JP3617369B2 - 極低炭素鋼板のサブマージアーク溶接方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋梁、鉄骨構造等の鋼構造物、あるいは溶接鋼管などの使途に好適な極低炭素鋼板の、サブマージアーク溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、鋼材の溶接性を向上させる目的から、0.03wt%以下とC量を著しく低減した極低炭素鋼が検討され、溶接構造物として実際に使用されるようになっている。これら極低炭素鋼は、従来に比較して炭素当量を著しく低減でき、溶接部の低温割れ感受性の低減が期待される。また、これら極低炭素鋼溶接金属は、一般に高温割れ感受性が低いと考えられていた。
【0003】
しかしながら、使用する鋼材のC量が0.03wt%以下という極低炭素鋼を、既存の溶接材料を用いてサブマージアーク溶接を行うと、溶接材料によっては高温割れが発生しやすいという問題があった。
このような問題に対し、例えば、特開昭58−53377号公報には、Cを0.005 〜0.06wt%含有する鋼を、C:0.15〜0.60wt%を含有するワイヤおよびC:0.05〜1.5 wt%含有するフラックスのいずれか一方または両者を用いて、少なくとも1層目の溶接を行うサブマージアーク溶接方法が提案されている。特開昭58−53377号公報に記載された技術では、溶接金属のC量を、高温割れが発生しないC量である、0.06〜0.16%の範囲となるようにワイヤとフラックスを選定している。
【0004】
また、特公昭60−16878号公報には、C:0.19〜0.55wt%、Si:0.01〜0.5 wt%、Mn:0.9 〜3.5 wt%を含有する溶接ワイヤおよびTiO2換算で、5 〜30wt%含有するルチルおよび/またはチタンスラグ、B2O3換算で0.05〜1.0 wt%を含有する硼酸、硼酸塩、硼砂の1種以上を添加した塩基性フラックスを用いて、0.005 〜0.05wt%のCを含有する鋼を溶接し、C:0.07〜0.13wt%、TiおよびBを含有する溶接金属を得る極低炭素鋼の潜孤溶接法が提案されている。特公昭60−16878号公報に記載された技術では、溶接金属のC量を高温割れが発生しないC量である0.07〜0.13wt%とするため、C量を0.19〜0.55wt%と高めた溶接ワイヤを使用し、さらに、フラックスおよび/またはワイヤからTiとBを複合添加し、0.035wt %以下のTi、0.005 wt%以下のBを含有する溶接金属としている。
【0005】
また、特公平3−23266 号公報には、C:0.005 〜0.05wt%未満含有する極低炭素鋼を、溶接金属のC量が0.03wt%以下となるようなC量を含むワイヤとの組合せで溶接するサブマージアーク溶接方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特開昭58−53377号公報、特公昭60−16878号公報、特公平3−23266 号公報に記載された技術では、いずれも溶接金属の高温割れが発生しやすいC領域を避けて、溶接金属のC量が0.03wt%以下、あるいは0.07〜0.13wt%の範囲となるように、溶接ワイヤのC量を極端に高め、あるいは極端に低めに調整している。しかしながら、極低Cの溶接ワイヤ、あるいは高Cの溶接ワイヤは、特殊な溶接材料で汎用性のある溶接材料とは言えないため、製造コストが高くなり経済的に不利となるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、特殊なC量範囲の溶接ワイヤを使用せずに、耐高温割れ性に優れた溶接金属を容易に形成できる、極低炭素鋼板のサブマージアーク溶接方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するため、極低炭素鋼板をサブマージアーク溶接するに際し、溶接金属の高温割れ性におよぼす溶接金属組成の影響について鋭意研究した。その結果、溶接金属の高温割れ性は溶接金属中のC、S、B量により大きく影響されることを見いだした。そして、極低炭素鋼板の組成(C、S、B量)に応じて、溶接ワイヤ中のS量、あるいはさらにB量の調整を行うのみで、溶接ワイヤのC量を、0.04〜0.10wt%の通常の範囲としても溶接金属の高温割れが防止できるという知見を得た。
