JP3619596B2 - 固形物の螺旋搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形物の螺旋搬送装置に関し、詳しくは、円筒体の内部に回転可能に配設した螺旋羽根を有する搬送部材で、錠剤やカプセル、顆粒、粉末等の固形物を損傷することなく効率よく搬送するための装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
一般に、粒状等の固形物の製造工程において、各工程間で固形物を搬送する場合、次工程の投入口が上方にあることが多く、固形物を水平方向や下方に搬送するだけでなく、上方への搬送を必要とする場合もある。
一方、医薬品の錠剤やカプセル等は、搬送中に加わる外力で表面が損傷し易く、割れたり欠けたりする場合もあり、また、異物等の混入を防ぐ意味から、これらの搬送には格別の配慮が必要である。
【0003】
【従来の技術】
従来、錠剤などの固形物を搬送する装置には、従来技術1としてバケットコンベヤーによるもの、従来技術2として傾斜型ベルトコンベヤーによるもの、従来技術3として、例えば特公平3−13153号公報に示す、ブラシコンベヤーによるもの等がある。
【0004】
上記従来技術1は、図20に示すように、上下方向に循環するコンベヤー(151)に多数のバケット(152…)を付設し、前工程(153)の排出口(154)から供給された固形物をベルトコンベヤー(155)を介して下方に位置するバケット(152)で受け、このバケット(152)を上方へ移送させて、収容した固形物を次工程(156)の投入口(157)へ排出するように構成したものである。
【0005】
上記従来技術2は、図21に示すように、供給部(161)と排出部(162)とを水平に配置し、中間部(163)を上方へ傾斜させたベルトコンベヤー(164)からなり、前工程(165)から下方に位置する供給部(161)へ供給された固形物をベルトコンベヤー(164)で上方へ搬送し、上方の排出部(162)から次工程(166)の投入口(167)へ排出するように構成したものである。
【0006】
上記従来技術3は、図22に示すように、傾斜状の円筒体(171)の下部(172)に投入口(173)を開口するとともに、上部(174)に排出口(175)を開口し、円筒体(171)の内面に螺旋状のコイル(176)を固設し、円筒体(171)の軸心(177)に沿って回転ブラシ(178)を回転可能に配設したものである。
前工程から投入口(173)へ投入された固形物は、回転ブラシ(178)で外方へ押されて円筒体(171)内面に沿って回転するが、円筒体(171)内面には螺旋状のコイル(176)が固設してあるので、固形物はこのコイル(176)に沿って上方へ搬送されることになり、上部の排出口(175)から次工程へと排出される。
この従来技術3では搬送経路が円筒体で形成されるので、搬送装置のインライン化およびクローズド化が可能である利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術1では、固形物をバケットへ投入したりバケットから排出したりするため、固形物がこの投入・排出時に衝撃を受けて表面を損傷し易く、場合によっては割れたり欠けたりする虞れもある。
また、このバケットコンベヤーは分解や組立を簡単に実施することができず、装置の保守整備が容易ではない。
さらに、この装置では組み立て状態での洗浄が極めて困難であり、水洗いも不可能であることから、搬送品目の切り替え時に相互汚染を生じる虞れがある。このため、数人が手作業により長時間かけて装置の隅々まで拭き取るなど、煩雑な清掃作業を必要とし、品目の切り替えが容易ではない問題がある。
しかも、固形物の搬送経路は外部に開放されており、搬送装置をインライン化やクローズド化することもできない。
【0008】
上記従来技術2においても、分解や組立が容易ではなく、組み立て状態での水洗いも不可能であり、上記従来技術1と同様の問題点がある。
【0009】
上記従来技術3では、各固形物が搬送中に回転ブラシで円筒体内面へ押し付けられて擦られるため固形物の表面を損傷する虞れがあり、医薬品の錠剤などでは容易に採用できない。
また、この従来技術3では、回転ブラシの内部に固形物が入り込んで、円筒体内面に固設したコイルに接触しなくなると、固形物は単に円筒体の軸心回りに回転するのみで、コイルに沿って上方へ搬送することができない。即ち、固形物は円筒体の内面の近傍に位置するもののみが搬送されることになり、搬送効率が低い問題がある。
【0010】
さらに、この従来技術3では、内面コイルとの摩擦により固形物が回転ブラシと共回りしない分だけ上方へ搬送されることから、効率よく上方へ搬送するには固形物との摩擦を大きくする必要があり、例えば、摩擦係数の低い糖衣錠においては、傾斜角度を20度以上に設定すると回転ブラシの回転数を上昇させても上方へ搬送することはできなかった。
しかも、搬送中での固形物の損傷を防止するには摩擦を低く抑えることが望ましいことから、この従来技術3では上方への搬送と固形物の損傷防止とが相反することとなり、従って、固形物を損傷させずに搬送しようとすると、円筒体の傾斜角度を大きくすることができない。
【0011】
本発明の課題は上記問題点を解消し、固形物を損傷することなく効率よく搬送でき、また、装置全体がクローズド化されているうえ、部品点数が極めて少なく装置の分解や組立を簡単に行うことができ、保守や整備の容易な搬送装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段を、実施の形態を示す図1〜図19に基づいて以下に説明する。
即ち本発明1は、固形物の螺旋搬送装置に関し、円筒体 ( 2 ) と、この円筒体 ( 2 ) の内部に回転可能に配設した搬送部材 ( 3 ) と、この搬送部材 ( 3 ) に連動連結した駆動部 ( 4 ) とを備え、この搬送部材 ( 3 ) を、円筒体 ( 2 ) の軸心 ( 5 ) に沿って配設した回転軸 (12) とその回転軸 (12) の周面から突出している螺旋羽根 (13) とから構成し、上記の円筒体 ( 2 ) の一端部 ( 6 ) に投入口 ( 7 ) を開口するとともに、他端部 ( 9 ) に排出口 (10) を開口し、上記の投入口 ( 7 ) から搬送方向下流側の円筒体 ( 2 ) に開口部 (29) を形成するとともに、この開口部 (29) をカバー (30) で覆って、投入口 ( 7 ) に連続する固形物流入空間 (28) を螺旋羽根 (13) の外周縁 (16) の外側に形成し、上記の投入口 ( 7 ) と固形物流入空間 (28) との間に、堰 (44) を外方から螺旋羽根 (13) の外周縁 (16) に向けて設け、この堰 (44) と螺旋羽根 (13) の外周縁 (16) との間を固形物 (18) が通過可能に構成したことを特徴とするものである。
【0013】
また本発明2は、固形物の螺旋搬送装置に関し、円筒体 ( 2 ) と、この円筒体 ( 2 ) の内部に回転可能に配設した搬送部材 ( 3 ) と、この搬送部材 ( 3 ) に連動連結した駆動部 ( 4 ) とを備え、この搬送部材 ( 3 ) を、円筒体 ( 2 ) の軸心 ( 5 ) に沿って配設した回転軸 (12) とその回転軸 (12) の周面から突出している螺旋羽根 (13) とから構成し、上記の円筒体 ( 2 ) の一端部 ( 6 ) に投入口 ( 7 ) を開口するとともに、他端部 ( 9 ) に排出口 (10) を開口し、上記の投入口 ( 7 ) から搬送方向下流側の円筒体 ( 2 ) に開口部 (29) を形成するとともに、この開口部 (29) をカバー (30) で覆って、投入口 ( 7 ) に連続する固形物流入空間 (28) を螺旋羽根 (13) の外周縁 (16) の外側に形成し、上記の投入口 ( 7 ) に連通連結した投入路 ( 8 ) に固形物検出器 (35) を設けるとともに、投入量制限具 (36) を設け、この投入口 ( 7 ) での固形物 (18) の滞留量が一定水準に達すると、上記固形物検出器 (35) の検出に基づき上記投入量制限具 (36) を作動させて、投入口 ( 7 ) への固形物 (18) の投入を制限若しくは停止可能に構成したことを特徴とするものである。
