JP3615166B2 - 多周波ヘリカルアンテナ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異なる周波数帯域において使用することのできる多周波ヘリカルアンテナに関するものであり、特に移動電話網における移動機に搭載して好適な多周波ヘリカルアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機やPHSの加入者数は年々増加しており、加入者の増加により移動電話網における利用周波数が不足してきている。このように、加入者の増加により利用周波数が不足している場合には、携帯電話機の周波数帯としてほぼ全域で使用できる周波数帯と、都市部で使用できる周波数帯との2つの周波数帯が割り当てられる場合がある。例えば、欧州においては900MHz帯のGSM方式の携帯電話機は欧州全域で使用することができるが、さらに、都市部においては利用周波数不足を補うため1.8GHz帯のDCS方式の携帯電話機を使用することができる。また、日本においても800MHz帯と1.5GHz帯の周波数帯域が移動電話網に割り当てられている。このような2周波数帯で携帯電話機を使用するには、携帯電話機を2周波数帯で動作可能とさせる必要がある。すなわち、2周波数帯のそれぞれの周波数帯で動作可能な無線回路を内蔵させると共に、2周波数帯で動作する2周波アンテナを備える必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の2周波ヘリカルアンテナとして、図11に示すような2周波ヘリカルアンテナ115が提案されている。この2周波ヘリカルアンテナ115は、コイル状に巻回した実線で示す第1コイル部116と、破線で示す第2コイル部117を備えている。第1コイル部116の巻始め端と、第2コイル部117の巻始め端とは接続されており、その巻始め端に給電部118から給電されている。第1コイル部116の動作周波数帯域が移動電話網における800MHz帯となるように第1コイル部116の長さを調節すると共に、第2コイル部117の動作周波数帯域が移動電話網における1.5GHz帯となるように第2コイル部117の長さを調節することにより、2周波ヘリカルアンテナ115は移動電話網における800MHz帯と1.5GHz帯で動作可能となる。
【0004】
この際の、2周波ヘリカルアンテナ115の電圧定在波比(VSWR)特性を図13に示す。この図を参照すると、800MHzの周波数帯域としては約20MHz程度の帯域しか確保することができないと共に、VSWRも3.0以上と良好な特性は得られていない。例えば、PDC(Personal Digital Cellular)における800MHz帯では、上りと下りとの周波数帯域として約70MHzの周波数帯域が必要とされるが、図13に示すアンテナ特性では800MHz帯において70MHzの周波数帯域は確保されていない。また、図13を参照すると1.5GHz帯においては30MHz程度の周波数帯域は確保されており、最良のVSWR値は約1.6の良好な値が得られている。しかし、PDCにおける1.5GHz帯でも、上りと下りとの周波数帯域として約70MHzの周波数帯域が必要とされるが、図13に示すアンテナ特性では1.5GHz帯において70MHzの周波数帯域は確保されていない。
【0005】
また、2周波ヘリカルアンテナとして、図12に示すような2周波ヘリカルアンテナ215も提案されている。この2周波ヘリカルアンテナ215は、コイル状に巻回した実線で示す励振コイル部216と、破線で示す無給電コイル部217を備えている。無給電コイル部217は励振コイル部216に電磁的に結合するように配置され、励振コイル部216の巻始め端に給電部218から給電されている。そして、無給電コイル部217は電磁気的に結合されている励振コイル部216により励振されるようになる。ここで、励振コイル部216の動作周波数帯域が移動電話網における800MHz帯となるように励振コイル部216の長さを調節すると共に、無給電コイル部217の動作周波数帯域が移動電話網における1.5GHz帯となるように無給電コイル部217の長さを調節することにより、2周波ヘリカルアンテナ215は移動電話網における800MHz帯と1.5GHz帯で動作可能となる。
【0006】
