を直径方向に横断する防護用ピン受孔10をロータ2に形成し、鍵9の抜差し位置において防護用ピン受孔10に対面する半径方向の錠止孔11を錠本体1に形成し、防護用ピン受孔10に収容した防護用ピン12を圧縮コイルバネ13によって錠止孔11に向かって移動付勢し、防護用ピン12の周面にその中心軸線に対して母線が傾斜しているテーパー状のカム溝14を形成し、鍵9の先端部に該カム溝14に入り込む操作突起15を形成し、操作突起15にカム溝14の傾斜内壁面14aに摺接するカム斜面15aを形成し、鍵抜差し位置において防護用ピン12の先端部を錠止孔11に係合させたことである。
【0006】
【発明の作用】
錠本体1は、機器収納ボックスなどの扉に嵌め込み固着され、ロータの先端部には、ボックス本体側の受金部と係脱する止め金板が連結される。正規の鍵9をロータ2の鍵孔8に差込むと、キーコード部としての鍵山9aが従動ピン5の先端部に摺接し、鍵山9aの深さに対応して従動ピン5と駆動ピン6が圧縮コイルバネ7の付勢に抗して遠心方向に移動させられ、従動ピン5と駆動ピン6の当接点が錠本体1の内周面とロータ2の外周面との当接面に移動する。その結果、駆動ピン6によるロータ2の錠本体1に対する回転拘束が解除される。
【0007】
また、前記鍵9の差込み終端において、鍵9の操作突起15が防護用ピン12のカム溝14に入り込み、操作突起15のカム斜面15aがカム溝14の傾斜内壁面14aに摺接してこれを押すため、圧縮コイルバネ13の付勢に抗して防護用ピン12が後退移動し、防護用ピン12の先端部が錠本体1の錠止孔11から離脱して、防護用ピン12の全体がロータ2内に没入する。これによって、防護用ピン12によるロータ2の錠本体1に対する回転拘束も解除される。
かくして、鍵9によってロータ2を解錠位置へと回転させることができ、ロータ2の先端部の止め金板がボックス本体側の受金部から離脱して、ボックス本体に対する扉の錠止が解除される。
【0008】
不正解錠を企図する者が、第1の鉤状ピッキング用具(図示していない)で解錠方向に回転モーメントを与えた状態において、第2の帯板状ピッキング用具16を鍵孔8に挿入し、押し引き操作するピッキング用具13の先端部で従動ピン5の先端部を引っ掻き、従動ピン5と駆動ピン6の当接点をロータ2と錠本体1の当接面に移動させることに成功しても、ロータ2側に収容した防護用ピン12の先端部が依然として錠本体側の錠止孔11に係合しているため、ロータ2を解錠方向に回転させることができない。
不正解錠を企図する者は、鍵孔8の最も奥に配置された防護用ピン12の存在と、その駆動方法を知らないのであるから、ピッキングは結果的に不成功となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図示の実施例では、図1に示したように鍵孔8の長さ方向軸線が鉛直に配置された状態が、鍵抜差し位置に当たる。この状態では、錠本体側のピン受孔3とロータ側のピン受孔4と鍵孔8は同一直線上に整列しており、鍵9を抜き取ったときには、圧縮コイルバネ7に押された駆動ピン6は、その先端部が錠本体側のピン受孔3から突出してロータ側のピン受孔4に係合する。これによってロータ2は錠本体1に対して回転を拘束され、ロータ2の先端部に連結される止め金板19は、ボックス本体側の受金部(図示していない)に係合した施錠位置にある。
錠本体側のピン受孔3とロータ側のピン受孔4は、それぞれの軸方向に沿って並列に複数個形成され、従動ピン5と駆動ピン6よりなる複数個のピンタンブラセットがそれぞれに組み込まれる。
錠本体側のピン受孔3の外側端部には、バネ押え板17が嵌め込み固着されている。従動ピン5の先端部は主体部分よりも小径に形成され、ピン受孔4の内側端部には、従動ピン5の大径主体部分と小径先端部との間の段差肩面が当接する位置決め突起18が形成されている。
