JP3614777B2 - 洗濯用補助具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、靴下等の繊維製品の洗濯に用いられる洗濯用補助具に関する。
【0002】
【従来技術と発明が解決しようとする課題】
靴下等の布または編地からなる繊維製品の汚れを、水や洗浄剤の存在下、電気洗濯機による機械的な処理により除去することが行われているが、織維製品によっては通常の洗浄処理だけでは満足のいく洗浄効果が得られない場合があり、その場合は適当な前処理を行うことが奨励される。例えば靴下のつま先やかかと等の汚れのひどい箇所に対しては、手で操む、ブラシ等の洗浄用具で擦る、叩く等の前処理が行われている。しかしながら、この様な前処理を行うことは手間と時問がかかり、煩雑である。
【0003】
そこで、実開昭56−32671号公報には、靴下の内部構造と同じ形状の挿入体を屈曲自在でかつ弾撥力のある材料で形成し、その中に適宜好適な重量のおもりを挿入した靴下洗浄用治具が提案されているが、おもりの比重が洗濯水より若干重いだけであることと、挿入体に通水性が無いことから、高い洗浄性は期待できない。また、実開平7−27481号公報には、枠状本体と筒状小物衣類の内部を拡開する拡開手段とからなり筒状小物衣類の開口部から連通する洗濯水流通路を形成する洗濯補助具が提案されているが、その拡開手段があることで被洗濯物への洗濯補助具の挿入が困難であるとともに、本体がポリエチレン等の合成樹脂から形成されていることから、被洗濯物に洗濯補助具を挿入して洗濯に供したときに、該被洗濯物が洗濯機内の水流に沿って流れてしまい、汚れを除去するに必要な被洗濯物と水との相対速度が得られず、十分な洗浄力が得られない。さらに特開平9−56964号公報には、靴下内部に変形自在で密度が2〜7g/cm3の部材を直接挿入して洗濯する方法として、例えば、3〜10mm程度の金属小球等の部材を靴下が膨らむ程度の個数挿入する方法が提案されているが、この方法では、靴下内に比重の高い部材を直接挿入するため、洗濯時に該部材が靴下からこぼれ落ちたりするおそれがあるほか、洗濯時の騒音も大きくなり、また、靴下の繊維を傷めるおそれがある等、毎日行われる洗濯に実用する事は難しい。また、該部材を靴下内に挿入して靴下を洗濯するときにはその水位を10〜40mmとすることが必要であることから、他の洗濯物と共に洗濯することは実質不可能である。
【0004】
従って、本発明の目的は、洗浄性、取り扱い性、被洗濯物の保形性に優れた洗濯用補助具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、靴下内に挿入可能な大きさ及び形状を有し、該靴下内に挿入されて該靴下と共に洗濯に供される洗濯用補助具であって、中空の網状体と該網状体内に配されるおもりとを有し、該洗濯用補助具全体の比重が1.8〜8.5であり、且つ該洗濯用補助具全体の重量が20〜500gであり、前記靴下内に挿入したときに、前記おもりが前記靴下のつま先部分、かかと部分、又はその中間部分に対応する部分に配されて重心を偏倚させるように設けられている洗濯用補助具を提供することにより、前記の目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の洗濯用補助具の好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
【0007】
本発明の洗濯用補助具は、洗濯物内に挿入可能な大きさ及び形状を有し、該洗濯物内に挿入されて該被洗濯物と共に洗濯に供される洗濯用補助具である。該洗濯用補助具全体の比重は、1.8〜8.5であり、全体の重量は、20〜500gである。
【0008】
本発明の洗濯用補助具は、その全体の比重が1.8〜8.5であり、3.4〜7.4であることが好ましい。該比重が1.8未満であると、電気洗濯機内の水流に沿って流れ易くなり、汚れを落とすに十分な被洗濯物と水との相対速度が得られず、十分な洗浄力が得られない。該比重が8.5を超えると、洗濯用補助具の一部分に重さが集中し、被洗濯物が局部的に破損しやすくなる。なお、本明細書において、比重という場合には、水に対する比重(真比重)をいう。
【0009】
また、本発明の洗濯用補助具全体の重量は、20〜500gであり、60〜300gであることが好ましい。該全体の重量が20g未満であると、その体積が小さく、電気洗濯機内の水流に沿って流れ易くなり、汚れを落とすに十分な被洗濯物と水との相対速度が得られず、十分な洗浄力が得られない。また、500gを超えると、被洗濯物内が伸びやすくなってしまう。
