JP3618935B2 - 接着剤吐出装置及び接着剤吐出方法 - Google Patents
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Description
【課題を解決するための手段】
本発明は、接着剤吐出装置及び接着剤吐出方法に係り、特に接着剤をシリンジンニードルから吐出するように構成された場合において、ニードル先端に残留する接着剤を除去する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、接着剤をシリンジニードルから吐出するように構成された装置が知られており、接着剤の一定量分を一定速度で接着部に対して移動しつつ吐出供給することで自動的に接着を行うことで所謂自動接着を行うようにしている。
【0003】
このように自動接着を行うときに、接着剤の粘性によりシリンジニードルの先端部にある程度の接着剤が残留することは避けられない。
【0004】
そこで、従来からニードル先端をスポンジに差し込むか、または紙あるいは布等で挟み込むようにして残留した接着剤を排除するようにしていた。この排除作業を行わないと、残留した接着剤が次第に成長して、吐出に支障を来すことになり、また、長時間放置すると固化して重大な障害となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにスポンジを用いると、接着剤が付着したニードルを差し込むと同時に接着剤がスポンジ側に付着し、その後ニードルをスポンジから引き抜くと、スポンジ側に付着した接着剤の一部が再びニードル側に付着することになり結局は接着剤の一部がニードル側に付着することになる。特に接着剤の粘度が高いときには清掃の効果はほとんど期待できない。
【0006】
また、紙あるいは布等でニードルを挟み込んで清掃するようにした場合では、挟み込んだ方向と直角になる外周面側であって十分に挟持できない箇所の接着剤は拭き取りにくいので接着剤の一部がニードル側に付着したままとなる。また、何度も拭き取るようにすると紙、布が汚れるために、新しい払拭部位を使用するようになるために紙や布等の払拭部材の送り装置が必要となり、かなり大がかりとなる等の不具合が生じていた。
【0007】
したがって、本発明の接着剤吐出装置及び接着剤吐出方法及び該方法による物品は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高圧気体を吹き付けることで接着剤吐出用のニードルの先端を清掃を行うようにして、装置を簡単に構成でき、清掃の時間短縮を実現でき、また次に接着剤を吐出する際の接着剤の吐出量を一定に保つことができる接着剤吐出装置及び接着剤吐出方法の提供を目的としている。
【0008】
また、接着剤吐出の直前にニードル清掃を行うことによりニードルの詰まりを防止でき、かつ接着剤の回収を容易にできる接着剤吐出装置及び接着剤吐出方法の提供を目的としている。
【0009】
また、適量の接着剤により接着されるインジェトヘッドの提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、接着剤により接着される部位を有する物品を固定位置に固定する固定手段と、シリンジニードルを介して接着剤を吐出するとともに前記部位に対して相対移動しつつ接着剤を供給する接着剤供給手段とを備えた接着剤吐出装置であって、高圧気体を吹き付けることで前記シリンジニードルの端部に残留した接着剤を除去するために、前記高圧気体を前記シリンジニードルの端部の近傍の外周部に吹き付けるように構成される清掃手段と、前記清掃手段で吹き飛ばされた接着剤を回収するために、開口部を有する箱体と、前記開口部から離れた前記箱体内に位置し、接着剤を付着する気体透過性部材と、から構成される回収手段とを具備することを特徴としている。
【0011】
また、接着剤により接着される部位を有する物品を固定位置に固定し、シリンジニードルを介して接着剤を吐出するとともに前記部位に対して相対移動しつつ接着剤を供給する接着剤吐出方法であって、高圧気体を吹き付けることで前記シリンジニードルの端部に残留した接着剤を除去するために、前記高圧気体を前記シリンジニードルの端部の近傍の外周部に吹き付け、開口部を有する箱体と、前記開口部から離れた箱体内に前記箱体内に位置し、接着剤を付着する気体透過性部材とから構成される回収手段により、前記清掃手段で吹き飛ばされた接着剤を回収することを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な実施形態につき、添付の各図を参照して述べる。
【0022】
