JP3612558B2 - シスプラチン耐性細胞に効く抗癌性白金錯体 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗癌剤シスプラチン(CDDP)に耐性をもつ癌細胞に対して有効に効く抗癌性白金錯体に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗癌剤シスプラチン(CDDP)は、化学構造式
【化2】
で示される化合物であり、抗癌作用を有するので抗癌剤として利用されている。
【0003】
しかし、抗癌剤シスプラチンを長く投与すると、抗癌剤シスプラチン(CDDP)に耐性をもつ癌細胞が増殖して、シスプラチン(CDDP)の抗癌作用が低下することが報告されている。このようなシスプラチン耐性細胞に効く抗癌剤は少ない。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、シスプラチン誘導体の抗癌作用を研究する過程において、ある種のシスプラチン誘導体の白金錯体が、耐性シスプラチン耐性細胞に効くことを偶然に見いだした。
【0005】
耐性シスプラチン耐性細胞に効く白金錯体は、一般式
【化3】
で示される公知の白金錯体化合物(1)である。(Inorganic Chemistry,Vol 34, No.9,1995 p336)
【0006】
我々はシスプラチン耐性を持つマウスのガン細胞(sarcoma180)に対して、白金錯体化合物(1)が高い抗癌活性があることを見いだし確認した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
白金錯体化合物(1)は、次の方法で合成することができる。
【式4】
【0008】
【発明の実施の態様】
本発明において、出発原料となる化合物のひとつは、一般式
【化5】
で表されるフェニルピリジン系化合物である。ここにおいて、Rは炭素数1〜4低級アルキル基であるが、5以上のアルキル基も利用できる。
なぜ白金錯体化合物(1)が、シスプラチン耐性を持つ癌細胞に対して、有効に効くかについては詳細には解っていない。
この抗癌作用の解明については、今後の研究に待たねばならないが、フェニルピリジン骨格が大きな影響を及ぼしていると考えられる。
【0009】
実施例
シスプラチン感受性のマウス癌細胞(samoma180)及びこれから誘導したシスプラチン耐性のマウス癌細胞を、96ウェルプラスチックプレートに2000個/ウェル(180μl)づつ播いた。
抗癌剤シスプラチンおよび白金錯体化合物(1)を精製水に溶かして濾過滅菌し、培地で希釈してから様々な濃度のもの(0.5〜20μg/ml)を20μl/ウェルづつ加え、37℃で5%の二酸化炭素を含む培養器中で3日間培養した。 培地の組成は5%のFCS(牛胎児血清)と1%の非必須アミノ酸を含むMEM(ミニマムエッセンシヤルメディウム)からなる。
MTT試薬[3−(4,5−ジメチルチアゾルー2−yl)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド](2.0mg/ml)を25μl/ウェルずつ加え、同上の培養器で4時間培養した後、3000rpm(回転/分)で10分間遠心し、上清を除き、DMSO(ジメチルスルホキシド)を200μl/ウェルずつ加えて540nmの吸光度を測定した。
横軸にシスプラチンまたは白金錯体化合物(1)の濃度、縦軸に生細胞数の割合をプロットし、生細胞数が50%の時の濃度をIC50として算出した。ここで、生細胞数の割合は、シスプラチンまたは白金錯体化合物(1)を加えた時の吸光度を、これらの代わりに培地を加えた時の吸光度で割った値から算出した。
結果を表1に示す。
【表1】
表1の結果より、本発明の白金錯体化合物(1)は、レジスタンスファクター(resistance factor)=[CDDP耐性癌細胞のIC50]/[CDDP感受性癌細胞のIC50]が約25にも達してしまうが、本発明の白金錯体化合物(1)は、この値が約2.8と遙かに小さくCDDP耐性株に効くことが解る。
【0010】
【発明の効果】
本発明の白金錯体化合物(1)が、シスプラチン耐性を持つ癌細胞に対して有効であることが確認された。
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗癌剤シスプラチン(CDDP)に耐性をもつ癌細胞に対して有効に効く抗癌性白金錯体に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗癌剤シスプラチン(CDDP)は、化学構造式
【化2】
で示される化合物であり、抗癌作用を有するので抗癌剤として利用されている。
【0003】
しかし、抗癌剤シスプラチンを長く投与すると、抗癌剤シスプラチン(CDDP)に耐性をもつ癌細胞が増殖して、シスプラチン(CDDP)の抗癌作用が低下することが報告されている。このようなシスプラチン耐性細胞に効く抗癌剤は少ない。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、シスプラチン誘導体の抗癌作用を研究する過程において、ある種のシスプラチン誘導体の白金錯体が、耐性シスプラチン耐性細胞に効くことを偶然に見いだした。
