JP3614807B2 - 巻回素子の巻取装置及び製造方法 - Google Patents

巻回素子の巻取装置及び製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二次電池等に内蔵される巻回素子を得るための巻取装置及び製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、図6(a)に示すように、リチウムイオン電池等の二次電池の電池素子31は、プラス電極箔32及びマイナス電極箔33と、2枚のセパレータ34,35とからなる帯状体36が、断面扁平形状に巻回されることで構成されている。
【0003】
従来、かかる帯状体36を巻き取るための巻取装置は、図6(b)に示すような断面非円形状(例えば、略菱形状)の巻芯39を備えている。該巻芯39には、前記菱形の一対の向かい合う頂点(図の上下の頂点)を結ぶ線上にスリット40が形成されている。
【0004】
かかる巻取装置によって、帯状体36を巻き取る際には、まず、スリット40に帯状体36の先端を所定の順序で通し、巻芯39を所定回数回転させることによって、図6(c)に示すように、巻芯39の外周に略断面菱形状に帯状体36が巻き付けられる。次に、帯状体36を巻芯39から抜き去り、それを押し潰すことによって、前記電池素子31が得られる。尚、前記押し潰しにより断面扁平形状とするのは、全体としての薄肉化を図ることで、体積効率の向上を図るためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のようにして得られた電池素子31の巻き中心部には、図6(a)に示すように帯状体36によるZ形状の折り目が形成されてしまう。より詳しくは、帯状体36のスリット40内に配置された部分が、押し潰される際に、巻き中心部で折れ曲がってしまう。このため、巻き中心部の折り目分だけ電池素子31の厚みが増加してしまい、厚みが不均一になるという不具合を生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、巻回素子を得るに際し、厚肉化を抑制することができ、肉厚の均一化を図ることのできる巻取装置及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記の目的を達成するために有効な手段を以下に示す。尚、必要に応じてその作用効果等についても説明する。
【0008】
手段1.回転可能な巻芯を備え、該巻芯の回転によって帯状体が巻き取られるよう構成された巻取装置であって、前記巻芯は、スリットと、巻き取られた前記帯状体を扁平形状に押し潰す際に折れ曲がりの基点となる部分に対応する一対の契機部とを備え、前記巻芯に沿って前記一方の契機部から前記他方の契機部に至るまでの長さと、前記巻芯に沿って前記一方の契機部から前記スリットを通って前記他方の契機部に至るまでの最短長さとがほぼ同等であることを特徴とする巻取装置。
【0009】
上記手段1によれば、帯状体を巻芯のスリットに通してから、巻芯を回転させることで、帯状体が巻芯に巻き取られる。このとき、巻芯に沿って一方の契機部から他方の契機部に至るまでの長さと、巻芯に沿って一方の契機部からスリットを通って他方の契機部に至るまでの最短長さとがほぼ同等であるため、巻き中心部の帯状体は、スリットを通らずに一方の契機部から他方の契機部に至るまでの長さと、一方の契機部からスリットを通って他方の契機部に至るまでの長さとがほぼ同等となる。その後、巻き取られた帯状体から巻芯が抜き去られ、帯状体が押し潰されて扁平形状の巻回素子が製造される。この押し潰しの際に、帯状体の前記スリットを通らない部分の長さと前記スリットを通る部分の長さとがほぼ同等であるため、スリットを通る部分が巻中心部に従来のようなZ形状の折り目が形成されることなく、ほぼ平らに延びる。従って、巻き中心部分に折れ目が形成されることにより、厚みが増してしまったり、厚みが不均一になったりするといった不具合を抑制することができる。また、帯状体の一対の契機部に対応する部分が基点になり、巻回素子の両端になるように潰されるため、安定して決まった方向に潰されることとなる。
【0010】
