JP3613534B2 - コンピュータ周辺機器回転部の転がり軸受用ステンレス鋼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は転がり軸受用のステンレス鋼に関し、より詳しくはコンピュータ周辺機器の回転部に用いられる軸受用の鋼材であるステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】
従来、耐蝕性や耐摩耗性が要求される転がり軸受用の鋼材にはSUS440C級のマルテンサイト系ステンレス鋼が使用されている。
【0003】
このステンレス鋼中には溶鋼が凝固する際に共晶反応により生じる径の大なる共晶炭化物や、溶鋼中の原材料の不純物が化学変化して発生するアルミナ等の非金属介在物が存在し、鋼材を切削加工する際、共晶炭化物や非金属介在物と鋼材の組織との間に被削性の差が生じて高精度な切削加工を施すことができず、特に転がり軸受においては内外輪の転動溝を高精度に加工することができないので、回転精度を向上せしめることができず、回転時の振動により発生する騒音も大であり、精密測定機器やコンピュータ周辺機器等の精密機器の回転部には用いることができなかった。
【0004】
従来の転がり軸受用のステンレス鋼には、鋼材の製造工程において熱処理を管理することにより前記共晶炭化物の径を、例えば10μm程度の微小なものにして加工精度を高めることができるようにしたものもあるが、鋼材中の非金属介在物の発生を抑えるようにしたものはなく、高精度な転がり軸受を製造することはできなかった。
【0005】
本発明は鋼材中の共晶炭化物の径を小なるものになし、かつ非金属介在物の発生を極めて低レベルに抑えることにより、鋼材の組織が均一かつ緻密で、高精度の加工を行うことができる転がり軸受用のステンレス鋼を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決する手段】
上述した目的を達成するために、本発明に係るコンピュータ周辺機器における回転部の転がり軸受用ステンレス鋼は、重量比にして、炭素が0.60〜0.75%、クロムが10.5〜13.5%、珪素が1.0%以下、マンガンが0.3〜0.8%、残余部が鉄及び不可避に混入する不純物で構成され、硬度がHRC58以上、かつ共晶炭化物の径が10μm以下で、鋼材中の酸素およびチタンの量をそれぞれ10ppm以下とすることにより、耐食性に優れ、しかも鋼材組織が均一かつ緻密で転動溝の切削加工性が改良されて静粛性に優れた転がり軸受を提供できるようにしたコンピュータ周辺機器回転部の転がり軸受用のものとしてある。
【0007】
【実施例】
以下本発明に係る転がり軸受用のステンレス鋼を玉軸受の内外輪に使用する場合の具体例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
図において、符号1は内周に転動溝1aを形成した外輪、2は外周に転動溝2aを形成した内輪を示しており、内外輪の転動溝間には転動体たる複数のボール3を設けてある。
【0009】
本実施例においては、玉軸受の内外輪2、1を本発明に係るステンレス鋼で構成し、ボール3を高炭素クロム軸受鋼で構成してある。
【0010】
ボール3を高炭素クロム軸受鋼で構成するのは、ボールは内外輪間に囲まれるので、耐蝕性があまり要求されず、高炭素クロム軸受鋼はステンレス鋼に比して精密加工が容易で十分な加工精度を得ることができ、しかもステンレス鋼よりも安価であって製造コストを低減できるからである。
【0011】
本発明においては内外輪を構成するステンレス鋼が重量比にして、炭素が0.60〜0.75%、クロムが10.5〜13.5%、珪素が1.0%以下、マンガンが0.3〜0.8%、残余部が鉄及び不可避に混入する不純物であり、硬度がHRC58以上、かつ熱処理を管理することにより共晶炭化物の径が10μm以下で、鋼材中の酸素およびチタンの量がそれぞれ10ppm以下である構成のものとしてある。
【0012】
しかして、本発明に係るステンレス鋼の原材料には不純物として含まれるチタンの量が極力少ないものを使用して鋼材中のチタンの含有率を10ppm以下に管理してあり、チタンと溶鋼中の窒素とが化合することにより生じる窒化チタン等のチタンに起因する非金属介在物の発生を極めて低レベルに抑えてある。
【0013】
また、本発明に係るステンレス鋼の製造工程において、溶鋼中の脱ガス時間を長くすることにより、鋼材中の酸素を10ppm以下に低減せしめてあって、原材料中に含まれる微量のアルミニウムと酸素とが化合することにより生じるアルミナや、ステンレス鋼の原材料たる珪素と酸素とが化合することにより生じる酸化珪素等の酸素に起因する非金属介在物の発生をも極めて低レベルに抑えてある。
【0014】
上述のように構成した玉軸受は内外輪を構成するステンレス鋼中の共晶炭化物の径が小で、非金属介在物の発生を極めて低レベルに抑えてあるので、金属組織が均一かつ緻密であり、高精度な加工を施すことができ、玉軸受の静粛性および回転精度を向上せしめることができる。
【0015】
次に示す表1は内輪、外輪をともに本発明に係るステンレス鋼で構成した玉軸受に関する振動および騒音(静粛性)の評価試験をAFBMA( The Anti−Friction Bearing Manufacturers Association, Inc.)の規格に準拠して行った成績(アンデロン値)を、従来のSUS440C級のステンレス鋼で構成した玉軸受の試験成績と比較して示すものである。
【0016】
なお、従来例のステンレス鋼による玉軸受においても、本発明のステンレス鋼による玉軸受と同様にボールに高炭素クロム軸受鋼を使用した。
【0017】
【表1】
表1中、アンデロン値のM、Hの欄はそれぞれ測定用周波数帯域の区分で、Mは中周波数帯域(300〜1,800Hz)、Hは高周波数帯域(1,800〜10,000Hz)を示しており、アンデロン値は小である程、振動、騒音が少なく、静粛性に優れていることを表す。