先ず、図1は本発明の第1の実施形態に係る概略構成を示した概略構成図である。本図において、ベース136上には図示のX、Y、Z方向に駆動を行う駆動機構を固定するための基部36が固定されている。また、このベース136上には、後述するワーク30を載置して、所定位置において不動状態に保持するための位置決め固定部37が固設されており、この固定部37においてさらに回収箱40を設けている。
【0023】
また、駆動機構は接着剤を吐出するための吐出装置100をX、Y、Z方向に移動するステージ機構部20、21、22を図示のように連結するように構成されており、各ステージ機構部に設けられている不図示の駆動モータを制御部200に接続することで、後述のように吐出装置100を駆動するように構成されている。
【0024】
図1に図2の吐出装置100の要部破断図(a)と、A‐A矢視図(b)をさらに参照して、位置決め固定部15はステージ機構部20に固定されており、この固定部15に固定されている部材15bにシリンジ保持具8が固定されている。このシリンジ保持具8はシリンジ7を着脱自在に保持するとともに、シリンジ7には内蔵の接着剤を一定量を一定速度でニードル6の先端開口部から吐出するための塗布装置制御部201が設けられている。また、この塗布装置制御部201は上記の制御部200に接続されている。
【0025】
一方、シリンジ7のニードル6を位置決めするためのV溝11を形成した固定部の側壁面には一対の位置決めピン9a、9bが植設されており、これらのピンにより案内される位置決め穴10a、10bを穿設した位置決め可動部14を図示の矢印方向に移動可能に保持している。
【0026】
また、固定ピン12a、12b、12c、12dが固定部15の両側側面と位置決め可動部14の側面に夫々植設されており、これらの間において引っ張りバネ13を張設状態で夫々設けている。
【0027】
以上の構成によりシリンジ7のニードル6は、位置決め可動部14と位置決め固定部15のV溝11により3箇所が挟持されて、不動状態にされる。
【0028】
また、固定部15には高圧エアーの吹き出し部1b、1cが設けられる一方で可動部14に吹き出し部1aが設けられている。これらの吹き出し部は穴の穿設後の状態では端部のだれ、ばりおよび端面による粘性発生により吹き出したエアーの指向性が悪化するのを防止するために肉厚の薄いパイプを埋め込むように構成されている。
【0029】
これらの吹き出し部は穴加工したエアーの流路2に連通しており、この流路に連通するエアー継ぎ手3からエアー供給を得るために、圧縮エアーを供給するためのエアーチューブ4に接続されている。また、エアー流路を塞ぐためのめくら蓋5が流路に嵌入されており、ドリル加工後の開口孔を塞ぐようにしている。
【0030】
再度、図1において、エアーチューブ4の途中部位には上記の制御部200に接続された電磁弁202が接続されており、高圧エアー発生部204からの供給エアーをオンオフ制御することで、上記の各吹き出し部からニードルに向けて高圧エアーを噴射するように構成されている。また、各吹き出し部1a、1b、1cは接着剤を吐出するニードル6の長手方向に対して角度αが約30度の傾きとなるように取り付けられている。
【0031】
一方、図3は接着剤回収部40の箱体50の中心断面図であって、開口部50bを通る面で破断して示した図である。本図において、箱体50の略中央には開口部50bが設けられており、ニードル6をこの上に移動してから上記のようにエアーを吹き付けることで、内蔵のエアー透過性部材51上に接着剤を付着させる。また、このエアー透過性部材51の外周縁部には挟み込み部52、53が設けられており、箱体50の内部に固定されている受け部55a、55bにおいて支持するように構成されている。
【0032】
以上の構成により、再度図1を参照して、可動部14を図1の矢印D1方向に手で引っ張るようにして、ニードル6をV溝11にセットし、接着剤の充填されたシリンジ7をシリンジ保持具8に挿入し、塗布装置制御部201をセットし、シリンジ7の高さを調整した後に、位置決め可動部14を自由にすると、上記の引っ張りバネ13の作用によりニードル位置決め用V溝11に接着剤吐出用ニードル6が自然と位置する位置決めが完了する。
【0033】
次に、ワーク30として本願出願人の提案になるインクジェットヘッド(以下、BJヘッドと呼ぶ)を事例にした接着剤の封止工程について説明する。
【0034】
図4は、BJヘッドの外観斜視図である。本図においてBJヘッドはインクを吐出させるためのノズルとヒータ部が形成されたチップ32と、チップタンク33と、上記のチップ32に吐出信号を供給するための回路パターンが形成されたTAB31と、アルミプレート34と封止用の接着剤を流し込むための封止部38とから構成されている。
