JP3615032B2 - 距離継電器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変圧器に電圧を印加した際に発生する励磁突入電流に対しても不要応動をしない距離継電器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常の送電開始のためにしゃ断器を投入すると、変圧器に電圧が印加され、図23に示すような励磁突入電流が流れることは従来から周知である。この励磁突入電流は、
(1) 基本波成分が印加電圧に対し、およそ90度遅れの位相となる。
(2) 電圧投入条件や系統側線路条件によっては、遠方事故時の事故電流ほどの
大きさになる。
(3) 電圧印加後、減衰まで数秒間継続して流れる。
といった特徴が挙げられる。
【0003】
一般に、後備保護として遠方事故検出を目的として多用されている距離継電器では、その動作責務上、広範囲な保護区間を必要としている。このため、図24に示すように後備保護距離継電器の第4段の動作域に励磁突入電流発生時のインピーダンスが入り、距離継電器が不要応動する恐れがある。この励磁突入電流は系統事故ではないので、不要動作しないことも距離継電器に課せられた責務の一つである。
この励磁突入電流対策としては、従来より高調波成分含有量を検出する方式やインピーダンス変化を検出する方式が知られている。
【0004】
前者の高調波成分含有量検出方式は、例えば電気学会「保護継電工学」P182にも記載されているように、第2調波成分の含有量に応じて継電器動作を阻止するものである。しかしながら、近年の電力系統の大容量化や長距離化、ケーブル系統の拡大化により充電容量が増大し、事故時に発生する過渡高調波が低次数化する傾向にあり、2倍調波が含まれる変圧器事故電流と励磁突入電流の識別が極めて困難である(特願平8−2275号参照)。また、電流成分のみに応動するこの方式は、インピーダンス量で動作判定を行う距離継電器とは基本的に判定量が異なるため、双方の時間協調を十分考慮する必要があり、この結果、タイマ等で協調をとる場合には、距離継電器の動作時間性能に大きく影響することになる。
【0005】
また、後者のインピーダンス変化検出方式は、電気学会雑誌105巻12号、P11などでも紹介されているように励磁突入電流でのインピーダンスの周期変化に着目したものであり、例えば特公昭61−266018号公報ではインピーダンスの最大値と最小値を求め、この差分量を動作量として用いる方式や、あるいは図25に示すように、インピーダンスのうちインダクタンス成分の絶対値の差分量を用いて検出する方式などがある(特許第P2533186号参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図6は図23で示した波形でのインピーダンス軌跡の1周期毎の変化と距離継電器動作域特性をR−X座標軸上にプロットした一例である。インピーダンス量を用いることは、距離継電器との応動面で考えた場合、演算電気量が同じこともあり、同一平面上で評価できる点で有効であるが、上記の従来方式では次のような問題がある。
【0007】
(1) 算出したインピーダンス値の他に一定期間内の最大値、最小値をさらに抽出・保持する必要があり、演算処理、メモリ使用の実行効率面で不利となる。 (2) インピーダンス変化検出のうち、インダクタンス成分のみの変化分で判定する場合には、周期性を有する励磁突入電流より演算周期タイミングによっては、図26に示すように無変化期間が生じるために判定結果が断続動作となる。また、インダクタンス成分の絶対値の差分方式では、動作量は正/負で変化することになるため、正の定数値との比較を行う場合には、常に正となるインダクタンス成分の差分の絶対値方式よりも動作継続期間がおのずと短くなる。従って、図25に示すように判定結果に対しては動作出力協調として変化分監視期間を広く持たせたり、あるいは動作判定結果を長期間保持するため引き延ばしタイマTが必要であるが、この協調時間によっては系統事故時の継電器動作を必要以上に遅延させることになる。
【0008】
したがって、算出したインピーダンス値のみで効率良く判定ができ、かつ演算タイミングに依らず判定結果が安定し協調タイマ制御も短縮できる、より高速で確実な励磁突入電流の検出ができる距離継電器の開発が望まれていた。
【0009】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、判定周期タイミングによらず励磁突入電流か否かを安定して識別することで協調タイマも短縮でき、この結果、事故時には高速動作できる距離継電器を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の各請求項に共通する点は、励磁突入電流におけるインピーダンス変化量を検出する手段には、互いに直交し合う抵抗(R)成分の変化とインダクタンス(L)成分の変化の両者を動作量に用いており、図6に示したようR−X座標上で周期性を持つ励磁突入電流でのインピーダンス変化に対して、縦方向の変化(L成分方向)と横方向の変化(R成分の変化)の双方、つまり4方向の変化を検出するようにしている点である。
【0011】
本発明の各請求項の特徴を示すと下記のとおりである。すなわち、
本発明の請求項1は、電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる2時刻(m,n)にて得た前記インピーダンス測距値Rm,Rn,Lm,Lnから、抵抗分の差分量の絶対値|ΔR|=|Rm−Rn|を求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分量の絶対値|ΔL|=|Lm−Ln|を求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者の加算値ΔZのレベル確認として、|ΔZ|=|ΔR|+|ΔL|>KZ(KZ:定数値)なる大小比較判定を行う第3の手段と、前記第3の手段にて判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
この請求項1では、1周期内の|ΔR|と|ΔL|の変化を加算した動作量|ΔZ|は、演算タイミングに依らず常に得られることになり、このレベル判定結果は断続動作にはならず連続動作で安定する。したがって、励磁突入電流の判定結果に対しては協調タイマは不要となり、系統事故時に生じる入力急変にてインピーダンス演算値が変化し事故点で収束するまでの過渡応答時間とこの間の継電器応動のみを考慮した時間協調をとれば良く、演算判定タイミングに依らずインピーダンス変化を確実に検出できる。
【0013】
本発明の請求項2は、電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる2時刻(m,n)にて得た前記インピーダンス測距値Rm,Rn,Lm,Lnから、抵抗分の差分量の絶対値|ΔR|=|Rm−Rn|を求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分量の絶対値|ΔL|=|Lm−Ln|を求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者のレベル確認として、それぞれ|ΔR|>KR,|ΔL|>KL(KR,KL:定数値)なる大小比較のOR論理判定を行う第3の手段と、前記第3の手段にていずれか一方でも判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
この請求項2では、|ΔR|及び|ΔL|の変化量を直接動作量としてレベル判定し、このOR論理を励磁突入電流検出に使用していることから請求項1と同じく演算判定タイミングに依らずインピーダンス変化を確実に検出できる。
【0015】
本発明の請求項3は、電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる2時刻(m,n)にて得た前記インピーダンス測距値Rm,Rn,Lm,Lnから、抵抗分の差分値ΔR=Rm−Rnを求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分値ΔL=Lm−Lnを求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者のレベル確認として、次の4つの大小比較のOR論理判定
ΔR>KR,ΔL>KL,ΔR<−KR,ΔL<−KL
(KR,KL:定数値)
を行う第3の手段と、前記第3の手段にて少なくともいずれか一つでも判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする。