この際の、2周波ヘリカルアンテナ215の電圧定在波比(VSWR)特性を図14に示す。この図を参照すると、800MHzの周波数帯域としては約30MHz程度の帯域しか確保することができないと共に、VSWRも3.0以上と良好な特性は得られていない。従って、PDCにおける800MHz帯の周波数帯域である約70MHzの帯域は確保されていない。また、図14を参照すると1.5GHz帯においては10MHz程度の周波数帯域しか確保されていないと共に、VSWR値も3.0以上と良好な特性が得られていない。従って、PDCにおける1.5GHz帯の周波数帯域である約70MHzの周波数帯域は確保されていない。
【0007】
このように従来の2周波ヘリカルアンテナにおいて良好なアンテナ特性が得られない理由は次の通りと考えられる。
従来の携帯電話機に搭載されているヘリカルアンテナは、波長に対して充分小さな直径で数ターンから数十ターン間隔巻きしており、一方の端から給電し他方は開放されている。このヘリカルアンテナを構成している巻き線の総延長は、反射特性の良好な周波数における1/4波長前後となるのが一般的であるから、分布定数的に考えた場合の電気特性において、3/4波長(周波数で3倍)で再び反射特性が良好になる帯域が現れるようになる。このことは実測においても確かめられている。よって、例えば800MHz帯と3倍の関係にある2400MHz帯と共用する場合は、特段のエ夫をしなくても、容易に2周波ヘリカルアンテナを実現することが出来る。
【0008】
一方、巻き線の総延長を反射特性の良好な周波数の1/4波長前後とした場合、1/2波長に相当する周波数帯域においては、電気特性的に考察しても、ほぼ全反射に近い極めて劣化した反射特性となる。このことは実測においても確認されている。ところで、現在国内で携帯電話網として使用されているPDCの周波数帯域は800MHz帯と1500MHz帯とされている。この2つの周波数帯域はおおよそ2倍の関係になっているので、前述の理由から800MHz帯用ヘリカルアンテナを1500MHz帯でも使用しようとすると、ほとんど全反射状態となってしまい、良好なアンテナ特性を得ることができないことになるのである。
【0009】
すなわち、800MHz帯と1.5GHz帯の2周波で動作させる場合のように、周波数帯域比が約2倍の関係となっている場合には、前述のように原理的に良好なアンテナ特性を得ることができないのである。このことは、800MHz帯と1.5GHz帯の長さとされた2つのコイル部からなる図11および図12に示す2周波ヘリカルアンテナにもいえることである。
この問題を解決するために、800MHz帯と1500MHz帯との中間の周波数である1200MHz付近に最良の反射特性を持ったアンテナを作り、ほどほどの不整合状態になっている800MHz帯と1500MHz帯の両方を整合回路を介して所望のインピーダンスに無理矢理整合させることが考えられる。しかし、この方法は、整合回路が複雑になるため、小型化や信頼性に問題があり、整合回路の損失等の影響によりアンテナの諸特性が劣化すると共に、整合回路とヘリカルアンテナとの相性から、量産時にアンテナ特性のバラツキや歩留まりの低下を招く恐れがあるという問題点がある。
【0010】
そこで、本発明は、2以上の周波数帯に必要な周波数帯域を整合回路を用いることなく、それぞれ確保することのできる多周波ヘリカルアンテナを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の多周波ヘリカルアンテナは、一端に給電されていると共に、第1の周波数帯域で動作可能な励振コイル部と、該励振コイル部と電磁気的に結合するように、巻き始め端が該励振コイル部の巻き始め端とほぼ同位置とされ、該励振コイル部にほぼ平行になるように巻回されていると共に、第2の周波数帯域で動作可能な無給電コイル部とを備え、前記第1の周波数帯域が、前記第2の周波数帯域より高域とされていると共に、前記第1の周波数帯域と前記第2の周波数帯域との周波数帯域比が約2とされている。
【0013】
また、上記本発明の多周波ヘリカルアンテナにおいて、前記励振コイル部と電磁気的に結合するように近接して第2の無給電コイル部を、さらに配置し、該第2の無給電コイル部における動作可能な周波数帯域が前記第2の周波数帯域の近傍とされて、前記無給電コイル部と前記第2の無給電コイル部とにより前記第2の周波数帯域をカバーするようにしていてもよい。
さらに、上記本発明の多周波ヘリカルアンテナにおいて、細長い絶縁性の棒状本体の側周面に複数条の溝がそれぞれ所定の長さで形成されており、該溝内に導電層を形成することにより前記各コイル部が作成されており、前記励振コイル部を作成している前記導電層の下端だけが、前記棒状本体の下部に形成されている径が細くされている基部の表面に形成されている導電層に連接されていてもよい。
【0014】
