JP3618716B2

JP3618716B2 - 芳香貯蔵装置

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Publication number: JP3618716B2
Application number: JP2001387527A
Authority: JP
Inventors: メリッサ・ディー・ボイド; ポール・エイチ・マッククレランド; マーシャル・フィールド
Original assignee: Hewlett Packard Co
Current assignee: HP Inc
Priority date: 2000-12-22
Filing date: 2001-12-20
Publication date: 2005-02-09
Anticipated expiration: 2021-12-20
Also published as: US6737025B2; EP1219308B1; DE60111337T2; DE60111337D1; JP2002253659A; EP1219308A1; US20020081229A1

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響的／視覚的刺激（本明細書では集合的に「音響的／視覚的刺激因子と呼ぶ」）を提供する装置に関連し、より詳しくは、芳香材料を貯蔵して芳香を発生する装置に関連する。
【０００２】
【従来の技術】
消費者は、今日、音響的／視覚的刺激因子を提供する様々な装置、イベントおよび設備を選択することができる。また、スキーや遊園地などのレクリーエション活動の他の施設および形態も使用可能である。
【０００３】
まず、音響的／視覚的刺激因子を考えると、現在の音響的／視覚的刺激因子には、コンピュータ、携帯型装置またはコンソール型ビデオ・ゲーム、教育プログラムなどの電子装置、映画、テレビ、コンパクト・ディスクおよびオーディオ・カセット・プレーヤ、ディジタル・ビデオ・ディスクおよびビデオ・カセット・プレーヤ、電子ブック、およびＭＰ３プレーヤが含まれるが、これらに限定されず、新しい電子装置が常に導入されている。他のタイプの音響的／視覚的刺激因子は、ライブ劇場、コンサート会場および博物館である。
【０００４】
近年、音響的／視覚的刺激因子によって提供される刺激のレベルを、単なる音響的および視覚的な刺激以上に高める多くの試みがなされている。従来の音響的／視覚的刺激因子を強化するそような試みの１つの例は、乗る人が音響的および視覚的刺激に呼応して動く室内に位置づけられる仮想現実的な乗物である。
【０００５】
音響的／視覚的刺激因子によって提供される刺激のレベルを高めるもう１つの方法は、音響的および視覚的な刺激に対応する芳香を送り出すことである。現在提案されている芳香送出システムは、芳香材料を収容し適宜芳香を送り出す装置を使用する必要がある。所望の芳香を生成するために、芳香「プリミティブ」の基本セットが貯蔵され、必要に応じてシステムによって混合される。本発明者は、本明細書において、そのようなシステムの経済的および商業的な開発を妨げるいくつかの要因があることを明らかにした。たとえば、芳香を正確に生成するために貯蔵および混合装置が使用できる厳密な芳香プリミティブおよび芳香記述言語の開発は、貯蔵および混合装置自体の開発と同じように、かなり高価になる可能性が高い。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
話しを他の形態のレクリーエション活動に移すと、そのような活動の多くは、参加人数を計測するチケットやその他の装置を必要とする（本明細書では、簡単のために、そのような装置をすべて「チケット」と呼ぶ）。チケットは、バスや映画などにも使用される。多くのチケットは、ユーザが特定の活動に何度も参加できるように考えられている。たとえば、スキーリフトでは、一般に、ユーザがスキー・リフトに乗るたびに「パンチ」できるようにリフト・チケットが構成される。本発明者は、本明細書において、従来のチケットならびにチケットに「パンチングする（穴を開ける）」従来の方法に改良の余地があることを明らかにした。
【０００７】
【課題解決するための手段】
