JP3612899B2 - 印刷処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ページプリンタを利用した印刷処理装置に関するものであり、更に詳しく言えば、所定の描画命令で記述された印刷データをラスタ展開して印刷出力を行う印刷処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型、高速のデジタル印刷に適した電子写真方式のページプリンタの開発に伴い、従来の文字情報中心の印刷から脱皮した、画像、図形、文字などを同様に取り扱い、図形、文字等の拡大、回転、変形などが自由に制御できる記述言語を用いる印刷処理装置が一般に普及してきた。この記述言語の代表例として、PostScript(米国アドビシステムズ社の商標)、Interpress(米国ゼロックス社の商標)、Acrobat(米国アドビシステムズ社の商標)、GDI(Graphics Device Interface、米国マイクロソフト社の商標)が知られている。
【0003】
記述言語で作成されている印刷データは、ページ内の任意の位置の画像、図形、文字を表現する描画命令が任意の順で構成されており、ページプリンタで印字するためには、印字前に印刷データをラスタ化しなければならない。ラスタ化というのは、ページ又はページの一部を横切る一連の個々のドットまたは画素へ展開してラスタ走査線を形成し、そのページの下へ引き続く走査線を次々に発生する過程である。従来のページプリンタで印字前にページ全体の印刷データをラスタ展開し、展開処理終了後に出力する場合、さらにプリンタが印字できる状態になるまで待ち時間が存在するために、印刷命令を発してから出力までに時間が掛かるという問題があった。こうした問題に対して、特開平4−352277号公報では、ラスタ展開処理の処理時間を印刷データの1ページ内の文字数、文字種、図形数、画像の面積などからあらかじめ推定して、先行してプリンタを起動することにより、展開処理の待ち時間を有効利用して、印刷処理全体の処理時間を短くする工夫をしている。しかしながら、印刷データに複雑な図形描画命令や、扱うデータ量の大きい画像描画命令が含まれる場合などは、ラスタ展開処理自体に多くの時間を要し、印刷処理全体の処理時間はそれほど短くならない。またページ全体に対するラスタデータを記憶するためには、大量のメモリを必要とする。
【0004】
そこで、1ページ分の印刷データを全てラスタ化するのではなく、複数の領域(バンド)に分割し、また印刷データをラスタ化するよりも速くラスタ処理可能な中間データを用いることで、各バンドに対応する印刷データを中間データに変換/記憶した後、ラスタ展開処理部に順次転送し、バンドに対応するバッファメモリに展開するバンドメモリ技術が登場してきた。バンドメモリ技術では、中間データを記憶するためのメモリは新たに必要であるが、ラスタデータのための大容量を必要とするバッファメモリを低減することが可能となる。しかし、一般的なバンドメモリ技術では、あるバンドのラスタデータの印字が終了するまでに、次のバンドに対する中間データからラスタデータへの展開を終了させる必要がある。印刷データの複雑さによっては、中間データからラスタデータへの展開が間に合わない状況が発生する可能性がある。
【0005】
そこで、特開平6−344639号公報に記載されている印刷処理装置では、ホストコンピュータから入力データがページプリンタに転送されるとともに、入力データ転送速度が測定される。続いて、測定された入力データ転送速度に基づいて、プリンタの駆動開始時間を推定する。また、ページプリンタの印字速度の制御も、測定された入力データ転送速度に基づいて行い、ラスタデータへの展開が間に合わない状況が発生しないよう工夫している。しかしながら、上記駆動時間の推定や、印字速度の決定などは、入力データ数が出力データ数に比例する様なデータ形式でしか有効ではなく、上記記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データには対応することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ページプリンタで出力するための印字データを一時記憶するための記憶装置がバンドメモリで構成される印刷処理装置等において、記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを、印刷データの複雑さに応じて効率的に処理できるようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために成された印刷処理装置に関するものである。即ち、請求項1の印刷処理装置は、所定の描画命令で記述された印刷データを入力する印刷データ入力手段と、前記印刷データ入力手段に入力された印刷データを画像出力用のデータ構造に展開するための展開処理手段と、前記展開処理手段で展開された画像出力用データに基づいて画像出力を実行する画像出力手段と、前記展開処理手段での前記印刷データの展開時間を所定の予測係数に基づいて予測する展開時間予測手段と、前記展開時間予測手段で予測された展開時間に応じて、前記画像出力手段の画像出力速度を決定する画像出力手段の制御手段と、前記展開処理手段の実際の展開時間を計測する手段と、前記計測した展開時間に基づいて、前記展開時間予測手段で用いられる前記予測係数を変更する予測係数補正手段とを有することを特徴としている。
【0008】
この構成においては、入力される印刷データの描画命令群の展開時間を予測し、この予測に基づいて画像出力手段の画像出力速度を決定するよう構成し、しかも実際の展開時間に基づいて予測を適合化しているため、画像品質の低下を招くことなく、しかも記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを、印刷データの複雑さに応じて最適に処理することが可能となる。
【0009】
また、請求項2の印刷処理装置は、請求項1の印刷処理装置において、前記予測係数の変更方法は、前記予測係数を予測係数補正手段で得られた係数に置き換えることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3の印刷処理装置は、請求項1の印刷処理装置において、前記予測係数の変更方法は、前記予測係数を前記予測係数補正手段で得られた係数に、前記予測係数の値を近づけることを特徴としている。
【0011】
また、請求項4の印刷処理装置は、請求項1、2または3の印刷処理装置において、前記展開時間予測手段は、印刷データ入力手段からの所定の命令により、前記予測係数を初期値に変更できることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5の印刷処理装置は、請求項4の印刷処理装置において、印刷データ作成の時点で、印刷データ内の描画命令の種類又は前記描画命令の属性、描画命令数に従った統計情報から、印刷ジョブ内のページ特性の違いを検出して、印刷データ入力手段に通知する情報通知手段を有することを特徴としている。
【0013】
また、請求項6の印刷処理装置は、文書データを所定の描画命令で記述されたデータに変更する印刷データ作成手段と、前記印刷データを入力する印刷データ入力手段と、前記印刷データ入力手段に入力された印刷データを画像出力用のデータ構造に展開するための展開処理手段と、前記展開処理手段で展開された画像出力用データに基づいて画像出力を実行する画像出力手段と、前記展開処理手段での前記印刷データの展開時間を所定の予測係数に基づいて予測する展開時間予測手段と、前記展開時間予測手段で予測された展開時間に応じて、前記画像出力手段の画像出力速度を決定する画像出力手段の制御手段と、前記展開処理手段の実際の展開時間を計測する手段と、前記計測した展開時間に基づいて、前記展開時間予測手段で用いられる前記予測係数を変更する予測係数補正手段とを有することを特徴としている。
【0014】
この構成においても、入力される印刷データの描画命令群の展開時間を予測し、この予測に基づいて画像出力手段の画像出力速度を決定するよう構成し、しかも実際の展開時間に基づいて予測を適合化しているため、画像品質の低下を招くことなく、しかも記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを、印刷データの複雑さに応じて最適に処理することが可能となる。
【0015】