このような本発明によれば、第2の周波数帯域より高域とされている第1の周波数帯域で動作可能な励振コイル部により、第1の周波数帯域で動作可能な無給電コイル部を励振するようにしたので、第1の周波数帯域および第2の周波数帯域の周波数帯域比が約2とされていても動作可能な周波数帯域を十分確保することができるようになる。
また、無給電コイル部を第2の周波数帯域の低域で動作可能な第1の無給電コイル部と、第2の周波数帯域の高域で動作可能な第2の無給電コイル部により構成することにより、第2の周波数帯域を十分な周波数帯域幅とすることができる。
さらに、棒状本体の側周面に形成された複数条の溝内に導電層を形成することにより、励振コイル部と無給電コイル部とを作成することにより、移動電話網における複数の周波数帯において動作可能な移動機に好適なアンテナとすることができる。
このように本発明は、整合回路を用いずとも複数のコイル部だけで、約2倍の関係にある2つの周波数帯域に対して整合(良好な反射特性)するようになり、整合回路が不要になることから、整合回路に基づく問題点を払拭することができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態にかかる多周波ヘリカルアンテナを備える携帯無線機の構成例を図1に示す。
図1に示す多周波で動作可能な携帯無線機1は、携帯に便利な小型の形状とされている無線機筐体3と、無線機筐体3の上部に取り付けられたアンテナ部2から構成されている。無線機筐体3内には、送受信部やコーデック部の回路等が内蔵されている。アンテナ部2は、2周波数帯で動作する多周波ヘリカルアンテナから構成されている。2周波数帯は、例えばPDC方式(Personal Digital Cellular telecommunication system)における800MHz帯(870MHz〜940MHz)と1.5GHz帯(1429MHz〜1501MHz)や、GSM(Global System for Mobile communications)方式の800MHz帯(890MHz〜960MHz)とDCS(Digital Cellular System)方式の1.7GHz帯(1710MHz〜1880MHz)とされる。
【0016】
このようなアンテナ部2の外観構成の一例を図2に示す。
図2に示すように、本発明の多周波ヘリカルアンテナが内蔵されているアンテナ部2は、一端が閉じた円筒状のアンテナカバー部11の開口部に金属製の基部金具12を螺着あるいは嵌着することにより構成されている。アンテナカバー部11は樹脂成形により作成されており、その内部に後述する本発明にかかる多周波ヘリカルアンテナが内蔵されている。この多周波ヘリカルアンテナの下端は基部金具12に電気的に接続されており、基部金具12の下端からは細長い棒状の取付部13が延伸されて形成されている。この取付部13の中途にはネジ部13aが形成されており、取付部13を無線機筐体3に設けられている取付孔に挿入してネジ部13aを取付孔に螺着することにより、アンテナ部2が無線機筐体3に機械的かつ電気的に固着されるようになされている。
【0017】
アンテナカバー部11に内蔵されている本発明にかかる多周波ヘリカルアンテナの第1の構成を概略的に図3に示す。
多周波ヘリカルアンテナ15は、ヘリカル状に巻回された巻き数が少なくされている実線で示されている励振コイル部17と、ヘリカル状に巻回された巻き数が多くされた破線で示されている無給電コイル部16とから構成されている。無給電コイル部16の巻き始め端は、励振コイル部17の巻き始め端と若干高さが異なるようにされてほぼ同位置とされ、励振コイル部17にほぼ平行になるように無給電コイル部16が巻回されている。無給電コイル部16の両端はどこにも接続されていないが、無給電コイル部16の下部は励振コイル部17に重合されるよう巻回されているため両者は電磁気的に結合されている。これにより、励振コイル部17により無給電コイル部16は給電されるようになる。なお、励振コイル部17の巻き始め端には、図示するように給電部18から給電されている。
【0018】
図3に示す多周波ヘリカルアンテナ15において、巻き数が多くされている無給電コイル部16の動作周波数帯域が移動電話網における800MHz帯となるように無給電コイル部16の長さが調節されると共に、巻き数が少なくされている励振コイル部17の動作周波数帯域が移動電話網における1.5GHz帯となるように励振コイル部17の長さを調節することにより、多周波ヘリカルアンテナ15は移動電話網における800MHz帯と1.5GHz帯で動作可能となる。