【0009】
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討して完成されたものである。
すなわち、本発明は、C:0.03wt%以下、B:0.0030wt%以下を含有する極低炭素鋼板をサブマージアーク溶接するに際し、前記極低炭素鋼板のS含有量が0.010 wt%以下である鋼板に、該鋼板の組成に応じ、溶接金属がC:0.03〜0.06wt%を含有し、かつ次(1)式
P(CW )−1/100 ×{(SW /0.010 )4 +(BW /0.0025)4 }≧0─ (1)
( ここに、P(CW )=−1000CW 3 +250 CW 2 −17.1CW +0.4 、CW :溶接金属中のC含有量(wt%)、BW :溶接金属中のB含有量(wt%)、SW :溶接金属中のS含有量(wt%))
を満足するように、C:0.04〜0.10wt%、S:0.003 〜0.015 wt%を含有する溶接用ワイヤを組合せて溶接することを特徴とする極低炭素鋼板のサブマージアーク溶接方法である。
【0010】
また、本発明では、前記溶接ワイヤを、C:0.04〜0.10wt%、S:0.003 〜0.015 wt%を含有し、好ましくはさらにSi:0.5 wt%以下、Mn:2.50wt%以下、P:0.015 wt%以下、Ti:0.50wt%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなるワイヤとするのが好ましい。
また、本発明では、前記溶接ワイヤを、C:0.04〜0.10wt%、S:0.003 〜0.015 wt%を含有し、好ましくはさらにSi:0.5 wt%以下、Mn:2.50wt%以下、P:0.015 wt%以下、Ti:0.50wt%以下を含み、さらにMo:1.0 wt%以下、Cu:1.0 wt%以下、Cr:1.0 wt%以下、Ni:3.5 wt%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるワイヤとするのが好ましい。
【0011】
また、本発明では、前記溶接ワイヤを、C:0.04〜0.10wt%、S:0.003 〜0.015 wt%、B:0.010 wt%以下を含み、好ましくはさらにSi:0.5 wt%以下、Mn:2.50wt%以下、P:0.015 wt%以下、Ti:0.50wt%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるワイヤとするのが好ましい。
また、本発明では、前記溶接ワイヤを、C:0.04〜0.10wt%、S:0.003 〜0.015 wt%、B:0.010 wt%以下を含み、好ましくはさらにSi:0.5 wt%以下、Mn:2.50wt%以下、P:0.015 wt%以下、Ti:0.50wt%以下を含み、さらにMo:1.0 wt%以下、Cu:1.0 wt%以下、Cr:1.0 wt%以下、Ni:3.5 wt%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるワイヤとするのが好ましい。
【0012】
なお、本発明の溶接ワイヤは、いずれもCuめっきを施されたワイヤとするのが好ましい。
また、本発明では、前記溶接に際し、BをB2O3換算で2.0 wt%以下含有するフラックスを使用してもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する極低炭素鋼板は、C:0.03wt%以下、B:0.0030wt%以下を含有する鋼板である。
極低炭素鋼板は、溶接硬化性が低く予熱フリーの溶接施工が期待できる。極低炭素鋼板では、Cを0.03wt%以下と低減することにより、アークストライクのような冷却速度が非常に早い溶接の場合でも、溶接熱影響部にマルテンサイト組織を形成することはない。このため、極低炭素鋼板は、溶接により鋼構造物とされる建築用鋼材、あるいは耐候性を付与された建築用鋼材、あるいはパイプ材等に多用されている。