【0016】
この請求項3では、請求項2の動作量がスカラ量であるのに対して、抵抗分の差分値ΔRとインダクタンス分の差分値ΔLを用いる点で、動作量はベクトル量になる。よって、インピーダンス変化の方向識別には、ΔRおよびΔLでそれぞれ正方向と負方向の4方向変化を検出する構成としており、請求項2と同様の作用がある。
【0017】
本発明の請求項4は、電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる3時刻(l,m,n)以上で得た前記インピーダンス測距値Rl,Rm,Rn,Ll,Lm,Lnから、抵抗分の差分量の絶対値|ΔR1 |=|Rl−Rm|および|ΔR2 |=|Rl−Rn|を求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分量の絶対値|ΔL1 |=|Ll−Lm|および|ΔL2 |=|Ll−Ln|を求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者のレベル確認として、次の大小比較のAND条件
ΔR1 >KR1 and ΔR2 >KR2
ΔL1 >KL1 and ΔL2 >KL2
(KR1 ,KR2 ,KL1 ,KL2 :定数,KR1 >KR2 ,KL1 >KL2 )
のOR論理判定を行う第3の手段と、前記第3の手段にていずれか一方でも判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする。
【0018】
この請求項4では、請求項2に対してインピーダンス変化分の検出ベースとなる時間幅を2つ以上設け、同一方向での検出を多重化しており、3時刻間での2重判定例を表したものである。すなわち、縦方向の動作量としては、インダクタンス分の差分の絶対値として|ΔL1 |と|ΔL2 |,横方向の動作量としては抵抗分の差分の絶対値として|ΔR1 |と|ΔR2 |の2量づつを用いており、一方向の動作にはこの2量の判定結果のAND論理とすることで、請求項1と同様に周期的なインピーダンス変動時の検出能力の向上に加え、ランダム的なインピーダンスの振動変化には励磁突入電流を検出し難い傾向となるように構成されている。よって、同一方向の連続したインピーダンス変化の検出判定を複数回照合することにより、周期的変化である励磁突入電流についての検出能力をより確実にするとともに、不連続のインピーダンス変動については励磁突入電流の検出を抑える作用となり、この結果、事故時に不要な継電器阻止を回避でき、より安定した継電器応動が得られる。
【0019】
本発明の請求項5は、電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる少なくとも3時刻(l,m,n)以上で得た前記インピーダンス測距値Rl,Rm,Rn,Ll,Lm,Lnから抵抗分の差分値ΔR1 =Rl−RmおよびΔR2 =Rl−Rnを求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分値ΔL1 =Ll−LmおよびΔL2 =Ll−Lnを求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者のレベル確認として、次の4つの大小比較のAND条件
ΔR1 >KR1 and ΔR2 >KR2
ΔL1 >KL1 and ΔL2 >KL2
ΔR1 <−KR1 and ΔR2 <−KR2
ΔL1 <−KL1 and ΔL2 <−KL2
(KR1 ,KR2 ,KL1 ,KL2 :定数,KR1 >KR2 ,KL1 >KL2 )
のOR論理判定を行う第3の手段と、前記第3の手段にて少なくともいずれか1つでも判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする。
【0020】
この請求項5では、請求項4に対して、同一方向で検出する動作量には縦方向はインダクタンス分の差分値ΔL1 とΔL2 ,横方向は抵抗分の差分値ΔR1 とΔR2 の2量ずつをそれぞれ用いており、かつ一方向の動作判定にはこのベクトル量の正/負のAND論理により、請求項4と同様の作用が得られる。
【0021】
本発明の請求項6は、請求項1乃至請求項5記載の距離継電器において、前記継電器動作の出力制御には、入力電圧のレベル判定として不足電圧継電器の3相分不動作条件を付加していることを特徴とする。
【0022】
この請求項6では、不足電圧継電器を用いて、電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果とインピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。よって、協調時間をさらに短縮でき、かつ事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えた作用を有する。
【0023】
本発明の請求項7は、請求項1乃至請求項5記載の距離継電器において、前記継電器動作の出力制御には、入力電圧のレベル判定として過電圧継電器の3相分動作条件を付加していることを特徴とする。
【0024】
この請求項7では、過電圧継電器を用いて、電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果とインピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、この場合は、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。よって、協調時間をさらに短縮でき、かつ事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えた作用を有する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施例(請求項1対応)である距離継電器のブロック図である。
【0026】
同図において、1はインピーダンス測距として、抵抗(R)およびインダクタンス(L)を演算する演算手段,2は距離継電器の動作判定を行う第1判定手段,11はR値成分の変化分の絶対量を算出する第1算出手段,12はL値成分の変化分の絶対値を算出する第2算出手段,13は加算した変化分量の大きさを比較判定する第2判定手段,14は継電器の動作出力を制御する制御手段であり、この制御手段14は、AND論理とT1 ,T2 遅延タイマとNAND論理とから構成されている。
【0027】
演算手段1では電力系統の電気量である電圧v,電流iよりインピーダンス値を求めている。インピーダンス演算の基本原理については本発明の主旨ではないため詳述はさけるが、例えば、電気学会発行「保護継電工学」テキストP113〜P115に紹介されているように、基本波ベースのベクトルを利用した絶対値比較方式や、インピーダンスを直接計算する方式などがある。なお、演算方式によりインピーダンス電気量表現が異なるが、本実施例でのインピーダンスはR,Lで表記している。また、第1判定手段2は演算手段1で求めたインピーダンス値が整定値以下の場合に動作信号を出力させる距離継電器の動作判定を行うものである。この距離継電器の動作判定についても同「保護継電工学」テキストP114,P115やP121,P122に記述されており、ここでの説明は省略する。
【0028】
次に、励磁突入電流における算出したR,Lの変化について述べる。
非線形現象である励磁突入電流でのインピーダンス変化は、図6に示すように、時間経過とともに変動するため、インピーダンス軌跡が1サイクル期間中連続してある一定位置で停滞することがない。しかし、このインピーダンス変化としては、R成分の横方向変化とL成分の縦方向変化を用いることで演算タイミングに依らず励磁突入電流を捕捉することができる。
【0029】
本実施例では、このインピーダンス変化検出をR成分とL成分の加算量で判定している。第1算出手段11及び第2算出手段12では、時刻m,nで求めた前記R,L値の変化量の絶対値として|ΔR|=|Rm−Rn|及び|ΔL|=|Lm−Ln|をそれぞれ求めている。図2は、この両者の加算値|ΔZ|=|ΔR|+|ΔL|の時間変動推移を連続的に表したものである。この図2から|ΔZ|は正の値で常にある感度以上のレベルで変動していることが確認できる。なお、ここではm,nの時間差の例としては半サイクル間を表している。
【0030】
