JP3616881B2 - 直流電力ケーブル - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、絶縁特性の向上を図った直流電力ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
長距離、大容量送電を目的とする場合、直流送電は交流送電に比べ、絶縁体の誘電損失がなく、充電電流に対する無効分を補償するための設備が不要である。
また、絶縁体の絶縁耐圧が高く安定である等の種々の特徴から有利と考えられる。
【0003】
現在、直流送電のための高電圧ケーブルは、主に、低粘度の絶縁油と紙からなるOFケーブルが用いられているが、給油設備等が必要であり、メンテナンスが面倒である。
【0004】
一方、メンテナンスフリーであるプラスチック絶縁ケーブルは、交流電力ケーブルとして架橋ポリエチレン(XLPE)ケーブルが広く用いられており、OFケーブルに匹敵する超高圧ケーブルまで開発されつつある。
【0005】
しかし、直流電圧に対する空間電荷特性等の問題から、高電圧直流ケーブルとしては用途が限定されている。すなわち、XLPEケーブルでは、直流高電圧印加によって、絶縁体中に逆極性の空間電荷が蓄積され、逆極性インパルスや極性反転がなされた場合に、その絶縁特性の低下が著しいという理由からである。
以上のような理由から、高電圧用の直流電力ケーブルとして、従来のXLPEケーブルに代わる固体絶縁ケーブルの開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、ポリエチレンの絶縁耐圧強度は、結晶化度が高い程高いとされているが、直流電圧を印加した場合、電極から電荷が注入されて形成される空間電荷は、ポリエチレンの結晶と非結晶の界面等にトラップされ易いと推定される。
【0007】
また、過電流が流れた場合等の加熱による変形等に耐えれるために、対策として架橋処理がとられるが、架橋剤として用いられる有機過酸化物の分解残渣は、空間電荷を増大させることが知られている。
【0008】
以上のような観点から、この発明は、固体絶縁体中の空間電荷の蓄積を低減させることにより、直流高電圧に対する絶縁特性を改善し、直流特性に優れた直流電力ケーブルを得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、まず、発明者らは、無極性のポリエチレンに特定の充填剤を添加することによる局所電荷トラップの抑制、有機過酸化物の分解残渣の吸着効果により、空間電荷特性が変えられることが可能であると考え、検討を進めた。
【0010】
第1の発明は、上記の研究の結果なされたものであり、ポリエチレンに充填する充填剤を特定して、また、その充填量を限定し、絶縁体中の空間電荷の蓄積を抑制することにより、高い絶縁特性を有したポリエチレンを得て、これを絶縁体として使用し、高性能直流電力ケーブルを得た。
即ち、ポリエチレン100重量部に対して、二酸化ケイ素を5重量部以下充填した樹脂組成物を絶縁体とした直流電力ケーブルが、空間電荷蓄積も含めた直流特性に優れていることが分かった。
【0011】
二酸化ケイ素の充填量が多すぎると、固有絶縁抵抗値の低下が認められ、また、引張伸び等の加工性の問題も生じることから、この発明では、ポリエチレン100重量部に対する二酸化ケイ素の充填量を5重量部以下とした。
【0012】
また、イオン源となり空間電荷特性に悪影響を及ぼす恐れのある不純物は極力少ないことが望ましく、二酸化ケイ素の純度は98%以上のものが適しており、さらに、粒子径が大きすぎると材料中への均一分散の不良が発生する恐れがあることから、粒子径としては、10μm以下が適している。
【0013】
次に、発明者らは、極性基により空間電荷特性が変えられることから、ポリオレフィンに特定の極性基を導入することにより、直流特性の改善が可能であると考え、検討を進めた。
【0014】
第2の発明は、上記の研究の結果なされたものであり、シラン化合物にグラフト処理を施し、ポリオレフィンに導入したシラン変性ポリオレフィンを得て、これを絶縁材料とした直流電力ケーブルが、空間電荷蓄積も含めた直流特性に優れていることが分かった。
【0015】
また、この絶縁体をシラノール緒合触媒及び、水分の存在下で融点以下の温度で架橋処理を施し、ケーブルの機械的、熱的物性を改善させることもできる。
【0016】
ここで用いられるシラン変性ポリオレフィンとしては、メトキシエトキシビニルシラン,トリメトキシビニルシランなどのグラフトポリオレフィンなどであれば良い。
【0017】
なお、上記の各発明において、通常絶縁材料に添加される架橋剤,安定剤等、あるいは通常樹脂に添加される老化防止剤,加工助剤等の添加剤を添加しても良く、これらを添加することにより本発明の効果が失われることはない。
【0018】
【作用】
ポリエチレン100重量部に対して、二酸化ケイ素を5重量部以下充填した樹脂組成物を絶縁体とした第1の発明の直流電力ケーブルは、二酸化ケイ素が、電荷トラップサイトとして材料中に均一に分布するために、空間電荷の局部的なトラップを防止でき、かつ、架橋剤分解残渣をその粒子表面に吸着させる効果により、空間電荷の発生原因となり得るイオンキャリアの移動を防止することができると考えられ、このような空間電荷蓄積の低減により、直流破壊強度が改善されると考えられる。