【0018】
この結果から本発明のステンレス鋼による玉軸受は従来のステンレス鋼による玉軸受に比べて、振動、騒音が低く静粛性に優れていることがわかる。
【0019】
なお、上述した実施例においては外輪1、内輪2の双方をともに本発明に係るステンレス鋼で構成してあるが、使用条件によっては耐蝕性、接着強度の安定が必要な一方だけを本発明に係るステンレス鋼で構成すればよく、他方には高炭素クロム軸受鋼を使用してもよい。
【0020】
【発明の作用、効果】
本発明に係る転がり軸受用のステンレス鋼は上述した構成のものとしてあるので、次の作用、効果を奏し得る。
【0021】
鋼材中に含まれるチタンおよび酸素をともに10ppm以下にして非金属介在物の発生を極めて低レベルに抑えてあるので、鋼材の組織が均一かつ緻密であり、転がり軸受の素材として使用する際に、転動溝の加工を高精度に行うことができ、転がり軸受の静粛性および回転精度を格段に向上せしめることができる。
【0022】
また、非金属介在物は鋼材の組織に比べて硬いものであって、従来のステンレス鋼では転がり軸受の使用時に転動溝の表面に現れる非金属介在物が転動体の表面を摩耗せしめる原因となっていたが、本発明のステンレス鋼では非金属介在物の発生が極めて少ないので、転動体の摩耗が少なく、転がり軸受の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステンレス鋼による玉軸受の一例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 外輪
1a 外周転動溝
2 内輪
2a 内周転動溝
3 ボール
Claims (1)
- コンピュータ周辺機器回転部用の転がり軸受用ステンレス鋼であって、重量比にして、炭素が0.60〜0.75%、クロムが10.5〜13.5%、珪素が1.0%以下、マンガンが0.3〜0.8%、残余部が鉄及び不可避に混入する不純物で構成され、硬度がHRC58以上、かつ共晶炭化物の径が10μm以下で、鋼材中の酸素およびチタンの量をそれぞれ10ppm以下とすることにより、耐食性に優れ、しかも鋼材組織が均一かつ緻密で転動溝の切削加工性が改良されて静粛性に優れた転がり軸受を提供できるようにしたコンピュータ周辺機器回転部の転がり軸受用ステンレス鋼。
Priority Applications (4)
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JP35378895A JP3613534B2 (ja) | 1995-09-13 | 1995-12-29 | コンピュータ周辺機器回転部の転がり軸受用ステンレス鋼 |
GB9626171A GB2308602B (en) | 1995-12-29 | 1996-12-17 | Stainless steel for anti-friction bearing |
US08/769,565 US5843369A (en) | 1995-12-29 | 1996-12-19 | Stainless steel for anti-friction bearing and method of making |
DE19654546A DE19654546C2 (de) | 1995-12-29 | 1996-12-27 | Reibungsarme Lager aus rostfreiem Stahl |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP26090095 | 1995-09-13 | ||
JP7-260900 | 1995-09-13 | ||
JP35378895A JP3613534B2 (ja) | 1995-09-13 | 1995-12-29 | コンピュータ周辺機器回転部の転がり軸受用ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09137257A JPH09137257A (ja) | 1997-05-27 |
JP3613534B2 true JP3613534B2 (ja) | 2005-01-26 |
Family
ID=26544808
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35378895A Expired - Lifetime JP3613534B2 (ja) | 1995-09-13 | 1995-12-29 | コンピュータ周辺機器回転部の転がり軸受用ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3613534B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006002937A (ja) * | 2004-05-20 | 2006-01-05 | Minebea Co Ltd | 流体動圧軸受装置およびその製造方法、スピンドルモータ、および記録ディスク駆動装置 |
-
1995
- 1995-12-29 JP JP35378895A patent/JP3613534B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006002937A (ja) * | 2004-05-20 | 2006-01-05 | Minebea Co Ltd | 流体動圧軸受装置およびその製造方法、スピンドルモータ、および記録ディスク駆動装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09137257A (ja) | 1997-05-27 |
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