また、図3は、励磁突入電流での|ΔR|と|ΔL|の瞬時値ベースの時間変化と、この時に所定値以上あるか否かの判定結果をある周期毎に示したものである。例えば|ΔL|の縦方向のインピーダンス変化が少ない期間には、|ΔR|の横方向の変化で検出することができる。逆に横方向のインピーダンス変化が少ない期間には、|ΔL|の縦方向の変化で検出できることが分る。従って、1周期内の|ΔR|と|ΔL|の変化を加算した動作量|ΔZ|は、演算タイミングに依らず常に得られることになり、このレベル判定結果は断続動作にはならず連続動作で安定する。このことは、励磁突入電流の判定結果に対しては協調タイマは不要となり、系統事故時に生じる入力急変にてインピーダンス演算値が変化し事故点で収束するまでの過渡応答時間とこの間の継電器応動のみを考慮した時間協調をとれば良いことを意味している。
【0031】
さらに、図4(a)および図5(a)は、図6の変化を1/4サイクル(電気角90度)周期で演算した場合のインピーダンス軌跡であり、図4(b)および図5(b)は、|ΔZ|の最大変化と最小変化をそれぞれプロットしており、○印が判定周期捕捉タイミングを示している。図5の最小変化となるタイミングから励磁突入電流によるインピーダンス変動が常時継電器動作域内となるケースでも確実にインピーダンス変化を検出できることが分かる。図1の第2判定手段13がこの動作判定を行うものであり、|ΔZ|を動作量に予め設定しておいた定数KZ と比較し、判定成立時には動作信号を出力して制御手段14のロジックで継電器動作を阻止する。この制御手段14の継電器動作阻止回路の協調タイマT1,T2は、それぞれ系統事故時のインピーダンス変化により生じる過渡時の励磁突入電流検出と継電器動作との時間協調用ON遅延用タイマT1と、系統事故にてしゃ断器動作による事故除去により継電器動作ゾーン内でインピーダンスが変化する場合の継電器誤復帰対策協調用OFF遅延用タイマT2であり、従来の技術によるインダクタンスの無変化期間分のタイマとは主旨が異なる。
【0032】
以上説明したように、本実施例によると、励磁突入電流の検出を|ΔZ|による演算量で判定することで、演算タイミングによらず、常に連続した動作量が安定して得られる。このことは、励磁突入電流の判定結果に対しても協調タイマは不要となり、系統事故時のインピーダンス演算値が収束するまでの過渡応答時間とこの間の継電器応動のみ考慮すれば良いことになる。
【0033】
この結果、本実施例は上述の構成とすることで、T1タイマ値は、励磁突入電流判定結果に対しての遅延処置は不要となり、継電器動作と励磁突入電流判定との時間協調のみを考慮した値にすることが可能となる。つまり、T1タイマ値としては、継電器の最速動作時間と事故時の過渡応答期間の最大時間より適正値を設定でき、従来のタイマTより短縮した時間協調タイマで実現できる。
【0034】
図9は本発明の第2実施例(請求項2対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図1の第1実施例と異なる構成は、第2判定手段13の代りに第2判定手段23を用いた点のみであり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0035】
同図に示すように、本実施例では、第1実施例における変化分の加算量|ΔZ|の代りに、|ΔR|及び|ΔL|の変化量を直接動作量に使用している。すなわち、第1算出手段11及び第2算出手段12でそれぞれ|ΔR|及び|ΔL|を求めた後、第2判定手段23で予め設定しておいた定数KR及びKLでそれぞれ大きさを比較し、この判定結果のOR論理条件を継電器動作阻止として用いている。このインピーダンス変化判定は、図3からも明らかなように|ΔR|または|ΔL|検出のいずれか一方は常に成立するので、安定した判定結果を常時得ることができ、第1実施例と同様の作用、効果が得られる。
【0036】
上述したように、第1実施例では、インピーダンスの変化分検出として差分量の絶対値を動作判定に使用しているが、本実施例では差分量そのものを動作判定に用いている。この場合の各手段は、|ΔR|及び|ΔL|の変化量を直接動作量としてレベル判定し、このOR論理を励磁突入電流検出に使用していることから、第1実施例と同じく演算判定タイミングに依らずインピーダンス変化を確実に検出できる。
【0037】
この結果、本実施例は第1実施例と同様に、T1タイマ値は継電器の最速動作時間と事故時の過渡応答期間の最大時間より適正値を設定できるので、従来のタイマTより短縮した時間協調タイマで実現できる。
【0038】
図10は本発明の第3実施例(請求項3対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図9の第2実施例と異なる構成は、第1算出手段11及び第2算出手段12の代りに第1算出手段31及び第2算出手段32を用いた点と、第2判定手段23の代りに第2判定手段33を用いた点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0039】
同図において、第1算出手段31及び第2算出手段32では、時刻m,nで求めたR,L値の変化量としてΔR=Rm−Rn及びΔL=Lm−Lnの差分をそれぞれ求めている。この差分量を基に、第2判定手段33ではΔRの正/負変化の検出とΔLの正/負変化の検出を行うと共にこれら全ての検出のOR論理を制御手段14のAND論理に入力するように構成されている。
【0040】
この場合、インピーダンス差分量は演算周期によって正/負の極性で変動することになるが、図9の第2実施例と同様に定数KR,KLとの大きさの比較として、正方向の変化を検出すると共に定数値の極性反転で負方向の変化を検出しており、R−X座標上の上下左右の4方向検出結果のうち成立条件が1つでもあれば、制御手段14で継電器の動作を阻止することから、演算タイミングに依らずインピーダンス変化のいずれかは確実に捕捉できるので、第2実施例と同様の作用、効果が得られる。
【0041】
この結果、本実施例の場合、第2実施例の動作量がスカラ量であるのに対して、抵抗分の差分値ΔRとインダクタンス分の差分値ΔLを用いる点で、動作量はベクトル量になる。よって、インピーダンス変化の方向識別には、ΔRおよびΔLでそれぞれ正方向と負方向の4方向変化を検出する構成としており、この場合も第2実施例と同様の作用、効果がある。
【0042】
ところで、インピーダンス変化を抽出する時間幅を同一方向で2つ以上設けることで多重判定化し、励磁突入電流での周期的インピーダンス変化の検出と併せ、ランダム的な振動に対しては影響を受けにくい構成とすることもできる。この場合、演算手段におけるインピーダンス算出を例えば、電気角表現で90度の時刻毎で行うと、1周期間のインピーダンス変化の検出としては4時刻間で実施することになる。以下説明する実施例では、このうち連続した3時刻のインピーダンス変化を用いた場合について説明する。
【0043】
図11は本発明の第4実施例(請求項4対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図9の第2実施例と異なる構成は、第1算出手段11及び第2算出手段12の代りに第1算出手段41及び第2算出手段42を用いた点と、第2判定手段23の代りに第2判定手段43を用いた点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0044】
同図に示すように、第1算出手段41及び第2算出手段42はそれぞれ連続した3時刻l,m,nで求めたR,L値の変化量として、時刻幅l−m間での抵抗分変化の絶対値量|ΔR1 |と、インダクタンス分変化の絶対値量|ΔL1 |と、時刻幅l,m間より短い時間幅であるl,n間での抵抗分変化の絶対値量|ΔR2 |とインダクタンス変化の絶対値量|ΔL2 |を求めている。
【0045】
また、第2判定手段43は、第1算出手段41及び第2算出手段42で得た|ΔR1 |,|ΔR2 |及び|ΔL1 |,|ΔL2 |の4量を予め設定しておいた定数KR1 ,KL1 と、このKR1 ,KL1 より小さい値である定数KR2 ,KL2 でそれぞれ大小比較を行う。この場合、検出感度は変化分検出時間幅に応じて変えており、狭い時間幅での動作量ほど感度値は小さくしている。この4量の動作判定には、同一方向の連続したインピーダンス変化検出を|ΔR1 |>KR1 及び|ΔR2 |>KR2 と、|ΔL1 |>KL1 及び|ΔL2 |>KL2 のそれぞれのAND論理で2重化し、この両者の判定結果のOR論理で励磁突入電流を判定する構成である。このことは、周期的なインピーダンス変化については検出条件が成立するのに対して、系統事故のようにインピーダンス変化がランダム的に変化するような場合には励磁突入電流を検出しにくいものとなる。
【0046】