手段2.回転可能な巻芯を備え、該巻芯の回転によって帯状体が巻き取られるよう構成された巻取装置であって、前記巻芯は、スリットと、巻き取られた前記帯状体を扁平形状に押し潰す際に折れ曲がりの基点となる部分に対応する一対の契機部とを備え、前記巻芯に沿って前記一方の契機部から前記他方の契機部に至るまでの長さよりも、前記巻芯に沿って前記一方の契機部から前記スリットを通って前記他方の契機部に至るまでの最短長さが短いことを特徴とする巻取装置。
【0011】
上記手段2によれば、帯状体を巻芯のスリットに通してから、巻芯を回転させることで、帯状体が巻芯に巻き取られる。このとき、巻芯に沿って一方の契機部から他方の契機部に至るまでの長さよりも、巻芯に沿って一方の契機部からスリットを通って他方の契機部に至るまでの最短長さが短いため、巻き中心部の帯状体は、スリットを通らずに一方の契機部から他方の契機部に至るまでの長さよりも、一方の契機部からスリットを通って他方の契機部に至るまでの長さが短くなる。その後、巻き取られた帯状体から巻芯が抜き去られ、帯状体が押し潰されて扁平形状の巻回素子が製造される。この押し潰しの際に、帯状体の前記スリットを通らない部分の長さよりも前記スリットを通る部分の長さが短いため、スリットを通る部分が巻中心部に従来のようなZ形状の折り目が形成されることなく、確実に平らに延びる。従って、巻き中心部分に折れ目が形成されることにより、厚みが増してしまったり、厚みが不均一になったりするといった不具合を一層確実に抑制することができる。また、帯状体の一対の契機部に対応する部分が、基点となり、巻回素子の両端になるように潰されるため、安定して決まった方向に潰されることとなる。
【0012】
手段3.前記一対の契機部は、コーナー部であることを特徴とする手段1又は2に記載の巻取装置。
【0013】
上記手段3によれば、一対の契機部がコーナー部であるため、巻き取られた帯状体のコーナー部に対応する部分には折れ曲がり部が形成される。その結果、帯状体が押し潰される際には、折れ曲がり部が確実に基点となり、巻回素子の両端になるように潰されるため、安定して決まった方向に確実に潰されることとなる。
【0014】
手段4.前記コーナー部は、断面鋭角状又は断面略鋭角状となっていることを特徴とする手段3に記載の巻取装置。
【0015】
上記手段4によれば、コーナー部が断面鋭角状又は断面略鋭角状となっているため、巻き取られた帯状体のコーナー部に対応する部分には鋭角又は略鋭角の折れ曲がり部が形成される。その結果、帯状体が押し潰される際には、折れ曲がり部が一層確実に基点となり、巻回素子の両端になるように潰されるため、安定して決まった方向に一層確実に潰されることとなる。
【0016】
手段5.スリットを有するとともに回転可能に支持された巻芯を備え、該巻芯の回転によって帯状体が巻き取られるよう構成された巻取装置であって、前記巻芯の断面は、短辺と長辺とを備えるとともに、互いに対向する一対の鋭角のコーナー部を備えた略平行四辺形状をなし、前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記他方のコーナー部に至るまでの長さと、前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記スリットを通って前記他方のコーナー部に至るまでの最短長さとがほぼ同等であることを特徴とする巻取装置。
【0017】
上記手段5によれば、帯状体を巻芯のスリットに通してから、巻芯を回転させることで、帯状体が巻芯に巻き取られる。このとき、巻芯に沿って一方のコーナー部から他方のコーナー部に至るまでの長さと、巻芯に沿って一方のコーナー部からスリットを通って他方のコーナー部に至るまでの最短長さとがほぼ同等であるため、巻き中心部の帯状体は、スリットを通らずに一方のコーナー部から他方のコーナー部に至るまでの長さと、一方のコーナー部からスリットを通って他方のコーナー部に至るまでの長さとがほぼ同等となる。その後、巻き取られた帯状体から巻芯が抜き去られ、帯状体が押し潰されて扁平形状の巻回素子が製造される。この押し潰しの際に、帯状体の前記スリットを通らない部分の長さと前記スリットを通る部分の長さとがほぼ同等であるため、スリットを通る部分が巻中心部に従来のようなZ形状の折り目が形成されることなく、ほぼ平らに延びる。従って、巻き中心部分に折れ目が形成されることにより、厚みが増してしまったり、厚みが不均一になったりするといった不具合を抑制することができる。また、帯状体の一対の鋭角のコーナー部に対応する部分には折れ曲がり部が形成され、この折れ曲がり部が確実に基点になり、巻回素子の両端になるように潰されるため、安定して決まった方向に確実に潰されることとなる。しかも、巻芯の断面が短辺と長辺とを備えているため、押し潰しの際の変形による帯状体同士のズレ応力が、短辺とその近傍に対応する部分にのみ生じやすく、残る長辺の大部分にはズレ応力がかかりにくい。そのため、押し潰しの際のズレを極力防止することができる。加えて、巻き取られた帯状体の形状が略平行四辺形の比較的扁平形状となるため、押し潰し量が比較的小さくて済む。このため、全体の変形量も小さくなることから、一層ズレが生じにくい。従って、帯状体のズレによる不具合の発生を抑制することができる。