したがって、本発明の１つの目的は、実用的な目的のために、当技術分野における前述の問題点を回避する装置を提供することである。より詳しくは、本発明の１つの目的は、便利でかつ簡単に使用でき正確で安価な芳香貯蔵装置を提供することである。本発明のもう１つの目的は、たとえば芳香供給材料の所定部分を選択的に活性化するために使用できる装置を提供することである。本発明のさらにもう１つの目的は、改良されたチケット、及び、チケット・パンチ方法を提供することである。
【０００８】
以上その他の目的のいくつかを達成するために、本発明の１つの実施形態による芳香貯蔵装置は、ベース部材と、ベース部材によって支持された複数の芳香チャネルとを含む。各芳香チャネルは、芳香供給材料と、芳香供給材料の所定部分を選択的に活性化する芳香活性化システムとを含む。各チャネルの芳香材料は、たとえば、異なる芳香を生成することができる。
【０００９】
本発明の芳香貯蔵装置は、幅広い様々な用途を有する。１つの応用例は、コンピュータ・ベースのビデオ・ゲームなどの音響的／視覚的刺激因子との組合せである。この場合、芳香貯蔵装置は、比較的小さく（すなわち、ゲームソフトと一緒に簡単に梱包できるようなほぼトレーディング・カード・サイズ）、事前に混合した様々な芳香材料を各芳香チャネルに貯蔵することができる。芳香材料によって生成される芳香は、ゲームの際に起こるイベントに対応する。芳香貯蔵装置は、芳香送出装置に接続することができ、芳香送出装置は、各チャネルの芳香活性化システムにチャネル内の芳香材料を適宜活性化させる。たとえば、チャネルの１つは、煙の芳香を貯蔵することができる。ゲームで爆発が起きたとき、コンピュータは、芳香送出装置に指示して、煙の芳香供給チャネルを備えた活性化システムに、芳香供給材料の一部分を活性化させ芳香材料を放出させる。
【００１０】
サイズが比較的小さい場合には、本発明の芳香貯蔵装置の前述の実施形態により、ユーザが容易に持ち運びできるため有利である。したがって、これを、映画館、ライブ劇場、コンサート会場、博物館または仮想現実上の乗物に入るときに利用者に渡すことができる。次に、利用者は、各自の芳香貯蔵装置を各自の座席または特定の展示物まで持って行き、それを適切な送出装置に差し込むだけでよい。本発明の芳香貯蔵装置は、また、広告のための宣伝用品として配布することもできる。
【００１１】
本発明の芳香貯蔵装置は、その携帯性の他に、現在提案されている芳香送出しシステムに勝るいくつかの利点を提供する。たとえば、本発明の貯蔵装置は、単純かつ独立型で比較的安価である。本発明の貯蔵装置は、現在提案されているシステムが必要とするような、芳香プリミティブの開発とそれを混合する装置、混合プロセスを制御する芳香記述言語の開発を必要としない。さらに、芳香が、事前に定義され、その最終状態で貯蔵された芳香材料であるため、本発明の芳香貯蔵装置によれば、現在提案されているシステムのようにその場で芳香プリミティブから混合しなければならないのと違い、製造前に芳香を完成させることができる。
【００１２】
以上及びその他の目的のいくつかを達成するために、本発明の好ましい実施形態によるチケットは、変色可能部材と、ベース部材によって支持された変色システムとを含み、この変色システムは、第１のエネルギー・パルスの印加に応答して、変色可能部材の第２の所定部分を変色させることなく変色可能部材の第１の所定部分を選択的に変色させるように最初に構成される。
【００１３】
そのようなチケットは、たとえば、エネルギー・パルスを提供する装置にチケットを挿入するだけで「パンチ」を行うことができる。その結果得られた変色は、たとえばバス、スキーリフト、遊園地のチケットなどの度数式料金用途に特に有用な視覚的フィードバックを提供する。消費者とオペレータは両方とも、チケットを見るだけで、そのチケットに料金があとどれだけ残っており、リフトまたは遊園地の乗物にあとどれだけ乗れるかを容易に判断することができる。
【００１４】
これら及び他の目的のいくつかを達成するために、本発明の１つの実施形態による抵抗器アレイは、一連の隔置された第１の導電性部材（導体部材）と、隣り合った第１の導電性部材を互いに接続する最初は実質的に非導電性の一連のスイッチと、第２の導電性部材と、それぞれの第１の導電性部材から第２の導電性部材まで延在する一連の抵抗器とを含む。１実施形態において、抵抗器は、所定の短い電力パルスの印加に応じて燃焼し第２の導電性部材から切り離されるように構成することができる。また、抵抗器が生成する熱によってスイッチが導通状態になり、その結果、一連の次の導体と抵抗器が、パルス供給源に接続される。しかしながら、所定の電力パルスが短いため、そのパルスは、次の導体と抵抗器が接続される前に通過する。次の抵抗器は、次の電力パルスまで燃焼されない。