【0005】
耐性シスプラチン耐性細胞に効く白金錯体は、一般式
【化3】
で示される公知の白金錯体化合物(1)である。(Inorganic Chemistry,Vol 34, No.9,1995 p336)
【0006】
我々はシスプラチン耐性を持つマウスのガン細胞(sarcoma180)に対して、白金錯体化合物(1)が高い抗癌活性があることを見いだし確認した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
白金錯体化合物(1)は、次の方法で合成することができる。
【式4】
【0008】
【発明の実施の態様】
本発明において、出発原料となる化合物のひとつは、一般式
【化5】
で表されるフェニルピリジン系化合物である。ここにおいて、Rは炭素数1〜4低級アルキル基であるが、5以上のアルキル基も利用できる。
なぜ白金錯体化合物(1)が、シスプラチン耐性を持つ癌細胞に対して、有効に効くかについては詳細には解っていない。
この抗癌作用の解明については、今後の研究に待たねばならないが、フェニルピリジン骨格が大きな影響を及ぼしていると考えられる。
【0009】
実施例
シスプラチン感受性のマウス癌細胞(samoma180)及びこれから誘導したシスプラチン耐性のマウス癌細胞を、96ウェルプラスチックプレートに2000個/ウェル(180μl)づつ播いた。
抗癌剤シスプラチンおよび白金錯体化合物(1)を精製水に溶かして濾過滅菌し、培地で希釈してから様々な濃度のもの(0.5〜20μg/ml)を20μl/ウェルづつ加え、37℃で5%の二酸化炭素を含む培養器中で3日間培養した。 培地の組成は5%のFCS(牛胎児血清)と1%の非必須アミノ酸を含むMEM(ミニマムエッセンシヤルメディウム)からなる。
MTT試薬[3−(4,5−ジメチルチアゾルー2−yl)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド](2.0mg/ml)を25μl/ウェルずつ加え、同上の培養器で4時間培養した後、3000rpm(回転/分)で10分間遠心し、上清を除き、DMSO(ジメチルスルホキシド)を200μl/ウェルずつ加えて540nmの吸光度を測定した。
横軸にシスプラチンまたは白金錯体化合物(1)の濃度、縦軸に生細胞数の割合をプロットし、生細胞数が50%の時の濃度をIC50として算出した。ここで、生細胞数の割合は、シスプラチンまたは白金錯体化合物(1)を加えた時の吸光度を、これらの代わりに培地を加えた時の吸光度で割った値から算出した。
結果を表1に示す。
【表1】
表1の結果より、本発明の白金錯体化合物(1)は、レジスタンスファクター(resistance factor)=[CDDP耐性癌細胞のIC50]/[CDDP感受性癌細胞のIC50]が約25にも達してしまうが、本発明の白金錯体化合物(1)は、この値が約2.8と遙かに小さくCDDP耐性株に効くことが解る。
【0010】
【発明の効果】
本発明の白金錯体化合物(1)が、シスプラチン耐性を持つ癌細胞に対して有効であることが確認された。
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Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000311996A JP3612558B2 (ja) | 2000-10-12 | 2000-10-12 | シスプラチン耐性細胞に効く抗癌性白金錯体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000311996A JP3612558B2 (ja) | 2000-10-12 | 2000-10-12 | シスプラチン耐性細胞に効く抗癌性白金錯体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002121135A JP2002121135A (ja) | 2002-04-23 |
JP3612558B2 true JP3612558B2 (ja) | 2005-01-19 |
Family
ID=18791668
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2000311996A Expired - Lifetime JP3612558B2 (ja) | 2000-10-12 | 2000-10-12 | シスプラチン耐性細胞に効く抗癌性白金錯体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3612558B2 (ja) |
-
2000
- 2000-10-12 JP JP2000311996A patent/JP3612558B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002121135A (ja) | 2002-04-23 |
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