【0014】
ここで、円筒体はポリカーボネート等の合成樹脂やステンレス鋼等の金属、或いはガラスなど、材質は特に限定されないが、内面の仕上状態は搬送性能とともに固形物の損傷防止に大きく影響するので、固形物の損傷を防止するためには内面を滑らかに形成する必要がある。
【0015】
この円筒体を合成樹脂で形成した場合には、材質に緩衝性があるため固形物を損傷する虞れが少ないうえ、表面の摩擦係数が低く固形物が滑り易いため好ましい。特に、円筒体を透明材料で形成した場合は、内部を通過する固形物を外部から容易に確認することができるので好ましい。
【0016】
また、円筒体を金属材料で形成した場合は、円筒体の内面の真円度や表面粗度を高精度に加工できるので、螺旋羽根の外周縁と円筒体内面との間へ粉末などが侵入して回転抵抗を高めたり、顆粒状の固形物が侵入して破損したりする惧れを防止でき、特に顆粒や粉体の搬送に好適である。
【0017】
上記搬送部材は、回転軸と螺旋羽根とは別体のものを互いに固定して構成してもよいが、同一材料で一体に形成して装置構造を簡単にすることができ、この場合、分解や組立などのメンテナンスが容易になるので好ましい。
【0018】
また、搬送部材の螺旋羽根は、固形物が損傷されることなく滑らかに移動できるものであればよく、超高密度ポリエチレン等の合成樹脂、ステンレス鋼などの金属などで形成することができる。但し、この螺旋羽根も耐衝撃性や耐摩耗性に優れた材質が好ましく、合成樹脂が好適であり、特に、超高密度ポリエチレン等の場合は自己潤滑性や加工性に優れているので一層好ましい。
なお、回転軸と螺旋羽根とを合成樹脂で一体に形成する場合であっても、回転軸に金属芯を埋設するなどして回転中の撓みを少なくすることが望ましい。
【0019】
上記円筒体の軸心と水平面との交差角度は、固形物が滑落し易いほど小さくする必要があるが、この角度を小さくし過ぎると所定距離だけ上方へ搬送するために水平方向に長い搬送距離を必要とし、搬送装置が大形となることから、30度以上に設定するのが好ましく、45度程度に設定すると装置を小形にしながらも広範囲の固形物に適用することができる。
【0020】
また、螺旋羽根の外周縁におけるリード角は、小さくすると螺旋羽根のピッチ間隔が狭くなって固形物を収容できる搬送空間が小さくなるので、少なくとも固形物の外形よりも大きくして固形物が詰まらないようにピッチ間隔を大きく形成する必要がある。一方、このリード角を大きくすると、固形物が滑落し易く、効率よく搬送できなくなるので、搬送効率が低下しない範囲で適切なリード角に設定する必要がある。
なおこのリード角は、羽根の全長に亘って必ずしも一定にする必要はない。
【0021】
上記搬送部材の回転速度を上げると搬送能力も大きくなるが、回転速度を上げすぎると固形物が搬送部材と共回りし易く搬送効率が低下するうえ、固形物に加わる加速度が大きくなって損傷を受ける虞れが強くなる。
従って、この搬送部材の回転速度は、500r.p.m.以下の範囲で、搬送装置の前後の工程バランスに合わせ必要な搬送能力に応じて設定されるが、搬送する固形物を損傷せぬよう低い回転速度であるほど良く、好ましくは200r.p.m.以下に設定するのが良い。
なお、この搬送部材の回転速度は一定である必要はなく、また回転を断続させることも可能である。
【0022】
上記円筒体の内径や搬送部材の外径は、投入口から排出口に亘って必ずしも一様にする必要はない。例えば下方ほど拡径や縮径する構成であってもよく、この場合には、径の大きい方へ搬送部材を移動させると螺旋羽根の外周縁と円筒体内面との間の間隙が大きくなり、円筒体から搬送部材を容易に抜き出すことができる。
ただし、この円筒体の内径は、上記回転軸の外径の2倍以上の寸法に形成するとよく、これにより、搬送部材と円筒体内面との間の搬送空間を大きくして多量の固形物が輸送可能となるうえ、螺旋羽根間に固形物のブリッジを形成する虞れがなくなり、円滑に固形物を搬送することができる。
【0023】
上記の円筒体の一端寄り部に洗浄用導入口を、他端寄り部に洗浄用排出口をそれぞれ設け、この洗浄用導入口に洗浄液供給源を接続して円筒体内へ洗浄液を供給可能に構成した場合には、洗浄用導入口から洗浄液を円筒体の内部へ導入することにより、装置を組み立てた状態での、いわゆるインライン洗浄や乾燥を容易に行うことができる。従って、特に医薬品の製造工程においては、相互汚染を生じることなく、簡単かつ確実に製造品目を変更できるという大きな利点がある。
【0024】
この場合、円筒体の端部に蓋部を固定し、この蓋部に形成した挿通穴の内面とこの挿通穴に挿通した回転軸の周面との間に加圧気体を供給すると、この加圧気体により回転軸の周囲を確実にシールして、この部分からの洗浄液の漏出を容易に防止することができる。
【0025】
また、円筒体と搬送部材との間に形成される搬送空間に圧力気体供給路を連通連結した場合は、洗浄時にこの圧力気体供給路から加圧気体を供給して多数の気泡を発生させ、このバブリングにより洗浄効果を高めることができる。
【0026】
上記の円筒体の軸心と水平面との交差角度を変更可能に構成し、回転軸を150 r.p.m. 以上の速度で正逆転可能に駆動部に連動連結した場合には、円筒体の姿勢を変更するとともに螺旋羽根を回転させることにより洗浄液を十分に撹拌して、装置の隅々まで効率よく洗浄することができる。また、乾燥時においても、螺旋羽根を回転させることにより洗浄液の液滴を遠心力ではね飛ばし、螺旋羽根の表面に沿って大量に隈無く流れる乾燥空気により、素早く乾燥することができる。
【0027】
投入口を形成した一端部のうち投入口よりも端部側で搬送部材の周囲に同行回転する閉塞部を形成した場合には、この閉塞部により端部側や軸受の周囲へ固形物が流入したり滞留したりすることが防止されるため、異物の侵入による軸受の故障を防止でき、しかも、投入口から投入された固形物を順次排出口へ確実に搬送することができる。
なお、上記閉塞部は、螺旋羽根の螺旋ピッチ間隔を無くしたり、回転軸の外径を円筒体の内径と同程度に大きくしたりして搬送部材と一体に形成してもよいが、搬送部材に板状部材を固定して構成してもよく、この場合には、板状の閉塞部に小形の透孔を形成することにより、送風や洗浄液を簡単に通過させることができる。
【0028】
螺旋羽根の外周縁と円筒体の内面との間に搬送する固形物の外形よりも小さな寸法の間隙を形成して、円筒体と螺旋羽根との間の摩滅を防止可能に構成した場合には、円筒体からの搬送部材の取り外しが容易なうえ、固形物を螺旋羽根で確実に搬送しながら、運転中での円筒体と螺旋羽根との擦れによる異物の発生を抑制でき、円筒体や螺旋羽根の摩滅に よる固形物への異物混入を防止できる。
また、搬送する固形物によっては、搬送中に固形物同士の摩擦等により粉塵を発生する虞があるが、仮に固形物から粉塵が発生しても、この粉塵を上記間隙から落下させて搬送する固形物から簡単に排除することができ、しかも、上記間隙は搬送する固形物の外形よりも小さいのでこの間隙から固形物が下方へ滑落することがなく、固形物を効率よく搬送できる。
なお、上記螺旋羽根の外周縁と円筒体内面との間の間隙は、両者が擦れ合って摩滅を発生することがなければよく、従って螺旋羽根の外周縁を部分的に円筒体内面に接当させてもよいが、全長に亘って接触させないことが望ましい。