【0018】
手段6.スリットを有するとともに回転可能に支持された巻芯を備え、該巻芯の回転によって帯状体が巻き取られるよう構成された巻取装置であって、前記巻芯の断面は、短辺と長辺とを備えるとともに、互いに対向する一対の鋭角のコーナー部を備えた略平行四辺形状をなし、前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記他方のコーナー部に至るまでの長さよりも、前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記スリットを通って前記他方のコーナー部に至るまでの最短長さが短いことを特徴とする巻取装置。
【0019】
上記手段6によれば、帯状体を巻芯のスリットに通してから、巻芯を回転させることで、帯状体が巻芯に巻き取られる。このとき、巻芯に沿って一方のコーナー部から他方のコーナー部に至るまでの長さよりも、巻芯に沿って一方のコーナー部からスリットを通って他方のコーナー部に至るまでの最短長さが短いため、巻き中心部の帯状体は、スリットを通らずに一方のコーナー部から他方のコーナー部に至るまでの長さよりも、一方のコーナー部からスリットを通って他方のコーナー部に至るまでの長さが短くなる。その後、巻き取られた帯状体から巻芯が抜き去られ、帯状体が押し潰されて扁平形状の巻回素子が製造される。この押し潰しの際に、帯状体の前記スリットを通らない部分の長さよりも前記スリットを通る部分の長さが短いため、スリットを通る部分が巻中心部に従来のようなZ形状の折り目が形成されることなく、確実に平らに延びる。従って、巻き中心部分に折れ目が形成されることにより、厚みが増してしまったり、厚みが不均一になったりするといった不具合を一層確実に抑制することができる。また、帯状体の一対の鋭角のコーナー部に対応する部分には折れ曲がり部が形成され、この折れ曲がり部が確実に基点になり、巻回素子の両端になるように潰されるため、安定して決まった方向に確実に潰されることとなる。しかも、巻芯の断面が短辺と長辺とを備えているため、押し潰しの際の変形による帯状体同士のズレ応力が、短辺とその近傍に対応する部分にのみ生じやすく、残る長辺の大部分にはズレ応力がかかりにくい。そのため、押し潰しの際のズレを極力防止することができる。加えて、巻き取られた帯状体の形状が略平行四辺形の扁平形状となるため、押し潰し量が比較的小さくて済む。このため、全体の変形量も小さくなることから、一層ズレが生じにくい。従って、帯状体のズレによる不具合の発生を抑制することができる。
【0020】
手段7.前記短辺の長さに対する長辺の長さは、2倍以上20倍以下であることを特徴とする手段5又は6に記載の巻取装置。
【0021】
上記手段7によれば、巻芯の断面が短辺に対し充分に長い長辺を備えているため、押し潰しの際の変形による帯状体同士のズレ応力が、短辺とその近傍に対応する部分にのみ生じやすく、残る長辺の大部分にはズレ応力が一層かかりにくくなる。そのため、押し潰しの際のズレを極力防止することができる。加えて、巻き取られた帯状体の形状が略平行四辺形の非常に扁平形状となるため、押し潰し量が小さくて済む。このため、全体の変形量も小さくなることから、一層ズレが生じにくい。従って、帯状体のズレによる不具合の発生を一層抑制することができる。尚、「前記短辺の長さに対する長辺の長さは、2倍以上20倍以下であること」に代えて、「前記短辺の長さに対する長辺の長さは、3倍以上15倍以下であること」あるいは、「前記短辺の長さに対する長辺の長さは、4倍以上10倍以下であること」としてもよい。
【0022】
手段8.前記帯状体は、プラス及びマイナス電極箔と、該両電極箔を互いに絶縁状態に維持するためのセパレータとからなることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の巻取装置。