また、請求項7の印刷処理装置は、所定の描画命令で記述された印刷データを入力する印刷データ入力手段と、前記印刷データ入力手段に入力された印刷データをバンド単位で画像出力用のデータ構造に展開するための展開処理手段と、前記展開処理手段で展開された画像出力用データを前記バンド単位で一時記憶する一時記憶手段と、上記一時記憶手段に記憶された画像出力用データに基づいて画像出力を実行する画像出力手段と、前記展開処理手段での前記印刷データの展開時間を所定の予測係数に基づいて予測する展開時間予測手段と、前記展開時間予測手段で予測された展開時間に応じて、前記画像出力手段の画像出力速度を決定する画像出力手段の制御手段と、前記展開処理手段の実際の展開時間を計測する手段と、前記計測した展開時間に基づいて、前記展開時間予測手段で用いられる前記予測係数を変更する予測係数補正手段とを有することを特徴としている。
【0016】
この構成においては、入力される印刷データの描画命令群の描画時間をバンド毎に予測し、バンド毎の予測に基づいて画像出力手段の画像出力速度を決定するよう構成しているため、バンドメモリで構成される印刷処理装置においても、画像品質の低下を招くことの無い、且つ記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを、印刷データの複雑さに応じて最適に処理することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係わる印刷処理装置の実施例について説明する。
[実施例1]
図1は本発明の印刷処理装置の第1の実施例を示すブロック図である。図1において、印刷処理装置は、印刷データ作成部1と、印刷データ入力部2と、展開処理部3と、処理時間予測部4と、出力制御部5と、出力部6とから構成されている。さらに、展開処理部3は、字句解析部30と、描画処理部31とから構成され、処理時間予測部4は、描画時間予測部40と、予測係数補正部41とから構成されている。
【0018】
印刷データ作成部1は、パーソナルコンピュータやワークステーション内において、文書作成や編集等を処理するアプリケーションプログラムで生成された文書データから記述言語で記述された印刷データを作成する機能を備えたものである。本実施例で対象とする記述言語は、例えばGDIであるが、Acrobatで代表されるPDF(Portable Document Format)、PostScriptで代表されるページ記述言語であってもよい。
【0019】
印刷データ入力部2は、印刷データ作成部1で生成された印刷データを入力するための通信機能、あるいは展開処理部3へ出力されるまでの間、印刷データを一時記憶する機能等を備えたものである。
【0020】
字句解析部30は、印刷データ入力部2より入力された印刷データを定められた記述言語のシンタックスに従ってトークンとして切り出し、そのトークンを描画処理部31と処理時間予測部4に出力する。
【0021】
描画処理部31は、字句解析部30から出力されるトークンを受け取って解釈し、描画命令を実行し、ラスタデータを生成する。描画処理部31での描画処理は、描画処理部31内のバンドバッファメモリのサイズに対応したバンド毎に実行される。バンド毎に実行された描画処理後のラスタデータは、印字データとして描画処理部31内の2つのバンドバッファメモリに交互に蓄積される。尚、後述するように本実施例で利用される出力部6は、カラーページプリンタであり、バンドバッファメモリに交互に蓄積される印字データは出力部で印字している記録色の印刷データに対応している。続いて、バンドバッファメモリに蓄積された印字データは、出力部6の印字データ要求に応じて、出力部6に交互に出力される。また、描画処理部31での描画処理は、出力部6の性能(解像度、色再現特性、階調度、記録サイズ等)に対応して処理される。
【0022】
処理時間予測部4は、描画時間予測部40と予測係数補正部41を有し、描画時間予測部40は、字句解析部30から出力されるトークンを受け取って描画命令を解釈し、印刷データに含まれる文字、図形、画像各々の描画命令数を上記描画処理部31内のバンドバッファメモリのサイズに対応したバンド毎にカウントし、それらの描画命令の加重加算により、バンド毎の描画処理予測時間を得るものである。バンド毎の描画処理予測時間は、ページ単位に集計され出力制御部5に出力される。また、予測係数補正部41は、実際の描画処理時間を計測し、その計測結果に基づいて描画時間予測部40で用いる予測係数を補正する。処理時間予測部4の詳細な説明は後述する。
【0023】
出力制御部5は、出力部6の起動タイミング及び記録速度等を制御するものである。更に特徴的には、処理時間予測部4から入力されたページ単位のバンド毎の描画処理予測時間に基づき、出力部6の出力がバンド毎の描画処理予測時間を超えないように、出力部6の記録速度を制御するものである。
【0024】
出力部6は、出力制御部5の制御に基づき、描画処理部31のバンドバッファメモリから出力される印字データを受け取って、記録用紙に印字し出力するものである。更に、詳しくは、CMYBK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)カラーの色毎に露光、現像、転写を繰り返すことによりフルカラー画像を出力できるレーザー走査方式の電子写真方式を用いたカラーページプリンタである。
【0025】
次に、上述したように構成された印刷処理装置における印刷データの流れについて整理する。印刷データ作成部1で作成された印刷データは、印刷データ入力部2を介して、展開処理部3の字句解析部30に入力される。字句解析部30において印刷データから切り出されたトークンは、描画処理部31及び描画時間予測部40に入力される。描画時間予測部40では、トークンを受け取って描画命令を解釈し、印刷データに含まれる文字、図形、画像各々の描画命令の加重加算により、バンド毎の描画処理時間を予測する。このバンド毎の予測値は、ページ単位に集計され出力制御部5に出力される。出力制御部5では、描画時間予測部40で予測された描画処理時間に基づき出力部6のサイクルアップのための起動タイミングの計算及び記録速度の選択を行って出力部6をサイクルアップするとともに、予測係数補正部41の補正係数値により補正されたより正確なバンド毎の描画処理予測時間に基づき出力部6の記録速度を最終的に決定し、必要に応じて記録速度を変更した後に、決定された記録速度で動作させる。
【0026】
一方、描画処理部31では、トークンを受け取って解釈し、出力部6で最初に記録される印字データでバンドバッファメモリが満たされるまで描画処理が行われる。出力部6のサイクルアップが完了すると、バンドバッファメモリから出力部に、出力部6の記録速度に応じて印字データが1ライン毎に転送され、印字が行われる。1つのバンドバッファメモリの印字データが印字されている間に、片側のバンドバッファメモリが印字データで満たされるまで描画処理が実行される。上記描画処理部31の印字データへの展開及び出力部での印字は、1ページ分の印刷データが処理されるまで、色毎に繰り返される。さらに、上記印刷データが複数ページで構成される場合は、全ページの出力が終了するまで繰り返される。
【0027】
以上、本実施例の印刷処理装置の概要について記述した。次に、この印刷処理装置の処理時間予測部4の詳細について説明する。
【0028】
図2は、処理時間予測部4の構成例を示すブロック図である。描画時間予測部40は、字句解析部30の出力を受け取ってそこから描画命令を解釈する命令解釈部400と、解釈された描画命令がどのバンドに含まれるかを判定するバンド判定部401と、解釈された描画命令が文字/図形/画像どの描画命令かを分類する命令分類部402と、分類された描画命令の種類毎の描画命令数をバンド毎にカウントする命令数計数部403と、カウントされた描画命令の種類毎の描画命令数をもとにバンド毎の描画時間の予測を行う予測処理部404と、予測処理部404が必要とする係数を格納する係数テーブル405とから構成されている。また予測係数補正部41は、描画処理部31におけるバンド毎の実際の描画処理時間を計測する描画時間計測部410と、その計測時間を記憶する描画時間記憶部411と、記憶された実際の描画時間から、予測処理部404が必要とする係数を算出する係数算出部412と、算出された係数と描画時間予測部40の係数テーブル405にあらかじめ格納されている係数とにより閾値処理を施し、その結果に従って描画時間予測部40の係数テーブル405を補正する係数補正部413とから構成されている。
【0029】
字句解析部30でトークンに切り出された印刷データは命令解釈部400に入力され、文字/図形/画像のどの描画命令であるか、またはその他の命令であるかを解釈される。次にこの結果はバンド判定部401に入力され、その描画命令がどのバンドに含まれるかを判定される。バンド判定結果は1つのバンドになるとは限らず、描画範囲が複数のバンドにまたがる場合には、それら複数のバンド番号が出力される。またこの判定は、ベジエ図形のように描画範囲の判定が難しい図形の場合には、描画制御点のみで判定するなどの簡略化を行ってもよい。
【0030】