【0029】
固形物が顆粒や粉末など細かい粒子を含む場合であると、これらの細かい粒子が蓋部に形成した挿通穴とこれに挿通した回転軸の周面との間に侵入する。そこで、円筒体の端部に蓋部を分離可能に固定し、この蓋部に挿通穴を形成して回転軸をこの挿通穴に挿通するとともに、この挿通した回転軸の端部を蓋部に軸受を介して回転可能に枢支し、この挿通穴の中間部に多孔質部材を介して真空吸引路を連通連結した場合には、蓋部に形成した挿通穴と回転軸との間の間隙に侵入した細かい粒子が多孔質部材に堆積してこの間隙に充満する結果、蓋部に形成した挿通穴とこれに挿通した回転軸との間を良好にシールすることができ、軸受等への悪影響を効果的に防止することができる。
【0030】
投入口の上方に投入空間を設けるとともに、この投入空間の下寄り部に投入路の端部を開口した場合には、投入路から投入される固形物は、投入空間内で投入路の開口端部よりも上方へは流入し難く、従って、この投入空間の上寄り部は通常あいたままとなり、投入口の上方に固形物が過剰に滞留するということがない。この結果、投入口での固形物に上方からの過剰な押圧力が加わることがなく、投入口における固形物の破損を防止することができる。
【0031】
投入口と固形物流入空間との間と、固形物流入空間の搬送方向下流側端部との少なくともいずれか一方の近傍部において、円筒体と搬送部材との間に形成される搬送空間の螺旋羽根1ピッチ当たりの容積を搬送方向下流側ほど増大させた場合には、過剰な投入などにより投入口から固形物流入空間へ流入しようとする固形物や、固形物流入空間へ流入した固形物を、下流側へ搬送するにつれてより容積の増大する円筒体と搬送部材との間の搬送空間内へ円滑に移動させることができる。この結果、固形物に加わる応力を削減して破損を防ぐことができ、また、固形物流入空間を小さく形成しても常時空けておくことができるので、投入口からの過剰な固形物を円滑に流入させることができる。
【0032】
上記の固形物は螺旋羽根と共回りする場合があり、この共回りする固形物が螺旋羽根の外周縁よりも外側にはみ出していると、固形物流入空間の搬送方向下流側端部に突き当たり、螺旋羽根との間に挟まれ破損する虞れがある。そこで、この固形物流入空間の搬送方向下流側端部に、円筒体内方に向けて気体を噴出する噴出ノズルを設けた場合には、この噴出ノズルから噴出される気体により上記のはみ出た固形物が下流側端部と螺旋羽根との間から吹き飛ばされて排除されるので、好ましい。
【0033】
上記の固形物流入空間を覆うカバーを、搬送方向の下流側ほど螺旋羽根の外周縁に近接させ、このカバーの先端縁を円筒体に滑らかに接続した場合には、共回りする固形物が螺旋羽根の外周縁から外側の固形物流入空間内へはみ出しても、このはみ出た固形物は搬送されるにしたがって上記カバーにより円筒体の内方へ押し込められるので、固形物流入空間の搬送方向下流側端部では、固形物が螺旋羽根の外周縁から固形物流入空間内へはみ出すことがない。
【0034】
上記の固形物流入空間の開口部を、搬送方向下流側ほど幅を狭く形成した場合には、搬 送方向下流側端部での固形物流入空間の幅が最も狭くなるため、この下流側端部と螺旋羽根との間から噴出ノズルやカバーにより固形物を簡単に排除することができる。またこの場合、噴出ノズルから噴出される気体で固形物を排除する範囲が狭く、従って、噴出ノズルの設置個数を少なくすることができる。
【0035】
上記搬送可能な固形物は、医薬品の錠剤やカプセル、顆粒、粉末をはじめ、菓子などの食品やビーズなどの装飾品など、適度のかたさを有するものであればよく、その形状も、球形、カプセル、円柱形、直方体、ドーナツ形、その他の特殊形状など、あらゆる形状のものを適用することができる。
また錠剤については、衝撃により破損し易い糖衣錠はもとより、これ以外の、素錠、裸錠、フィルム錠など、あらゆる錠剤の搬送に適用することができる。
【0036】
【作用】
◎本発明1の作用
(1) 駆動部により搬送部材を回転させると、投入口へ投入された固形物は螺旋羽根で押され、搬送されて排出口から排出される。
【0037】
(2) 円筒体は直管状であり、円筒体内部には回転軸と螺旋羽根とからなる搬送部材が配設されるだけであることから、搬送部材を円筒体の端部から容易に抜き取って取り外すだけで、装置全体が簡単に分解される。
【0038】
(3) 固形物が投入口から多量に投入されて筒体内に充満すると、螺旋羽根の外側にはみ出た固形物が投入口の側縁部に突き当たり、螺旋羽根との間に挟まって破損される虞れがあるが、投入口の搬送方向下流側で投入口に連続する固形物流入空間を螺旋羽根の外周縁の外側に形成してあるので、投入口の側縁部に突き当たった固形物がこの固形物流入空間へ押し出され、側縁部と螺旋羽根との間に挟まる虞れがない。
【0039】
(4) 投入口と固形物流入空間との間に、堰を外方から螺旋羽根の外周縁に向けて設け、この堰と螺旋羽根の外周縁との間を固形物が通過可能に構成してあるので、投入口へ投入される固形物が固形物流入空間内へ流入せずに堰によって円筒体内へ円滑に案内され、固形物流入空間は通常あけられている。
一方、投入口への固形物の投入量が多量となって、投入口での固形物に過剰の応力が加わろうとすると、一部の固形物が堰を越えて投入口から固形物流入空間内へ流れ込み、固形物に加わる応力が削減される。
【0040】
(5) このとき、投入口と固形物流入空間との間に設けた堰の、少なくとも先端を弾性変形可能に構成した場合には、固形物が堰を越えて投入口から固形物流入空間内へ流れ込む際に、堰の弾性変形により固形物に加わる応力が削減される。
【0041】
◎本発明2の作用
上記の (1) から (3) の作用に加えて、次のように作用する。
(6) 投入路に固形物検出器と投入量制限具とを設け、投入口での固形物の滞留量が一定水準に達すると、上記固形物検出器の検出に基づき上記投入量制限具を作動させて、固形物の投入を制限したり停止可能に構成してあるので、投入口の上方に固形物が過剰に滞留することがなく、投入口での固形物に上方から過剰な押圧力が加わることがない。
【0042】
(7) 上記の本発明1または本発明2において、上記円筒体を、軸心と水平面との交差角度が75度以下となるように傾斜させて配置し、この円筒体の下部に上記の投入口を開口するとともに、上部に上記の排出口を開口し、螺旋羽根の外周縁でのリード角を3度〜25度に設定し、この螺旋羽根の外周縁と上記円筒体の内面との間に搬送する固形物の外形 よりも小さい寸法の間隙を形成して、円筒体と螺旋羽根との間の摩滅を防止可能に構成した場合には、投入口から投入された固形物は、下方へ滑落したり、投入口の側縁部や開口縁と螺旋羽根との間に挟まれたりすることなく、搬送部材の回転により確実に且つ円滑に上方へ搬送される。
【0043】
(8) このとき、搬送部材の回転速度を500 r.p.m. 以下にすると、螺旋羽根は固形物を押し進めるだけであるので、固形物は強い押圧力を受けることなく搬送され、搬送中に表面が傷ついたり、破損したりする虞れがない。
【0044】
(9) また、上記の固形物流入空間の開口部のうち、搬送部材の回転方向下手側の開口縁を、回転方向に対して45度以上の角度で交差させると、螺旋羽根とともに回転して固形物流入空間の開口縁に突き当たった固形物は、この開口縁と螺旋羽根との間から挟まれることなく排除される。なお、上記の交差角度は、螺旋羽根の外周縁でのリード角や固形物の挟まり易さ等に応じて異ならせる必要があるが、70度以上に設定するのがより好ましく、90度、即ち直交状態に設定するのが最も好ましい。
【0045】