上記した本発明の多周波ヘリカルアンテナ15において特徴的な構成は、励振コイル部17の巻き数が少なくされて高い周波数帯域で動作するようにされ、、励振コイル部17により励振される無給電コイル部16の巻き数が多くされて低い周波数帯域で動作するようにされている構成である。このような図3に示す本発明にかかる多周波ヘリカルアンテナ15のVSWR特性例を図8に示す。図8を参照すると、800MHz帯においてはVSWR値が3.0以下の帯域幅が約60MHz得られており、1.5GHz帯においてはVSWR値が3.0以下の帯域幅として約50MHz得られている。
【0019】
図3に示す多周波ヘリカルアンテナ15では、励振コイル部17を高い周波数帯域で動作するようにし、励振コイル部17により励振される無給電コイル部16を低い周波数帯域で動作するようにしていることから、図8に示すようにPDCにおける800MHzと1.5GHzの周波数帯における周波数帯域を大体カバーすることができる。次に、さらに周波数帯域を広帯域化することのできる本発明にかかる多周波ヘリカルアンテナ20の第2の構成を概略的に図4に示す。この多周波ヘリカルアンテナ20もアンテナカバー部11に内蔵することができる。
【0020】
図4に示す多周波ヘリカルアンテナ20は、ヘリカル状に巻回された巻き数が少なくされて実線で示されている励振コイル部17と、ヘリカル状に巻回された巻き数が多くされて破線で示されている無給電コイル部16と、無給電コイル部16より若干巻き数が少なくされて太い破線で示されている第2無給電コイル部19とから構成されている。無給電コイル部16および第2無給電コイル部19の巻き始め端は、励振コイル部17の巻き始め端と若干高さが異なるようにされてほぼ同位置とされ、励振コイル部17にそれぞれほぼ平行になるように無給電コイル部16および第2無給電コイル部19が巻回されている。無給電コイル部16および第2無給電コイル部19はどこにも接続されていないが、無給電コイル部16および第2無給電コイル部19の下部は励振コイル部17に重合されるように巻回されているため励振コイル部17との間で電磁気的に結合されている。これにより、励振コイル部17により無給電コイル部16および第2無給電コイル部19は給電されるようになる。なお、励振コイル部17の巻き始め端には、図示するように給電部18から給電されている。
【0021】
図4に示す多周波ヘリカルアンテナ20において、巻き数の多くされている無給電コイル部16の動作周波数帯域が移動電話網における800MHz帯となるように無給電コイル部16の長さが調節されており、巻き数が若干少なくされている第2無給電コイル部19の動作周波数帯域が移動電話網における800MHz帯の近傍となるように第2無給電コイル部19の長さが調節されている。これにより、800MHz帯という低い周波数帯においても十分に広い周波数帯域を確保することができるようになる。また、巻き数が少なくされている励振コイル部17の動作周波数帯域が移動電話網における1.5GHz帯となるように励振コイル部17の長さを調節することにより、多周波ヘリカルアンテナ20は移動電話網における800MHz帯と1.5GHz帯で動作可能となる。
【0022】
上記した本発明の多周波ヘリカルアンテナ20においても特徴的な構成は、励振コイル部17の巻き数が少なくされて高い周波数帯域で動作するようにされている構成、および、低い周波数帯域で動作する2つの無給電コイル部がわずかに長さの異なる無給電コイル部16と第2無給電コイル部19から構成されていることである。なお、無給電コイル部16と第2無給電コイル部19は励振コイル部17により励振される。
このような図4に示す本発明にかかる第2の構成の多周波ヘリカルアンテナ20のVSWR特性を図9に示す。図9を参照すると、800MHz帯において共振特性が現れていると共に、第2無給電コイル部19の作用によりその若干上の周波数帯にも共振特性が現れている。また、1.5GHz帯より少し高い周波数帯において共振特性が現れるようになる。そこで、800MHz帯および1.5GHz帯に合うように、励振コイル部17、無給電コイル部16および第2無給電コイル部19の線径、巻き径、ピッチ等を調整することにより図10に示すようなVSWR特性を得ることができた。図10を参照すると、800MHz帯においてはVSWR値が2.0以下の帯域幅が約140MHzもの広帯域で得られており、1.5GHz帯においてはVSWR値が2.0以下の帯域幅として約75MHz得られている。このように、図4に示す構成の多周波ヘリカルアンテナ20では、PDCにおける800MHzと1.5GHzとの周波数帯域比が約2とされている2周波の周波数帯域として十分なアンテナ特性を得ることができるようになる。
