JP3612431B2 - 無動力式の冷却装置及び冷却方法 - Google Patents

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  • Sorption Type Refrigeration Machines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部動力を用いることなく吸収サイクルを動作させ、その冷熱を用いて要冷却物を冷却するようにした無動力式の冷却装置及び冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、冷却装置としては、蒸気圧縮冷凍サイクルを用いたものが普及している。しかしながら、かかる蒸気圧縮冷凍サイクルを用いた冷却装置では、通常、圧縮機を用いて冷媒(例えば、フロン)を圧縮・液化させる関係上、外部動力(例えば、電力、機械的動力等)を大量に消費し、かつ騒音が発生するといった問題がある。
【0003】
そこで、近年、外部動力を必要としない冷却装置として、ヒートパイプが注目されている。
図5に、例えば米国特許第4,765,396号に開示されている従来型のループヒートパイプの構成と動作原理とを示す。図5において、19は蒸発器を示し、20は凝縮器を示し、21は蒸気管を示し、22は液管を示している。
【0004】
以下、図5に示す従来型のループヒートパイプの動作原理を説明する。このループヒートパイプにおいて、外部から蒸発器19に熱入力があると、ウイック23(毛細管構造ないしは多孔質構造)内に毛管力で保持されている液冷媒がウイック表面近傍から蒸発する。ここで、蒸発した冷媒は、蒸気管21を通って凝縮器20に流入する。そして、凝縮器20では、冷媒蒸気は外部からの冷却により凝縮する。凝縮した冷媒は、液管22を通って蒸発器19の液リザーバ24に戻る。なお、液リザーバ24は、ウイック23によって画成された空間部である。かくして、蒸発器19で発生した冷媒の流量に応じて液冷媒がウイック23内を浸透するサイクルが形成される。
【0005】
ループヒートパイプでは、このような動作原理により、外部動力を用いることなく、蒸発器19で発熱部(図示せず)から熱を奪い、この熱を蒸発器19から蒸気管21を経由して凝縮器20に輸送し、凝縮器20で外部冷却源(図示せず)へ放出することができる。つまり、ループヒートパイプで発熱部を冷却することができる。
【0006】
また、近年、外部動力の消費量が比較的少ない冷却装置として吸収サイクル(吸収式冷凍サイクル)が注目されている。
図6は、例えば1995年にガス事業新聞社から発刊された「柏木孝夫監修:吸収ヒートポンプの進展(p125)」に開示されている従来型の吸収サイクルの概略構成を示す図である。図6に示すように、この吸収サイクルは、基本的には、発生器1と、吸収器2と、蒸発器3と、凝縮器4と、溶液ポンプ25と、膨張弁26と、減圧弁27とで構成されている。
【0007】
以下、図6に示す従来型の吸収サイクルの動作原理を説明する。この吸収サイクルの発生器1では、その内部に封入されている、冷媒が吸収液に溶解している溶液が外部からの熱入力により加熱され、これにより冷媒が蒸発して冷媒蒸気が発生する。発生器1で発生した冷媒蒸気は、凝縮器4で外部冷却源(図示せず)により冷却されて凝縮し、液冷媒となる。液冷媒は膨張弁26で減圧された後、蒸発器3で気化して冷熱(低温)を発生させる。他方、冷媒を蒸発させた後の溶液は、発生器1から減圧弁27を通って吸収器2に流入する。また、前記の蒸発器3で気化した冷媒もまた吸収器2に流入する。そして、吸収器2では溶液が外部冷却源(図示せず)により冷却され、これにより冷媒蒸気は溶液中に吸収される。この冷媒蒸気を吸収した溶液は、溶液ポンプ25で昇圧されて発生器1に圧送される。このようにして、冷媒及び溶液の循環サイクルが形成される。このような循環サイクルを形成することにより、蒸発器3では、外部冷却源(図示せず)の温度以下の低温を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば図5に示すような従来型のヒートパイプでは、外部動力を用いずに、発熱部(高温熱源)から熱を奪いその熱を輸送して外部冷却源(低温熱源)へ放出するといったサイクルを動作させることができるものの、外部冷却源の温度以下の低温を得ることができないといった問題がある。