【実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1から図7は本発明の実施の形態1を示し、図1は錠剤の螺旋搬送装置の一部破断側面図、図2は搬送部材上端の連結機構を説明する分解斜視図、図3は図1のA−A線矢視断面図、図4は図1のB部における要部拡大図、図5は錠剤投入口近傍の平面図、図6は図1のC部における要部拡大図、図7は洗浄時における円筒体の両端部近傍での縦断側面図である。
【0046】
この錠剤の螺旋搬送装置(1)は、錠剤の製造工程において、例えば打錠機から製品移送容器や、移送容器からコーティング器、これらの装置や容器から検査器や印刷器など、各種機器間の搬送、工程間の搬送、或いは工程内での搬送等で、錠剤を上方へ搬送する場合に用いられ、図1に示すように、内面(17)の平滑な直管状の円筒体(2)と、この円筒体(2)の内部に回転可能に配設した搬送部材(3)と、円筒体(2)の上端に固定して搬送部材(3)に連動連結した駆動部である電動モータ(4)とからなる。
【0047】
上記円筒体(2)は透明のポリカーボネート製で内径が105mmあり、軸心(5)と水平面との交差角度、即ち円筒体(2)の傾斜角度(a)を変更可能に図外の支持装置に支持されている。この実施の形態1では通常の運転中は上記傾斜角度(a)を45度となるように傾斜させてある。この円筒体(2)は、下部(6)の上面に錠剤投入口(7)を開口して前工程から投入路(8)を介して錠剤を供給可能に構成してあり、上部(9)の下面に錠剤排出口(10)を開口して次工程への排出路(11)へ錠剤を排出可能に構成してある。
【0048】
上記円筒体(2)は、錠剤投入口(7)の上方で分割可能に構成してあり、フランジ固定部(37)により下部円筒体(2d)と上部円筒体(2u)とに分解可能に構成してある。また図1に示すように、この円筒体(2)の下端(2a)には蓋部(51)をフランジ固定部(37)で分離可能に固定してあり、この蓋部(51)に軸受(15)を介して上記回転軸(12)の下端部を回転可能に枢支してある。一方、円筒体(2)の上端(2b)も上記下端(2a)と同様に蓋部を分離可能に固定してこの蓋部に軸受を介して上記回転軸(12)の上端部を回転可能に枢支してあり、さらにこの上端(2b)側の蓋部にギヤケース(25)を介して上記電動モータ(4)を取り付けてある。なお、符号(56)はオイルシールを示す。
【0049】
上記円筒体(2)の下端(2a)の蓋部(51)には端面に洗浄用導入口(20)とエアシール用加圧空気供給口(57)とを設けてあり、このエアシール用加圧空気供給口(57)にシールエア供給路(53)を接続し、洗浄用導入口(20)に送液ポンプ(26)を介して洗浄液タンク(23)を接続するとともに排気管(39)を介して集塵装置(40)を接続してある。一方、円筒体(2)の上端(2b)の上面には洗浄用排出口(22)を開口し、この洗浄用排出口(22)に給気管(38)を介して送風機(21)を接続してある。
【0050】
なお、上記円筒体(2)の傾斜角度(a)は、錠剤の滑り易さや搬送効率、搬送高さ、設置スペース等により75度以下の範囲において適宜増減される。また、この実施の形態1では錠剤投入口(7)や錠剤排出口(10)を密封して前・後工程間での錠剤搬送をインライン化するだけでなく、簡単にクローズド化してあるが、搬送する固形物の種類や用途等に応じて、大気開放して用いてもよい。
【0051】
さらに、この実施の形態1では内径105mmの円筒体を用いたが、本発明の円筒体の内径は他の寸法でもよいことはいうまでもない。例えば円筒体の内径を60〜300mmの範囲で設定すると、搬送量を確保しながらも市販の合成樹脂管を採用でき、安価に実施することができる。
【0052】
上記搬送部材(3)は、円筒体(2)の軸心(5)に沿って配設した外径30mmの回転軸(12)と、この回転軸(12)の周面から螺旋状に突設している螺旋羽根(13)とからなる。そしてこの回転軸(12)と螺旋羽根(13)は、超高密度ポリエチレン樹脂で一体に形成されており、この螺旋羽根(13)の外周縁(16)を上記円筒体(2)の内面(17)に沿わせてある。
【0053】
図3及び図7に示すように、上記回転軸(12)の内部には強度を高めるためステンレス鋼製の芯材(14)を円筒体(2)の軸心(5)に沿って埋設してあり、この芯材(14)の内部に給気路(58)を形成し、この給気路(58)に連通させた複数個の噴出口(59…)を適当間隔をおいて回転軸(12)の周面に開口してある。また、図7に示すように、この回転軸(5)の芯材(14)の下端には圧力空気供給路(54)を接続して上記給気路(58)に連通連結してあり、上記噴出口(59…)を介して加圧空気を円筒体(2)と搬送部材(3)との間の搬送空間(S)内に噴出可能に構成してある。
【0054】
上記回転軸(12)の上端は、図2に示す連結機構により前記電動モータ(4)を連動連結してある。即ち、回転軸(12)の上端に溝状の係合部(45)を形成し、ギヤケース(25)からの出力軸(4a)に形成した突起(4b)をこの係合部(45)に係止させて連動連結してある。従って、上記フランジ固定部(37)による固定を解除して円筒体(2)下端の蓋部(51)を取り外すことにより、搬送部材(3)を円筒体(2)の下方から挿抜して簡単に分解することができる。
【0055】
上記螺旋羽根(13)は、螺旋ピッチを30〜60mm程度に設定するとよいが、この実施の形態1では45mmに設定してあり、従って、螺旋羽根(13)の外周縁(16)におけるリード角(b)は8度程度に設定されている。このリード角(b)は、円筒体(2)の傾斜角度(a)や回転速度、搬送部材(3)の材質、搬送する固形物の種類等に応じて、搬送効率を高く維持するように、3度〜25度の範囲で適切な角度に設定される。
【0056】
上記螺旋羽根(3)の下端部では、図1及び図7に示すように、回転軸(12)の外径を螺旋羽根(3)の外径とほぼ等しくして、搬送部材(3)と円筒体(2)との間の空間を閉塞する閉塞部(47)を設けてある。これにより、投入口(7)から投入された錠剤は螺旋羽根(13)に沿って下方へ流れ込むようなことがなく、下部(6)に滞留することなく円滑に排出口(10)へ搬送される。
【0057】
図3及び図4に示すように、上記螺旋羽根(13)の外周縁(16)と上記円筒体(2)の内面(17)との間には、搬送する錠剤(18)の外形よりも小さい間隙(19)を形成してあり、搬送部材(3)は円筒体(2)の内面(17)を擦ることなく円滑に回転できるうえ、錠剤(18)がこの間隙(19)に入り込むことがない。
【0058】
本発明の装置では固形物との摩擦を少なくしてあるので、固形物から粉末が生じる、いわゆる粉立ちは発生し難いが、錠剤(18)が素錠である場合など、搬送する固形物の種類や搬送条件によっては、固形物に付着していた粉体が離れたり、固形物から粉末が生じたりして、粉立ちを生じる場合がある。
この実施の形態1では、螺旋羽根(13)の外周縁(16)と円筒体(2)の内面(17)との間に間隙(19)を形成してあるので、搬送中に錠剤(18)から分離した粉体は、上記間隙(19)から下方へ落下し易い。
【0059】
さらに、上記粉体や、その他の粉塵を一層効果的に錠剤(18)から分離するために、錠剤(18)の搬送中に上記送風機(21)を作動させて円筒体(2)内へ空気を送り込み、内部に発生した粉塵等をこの空気流にのせて洗浄用導入口(20)から排出し排気管(39)を経て集塵装置(40)に集塵するようにしてある。なお、前記給気路(58)及び噴出孔(59)を介して圧力空気供給路(54)からの加圧空気を回転軸(12)の周面から噴出する場合は、上記送風機(21)を省略してもよい。
【0060】
上記電動モータ(4)は、ギヤケース(25)と前記連結機構を介して搬送部材(3)の回転軸(12)に連動連結してあり、この搬送部材(3)を200r.p.m.で回転させる。