図7(a)は事故時に他回線、他分岐線などから高調波成分、過渡直流成分を含む電流が非同期で流入するような系統構成図であり、図7(b)はこのときの測距インピーダンス変化を示したものである。図3同様に○印が演算周期捕捉タイミングを表している。
【0047】
一般に、事故時の測距インピーダンスは過渡期間後には事故点距離を示すある値で収束するものであるが、このような系統の事故の場合は、演算判定毎に測距インピーダンス値は振動変化が生じてしまう。
【0048】
本実施例ではこのようなランダム的なインピーダンス変動現象に対しては、同一方向のインピーダンス変化の検出を2重化して不要に励磁突入電流を検出し継電器が不動作とならないようにするものである。
【0049】
図8(a)は図7(b)の測距インピーダンスの前記|ΔR|,|ΔL|の変化を示す図、同図(b)は動作判定出力の時間変化を示す図である。ここで、出力信号名の第1文字目のA,Bおよび第2文字目の1,2は、それぞれ次の意味を持つ。Aは本実施例である2つの時刻で変化を検出した判定結果を示したものであり、Bは前記実施例である1時刻で検出した判定結果を示したものである。また、第2文字目の1,2はそれぞれ前記l,m,nの時間幅、すなわち、変化分検出時刻を変えたものである。Bのケースでは動作となっているが、Aの場合には最適なインピーダンス変化を検出する時刻を選ぶようにすれば、A1 出力のように正不動作となることが分る。
【0050】
このように、異なる時間幅による複数回のインピーダンス変化検出を行うことで励磁突入電流時の周期的なインピーダンス変化の検出能力の向上と共に、系統事故時のランダム的なインピーダンス変化が生じても不要に継電器出力を阻止することなく、より安定した継電器動作を実現できる。
【0051】
本実施例は、図9の第2実施例に対して、インピーダンス変化分の検出ベースとなる時間幅を2つ以上設け、同一方向での検出を多重化したものであり、3時刻間での2重判定例を表したものである。すなわち、縦方向の動作量としては、インダクタンス分の差分の絶対値として|ΔL1 |と|ΔL2 |,横方向の動作量としては抵抗分の差分の絶対値として|ΔR1 |と|ΔR2 |の2量づつを用いており、一方向の動作にはこの2量の判定結果のAND論理とすることで、図1の第1実施例と同様に周期的なインピーダンス変動時の検出能力の向上に加え、ランダム的なインピーダンスの振動変化には励磁突入電流を検出し難い傾向となるように構成されている。
【0052】
一般に、事故発生時の過渡応答期間後は、事故点距離でインピーダンス値は収束するが、系統構成の影響によっては入力条件により、測距インピーダンスは常に安定せずランダム的な変化を生じる場合もある。このような場合に動作判定を2重化することで励磁突入電流検出を抑えるようにしている。
【0053】
以上説明したように、本実施例によると、同一方向の連続したインピーダンス変化の検出判定を複数回照合することにより、周期的変化である励磁突入電流についての検出能力をより確実にするとともに、不連続のインピーダンス変動については励磁突入電流の検出を抑える作用となり、この結果、事故時に不要な継電器阻止を回避でき、より安定した継電器応動が得られることになる。
【0054】
次に、以下説明する実施例は、上記第4実施例と同様に連続した異なる3時刻以上の時間幅で変動したインピーダンス変化分を検出するものであり、ベクトル量で扱う判定である。ここでは、変化分検出時刻としては3時刻による2つの時刻幅で説明する。
【0055】
図12は本発明の第5実施例(請求項5対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図11の第4実施例と異なる構成は、第1算出手段41及び第2算出手段42の代りに第1算出手段51及び第2算出手段52を用いた点と、第2判定手段43の代りに第2判定手段53を用いた点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0056】
同図において、第1算出手段51及び第2算出手段52はそれぞれ連続した3時刻l,m,nで求めたR,L値の変化量として、時刻幅l−m間での抵抗分の変化量ΔR1 とインダクタンス分の変化量ΔL1 と、時刻幅l,m間より短い時間幅であるl,n間での抵抗分の変化量ΔR2 とインダクタンスの変化量ΔL2 を求めている。また第2判定手段53は、第1算出手段51及び第2算出手段52で得た極性をもつΔR1 ,ΔR2 ,ΔL1 ,ΔL2 を予め設定しておいた定数KR1 ,KL1 と、このKR1 ,KL1 より小さい値である定数KR2 ,KL2 でそれぞれ大小比較を行う。この場合、検出感度は変化分検出時間幅に応じて変えており、狭い時間幅での動作量ほど感度値は小さくしている。そして、この動作判定には、同一方向の連続したインピーダンス変化検出をΔR1 >KR1 及びΔR2 >KR2 と、ΔR1 <−KR1 及びΔR2 <−KR2 と、ΔL1 >KL1 及びΔL2 >KL2 と、ΔL1 <−KL1 及びΔL2 <−KL2 のそれぞれのAND論理で2重化し、この4判定結果のOR論理で励磁突入電流を判定する構成としている。このことは、周期的なインピーダンス変化については検出条件が成立するのに対して、系統事故のようにインピーダンス変化がランダム的に変化するような場合には励磁突入電流を検出しにくい構成となり、第4実施例と同様の作用、効果を得るものである。
【0057】
これは図11の第4実施例に対して、同一方向で検出する動作量には縦方向はインダクタンス分の差分値ΔL1 とΔL2 ,横方向は抵抗分の差分値ΔR1 とΔR2 の2量ずつをそれぞれ用いており、かつ一方向の動作判定にはこのベクトル量の正/負のAND論理により、第4実施例と同様の作用、効果が得られる。
【0058】
以上説明した他に、励磁突入電流検出時の継電器の阻止として電圧振幅値の判定結果を加えた構成について以下に述べる。
【0059】
図13は本発明の第6実施例(請求項6対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図1の第1実施例と異なる構成は、電圧振幅値を算出する第2演算手段3と不足電圧継電器の動作を判定する第3判定手段4を追加し、制御手段14の代りに継電器の動作出力を制御する制御手段15を用いた点のみであり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0060】
同図において、電圧振幅値を算出する第2演算手段3は入力された電圧vの振幅値を演算する。振幅値演算アルゴリズム自体としては、例えば特公昭61−89561号公報に基本技術が紹介されているように、(A)面積法,(B)2乗法,(C)2値加算法などがある。不足電圧継電器の動作を判定する第3判定手段4は、電圧振幅値を算出する第2演算手段3にて得た振幅値がVK なる定数より小さいか否かを確認し、所定値以下の場合には動作となる不足電圧継電器(UVR)の判定処理をするものである。
【0061】
継電器の動作出力を制御する制御手段15は、図1の第1実施例の制御手段14に対して、不足電圧継電器の動作を判定する第3判定手段4よりの入力が1相でも所定値以下の場合には継電器の動作を阻止するNAND論理のロジックを追加した構成である。この制御手段15により励磁突入電流発生時の電圧レベルは定格付近であり、例えば定格×80%程度の電圧感度とすれば、この時UVRは3相とも動作しない。つまり、UVRの3相動作のOR論理のインヒビット論理を加えることにより、定格電圧値付近の振幅値である励磁突入電流時には動作判定有効となり、事故に1相でも定格×80%以下となる場合には、急変時の過渡応答期間にインピーダンス変化が仮に継電器動作域内で検出中であっても、励磁突入電流の判定結果は無効となり、継電器は動作阻止とならず高速動作することになる。
【0062】
また、事故時に電圧降下分が定格×80%以下とならないケースでは、一般に相手母線以遠の時限動作ゾーンであるため継電器の高速動作の必要性はないと言える。さらに、系統電圧投入時点では、UVRは3相とも動作状態となり得るが、これを振幅値演算に必要なデータが全て整う時点まではUVR出力は不動作側に処置しておくことで、この間の励磁突入電流検出結果は有効となる。
【0063】
このように、本実施例によると、継電器の動作阻止の有効条件に不足電圧継電器の3相不動作条件を設けることにより、事故時の過渡応答中で生じるインピーダンス変化については、不要な継電器阻止がなくなり、より確実な励磁突入電流検出でかつ高速動作となる継電器が実現できる。
【0064】