【0035】
このワークであるBJヘッドによれば、図5(a)の要部破断図に示すように、TAB31とチップ32の間がチップタンク33上において接着剤35により接着される。また、図5(b)に示すように吹き付けを行わないと、接着剤35が次第に成長して、固化する。
【0036】
以上の構成において、図7の制御フローチャートと図1の概略構成図に基づき制御例を述べると、先ず装置の起動が行われて準備が整うと、ステップS1において、ニードル6が回収部40の箱部50上に移動されて、ステップS2において電磁弁202への通電が行われて、吹き出し部1a、1b、1cから高圧エアーが吹き付けられる。即ち、エアーチューブ4に圧縮エアーを短時間供給しニードル6の先端に付着した余分な接着剤を吹き飛ばす。また、圧縮エアーの圧力は元圧でおよそ4Kg/cm2〜6Kg/cm2(但し、半角文字の2はべき乗を示す)である。尚、接着剤の種類によっては別の気体を使用することがあり、特に湿気を嫌う接着剤の場合にはエアーの代わりに圧縮窒素を吹き付けるようにすることもある。
【0037】
次に、ステップS3において、不図示のロボット装置によりBJヘッド30が位置決め固定部37に移送されて、固定された後にセンサ203により正常位置にセットされたことが検出され制御部200に信号が送られる。
【0038】
以上で、接着の準備が整ったので、ステップS4においてニードル6をワーク30の接着開始位置に移動するように上記の各XYZステージ20、21、22の駆動が行われて、ニードル6の先端を接着封止開始部まで移動させる。このときニードル6の先端はチップおよびTABの表面に接触しないように位置決めする。
【0039】
次に、ステップS5の接着ルーチンに進み塗布装置制御部201の作用でシリンジ7から接着剤35を吐出しながらニードル6をX軸ステージにより移動させるようにして、6ヶ所の接着剤封止部の全てに接着剤を吐出する。このようにして接着剤35による封止が完了したことがステップS6で判断されると、接着剤吐出装置の接着剤吐出を終了し、ニードル6を接着剤回収部40の開口部50bに挿入して待機する。また、これに前後して、チップタンク33が位置決め固定部37から取り外されて、新しいチップタンクが取り付けられる。
【0040】
ここで、吹き付けの時間は0.1秒から1秒程度である。長時間にわたり圧縮エアーを吹き付けるとニードル6内の接着剤がエアーによる負圧により外部に吐出されてしまい、次に吐出を行うときに接着剤の吐出量が減少するからである。また、吹き飛ばされた接着剤35はエアー透過性部材51であるメッシュ状の紙または布に付着するようになるので、エアーはそのまま透過されることになり、ニードル清掃は終了する。
【0041】
封止が完了したときには図5(b)に示したようにニードルの先端に接着剤が付着しているが、BJヘッドの接着剤の封止部38はニードル6の径に対して幅が狭いためニードルにこのように接着剤が余分に付着しているとチップおよびTAB表面に過剰な接着剤が付着してしまい、インクの吐出口を塞ぐ等の不具合が生じることになる。このため必ず清掃しておく必要がある。
【0042】
また接着剤は常温硬化の接着剤であるために、ニードル詰まりの問題の解消をする必要がある。つまり、接着剤の吐出直前までニードル先端の接着剤をつけたまま待機するようにしている理由は、接着剤が表面から効果が始まるが短時間であればその硬化し始めた接着剤も圧縮エアーによって吹き飛ばすことができることによる。
【0043】
もしも、ニードル清掃を行なってから待機している場合にはニードルの先端が硬化し始めてしまいエアーによる吹き飛ばしができなくなるからである。
【0044】
最後に図8は他の実施形態例を示した部分破断図であり、既に説明済みの構成には同一符号を付して説明を割愛すると、エアー吹き出し部に接着剤吐出用ニードルを使用したものであり接着剤吐出用ニードル6の周りに3ヶ所配置するようにしている。
【0045】
以上をまとめると、圧縮エアーまたは高圧ガスを吹き付けることでニードル清掃を行うようにするので装置構成が簡単になる。また、圧縮エアーまたはガスを短時間だけ吹き付けることにより、清掃の時間が短縮できるとともに、負圧発生が短時間となるので次に接着剤を吐出するときの接着剤の吐出量を一定に保つことができるようになる。また、接着剤吐出の直前にニードル清掃を行うことによりニードルの詰まりを防止できる。
【0046】
さらに、接着剤吐出方向に対して斜め後方に、ニードルの周りに複数箇所吹き出し口を設けることにより、接着剤を一定方向に吹き飛ばすことができるため接着剤の回収が容易になり、かつニードルの先端全周を完全に清掃できる。
【0047】