【００１５】
そのような抵抗器アレイには幅広い様々な用途がある。そのような１つの用途は、前述の芳香貯蔵装置と関連付けられ、このアレイを使用して、ワックスなどの固体材料と芳香材料から形成された芳香供給材料の所定部分を選択的に活性化することができる。抵抗器からの熱は、芳香材料の抵抗器と関連付けられた部分のワックスを溶融させ、芳香材料を放出する。他の用途には、チケットとカウンタがある。その場合、抵抗器からの熱を使用して、チケットの所定部分の変色など、そのチケットが何回「打ち抜かれた（パンチされた）」かを示す視覚的フィードバックを生成することができる。
【００１６】
本発明の以上説明した特徴および他の多くの特徴ならびにそれらに付随する利点は、添付図面と共に以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【００１７】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して詳述する。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下の説明は、現在のところ本発明を実施する最良の形態についてのものである。この説明は、限定の意味ではなく、単に本発明の一般原理を示すためのものである。たとえば、本発明による芳香貯蔵および送出装置は、任意の音響的／視覚的刺激因子と組み合わせて使用することができる。したがって、例示的な貯蔵および送出装置を、コンピュータ・ベースの刺激因子に関して説明するが、本発明は、そのように制限されない。さらに、芳香貯蔵装置のいくつかの態様は、それ自体創意に富むものであり、他の分野に応用可能である。１つの例は、後で説明する受動性の一連の抵抗器アレイである。
【００１９】
たとえば図１に示したように、本発明の１つの実施形態による芳香貯蔵装置１０は、演算処理装置１４、モニタ１６、キーボード１８およびマウス２０を含むコンピュータ・システム１２と共に使用することができる。コンピュータ・システム１２は、また、ハウジング２４、芳香貯蔵装置１０をハウジングに差し込むことを可能にするスロット２６、および芳香を放出する網付き放出口２８を有する芳香送出装置２２を備える。例示的な芳香送出装置に関する他の詳細については、図６と図７を参照して後述する。
【００２０】
図２と図３を参照する。例示的な芳香貯蔵装置１０は、前側３０と後側３２を有するベース２９を含むユーザの手で容易に持つことができるトレーディング・カード・サイズの装置（長さがおよそ３３／８インチ×幅がおよそ２１／８インチ）の形状をしている。もちろん、用途により、長さを１／２インチ〜６インチとすることもでき、幅を１／２インチ〜６インチにすることもできる。ベースの適切な材料には、厚さが０．０１４インチ〜１／４インチの範囲のポリエステルとポリイミドがある。当然ながら、サイズ、材料および厚さの選択は、意図された用途に依存する。前側３０には、識別表示３４やその他の素材を印刷することができる。後側は、活性化されたときに芳香イベントを生成する複数の芳香チャネル３６を支持する。例示的な実施形態では、１９の芳香チャネル３６があり、それぞれの芳香チャネルを使用して様々な芳香を作成することができる。代替的には、芳香チャネル３６のうちのいくつかが同じ芳香を生成するようにすることもでき、または用途によっては、すべてのチャネルが同じ芳香を生成するようにすることもできる。当然ながら、芳香チャネルの数は、望み通りに、あるいは用途、及び、それが必要とするサイズの制約に応じて調整することができる。また、１つの芳香チャネル３６を使用して、チャネルの長さ全体にわたって異なる芳香を生成することもできる。そのために、図の実施形態に示したように、芳香チャネルは、連続的な構成を有するようにすることができ、または、一連のドットやその他の不連続な構造から構成することができる。
【００２１】