【0023】
ここで、本発明の図4に示す多周波ヘリカルアンテナ20において広帯域の周波数特性を得ることのできる動作原理を説明する。
多周波ヘリカルアンテナ20を分布定数的に表すと図7(a)に示すように表される。すなわち、1.5GHzの周波数帯域における中心周波数の波長をλ2とした場合、励振コイル部17の長さは約λ2/4となる。また、800MHz帯の周波数帯域における中心周波数の波長をλ1とした場合、無給電コイル部16の長さは約λ1/4となる。そして、第2無給電コイル部19の長さは、波長λ1より若干短い(周波数が高い)波長λ1’の約1/4となる。無給電コイル部16および第2無給電コイル部19は、主に電流が多く流れる給電点付近で、励振コイル部17と電磁気的に結合(M結合)されている。
【0024】
ここで、励振コイル部17が波長λ2の1.5GHz帯の信号により給電されたとする。この場合、1.5GHz帯で見た800MHz帯の無給電コイル部16および第2無給電コイル部19は、先端が開放で長さが概ね1/2波長に見えるため、給電点付近では高インピーダンスとなり、励振コイル部17との結合が弱くなる。このことは、図7(c)に破線で示すように、無給電コイル部16および第2無給電コイル部19が、励振コイル部17に与える影響が少なくなることを意味しており、これにより1.5GHz帯ヘリカルアンテナである励振コイル部17の本来の特性が現れるようになる。
【0025】
次に、励振コイル部17が波長λ1の800MHz帯の信号により給電されたとする。この場合、800MHz帯で見た1.5GHz帯の励振コイル部17は、先端が開放で長さが概ね1/8波長に見えるため、給電点付近では高インピーダンスの容量性となる。また、800MHz帯で見た無給電コイル部16および第2無給電コイル部19は、先端が開放で長さが概ね1/4波長になっているため、給電点付近は低インーダンスに見えることになる。このため、1.5GHz帯の励振コイル部17に給電された電力の大半は、図7(b)に示すように相対的にインピーダンスの低い状態で励振コイル部17に容量Coで等価的に結合している無給電コイル部16および第2無給電コイル部19へ供給されると考えられる。
以上説明したように、高い周波数帯の励振コイル部17に直接に給電し、この励振コイル部17から低い周波数帯の2つの無給電コイル部16,19に電磁気的に給電することにより、それぞれの有する本来のヘリカルアンテナの特性が得られるようになるのである。
【0026】
次に、図2に示すアンテナ部2におけるアンテナカバー部11に内蔵されている図4に示す概略構成の本発明にかかる多周波ヘリカルアンテナの具体的な構成例を図5に示す。
図5に示す多周波ヘリカルアンテナ20は、高周波特性の良好な絶縁樹脂から形成されている細長い棒状の所定の径とされた本体部20aを備えている。この本体部20aの側周面上には3条のヘリカル状の溝が形成されている。3条の溝のそれぞれの長さは、図4に示す無給電コイル部16、第2無給電コイル部19および励振コイル部17に必要な長さとされ、その巻きピッチは所定の巻きピッチとされている。3条の溝内にはそれぞれ導電層が貼着あるいは蒸着等により形成されており、この3条の溝内にそれぞれ形成された導電層により無給電コイル部16、第2無給電コイル部19および励振コイル部17が作成されている。
【0027】
本体部20aの下端からは、若干径が細くされた基部20bが形成されており、基部20bの表面には導電層が形成されている。励振コイル部17が作成されているヘリカル状の溝は一番下に形成されており、その上に第2無給電コイル部19を作成している溝が形成されており、さらにその上に無給電コイル部16を作成している溝が形成されている。そして、励振コイル部17を作成している溝の下端は基部20bへ向かって折曲されており、これにより励振コイル部17を作成している導電層は、基部20bの表面に形成されている導電層と接続されるようになる。この接続点が給電点21とされている。基部20bは、図2に示す基部金具12に螺着され、基部金具12と一体にされている取付部13が無線機筐体3に取り付けられて送受信部に電気的に接続されていることから、基部20bを介して励振コイル部17が送受信部に接続されて給電されるようになる。そして、無給電コイル部16および第2無給電コイル部19は、近接して巻回されている励振コイル部17から電磁結合により励振されるようになる。
【0028】