防護用ピン12の基端部にはバネ収容孔18が形成され、圧縮コイルバネ13の主体部分がこれに収容されている。
【0010】
【発明の効果】
本発明のシリンダー錠装置では、鍵孔8の内端部を横断する防護用ピン受孔10をロータ2に形成し、鍵9の抜差し位置において防護用ピン受孔10に対面する錠止孔11を錠本体1に形成し、防護用ピン12を圧縮コイルバネ13によって錠止孔11に向かって移動付勢し、防護用ピン12の周面にテーパー状のカム溝14を形成し、鍵9の先端部の操作突起15にカム溝14の傾斜内壁面14aに摺接するカム斜面15aを形成し、鍵抜差し位置において防護用ピン12の先端部を錠止孔11に係合させたので、操作突起15のない従来のピッキング用具16とその使用方法によっては、不正解錠はほとんど不可能であるか非常に困難であり、仮に成功するにしても相当の長い時間を要するため、盗犯者は犯行を第三者に発見される危険性を敢えて冒すことになり、実用に耐え得る防犯性能を有すものである。
【0011】
また。このピッキング防止機構は、ロータ2に形成した防護用ピン孔10と、錠本体1に形成した錠止孔11と、テーパー状カム溝14を有する防護用ピン12と、防護用ピン12を付勢する圧縮コイルバネ12とで構成された簡略構造のものであり、この製作加工と組み込みは簡単かつコスト安く行なえるから、防犯性の高いシリンダー錠装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るシリンダー錠装置の正面図であり、ロータが錠本体に対して回転拘束された施錠状態を示している。
【図2】図1のシリンダー錠装置の縦断面図である。
【図3】図1のシリンダー錠装置の縦断面図であり、正規の鍵を挿入してロータの回転拘束を解除した状態を示している。
【図4】図1のシリンダー錠装置に使用される鍵の主体部分の斜視図である。
【符号の説明】
1 錠本体
2 ロータ
3 錠本体側のピン受孔
4 ロータ側のピン受孔
5 従動ピン
6 駆動ピン
7 圧縮コイルバネ
8 鍵孔
9 正規の鍵
10 防護用ピン収容孔
11 錠止孔
12 防護用ピン
13 圧縮コイルバネ
14 防護用ピンのカム溝
15 鍵の操作突起
16 ピッキング用具

Claims (1)

  1. 錠本体1にロータ2を回転可能に収容し、錠本体1に形成した半径方向のピン受孔3と、ロータ2に形成した半径方向のピン受孔4に従動ピン5と駆動ピン6を収容し、錠本体1側のピン受孔3に収容した圧縮コイルバネ7によって、従動ピン5の先端部がロータ2の軸方向の鍵孔8に突出するように駆動ピン6と従動ピン5を移動付勢し、従動ピン5の先端部に摺接する鍵山9aを有する正規の鍵9を鍵孔8に差込んだとき、従動ピン5と駆動ピン6の当接点が錠本体1とロータ2の当接面に移動して、錠本体1に対するロータ2の回転拘束が解除され、鍵9によってロータ2を解錠位置へと回転させることができるシリンダー錠装置において、
    鍵孔8の内端部を直径方向に横断する防護用ピン受孔10をロータ2に形成し、鍵9の抜差し位置において防護用ピン受孔10に対面する半径方向の錠止孔11を錠本体1に形成し、防護用ピン受孔10に収容した防護用ピン12を圧縮コイルバネ13によって錠止孔11に向かって移動付勢し、防護用ピン12の周面にその中心軸線に対して母線が傾斜しているテーパー状のカム溝14を形成し、鍵9の先端部に該カム溝14に入り込む操作突起15を形成し、操作突起15にカム溝14の傾斜内壁面14aに摺接するカム斜面15aを形成し、鍵抜差し位置において防護用ピン12の先端部を錠止孔11に係合させたことを特徴とするシリンダー錠装置。
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