【0023】
上記手段8のように、帯状体が、プラス及びマイナス電極箔と、該両電極箔を互いに絶縁状態に維持するためのセパレータとからなることにより、リチウムイオン電池素子等の二次電池の素子を巻き取りに際し、上記各作用効果が奏される。
【0024】
手段9.スリットと、互いに対向する1対のコーナー部とを備えた巻芯の回転に基づいて帯状のプラス及びマイナス電極箔を、セパレータを介して互いに絶縁状態で巻き取ることにより、巻回素子を製造するための方法であって、前記セパレータを前記スリットから所定長だけはみ出すように案内する工程と、前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記スリットを通過して前記他方のコーナー部に至るまでの前記セパレータの長さが、次いで、前記巻芯に沿って巻き取られる前記一方のコーナー部から前記他方のコーナー部までの前記セパレータの長さと同等に、ほぼ同等に又は短くなるように、前記セパレータを巻き取る工程と、前記一方の電極箔を、前記セパレータで挟まれるように前記巻芯へと案内し、前記他方の電極箔を、前記セパレータで挟まれるように前記巻芯へと案内する工程と、前記巻芯を所定数回転させることで、前記セパレータ、及び前記両電極箔を巻き取り、巻回体とする工程と、前記巻回体を前記巻芯から抜き去る工程と、前記巻回体のうち前記各コーナー部に対応する部分を折れ曲がりの基点にして扁平形状に押し潰す工程とを備えたことを特徴とする巻回素子の製造方法。
【0025】
上記手段9によれば、まず、セパレータが巻芯のスリットから所定長はみ出すように案内される。次に、巻芯が回転させられ、巻芯に沿って一方のコーナー部からスリットを通過して他方のコーナー部に至るまでのセパレータの長さが、巻芯に沿って巻き取られる一方のコーナー部から他方のコーナー部までのセパレータの長さと同等に、ほぼ同等に又は短くなるように、セパレータが巻き取られる。さらに、両電極箔がそれぞれセパレータに挟まれるように案内され、巻芯が回転されてセパレータ及び両電極箔が巻き取られる。巻き取られた巻回体が巻芯から抜き去られ、巻回体のうち各コーナー部に対応する部分が折れ曲がりの基点とされて扁平形状に押し潰される。この押し潰しの際に、帯状体の前記スリットを通らない部分の長さよりも前記スリットを通る部分の長さが同等、ほぼ同等又は短いため、スリットを通る部分が巻中心部に従来のようなZ形状の折り目が形成されることなく、平らに延びる。従って、巻き中心部分に折れ目が形成されることにより、厚みが増してしまったり、厚みが不均一になったりするといった不具合を抑制することができる。また、巻回体の一対のコーナー部に対応する部分が、基点となり、巻回素子の両端になるように潰されるため、安定して決まった方向に潰されることとなる。
【0026】
手段10.前記コーナー部は、断面鋭角状又は断面略鋭角状となっていることを特徴とする手段9に記載の巻回素子の製造方法。
【0027】
上記手段10によれば、コーナー部が断面鋭角状又は断面略鋭角状となっているため、巻き取られた帯状体のコーナー部に対応する部分には鋭角の折れ曲がり部が形成される。その結果、帯状体が押し潰される際には、折れ曲がり部が一層確実に基点となり、巻回素子の両端になるように潰されるため、安定して決まった方向に一層確実に潰されることとなる。
【0028】
手段11.前記巻芯の断面は、短辺と長辺とを備えた略平行四辺形状をなし、前記コーナー部は、前記略平行四辺形の一対の対角に相当することを特徴とする手段10に記載の巻回素子の製造方法。
【0029】
上記手段11によれば、巻芯の断面が短辺と長辺とを備えているため、押し潰しの際の変形によるセパレータ及び両電極箔のズレ応力が、短辺とその近傍に対応する部分にのみ生じやすく、残る長辺の大部分にはズレ応力がかかりにくい。そのため、押し潰しの際のズレを極力防止することができる。加えて、巻き取られた巻回体の形状が略平行四辺形の比較的扁平形状となるため、押し潰し量が比較的小さくて済む。このため、全体の変形量も小さくなることから、一層ズレが生じにくい。従って、セパレータ及び両電極箔のズレによる不具合の発生を抑制することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0031】