また、エアー透過性の部材を用いれば、接着剤を吹き飛ばしたエアーはそのまま透過して、接着剤のみ付着するようにできるので簡単に接着剤を回収する事ができ、また取り替えることもできるようになる。
【0048】
尚、上記説明ではワークに対して相対移動するニードルを設けるようにした事例について述べたが、これに限定されず、ニードル側を固定し、ワークと回収箱を一体的に移動するように構成して、接着剤を吐出するように構成することもでき、種々の構成が可能であることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、接着剤吐出装置を簡単に構成することができ、接着剤供給のためのシリンジのニードルの清掃時間を大幅に短縮でき、また次に接着剤を吐出する際の吐出量を一定に保つことができ、かつまた吹き飛ばされた接着剤の回収を容易に行うことのできる接着剤吐出装置及び接着剤吐出方法を提供することができる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の接着剤吐出装置の概略構成図である。
【図2】図1のシリンジのニードルの要部拡大図である。
【図3】回収部40の断面図である。
【図4】BJヘッドの外観斜視図である。
【図5】接着剤による封止工程の接着剤吐出状態の説明図である。
【図6】別実施形態の要部拡大図である。
【図7】制御例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1a、1b、1c…吹き出し部、2…流路、3…継ぎ手、4…エアーチューブ、6…ニードル、7…シリンジ、13…引っ張りバネ、14…可動部、15…固定部
Claims (9)
- 接着剤により接着される部位を有する物品を固定位置に固定する固定手段と、シリンジニードルを介して接着剤を吐出するとともに前記部位に対して相対移動しつつ接着剤を供給する接着剤供給手段とを備えた接着剤吐出装置であって、
高圧気体を吹き付けることで前記シリンジニードルの端部に残留した接着剤を除去するために、前記高圧気体を前記シリンジニードルの端部の近傍の外周部に吹き付けるように構成される清掃手段と、
前記清掃手段で吹き飛ばされた接着剤を回収するために、開口部を有する箱体と、前記開口部から離れた前記箱体内に位置し、接着剤を付着する気体透過性部材と、から構成される回収手段とを具備することを特徴とする接着剤吐出装置。 - 前記清掃手段は、前記高圧気体として所定圧力に昇圧された圧縮エアーを前記シリンジニードルの端部の近傍の外周部に対して複数方向から瞬間的に吹き付けるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の接着剤吐出装置。
- 前記清掃手段は、前記シリンジニードルの前記外周部のラジアル方向において略3等分するように配設されることを特徴とする請求項2に記載の接着剤吐出装置。
- 前記清掃手段は、接着剤の吐出を行う前に前記高圧気体を吹き付けるように制御する制御部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の接着剤吐出装置。
- 前記回収手段は、前記固定手段に対して並設されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接着剤吐出装置。
- 接着剤により接着される部位を有する物品を固定位置に固定し、シリンジニードルを介して接着剤を吐出するとともに前記部位に対して相対移動しつつ接着剤を供給する接着剤吐出方法であって、
高圧気体を吹き付けることで前記シリンジニードルの端部に残留した接着剤を除去するために、前記高圧気体を前記シリンジニードルの端部の近傍の外周部に吹き付け、
開口部を有する箱体と、前記開口部から離れた箱体内に前記箱体内に位置し、接着剤を付着する気体透過性部材とから構成される回収手段により、前記清掃手段で吹き飛ばされた接着剤を回収することを特徴とする接着剤吐出方法。 - 前記除去のために、前記高圧気体として所定圧力に昇圧された圧縮エアーを前記シリンジニードルの端部の近傍の外周部に対して複数方向から瞬間的に吹き付けることを特徴とする請求項6に記載の接着剤吐出方法。
- 前記圧縮エアーを前記シリンジニードルの前記外周部のラジアル方向において略3等分した方向から吹き付けることを特徴とする請求項7に記載の接着剤吐出方法。
- 接着剤の吐出を行う事前に、前記高圧気体を吹き付けるように制御することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の接着剤吐出方法。
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