この回転により、図3に示すように、螺旋羽根(13)とともに錠剤(18)も回転しようとするが、円筒体(2)内面(17)との摩擦抵抗と重力の作用とにより、回転軸(12)の上側を越えることができず、この結果、錠剤(18)は螺旋羽根(13)の上面を滑りながら上方へ搬送される。
【0061】
このとき、回転速度が高いと錠剤(18)が螺旋羽根(13)とともに回転軸(12)の回りを回転してしまい、上方へ搬送することができない。従って、上記電動モータ(4)による回転速度は、螺旋羽根(13)に対する錠剤(18)の滑り易さや円筒体(2)の傾斜角度(a)、螺旋羽根(13)のリード角(b)などに応じて適切な値に設定される。但し、回転速度を高くし過ぎると錠剤(18)に大きな外力が加わることから、搬送部材(3)の回転速度が500r.p.m.以下、好ましくは200r.p.m.以下となるように設定される。
【0062】
図1に示すように、前記錠剤投入口(7)の上方には錠剤投入空間(43)を設けてあり、この錠剤投入空間(43)の下寄り部に前記投入路(8)の端部(8a)を開口してある。
上記錠剤投入口(7)の搬送方向下流側には、円筒体(2)に開口部(29)を形成してあり、この開口部(29)をカバー(30)で覆って、錠剤投入口(7)に連続する固形物流入空間(28)を螺旋羽根(13)の外周縁(16)の上側に形成してある。
【0063】
上記錠剤投入口(7)と固形物流入空間(28)との間には、弾性変形可能な合成樹脂製板からなる堰(44)を、上方から螺旋羽根(13)の外周縁(16)に向けて設けてあり、この堰(44)の下端と螺旋羽根(13)の外周縁(16)との間は、錠剤(18)の外形よりも大きくあけてある。
なお、この実施の形態1ではバネ弾性を有する合成樹脂製板で堰(44)を構成したが、ゴム弾性を有するゴム製板や、弾性変形しない金属プレートなどで堰を構成してもよい。
【0064】
上記投入路(8)から錠剤投入空間(43)へ流入した錠剤(18)は、投入路(8)の端部(8a)よりも上方へは流入し難いので、投入口(7)の上方には錠剤(18)が過剰に滞留することがない。
【0065】
また、錠剤投入空間(43)へ投入された錠剤(18)は、堰(44)により固形物流入空間(28)へは流れ込まず、従って、この固形物流入空間(28)は通常空いており、錠剤(18)で満たされることはない。
そして、錠剤投入口(7)へ錠剤(18)が多量に投入され、錠剤(18)が円筒体(2)内に充満して螺旋羽根(13)の外側にはみ出ると、図3に示すように、このはみ出た錠剤(18)は錠剤投入口(7)の側縁部(7a)に突き当たり、堰(44)の弾性に抗して錠剤(18)が固形物流入空間(28)へと円滑に押し出される。
【0066】
上記固形物流入空間(28)を覆うカバー(30)は、搬送方向の下流側ほど螺旋羽根(13)の外周縁(16)に近接させ、カバーの先端縁(31)を円筒体(2)に滑らかに接続してある。また、この固形物流入空間(28)の開口部(29)は、図5に示すように、搬送方向下流側ほど幅を狭く形成するとともに、搬送部材(3)の回転方向下手側の開口縁(33)を、回転方向に対して約75度の角度で交差させてある。
【0067】
錠剤(18)は搬送中に螺旋羽根(13)と共回りして遠心力等により固形物流入空間(28)へ流入することがあるが、この固形物流入空間(28)内に流入した錠剤(18)は、開口縁(33)に突き当たって螺旋羽根(13)の上面側又は下面側へ押しやられ、この開口縁(33)と螺旋羽根(13)とで錠剤(18)を挟む虞れがない。
なお、上記交差角度は、仮想線で示すように90度、即ち直交状態に設定するのが最も好ましい。
【0068】
また、この固形物流入空間(28)の下流側では、図6に示すように、固形物流入空間(28)内に流入した錠剤(18)がカバー(30)で上方から円筒体(2)の内方へ押し込められるので、固形物流入空間(28)の下流側端部(32)では開口縁(33)に突き当たることがなく、挟まれる虞れがない。
【0069】
上記錠剤の螺旋搬送装置(1)は、円筒体(2)の上端から搬送部材(3)を抜き出すだけで簡単に分解することができ、保守整備が容易であるうえ、分解洗浄も可能である。しかも、搬送する錠剤の種類を切り替える際に、分解や再組立の不要な、いわゆるインライン洗浄を行うことも可能である。
【0070】
即ち、錠剤(18)の搬送を終了すると、各開閉弁(24)を操作して洗浄液タンク(23)を洗浄用導入口(20)に連通させる。そして、洗浄液を送液ポンプ(26)で供給して円筒体(2)内に満たし、洗浄用排出口(22)から洗浄液を排出する。円筒体(2)内は回転軸(12)と螺旋羽根(13)からなる搬送部材(3)を配設しているだけであり、上記洗浄液により簡単に洗浄される。
【0071】
このとき、円筒体(2)は錠剤投入口(7)の形状が比較的複雑であるため、洗浄液を供給する前に、フランジ固定部(37)の固定を解除して下部円筒体(2d)を取り外し、図7に示すように、同じ長さ寸法で直管状の交換用円筒体(2c)を組付けておくとよい。これにより円筒体(2)内面(17)が均一形状となり、搬送部材(3)の隅々まで良好に洗浄できるとともに、取り外した下部円筒体(2d)も、長さが短く内面の隅々まで手が届き易いので簡単に洗浄することができる。
【0072】
図7に示すように、回転軸(12)の端部は、前記蓋部(51)に形成した挿通穴(52)へ挿通してあり、この挿通穴(52)の内面と回転軸(12)の周面との間にエアシール用の加圧空気が前記シールエア供給路(53)からエアシール用加圧空気供給口(57)を介して供給される。このため、上記円筒体(2)内に供給された洗浄液は挿通穴(52)から漏出する虞れがない。
【0073】
上記洗浄時に圧力空気供給路(54)からの加圧空気を噴出口(59)から噴出させて多数の気泡を発生させると、そのバブリング効果により円筒体(2)の内面(17)や搬送部材(3)を良好に洗浄することができる。
【0074】
また、この洗浄時に円筒体(2)の軸心(5)と水平面との交差角度(a)を変更して、例えば、円筒体(2)の一端部(6)を真下にする垂直姿勢から水平姿勢や、上記一端部(6)を真上にする垂直姿勢にまで変更することにより、円筒体(2)の内面(17)や搬送部材(3)の隅々まで良好に洗浄することができる。
【0075】
さらに、上記洗浄時に螺旋羽根(13)を150r.p.m.以上の高速で正逆回転させることにより、円筒体(2)内で洗浄液を撹拌して装置を効率よく洗浄することができる。なお、この洗浄時の螺旋羽根(13)の回転速度は250r.p.m.以上の高速に設定すると、一層効率良く装置を洗浄することができる。
【0076】
洗浄が終了すると、次に各開閉弁(24)を切り替え、圧力空気供給路(54)から噴出口(59)を介して乾燥空気を円筒体(2)内に導入し、円筒体(2)の内面(17)と搬送部材(3)とを乾燥する。乾燥空気は、螺旋羽根(13)の外周縁(16)と円筒体(2)内面(17)との間へ侵入し、洗浄液を残すことなく円筒体(2)内を完全に乾燥させることができる。なお、この乾燥処理においても、螺旋羽根(13)を回転させることにより遠心力で洗浄液を液切りし、乾燥空気中を高速で回転させて螺旋羽根(13)の表面上に大量の乾燥空気を隈無く流して素早く乾燥させることができる。
【0077】
この実施の形態1では円筒体(2)の下部(6)から洗浄液等を導入したが、上部(9)から導入してもよく、また、円筒体(2)に設けた洗浄用導入口(20)と洗浄用排出口(22)とを用いて洗浄液を流通させたが、錠剤投入口(7)と錠剤排出口(10)とを利用して、洗浄液や乾燥用空気を円筒体(2)内に流通させてもよい。
【0078】
さらに、上記排気管と送風機は、排気管を円筒体の上部に接続し、送風機を円筒体の下部に接続してもよいが、この実施の形態1のように構成して送風機からの送風を固形物の搬送方向と逆方向に通過させると、一層効果的に固形物から粉体を分離して円筒体の外部へ排出することができる。