芳香は、芳香イベント時にユーザが音響的／視覚的刺激因子から受け取る音響的／視覚的刺激に対応することが好ましい。図の実施形態において、芳香貯蔵装置１０は、「世界一周レース（ＲａｃｅＡｒｏｕｎｄＴｈｅＷｏｒｌｄ）」と題する教育用ビデオゲームに使用されることが意図されており、このゲームでは、参加者が、世界中の様々な場所をめぐるレースを行い、貯蔵された芳香が、それらの場所と関連付けられている（本発明者の知る限り、そのようなゲームは存在せず、このゲームの概念は、単に、本発明のいくつかの側面を説明するため使用される）。たとえば、チャネルの１つを使用してオクラの芳香を生成することができ、この芳香は、参加者がニューオーリンズの街の中をレースしているときに生成される。レースがアリゾナ北部の松林に入ったときは、別のチャネルを使用して松の木の芳香を生成することができる。
【００２２】
図３をより具体的に参照すると、例示的な芳香チャネル３６はそれぞれ、芳香供給材料３８と芳香活性化システム４０とを含む。芳香供給材料３８は、少なくとも１つ、好ましくは多数の個別イベント部分４２を含み、活性化システムは、個々のイベント部分４２を選択的に活性化し消費する（イベント部分４２の間の点線は、単にイベント部分の間の境界を示すために加えられたものであり、実際の構造要素を表すものではない）。図の実施形態の芳香チャネル３６は、たとえば、約７０の個別のイベント部分４２を含む。各芳香チャネル３６内の芳香供給材料３８は、適度な温度（すなわち、５０℃〜２００℃）で蒸発する無臭の固体材料中に分散された芳香材料からなることが好ましい。そのような固体材料の１例は、ワックスである。他の材料には、グリコール、エーテルおよびゼラチンがある。適切な芳香材料の例には、テルピノールなどの揮発性油がある。芳香供給材料に関するその他の情報は、米国特許第５，０５１，３０５号に記載されている。
【００２３】
例示的な芳香活性化システム４０は、接点４４によって芳香送出装置２２に電気的に接続することができ、受動性の一連の抵抗器アレイのそれぞれのイベント部分４２ごとに１つ抵抗器がある、一連の抵抗器を含むことが好ましい。芳香送出装置２２は、芳香イベントごとに、比較的短い電力パルスを適切な芳香チャネル３６に提供する。後で詳しく説明するように、パルスは、一連の抵抗器のうちの第１の抵抗器を加熱してそれに関連したイベント部分４２の固体材料を蒸発させ、それにより芳香材料が放出される。また、パルスは、抵抗器自体も蒸発させ、それによりそのイベント部分４２が回路から切断され、一連の抵抗器のうちの次の抵抗器（したがって次のイベント部分）が回路に接続される。このプロセスは、任意の芳香チャネル３６、１つの芳香イベントおよび１つのイベント部分４２について、その芳香チャネルがイベント部分を使い切るまで続行することができる。
【００２４】
図３および図４Ａ〜図４Ｅに、例示的な芳香チャネル３６の構造を、様々な段階において示す。まず、図３と図４Ａを参照すると、例示的な芳香活性化システム４０は、前端部４８にある接点４４の１つに接続された第１の導体４６と、戻り線５２に接続された第２の導体５０とを含む。送出装置２２によって接地された戻り接点５３が、戻り線５２の端部に接続される。たとえば図４Ａと図４Ｂに示したように、第１の導体４６は、一連の個別の導電性部材５４と一連の切換要素５６からなる。例示的な導電性部材５４はそれぞれ、拡張部分６０のある第１のコネクタ部分５８、類似した拡張部分のある第２のコネクタ部分６２、および第１と第２のコネクタ部分の間に延在する中間部分６４を含む。しかしながら、一連の導電性部材５４のうちの第１の導電性部材だけが、前端部４８を構成する第１のコネクタ部分５８と直線部分を含むことに注意されたい。導電性部材５４は、抵抗器接点６６も含む。
【００２５】
導体４６および５０は、銅、銀、銀炭素混合物、すず、すず合金などの比較的低抵抗の耐熱材料から形成されることが好ましく、必要に応じて、この導体を、ニッケル、銅、すず、または金やパラジウムなどの貴金属で無電解めっきすることができる。しかしながら、例示的な実施形態における導電性部材５４は、隣り合った導体間のスペース６８と、導電性部材と第２の導体５０間のスペース７０ができるように位置決めされる。したがって、芳香活性化システム４０の他の態様がないときには、導体４６と５０の間の電気接続も導体４６内の個々の導電性部材５４間の電気接続もなくなる。
【００２６】
