JP3616413B2 - 衛生器具への給水配管 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、洗面器、手洗器、便器水洗用タンク、浴槽、流し等の衛生器具への給水配管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の衛生器具への給水配管では、図6の(イ)や図7の(イ)に示すように、衛生器具aに水又は湯を供給するための建物側配管(壁bや床cの仕上げが行われる前に施工される配管)dの端末にエルボe又はソケットfを取り付けておき、壁b又は床cの仕上げが完了した後、衛生器具a側の配管gを前記エルボe又はソケットfに接続するようになっていた。図中のhは止水栓である。
【0003】
このため、衛生器具aの接続に、配管gの雄ねじ部に対するシール材の塗布、エルボe又はソケットfへのねじ込み操作といった手間のかかる作業が必要とされるばかりでなく、壁bや床cの仕上げに先立って行われる建物側配管dの水圧テストに際しては、図6の(ロ)や図7の(ロ)に示すように、仮設の止水プラグiを前記エルボe又はソケットfに取り付けて、水圧テストを行い、衛生器具aの接続時に、前記止水プラグiを取り外す必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、衛生器具の接続作業を簡略化すると共に、壁や床の仕上げに先立って行われる建物側配管の水圧テスト時に取り付けられていた従来の仮設止水プラグを不要にして、水圧テスト時の省人化を可能にした衛生器具への給水配管を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、上記の利点を有する衛生器具への給水配管を部材点数や作業工数の少ない構成によって達成することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明が講じた技術的手段は、次の通りである。即ち、本発明の特徴は、衛生器具に水又は湯を供給するための建物側配管の端末に、ワンタッチ式セルフシール継手のソケットを取り付ける一方、前記建物側配管の端末に接続される衛生器具側の配管には、前記ワンタッチ式セルフシール継手のプラグを設けた衛生器具への給水配管において、前記ワンタッチ式セルフシール継手のソケットを、一端に樹脂管用接続部を備え、他端に金属製の雄ねじ付き筒状部材がインサート成形された合成樹脂製の筒状体と、一端に前記雄ねじに螺合する雌ねじを備え、内部に流路開閉用の弁体を備え、他端側の筒壁に複数個の貫通孔が形成された金属製の雌ねじ付き筒状部材と、前記雄ねじ付き筒状部材の内部に設けられたスプリング受けと前記弁体とにわたって介装され、前記弁体を閉塞状態に付勢する圧縮スプリングと、前記貫通孔に一部が雌ねじ付き筒状部材の内面から突出する状態に嵌入された球体と、前記雌ねじ付き筒状部材に対して一定範囲内で軸線方向スライド自在に套嵌され、前記プラグを雌ねじ付き筒状部材に差し込んだ状態において、前記球体を前記プラグの外周に形成された環状溝に嵌入した状態に規制する第1状態と、環状溝からの球体の抜出しを許容する第2状態とに切換え可能なスリーブと、前記スリーブを前記第1状態にスライド付勢するスプリングとによって構成した点にある。
【0007】
【0008】
【作用】
上記の構成によれば、衛生器具に水又は湯を供給するための建物側配管の端末に、ワンタッチ式セルフシール継手のソケットが取り付けられているので、従来のように、仮設の止水プラグで配管系端末を閉塞しなくても、建物側配管の水圧テストが行えることになる。
建物側配管の水圧テストが完了し、壁や床の仕上げが完了した後、衛生器具を接続するにあたっては、衛生器具側配管のプラグをワンタッチ式セルフシール継手のソケットに差し込むだけのワンタッチ操作により、配管接続が可能である。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1〜図3は、本発明に係る衛生器具1への給水配管の一例を示す。図面上、衛生器具1として、洗面器を示しているが、これは、手洗器、便器水洗用タンク、浴槽、流し等のいずれであってもよい。2は、衛生器具1に水又は湯を供給するための建物側配管(壁3や床4の仕上げが行われる前に施工される配管)である。管材としては、ステンレス管や内面を防錆被覆した金属管等であってもよいが、この実施例では、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管等の合成樹脂管が使用されている。
【0010】