【0079】
上記実施の形態1では錠剤を搬送する場合について説明したが、本発明は粉末等の搬送も可能である。この場合、固形物である粉末が螺旋羽根の外周縁と円筒体の内面との間の間隙(19)から滑落するが、大部分の粉末は螺旋羽根の上面で押し上げられるので、この間隙を小さくして滑落量を少なくすることにより、搬送効率を高く維持できる。
【0080】
さらに、この間隙(19)からの固形物の滑落を一層効果的に防止するため、この間隙(19)をシールするように構成してもよい。
即ち、図8に示す変形例1は、螺旋羽根(13)の外周縁(16)に繊維(41)を円筒体(2)の内面(17)に向けてブラシ状に付設し、このブラシ状繊維(41)の先端を円筒体(2)の内面(17)に接当させたものである。
【0081】
また、図9に示す変形例2は、螺旋羽根(13)の外周縁(16)にゴム弾性を有するシール材(42)を円筒体(2)の内面(17)に向けて付設し、この弾性シール材(42)の外端を円筒体(2)の内面(17)に接当させたものである。
これらのブラシ状繊維(41)や弾性シール材(42)により、上記間隙(19)からの固形物(18)の滑落が効果的に防止され、搬送効率が高く維持される。
【0082】
上記実施の形態1では搬送部材(3)を回転軸(12)に1条の螺旋羽根(13)を固設して構成したが、複数条の螺旋羽根を固設して構成してもよい。
また、この実施の形態1では円筒体(2)と搬送部材(3)とをそれぞれ1部材で構成しているが、本発明は複数の円筒体や搬送部材をそれぞれ直列に接続して構成することも可能である。
【0083】
さらに、上記実施の形態1では、螺旋羽根(13)を回転軸(12)から直角方向に突出させてあるが、回転軸(12)から傾斜状に突出させてもよい。
即ち、図10は変形例3を示し、螺旋羽根(13)の内側基部(46)に比べて外周縁(16)を搬送方向上流側に偏位させてある。固形物(18)は螺旋羽根(13)により外側の円筒体(2)の内面(17)へ押し付けられ、この内面(17)と固形物との間の摩擦力が増加するので、固形物(18)が螺旋羽根(13)と共回りすることが防止され、効果的に搬送される。
【0084】
また、図11は変形例4を示し、螺旋羽根(13)の内側基部(46)に比べて外周縁(16)を搬送方向下流側に偏位させてある。これにより、固形物(18)は螺旋羽根(13)に掬われるように搬送されるので、固形物に加わる外方への押圧力が少なくなり、固形物(18)の破損を防ぐことができる。
従って、搬送する固形物の滑り易さや壊れ易さ等の性質に応じて、螺旋羽根を回転軸からどの方向に突出させるか決定される。
【0085】
上記実施の形態1では電動モータ(4)を円筒体(2)の上部に固定したが、円筒体の下部に固定してもよく、あるいは円筒体には直接固定せず、伝動機構を介して搬送部材に連動連結してもよい。さらに、搬送部材と駆動部との連結機構は上記実施の形態1に記載のものに限定されないことはいうまでもなく、例えば図12に示す変形例5のように六角凹状の係合部(45)とこれに係合する六角状突起(4b)とから構成してもよい。
【0086】
図13は実施の形態2を示し、螺旋搬送装置(1)の下部(6)を拡大した縦断側面図である。
この実施の形態2では、回転軸(12)の外径を大きくする代わりに、投入口(7)よりも下方で搬送部材(3)の周囲に板状の閉塞部(47)を固設してある。即ち、この板状の閉塞部(47)は隣設する螺旋羽根(13)間に配置してあり、搬送部材(3)と円筒体(2)との間の空間を閉塞してある。また、この閉塞部(47)には全面に亘って透孔(48)を形成してあり、この透孔(48)を介して空気や洗浄液を通過可能に構成してある。投入口(7)から投入された固形物は、板状の閉塞部(47)に受け止められ、下方の蓋部(51)側へ流れ込むことなく排出口(10)へ搬送される。
【0087】
図14は実施の形態3を示す錠剤投入口近傍の縦断側面図である。
この実施の形態3では、固形物流入空間(28)のカバー(30)を円筒体(2)とほぼ平行に配置してあり、この固形物流入空間(28)の搬送方向下流側端部(32)に、円筒体(2)内方に向けて気体を噴出する噴出ノズル(34)を設けてある。
【0088】
また、錠剤投入口(7)に連通連結している投入路(8)に錠剤(18)を検知する固形物検出器(35)を設けるとともに、投入量制限具(36)を設けてある。そして、錠剤投入口(7)での錠剤(18)の滞留量が一定水準に達すると、上記固形物検出器(35)がこれを検出し、上記投入量制限具(36)を作動させて錠剤(18)の投入量を少なくしたり、或いは投入を停止したりするように構成してある。
【0089】
この実施の形態3では、投入量制限具(36)の制限及び解除作動により、この螺旋搬送装置(1)による錠剤(18)の搬送量と錠剤投入口(7)への投入量とのバランスが保たれるので、錠剤投入口(7)に過剰の錠剤(18)が滞留することがなく、錠剤投入口(7)での錠剤(18)に過大な応力が加わることがない。
【0090】
さらに、投入口(7)と固形物流入空間(28)との間の、堰(44)を設けた部位の近傍部(M)と、固形物流入空間(28)の下流側端部(32)の近傍部(N)において、搬送部材(3)の回転軸(12)の外径を搬送方向下流側ほど小さく形成してあり、これにより、円筒体(2)と搬送部材(3)との間に形成される搬送空間(S)の螺旋羽根(13)1ピッチ当たりの容積を搬送方向下流側ほど増大させてある。
この結果、過剰な投入などにより固形物流入空間(28)へ流入しようとする錠剤(18)や、固形物流入空間(28)内に流入した錠剤(18)は、下流側へ搬送されるに伴って増大していく搬送空間(S)内へ円滑に移動し、錠剤(18)に過剰な応力が加わることがなく、また、固形物流入空間(28)内は空いた状態に保たれる。
【0091】
また、搬送中に錠剤(18)が遠心力等によって固形物流入空間(28)へ入り込んでも、下流側へ進むと噴出ノズル(34)から噴出される気体(G)で錠剤(18)が吹き飛ばされるため、固形物流入空間(28)の搬送方向下流側端部(32)から確実に排除され、この端部(32)と螺旋羽根(13)との間に錠剤(18)が挟まる虞れがない。
なお、この噴出ノズル(34)は回転方向上手側寄り部に設けると、錠剤(18)が固形物流入空間(28)に流入することを事前に防止できるので一層効果的である。
【0092】
上記実施の形態3では、投入口(7)と固形物流入空間(28)との間と、固形物流入空間(28)の下流側端部(32)の両近傍部(M・N)において、ともに円筒体(2)と搬送部材(3)との間に形成される搬送空間(S)の螺旋羽根(13)1ピッチ当たりの容積を搬送方向下流側ほど増大させてあるが、いずれか一方の近傍部のみ搬送方向下流側ほど増大させてもよい。
【0093】
また、搬送空間(S)の螺旋羽根(13)1ピッチ当たりの容積を搬送方向下流側ほど増大させるため、上記実施の形態3では、回転軸(12)の外径を搬送方向下流側ほど小さく形成してあるが、これに代えて螺旋羽根のピッチを搬送方向下流側ほど大きく形成したり、螺旋羽根の肉厚を搬送方向下流側ほど薄く形成したりしてもよく、またこれらの各構成を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0094】
また、この実施の形態3では固形物流入空間(28)の開口部(29)を、搬送方向下流側ほど幅を狭く形成してあるので、上記噴出ノズル(34)は1個のみ設けてあるが、例えば図15に示す変形例6のように固形物流入空間(28)の下流側端部(32)の幅が広い場合は、複数個の噴出ノズル(34)を設けてもよい。