切換要素５６は、最初、非導電性かまたはきわめて高い抵抗率を有し、最終的には導電性部材５４を互いに電気的に接続するために使用され、一連の抵抗器７２（図４Ｃを参照）は、導体４６と５０を互いに電気的に接続するために使用される。切換要素５６は、１つの導電性部材５４の第１のコネクタ部分５８から、隣り合った導電性部材の第２のコネクタ部分６２までと、各コネクタ部分内の拡張部分６０の間に延在する。抵抗器７２は、切換要素の上を導電性部材タブ６６から第２の導体５０まで延在する。たとえば図４Ｄと図４Ｅに示したように、芳香チャネル３６を、複数の個別のイベント部分４２（番号４２ａ〜４２ｉ）に細分することができる。イベント部分４２の各々は、１つの導電性部材５４からの第１のコネクタ部分５８と、一連の導電性部材の次の導電性部材の第２のコネクタ部分６２と、第１と第２のコネクタ部分を接続する切換要素５６と、第１のコネクタ部材を導体５０に接続する抵抗器７２と、芳香供給材料３８の、切換要素と抵抗器の上に配置された部分とから構成される。
【００２７】
図示した実施形態の芳香イベントは、以下のように進行する。たとえば、特定の芳香チャネル３６の第１の芳香イベントの間、短い電力パルスが、第１の導電性部材５４に送られるが、そのとき、第１の導電性部材５４は、接点４４および導体の直線状部分４８によって、一連の導体のうちの次の導電性部材から電気的に絶縁されている。パルスは、導電性部材タブ６６から、抵抗器７２、導体５０、そして、最終的に戻り線５２を通って、接点５３に伝わる。抵抗器７２にパルスが流れることにより、抵抗器が加熱されて蒸発する。抵抗器の気化自体は、顕著な芳香を生成しない。抵抗器７２をこのように機能させる材料は、炭素銀、炭素ニッケル、炭素銅などの炭素と炭素−金属混合物を含む。この熱によって、イベント部分４２ａと関連した芳香供給材料３８の部分が加熱され、ワックスやその他の固体材料が気化して、芳香材料が放出される。
【００２８】
また、抵抗器７２からの熱によって、切換要素５６が導電性になり、第１の導電性部材５４を一連の導電性部材のうちの次の導電性部材に電気的に接続させる。類似の特性を有する他の材料を使用することができるが、例示的な実施形態の切換要素は、はんだペーストなどの可融性材料から形成される。はんだ粒子のフラックスコーティングは、電力パルスを印加している間、はんだペーストに電流が流れるのを防ぐ。しかしながら、フラックスコーティングは、はんだが流れて、関連する導電性部材５４を互いに電気的に接続するときに、表面まで浮き上がるかまたは熱によって気化される。
【００２９】
例示的な導電性部材５４の形状は、隣り合った導電性部材が互いに接続されるようにはんだが流れるのに役立つ。より具体的には、はんだが液化して流れるときに、はんだビードは、ビードの長さ全体にわたって最終的に等しくなる表面張力を有する。表面張力が等しくなるため、コネクタ部分５８および６２の形状によって、はんだは、コネクタ部分の間のスペース６８の方に運ばれる。はんだビードは、膨らんで、スペース６８を横切るブリッジを形成し、これは、コネクタ部分の間に電気的な接続を確実に行うのに役立つ。
【００３０】
１つのパルスで、確実に１つのイベント部分４２だけが消費されるように、抵抗器７２に比較的短い電力パルスを印加した後で、導電性部材５４間の電気的な接続を開始するようにしなければならないことに注意されたい。したがって、パルスは、供給材料３８中のワックスやその他の固体材料を蒸発させ、かつ切換要素５６を活性化できるように抵抗器をゆっくりと加熱できるほど長く、しかもアレイ内の次のイベント部分４２を消費しないほど短くなければならない。適切なパルス持続時間は、振幅５Ｖで１０ミリ秒であり、周波数５Ｈｚで１０回繰り返される。
【００３１】
図５に、イベント部分４２ａを消費した後の例示的な芳香チャネル３６を示す。芳香供給材料３８のこのとき消費されたイベント部分４２ａ′に対応する部分がなくなっている。既に固体材料が蒸発し、芳香材料がまき散らされた。また、抵抗器７２は、その可融部分がなくなっており、それにより消費されたイベント部分４２ａ’が導体５０から切り離される。このため、抵抗器７２は、既知の箇所で破損しやすいように「ドッグボーン」形状を有するようにすることができる。このとき切換要素５６′が導通状態なので、次のイベント部分４２ｂは、接点４４に電気的に接続され、次の芳香イベント電力パルスに応答して消費される準備ができている。
【００３２】