【0010】
また、本発明の洗濯用補助具は、比重が2〜11の材質からなる部材(以下、おもりと称する。)を一以上用いることが好ましく、比重が6〜11の材質からなるおもりを一以上用いることがより好ましい。比重が2以上の材質からなるおもりを一以上有していないと、電気洗濯機内の水流に沿って流れ易くなり、汚れを落とすに十分な被洗濯物と水との相対速度が得られず、十分な洗浄力が得られない。また、比重が11を超える材質のおもりを有している場合には、該洗濯用補助具の一部分に重さが集中し、被洗濯物が破れやすくなることから好ましくない。該おもりの材質は洗濯液中に浸した場合に腐食等が生じず、容易に摩耗等しないものであれば特に制限されないが、例えば、金属、セラミックス、石材等が挙げられる。該おもりは、必要に応じて樹脂で封入することもできる。該おもりの形状は、洗濯時に、被洗濯物の繊維、洗濯槽(脱水槽を含む。以下同じ。)の内表面や回転翼を傷つけない形状、例えば、球状等の角部が存在しない形状とすることが好ましい。該おもりは、取り扱い性の観点からは一塊状のものであることが好ましいが、洗濯中の洗濯水の流れに対応して可動することで洗浄効果が高くなることや、洗濯槽への衝撃を低減させることから複数個存在しても良い。該おもりは、必要に応じて樹脂で封入することもできる。
【0011】
また、本発明の洗濯用補助具は、全体の見かけ体積が、90〜400mlであることが好ましく、90〜300mlであることがより好ましい。該全体の見かけ体積が90ml未満であると、洗濯用補助具を被洗濯物内に挿入した状態でも被洗濯物の網目を十分に拡開することができずに、十分な洗浄力が得られない。400mlを超えると、被洗濯物内に挿入することが困難となることから好ましくない。このようにすることで、被洗濯物を構成する布又は編地相互の重畳が防止され、被洗濯物を構成する布又は編地への通水性が確保されて洗浄効果が高められる。
【0012】
本発明の洗濯用補助具は、中空の形態を有している。
本発明の洗濯用補助具は、被洗濯物内への通水性を確保でき、屈曲自在で被洗濯物内に挿入し易くする点から、前記おもりに加えて弾性を有する袋状の網状体を用いることが好ましい。該網状体は、その開口率が30〜99%であるものを用いることが好ましく、50〜98%であるものを用いることがより好ましい。また、該網状体を構成する線材の線径は、0.1〜3mmであることが好ましく、0.2〜2mmであることがより好ましい。該網状体は、一重或いは二重以上に重ねて用いることもできる。
【0014】
本発明の洗濯用補助具における、前記おもりの配設形態は、特に制限されるものではないが、例えば、本実施形態のように、網状体で袋を形成し、おもりを袋内に入れて該おもりを底部に配置し、おもりの上方において一旦袋を封止して該おもりを底部に固定し、さらに袋を裏返してその開口部を封止し、該おもりを挿入体内に配設する形態等が挙げられる。
【0016】
前記網状体内へのおもりの配設位置は、当該洗濯用補助具の挿入された袋状の被洗濯物が洗濯槽内の洗濯水に沈められたときにその開口部側を上方に向けるように配設することが好ましい。具体的には、洗濯補助具における靴下のつま先部分、かかと部分、或いはその中間部に対応する部分におもりを配設し、重心を偏倚させる。このようにすることで、汚れのひどい靴下のつま先やかかとの部分の洗浄効果が高められる。また、他の洗濯物とのからみも防ぐことができる。
【0017】
本発明の洗濯用補助具が挿入されて洗濯に供される袋状の洗濯物(被洗濯物)には、具体的には、靴下、足袋等が挙げられる。
【0018】
上記構成の本発明の洗濯用補助具は、具体的には、例えば、図1に示す実施形態とすることができる。図1に示す洗濯用補助具1は、本発明の洗濯用補助具を靴下洗濯用補助具に適用したものである。洗濯用補助具1は、弾性を有するプラスチックス製の袋状の網状体2内におもり3を配設したものである。おもり3は、網状体2の先端部に配置されており、これにより、おもり3の部分が靴下のつま先部分に位置し、洗濯水に沈めた場合に靴下の開口部側が上方に向くようになしてある。洗濯用補助具1は、靴下内に挿入されたときに該靴下が膨出する嵩を有している。網状体2の上端部には、樹脂製のひも状体からなるストラップ4が取り付けられており、脱水後にそのままフックに引っかけて干せるようになしてある。