バンド判定部401では各描画命令が入力され、その描画命令の種類と、どのバンドへの描画かを表す情報が出力される。続いて命令分類部402では入力された各描画命令が文字/図形/画像の内のどの描画命令かを表す情報が出力される。これらの結果は命令数計数部403に入力され、各バンド毎に文字/図形/画像の各々の描画命令が幾つずつあるかが計数される。次にこの計数結果は予測処理部404に入力され、例えば下式(1)に示すように係数テーブル405に格納されている各オブジェクト毎の1描画命令に対する平均描画時間と積和処理され、バンド毎の描画処理予測時間が得られる。
【0031】
【数1】
式中の安全係数は、平均よりも複雑なオブジェクトが多い場合に、展開の遅れから印字抜けが生じることを防ぐためのもので、この係数の求め方の例は後述する。
【0032】
ここで得られた各描画オブジェクト毎の平均展開時間Tc、Tf、Ti、及び安全係数Sc、Sf、Siは、先に述べたようにあらかじめ係数テーブルに格納されているものであり、従って計算されたバンド描画予測時間は、描画処理部31の実際のバンド描画予測時間に対して誤差を伴うものである。以下に、本実施例の印刷処理装置における、描画処理時間予測誤差をより小さくするための予測係数補正部41の詳細について説明する。
【0033】
図3は、本実施例の印刷処理装置における予測係数補正部41の処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS1において、描画時間計測部410で、描画処理部31での実際の描画処理時間を、文字/図形/画像の各描画オブジェクト毎にそれぞれ計測し、それらを加算する。
【0034】
ステップS2において、バンド内の描画オブジェクトが残っているかどうかを判定し、もし残っていないならばステップS3に移り、残っているならば、ステップS1の処理を繰り返す。
【0035】
ステップS3において、描画時間記憶部411で、ステップS1で計測/加算された各描画オブジェクト毎の描画時間を1ページ単位で記憶する。
【0036】
ステップS4において、係数算出部412で、ステップS3で記憶された各描画オブジェクト毎の描画時間から、各描画オブジェクト毎の平均描画時間Tc’、Tf’、Ti’、安全係数Sc’、Sf’、Si’の係数群Co’{Tc’,Tf’,Ti’,Sc’,Sf’,Si’}を算出する。また、描画時間予測部40の係数テーブル405にあらかじめ格納されている係数群Co{Tc,Tf,Ti,Sc,Sf,Si}を参照し、この係数群との差分の絶対値|Co’−Co|を各係数ごとに計算する。係数算出部412の処理については後述する。
【0037】
ステップS5において、係数補正部413で、ステップS4で求めた各係数毎の差分の絶対値|Co’−Co|を各係数毎に設定された閾値Thと比較する。その結果、|Co’−Co|≦Thの場合にはステップS6に、|Co’−Co|>Thの場合にはステップS7に移る。|Co’−Co|≦Thの場合、あらかじめ設定された係数と算出された係数の誤差が小さいので、該当する係数テーブル405の値を更新しない。|Co’−Co|>Thの場合、あらかじめ設定された係数と算出された係数の誤差が大きいので、該当係数を係数算出部412で計算された値に更新する。
【0038】
図4は、本実施例の印刷処理装置の実施例における係数算出部の具体例の説明図である。平均描画時間算出部414では、描画時間記憶部411からの入力である、各描画オブジェクト毎の加算された実際の描画時間から、下式(2)に示す式で平均描画時間を計算する。
【0039】
【数2】
安全係数算出部415では、下式(3)に示す式で各描画オブジェクトの安全係数を計算する。ここで、nは各描画オブジェクト毎の命令数である。
【0040】
【数3】
絶対値算出部416では、描画時間予測部40の係数テーブル405にあらかじめ格納されている係数群Co{Tc,Tf,Ti,Sc,Sf,Si}を参照して、平均描画時間算出部414および安全係数算出部415で得られた係数群Co’{Tc’,Tf’,Ti’,Sc’,Sf’,Si’}を用いて、各係数の差分の絶対値|Co’−Co|を計算する。
【0041】
なお、上記の説明では閾値処理の結果により、予め係数テーブルに格納されている係数をそのまま用いるか算出された係数に置き換えるかで、係数テーブルを更新していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、下式(4)に示す式で更新値を決定することもできる。
【0042】
【数4】
更新値=αCo’+ βCo (4)
|Co’−Co|≦Thの場合は、もとの係数Coに近い値となるように、例えば、α=0.3, β=0.7とし、|Co’−Co|>Thの場合は、算出された係数値Co’に近い値となるように、α=0.7, β=0.3として係数値を更新することも可能である。もちろん、α、βの値はこれに限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。
【0043】
さらに、上記の説明では、ページ単位で描画時間を計測し、予測係数の補正を行っていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ページ毎の各描画オブジェクト毎の描画時間を累積して加算していくことで、平均描画時間、安全係数の算出の際の標本数を増やし、正確な係数補正を行うことで、描画処理時間の予測をより精度の高いものとすることが可能である。
【0044】
[実施例2]
次に、第2の実施例について説明する。上述の第1の実施例では、前ページの実際の描画処理時間を予測係数補正部41で計測し、その結果から予測係数の補正を行っていた。しかし、印刷の形態によっては、内容の違う印刷データを数部づつ出力するといった要求もある。例えば、10ページづつ出力する場合、第1の実施例では、同じ内容の印刷データが続く10ページ目までは、前ページの描画処理時間に基づく予測係数の補正により精度の高い描画処理時間予測が行えるが、内容の違う印刷データが入力される11ページ目においては、前ページ(10ページ)の描画処理時間に基づく予測係数補正では、補正された係数を用いた予測時間と実際の描画処理時間とに大きな誤差が生じる可能性がある。そこで、上記のような場合、部数の切れ目のページにおいては、前ページの描画処理時間に基づいて補正された係数を用いるのではなく、あらかじめ係数テーブルに格納していた初期係数値を用いることで、予測時間と実際の描画処理時間との誤差を小さくすることが好ましい。
【0045】
図5は、本発明の第2の実施例における処理時間予測部4の構成例を示すブロック図である。なお、第2の実施例は処理時間予測部4の具体的な構成を除き図1の第1の実施例と同様であるので、他の構成については詳細な説明を省略する。
【0046】
図5において、描画時間予測部40は、字句解析部30の出力を受け取ってそこから描画命令を解釈する命令解釈部400と、解釈された描画命令がどのバンドに含まれるかを判定するバンド判定部401と、解釈された描画命令が文字/図形/画像どの描画命令かを分類する命令分類部402と、分類された描画命令の種類毎の描画命令数をバンド毎にカウントする命令数計数部403と、カウントされた描画命令の種類毎の描画命令数をもとにバンド毎の描画時間の予測を行う予測処理部404と、予測処理部405が必要とする初期係数値を格納する初期係数テーブル407と、予測係数補正部41によって補正された係数値を格納する補正係数テーブル408と、印刷データ入力部2からの係数テーブル切換え命令により、初期係数テーブルと補正係数テーブルとを切り換える係数テーブル切替え部406から構成されている。また予測係数補正部41は、描画処理部におけるバンド毎の実際の描画処理時間を計測する描画時間計測部410と、その計測時間を記憶する描画時間記憶部411と、記憶された実際の描画時間から、予測処理部が必要とする係数を算出する係数算出部412と、算出された係数と描画時間予測部40の補正係数テーブル408に格納されている係数とにより閾値処理を施し、その結果に従って描画時間予測部40の補正係数テーブル408内の係数値を補正する係数補正部413とから構成されている。
【0047】
上記構成の内、命令解釈部400と、バンド判定部401と、命令分類部402と、命令数計数部403の構成は、先の第1の実施例での構成と同じものであるため、ここでは説明を省略する。
【0048】
本発明の第2の実施例における処理時間予測部4では、描画時間予測部40内の初期係数テーブル407と補正係数テーブル408内の係数値は、最初、同じ係数値が格納されている。第2の実施例においては、描画処理予測時間の計算は常に補正係数テーブル408を用いて計算する。従って、第1の実施例の係数テーブル405を、第2の実施例における補正係数テーブル408に置き換えた以外の処理時間予測部4の処理の詳細については、先の第1の実施例での処理と同じものであるため省略する。