この場合、本体部20aの径、励振コイル部17、および無給電コイル部16および第2無給電コイル部19の巻きピッチや溝幅は、図10に示すVSWR特性が得られるように予め調整されている。これにより、多周波ヘリカルアンテナ20のVSWR特性は図10に示すようにPDCにおける800MHzと1.5GHzとの2周波の周波数帯域として十分なアンテナ特性となる。
【0029】
次に、図2に示すアンテナ部2におけるアンテナカバー部11に内蔵されている図4に示す概略構成の本発明にかかる多周波ヘリカルアンテナの具体的な他の構成例を図6に示す。
図6に示す多周波ヘリカルアンテナ30は、高周波特性の良好な絶縁樹脂から形成されている細長い棒状の所定の径とされた本体部30aを備えている。この本体部30aの側周面上には3条のヘリカル状の溝が形成されている。3条の溝のそれぞれの長さは、図4に示す無給電コイル部16、第2無給電コイル部19および励振コイル部17に必要な長さとされ、その巻きピッチは所定の巻きピッチとされている。3条の溝内にはそれぞれ導電層が貼着あるいは蒸着等により形成されており、この3条の溝内にそれぞれ形成された導電層により無給電コイル部36、第2無給電コイル部39および励振コイル部17が作成されている。
【0030】
本体部30aの下端からは、若干径が細くされた基部30bが形成されており、基部30bの表面には導電層が形成されている。励振コイル部17が作成されているヘリカル状の溝は一番下に形成されており、その上に第2無給電コイル部39を作成している溝が形成されており、さらにその上に無給電コイル部36を作成している溝が形成されている。この場合、第2無給電コイル部36の巻き数が、無給電コイル部36の巻き数より若干長くされるように、その溝の長さが形成されている。そして、励振コイル部17を作成している溝の下端は基部30bへ向かって折曲されており、これにより励振コイル部17を作成している導電層は、基部20bの表面に形成されている導電層と接続されるようになる。この接続点が給電点31とされている。基部30bは、図2に示す基部金具12に螺着され、基部金具12と一体にされている取付部13が無線機筐体3に取り付けられて送受信部に電気的に接続されていることから、基部30bを介して励振コイル部17が送受信部に接続されて給電されるようになる。
【0031】
そして、無給電コイル部36および第2無給電コイル部39は、近接して巻回されている励振コイル部17から電磁結合により励振されるようになる。これにより、第2無給電コイル部39が移動通信網における800MHz帯で動作するようになると共に、無給電コイル部36が移動通信網における800MHz帯の近傍で動作するようになる。さらに、励振コイル部17は移動電話網における1.5GHz帯で動作するようになる。この場合、本体部30aの径、励振コイル部17、および無給電コイル部36および第2無給電コイル部39の巻きピッチや溝幅は、図10に示すVSWR特性が得られるように予め調整されている。これにより、多周波ヘリカルアンテナ30のVSWR特性は図10に示すように、PDCにおける800MHzと1.5GHzとの2周波の周波数帯域として十分なアンテナ特性となる。
【0032】
以上の説明では、2周波の周波数帯で動作するものとして説明したが、さらに他の周波数帯で動作する無給電素子を設けることにより、多周波で動作させることも可能である。
また、多周波ヘリカルアンテナの各コイル部は導電層により作成するようにしたが、これに限るものではなく所定の線径の線材を所定の巻きピッチかつ巻き径でコイル状に巻回することにより各コイル部を作成するようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、第2の周波数帯域より高域とされている第1の周波数帯域で動作可能な励振コイル部により、第1の周波数帯域で動作可能な無給電コイル部を励振するようにしたので、第1の周波数帯域および第2の周波数帯域の周波数帯域比が約2とされていても動作可能な周波数帯域を十分な周波数帯域幅とすることができるようになる。
また、無給電コイル部を第2の周波数帯域の低域で動作可能な第1の無給電コイル部と、第2の周波数帯域の高域で動作可能な第2の無給電コイル部により構成することにより、第2の周波数帯域を十分な周波数帯域幅とすることができる。
さらに、棒状本体の側周面に形成された複数条の溝内に導電層を形成することにより、励振コイル部と無給電コイル部とを作成することにより、移動電話網における複数の周波数帯において動作可能な移動機に好適なアンテナとすることができる。