図14は本発明の第7実施例(請求項6対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図13の第6実施例と異なる構成は、第2判定手段13の代りに第2判定手段23を用いた点のみであり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0065】
同図に示すように、本実施例では第6実施例における変化分の加算量|ΔZ|の代りに、|ΔR|及び|ΔL|の変化量を直接動作量に使用している。すなわち、第1算出手段11及び第2算出手段12でそれぞれ|ΔR|及び|ΔL|を求めた後、第2判定手段23で予め設定しておいた定数KR及びKLでそれぞれ大きさを比較し、この判定結果のOR論理を制御手段15のAND論理に入力して継電器動作阻止とするように構成されている。このインピーダンス変化判定は、|ΔR|または|ΔL|検出のいずれか一方は常に成立するので、安定した判定結果を常時得ることができる。
【0066】
このように、本実施例は第6実施例と同様に、励磁突入電流を判定する各手段の出力条件に電圧レベルが所定値以上か否かの判定結果を付加している。前述したとおり励磁突入電流は変圧器の電圧印加時に発生することから、この時の電圧レベルは3相とも定格電圧値近くで定常状態にある。従って、不足電圧継電器を用いて電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果と前記インピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。このように、系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、この場合は、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、前記電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても、継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。このことは、前記協調時間をさらに短縮できることを意味しており、事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えた作用を有することになる。
【0067】
図15は本発明の第8実施例(請求項6対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図13の第6実施例と異なる構成は、第1算出手段11及び第2算出手段12の代りに第1算出手段31及び第2算出手段32を用いた点と、第2判定手段13の代りに第2判定手段33を用いた点のみであり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0068】
同図に示すように、第1算出手段31及び第2算出手段32は、時刻m,nで求めたR,L値の変化量として、ΔR=Rm−Rn及びΔL=Lm−Lnの差分をそれぞれ求めている。この差分量を基に、第2判定手段33ではΔRの正/負変化の検出とΔLの正/負変化の検出を行うと共に、これら全ての検出のOR論理を制御手段15のAND論理に入力するように構成されている。
【0069】
この場合、インピーダンス差分量は演算周期によって正/負の極性で変動することになるが、定数KR,KLとの大きさの比較として、正方向の変化を検出すると共に定数値の極性反転で負方向の変化を検出しており、R−X座標上の上下左右の4方向検出結果のうち成立条件が1つでもあれば、制御手段15で継電器の動作を阻止することから、演算タイミングに依らずインピーダンス変化のいずれかは確実に捕捉できる。
【0070】
また、本実施例は第6実施例と同様に、励磁突入電流を判定する各手段の出力条件に電圧レベルが所定値以上か否かの判定結果を付加している。励磁突入電流は変圧器の電圧印加時に発生することから、この時の電圧レベルは3相とも定格電圧値近くで定常状態にある。従って、不足電圧継電器を用いて電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果と前記インピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。このように、系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、この場合は、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、前記電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても、継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。このことは、前記協調時間をさらに短縮できることを意味しており、事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えた作用を有する。
【0071】
図16は本発明の第9実施例(請求項6対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図13の第6実施例と異なる構成は、第1算出手段11及び第2算出手段12の代りに第1算出手段41及び第2算出手段42を用いた点と、第2判定手段13の代りに第2判定手段43を用いた点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0072】
同図に示すように、第1算出手段41及び第2算出手段42は、それぞれ連続した3時刻l,m,nで求めたR,L値の変化量として、時刻幅l−m間での抵抗分変化の絶対値量|ΔR1 |と、インダクタンス分変化の絶対値量|ΔL1 |と、時刻幅l,m間より短い時間幅であるl,n間での抵抗分変化の絶対値量|ΔR2 |とインダクタンス変化の絶対値量|ΔL2 |を求めている。
【0073】
また、第2判定手段43は、第1算出手段41及び第2算出手段42で得た|ΔR1 |,|ΔR2 |及び|ΔL1 |,|ΔL2 |の4量を予め設定しておいた定数KR1 ,KL1 と、このKR1 ,KL1 より小さい値である定数KR2 ,KL2 でそれぞれ大小比較を行う。この場合、検出感度は変化分検出時間幅に応じて変えており、狭い時間幅での動作量ほど感度値は小さくしている。この4量の動作判定には、同一方向の連続したインピーダンス変化検出を|ΔR1 |>KR1 及び|ΔR2 |>KR2 と、|ΔL1 |>KL1 及び|ΔL2 |>KL2 のそれぞれのAND論理で2重化し、この両者の判定結果のOR論理で励磁突入電流を判定する構成である。このことは、周期的なインピーダンス変化については検出条件が成立するのに対して、系統事故のようにインピーダンス変化がランダム的に変化するような場合には励磁突入電流を検出しにくいものとなる。
【0074】
また、本実施例は第6実施例と同様に、励磁突入電流を判定する各手段の出力条件に電圧レベルが所定値以上か否かの判定結果を付加している。励磁突入電流は変圧器の電圧印加時に発生することから、この時の電圧レベルは3相とも定格電圧値近くで定常状態にある。従って、不足電圧継電器を用いて電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果と前記インピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。このように、系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、この場合は、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、前記電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても、継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。このことは、前記協調時間をさらに短縮できることを意味しており、事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えた作用を有していることになる。
【0075】
図17は本発明の第10実施例(請求項6対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図13の第6実施例と異なる構成は、第1算出手段11及び第2算出手段12の代りに第1算出手段51及び第2算出手段52を用いた点と、第2判定手段13の代りに第2判定手段53を用いた点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0076】