製造に関して、芳香チャネル３６と芳香活性化システム４０を形成する１つの例示的な方法は、厚膜印刷プロセスである。再び図３と図４Ａを参照すると、プロセスの最初のステップは、接点４４、導体４６の個々の導体要素５４、導体５０、戻り線５２および接点５３を、ベース２９の後側３２に印刷することである。また、必要に応じて、これらの要素を、ニッケル、銅、すず、あるいは金やパラジウムなどの貴金属で無電解めっきすることができる。次に、図４Ｂに示したように、切換要素５６が、導体要素５４の上に印刷される。次に、図４Ｃに示したように、抵抗器７２が、切換要素５６上を導電性部材タブ６６から導体５０まで延在して活性化システム４０を完成するように印刷される。次に、芳香供給材料３８が、図４Ｄに示したように活性化システム４０上に印刷される。最後に、必要に応じて、蒸発可能な無香性材料（図示せず）の上層を芳香チャネル３６の上に付着させて、貯蔵中および使用中の芳香の望ましくない漏れを防ぐことができる。
【００３３】
厚膜印刷プロセスは、また、芳香チャネル３６と芳香活性化システム４０の高密度化を可能にする。それぞれ約７０の個別のイベント部分を有する１９の芳香チャネル３６を含む例示的なトレーディング・カードサイズの芳香貯蔵装置１０などの芳香貯蔵装置において、チャネルと接点４４のピッチ（すなわち、中心間の距離）は、約０．１００インチであり、導電性部材５４のトレース（またはパターン）のサイズとその間隔は、共に約０．０１５インチである。約０．１００インチのピッチは、それが一般的なコネクタ密度であるため有用であり、０．０１５インチのトレースおよび間隔のサイズは、ほとんどのスクリーニング・プロセスの許容範囲内にある。
【００３４】
次に芳香送出装置について説明する。たとえば図６と図７に図示したように、例示的な芳香送出装置２２は、芳香貯蔵装置１０上の芳香チャネル接点４４と結合する一連のパルス接点７６と、戻り接点５３と結合する接点７８とを備えたコネクタ７４を含む。電源８０は、その動作がコントローラ８２ならびに音響的／視覚的刺激因子（ここでは、コンピュータ・プロセッサ１４）と関連したコントローラとによって制御され、コネクタ７４に接続される。電源８０は、各接点７６毎に１つのキャパシタ（コンデンサ）がある、一連のキャパシタを備え、このキャパシタは、コントローラ８２からの信号に応答して電力パルスを供給して芳香イベントをトリガし、その後、次の芳香イベント信号を見越して再充電する。
【００３５】
例示的な芳香送出装置２２は、オプションとして、網付き吸込み口８６を通して空気を引き込み、網付き放出口２８から空気（および芳香材料）を押し出すモータ駆動ファン８４を含むことができる。ファン８４も、また、コントローラ８２と音響的／視覚的刺激因子によって制御され、連続的に稼働することができ、あるいは特定の用途に依存して芳香イベントだけに応答して作動することができる。
【００３６】
代替的には、芳香貯蔵装置１０全体を差し込むハウジングを含まない芳香送出装置を設けることができる。その場合、芳香貯蔵装置１０は、接点７６および７８と結合するように適応され、芳香チャネル３６が外側（および、好ましくはユーザの方）に向くように配向された小さなソケットに挿入される。ファンは必要なく、また、ハウジングは、単に、前述の電子構成要素を収容するだけのものである。
【００３７】
本発明の一連の受動性抵抗器アレイには、芳香貯蔵装置以外の用途がある。他の例示的な用途には、バス、スキーリフト、遊園地やその他の設備用のチケットなどのカウンタの計数および度数式料金用途がある。たとえば図８に図示したように、本発明によるスキーリフト券８８は、以下のように構成される。図４Ｃに示した芳香活性化システム４０に類似の抵抗器アレイが、適切な基板に取り付けられる。抵抗器アレイならびに基板の残りの部分を、シート９０（芳香材料に対して）が覆う。このシートは、一連の番号が付けられた楕円マーク９２を含む。各マーク９２は、山をリフトで登ることを表し、抵抗器の上に配置される。したがって、例示的なスキーリフト券８８には１０の抵抗器がある。
【００３８】
チケットは、ユーザが設備を使用する前、その間またはその後で、チケットを受け取り、必要なエネルギー・パルスをそれに供給するように構成された装置にチケットを差し込むことによって「パンチ」することができる。チケットは、スキーリフトのところに配置された装置で接点４４にパルスを印加することによって初めて「パンチ」されたときに、第１の抵抗器が燃焼する。抵抗器からの熱により、抵抗器と関連付けられたシートの部分（すなわち、第１の楕円マーク９２）が変色する。これにより、チケットが１回使用されたことを示す標識９４が生成され、まだ変色していないマーク９２は、リフト９回分が残っていることを示す。この「パンチング（穴開け）」プロセスは、最後のマーク９２が変色し、残りのリフト回数がなくなるまで続く。その時点で、チケットの「有効回数が終了した」という事実を、チケット上に残っている開路によって電子的に検出することができ、また視覚的にも検出することができる。