【0014】
また、極低炭素鋼板では、0.03wt%以下とC量を極めて低くしているため、所望の強度を確保するには、合金元素の添加が必須となる。とくに、少量で焼入れ性を向上させるBは、高強度を得るために必須の元素である。本発明では、Bを0.0030wt%以下含有する鋼板を対象とする。なお、Bは0.0010wt%以上含有することが好ましい。
【0015】
C、B以外の合金元素の添加は、所望の強度に応じ、適正範囲添加できる。
例えば、570 MPa 級建築用鋼材としては、C:0.03wt%以下、B:0.0030wt%以下に加え、Si:0.50wt%以下、Mn:0.8 〜3.0 wt%、P:0.015 wt%以下、Cu:0.2 〜2.0 wt%、Ni:0.1 〜1 wt%、Cr:0〜1.0 wt%、Al:0.01〜0.05wt%を含み、Nb:0.005 〜0.1 wt%、Ti:0.005 〜0.1 wt%、V:0.005 〜1.0 wt%、のうちの1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるのが好ましい。
【0016】
また、 570MPa 級耐候性鋼材としては、C:0.03wt%以下、B:0.0030wt%以下に加え、Si:0.4 wt%以下、Mn:0.8 〜1.4 wt%、P:0.020 wt%以下、Cu:0.2 〜2.0 wt%、Ni:0.2 〜3.0 wt%、Cr:0〜1.0 wt%、Al:0.01〜0.05wt%を含み、Nb:0.005 〜0.1 wt%、Ti:0.005 〜0.1 wt%、V:0.005 〜0.1 wt%、のうちの1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるのが好ましい。
【0017】
また、API 5LX80 級パイプ用鋼材としては、C:0.03wt%以下、B:0.0030wt%以下に加え、Si:0.50wt%以下、Mn:0.8 〜3.0 wt%、P:0.015 wt%以下、Cu:0.2 〜2.0 wt%、Ni:0.2 〜2.0 wt%、Cr:0〜1.0 wt%、Al:0〜0.05wt%、Nb:0.005 〜0.10wt%、を含み、Ti:0.005 〜0.1 wt%、V:0.005 〜0.1 wt%、Mo:0.05〜0.50wt%のうちの1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるのが好ましい。なお、鋼板および溶接部の強度、靱性向上に、0.2 wt%以上のCu含有はとくに有効である。より好ましいCu含有量は0.35wt%以上、さらに好ましくは0.40wt%以上である。
【0018】
そして、本発明で使用する極低炭素鋼板のS含有量は0.010 wt%以下に限定する。S含有量が0.010 wt%を超えると、溶接金属の高温割れ感受性が高くなる。このため、極低炭素鋼板のS含有量は0.010 wt%以下に限定した。
本発明では、上記した組成の極低炭素鋼板をサブマージアーク溶接する際に、組合わせる溶接用ワイヤはC:0.04〜0.10wt%、S:0.003 〜0.015 wt%を含み、あるいはさらにB:0.010 wt%以下を含有する溶接用ワイヤとし、かつ溶接金属が、C:0.03〜0.06wt%を含有し、かつ次(1)式
P(CW )−1/100 ×{(SW /0.010 )4 +(BW /0.0025)4 }≧0─ (1)
(ここに、P(CW )=−1000CW 3 +250 CW 2 −17.1CW +0.4 、CW :溶接金属中のC含有量(wt%)、BW :溶接金属中のB含有量(wt%)、SW :溶接金属中のS含有量(wt%))
を満足する耐高温割れ性に優れた溶接金属となるように、鋼板組成に応じ、溶け込み率を予測して溶接用ワイヤのC量、およびS量、あるいはB量を調整した溶接用ワイヤを組み合わせて使用する。ここで、P(CW )は、本発明者らが実験等により求めたCW (溶接金属中のC含有量)による溶接金属の高温割れの発生し易しさを示すパラメータであり、P(CW )値が低いほど高温割れが発生しやすい。
【0019】
溶接金属のC、B、S量が、
