JP3618218B2 - Egr装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンのEGR装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンのNOx対策として排気ガスの一部を吸気側に還流するEGR装置がよく知られている。このうち、EGRガスの濃度を高めるため、EGRガスを冷却するクーラ(熱交換器)を備えるものがある(実開平6ー34160号公報,特開平9ー280118号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
熱交換で冷却される部分は、EGRガスの凝縮水などにより、煤などの付着しやすい条件下にあり、通路の内周に煤などが付着すると、圧力損失の増加や冷却効率の低下およびこれらに伴うEGR率の低下を招くという不具合があった。また、水冷式の熱交換器では、EGRガスが流れる通路の外周に水垢など汚れが付着すると、冷却効率の低下を招くという可能性も考えられる。
【0004】
この発明は、このような問題点を解決するための有効な対策手段の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、冷却管を通過するEGRガスとその回りを通過する冷却液体との間で熱交換を行うクーラを備えるEGR装置において、冷却管の両開口端に脱落防止用のストッパを形成する一方、これらの間で冷却管の内周を軸方向へ伸縮可能な2種の螺旋部材を直列に備えてなり、これら螺旋部材は形状記憶合金で作られ、その一方は常温時に縮み、高温時に伸びる特性、もう一方は常温時に伸び、高温時に縮む特性、に設定する。
【0006】
第2の発明では、冷却管を通過するEGRガスとその回りを通過する冷却液体との間で熱交換を行うクーラを備えるEGR装置において、冷却管の両開口端に脱落防止用のストッパを形成する一方、これらの間で冷却管の外周を軸方向へ伸縮可能な2種の螺旋部材を直列に備えてなり、これら螺旋部材は形状記憶合金で作られ、その一方は常温時に縮み、高温時に伸びる特性、もう一方は常温時に伸び、高温時に縮む特性、に設定する。
【0007】
第3の発明では、第1の発明または第2の発明において、2種の螺旋部材の温度に対する伸縮量を略同一に設定する。
【0008】
【発明の効果】
第1の発明では、2種の螺旋部材が温度の変化で冷却管の内周を伸縮し、その動きで冷却管の内周に付着した煤などを掻き落とすようになる。このため、煤などが冷却管に付着し過ぎることがなく、良好なEGR性能を安定的に確保できる。また、螺旋部材が冷却管の内周に螺旋の凹凸を形成するため、伝熱面積が増加するほか、螺旋の凹凸が適度な乱流を発生させることにより、熱交換効率の向上も得られる。この場合においては、脱落防止用のストッパ間に2種の螺旋部材が直列に備えられ、一方が伸びるともう一方が縮む、関係に特性が与えられるので、冷却管の内周に付着した煤などを適確に掻き落とすことが可能になる。
【0009】
第2の発明では、2種の螺旋部材が温度の変化で冷却管の外周を伸縮し、その動きで冷却管の内周に付着した汚れを掻き落とすようになる。このため、汚れの付着で冷却効率およびEGR率が低下するのを防止できる。また、螺旋部材が冷却管の内周に螺旋の凹凸を形成するため、伝熱面積が増加するほか、螺旋の凹凸が適度な乱流を発生させることにより、熱交換効率の向上も得られる。この場合においては、脱落防止用のストッパ間に2種の螺旋部材が直列に備えられ、一方が伸びるともう一方が縮む、関係に特性が与えられるので、冷却管の外周に付着した汚れを適確に掻き落とすことが可能になる。
【0010】
第3の発明では、2種の螺旋部材がストッパ間をガタ付かないようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1,図2において、EGRガスの通路途中に介装されるクーラ10(熱交換器)は、筒形の胴体11とその内部を軸方向へ貫通する複数の冷却管12とからなり、各冷却管12の回りに胴体11で囲われる流路13が形成される。胴体11に流路13の入口部14と出口部15が設けられる。
【0012】
各冷却管12の内部に流路16が形成され、これらの両端は胴体11の端面11aに開口される。図示しないが、蓋体が胴体11の両端11aに取り付けられ、胴体11の端面11aとの間に各流路16の集合部を形成する。蓋体の一方に集合部を介して流路16に連通する入口部が、もう一方に同じく出口部が設けられる。
【0013】
各冷却管12の内部には螺旋部材17が設けられる。図3にも表すように、螺旋部材17はその一端(螺旋の端末)が脱落防止用のストッパ18を介して冷却管12の開口端に固定され、温度に依存する長さの変化により、冷却管12の内周に接触しながら伸縮可能になっている。
【0014】
クーラ10はEGRガスの通路途中でその上流側に蓋体の入口部が、同じく下流側に蓋体の出口部が接続される一方、冷却水を循環させる通路途中でその上流側に胴体11の入口部14が、同じく下流側に胴体11の出口部15が接続される。
【0015】
EGRが行われると、EGRガスはクーラ10を経由して吸気側へ供給される。EGR率はクーラ10下流のEGR弁で制御される。クーラ10において、各冷却管12の内部を通過するEGRガスは、胴体11の内部を流れる冷却水との熱交換により冷却され、EGR弁へ送り出されるのである。
【0016】
この熱交換で冷却される部分は、EGRガスの凝縮水などにより、煤などが付着しやすくなる。冷却管12の内周に煤などが付着すると、圧力損失の増加や冷却効率の低下およびこれらに伴うEGR率の低下を招く可能性が考えられる。これを防止するのが螺旋部材17であり、周囲の温度に依存して管壁に接触しながら伸縮する。