【0095】
また、この実施の形態3ではカバー(30)の搬送方向下流側端部(32)を段付き状に形成してあるが、上記実施の形態1と同様に、下流側ほど螺旋羽根(13)の外周縁(16)に近接させ、カバー(30)を円筒体(2)に滑らかに接続してもよい。
【0096】
図16及び図17は顆粒状の医薬品を搬送する実施の形態4を示し、図16は円筒体の端部近傍での縦断側面図、図17は螺旋羽根の外周縁周辺の拡大断面図である。
【0097】
この実施の形態4で搬送する顆粒(18)は粒度が分布しているため、細かい粉末状のものも含まれる。一般に搬送する固形物(18)がこのような細かい粒子を含む顆粒や粉体である場合、上記実施の形態1で用いたオイルシール(56)のみではこれらの細かい粒子が回転軸(12)の周囲から軸受(15)側へ侵入する虞れがある。このためこの実施の形態4では、円筒体(2)の両端部に固定した蓋部(51)に粉末用のシール装置(60)が配設してある。
【0098】
即ち、図16に示すように、上記蓋部(51)には回転軸(12)の端部を挿通するための挿通穴(52)を形成してあるが、この挿通穴(52)の中間部に多孔質部材(61)を介して真空吸引路(55)を連通連結して上記シール装置(60)を構成してある。このため、回転軸(12)と挿通穴(52)との間の間隙に侵入した細かい粒子は真空吸引路(55)からの減圧により多孔質部材(61)に吸着されて堆積する。そしてこの堆積した粒子が上記間隙に充満することにより、この間隙が良好にシールされる。
さらにこのシール装置(60)には、多孔質部材(61)による堆積部分の外側に連通連結した第2真空吸引路(62)を設けてあり、これにより、堆積部分から漏れ落ちる吸着性の悪くなった細かい粒子が外部へ排出され、軸受(15)等へ悪影響を及ぼすことがない。
【0099】
また図17に示すように、この実施の形態4では、螺旋羽根(13)の外周縁(16)は搬送面(13a)側に締切り部(49)を形成してあり、この締切り部(49)よりも搬送方向上流側の外周縁(16)を円筒体(2)の内面(17)から離隔させてある。
【0100】
上記螺旋羽根(13)の外周縁(16)に形成した締切り部(49)は搬送する固形物が外形の小さい顆粒(18)であるため、円筒体(2)の内面(17)にできるだけ近接させるか、あるいは接当させてある。この場合、円筒体(2)と螺旋羽根(13)とを高精度に製作して組付けなければならず、従って、上記円筒体(2)は金属材料で形成され、内面(17)の真円度や平滑度を高精度に加工してある。
【0101】
上記締切り部(49)が円筒体(2)の内面(17)から部分的または全面に亘って離隔すると、両者間に小形の固形物(18)や異物(50)等が入り込み、ぎしついて円筒体(2)の内面(17)や螺旋羽根(13)の外周縁(16)を傷つけたり、搬送部材(3)の回転負荷が大きくなったりする問題がある。
【0102】
しかし、本実施の形態4のように外周縁(16)のうち搬送面(13a)側に締切り部(49)を形成して、この締切り部(49)よりも搬送方向上流側の外周縁(16)を円筒体(2)の内面(17)から離隔させると、異物(50)等は短時間で締切り部(49)の外側を通過してしまい、円筒体(2)の内面(17)や螺旋羽根(13)の外周縁(16)を傷つける虞れや、搬送送部材(3)の回転負荷を大きくする虞れがない。
【0103】
上記実施の形態4では、締切り部(49)の先端を円筒体(2)の内面(17)と平行に形成したが、鋭角に形成したり、図18に示す変形例7のように丸味をつけて形成してもよい。また、螺旋羽根(13)の外周縁(16)の形状は上記実施の形態4のものに限定されず、この変形例7のように湾曲させてもよい。
【0104】
また、上記実施の形態4では締切り部(49)を螺旋羽根(13)の外周縁(16)で構成したが、この締切り部は、図19に示す変形例8のように、螺旋羽根(13)とは別体に形成し、この締切り部(49)を螺旋羽根(13)に固定して構成してもよい。
【0105】
上記実施の形態1〜4では、いずれも錠剤や顆粒などの医薬品を搬送する場合について説明したが、他の固形物を搬送する場合にも同様に適用できることはいうまでもない。
また本発明は、上記のように、割れや欠け等の品質低下を招かずに固形物を効率よく搬送することを目的としており、上記実施の形態の構成に限定されるものではない。従って、円筒体や搬送部材の材料、外径、螺旋羽根のピッチ、外周縁におけるリード角、螺旋羽根が回転軸から突出する角度、搬送部材の回転速度等は、それぞれ搬送する固形物の種類や搬送高さ、設置スペース等に応じて適宜設定され組み合わせて適用される。
【0106】
また、上記の投入口に連続する固形物流入空間は、これを設けることにより、投入口での固形物の破損を確実に防止できるが、この場合、固形物流入空間の開口形状やカバーの形状、噴出ノズルの有無、下流側ほど増大する搬送空間等は、適宜単独あるいは組み合わせて設定し採用することができる。
【0107】
なお、上記実施の形態は錠剤を上方へ搬送する場合について説明したが、本発明装置は固形物を水平方向や斜め下方へ搬送する場合にも適用することができ、同様に有効な効果を奏することができる。
【0108】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
【0109】
本発明1は、次の効果を奏する。
(1) 固形物は螺旋羽根の搬送面で押し進められるので、円筒体の内面近傍の空間だけでなく、中心軸心の近傍の空間まで用いて固形物を搬送でき、大量の固形物を連続的に効率よく搬送することができる。
【0110】
(2) 円筒体の投入口に投入された固形物は、円筒体の内部を搬送されて排出口から排出されるので、搬送経路が円筒体で覆われてクローズド化されており、外部からの異物の混入や固形物の外部への飛散がなく、特に医薬品の製造において最も好ましい状態で搬送することができる。
【0111】
(3) 搬送装置は円筒体と搬送部材と駆動部とからなり部品点数が少ないうえ、円筒体内部には回転軸と螺旋羽根とからなる搬送部材が配設されるだけであることから、搬送部材を円筒体の端部から挿抜するだけで装置全体を簡単に組立てたり分解したりすることができ、装置の保守や整備を容易に実施できる。
【0112】
(4) 投入口の搬送方向下流側で投入口に連続する固形物流入空間を螺旋羽根の外周縁の外側に形成してあるので、投入口の側縁部に突き当たった固形物がこの固形物流入空間へ押し出されることから、固形物を螺旋羽根と投入口の側縁部との間に挟んで破損するという虞れがない。
【0113】
(5) 投入口と固形物流入空間との間に、堰を外方から螺旋羽根の外周縁に向けて設け、この堰と螺旋羽根の外周縁との間を固形物が通過可能に構成してあるので、投入される固形物をこの堰によって円筒体内へ円滑に案内でき、固形物流入空間を通常あけておくことができる。この結果、投入口への固形物の投入量が多量となって、投入口での固形物に過剰の応力が加わろうとすると、一部の固形物を投入口から固形物流入空間内へ流入させ、固形物に加わる応力を減じて固形物の破損を防止することができる。
【0114】
(6) 投入口と固形物流入空間との間に設けた堰の、少なくとも先端を弾性変形可能に構成した場合には、固形物が堰を越えて投入口から固形物流入空間へ流れ込む際に、堰の弾性変形により固形物に加わる応力を削減でき、固形物の破損を一層確実に防止することができる。
【0115】
本発明2は、上記の (1) から (4) の効果に加えて、次の効果を奏する。
(7) 投入口に連通連結した投入路に固形物検出器と投入量制限具を設け、投入口での固形物の滞留量が一定水準に達すると、固形物検出器の検出に基づき投入量制限具を作動させて、投入口への固形物の投入を制限若しくは停止可能に構成してあるので、投入口の上方に固形物が過剰に滞留することがなく、投入口での固形物に上方から過剰な押圧力が加わることがないことから、投入口における固形物の破損を防止することができる。