【0009】
また、例えば図6に示すような従来型の吸収サイクルでは、外部冷却源の温度以下の低温を得ることができるものの、発生器内の溶液の圧力が吸収器内の溶液の圧力よりも高い関係上、吸収器内の溶液を発生器に圧送するための溶液ポンプが必要となり、このため溶液ポンプを駆動するための外部動力を必要とするといった問題がある。
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、外部動力を消費することなく外部冷却源の温度以下の低温を得ることができる冷却装置ないしは冷却方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明の第1の態様にかかる無動力式の冷却装置は、(a)冷媒が吸収液に溶解している溶液(以下、これを「冷媒溶液」という)を、高温部と低温部との間で循環させる一方、高温部で冷媒溶液から蒸発した冷媒蒸気を凝縮部で凝縮させた後蒸発部で気化させることにより雰囲気温度(外部冷却源の温度)以下の低温を発生させ、気化した冷媒を低温部で冷媒溶液に吸収させるようになっている吸収サイクルを備えた冷却装置において、(b)冷媒及び冷媒溶液を、外部動力を用いずに循環させるサイクル作動手段を備えていることを特徴とするものである。
この冷却装置においては、溶液ポンプ等の機械駆動機器を設けることなく、すなわち外部動力を消費することなく冷媒及び冷媒溶液を循環させることができ、かつ蒸発部で雰囲気温度(外部冷却源の温度)以下の低温を得ることができる。
【0012】
本発明の第2の態様にかかる無動力式の冷却装置は、(a)冷媒溶液を高温部と低温部との間で循環させる一方、高温部で冷媒溶液から蒸発した冷媒蒸気を凝縮部で凝縮させた後蒸発部で気化させ、気化した冷媒を低温部で冷媒溶液に吸収させるようになっている吸収サイクルを備えていて、(b)高温部で高温発熱体(ないしは高温物体)の熱を奪うとともに蒸発部で低温発熱体(ないしは低温物体)の熱を奪い、これらの熱を低温部と凝縮部とで大気(ないしは外部冷却源)に放出するようになっている冷却装置において、(c)冷媒及び冷媒溶液を、外部動力を用いずに循環させるサイクル作動手段を備えていることを特徴とするものである。
この冷却装置においては、溶液ポンプ等の機械的駆動機器を設けることなく、すなわち外部動力を消費することなく冷媒及び冷媒溶液を循環させることができ、高温発熱体(高温物体)及び低温発熱体(低温物体)を冷却することができる。なお、低温発熱体は大気の温度(外部冷却源の温度)以下に冷却することができる。
【0013】
本発明の第1又は第2の態様にかかる冷却装置においては、サイクル作動手段が、毛管力により吸収サイクル内に高圧部と低圧部とを生じさせ、高圧部と低圧部との間の圧力差を動力源とするようになっていてもよい。この場合、毛管力により吸収サイクルを動作させることができる。
【0014】
上記冷却装置においては、サイクル作動手段が、冷媒溶液を、該冷媒溶液の密度差及び重力による自然対流と気化した冷媒によるエゼクタ効果とにより循環させるようになっていてもよい。この場合、自然対流及びエゼクタ効果により、冷媒溶液を有効にに循環させることができる。
【0015】
上記冷却装置においては、具体的には、(a)高温部が、冷媒溶液を保持する溶液リザーバと、冷媒蒸気を通す蒸気通路と、内面が溶液リザーバ内の冷媒溶液と接触し外面が蒸気通路内の冷媒蒸気と接触するウィックとを内部に備える一方、外周部に吸熱面を備えている発生器で構成され、(b)低温部が、冷媒溶液を通すとともに気化した冷媒が流入する蒸気・液通路を内部に備える一方、外周部に放熱面を備えている吸収器で構成され、(c)凝縮部が、冷媒蒸気と凝縮した冷媒とを通す蒸気・液通路を内部に備える一方、外周部に放熱面を備えている凝縮器で構成され、(d)蒸発部が、凝縮した冷媒と気化した冷媒とを通す蒸気・液通路を内部に備える一方、外周部に吸熱面を備えている蒸発器で構成され、かつ(e)サイクル作動手段が、気化した冷媒を駆動流体とし、発生器から吸収器側に流出する冷媒溶液を吸引流体とする、(例えば、蒸発器と吸収器との間の通路に介設される)エゼクタを備えているのが好ましい。