【0019】
シラン化合物をグラフト処理したシラン変性ポリオレフィンを絶縁体とした第2の発明の直流電力ケーブルは、シラン化合物が、極性基として働き、材料中に均一に分布するために、空間電荷の局部的なトラップを防止することができると考えられ、このような空間電荷蓄積の低減により直流破壊強度が改善されると考えられる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
表1に、第1の発明の実施例1として、本発明例1〜3および比較例1〜3を記した。以下、実施例1の詳細を述べる。
【0021】
実験サンプルは、二酸化ケイ素を充填したポリエチレンを160℃,30分の条件で熱プレスにより作成したシートを用いた。空間電荷の評価は、2mm厚のシートにDC40kV課電後、パルス静電応力法により測定した。蓄積電荷量は「+」の数で示した。DC破壊値は0.2mm厚のシートを用いて90℃で測定した。
【0022】
【表1】
【0023】
(実施例2)
表2に、第2の発明の実施例2として、本発明1,2および比較例1,2を記した。以下、実施例2の詳細を述べる。
【0024】
実験サンプルは、シラン変性ポリエチレンを160℃,30分の条件で熱プレスにより作成したシートを用いた。また、シラン架橋処理は、シラノール緒合触媒及び水の存在下で80℃において施した。空間電荷蓄積の評価は、2mm厚シートにDC40kV課電後、パルス静電応力法により測定した。蓄積電荷量は「+」の数で示した。DC破壊値は0.2mm厚のシートを用いて90℃で測定した。
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ポリエチレン100重量部に対して二酸化ケイ素を5重量部以下充填した樹脂組成物を絶縁体に用いるか、または、シラン化合物をグラフト処理したシラン変性ポリオレフィンを絶縁体に用いることにより、直流高電圧印加による空間電荷の蓄積を防止でき、性能の優れた直流高電圧用電力ケーブルを得ることができる。
Claims (4)
- ポリエチレン100重量部に対して、二酸化ケイ素を5重量部以下充填した樹脂組成物を絶縁体としたことを特徴とする直流電力ケーブル。
- 請求項1記載の二酸化ケイ素としては、純度98%以上、その平均粒子径10μm以下である粒子からなることを特徴とする請求項1記載の直流電力ケーブル。
- シラン化合物をグラフト処理したシラン変性ポリオレフィンを絶縁体としたことを特徴とする直流電力ケーブル。
- 請求項3に記載の絶縁体を、シラノール緒合触媒及び、水分の存在下で融点以下の温度で架橋させた絶縁体を有する請求項3記載の直流電力ケーブル。
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JP29420593A JP3616881B2 (ja) | 1993-10-28 | 1993-10-28 | 直流電力ケーブル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP29420593A JP3616881B2 (ja) | 1993-10-28 | 1993-10-28 | 直流電力ケーブル |
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JPH07130227A JPH07130227A (ja) | 1995-05-19 |
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ID=17804686
Family Applications (1)
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JP29420593A Expired - Fee Related JP3616881B2 (ja) | 1993-10-28 | 1993-10-28 | 直流電力ケーブル |
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Families Citing this family (1)
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SE9800567L (sv) * | 1998-02-25 | 1999-08-26 | Abb Ab | En elektrisk likströmskabel med ett isoleringssystem innefattande en komposition baserad på extruderad, tväbunden polyeten och en metod för tillverkning av en sådan kabel |
-
1993
- 1993-10-28 JP JP29420593A patent/JP3616881B2/ja not_active Expired - Fee Related
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