【００３９】
また、図８に図示した例示的なチケット８８には、偽造を防ぎ、かつあるスキーリフト（または、バス路線やその他の場所または行事）に使用するように意図されたチケットが別のものに使用されるのを防ぐための識別機能、認証機能またはセキュリティ機能を含めることができる。図８に示した実施形態において、チケットは、チケット「パンチング」装置が読み取ることができる所定のパターンおよび位置に一連の穴９６を含む。適正なパターンのないチケットは、「パンチ」されない。代替的に、または、これに加えて、チケット８８は、１つまたは複数の縁にキー・スロットを含むことができる。チケット８８は、また、所定の場所に、電気的検出のための１つまたは複数の接地された接点を含むことができる。
【００４０】
以上、本発明を好適な実施形態に関して説明したが、当業者には、それらの好適な実施形態に対して多数の変更および／または追加を行うことは容易であろう。
【００４１】
１例として（限定するのではない）、芳香材料は、受動性抵抗器アレイの上に形成された個別の構造ではなくて抵抗器の一部分とすることもできる。また、代替の切換要素を使用することもできる。１つの例は、（抵抗器からの熱ではなくて）静電破壊を利用する切換要素である。より具体的には、誘電体中の金属粉末（銅粉末など）の比較的希薄な混合物に十分に強い電界を加えることによって、非導電状態から導電状態に切り換えることができる。銅粒子は、点接触だけを有するかまたは薄い誘電体層によって分離される。電界が、絶縁破壊を起こして、導電経路を形成する。次に、炭素を形成するかまたは銅を溶融し芳香供給材料を加熱するのに十分な電流が流れる。いずれの場合も、材料は、完全な導電状態になる。この種の切換要素に関するその他の情報は、米国特許第５，００６，８５６号に記載されている。
【００４２】
本発明の範囲は、そのようなすべての修正および／または追加に適用されるものである。
【００４３】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施態様を示す。
１．ベース部材（２９）と、
ベース部材（２９）によって支持された芳香供給材料（３８）と、
前記ベース部材（２９）によって支持された芳香活性化システム（４０）
を備え、
最初は、前記芳香活性化システム（４０）が、第１のエネルギーパルスの印加に応答して芳香供給材料（３８）の第１の所定部分を、前記芳香供給材料（３８）の第２の所定部分を活性化させることなく選択的に活性化するように、構成されており、前記第１のエネルギーパルスによって再構成されて、前記芳香供給材料（３８）の前記第２の所定部分が、第２のエネルギー・パルスの印加に応答して活性化されるようになっている、芳香貯蔵装置。
２．前記ベース部材（２９）が比較的小さなカードを構成する、上項１の芳香貯蔵装置。
３．前記芳香供給材料（３８）が、熱の印加に応答して蒸発する固体材料ならびに芳香材料とを含む、上項１または２の芳香貯蔵装置。
４．前記固体材料がワックスからなる、上項３の芳香貯蔵装置。
５．前記芳香供給材料（３８）が、複数の個別の芳香供給材料からなり、前記芳香活性化システム（４０）が、前記複数の芳香供給材料にそれぞれ関連付けられた複数の個別の芳香活性化システムからなる、上項１乃至４の芳香貯蔵装置。
６．前記芳香活性化システム（４０）が、受動性の一連の抵抗器アレイを含む、上項１乃至５の芳香貯蔵装置。
７．前記芳香活性化システム（４０）が、電気的に絶縁された一連の導電性部材（５４）と、前記導電性部材（５４）を選択的に電気的に接続する、対応する一連のスイッチ（５６）と、前記導電性部材（５４）にそれぞれ関連付けられた対応する一連の抵抗器（７２）とを含む、上項１乃至６の芳香貯蔵装置。
８．前記スイッチ（５６）が、最初は実質的に非導電性であり、抵抗器（７２）からの熱の印加に応答して導電性になる材料から構成される、上項７の芳香貯蔵装置。
９．前記芳香活性化システム（４０）が、前記ベース部材（２９）と前記芳香供給材料（３８）の間に実質的に配置される、上項１乃至８の芳香貯蔵装置。
１０．前記芳香供給材料（３８）が、前記所定の部分を含む細長い単一構造からなる、上項１乃至９の芳香貯蔵装置。
