JP3613053B2 - 非接触型icカード処理装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、継続的にサービスの提供が行われる装置本体に付設される非接触型ICカード処理装置に関し、特に手によって非接触型ICカード(以下、単にカードという)を抜き差しできる非接触型ICカード処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の非接触型ICカード処理装置においては、サービスの提供中に継続的にカードの価値情報を処理する必要がある。このため処理を実行している間にカードが取り出せないように一時的に保持しておくカード保持装置が必要となる。このカード保持装置としては、カードを装置内に取り込んで保持する形式のものがあるが、カードを装置内に取り込むための搬送ベルトや駆動モータを必要とするために、部品点数が増加するだけではなく装置が大型化するという欠点がある。
【0003】
この欠点を解消するものとして、ポケット状のカード収納部が備えられ、このカード収納部内に利用者が手によってカードを抜き差しする形式のものがある。この形式の非接触型ICカード処理装置においては、カード収納部の裏面側にカードの情報を処理するカードリーダが設けられ、サービスの提供を受けようとする利用者がカードをカード収納部に差し入れると、サービスの提供中にカードリーダによってサービスに応じて無線を介してカードの価値情報が処理される。サービスの提供が終了したら、利用者が手によってカード収納部からカード抜き取るように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の非接触型ICカード処理装置においては、カードを単にカード収納部内に収納するだけの構造であって、カード収納部内のカードの抜き取りを規制する構造は設けられていない。このため、サービスの提供中に利用者が故意または誤ってカードを抜き取ってしまうおそれがあり、この場合にはサービスが中断したり、抜き取られ強制終了させられたカードが次から使用できなくなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化とサービスの向上を図った非接触型ICカード処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載の発明は、略立設された平板状の基板と、この基板の裏面側に設けられたカード処理手段と、この基板の表面側に揺動自在に支持されカードの下端部を保持する保持部が設けられたホルダーと、このホルダーの保持部にカードが挿入されたことを検出するセンサと、前記ホルダーに保持されたカードの全体を前記基板の表面に接触させる位置と、カードの上端部を基板の表面から離間させる位置に傾動させるようにホルダーを揺動させる揺動手段とを備え、前記基板の表面にカードの外形よりもわずかに大きい外形およびカードの厚みよりもわずかに大きい深さを有する凹部を設けたものである。
したがって、ホルダーの保持部にカードが挿入されると、センサによって検出され、揺動手段が作動し、カードは下端部を回動中心として回動して凹部に収納される。カード処理手段によって、提供されたサービスに対応したカードの処理が終了すると、カードは前述とは反対方向に回動し上端部が凹部から飛出した状態になる。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ホルダーの保持部を溝とするとともに、このホルダーにレバー部を一体的に設け、前記揺動手段を前記ホルダーのレバー部を移動させるソレノイドとしたものである。
ホルダーの溝内に挿入されたカードは自重により溝から落下することがない。ホルダーとソレノイドといった必要最小限の部品によって構成される。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記揺動手段を、モータによって回転するセクタギアと、このセクタギアに噛合し前記ホルダーを揺動させるウォームとによって構成したものである。
したがって、モータが回転しセクタギアがウォームに噛合するとホルダーが回動し、ウォームに対してセクタギアの噛合が解除するとホルダーの回動が停止する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る非接触型ICカード処理装置の背面図、図2は図1におけるII−II 線断面図、図3は同じくホルダーの全体を示す斜視図、図4は同じくカバーを示し、同図(a)は正面図、同図(b)は同図(a)におけるIV(b)−IV(b) 線断面図、図5は同じくカード処理の動作を説明するために要部を拡大して示した断面図である。
【0009】
図1および図2において、全体を符号1で示す非接触型ICカード処理装置1は、立設された平板状の基板2と、この基板2の裏面側に設けられたカード処理手段としてのカードリーダ3と、基板2の表面側の下部に揺動自在に支持されたホルダー4と、このホルダー4を揺動させるソレノイド5とによって概ね構成されている。カードリーダ3はブラケット9を介して基板2の裏面から間隔を隔てて取り付けられている。
【0010】
基板2の表面には、カードリーダ3に対応して矩形状の凹部10が設けられており、この凹部10の外形寸法は、カード6の外形寸法よりもわずかに大きく形成され、深さはカード6の厚みよりもわずかに大きく形成されている。また、基板2の凹部10の直下には、図5に示すように、カード6の幅よりもやや大きい幅を有する横長の長方形の窓11が穿設されている。