【0049】
印刷データ入力部2より、係数テーブルの切換え命令が、係数テーブル切換え部406に入力されると、係数テーブル切換え部406は、補正係数テーブル408内の係数値をすべて初期係数テーブル407内の係数値で置き換え(リセット)をする。
【0050】
以上説明したように、この第2の実施例によれば、異なった内容の印刷データを数部づつ出力するといった印刷の形態において、部数の切れ目のページでの描画処理予測時間の大きな誤差の発生を抑えることが可能である。
【0051】
[実施例3]
次に、第3の実施例について説明する。上述の第2の実施例では、異なった内容の印刷データを数部づつ出力するといった印刷の状況において、部数の切れ目のページで、印刷データ入力部2から係数テーブル切り替え命令を係数テーブル切換え部406に入力することにより、補正係数テーブル408を初期係数テーブル407の値で置き換えることで、より誤差の小さい描画処理時間予測を行っていた。しかし、数ページからなる一連の印刷データで、前半数ページは文書データ主体、後半数ページは図形データ主体(例えば、特許明細書)のような場合、第2の実施例では、係数テーブル切換え命令を発信することができない。そこで、上記のような場合においては、印刷データ作成の時点で、印刷データ内の描画命令の種類又は属性、描画命令数に従った統計情報から、入力印刷データ内のページ特性の違いをあらかじめ検出して、その検出結果を印刷データ入力部に通知することで、テーブル切換え命令を発信することが好ましい。
【0052】
図6は、本発明の印刷処理装置の第3の実施例におけるブロック図である。図6において、印刷処理装置は、印刷データ作成部1と、印刷データ入力部2と、展開処理部3と、処理時間予測部4と、出力制御部5と、出力部6と、印刷データ情報付与部7から構成されている。さらに、展開処理部3は、字句解析部30と、描画処理部31とから構成され、処理時間予測部4は、描画時間予測部40と、予測係数補正部41とから構成されている。
【0053】
上記の構成の内、印刷データ作成部1と、印刷データ入力部2と印刷データ情報付与部7以外の構成および処理の詳細は、先の第2の実施例での構成および処理の詳細と同じものであるため、ここでは説明を省略する。
【0054】
図7は、本発明の印刷処理装置の第3の実施例における印刷データ情報付与部7の構成を示すブロック図である。図7において、印刷データ情報付与部7は、データ記憶部70と、命令解釈部71と、命令数計数部72と、情報付与部73とから構成されている。
【0055】
データ記憶部70では、印刷データ作成部1で作成された記述言語で記述された印刷データを1ページ毎に記憶する。命令解釈部71では、データ記憶部70で記憶された1ページ分の印刷データに対して、文字/図形/画像のどの描画命令であるか解釈し、命令数計数部72で文字/図形/画像の各々の描画命令が幾つづつあるかが係数される。この係数結果により、情報付与部73でデータ記憶部70で記憶された1ページ分の印刷データが、文字主体の印刷データであるのか、図形主体の印刷データであるのか、画像主体の印刷データであるのか、またはそれらが混在した印刷データであるのかの情報が、データ記憶部に記憶されている印刷データに付与される。情報付与された印刷データは印刷データ入力部2に転送される。
【0056】
印刷データ入力部2は、印刷データ情報付与部7で、印刷データ内のページ特性の違いによりページ特性情報の付与された印刷データを入力するための通信機能、あるいは展開処理部3へ出力されるまでの間印刷データを一時記憶する機能、及び印刷データに付与されたページ特性が前ページと異なった場合に、描画時間予測部40に係数テーブルを切り換えるための命令を発信する機能等を備えたものである。
【0057】
以上説明したように、この第3の実施例によれば、ページ毎に内容が著しく異なる、数ページからなる一連の印刷データを出力するといった状況において、印刷データ作成時に、ページ特性の違いを予め印刷データに付与し、印刷データ入力部に通知することが可能である。その結果、印刷データ入力部から係数テーブル切替え命令が発信され、上記、第2の実施例の説明で述べたように、描画処理時間予測の大きな誤差の発生を抑えることができる。
【0058】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく種々変更が可能である。例えば、バンド単位で印刷データをラスタデータに展開するのではなくページ単位で展開する場合に本発明を適用できる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、ページプリンタで出力するための印字データを一時記憶するための記憶装置がバンドメモリで構成される印刷処理装置等において、描画処理部における描画命令群から印字データへの展開を処理するとともに、これと並行して、処理時間予測部で描画処理部の描画処理時間を予測し、予測結果に基づき出力部の記録速度を制御する構成とした。また、描画処理部での実際の描画処理時間を計測し、この計測結果から、処理時間予測部で用いる予測係数を補正することにより、より精度の高い描画処理時間予測が行える構成とした。このため、印刷データの内容に応じて印刷データを処理することが可能となり、描画処理部の処理性能と出力部の記録速度の不整合による画像品質の低下を防ぐことが可能となる。また、従来方式では対応することができなかった記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを印刷データの複雑さに応じて最適に処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷処理装置の第1の実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の印刷処理装置の第1の実施例における処理時間予測部の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の印刷処理装置の第1の実施例における予測係数補正部の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の印刷処理装置の第1の実施例における係数産出部の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の印刷処理装置の第2の実施例における処理時間予測部の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の印刷処理装置の第3の実施例を示すブロック図である。
【図7】本発明の印刷処理装置の第3の実施例における印刷データ情報付与部の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 印刷データ作成部
2 印刷データ入力部
3 展開処理部
30 字句解析部
31 描画処理部
4 処理時間予測部
40 描画時間予測部
41 予測係数補正部
5 出力制御部
6 出力部
7 印刷データ情報付与部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ページプリンタを利用した印刷処理装置に関するものであり、更に詳しく言えば、所定の描画命令で記述された印刷データをラスタ展開して印刷出力を行う印刷処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型、高速のデジタル印刷に適した電子写真方式のページプリンタの開発に伴い、従来の文字情報中心の印刷から脱皮した、画像、図形、文字などを同様に取り扱い、図形、文字等の拡大、回転、変形などが自由に制御できる記述言語を用いる印刷処理装置が一般に普及してきた。この記述言語の代表例として、PostScript(米国アドビシステムズ社の商標)、Interpress(米国ゼロックス社の商標)、Acrobat(米国アドビシステムズ社の商標)、GDI(Graphics Device Interface、米国マイクロソフト社の商標)が知られている。
【0003】