同図において、第1算出手段51及び第2算出手段52は、それぞれ連続した3時刻l,m,nで求めたR,L値の変化量として、時刻幅l−m間での抵抗分の変化量ΔR1 とインダクタンス分の変化量ΔL1 と、時刻幅l,m間より短い時間幅であるl,n間での抵抗分の変化量ΔR2 とインダクタンスの変化量ΔL2 を求めている。また第2判定手段53は、第1算出手段51及び第2算出手段52で得た極性をもつΔR1 ,ΔR2 ,ΔL1 ,ΔL2 を予め設定しておいた定数KR1 ,KL1 と、このKR1 ,KL1 より小さい値である定数KR2 ,KL2 でそれぞれ大小比較を行う。この場合、検出感度は変化分検出時間幅に応じて変えており、狭い時間幅での動作量ほど感度値は小さくしている。この動作判定には、同一方向の連続したインピーダンス変化検出をΔR1 >KR1 及びΔR2 >KR2 と、ΔR1 <−KR1 及びΔR2 <−KR2 と、ΔL1 >KL1 及びΔL2 >KL2 と、ΔL1 <−KL1 及びΔL2 <−KL2 のそれぞれのAND論理で2重化し、この4判定結果のOR論理で励磁突入電流を判定する構成としている。このことは、周期的なインピーダンス変化については検出条件が成立するのに対して、系統事故のようにインピーダンス変化がランダム的に変化するような場合には励磁突入電流を検出しにくい構成となっている。
【0077】
また、本実施例は第6実施例と同様に、励磁突入電流を判定する各手段の出力条件に電圧レベルが所定値以上か否かの判定結果を付加している。励磁突入電流は変圧器の電圧印加時に発生することから、この時の電圧レベルは3相とも定格電圧値近くで定常状態にある。従って、不足電圧継電器を用いて電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果と前記インピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。このように、系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、この場合は、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、前記電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても、継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。このことは、前記協調時間をさらに短縮できることを意味しており、事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えている。
【0078】
以上説明した第6実施例乃至第10実施例(請求項6対応)では、励磁突入電流検出の有効条件として、電圧振幅値判定に不足電圧継電器を用い、3相共に不動作条件で判定する構成であるのに対し、以下に述べる第11実施例乃至第15実施例(請求項7対応)は、電圧振幅値判定に過電圧継電器を用い、3相共に動作条件で判定する構成である。
【0079】
図18は本発明の第11実施例(請求項7対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図13の第6実施例と異なる構成は、不足電圧継電器の動作を判定する第3判定手段4の代わりに過電圧継電器の動作を判定する第3判定手段5を用いた点と、第3判定手段4の出力を制御する制御装置15の代わりに第4判定手段5の出力を制御する制御装置16を用いた点のみであり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0080】
同図において、過電圧継電器の動作を判定する第3判定手段5は、電圧振幅値を算出する第2演算手段3にて得た振幅値がVK なる定数より大きいか否かを確認し、所定値以上の場合には動作となる過電圧継電器(OVR)の判定処理をするものである。ここで、例えば検出感度を第6実施例と同様に定格×80%程度の電圧値とすれば、OVRは励磁突入電流検出時は3相とも動作となり、事故時には少なくとも1相は不動作となる。この条件を制御装置16にて継電器の阻止ロジックに加えている。従って、OVRの3相動作のAND論理を加えることにより第6実施例と同様の作用・効果が得られる。
【0081】
以上説明したように、本実施例によれば、励磁突入電流でのインピーダンス変化分を演算判定周期に依らず常に安定して検出することができるので、判定結果に対する時間協調は、励磁突入電流検出と継電器動作との時間協調のみで済み、また、電圧振幅値レベルの判定結果を継電器の動作阻止条件に加えることで、事故発生時のインピーダンス変化により生じる不要な励磁突入電流検出は抑えることができ、高速動作を有する距離継電器を提供できる。
【0082】
図19は本発明の第12実施例(請求項7対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図18の第11実施例と異なる構成は、第2判定手段13の代りに第2判定手段23を用いた点のみであり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0083】
同図に示すように、本実施例では図18の第11実施例における変化分の加算量|ΔZ|の代りに、|ΔR|及び|ΔL|の変化量を直接動作量に使用している。すなわち、第1算出手段11及び第2算出手段12でそれぞれ|ΔR|及び|ΔL|を求めた後、第2判定手段23で予め設定しておいた定数KR及びKLでそれぞれ大きさを比較し、この判定結果のOR論理を制御手段16のAND論理に入力して継電器動作阻止とするように構成されている。このインピーダンス変化判定は、|ΔR|または|ΔL|検出のいずれか一方は常に成立するので、安定した判定結果を常時得ることができる。
【0084】
また、本実施例は第11実施例と同様に、励磁突入電流を判定する各手段の出力条件に電圧レベルが所定値以下か否かの判定結果を付加している。励磁突入電流は変圧器の電圧印加時に発生することから、この時の電圧レベルは3相とも定格電圧値近くで定常状態にある。従って、電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果と前記インピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。このように、系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、この場合は、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、前記電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても、継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。このことは、前記協調時間をさらに短縮できることを意味しており、事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えた作用を有することになる。
【0085】
図20は本発明の第13実施例(請求項7対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図18の第11実施例と異なる構成は、第1算出手段11及び第2算出手段12の代りに第1算出手段31及び第2算出手段32を用いた点と、第2判定手段13の代りに第2判定手段33を用いた点のみであり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0086】
同図に示すように、第1算出手段31及び第2算出手段32は、時刻m,nで求めたR,L値の変化量として、ΔR=Rm−Rn及びΔL=Lm−Lnの差分をそれぞれ求めている。この差分量を基に、第2判定手段33ではΔRの正/負変化の検出とΔLの正/負変化の検出を行うと共に、これら全ての検出のOR論理を制御手段16のAND論理に入力するように構成されている。
【0087】
この場合、インピーダンス差分量は演算周期によって正/負の極性で変動することになるが、定数KR,KLとの大きさの比較として、正方向の変化を検出すると共に定数値の極性反転で負方向の変化を検出しており、R−X座標上の上下左右の4方向検出結果のうち成立条件が1つでもあれば、制御手段16で継電器の動作を阻止することから、演算タイミングに依らずインピーダンス変化のいずれかは確実に捕捉できる。
【0088】