【0116】
本発明1または本発明2において、上記円筒体を、軸心と水平面との交差角度が75度以下となるように傾斜させて配置し、この円筒体の下部に上記の投入口を開口するとともに、上部に上記の排出口を開口し、上記螺旋羽根の外周縁におけるリード角を3度〜25度に設定し、この螺旋羽根の外周縁と上記円筒体の内面との間に搬送する固形物の外形よりも小さい寸法の間隙を形成して、円筒体と螺旋羽根との間の摩滅を防止可能に構成し、上記駆動部を上記搬送部材の回転軸に連動連結して、この搬送部材を500 r.p.m. 以下の回転速度で円筒体の軸心回りに回転可能に構成し、上記固形物流入空間の開口部のうち、搬送部材の回転方向下手側の開口縁を、回転方向に対して45度以上の角度で交差させた場合には、投入口から投入した固形物は、投入口周辺で螺旋羽根との間に挟まれることなく、円滑に搬送されることから、固形物を損傷することなく効率よく上方へ搬送でき、しかも装置全体がクローズド化されているうえ、保守・整備も容易であるので、特に錠剤やカプセルなど医薬品の搬送に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示す錠剤の螺旋搬送装置の一部破断側面図である。
【図2】実施の形態1の搬送部材上端の連結機構を説明する分解斜視図である。
【図3】図1のA−A線矢視断面図である。
【図4】図1のB部における要部拡大図である。
【図5】実施の形態1の錠剤投入口近傍の平面図である。
【図6】図1のC部における要部拡大図である。
【図7】実施の形態1の洗浄時における円筒体の両端部近傍での縦断側面図である。
【図8】変形例1を示す、螺旋羽根の外周縁周辺の要部拡大図である。
【図9】変形例2を示す、図8相当図である。
【図10】変形例3を示す、図8相当図である。
【図11】変形例4を示す、図8相当図である。
【図12】変形例5を示す、図2相当図である。
【図13】実施の形態2を示す、螺旋搬送装置の下部を拡大した縦断側面図である。
【図14】実施の形態3を示す、螺旋搬送装置の錠剤投入口近傍の縦断側面図である。
【図15】変形例6を示す、錠剤投入口近傍の平面図である。
【図16】実施の形態4を示す、円筒体の端部近傍での縦断側面図である。
【図17】実施の形態4の、螺旋羽根の外周縁周辺の要部拡大図である。
【図18】変形例7を示す、図17相当図である。
【図19】変形例8を示す、図17相当図である。
【図20】従来技術1を示す、装置構成図である。
【図21】従来技術2を示す、装置構成図である。
【図22】従来技術3を示す、縦断側面図である。
【符号の説明】
2…円筒体、
2a…円筒体の一端(下端)、
2b…円筒体の他端(上端)、
2d…下部円筒体、
2u…上部円筒体、
3…搬送部材、
4…駆動部(電動モータ)、
5…円筒体の軸心、
6…円筒体の一端部(下部)、
7…投入口(錠剤投入口)、
8…投入路、
8a…投入路の端部、
9…円筒体の他端部(上部)、
10…排出口(錠剤排出口)、
12…回転軸、
13…螺旋羽根、
15…軸受、
16…螺旋羽根の外周縁、
17…円筒体の内面、
18…固形物(錠剤)、
19…間隙、
20…洗浄用導入口、
22…洗浄用排出口、
23…洗浄液供給源(洗浄液タンク)、
28…固形物流入空間、
29…開口部、
30…カバー、
31…カバーの先端縁、
32…固形物流入空間の下流側端部、
33…開口部の開口縁、
34…噴出ノズル、
35…固形物検出器、
36…投入量制限具、
43…錠剤投入空間、
44…堰、
47…閉塞部、
51…蓋部、
52…挿通穴、
54…圧力気体供給路(圧力空気供給路)、
55…真空吸引路、
61…多孔質部材、
a…軸心と水平面との交差角度(円筒体の傾斜角度)、
b…螺旋羽根の外周縁におけるリード角、
M…投入口と固形物流入空間との間の近傍部、
N…固形物流入空間の搬送方向下流側端部の近傍部、
S…搬送空間。
Claims (4)
- 円筒体(2)と、この円筒体(2)の内部に回転可能に配設した搬送部材(3)と、この搬送部材(3)に連動連結した駆動部(4)とを備え、
この搬送部材(3)を、円筒体(2)の軸心(5)に沿って配設した回転軸(12)とその回転軸(12)の周面から突出している螺旋羽根(13)とから構成し、
上記の円筒体(2)の一端部(6)に投入口(7)を開口するとともに、他端部(9)に排出口(10)を開口し、
上記の投入口(7)から搬送方向下流側の円筒体(2)に開口部(29)を形成するとともに、この開口部(29)をカバー(30)で覆って、投入口(7)に連続する固形物流入空間(28)を螺旋羽根(13)の外周縁(16)の外側に形成し、
上記の投入口 ( 7 ) と固形物流入空間 (28) との間に、堰 (44) を外方から螺旋羽根 (13) の外周縁 (16) に向けて設け、この堰 (44) と螺旋羽根 (13) の外周縁 (16) との間を固形物 (18) が通過可能に構成したことを特徴とする、固形物の螺旋搬送装置。 - 上記の投入口(7)と固形物流入空間(28)との間に設けた堰(44)の、少なくとも先端を弾性変形可能に構成した、請求項1に記載の固形物の螺旋搬送装置。
- 円筒体 ( 2 ) と、この円筒体 ( 2 ) の内部に回転可能に配設した搬送部材 ( 3 ) と、この搬送部材 ( 3 ) に連動連結した駆動部 ( 4 ) とを備え、
この搬送部材 ( 3 ) を、円筒体 ( 2 ) の軸心 ( 5 ) に沿って配設した回転軸 (12) とその回転軸 (12) の周面から突出している螺旋羽根 (13) とから構成し、
上記の円筒体 ( 2 ) の一端部 ( 6 ) に投入口 ( 7 ) を開口するとともに、他端部 ( 9 ) に排出口 (10) を開口し、
上記の投入口 ( 7 ) から搬送方向下流側の円筒体 ( 2 ) に開口部 (29) を形成するとともに、この開口部 (29) をカバー (30) で覆って、投入口 ( 7 ) に連続する固形物流入空間 (28) を螺旋羽根 (13) の外周縁 (16) の外側に形成し、
上記の投入口(7)に連通連結した投入路(8)に固形物検出器(35)を設けるとともに、投入量制限具(36)を設け、この投入口(7)での固形物(18)の滞留量が一定水準に達すると、上記固形物検出器(35)の検出に基づき上記投入量制限具(36)を作動させて、投入口(7)への固形物(18)の投入を制限若しくは停止可能に構成したことを特徴とする、固形物の螺旋搬送装置。 - 上記円筒体(2)を、軸心(5)と水平面との交差角度(a)が75度以下となるように傾斜させて配置し、この円筒体(2)の下部(6)に上記の投入口(7)を開口するとともに、上部(9)に上記の排出口(10)を開口し、
上記螺旋羽根(13)の外周縁(16)におけるリード角(b)を3度〜25度に設定し、この螺旋羽根(13)の外周縁(16)と上記円筒体(2)の内面(17)との間に、搬送する固形物(18)の外形よりも小さい寸法の間隙(19)を形成して、円筒体(2)と螺旋羽根(13)との間の摩滅を防止可能に構成し、
上記駆動部(4)を上記搬送部材(3)の回転軸(12)に連動連結して、この搬送部材(3)を500r.p.m.以下の回転速度で円筒体(2)の軸心(5)回りに回転可能に構成し、
上記固形物流入空間(28)の開口部(29)のうち、搬送部材(3)の回転方向下手側の開口縁(33)を、回転方向に対して45度以上の角度で交差させた、請求項1から3のいずれか1項に記載の固形物の螺旋搬送装置。
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