記述言語で作成されている印刷データは、ページ内の任意の位置の画像、図形、文字を表現する描画命令が任意の順で構成されており、ページプリンタで印字するためには、印字前に印刷データをラスタ化しなければならない。ラスタ化というのは、ページ又はページの一部を横切る一連の個々のドットまたは画素へ展開してラスタ走査線を形成し、そのページの下へ引き続く走査線を次々に発生する過程である。従来のページプリンタで印字前にページ全体の印刷データをラスタ展開し、展開処理終了後に出力する場合、さらにプリンタが印字できる状態になるまで待ち時間が存在するために、印刷命令を発してから出力までに時間が掛かるという問題があった。こうした問題に対して、特開平4−352277号公報では、ラスタ展開処理の処理時間を印刷データの1ページ内の文字数、文字種、図形数、画像の面積などからあらかじめ推定して、先行してプリンタを起動することにより、展開処理の待ち時間を有効利用して、印刷処理全体の処理時間を短くする工夫をしている。しかしながら、印刷データに複雑な図形描画命令や、扱うデータ量の大きい画像描画命令が含まれる場合などは、ラスタ展開処理自体に多くの時間を要し、印刷処理全体の処理時間はそれほど短くならない。またページ全体に対するラスタデータを記憶するためには、大量のメモリを必要とする。
【0004】
そこで、1ページ分の印刷データを全てラスタ化するのではなく、複数の領域(バンド)に分割し、また印刷データをラスタ化するよりも速くラスタ処理可能な中間データを用いることで、各バンドに対応する印刷データを中間データに変換/記憶した後、ラスタ展開処理部に順次転送し、バンドに対応するバッファメモリに展開するバンドメモリ技術が登場してきた。バンドメモリ技術では、中間データを記憶するためのメモリは新たに必要であるが、ラスタデータのための大容量を必要とするバッファメモリを低減することが可能となる。しかし、一般的なバンドメモリ技術では、あるバンドのラスタデータの印字が終了するまでに、次のバンドに対する中間データからラスタデータへの展開を終了させる必要がある。印刷データの複雑さによっては、中間データからラスタデータへの展開が間に合わない状況が発生する可能性がある。
【0005】
そこで、特開平6−344639号公報に記載されている印刷処理装置では、ホストコンピュータから入力データがページプリンタに転送されるとともに、入力データ転送速度が測定される。続いて、測定された入力データ転送速度に基づいて、プリンタの駆動開始時間を推定する。また、ページプリンタの印字速度の制御も、測定された入力データ転送速度に基づいて行い、ラスタデータへの展開が間に合わない状況が発生しないよう工夫している。しかしながら、上記駆動時間の推定や、印字速度の決定などは、入力データ数が出力データ数に比例する様なデータ形式でしか有効ではなく、上記記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データには対応することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、ページプリンタで出力するための印字データを一時記憶するための記憶装置がバンドメモリで構成される印刷処理装置等において、記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを、印刷データの複雑さに応じて効率的に処理できるようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために成された印刷処理装置に関するものである。即ち、請求項1の印刷処理装置は、所定の描画命令で記述された印刷データを入力する印刷データ入力手段と、前記印刷データ入力手段に入力された印刷データを画像出力用のデータ構造に展開するための展開処理手段と、前記展開処理手段で展開された画像出力用データに基づいて画像出力を実行する画像出力手段と、前記展開処理手段での前記印刷データの展開時間を所定の予測係数に基づいて予測する展開時間予測手段と、前記展開時間予測手段で予測された展開時間に応じて、前記画像出力手段の画像出力速度を決定する画像出力手段の制御手段と、前記展開処理手段の実際の展開時間を計測する手段と、前記計測した展開時間に基づいて、前記展開時間予測手段で用いられる前記予測係数を変更する予測係数補正手段とを有することを特徴としている。
【0008】
この構成においては、入力される印刷データの描画命令群の展開時間を予測し、この予測に基づいて画像出力手段の画像出力速度を決定するよう構成し、しかも実際の展開時間に基づいて予測を適合化しているため、画像品質の低下を招くことなく、しかも記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを、印刷データの複雑さに応じて最適に処理することが可能となる。
【0009】
また、請求項2の印刷処理装置は、請求項1の印刷処理装置において、前記予測係数の変更方法は、前記予測係数を予測係数補正手段で得られた係数に置き換えることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3の印刷処理装置は、請求項1の印刷処理装置において、前記予測係数の変更方法は、前記予測係数を前記予測係数補正手段で得られた係数に、前記予測係数の値を近づけることを特徴としている。
【0011】
また、請求項4の印刷処理装置は、請求項1、2または3の印刷処理装置において、前記展開時間予測手段は、印刷データ入力手段からの所定の命令により、前記予測係数を初期値に変更できることを特徴としている。
【0012】
また、請求項5の印刷処理装置は、請求項4の印刷処理装置において、印刷データ作成の時点で、印刷データ内の描画命令の種類又は前記描画命令の属性、描画命令数に従った統計情報から、印刷ジョブ内のページ特性の違いを検出して、印刷データ入力手段に通知する情報通知手段を有することを特徴としている。
【0013】
また、請求項6の印刷処理装置は、文書データを所定の描画命令で記述されたデータに変更する印刷データ作成手段と、前記印刷データを入力する印刷データ入力手段と、前記印刷データ入力手段に入力された印刷データを画像出力用のデータ構造に展開するための展開処理手段と、前記展開処理手段で展開された画像出力用データに基づいて画像出力を実行する画像出力手段と、前記展開処理手段での前記印刷データの展開時間を所定の予測係数に基づいて予測する展開時間予測手段と、前記展開時間予測手段で予測された展開時間に応じて、前記画像出力手段の画像出力速度を決定する画像出力手段の制御手段と、前記展開処理手段の実際の展開時間を計測する手段と、前記計測した展開時間に基づいて、前記展開時間予測手段で用いられる前記予測係数を変更する予測係数補正手段とを有することを特徴としている。
【0014】
この構成においても、入力される印刷データの描画命令群の展開時間を予測し、この予測に基づいて画像出力手段の画像出力速度を決定するよう構成し、しかも実際の展開時間に基づいて予測を適合化しているため、画像品質の低下を招くことなく、しかも記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを、印刷データの複雑さに応じて最適に処理することが可能となる。
【0015】
また、請求項7の印刷処理装置は、所定の描画命令で記述された印刷データを入力する印刷データ入力手段と、前記印刷データ入力手段に入力された印刷データをバンド単位で画像出力用のデータ構造に展開するための展開処理手段と、前記展開処理手段で展開された画像出力用データを前記バンド単位で一時記憶する一時記憶手段と、上記一時記憶手段に記憶された画像出力用データに基づいて画像出力を実行する画像出力手段と、前記展開処理手段での前記印刷データの展開時間を所定の予測係数に基づいて予測する展開時間予測手段と、前記展開時間予測手段で予測された展開時間に応じて、前記画像出力手段の画像出力速度を決定する画像出力手段の制御手段と、前記展開処理手段の実際の展開時間を計測する手段と、前記計測した展開時間に基づいて、前記展開時間予測手段で用いられる前記予測係数を変更する予測係数補正手段とを有することを特徴としている。
【0016】
この構成においては、入力される印刷データの描画命令群の描画時間をバンド毎に予測し、バンド毎の予測に基づいて画像出力手段の画像出力速度を決定するよう構成しているため、バンドメモリで構成される印刷処理装置においても、画像品質の低下を招くことの無い、且つ記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを、印刷データの複雑さに応じて最適に処理することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係わる印刷処理装置の実施例について説明する。
[実施例1]
図1は本発明の印刷処理装置の第1の実施例を示すブロック図である。図1において、印刷処理装置は、印刷データ作成部1と、印刷データ入力部2と、展開処理部3と、処理時間予測部4と、出力制御部5と、出力部6とから構成されている。さらに、展開処理部3は、字句解析部30と、描画処理部31とから構成され、処理時間予測部4は、描画時間予測部40と、予測係数補正部41とから構成されている。
【0018】