また、本実施例は第11実施例と同様に、励磁突入電流を判定する各手段の出力条件に電圧レベルが所定値以上か否かの判定結果を付加している。励磁突入電流は変圧器の電圧印加時に発生することから、この時の電圧レベルは3相とも定格電圧値近くで定常状態にある。従って、電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果と前記インピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。このように、系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、この場合は、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、前記電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても、継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。このことは、前記協調時間をさらに短縮できることを意味しており、事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えた作用を有する。
【0089】
図21は本発明の第14実施例(請求項7対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図18の第11実施例と異なる構成は、第1算出手段11及び第2算出手段12の代りに第1算出手段41及び第2算出手段42を用いた点と、第2判定手段13の代りに第2判定手段43を用いた点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0090】
同図に示すように、第1算出手段41及び第2算出手段42は、それぞれ連続した3時刻l,m,nで求めたR,L値の変化量として、時刻幅l−m間での抵抗分変化の絶対値量|ΔR1 |と、インダクタンス分変化の絶対値量|ΔL1 |と、時刻幅l,m間より短い時間幅であるl,n間での抵抗分変化の絶対値量|ΔR2 |とインダクタンス変化の絶対値量|ΔL2 |を求めている。
【0091】
また、第2判定手段43は、第1算出手段41及び第2算出手段42で得た|ΔR1 |,|ΔR2 |及び|ΔL1 |,|ΔL2 |の4量を予め設定しておいた定数KR1 ,KL1 と、このKR1 ,KL1 より小さい値である定数KR2 ,KL2 でそれぞれ大小比較を行う。この場合、検出感度は変化分検出時間幅に応じて変えており、狭い時間幅での動作量ほど感度値は小さくしている。この4量の動作判定には、同一方向の連続したインピーダンス変化検出を|ΔR1 |>KR1 及び|ΔR2 |>KR2 と、|ΔL1 |>KL1 及び|ΔL2 |>KL2 のそれぞれのAND論理で2重化し、この両者の判定結果のOR論理で励磁突入電流を判定する構成である。このことは、周期的なインピーダンス変化については検出条件が成立するのに対して、系統事故のようにインピーダンス変化がランダム的に変化するような場合には励磁突入電流を検出しにくいものとなる。
【0092】
また、本実施例は第11実施例と同様に、励磁突入電流を判定する各手段の出力条件に電圧レベルが所定値以上か否かの判定結果を付加している。励磁突入電流は変圧器の電圧印加時に発生することから、この時の電圧レベルは3相とも定格電圧値近くで定常状態にある。従って、電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果と前記インピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。このように、系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、この場合は、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、前記電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても、継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。このことは、前記協調時間をさらに短縮できることを意味しており、事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えた作用を有していることになる。
【0093】
図22は本発明の第15実施例(請求項7対応)である距離継電器のブロック図であり、本実施例が図18の第11実施例と異なる構成は、第1算出手段11及び第2算出手段12の代りに第1算出手段51及び第2算出手段52を用いた点と、第2判定手段13の代りに第2判定手段53を用いた点であり、その他の構成は同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0094】
同図において、第1算出手段51及び第2算出手段52は、それぞれ連続した3時刻l,m,nで求めたR,L値の変化量として、時刻幅l−m間での抵抗分の変化量ΔR1 とインダクタンス分の変化量ΔL1 と、時刻幅l,m間より短い時間幅であるl,n間での抵抗分の変化量ΔR2 とインダクタンスの変化量ΔL2 を求めている。また第2判定手段53は、第1算出手段51及び第2算出手段52で得た極性をもつΔR1 ,ΔR2 ,ΔL1 ,ΔL2 を予め設定しておいた定数KR1 ,KL1 と、このKR1 ,KL1 より小さい値である定数KR2 ,KL2 でそれぞれ大小比較を行う。この場合、検出感度は変化分検出時間幅に応じて変えており、狭い時間幅での動作量ほど感度値は小さくしている。この動作判定には、同一方向の連続したインピーダンス変化検出をΔR1 >KR1 及びΔR2 >KR2 と、ΔR1 <−KR1 及びΔR2 <−KR2 と、ΔL1 >KL1 及びΔL2 >KL2 と、ΔL1 <−KL1 及びΔL2 <−KL2 のそれぞれのAND論理で2重化し、この4判定結果のOR論理で励磁突入電流を判定する構成としている。このことは、周期的なインピーダンス変化については検出条件が成立するのに対して、系統事故のようにインピーダンス変化がランダム的に変化するような場合には励磁突入電流を検出しにくい構成となっている。
【0095】
また、本実施例は第11実施例と同様に、励磁突入電流を判定する各手段の出力条件に電圧レベルが所定値以上か否かの判定結果を付加している。励磁突入電流は変圧器の電圧印加時に発生することから、この時の電圧レベルは3相とも定格電圧値近くで定常状態にある。従って、電圧振幅値の3相分がともに定格状態か否かを所定の感度定数値にて高速に判定し、この判定結果と前記インピーダンス変化の検出結果のAND条件にて継電器応動を制御する。つまり、3相とも定格電圧値付近で、かつインピーダンス変化を検出した場合のみ励磁突入電流であると判別し、継電器動作を阻止する。このように、系統事故発生時の過渡応答中、入力急変期間にインピーダンス変化分を検出しても、この場合は、電圧値は3相のうちいずれか1相は定格電圧状態から低下するため、前記電圧振幅値判定結果は成立せず、不要に励磁突入電流と判定することなく継電器阻止には至らない。この結果、継電器はインピーダンスが事故点で収束するまでの過渡変動期間においても、継電器のゾーン内であれば即時動作が期待できる。このことは、前記協調時間をさらに短縮できることを意味しており、事故時の継電器動作時間の高速性も兼ね備えている。
【0096】
(本発明の他の実施の形態)
以上説明した本発明の各実施例では、励磁突入電流検出の動作判定に抵抗分とインダクタンス分で説明したが、本発明の他の実施の形態として、インピーダンス値を算出する除算処理前の分子、分母を用いた場合について以下説明する。
【0097】
前述の電気学会「保護継電工学」テキストを例にベクトル計算の場合、P114の第6.3表から引用すれば、m,nにて得たインピーダンス演算の変化分の判定は分母、分子値で表すとそれぞれ(1) 式,(2) 式のように置換できる。
【0098】
Figure 0003615032
ここで、
VIcos θm,VIcos θn:m,n時点で演算したv,iの内積値(R分分子)
VIsin θm,VIsin θn:m,n時点で演算したv,iの外積値(L分分子)
Im,In:m,n時点で演算したiの振幅値、
θm,θn:m,n時点でのv,iの位相、
KVR,KVL:定数値(KVR≒KVL)
したがって、一定時間内の変化分の大きさを検出するインピーダンス量の代わりに本分子、分母値で励磁突入電流時の変化分を抽出しても算出結果は等価で扱うことができ、上記各実施例と同様の作用、効果を得ることができる。