【００４４】
【発明の効果】
本発明によれば、使いやすく、かつ、正確で安価な芳香貯蔵装置が提供される。さらに、本発明によれば、たとえば芳香供給材料の所定部分を選択的に活性化するために使用できる装置が提供される。尚、本発明の芳香貯蔵装置（１０）は、ベース部材（２９）と、ベース部材（２９）によって支持された複数の芳香チャンネル（３６）を備える。各芳香チャンネル（３６）は、芳香供給材料（３８）と、芳香供給材料（３８）の所定の部分を選択的に活性化する芳香活性化システム（４０）を備える。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の好適な実施形態による芳香送出装置を備えたコンピュータ・システムの正面図である。
【図２】本発明の好適な実施形態による芳香貯蔵装置の正面図である。
【図３】図２に示した例示的な芳香貯蔵装置の背面図である。
【図４Ａ】図２と図３に示した例示的な芳香貯蔵装置からの芳香チャネルの一部分を示す部分平面図である。
【図４Ｂ】図２と図３に示した例示的な芳香貯蔵装置からの芳香チャネルのより大きな部分を示す部分平面図である。
【図４Ｃ】図２と図３に示した例示的な芳香貯蔵装置からの芳香チャネルのさらに大きな部分を示す部分平面図である。
【図４Ｄ】図２と図３に示し例示的な芳香貯蔵装置からの完全な芳香チャネルを示す部分平面図である。
【図４Ｅ】図４Ｄの線４Ｅ−４Ｅに沿って切断した断面図である。
【図５】芳香イベント部分の１つが消費された後の図２と図３に示した例示的な芳香貯蔵装置からの芳香チャネルを示す部分平面図である。
【図６】例示的な芳香送出装置の内部を示す部分断面図である。
【図７】コネクタに挿入された例示的な芳香貯蔵装置を示す平面図である。
【図８】本発明の好適な実施形態によるスキーリフト券の平面図である。
【符号の説明】
１０芳香貯蔵装置
２２芳香送出装置
２９ベース部材
３８芳香供給材料
５０、５４導電性部材
５６スイッチ
７２抵抗器
９０変色可能材料

Claims

ベース部材（２９）と、
前記ベース部材（２９）によって支持された芳香供給材料（３８）と、
前記ベース部材（２９）によって支持された、一連の導電性部材（５４）を有する芳香活性化システム（４０）であって、前記一連の導電性部材の各々の導電性部材は互いに電気的に絶縁されていることからなる、芳香活性化システム
を備え、
最初は、前記芳香活性化システム（４０）は、第１の導電性部材への第１の電力パルスの印加に応答して前記芳香供給材料（３８）の第１の所定部分を、前記芳香供給材料（３８）の第２の所定部分を活性化させることなく選択的に活性化するように、構成されており、前記第１の電力パルスによって前記第１の導電性部材を第２の導電性部材に接続するよう再構成されて、前記芳香供給材料（３８）の前記第２の所定部分が、前記第２の導電性部材への第２の電力パルスの印加に応答して活性化されるようになっている、芳香貯蔵装置。
前記ベース部材（２９）が比較的小さなカードを構成する、請求項１の芳香貯蔵装置。
前記芳香供給材料（３８）が、熱の印加に応答して蒸発する固体材料ならびに芳香材料とを含む、請求項１または２の芳香貯蔵装置。
前記固体材料がワックスからなる、請求項３の芳香貯蔵装置。
前記芳香供給材料（３８）が、複数の個別の芳香供給材料からなり、前記芳香活性化システム（４０）が、前記複数の芳香供給材料にそれぞれ関連付けられた複数の個別の芳香活性化システムからなる、請求項１乃至４のいずれかの芳香貯蔵装置。
前記芳香活性化システム（４０）が、受動性の一連の抵抗器アレイを含む、請求項１乃至５のいずれかの芳香貯蔵装置。
前記芳香活性化システム（４０）が、前記導電性部材（５４）を選択的に電気的に接続する、前記導電性部材（５４）に対応する一連のスイッチ（５６）と、前記導電性部材（５４）にそれぞれ関連付けられた対応する一連の抵抗器（７２）とを含む、請求項１乃至６のいずれかの芳香貯蔵装置。
前記スイッチ（５６）が、最初は実質的に非導電性であり、抵抗器（７２）からの熱の印加に応答して導電性になる材料から構成される、請求項７の芳香貯蔵装置。
前記芳香活性化システム（４０）が、前記ベース部材（２９）と前記芳香供給材料（３８）の間に実質的に配置される、請求項１乃至８のいずれかの芳香貯蔵装置。
前記芳香供給材料（３８）が、前記所定の部分を含む細長い単一構造からなる、請求項１乃至９のいずれかの芳香貯蔵装置。