この場合、冷却装置を簡素でコンパクトな構造とすることができる。なお、発生器と吸収器とは、冷媒溶液の循環が促進されるようその内部の冷媒溶液の密度(冷媒濃度)を考慮して、(1)発生器を吸収器より高い位置に配置し、又は(2)吸収器を発生器より高い位置に設置することになる。また、発生器内において溶液リザーバと蒸気通路との間にウイックが配置され、冷媒溶液がウイック内に毛管力により保持されるので、蒸気通路と溶液リザーバとの間に圧力差を保持することができる。
【0016】
上記冷却装置においては、発生器の溶液リザーバと蒸気通路とがウイックによって隔離され、かつ溶液リザーバと吸収器とが(例えば、連通通路を介して)互いに連通しているのが好ましい。この場合、冷媒溶液の循環が容易となる。
【0017】
本発明の第3の態様にかかる無動力式の冷却方法は、(a)冷媒溶液を高温部と低温部との間で循環させる一方、高温部で冷媒溶液から蒸発した冷媒蒸気を凝縮部で凝縮させた後蒸発部で気化させることにより雰囲気温度以下の低温を発生させ、気化した冷媒を低温部で冷媒溶液に吸収させる吸収サイクルを利用した冷却方法において、(b)冷媒及び冷媒溶液を、外部動力を用いずに循環させることを特徴とするものである。
この冷却方法においては、溶液ポンプ等の機械駆動機器を使用することなく、すなわち外部動力を消費することなく冷媒及び冷媒溶液を循環させることができ、かつ蒸発部で雰囲気温度(外部冷却源の温度)以下の低温を得ることができる。
【0018】
本発明の第4の態様にかかる無動力式の冷却方法は、(a)冷媒溶液を、高温部と低温部との間で循環させる一方、高温部で冷媒溶液から蒸発した冷媒蒸気を凝縮部で凝縮させた後蒸発部で気化させ、気化した冷媒を低温部で冷媒溶液に吸収させる吸収サイクルを利用し、(b)高温部で高温発熱体(高温物体)の熱を奪うとともに蒸発部で低温発熱体(低温物体)の熱を奪い、これらの熱を低温部と凝縮部とで大気に放出するようにした冷却方法において、(c)冷媒及び冷媒溶液を、外部動力を用いずに循環させることを特徴とするものである。
この冷却方法においては、溶液ポンプ等の機械駆動機器を使用することなく、すなわち外部動力を消費することなく冷媒及び冷媒溶液を循環させることができ、かつ高温発熱体(高温物体)及び低温発熱体(低温物体)を冷却することができる。なお、低温発熱体は、大気の温度(外部冷却源の温度)以下に冷却することができる。
【0019】
本発明の第3又は第4の態様にかかる冷却方法においては、毛管力により吸収サイクル内に高圧部と低圧部とを生じさせ、高圧部と低圧部との間の圧力差を動力源として利用してもよい。この場合、毛管力により吸収サイクルを動作させることができる。
【0020】
上記冷却方法においては、冷媒溶液を、該冷媒溶液の密度差及び重力による自然対流と気化した冷媒によるエゼクタ効果とを利用して循環させてもよい。この場合、自然対流及びエゼクタ効果により、冷媒溶液を有効に循環させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図1は、本発明にかかる無動力式の吸収サイクル(吸収式冷凍サイクル)を用いた冷却装置の全体構成図である。図1において、1は発生器であり、2は吸収器であり、3は蒸発器であり、4は凝縮器であり、5は高温発熱体であり、6は低温発熱体であり、7は冷却源(外部冷却源)である。ここで、吸収器2及び凝縮器4の外周部には、それぞれ、放熱面積(伝熱面積)を大きくするための放熱フィンを備えた放熱面が設けられている。また、発生器1及び蒸発器3の外周部には、それぞれ吸熱面が設けられている。なお、図1中において、白抜きの太い矢印(4つ)は熱の移動方向を表している。また、各機器1〜4を結ぶ各実線は冷媒又は冷媒溶液を輸送するための通路を表し、該実線中の矢印は冷媒又は冷媒溶液の流れる向きを表している。
【0022】