【0099】
また、|ΔR|,|ΔL|など変化分の絶対値実現には、前記各実施例では関数的に扱ったが、これを(3) 式,(4) 式のように乗算計算による2次の値で求めても同様である。
【0100】
Figure 0003615032
【0101】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、励磁突入電流の検出をインピーダンス測距値の4方向変化から検出することにより、演算周期に依らず常に安定した判定結果を得ることができる。この結果、時間協調用タイマの短縮化が図られることになる。また、電圧振幅値レベルを励磁突入電流検出の判定条件に加えることで、事故時の過渡応答中のインピーダンス変化による励磁突入電流検出が抑えられ継電器の高速動作が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のブロック図。
【図2】励磁突入電流時のインピーダンス絶対値の時刻変化と判定結果を示す図。
【図3】励磁突入電流時の抵抗とインダクタンスの変化分の時刻変化と判定結果を示す図。
【図4】同図(a)は励磁突入電流時のインピーダンス軌跡を示す図、同図(b)は判定結果を示す図。
【図5】同図(a)は励磁突入電流時のインピーダンス軌跡を示す図、同図(b)は判定結果を示す図。
【図6】励磁突入電流時のインピーダンス軌跡を示す図。
【図7】同図(a)は事故時他回線から電流が流入する系統構成を示す図、同図(b)は事故時のインピーダンス軌跡を示す図。
【図8】事故時のインピーダンス絶対値の時刻変化と判定結果を示す図。
【図9】本発明の第2実施例のブロック図。
【図10】本発明の第3実施例のブロック図。
【図11】本発明の第4実施例のブロック図。
【図12】本発明の第5実施例のブロック図。
【図13】本発明の第6実施例のブロック図。
【図14】本発明の第7実施例のブロック図。
【図15】本発明の第8実施例のブロック図。
【図16】本発明の第9実施例のブロック図。
【図17】本発明の第10実施例のブロック図。
【図18】本発明の第11実施例のブロック図。
【図19】本発明の第12実施例のブロック図。
【図20】本発明の第13実施例のブロック図。
【図21】本発明の第14実施例のブロック図。
【図22】本発明の第15実施例のブロック図。
【図23】励磁突入電流時の電圧、電流波形図。
【図24】距離継電器特性に対する励磁突入電流時の影響を示す図。
【図25】従来方式の励磁突入電流を検出する構成図。
【図26】従来方式のインダクタンス変化量と判定結果を示す図。
【符号の説明】
1…演算手段、2…第1判定手段、3…第2演算手段、4,5…第3判定手段、11,31,41,51…第1算出手段、12,32,42,52…第2算出手段、13,23,33,43,53…第2判定手段、14,15,16…制御手段。

Claims (7)

  1. 電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる2時刻(m,n)にて得た前記インピーダンス測距値Rm,Rn,Lm,Lnから、抵抗分の差分量の絶対値|ΔR|=|Rm−Rn|を求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分量の絶対値|ΔL|=|Lm−Ln|を求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者の加算値ΔZのレベル確認として、|ΔZ|=|ΔR|+|ΔL|>KZ(KZ:定数値)なる大小比較判定を行う第3の手段と、前記第3の手段にて判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする距離継電器。
  2. 電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる2時刻(m,n)にて得た前記インピーダンス測距値Rm,Rn,Lm,Lnから、抵抗分の差分量の絶対値|ΔR|=|Rm−Rn|を求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分量の絶対値|ΔL|=|Lm−Ln|を求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者のレベル確認として、それぞれ|ΔR|>KR,|ΔL|>KL(KR,KL:定数値)なる大小比較のOR論理判定を行う第3の手段と、前記第3の手段にていずれか一方でも判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする距離継電器。
  3. 電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる2時刻(m,n)にて得た前記インピーダンス測距値Rm,Rn,Lm,Lnから、抵抗分の差分値ΔR=Rm−Rnを求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分値ΔL=Lm−Lnを求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者のレベル確認として、次の4つの大小比較のOR論理判定
    ΔR>KR,ΔL>KL,ΔR<−KR,ΔL<−KL
    (KR,KL:定数値)
    を行う第3の手段と、前記第3の手段にて少なくともいずれか一つでも判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする距離継電器。
  4. 電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる3時刻(l,m,n)以上で得た前記インピーダンス測距値Rl,Rm,Rn,Ll,Lm,Lnから、抵抗分の差分量の絶対値|ΔR1 |=|Rl−Rm|および|ΔR2 |=|Rl−Rn|を求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分量の絶対値|ΔL1 |=|Ll−Lm|および|ΔL2 |=|Ll−Ln|を求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者のレベル確認として、次の大小比較のAND条件
    ΔR1 >KR1 and ΔR2 >KR2
    ΔL1 >KL1 and ΔL2 >KL2
    (KR1 ,KR2 ,KL1 ,KL2 :定数,KR1 >KR2 ,KL1 >KL2 )
    のOR論理判定を行う第3の手段と、前記第3の手段にていずれか一方でも判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする距離継電器。
  5. 電力系統の電圧および電流を入力してインピーダンス測距演算を行い、この測距値を基に系統における励磁突入電流か事故電流かの識別をする距離継電器において、前記インピーダンスには、抵抗値(R)成分とインダクタンス値(L)成分のそれぞれ連続変化量として、一定期間内の異なる少なくとも3時刻(l,m,n)以上で得た前記インピーダンス測距値Rl,Rm,Rn,Ll,Lm,Lnから抵抗分の差分値ΔR1 =Rl−RmおよびΔR2 =Rl−Rnを求める第1の手段と、インダクタンス成分の差分値ΔL1 =Ll−LmおよびΔL2 =Ll−Lnを求める第2の手段と、前記第1の手段および前記第2の手段より得た両者のレベル確認として、次の4つの大小比較のAND条件
    ΔR1 >KR1 and ΔR2 >KR2
    ΔL1 >KL1 and ΔL2 >KL2
    ΔR1 <−KR1 and ΔR2 <−KR2
    ΔL1 <−KL1 and ΔL2 <−KL2
    (KR1 ,KR2 ,KL1 ,KL2 :定数,KR1 >KR2 ,KL1 >KL2 )
    のOR論理判定を行う第3の手段と、前記第3の手段にて少なくともいずれか1つでも判定成立時には前記励磁突入電流にて誤動作のおそれがある継電器動作を阻止するような出力制御を行う第4の手段とを備えていることを特徴とする距離継電器。
  6. 請求項1乃至請求項5記載の距離継電器において、前記継電器動作の出力制御には、入力電圧のレベル判定として不足電圧継電器の3相分不動作条件を付加していることを特徴とする距離継電器。
  7. 請求項1乃至請求項5記載の距離継電器において、前記継電器動作の出力制御には、入力電圧のレベル判定として過電圧継電器の3相分動作条件を付加していることを特徴とする距離継電器。
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