【0011】
この窓11には、カバー7が取り付けられており、このカバー7は、図4に示すように、両側部12a,12bおよび底部12cによって上方が開口した正面視コ字状の枠部12と、この枠部12の両側部12a,12b間に設けられた断面半円形の膨出部13とによって形成されている。膨出部13の上部には、膨出部13の左右方向にカード6の幅よりもやや大きく形成された開口13aが設けられ、この開口13aの下方には膨出部13に囲まれた動作空間14が形成されている。両側部12a,12bの上端部には、裏面側に上述した基板2の厚みだけ離間した一対の鍔15,15が一体に突設され、下端部には基板2の厚みだけ離間した一対の係合突起16,16が一体に突設されている。このカバー7は、上述した窓11の上端部を、鍔15,15と両側部12a,12bの上端部とで挟持するとともに、窓11の下端部を、弾性変形させながら係合突起16,16と両側部12a,12bの下端部とで挟持することにより、枠部12が基板2の表面に対接するようにして取り付けられている。
【0012】
図3において、ホルダー4は左右方向の寸法がカード6の幅よりもわずかに大きく形成され、基端部に嵌挿孔17aが形成された軸受部17がホルダー4の左右方向に延設されている。また、ホルダー4の高さ方向の略中央部から二股状に挟持部18が一体に形成されており、この挟持部18によって上方が開口しカード6の厚みよりわずかに大きい幅の溝19が設けられ、挟持部18とホルダー4の上端部は折り返し部18a,4aがそれぞれ設けられている。さらに、ホルダー4の下端の中央部には、略直角に折り曲げられるようにしてレバー部20が一体に突設され、このレバー部20には係合溝20aが設けられている。このホルダー4は、嵌挿孔17aに軸21が嵌挿され、この軸21の両端部が上述したカバー7の両側部12a,12bに横架されることにより、図2および図5において動作空間4中を軸21を回動中心として、時計方向と反時計方向に回動自在に支持されている。
【0013】
ソレノイド5は基板2の裏面側に窓11の直下に位置するように、図示を省略したブラケットを介して固定され、このソレノイド5のロッド22がホルダー4のレバー部20の係合溝20aに係合している。このソレノイド5のロッド22が進退することにより、図2に示すように、ホルダー4が軸21を回動中心として時計方向または反時計方向に回動し、ホルダー4の溝19がカバー7の開口13aに対応するようにして、角度αの範囲を揺動するように構成されている。このホルダー4の溝19の下端部であって軸21の軸線方向の両端部の図5にG−G線で示す位置には、受・発光素子によって形成された一対の検出センサ(図示せず)が設けられている。
【0014】
次に、このように構成された非接触型ICカード処理装置におけるカード処理の動作を説明する。
カードの処理が行われていない初期状態においては、図5(a)に示すように、ソレノイド5のロッド22が前進しており、ホルダー4は軸21を回動中心として時計方向に傾いた状態になっている。この状態において、カード6の下端部をカバー7の開口13aからホルダー4の溝19内に挿入させることによって、G−G線上に設けた検出センサ(図示せず)がカード6を検出すると、わずかに時間を遅らせてソレノイド5が駆動され、ロッド22が後退する。
【0015】
したがって、同図(b)に示すように、レバー20を介してホルダー4が軸21を回動中心として角度αだけ図中反時計方向に回動するので、図2において、カード6は基板2の凹部10内に収納される。カード6が収納されると、カード6に記録されている価値情報は、カードリーダ3によって無線を介して書き換えられてカードの処理が行われる。このとき、カード6が凹部10内に収納され、凹部10の外形寸法が、カード6の外形寸法よりもわずかに大きく形成され、深さはカード6の厚みよりもわずかに大きく形成されているので、カード6の外周端と凹部10との間に手を差し入れることが規制されている。したがって、カード処理中に手によって故意または誤ってカード6を凹部10から取り出すことが規制され、このため、サービスが中断したり、次からこのカード6の使用ができなくなるということがないので、サービスが低下することがない。
【0016】
カード6の処理が終了すると、ソレノイド5の駆動が解除され、ロッド22が前進するので、図5(a)に示すように、ホルダー4が軸21を回動中心として図中時計方向に角度αだけ回動する。したがって、図2に示すように、カード6の上端部が基板2の表面から離間し、カード6は凹部10から飛び出るので、カード6の上端部を手によって把持することにより、カード6をホルダー4から取り外すことができる。
【0017】
このように、カード6を処理するのに、従来のようにカード6を装置内に取り込む必要がないので、カード6を搬送するためのベルトやプーリ等が必要なく、このため、カード詰まりが発生しないとともに、カードの汚れが低減するので、カードをクリーニングすることなく再利用が可能になる。カードの処理を行うためのカード移動手段として、ホルダー4とソレノイド5といった必要最小限の部品によって構成されるので、構造が簡素化されるだけではなく、装置が小型化されるとともに安価に形成される。また、ホルダー4の溝19内に挿入されたカード6は自重により溝19から落下することがないので、ホルダー4に特別なカード保持機構を設ける必要がなく、部品点数が削減される。
【0018】