建物側配管2の端末には、壁3施工前の任意の時点、例えば、合成樹脂管を衛生器具設置箇所近くまで配管して床4から立ち上げた時点で、セルフシール機構が内蔵されたソケット5Aとそれに差し込むことにより自動的に抜止めされるプラグ5Bとから構成されるワンタッチ式セルフシール継手5の前記ソケット5Aを取り付けてある。一方、壁3や床4の仕上げ完了後に取り付けられる衛生器具1側の配管6には、前記ワンタッチ式セルフシール継手5のプラグ5Bを設け、前記ソケット5Aに差し込んである。7は衛生器具1側の配管6に設けられた止水栓である。この止水栓7は省略して実施してもよい。
【0011】
上記の構成によれば、建物側配管2の端末にワンタッチ式セルフシール継手5のソケット5Aを取り付けてあるため、壁3や床4の仕上げに先立って行われる建物側配管2の水圧テストに際し、従来のように、仮設の止水プラグで配管端末を閉塞する必要がなく、そのままの状態で水圧テストが行えることになる。
【0012】
建物側配管2の水圧テストが完了し、不良箇所があれば手直しを行い、次に、壁3や床4の仕上げを行い、しかる後、衛生器具1を接続することになるが、衛生器具1側の配管6には、前記ワンタッチ式セルフシール継手5のプラグ5Bを設けてあるので、衛生器具1を接続するにあたっては、プラグ5Bをワンタッチ式セルフシール継手のソケット5Aに差し込むだけのワンタッチ操作により、配管接続が可能である。
【0013】
また、プラグ5Bを抜いても、セルフシール機構により水漏れが阻止されるので、間取り変更や衛生器具1の破損等のために、衛生器具1を取り替える必要が生じた場合、元バルブを閉めることなく衛生器具1の脱着が行える利点がある。
【0014】
ワンタッチ式セルフシール継手5のソケット5Aとしては、既存のものを使用してもよいが、この場合には、建物側配管2の端末に取り付けた既存のエルボ又はソケットと、ワンタッチ式セルフシール継手5のソケット5Aとを現場で接続することになり、部材点数および現場での作業工数が多くなる。殊に、ワンタッチ式セルフシール継手5のソケット5Aは、一般に金属製であるから、上記の実施例のように、建物側配管2が合成樹脂管の場合、金属製ソケット5Aに接続するエルボ又はソケットとしては、一端に樹脂管用接続部を備えた合成樹脂製の筒状体の他端に既存のソケット5Aとねじ嵌合する金属製の筒状部材がインサート成形されたものが必要となり、全体としての構成部材点数が増えることになる。
【0015】
そのため、本発明では、前記ワンタッチ式セルフシール継手5のソケット5Aを、エルボ又はソケットと一体化した構成とすることより、部材点数や作業工数の低減を図っている。
【0016】
具体的には、この実施例では、前記ワンタッチ式セルフシール継手5のソケット5Aを次のように構成してある。即ち、図3に示すように、一端に樹脂管用接続部8aを備え、他端に金属製(例えば、ステンレス鋼や真鍮)の雄ねじ9a付き筒状部材9がインサート成形された合成樹脂製のエルボ状の筒状体8と、一端に前記雄ねじ9aに螺合する雌ねじ10aを備え、内部に流路開閉用の弁体11を備え、他端側の筒壁に複数個の貫通孔12が形成された金属製(例えば、ステンレス鋼や真鍮)の雌ねじ10a付き筒状部材10と、前記雄ねじ9a付き筒状部材9の内部に設けた環状隆起部によって形成されたスプリング受け13と前記弁体11とにわたって介装され、雄ねじ9a付き筒状部材9と雌ねじ10a付き筒状部材10とを互いにねじ嵌合することにより圧縮されて、前記弁体11を閉塞状態に付勢する圧縮スプリング14と、前記貫通孔12に一部が雌ねじ10a付き筒状部材10の内面から突出する状態に嵌入されたステンレス鋼製の球体15と、前記雌ねじ10a付き筒状部材10に対して一定範囲内で軸線方向スライド自在に套嵌され、前記プラグ5Bを雌ねじ10a付き筒状部材10に差し込んだ状態において、前記球体15を前記プラグ5Bの外周に形成された環状溝16に嵌入した状態に規制する第1状態と、環状溝16からの球体15の抜出しを許容する第2状態とに切換え可能なスリーブ17と、前記スリーブ17を前記第1状態にスライド付勢するスプリング18とによって、前記ソケット5Aを構成してある。
【0017】
前記樹脂管用接続部8aは、建物側配管2の内径に対応した外径の内筒部19と、ニクロム線20を埋め込んだ外筒部21との二重筒構造になっており、内,外筒部19,21間に合成樹脂製の建物側配管2を差し込んだ状態で、端子22a,22bに通電することにより、外筒部21の内面側を加熱溶融して、建物側配管2と水密状態に接着するようになっている。
【0018】
図中の23はゴム製の弁座、11aは弁体11の下流側に一体に突設された突片であり、プラグ5Bをソケット5Aに差し込むことにより、プラグ5Bの先端縁で突片11aを押圧し、弁体11を圧縮スプリング14に抗して開動させるようになっている。24はスリーブ17の抜出し方向へのスライド範囲を制限するストップリングである。25はソケット5Bを桟木26等にビス27等で固定するための取付け座であり、ビス28によって前記雄ねじ9a付き筒状部材9に固定してある。