図2は、図1に示す冷却装置における冷媒及び冷媒溶液の循環経路の概略を示す図である。図2において、8は高圧の冷媒蒸気の流れ(以下、これを「高圧蒸気流8」という)であり、9は高圧の液冷媒の流れ(以下、これを「高圧液流9」という)であり、10は低圧の冷媒蒸気の流れ(以下、これを「低圧蒸気流10」という)であり、11は高密度の冷媒溶液の流れ(以下、これを「高密度溶液流11」という)であり、12は低密度の冷媒溶液の流れ(以下、これを「低密度溶液流12」という)である。
【0023】
図3は、図1に示す冷却装置のより具体的な構造を示す立面模式図であり、冷媒及び冷媒溶液の循環方法をも示している。図3において、13はエゼクタであり、14はウイック(毛細管構造ないしは多孔質構造)である。ここで、エゼクタ13は、低圧蒸気流10を駆動流体とし、高密度溶液流11を吸引流体とするエゼクタである。また、ウイック14は、内部に毛細管状ないしは細孔状の空隙部を備えている。
【0024】
図4(a)、(b)は、それぞれ、発生器1の側面断面図及び正面断面図である。図4(a)、(b)において、15は略円筒形の発生器外管であり、16は冷媒溶液(溶液リザーバ内溶液)であり、17は溶液リザーバであり、18は蒸気通路である。ここで、溶液リザーバ17は、略円筒形のウイック14の内周面によって画成された略円柱形の空間部である。また、蒸気通路18は、発生器外管15の内周面とウイック14の外周面との間に形成された略環形の空間部である。かくして、溶液リザーバ17と蒸気通路18とは、外見上はウイック14によって仕切られている(隔離されている)が、微視的にはウイック14内の空隙部を介して連通している。
【0025】
以下、図1〜図4に示す冷却装置(吸収サイクル)の動作を説明する。
図4(a)、(b)に示すように、溶液リザーバ内溶液16(溶液リザーバ17内の冷媒溶液)は、ウイック14内を浸透し、毛管力によりウイック外周面近傍に保持される。ここで、図1に示すように高温発熱体5から発生器1に熱が入力されると、ウイック外周面近傍の冷媒溶液から冷媒蒸気が発生(蒸発)する。発生した冷媒蒸気は、蒸気通路18を通って図2に示す高圧蒸気流8となって凝縮器4に流入する。
【0026】
そして、凝縮器4では、冷媒蒸気は冷却源7により冷却されて凝縮し、高圧液流9(液冷媒)となって蒸発器3に流入する。ここで、図1に示すように、液冷媒は低温発熱体6から熱を奪って気化(蒸発)し、低圧蒸気流10(冷媒蒸気)となる。その際、蒸発器3は、冷凍効果により冷却源7(雰囲気温度ないしは外気温度)よりも低い温度になり、低温発熱体6を強力に冷却する。この後、低圧蒸気流10は、エゼクタ13を経由して吸収器2に流入する。吸収器2内では、冷媒溶液が冷却源7により冷却されてその温度が低下し、その結果冷媒溶液中における冷媒の許容溶解度が大きくなるので、低圧蒸気流10(冷媒蒸気)は冷媒溶液に吸収される(溶解する)。
【0027】
ところで一方、前記のように冷媒を放出して冷媒濃度が低下した発生器1(溶液リザーバ17)内の冷媒溶液は、その密度が高くなる。これに対して、吸収器2内の冷媒溶液は前記のとおり冷媒蒸気を吸収して冷媒濃度が上昇し、その密度が低くなっている。このように、発生器1の出口側では冷媒溶液の密度が相対的に高くなり、吸収器2の出口側では冷媒溶液の密度が相対的に低くなるので、かかる密度差により、発生器1(溶液リザーバ17)と吸収器2と両者1、2を連通させる連通通路とからなるループ状の管路では、図3中に示す位置関係において反時計回り方向に冷媒溶液が自然循環する。
【0028】
また、このループ状の管路において、冷媒溶液の上記循環流れ方向にみて吸収器2のすぐ上流には、吸収器2に向かって流れる低圧蒸気流10を駆動流体とし、吸収器2に向かって流れる高密度溶液流11を吸引流体とする前記のエゼクタ13が介設されている。このエゼクタ13により、発生器1(溶液リザーバ17)から流出する冷媒溶液すなわち高密度溶液11がエゼクタ13内に吸引された後、吸収器2に吐出(噴射)される。かくして、エゼクタ13によりループ状の管路内における冷媒溶液の上記循環が強力に促進・助勢される。このため、例えば図6に示すような従来型の吸収サイクルの場合のような溶液ポンプ等を設けなくても、発生器1と吸収器2との間で、冷媒溶液を有効に循環させることができる。