印刷データ作成部1は、パーソナルコンピュータやワークステーション内において、文書作成や編集等を処理するアプリケーションプログラムで生成された文書データから記述言語で記述された印刷データを作成する機能を備えたものである。本実施例で対象とする記述言語は、例えばGDIであるが、Acrobatで代表されるPDF(Portable Document Format)、PostScriptで代表されるページ記述言語であってもよい。
【0019】
印刷データ入力部2は、印刷データ作成部1で生成された印刷データを入力するための通信機能、あるいは展開処理部3へ出力されるまでの間、印刷データを一時記憶する機能等を備えたものである。
【0020】
字句解析部30は、印刷データ入力部2より入力された印刷データを定められた記述言語のシンタックスに従ってトークンとして切り出し、そのトークンを描画処理部31と処理時間予測部4に出力する。
【0021】
描画処理部31は、字句解析部30から出力されるトークンを受け取って解釈し、描画命令を実行し、ラスタデータを生成する。描画処理部31での描画処理は、描画処理部31内のバンドバッファメモリのサイズに対応したバンド毎に実行される。バンド毎に実行された描画処理後のラスタデータは、印字データとして描画処理部31内の2つのバンドバッファメモリに交互に蓄積される。尚、後述するように本実施例で利用される出力部6は、カラーページプリンタであり、バンドバッファメモリに交互に蓄積される印字データは出力部で印字している記録色の印刷データに対応している。続いて、バンドバッファメモリに蓄積された印字データは、出力部6の印字データ要求に応じて、出力部6に交互に出力される。また、描画処理部31での描画処理は、出力部6の性能(解像度、色再現特性、階調度、記録サイズ等)に対応して処理される。
【0022】
処理時間予測部4は、描画時間予測部40と予測係数補正部41を有し、描画時間予測部40は、字句解析部30から出力されるトークンを受け取って描画命令を解釈し、印刷データに含まれる文字、図形、画像各々の描画命令数を上記描画処理部31内のバンドバッファメモリのサイズに対応したバンド毎にカウントし、それらの描画命令の加重加算により、バンド毎の描画処理予測時間を得るものである。バンド毎の描画処理予測時間は、ページ単位に集計され出力制御部5に出力される。また、予測係数補正部41は、実際の描画処理時間を計測し、その計測結果に基づいて描画時間予測部40で用いる予測係数を補正する。処理時間予測部4の詳細な説明は後述する。
【0023】
出力制御部5は、出力部6の起動タイミング及び記録速度等を制御するものである。更に特徴的には、処理時間予測部4から入力されたページ単位のバンド毎の描画処理予測時間に基づき、出力部6の出力がバンド毎の描画処理予測時間を超えないように、出力部6の記録速度を制御するものである。
【0024】
出力部6は、出力制御部5の制御に基づき、描画処理部31のバンドバッファメモリから出力される印字データを受け取って、記録用紙に印字し出力するものである。更に、詳しくは、CMYBK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)カラーの色毎に露光、現像、転写を繰り返すことによりフルカラー画像を出力できるレーザー走査方式の電子写真方式を用いたカラーページプリンタである。
【0025】
次に、上述したように構成された印刷処理装置における印刷データの流れについて整理する。印刷データ作成部1で作成された印刷データは、印刷データ入力部2を介して、展開処理部3の字句解析部30に入力される。字句解析部30において印刷データから切り出されたトークンは、描画処理部31及び描画時間予測部40に入力される。描画時間予測部40では、トークンを受け取って描画命令を解釈し、印刷データに含まれる文字、図形、画像各々の描画命令の加重加算により、バンド毎の描画処理時間を予測する。このバンド毎の予測値は、ページ単位に集計され出力制御部5に出力される。出力制御部5では、描画時間予測部40で予測された描画処理時間に基づき出力部6のサイクルアップのための起動タイミングの計算及び記録速度の選択を行って出力部6をサイクルアップするとともに、予測係数補正部41の補正係数値により補正されたより正確なバンド毎の描画処理予測時間に基づき出力部6の記録速度を最終的に決定し、必要に応じて記録速度を変更した後に、決定された記録速度で動作させる。
【0026】
一方、描画処理部31では、トークンを受け取って解釈し、出力部6で最初に記録される印字データでバンドバッファメモリが満たされるまで描画処理が行われる。出力部6のサイクルアップが完了すると、バンドバッファメモリから出力部に、出力部6の記録速度に応じて印字データが1ライン毎に転送され、印字が行われる。1つのバンドバッファメモリの印字データが印字されている間に、片側のバンドバッファメモリが印字データで満たされるまで描画処理が実行される。上記描画処理部31の印字データへの展開及び出力部での印字は、1ページ分の印刷データが処理されるまで、色毎に繰り返される。さらに、上記印刷データが複数ページで構成される場合は、全ページの出力が終了するまで繰り返される。
【0027】
以上、本実施例の印刷処理装置の概要について記述した。次に、この印刷処理装置の処理時間予測部4の詳細について説明する。
【0028】
図2は、処理時間予測部4の構成例を示すブロック図である。描画時間予測部40は、字句解析部30の出力を受け取ってそこから描画命令を解釈する命令解釈部400と、解釈された描画命令がどのバンドに含まれるかを判定するバンド判定部401と、解釈された描画命令が文字/図形/画像どの描画命令かを分類する命令分類部402と、分類された描画命令の種類毎の描画命令数をバンド毎にカウントする命令数計数部403と、カウントされた描画命令の種類毎の描画命令数をもとにバンド毎の描画時間の予測を行う予測処理部404と、予測処理部404が必要とする係数を格納する係数テーブル405とから構成されている。また予測係数補正部41は、描画処理部31におけるバンド毎の実際の描画処理時間を計測する描画時間計測部410と、その計測時間を記憶する描画時間記憶部411と、記憶された実際の描画時間から、予測処理部404が必要とする係数を算出する係数算出部412と、算出された係数と描画時間予測部40の係数テーブル405にあらかじめ格納されている係数とにより閾値処理を施し、その結果に従って描画時間予測部40の係数テーブル405を補正する係数補正部413とから構成されている。
【0029】
字句解析部30でトークンに切り出された印刷データは命令解釈部400に入力され、文字/図形/画像のどの描画命令であるか、またはその他の命令であるかを解釈される。次にこの結果はバンド判定部401に入力され、その描画命令がどのバンドに含まれるかを判定される。バンド判定結果は1つのバンドになるとは限らず、描画範囲が複数のバンドにまたがる場合には、それら複数のバンド番号が出力される。またこの判定は、ベジエ図形のように描画範囲の判定が難しい図形の場合には、描画制御点のみで判定するなどの簡略化を行ってもよい。
【0030】
バンド判定部401では各描画命令が入力され、その描画命令の種類と、どのバンドへの描画かを表す情報が出力される。続いて命令分類部402では入力された各描画命令が文字/図形/画像の内のどの描画命令かを表す情報が出力される。これらの結果は命令数計数部403に入力され、各バンド毎に文字/図形/画像の各々の描画命令が幾つずつあるかが計数される。次にこの計数結果は予測処理部404に入力され、例えば下式(1)に示すように係数テーブル405に格納されている各オブジェクト毎の1描画命令に対する平均描画時間と積和処理され、バンド毎の描画処理予測時間が得られる。
【0031】
【数1】
式中の安全係数は、平均よりも複雑なオブジェクトが多い場合に、展開の遅れから印字抜けが生じることを防ぐためのもので、この係数の求め方の例は後述する。
【0032】
ここで得られた各描画オブジェクト毎の平均展開時間Tc、Tf、Ti、及び安全係数Sc、Sf、Siは、先に述べたようにあらかじめ係数テーブルに格納されているものであり、従って計算されたバンド描画予測時間は、描画処理部31の実際のバンド描画予測時間に対して誤差を伴うものである。以下に、本実施例の印刷処理装置における、描画処理時間予測誤差をより小さくするための予測係数補正部41の詳細について説明する。
【0033】
図3は、本実施例の印刷処理装置における予測係数補正部41の処理の流れの一例を示すフローチャートである。ステップS1において、描画時間計測部410で、描画処理部31での実際の描画処理時間を、文字/図形/画像の各描画オブジェクト毎にそれぞれ計測し、それらを加算する。
【0034】
ステップS2において、バンド内の描画オブジェクトが残っているかどうかを判定し、もし残っていないならばステップS3に移り、残っているならば、ステップS1の処理を繰り返す。