【0019】
上記構成のソケット5Bは、在来のワンタッチ式セルフシール継手のソケットと、在来のエルボとを一体化した如き構造であるため、在来のエルボの端部にインサート成形されていた金属製の筒状部材が省略されることになり、構成部材点数が少なく、現場での作業工数も減少することになる。
【0020】
図4、図5は、本発明の他の実施例を示す。この実施例は、一端に樹脂管用接続部8aを備え、他端に金属製の雄ねじ9a付き筒状部材9がインサート成形された合成樹脂製の筒状体8を直管状(ソケット状)に形成した点に特徴がある。その他の構成は、先の実施例と同じであるため、説明を省略する。
【0021】
尚、この実施例では、床4から立ち上げた建物側配管2を桟木等に固定していないので、建物側配管2を撓ませることにより、衛生器具1側の配管6のプラグ5Bを建物側配管2端末のソケット5Aに差し込み接続することができるが、先の実施例のように、ソケット5Aを取付け座24で桟木等に固定する場合は、衛生器具1側の配管6を撓まして、プラグ5Bをソケット5Aに差し込み接続することになる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1によれば、衛生器具に水又は湯を供給するための建物側配管の端末に、ワンタッチ式セルフシール継手のソケットが取り付けられているので、衛生器具の接続作業を簡略化できるばかりでなく、壁や床の仕上げに先立って行われる建物側配管の水圧テストの際、配管端末を閉塞する仮設の止水プラグが不要であり、水圧テスト時の省人化が可能である。
しかも、ワンタッチ式セルフシール継手のソケットがエルボ又はソケットと一体化された如き構造となるので、上記の利点を有する衛生器具への給水配管を部材点数や作業工数の少ない構成によって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る衛生器具への給水配管の衛生器具接続前の状態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る衛生器具への給水配管の衛生器具接続後の状態を示す側面図である。
【図3】要部の縦断側面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す側面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】従来例を示す概略側面図である。
【図7】従来例を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1…衛生器具、2…建物側配管、5…ワンタッチ式セルフシール継手、5A…ソケット、5B…プラグ、8…合成樹脂製の筒状体、8a…樹脂管用接続部、9…金属製の筒状部材、9a…雄ねじ、10…金属製の筒状部材、10a…雌ねじ、11…弁体、12…貫通孔、13…スプリング受け、14…圧縮スプリング、15…球体、16…環状溝、17…スリーブ、18…スプリング。

Claims (1)

  1. 衛生器具に水又は湯を供給するための建物側配管の端末に、ワンタッチ式セルフシール継手のソケットを取り付ける一方、前記建物側配管の端末に接続される衛生器具側の配管には、前記ワンタッチ式セルフシール継手のプラグを設けた衛生器具への給水配管であって、前記ワンタッチ式セルフシール継手のソケットが、一端に樹脂管用接続部を備え、他端に金属製の雄ねじ付き筒状部材がインサート成形された合成樹脂製の筒状体と、一端に前記雄ねじに螺合する雌ねじを備え、内部に流路開閉用の弁体を備え、他端側の筒壁に複数個の貫通孔が形成された金属製の雌ねじ付き筒状部材と、前記雄ねじ付き筒状部材の内部に設けられたスプリング受けと前記弁体とにわたって介装され、前記弁体を閉塞状態に付勢する圧縮スプリングと、前記貫通孔に一部が雌ねじ付き筒状部材の内面から突出する状態に嵌入された球体と、前記雌ねじ付き筒状部材に対して一定範囲内で軸線方向スライド自在に套嵌され、前記プラグを雌ねじ付き筒状部材に差し込んだ状態において、前記球体を前記プラグの外周に形成された環状溝に嵌入した状態に規制する第1状態と、環状溝からの球体の抜出しを許容する第2状態とに切換え可能なスリーブと、前記スリーブを前記第1状態にスライド付勢するスプリングとによって構成されていることを特徴とする衛生器具への給水配管。
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