まず、本実施の形態の巻取装置によって得られるリチウムイオン電池素子の構成について説明する。図2に示すように、巻回素子としての電池素子1は、複数の帯状体2が扁平形状に巻回された巻回体を主として備えている。帯状体2は、2枚のセパレータ3,4と、プラス電極箔5及びマイナス電極箔6とによって構成されている。セパレータ3,4は、異種の電極箔5,6が互いに接触して短絡を起こしてしまうのを防止するべく絶縁体よりなる。プラス電極箔5及びマイナス電極箔6には、活物質が塗布されており、電極箔5,6の巻き中心部分には、長板状のリード7,8が取り付けられている。
【0032】
次に、図3(a)に従って上記電池素子1を製造するための巻取装置11について説明する。前記巻取装置11は、サーボモータ12の回転に基づいて回転可能に軸支された巻芯13を備えている。サーボモータ12の回転軸14及び巻芯13には、タイミングベルト15が掛けられており、これにより、サーボモータ12の回転軸14の回転駆動力が巻芯13に伝達されるようになっている。巻芯13は、タイミングベルト15が掛けられている軸部16と、軸部16の先端に設けられた本体部17とを備えている。巻芯13は、その軸線方向に出没可能となっており、非巻取時には、没入状態、巻取時には突出状態をとるようになっている。また、巻芯13には、例えば、図の左右方向から各帯状体2が供給されるようになっている。
【0033】
さて、図3(b)に示すように、本実施の形態における本体部17は、板厚約3mmの板状体によって構成されている。本体部17の断面は、短辺と長辺とを備え、かつ、鋭角(例えば、50度)のコーナー部18,19を有する平行四辺形をなしている。前記短辺と長辺との長さの比は、短辺に対し長辺が2〜20倍となっているのが好ましく、短辺に対し長辺が3〜15倍となっているのがより好ましく、短辺に対し長辺が4〜10倍となっているのがさらに好ましい。
【0034】
また、本体部17の中央には、スリット20が形成されており、該スリット20の形成により、前記平行四辺形の短辺とほぼ平行に延びる2つの側壁21,22が形成されている。本体部17について、さらに詳しく説明するために、図の左下のコーナー部18の頂点を点A、図の左上の鈍角のコーナー部の頂点を点B、図の右上のコーナー部19の頂点を点C、スリット20によって形成された図の中央左下の角を点D、及び、図の中央右上の角を点Eとする。本実施の形態では、点A,Bを結ぶ直線距離ABと点B、Cを結ぶ直線距離BCとを加えた距離ABCが、点A,Dを結ぶ直線距離ADと、点D、Eを結ぶ直線距離DEと、点E,Cを結ぶ直線距離ECとを加えた距離ADECとほぼ同等となっている。
【0035】
次に、上記のように構成されてなる巻取装置11を用いた巻取方法について説明する。
【0036】
まず、図4(a)に示すように、前記セパレータ3,4の先端部分を、図の左方向へと引っ張り込む。次に、それまで没入状態にあった巻芯13を突入させる。すると、この時点において、本体部17のスリット20内にセパレータ3,4が入り込む格好となる。続いて、図4(b)に示すように、巻芯13を90度回転させる。このとき、一方のセパレータ4が図の左方向から巻芯13へと案内されるように、セパレータ4の案内方向を変更させる。さらに、図4(c)に示すように、巻芯13を180度回転させた時点で、プラス電極箔5を、巻取途中のセパレータ3,4で挟まれるように図の右方向から案内する。さらにまた、図4(d)に示すように、巻芯13を180度回転させた時点で、マイナス電極箔6を巻取途中のセパレータ3,4で挟まれるように図の左方向から案内する。その後、巻芯13を高速で回転させることで、セパレータ3,4及び電極箔5,6を巻き付けていく。そして、巻芯13が所定回転数だけ回転させられることによって、図1(a)に示すように、ほぼ平行四辺形状に帯状体2が巻き取られる。
【0037】
次に、巻芯13が没入状態とさせられることで、図5(a)に示すような巻回体が本体部17から取り外される。そして、該巻回体を図の上下方向から押し潰す。すると、前記コーナー部18,19に対応する部分を基点に、その内角が小さくなり潰れる。このとき、前記セパレータ3,4のスリット20を通過する部分Laは、ほぼ平らに延ばされる。これにより、図5(b)に示すような肉薄の電池素子1が得られることになる。
【0038】