【0035】
ステップS3において、描画時間記憶部411で、ステップS1で計測/加算された各描画オブジェクト毎の描画時間を1ページ単位で記憶する。
【0036】
ステップS4において、係数算出部412で、ステップS3で記憶された各描画オブジェクト毎の描画時間から、各描画オブジェクト毎の平均描画時間Tc’、Tf’、Ti’、安全係数Sc’、Sf’、Si’の係数群Co’{Tc’,Tf’,Ti’,Sc’,Sf’,Si’}を算出する。また、描画時間予測部40の係数テーブル405にあらかじめ格納されている係数群Co{Tc,Tf,Ti,Sc,Sf,Si}を参照し、この係数群との差分の絶対値|Co’−Co|を各係数ごとに計算する。係数算出部412の処理については後述する。
【0037】
ステップS5において、係数補正部413で、ステップS4で求めた各係数毎の差分の絶対値|Co’−Co|を各係数毎に設定された閾値Thと比較する。その結果、|Co’−Co|≦Thの場合にはステップS6に、|Co’−Co|>Thの場合にはステップS7に移る。|Co’−Co|≦Thの場合、あらかじめ設定された係数と算出された係数の誤差が小さいので、該当する係数テーブル405の値を更新しない。|Co’−Co|>Thの場合、あらかじめ設定された係数と算出された係数の誤差が大きいので、該当係数を係数算出部412で計算された値に更新する。
【0038】
図4は、本実施例の印刷処理装置の実施例における係数算出部の具体例の説明図である。平均描画時間算出部414では、描画時間記憶部411からの入力である、各描画オブジェクト毎の加算された実際の描画時間から、下式(2)に示す式で平均描画時間を計算する。
【0039】
【数2】
安全係数算出部415では、下式(3)に示す式で各描画オブジェクトの安全係数を計算する。ここで、nは各描画オブジェクト毎の命令数である。
【0040】
【数3】
絶対値算出部416では、描画時間予測部40の係数テーブル405にあらかじめ格納されている係数群Co{Tc,Tf,Ti,Sc,Sf,Si}を参照して、平均描画時間算出部414および安全係数算出部415で得られた係数群Co’{Tc’,Tf’,Ti’,Sc’,Sf’,Si’}を用いて、各係数の差分の絶対値|Co’−Co|を計算する。
【0041】
なお、上記の説明では閾値処理の結果により、予め係数テーブルに格納されている係数をそのまま用いるか算出された係数に置き換えるかで、係数テーブルを更新していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、下式(4)に示す式で更新値を決定することもできる。
【0042】
【数4】
更新値=αCo’+ βCo (4)
|Co’−Co|≦Thの場合は、もとの係数Coに近い値となるように、例えば、α=0.3, β=0.7とし、|Co’−Co|>Thの場合は、算出された係数値Co’に近い値となるように、α=0.7, β=0.3として係数値を更新することも可能である。もちろん、α、βの値はこれに限定されるものではなく、任意に設定することが可能である。
【0043】
さらに、上記の説明では、ページ単位で描画時間を計測し、予測係数の補正を行っていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ページ毎の各描画オブジェクト毎の描画時間を累積して加算していくことで、平均描画時間、安全係数の算出の際の標本数を増やし、正確な係数補正を行うことで、描画処理時間の予測をより精度の高いものとすることが可能である。
【0044】
[実施例2]
次に、第2の実施例について説明する。上述の第1の実施例では、前ページの実際の描画処理時間を予測係数補正部41で計測し、その結果から予測係数の補正を行っていた。しかし、印刷の形態によっては、内容の違う印刷データを数部づつ出力するといった要求もある。例えば、10ページづつ出力する場合、第1の実施例では、同じ内容の印刷データが続く10ページ目までは、前ページの描画処理時間に基づく予測係数の補正により精度の高い描画処理時間予測が行えるが、内容の違う印刷データが入力される11ページ目においては、前ページ(10ページ)の描画処理時間に基づく予測係数補正では、補正された係数を用いた予測時間と実際の描画処理時間とに大きな誤差が生じる可能性がある。そこで、上記のような場合、部数の切れ目のページにおいては、前ページの描画処理時間に基づいて補正された係数を用いるのではなく、あらかじめ係数テーブルに格納していた初期係数値を用いることで、予測時間と実際の描画処理時間との誤差を小さくすることが好ましい。
【0045】
図5は、本発明の第2の実施例における処理時間予測部4の構成例を示すブロック図である。なお、第2の実施例は処理時間予測部4の具体的な構成を除き図1の第1の実施例と同様であるので、他の構成については詳細な説明を省略する。
【0046】
図5において、描画時間予測部40は、字句解析部30の出力を受け取ってそこから描画命令を解釈する命令解釈部400と、解釈された描画命令がどのバンドに含まれるかを判定するバンド判定部401と、解釈された描画命令が文字/図形/画像どの描画命令かを分類する命令分類部402と、分類された描画命令の種類毎の描画命令数をバンド毎にカウントする命令数計数部403と、カウントされた描画命令の種類毎の描画命令数をもとにバンド毎の描画時間の予測を行う予測処理部404と、予測処理部405が必要とする初期係数値を格納する初期係数テーブル407と、予測係数補正部41によって補正された係数値を格納する補正係数テーブル408と、印刷データ入力部2からの係数テーブル切換え命令により、初期係数テーブルと補正係数テーブルとを切り換える係数テーブル切替え部406から構成されている。また予測係数補正部41は、描画処理部におけるバンド毎の実際の描画処理時間を計測する描画時間計測部410と、その計測時間を記憶する描画時間記憶部411と、記憶された実際の描画時間から、予測処理部が必要とする係数を算出する係数算出部412と、算出された係数と描画時間予測部40の補正係数テーブル408に格納されている係数とにより閾値処理を施し、その結果に従って描画時間予測部40の補正係数テーブル408内の係数値を補正する係数補正部413とから構成されている。
【0047】
上記構成の内、命令解釈部400と、バンド判定部401と、命令分類部402と、命令数計数部403の構成は、先の第1の実施例での構成と同じものであるため、ここでは説明を省略する。
【0048】
本発明の第2の実施例における処理時間予測部4では、描画時間予測部40内の初期係数テーブル407と補正係数テーブル408内の係数値は、最初、同じ係数値が格納されている。第2の実施例においては、描画処理予測時間の計算は常に補正係数テーブル408を用いて計算する。従って、第1の実施例の係数テーブル405を、第2の実施例における補正係数テーブル408に置き換えた以外の処理時間予測部4の処理の詳細については、先の第1の実施例での処理と同じものであるため省略する。
【0049】
印刷データ入力部2より、係数テーブルの切換え命令が、係数テーブル切換え部406に入力されると、係数テーブル切換え部406は、補正係数テーブル408内の係数値をすべて初期係数テーブル407内の係数値で置き換え(リセット)をする。
【0050】
以上説明したように、この第2の実施例によれば、異なった内容の印刷データを数部づつ出力するといった印刷の形態において、部数の切れ目のページでの描画処理予測時間の大きな誤差の発生を抑えることが可能である。
【0051】
[実施例3]
次に、第3の実施例について説明する。上述の第2の実施例では、異なった内容の印刷データを数部づつ出力するといった印刷の状況において、部数の切れ目のページで、印刷データ入力部2から係数テーブル切り替え命令を係数テーブル切換え部406に入力することにより、補正係数テーブル408を初期係数テーブル407の値で置き換えることで、より誤差の小さい描画処理時間予測を行っていた。しかし、数ページからなる一連の印刷データで、前半数ページは文書データ主体、後半数ページは図形データ主体(例えば、特許明細書)のような場合、第2の実施例では、係数テーブル切換え命令を発信することができない。そこで、上記のような場合においては、印刷データ作成の時点で、印刷データ内の描画命令の種類又は属性、描画命令数に従った統計情報から、入力印刷データ内のページ特性の違いをあらかじめ検出して、その検出結果を印刷データ入力部に通知することで、テーブル切換え命令を発信することが好ましい。
【0052】
図6は、本発明の印刷処理装置の第3の実施例におけるブロック図である。図6において、印刷処理装置は、印刷データ作成部1と、印刷データ入力部2と、展開処理部3と、処理時間予測部4と、出力制御部5と、出力部6と、印刷データ情報付与部7から構成されている。さらに、展開処理部3は、字句解析部30と、描画処理部31とから構成され、処理時間予測部4は、描画時間予測部40と、予測係数補正部41とから構成されている。