【0029】
このようにエゼクタ13を設置することにより、発生器1と吸収器2とを含む上記ループ状の管路における冷媒溶液の循環は、理想的には、次の式1に示す関係を満たすように起こる。
【数1】
ΔP+ΔP+ΔPt1+ΔPt2=(ρLG−ρLA)・g・Δh+(1/2)・ρ・(u −u )……式1
ΔP:発生器での圧力変化
ΔP:吸収器での圧力変化
ΔPt1:発生器から吸収器への通路での圧力変化
ΔPt2:吸収器から発生器への通路での圧力変化
ρLG :高密度溶液流の密度
ρLA :低密度溶液流の密度
g :重力加速度
Δh :発生器と吸収器の高低差
ρ :低圧蒸気流の密度
:低圧蒸気流のエゼクタに入る前の流速
:低圧蒸気流のエゼクタ内での流速
【0030】
上記のように構成された無動力式の冷却装置を用いることにより、発生器1の蒸気通路18と溶液リザーバ17とが圧力隔離され、両者間の圧力差の範囲内で液冷媒を減圧させることにより、例えばNH−HO系吸収サイクルでは、毛管直径1μmのウイック14を使用すれば、5℃程度の冷凍効果が得られる。また、HO−LiBr系吸収サイクルでは、毛管直径10μmのウイックを使用すれば、30℃程度の冷凍効果が得られる。このように、溶液ポンプ等を設けることなく、すなわち外部動力を使用することなく、冷媒を発生器1、凝縮器4、蒸発器3、吸収器2の順に輸送する(循環させる)ことができる。また、冷媒溶液を、発生器1と吸収器2との間で循環させることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の第1の態様にかかる冷却装置によれば、外部動力を消費することなく冷媒及び冷媒溶液を循環させることができ、かつ蒸発部で雰囲気温度(外部冷却源の温度)以下の低温を得ることができので、廃熱等を利用して低コストで要冷却物を雰囲気温度以下に冷却することができる。
【0032】
本発明の第2の態様にかかる冷却装置によれば、外部動力を消費することなく冷媒及び冷媒溶液を循環させることができ、高温発熱体及び低温発熱体を冷却することができるので、廃熱等を利用して低コストで高温及び低温の要冷却物を冷却することができる。なお、低温発熱体は、大気温度以下に冷却することができる。
【0033】
本発明の第1又は第2の態様にかかる冷却装置において、サイクル作動手段が、毛管力により吸収サイクル内に高圧部と低圧部とを生じさせ、両者間の圧力差を動力源とするようになっている場合は、毛管力により吸収サイクルを動作させることができるので、冷媒及び冷媒溶液を効果的に輸送し、あるいは循環させることができる。
【0034】
上記冷却装置において、サイクル作動手段が、冷媒溶液を、その密度差及び重力による自然対流と気化した冷媒によるエゼクタ効果とにより循環させるようになっている場合は、自然対流及びエゼクタ効果により冷媒溶液を有効に循環させることができるので、冷却効率を高めることができる。
【0035】
上記冷却装置において、高温部が発生器で構成され、低温部が吸収器で構成され、凝縮部が凝縮器で構成され、蒸発部が蒸発器で構成され、かつサイクル作動手段がエゼクタを備えている場合は、該冷却装置を簡素でコンパクトな構造とすることができるので、要冷却物の冷却コストを低減することができる。
【0036】
上記冷却装置において、発生器の溶液リザーバと蒸気通路とがウイックによって隔離され、かつ溶液リザーバと吸収器とが互いに連通している場合は、冷媒溶液の循環が容易となるので、冷却効率を高めることができる。
【0037】
本発明の第3の態様にかかる冷却方法によれば、外部動力を消費することなく冷媒及び冷媒溶液を循環させることができ、かつ蒸発部で雰囲気温度(外部冷却源の温度)以下の低温を得ることができので、廃熱等を利用して低コストで要冷却物を雰囲気温度以下に冷却することができる。
【0038】
本発明の第4の態様にかかる冷却方法によれば、外部動力を消費することなく冷媒及び冷媒溶液を循環させることができ、高温発熱体及び低温発熱体を冷却することができるので、廃熱等を利用して低コストで高温及び低温の要冷却物を冷却することができる。なお、低温発熱体は、大気温度以下に冷却することができる。
【0039】