このように本発明は、整合回路を用いずとも複数のコイル部だけで、約2倍の関係にある2つの周波数帯域に対して整合(良好な反射特性)するようになり、整合回路が不要になることから、整合回路に基づく問題点を払拭することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる多周波ヘリカルアンテナであるアンテナ部を無線機筐体に取り付けた構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる多周波ヘリカルアンテナであるアンテナ部の外観構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる多周波ヘリカルアンテナの概略的な第1の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる多周波ヘリカルアンテナの概略的な第2の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる多周波ヘリカルアンテナの概略的な第2の構成を具体化した多周波ヘリカルアンテナの構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる多周波ヘリカルアンテナの概略的な第2の構成を具体化した多周波ヘリカルアンテナの他の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる多周波ヘリカルアンテナを分布定数的に表して、その動作原理を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる第1の構成の多周波ヘリカルアンテナのVSWR特性を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる第2の構成の多周波ヘリカルアンテナの調整前のVSWR特性を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる第2の構成の多周波ヘリカルアンテナの調整後のVSWR特性を示す図である。
【図11】従来提案されている2周波ヘリカルアンテナの第1の構成を示す図である。
【図12】従来提案されている2周波ヘリカルアンテナの第2の構成を示す図である。
【図13】従来提案されている第1の構成の2周波ヘリカルアンテナのVSWR特性を示す図である。
【図14】従来提案されている第2の構成の2周波ヘリカルアンテナのVSWR特性を示す図である。
【符号の説明】
1 携帯無線機、2 アンテナ部、3 無線機筐体、11 アンテナカバー部、12 基部金具、13 取付部、13a ネジ部、15 多周波ヘリカルアンテナ、16 無給電コイル部、17 励振コイル部、18 給電部、19 無給電コイル部、20 多周波ヘリカルアンテナ、20a 本体部、20b 基部、21 給電点、30 多周波ヘリカルアンテナ、30a 本体部、30b 基部、31 給電点、36 無給電コイル部、39 無給電コイル部、115 2周波ヘリカルアンテナ、116 第1コイル部、117 第2コイル部、118 給電部、215 2周波ヘリカルアンテナ、216 励振コイル部、217 無給電コイル部、218 給電部

Claims (3)

  1. 一端に給電されていると共に、第1の周波数帯域で動作可能な励振コイル部と、
    該励振コイル部と電磁気的に結合するように、巻き始め端が該励振コイル部の巻き始め端とほぼ同位置とされ、該励振コイル部にほぼ平行になるように巻回されていると共に、第2の周波数帯域で動作可能な無給電コイル部とを備え、
    前記第1の周波数帯域が、前記第2の周波数帯域より高域とされていると共に、前記第1の周波数帯域と前記第2の周波数帯域との周波数帯域比が約2とされていることを特徴とする多周波ヘリカルアンテナ。
  2. 前記励振コイル部と電磁気的に結合するように近接して第2の無給電コイル部を、さらに配置し、該第2の無給電コイル部における動作可能な周波数帯域が前記第2の周波数帯域の近傍とされて、前記無給電コイル部と前記第2の無給電コイル部とにより前記第2の周波数帯域をカバーするようにしていることを特徴とする請求項1記載の多周波ヘリカルアンテナ。
  3. 細長い絶縁性の棒状本体の側周面に複数条の溝がそれぞれ所定の長さで形成されており、該溝内に導電層を形成することにより前記各コイル部が作成されており、前記励振コイル部を作成している前記導電層の下端だけが、前記棒状本体の下部に形成されている径が細くされている基部の表面に形成されている導電層に連接されていることを特徴とする請求項1あるいは2記載の多周波ヘリカルアンテナ。
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