【0019】
本実施形態の洗濯用補助具1は、おもり3を配設した側を靴下の開口部に挿入し、靴下の開口部をもって2,3回上下に軽く振ることでおもり3の重力で簡単に靴下のつま先側まで挿入させることができる。この洗濯用補助具1の挿入状態では、靴下が膨出した状態になり、また、弾性を有する袋状の網状体によって中空に形成されているので、靴下内部にも洗濯水の通水が十分に行われて靴下の繊維間に洗濯水が十分に流通でき、高い洗浄効果を得ることができる。また、おもり3が靴下のつま先に位置する部分に配設されているので、汚れのひどいつま先部分を効果的に洗浄することができる。さらに、網状体2が所定の弾性を有しており、おもり3が網状体2内に配設されているので、取り扱い性にも優れており、また、繊維を傷つけたり洗濯時に騒音がすることもない。
【0020】
本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【0021】
【実施例】
〔実施例1〜実施例16、比較例1〜6〕
表1に示すような形態の靴下洗濯用補助具を作製し、これらの洗濯用補助具を用いた場合と用いない場合について下記の洗濯条件で洗濯を行い、下記の評価方法で洗浄性を調べた。その結果を表1に示す。
【0022】
<洗濯条件>
試験用靴下(被洗濯物):グンゼ(株)製、商品名「サポート クリーン」を中学生が8〜12時間/日着用したもののうち著しくよごれたもの
洗濯機:全自動洗濯機(松下電器産業(株)製「愛妻号」)
洗濯液:水道水45リットルに洗剤(花王(株)製「アタック」)30gを添加し、20℃に調整したもの
浴比:2.25kg/45リットル
洗濯時間: 洗濯12分、ためすすぎ3分(2回)、脱水5分
【0023】
<洗浄性の評価>
新品の靴下を1、著しく汚れた試験用靴下を8として、その間を補完する全8種類スコア(1〜8)の評価用サンプルを用意した。そして、著しく汚れた靴下を前記洗濯条件にて洗濯後、該洗濯後の靴下を該評価用サンプルと照合してその汚れの落ち具合のスコアを決定し、さらにその結果を下記の3段階で評価した。
◎:補助具なしよりかなり良い(汚れ落ち:8→1・2)
○:補助具なしより良い(汚れ落ち:8→3・4)
×:補助具なしと同等かそれより悪い(汚れ落ち:8→5〜8)
【0024】
<靴下の伸びの評価>
試験用靴下の洗濯前後における足底部の幅を測定し、(選択前)/(洗濯後)の百分率を求め、下記の3段階で靴下の伸びを評価した。
◎:幅の比が100%以下
○:幅の比が100%超、110%未満
×:幅の比が110%以上
【0025】
【表1】
【0026】
表1に示すように、洗濯用補助具全体の比重が1.8〜8.5であり、且つ該洗濯用補助具全体の重量が20〜500gである実施例の洗濯用補助具(本発明品)を用いた場合には、靴下の洗浄性が良好であり、また、靴下の伸びもほとんどないことが確認された。これに対し、補助具を用いない場合並びに洗濯用補助具全体の比重及び重量が前記範囲外である洗濯用補助具を用いた場合では、靴下の洗浄性が悪いか、洗濯後に靴下が伸びてしまうことが確認された。
【0027】
【発明の劾果】
本発明によれば、洗浄性、取り扱い性に優れた洗濯用補助具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗濯用補助具の一実施形態を示す一部を破断視した概略図である。
【符号の説明】
1 洗濯用補助具
2 網状体
3 おもり
Claims (4)
- 靴下内に挿入可能な大きさ及び形状を有し、該靴下内に挿入されて該靴下と共に洗濯に供される洗濯用補助具であって、中空の網状体と該網状体内に配されるおもりとを有し、該洗濯用補助具全体の比重が1.8〜8.5であり、且つ該洗濯用補助具全体の重量が20〜500gであり、前記靴下内に挿入したときに、前記おもりが前記靴下のつま先部分、かかと部分、又はその中間部分に対応する部分に配されて重心を偏倚させるように設けられている洗濯用補助具。
- 前記おもりは、比重が2〜11の材質からなる請求項1記載の洗濯用補助具。
- 前記洗濯用補助具全体の見かけ体積が、90〜400mlである請求項1又は2記載の洗濯用補助具。
- 前記網状体の開口率が30〜99%である請求項1〜3の何れかに記載の洗濯用補助具。
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