さて、本実施の形態によれば、図1(b)に示すように、巻き取られた帯状体2のうち、巻き中心部分のセパレータ3,4において、一方のコーナー部18からスリット20を通過し他方のコーナー部19に至るまでの部分Laの長さと、巻芯13の外周に沿って前記一方のコーナー部18から前記他方のコーナー部19に至るまでの部分Lbの長さとがほぼ同等となる。このため、巻回体を潰す際に、セパレータ3,4のうちスリット20を通過する部分Laにおいて、Z形状の折り目が形成されることなく、ほぼ平らに延びる。従って、巻き中心部分に折れ目が形成されることにより、厚みが増してしまったり、厚みが不均一になったりするといった不具合を抑制することができる。
【0039】
また、巻回体のコーナー部18,19に対応する部分が基点になり、電池素子1の両端になるように潰れるため、安定して決まった方向に潰れることとなる。その結果、得られる電池素子1の形状安定性を保持することができるとともに、潰した後のリード7,8の位置を安定させることができる。
【0040】
しかも、本体部17が、短辺に対して充分に長い長辺を備えているため、押し潰しの際の変形による帯状体2同士のズレ応力が、短辺とその近傍に対応する部分にのみ生じやすく、残る長辺の大部分にはズレ応力がかかりにくい。そのため、押し潰しの際のズレを極力防止することができる。加えて、巻回体の形状が当初より比較的扁平形状となるため、押し潰し量が比較的小さくて済む。このため、全体の変形量も小さくなることから、一層ズレが生じにくい。従って、帯状体2のズレによる不具合の発生を抑制することができる。
【0041】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0042】
(a)本体部17のコーナー部18,19を含む角部分については、適宜面取りをしてもよい。これにより、帯状体2に傷がつくといった不具合を抑制できる。
【0043】
(b)上記実施の形態では、本体部17の距離ABCが距離ADECとほぼ同等となっているが、距離ADECが距離ABCより短くてもよい。すなわち、スリット20を通過する部分Laの長さが、巻芯13の外周に沿う部分Lbの長さとほぼ同等となっているが、部分Laの長さが部分Lbの長さより短くてもよい。かかる構成としても、Z形状の折り目は形成されない。
【0044】
(c)スリット20を構成する側壁21,22は、本体部17の断面の平行四辺形の短辺とほぼ平行な断面を備えるものに限定されるわけではない。例えば、平行四辺形の長辺に垂直な断面を備える側壁でも、前記(b)に記載の距離ABC,ADECの関係を有することができればよい。
【0045】
(d)上記実施の形態では、リチウムイオン電池を製造する場合に具体化しているが、他の非水電解質二次電池等を製造する際に用いられる巻取装置に具現化することも可能である。
【0046】
(e)セパレータ3,4や電極箔5,6を巻芯13へと案内するタイミングは、上記実施の形態に限定されるわけではなく、製品の仕様に合わせ適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は巻芯に巻き取られた帯状体を示す断面図であり、(b)は巻中心の帯状体の長さを説明するための模式図である。
【図2】電池素子の斜視図である。
【図3】(a)は巻取装置の主要部分を示す部分斜視図であり、(b)は(a)に示す本体部のα部の拡大断面図である。
【図4】帯状体の巻芯への巻取工程を説明するための模式図である。
【図5】(a)は巻芯を抜き去った後の巻回体を示すの断面図であり、(b)は押し潰された巻回体を示す断面図である。
【図6】(a)は従来の電池素子を示す断面図であり、(b)は従来の巻芯を示す断面図であり、(c)は従来の巻芯に巻き取られた帯状体を示す断面図である。
【符号の説明】
1…巻回素子としての電池素子、2…帯状体、3,4…セパレータ、5…プラス電極箔、6…マイナス電極箔、11…巻取装置、13…巻芯、18、19…コーナー部、20…スリット。

Claims (10)

  1. 回転可能な巻芯を備え、該巻芯の回転によって帯状体が巻き取られるよう構成された巻取装置であって、
    前記巻芯は、スリットと、
    巻き取られた前記帯状体を扁平形状に押し潰す際に折れ曲がりの基点となる部分に対応する一対の断面鋭角状又は断面略鋭角状のコーナー部とを備え、
    前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記他方のコーナー部に至るまでの長さと、