本発明の第3又は第4の態様にかかる冷却方法において、毛管力により吸収サイクル内に高圧部と低圧部とを生じさせ、両者間の圧力差を動力源とするようにした場合は、毛管力により吸収サイクルを動作させることができるので、冷媒及び冷媒溶液を効果的に輸送し、あるいは循環させることができる。
【0040】
上記冷却方法において、冷媒溶液を、その密度差及び重力による自然対流と気化した冷媒によるエゼクタ効果とにより循環させるようにした場合は、自然対流及びエゼクタ効果により冷媒溶液を有効に循環させることができるので、冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す無動力式の冷却装置の全体構成図である。
【図2】図1に示す冷却装置における冷媒及び冷媒溶液の循環経路の概略を示す図である。
【図3】図1に示す冷却装置のより具体的な構造を示す立面模式図であり、冷媒及び冷媒溶液の循環方法をも示している。
【図4】(a)は、図3に示す冷却装置の発生器の側面断面図であり、(b)は、(a)に示す発生器の正面断面図である。
【図5】従来型のループヒートパイプの概略構成図である。
【図6】従来型の吸収サイクルの概略構成図である。
【符号の説明】
1 発生器、2 吸収器、3 蒸発器、4 凝縮器、5 高温発熱体、6 低温発熱体、7 冷却源、8 高圧蒸気流、9 高圧液流、10 低圧蒸気流、11 高密度溶液流、12 低密度溶液流、13 エゼクタ、14 ウイック、15 発生器外管、16 溶液リザーバ内溶液、17 溶液リザーバ、18 蒸気通路、19 従来型のループヒートパイプの蒸発器、20 従来型のループヒートパイプの凝縮器、21 蒸気管、22 液管、23 従来型のループヒートパイプのウイック、24 液リザーバ、25 溶液ポンプ、26 膨張弁、27 減圧弁。

Claims (4)

  1. 冷媒が吸収液に溶解している溶液を高温部と低温部との間で循環させる一方、上記高温部で上記溶液から蒸発した冷媒蒸気を凝縮部で凝縮させた後蒸発部で気化させることにより雰囲気温度以下の低温を発生させ、気化した冷媒を上記低温部で上記溶液に吸収させるようになっている吸収サイクルを備えた冷却装置において、
    毛管力により吸収サイクル内に高圧部と低圧部を生じさせ、上記溶液の密度差および重力による自然対流効果により上記溶液を循環させることを特徴とする冷却装置。
  2. 冷媒が吸収液に溶解している溶液を高温部と低温部との間で循環させる一方、上記高温部で上記溶液から蒸発した冷媒蒸気を凝縮部で凝縮させた後蒸発部で気化させることにより雰囲気温度以下の低温を発生させ、気化した冷媒を上記低温部で上記溶液に吸収させるようになっている吸収サイクルを備え冷却装置において、
    毛管力により吸収サイクル内に高圧部と低圧部を生じさせ、上記溶液の気化した冷媒によるエゼクタ効果により上記溶液を循環させることを特徴とする冷却装置。
  3. 冷媒が吸収液に溶解している溶液を高温部と低温部との間で循環させる一方、上記高温部で上記溶液から蒸発した冷媒蒸気を凝縮部で凝縮させた後、蒸発部で気化させることにより雰囲気温度以下の低温を発生させ、気化した冷媒を上記低温部で上記溶液に吸収させるようになっている吸収サイクルを備えた冷却装置において、
    毛管力により吸収サイクル内に高圧部と低圧部を生じさせ、上記溶液を、その密度差および重力による自然対流効果ならびに上記溶液の気化した冷媒によるエゼクタ効果により循環させることを特徴とする冷却装置。
  4. 冷媒が吸収液に溶解している溶液を高温部と低温部との間で循環させる一方、上記高温部で上記溶液から蒸発した冷媒蒸気を凝縮部で凝縮させた後蒸発部で気化させることにより雰囲気温度以下の低温を発生させ、気化した冷媒を上記低温部で上記溶液に吸収させるようになっている吸収サイクルを使用した冷却方法において、
    毛管力により吸収サイクル内に高圧部と低圧部を生じさせ、上記溶液を、その密度差および重力による自然対流効果または上記溶液の気化した冷媒によるエゼクタ効果により循環させることを特徴とする冷却方法。
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