図6は本発明に係る非接触型ICカード処理装置の第2の実施の形態を示す正面図である。
この第2の実施の形態が、上述した第1の実施の形態と異なる点は、ホルダー4を揺動させる手段だけであって、その他の構成については同一に形成されている。
すなわち、ホルダー4の回動支点としての軸21にウォーム25が軸着され、このウォーム25にセクタギア26が噛合し、このセクタギア26が軸着された軸27は正逆方向に回転可能なモータ(図示せず)によって回転するように構成されている。
【0019】
このような構成とすることにより、モータを正方向に回転させると、セクタギア26が図中時計方向に回転し、ウォーム25が回動することにより、図5(b)に示すように、ホルダー4が軸21を回動中心として反時計方向に回動する。また、モータを逆方向に回転させることにより、セクタギア26が図中反時計方向に回転し、ウォーム25が回動することにより、図5(a)に示すように、ホルダー4が軸21を回動中心として時計方向に回動する。この第2の実施の形態においては、モータとウォーム25との間にセクタギア26を介装したことにより、ホルダー4の回動開始時点において、ウォーム25に対してセクタギア26の噛合をわずかに外すように位置付けることができる。
【0020】
したがって、ホルダー4の回動開始のタイミングを、検出センサによってホルダー4内にカード6が挿入されたことを検出してからわずかに遅らせることができる。このため、ホルダー4内に挿入したカード6から手を離す前にホルダー4が回動するようなことないので、手に違和感を感じさせることがなく使い勝手が向上する。また、カード6が凹部10に収納された後、仮にモータが慣性で回転してもセクタギア26とウォーム25との噛合が解除されているので、ウォーム25は回転するようなことがない。したがって、カード6が凹部10に収納された後に凹部10の壁に強く押し付けられるようなことがなく、このため、反動でカード6の凹部10からの飛出しが規制される。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、カード処理中に凹部に収納されたカードを手によって抜き取ることができないので、サービスが中断したり、次からカードの使用ができないということがなく、サービスが向上する。また、カードを搬送させる必要がないので、カード詰まりが発生しないとともに、カードの汚れが低減するので、カードをクリーニングすることなく再利用が可能になる。
【0022】
また、請求項2記載の発明によれば、ホルダーとソレノイドといった必要最小限の部品によって構成されるので、構造が簡素化されるだけではなく、装置が小型するとともに安価に形成される。
【0023】
また、請求項3記載の発明によれば、カードから手を離す前にカードが回動しないので、手に違和感を感じさせることがなく使い勝手が向上する。また、カードが凹部に収納された後カードの回動が停止するので、カードが凹部の壁に突き当たり凹部から飛び出るようなことがなく収納される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非接触型ICカード処理装置の背面図である。
【図2】図1におけるII−II 線断面図である。
【図3】本発明に係る非接触型ICカード処理装置におけるホルダーの全体を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る非接触型ICカード処理装置におけるカバーを示し、同図(a)は正面図、同図(b)は同図(a)におけるIV(b)−IV(b) 線断面図である。
【図5】本発明に係る非接触型ICカード処理装置において、カード処理の動作を説明するために要部を拡大して示した断面図である。
【図6】本発明に係る非接触型ICカード処理装置の第2の実施の形態を示す正面図である。
【符号の説明】
1…非接触型ICカード処理装置、2…基板、3…カードリーダ、4…ホルダー、5…ソレノイド、6…非接触型ICカード、7…カバー、10…凹部、19…溝、20…レバー部、25…ウォーム、26…セクタギア。

Claims (3)

  1. 略立設された平板状の基板と、
    この基板の裏面側に設けられたカード処理手段と、
    この基板の表面側に揺動自在に支持されカードの下端部を保持する保持部が設けられたホルダーと、
    このホルダーの保持部にカードが挿入されたことを検出するセンサと、
    前記ホルダーに保持されたカードの全体を前記基板の表面に接触させる位置と、カードの上端部を基板の表面から離間させる位置に傾動させるようにホルダーを揺動させる揺動手段とを備え、
    前記基板の表面にカードの外形よりもわずかに大きい外形およびカードの厚みよりもわずかに大きい深さを有する凹部を設けたことを特徴とする非接触型ICカード処理装置。
  2. 請求項1記載の非接触型ICカード処理装置において、
    前記ホルダーの保持部を溝とするとともに、このホルダーにレバー部を一体的に設け、
    前記揺動手段を前記ホルダーのレバー部を移動させるソレノイドとしたことを特徴とする非接触型ICカード処理装置。
  3. 請求項1記載の非接触型ICカード処理装置において、
    前記揺動手段を、モータによって回転するセクタギアと、このセクタギアに噛合し前記ホルダーを揺動させるウォームとによって構成したことを特徴とする非接触型ICカード処理装置。
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