    前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記スリットを通って前記他方のコーナー部に至るまでの最短長さとがほぼ同等であることを特徴とする巻取装置。
  2. 回転可能な巻芯を備え、該巻芯の回転によって帯状体が巻き取られるよう構成された巻取装置であって、
    前記巻芯は、スリットと、
    巻き取られた前記帯状体を扁平形状に押し潰す際に折れ曲がりの基点となる部分に対応する一対の契機部とを備え、
    前記巻芯に沿って前記一方の契機部から前記他方の契機部に至るまでの長さよりも、
    前記巻芯に沿って前記一方の契機部から前記スリットを通って前記他方の契機部に至るまでの最短長さが短いことを特徴とする巻取装置。
  3. 前記一対の契機部は、コーナー部であることを特徴とする請求項に記載の巻取装置。
  4. 前記コーナー部は、断面鋭角状又は断面略鋭角状となっていることを特徴とする請求項3に記載の巻取装置。
  5. スリットを有するとともに回転可能に支持された巻芯を備え、該巻芯の回転によって帯状体が巻き取られるよう構成された巻取装置であって、
    前記巻芯の断面は、短辺と長辺とを備えるとともに、互いに対向する一対の鋭角のコーナー部を備えた略平行四辺形状をなし、
    前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記他方のコーナー部に至るまでの長さと、
    前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記スリットを通って前記他方のコーナー部に至るまでの最短長さとがほぼ同等であることを特徴とする巻取装置。
  6. スリットを有するとともに回転可能に支持された巻芯を備え、該巻芯の回転によって帯状体が巻き取られるよう構成された巻取装置であって、
    前記巻芯の断面は、短辺と長辺とを備えるとともに、互いに対向する一対の鋭角のコーナー部を備えた略平行四辺形状をなし、
    前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記他方のコーナー部に至るまでの長さよりも、
    前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記スリットを通って前記他方のコーナー部に至るまでの最短長さが短いことを特徴とする巻取装置。
  7. 前記短辺の長さに対する長辺の長さは、2倍以上20倍以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の巻取装置。
  8. 前記帯状体は、プラス及びマイナス電極箔と、該両電極箔を互いに絶縁状態に維持するためのセパレータとからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の巻取装置。
  9. スリットと、互いに対向する1対の断面鋭角状又は断面略鋭角状のコーナー部とを備えた巻芯の回転に基づいて帯状のプラス及びマイナス電極箔を、セパレータを介して互いに絶縁状態で巻き取ることにより、巻回素子を製造するための方法であって、
    前記セパレータを前記スリットから所定長だけはみ出すように案内する工程と、
    前記巻芯に沿って前記一方のコーナー部から前記スリットを通過して前記他方のコーナー部に至るまでの前記セパレータの長さが、次いで、前記巻芯に沿って巻き取られる前記一方のコーナー部から前記他方のコーナー部までの前記セパレータの長さと同等に、ほぼ同等に又は短くなるように、前記セパレータを巻き取る工程と、
    前記一方の電極箔を、前記セパレータで挟まれるように前記巻芯へと案内し、前記他方の電極箔を、前記セパレータで挟まれるように前記巻芯へと案内する工程と、
    前記巻芯を所定数回転させることで、前記セパレータ、及び前記両電極箔を巻き取り、巻回体とする工程と、
    前記巻回体を前記巻芯から抜き去る工程と、
    前記巻回体のうち前記各コーナー部に対応する部分を折れ曲がりの基点にして扁平形状に押し潰す工程とを備えたことを特徴とする巻回素子の製造方法。
  10. 前記巻芯の断面は、短辺と長辺とを備えた略平行四辺形状をなし、前記コーナー部は、前記略平行四辺形の一対の対角に相当することを特徴とする請求項に記載の巻回素子の製造方法。
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