P(CW )−1/100 ×{(SW /0.010 )4 +(BW /0.0025)4 }<0
となる場合には、溶接金属に高温割れが多発する。このため、溶接金属のC、B、S量が(1)式を満足するように、鋼板の組成に応じ溶接ワイヤの組成を調整する。
【0020】
つぎに、溶接用ワイヤの組成の限定について説明する。
C:0.04〜0.10wt%
Cは、溶接金属の強度を増加させる元素であるが、0.04wt%未満では所望の強度を得ることができない。一方、0.10wt%を超える含有は、靱性が低下するとともに低温割れ感受性が増大する。このため、Cは0.04〜 0.10 wt%の範囲に限定した。
【0021】
S:0.003 〜0.015 wt%
Sは、溶接金属の靱性を低下させ、また高温割れの原因にもなる元素であるが、0.003 wt%未満では、溶接時に溶融メタルの粘性が高くなり、欠陥を生じやすく、一方、0.015 wt%を超えると、靱性の劣化が著しくなる。このため、Sは0.003 〜0.015 wt%に限定した。
【0022】
B:0.010 wt%以下
溶接用ワイヤからBを添加する場合には、溶接用ワイヤ中に含有されるBは0.010 wt%以下とするのが好ましい。Bが0.010 wt%を超えて含有されると、ワイヤ素材の連続鋳造時に割れを生じやすく、また、溶接金属の硬化性が高くなりすぎ靱性が低下するという問題がある。
【0023】
C、S、あるいはB以外の溶接用ワイヤの成分は、所望の強度、あるいは所望の他の特性に応じ、適宜調整できる。好ましくはSi:0.5 wt%以下、Mn:2.50wt%以下、P:0.015 wt%以下、Ti:0.50wt%以下を含み、あるいはさらにMo:1.0 wt%以下、Cu:1.0 wt%以下、Cr:1.0 wt%以下、Ni:3.5 wt%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるワイヤとするのがよい。
【0024】
Si:0.5 wt%以下
Siは、溶接金属の脱酸のために不可欠の元素であり、また溶接金属の強度を増加させる元素であが、0.5 wt%を超える含有は、靱性を劣化させる。このため、Siは0.5 wt%以下とするのが好ましい。なお、より好ましくは、0.20〜0.40wt%である。
【0025】
Mn:2.50wt%以下
Mnは、溶接金属の強度および靱性を増加させる元素である。しかし、2.50wt%を超える含有は、靱性が低下するとともに低温割れ感受性が増大する。このため、Mnは2.50wt%以下に限定するのが好ましい。
P:0.015 wt%以下
Pは、溶接金属の靱性を低下させる元素であり、できるだけ低減するのが好ましい。P含有量が0.015 wt%を超えると、靱性の劣化が著しくなる。このため、Pは0.015 wt%以下とするのが好ましい。
【0026】
Ti:0.50wt%以下
Tiは、析出強化により溶接金属の強度を増加させる元素であり、強度増加のために含有するが、0.50wt%を超えて含有すると、強度は増加するが靱性が劣化する。このため、Tiは0.50wt%以下とするのが好ましい。
Mo:1.0 wt%以下、Cu:1.0 wt%以下、Cr:1.0 wt%以下、Ni:3.5 wt%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Mo、Cu、Cr、Niは、いずれも溶接金属の強度、靱性をを増加させる元素であり、必要に応じ、含有できる。しかし、Mo、Cu、Crは1.0 wt%を、Niは3.5 wt%を超える含有は溶接金属の靱性を劣化させる。
【0027】
その他、残部はFeおよび不可避的不純物である。なお、Alは溶接金属の脱酸剤として作用するため、必要に応じ0.01〜0.04wt%添加できる。
上記した組成の溶接ワイヤと組合せて使用されるフラックスは、用途に応じ、通常公知の組成の溶融フラックス、あるいは焼成フラックスいずれも好適に使用できる。なお、好ましいフラックスとしては、20〜30wt%SiO2−0〜10wt%Al2O3 −20〜40wt%CaO −10〜30wt%CaF2系のフラックス、30〜50wt%SiO2−0〜10wt%Al2O3 −10〜30wt%CaO −10〜30wt%%MgO −10〜20wt%CaF2系のフラックスが例示できる。その他、塩基度、スラグの流動性を改善するために、MnO 、TiO2、BaO 、ZrO2を添加してもよい。