【0053】
上記の構成の内、印刷データ作成部1と、印刷データ入力部2と印刷データ情報付与部7以外の構成および処理の詳細は、先の第2の実施例での構成および処理の詳細と同じものであるため、ここでは説明を省略する。
【0054】
図7は、本発明の印刷処理装置の第3の実施例における印刷データ情報付与部7の構成を示すブロック図である。図7において、印刷データ情報付与部7は、データ記憶部70と、命令解釈部71と、命令数計数部72と、情報付与部73とから構成されている。
【0055】
データ記憶部70では、印刷データ作成部1で作成された記述言語で記述された印刷データを1ページ毎に記憶する。命令解釈部71では、データ記憶部70で記憶された1ページ分の印刷データに対して、文字/図形/画像のどの描画命令であるか解釈し、命令数計数部72で文字/図形/画像の各々の描画命令が幾つづつあるかが係数される。この係数結果により、情報付与部73でデータ記憶部70で記憶された1ページ分の印刷データが、文字主体の印刷データであるのか、図形主体の印刷データであるのか、画像主体の印刷データであるのか、またはそれらが混在した印刷データであるのかの情報が、データ記憶部に記憶されている印刷データに付与される。情報付与された印刷データは印刷データ入力部2に転送される。
【0056】
印刷データ入力部2は、印刷データ情報付与部7で、印刷データ内のページ特性の違いによりページ特性情報の付与された印刷データを入力するための通信機能、あるいは展開処理部3へ出力されるまでの間印刷データを一時記憶する機能、及び印刷データに付与されたページ特性が前ページと異なった場合に、描画時間予測部40に係数テーブルを切り換えるための命令を発信する機能等を備えたものである。
【0057】
以上説明したように、この第3の実施例によれば、ページ毎に内容が著しく異なる、数ページからなる一連の印刷データを出力するといった状況において、印刷データ作成時に、ページ特性の違いを予め印刷データに付与し、印刷データ入力部に通知することが可能である。その結果、印刷データ入力部から係数テーブル切替え命令が発信され、上記、第2の実施例の説明で述べたように、描画処理時間予測の大きな誤差の発生を抑えることができる。
【0058】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく種々変更が可能である。例えば、バンド単位で印刷データをラスタデータに展開するのではなくページ単位で展開する場合に本発明を適用できる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、ページプリンタで出力するための印字データを一時記憶するための記憶装置がバンドメモリで構成される印刷処理装置等において、描画処理部における描画命令群から印字データへの展開を処理するとともに、これと並行して、処理時間予測部で描画処理部の描画処理時間を予測し、予測結果に基づき出力部の記録速度を制御する構成とした。また、描画処理部での実際の描画処理時間を計測し、この計測結果から、処理時間予測部で用いる予測係数を補正することにより、より精度の高い描画処理時間予測が行える構成とした。このため、印刷データの内容に応じて印刷データを処理することが可能となり、描画処理部の処理性能と出力部の記録速度の不整合による画像品質の低下を防ぐことが可能となる。また、従来方式では対応することができなかった記述言語で記述された複雑な図形描画命令が含まれている印刷データを印刷データの複雑さに応じて最適に処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷処理装置の第1の実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の印刷処理装置の第1の実施例における処理時間予測部の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の印刷処理装置の第1の実施例における予測係数補正部の処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の印刷処理装置の第1の実施例における係数産出部の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の印刷処理装置の第2の実施例における処理時間予測部の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の印刷処理装置の第3の実施例を示すブロック図である。
【図7】本発明の印刷処理装置の第3の実施例における印刷データ情報付与部の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 印刷データ作成部
2 印刷データ入力部
3 展開処理部
30 字句解析部
31 描画処理部
4 処理時間予測部
40 描画時間予測部
41 予測係数補正部
5 出力制御部
6 出力部
7 印刷データ情報付与部
Claims (5)
- 所定の描画命令で記述された印刷データを入力する印刷データ入力手段と、
前記印刷データ入力手段に入力された印刷データを画像出力用のデータ構造に展開するための展開処理手段と、
前記展開処理手段で展開された画像出力用データに基づいて画像出力を実行する画像出力手段と、
前記展開処理手段での前記印刷データの展開時間を所定の予測係数に基づいて予測する展開時間予測手段と、
前記展開時間予測手段で予測された展開時間に応じて、前記画像出力手段の画像出力速度を決定する画像出力手段の制御手段と、
前記展開処理手段の実際の展開時間を計測する手段と、
前記計測した展開時間に基づいて、前記展開時間予測手段で用いられる前記予測係数を変更する予測係数補正手段とを有し、
前記予測係数の変更方法は、前記予測係数を前記予測係数補正手段で得られた係数に、前記予測係数の値を近づけることであることを特徴とする印刷処理装置。 - 文書データを所定の描画命令で記述されたデータに変更する印刷データ作成手段と、
前記印刷データを入力する印刷データ入力手段と、
前記印刷データ入力手段に入力された印刷データを画像出力用のデータ構造に展開するための展開処理手段と、
前記展開処理手段で展開された画像出力用データに基づいて画像出力を実行する画像出力手段と、
前記展開処理手段での前記印刷データの展開時間を所定の予測係数に基づいて予測する展開時間予測手段と、
前記展開時間予測手段で予測された展開時間に応じて、前記画像出力手段の画像出力速度を決定する画像出力手段の制御手段と、
前記展開処理手段の実際の展開時間を計測する手段と、
前記計測した展開時間に基づいて、前記展開時間予測手段で用いられる前記予測係数を変更する予測係数補正手段とを有し、
前記予測係数の変更方法は、前記予測係数を前記予測係数補正手段で得られた係数に、前記予測係数の値を近づけることであることを特徴とする印刷処理装置。 - 所定の描画命令で記述された印刷データを入力する印刷データ入力手段と、
前記印刷データ入力手段に入力された印刷データをバンド単位で画像出力用のデータ構造に展開するための展開処理手段と、
前記展開処理手段で展開された画像出力用データを前記バンド単位で一時記憶する一時記憶手段と、
上記一時記憶手段に記憶された画像出力用データに基づいて画像出力を実行する画像出力手段と、
前記展開処理手段での前記印刷データの展開時間を所定の予測係数に基づいて予測する展開時間予測手段と、
前記展開時間予測手段で予測された展開時間に応じて、前記画像出力手段の画像出力速度を決定する画像出力手段の制御手段と、
前記展開処理手段の実際の展開時間を計測する手段と、
前記計測した展開時間に基づいて、前記展開時間予測手段で用いられる前記予測係数を変更する予測係数補正手段とを有し、
前記予測係数の変更方法は、前記予測係数を前記予測係数補正手段で得られた係数に、前記予測係数の値を近づけることであることを特徴とする印刷処理装置。 - 前記展開時間予測手段は、印刷データ入力手段からの所定の命令により、前記予測係数を初期値に変更できることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の印刷処理装置。
- 印刷データ作成の時点で、印刷データ内の描画命令の種類又は前記描画命令の属性、描画命令数に従った統計情報から、印刷ジョブ内のページ特性の違いを検出して、印刷データ入力手段に通知する情報通知手段を有することを特徴とする請求項4に記載の印刷処理装置。
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