【0017】
たとえば、螺旋部材17の縮み状態において、図4のように煤などが冷却管12の内周に付着しても、周囲の温度が高くなると、螺旋部材17が図5のように伸び状態に変化しながら、冷却管12から煤などを掻き落とすようになる。また、周囲の温度が低くなる(常温時)と、逆に螺旋部材17は縮み状態に変化しながら、伸び状態において付着した煤などを冷却管12から掻き落とすようになる。
【0018】
そのため、煤などが冷却管12の内周に付着し過ぎることがなく、既述の不具合(圧力損失の増加や冷却効率の低下およびこれらに伴うEGR率の低下)が防止されるため、良好なEGR性能を安定的に確保できる。
【0019】
螺旋部材17は冷却管12の内周に螺旋の凹凸を形成するため、流路間の伝熱面積が増加するほか、螺旋の凹凸が適度な乱流をEGRガスの流れに発生させることにより、熱交換効率の向上も得られる。
【0020】
図6〜図9は別の実施形態を説明するものであり、図6,図7では冷却管12の両開口端に脱落防止用のストッパ18が形成され、これらの間に複数の螺旋部材17(17a,17b)が直列に設けられる。これら螺旋部材17a,17bは例えば形状記憶合金で作られ、その一方17bには常温時に縮み、高温時に伸びる特性が、もう一方17aには常温時に伸び、常温時に縮む特性が与えられる。両者の伸縮量はストッパ18間をこれら螺旋部材17a,17bがガタ付かないよう、略同等に設定される。
【0021】
これによると、周囲の温度で螺旋部材17a,17bが機敏に伸縮するため、冷却管17から煤などの適確な掻き落としが可能になる。また、形状記憶合金では通常の金属よりも、同じ温度変化に対して大変形が得られ、螺旋部材17による掻き落とし面積を大きく取ることが可能になる。
【0022】
図8,図9の実施形態では、冷却管12の両開口端に脱落防止用のストッパ18が形成され、螺旋部材17はこれらストッパ18間を移動可能に設けられる。螺旋部材17は温度の変化で冷却管12の内部を管壁に接触しながら伸縮するが、その伸び状態においてもストッパ18間を移動可能なため、伸縮する位置を変えることにより、煤などを冷却管12から全面的に除去できるようになる。
【0023】
図10は別の実施形態を表すものであり、胴体11で囲われる冷却水の流路において、各冷却管12の外周を周囲の温度に依存して伸縮可能な螺旋部材17が設けられる。冷却水は水垢など汚れをもたらすが、螺旋部材17の伸縮により、冷却管12の外周に付着した汚れを掻き落とせるため、汚れの付着に原因する熱交換効率(冷却効率)の低下およびこれに伴うEGR率の低下を防止できる。
【0024】
螺旋部材17は冷却管12の外周に螺旋の凹凸を形成するため、流路13と流路16との間の伝熱面積が増加するほか、螺旋の凹凸が適度な乱流を冷却水の流れに発生させることにより、熱交換効率の向上も得られる。なお、図1と同じ部位は同じ符号を付ける。
【0025】
この螺旋部材17についても、図6,図7と同じ形状記憶合金製のものを用い、胴体11の両端11a間で直列に設けるようにしてもよい。また、図8,図9と同じように冷却管12の外周を移動可能に設けてもよい。
【0026】
図1および図10において、クーラ10はその内部に複数の冷却管12を備えるが、冷却管は1本のみ形成し、EGRガスの通路に直結するようにしてもよい。また、図1〜図9において、冷却管12の内径は圧力損失との関係から、螺旋部材17をもたない従来の場合に較べると、これらの径寸法分だけ大きく形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を表すクーラの断面図である。
【図2】同じくクーラの前面図である。
【図3】同じく冷却管の拡大断面図である。
【図4】同じく作用説明図である。
【図5】同じく作用説明図である。
【図6】別の実施形態を説明する冷却管の拡大断面図である。
【図7】同じく作用説明図である。
【図8】別の実施形態を説明する冷却管の拡大断面図である。
【図9】同じく作用説明図である。
【図10】別の実施形態を表すクーラの断面図である。
【符号の説明】
11 胴体
12 冷却管
13 冷却水の流路
16 EGRガスの流路
17,17a,17b 螺旋部材
Claims (3)
- 冷却管を通過するEGRガスとその回りを通過する冷却液体との間で熱交換を行うクーラを備えるEGR装置において、冷却管の両開口端に脱落防止用のストッパを形成する一方、これらの間で冷却管の内周を軸方向へ伸縮可能な2種の螺旋部材を直列に備えてなり、これら螺旋部材は形状記憶合金で作られ、その一方は常温時に縮み、高温時に伸びる特性、もう一方は常温時に伸び、高温時に縮む特性、に設定したことを特徴とするEGR装置。
- 冷却管を通過するEGRガスとその回りを通過する冷却液体との間で熱交換を行うクーラを備えるEGR装置において、冷却管の両開口端に脱落防止用のストッパを形成する一方、これらの間で冷却管の外周を軸方向へ伸縮可能な2種の螺旋部材を直列に備えてなり、これら螺旋部材は形状記憶合金で作られ、その一方は常温時に縮み、高温時に伸びる特性、もう一方は常温時に伸び、高温時に縮む特性、に設定したことを特徴とするEGR装置。
- 2種の螺旋部材の温度に対する伸縮量を略同一に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のEGR装置。
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