【0028】
また、Bをフラックスから添加する場合には、B2O3をフラックスに0.20wt%以下添加できる。フラックスへのB2O3添加が2.0 wt%を超えると、高温割れの発生に加えて、溶接金属の焼入性が増大しすぎ靱性が劣化するという問題がある。
【0029】
【実施例】
表1に示す極低炭素鋼板(板厚:20mm)を、図1に示す開先形状に加工して、表2に示す溶接ワイヤと、表3に示すフラックスとを組み合わせ、表4に示す溶接条件でサブマージアーク溶接継手(溶接長さ1000mm)を作製した。各溶接継手について、溶接金属の化学組成、溶接部における割れ個数、および溶接金属中央部におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギー(vE−20 )を調査した。溶接部における割れ個数は、溶接全長の各10箇所から採取した継手部断面について光学顕微鏡(倍率×50)、あるいは拡大投影機(倍率×25)で観察し全断面の合計個数として測定した。
【0030】
これらの結果を表5に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
本発明例では、溶接金属のCが従来高温割れを発生しやすい領域であるといわれていた0.03〜0.06wt%の範囲内となっているにもかかわらず、溶接金属の割れ個数は0であり、耐高温割れ性に優れた溶接金属が形成されている。また、本発明例では、溶接金属のvE−20 が150 J以上と高く、優れた靱性を有する溶接金属が形成されている。
一方、本発明の範囲を外れる比較例は、溶接金属に多数の割れを発生し、耐高温割れ性が劣化している。なお、比較例である継手No.6のように鋼板、ワイヤ、およびフラックスそれぞれは好適範囲内であるが、それらの組合せ、あるいはそれらの組合せと溶接条件との組合せが不適切な場合には、溶接金属が本発明範囲を満足しなくなる。このような場合は、ワイヤ中のC、あるいはB含有量、フラックス中のB含有量を低減し、溶接金属を本発明範囲に調節することにより高温割れの発生が防止できる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、特殊なC量範囲の溶接ワイヤを使用せずに、耐高温割れ性に優れた溶接金属を容易に形成でき、極低炭素鋼板のサブマージアーク溶接継手が安価に作製できるという産業上格別の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】開先形状を示す説明図である。
Claims (3)
- C:0.03wt%以下、B:0.0030wt%以下を含有する極低炭素鋼板をサブマージアーク溶接するに際し、前記極低炭素鋼板のS含有量が0.010wt %以下である鋼板に、該鋼板の組成に応じ、溶接金属がC:0.03〜0.06wt%を含有し、かつ下記(1)式を満足するように、C:0.04〜0.10wt%、S:0.003 〜0.015 wt%を含有する溶接用ワイヤを組合せて溶接することを特徴とする極低炭素鋼板のサブマージアーク溶接方法。
記
P(CW )−1/100 ×{(SW /0.010 )4 +(BW /0.0025)4 }≧0─ (1)
ここに、P(CW )=−1000CW 3 +250 CW 2 −17.1CW +0.4
CW :溶接金属中のC含有量(wt%)
BW :溶接金属中のB含有量(wt%)
SW :溶接金属中のS含有量(wt%) - 前記溶接用ワイヤを、C:0.04〜0.10wt%、S:0.015 wt%以下を含み、さらにB:0.0100wt%以下を含有するCuめっきワイヤとすることを特徴とする請求項1に記載の極低炭素鋼板のサブマージアーク溶接方法。
- 前記溶接に際し、BをB2O3換算で2.0 wt%以下含有するフラックスを使用することを特徴とする請求項1または2に記載の極低炭素鋼板のサブマージアーク溶接方法。
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