JP3611562B2 - めっき治具 - Google Patents

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祥一 西尾
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板のように可撓性のある被めっき板を適正に把持する、めっき治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に知られているめっき治具は、上下に配置された横部材と左右に配置された縦部材により支持枠を構成し、この支持枠で可撓性のある被めっき板の周縁部を把持するようになっている。下記の特許文献1には、上記のような支持枠の中間部に縦部材を架橋した状態で長尺な可動材が配置され、この可動材の上下位置をプリント基板の大きさに応じて変えることにより、1つの支持枠で種々なサイズのプリント基板に対応している。また、特許文献2には、上記のような支持枠の4ヶ所に開閉式の把持ユニットが配置され、この把持ユニットでプリント基板の周縁を4点で把持することが開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−232725号公報
【特許文献2】
特開2000−355797号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1においては、プリント基板の大きさが種々変わっても可動材の位置を変えて対応することができるが、プリント基板に適正な張力を付与して、プリント基板の波うち変形や撓み変形等を矯正することができない。このような変形があると、プリント基板と電極とのあいだの距離がプリント基板全域にわたって均一にならないので、めっき層の厚さにばらつきが発生し、めっき品質を低下させる原因になっている。
【0005】
また、特許文献2においては、4点の把持箇所でプリント基板に張力を付与することは可能であるが、プリント基板の4点を局部的に牽引するものなので、プリント基板の全域にわたって均一に張力を作用させることができない。したがって、上記のようなプリント基板の波うち変形や撓み変形等を矯正することが不十分となり、しかも局部的に牽引するのでその牽引力の方向に沿った皺のような波うち変形が発生するおそれがあり、特許文献1の技術と同様に、めっき品質の低下をきたすことになる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、可撓性のある被めっき板に可及的に均一な緊張力を付与するとともに、良好なめっき電流の導通性や被めっき板の位置決めを行うめっき治具の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のめっき治具は、上下に配置された横部材と左右に配置された縦部材により支持枠を構成し、この支持枠で可撓性のある被めっき板の周縁部を把持するめっき治具であって、上記被めっき板の上縁を把持して被めっき板に牽引力を付与する可動把持部が上記縦部材間に架設された状態で配置され、上記可動把持部の両端部に被めっき板を緊張させる方向の付勢力が作用するように構成され、上記可動把持部の両端にガイド部材が結合され、上記ガイド部材の上下移動を許容するガイドロッドが設けられ、上記ガイドロッドの上端部は結合位置を任意に変えられる結合部を介して上記縦部材に結合され、上記ガイドロッドの下端部とガイド部材とのあいだに被めっき板に張力を付与する付勢部材が配置されていることを要旨とする。
【0008】
すなわち、本発明のめっき治具は、上記被めっき板の上縁を把持して被めっき板に牽引力を付与する可動把持部が上記縦部材間に架設された状態で配置され、上記可動把持部の両端部に被めっき板を緊張させる方向の付勢力が作用するように構成したものである。
【0009】
このため、上記縦部材間に架設された状態の可動把持部で被めっき板の上縁を把持し、この可動把持部の両端部に被めっき板を緊張させる付勢力が作用させてあるから、被めっき板の上縁の全幅に対して緊張力が作用し、被めっき板が完全な平板もしくはそれに近い状態になる。したがって、被めっき板とめっき槽内の電極との距離が正常に維持でき、めっき層の厚さを均一にして、良好なめっき品質がえられる。なお、被めっき板の下縁は下側の横部材に略全幅にわたって把持されているので、上記のように良好な被めっき板の緊張状態がえられる。
【0010】
また、本発明のめっき治具、上記可動把持部の両端にガイド部材が結合され、上記ガイド部材の上下移動を許容するガイドロッドが設けられ、上記ガイドロッドの上端部は結合位置を任意に変えられる結合部を介して上記縦部材に結合され、上記ガイドロッドの下端部とガイド部材とのあいだに被めっき板に張力を付与する付勢部材が配置されているため、上記被めっき板の大きさ、とくに上下方向の大きさに合わせて上記結合部の結合位置を任意に選定し、その上でガイド部材の一部に付勢部材の付勢力が作用するので、可動把持部はガイド部材を介して付勢力を受けた状態で支持される。したがって、可動把持部に把持された被めっき板に対する付勢力は、被めっき板の大きさに適応させて常に一定範囲の値となり、被めっき板に過大な張力を付与したりすることがなく、被めっき板の適正な緊張状態がえられる。
【0011】
すなわち、ガイドロッドはガイド部材の上下移動を許容する状態で配置され、しかもガイドロッドの下端部とガイド部材とのあいだに付勢部材が配置してあるから、被めっき板は、ガイドロッドの下端部に支持された付勢部材とガイド部材と可動把持部を経由して付勢部材で支持された状態になる。そして、ガイドロッドの下端部の位置が上記結合部によって被めっき板の大きさに応じて変更されるので、被めっき板の大きさに適合した付勢力がえられる。また、上記付勢部材を圧縮コイルスプリングで構成した場合には、ガイドロッドの下端部とガイド部材とのあいだに配置することが行ないやすくなり、構造をコンパクトにするのに有利である。
【0012】
本発明のめっき治具において、上記ガイドロッドに枢着された動作レバーの一部に押し下げ部が形成され、この押し下げ部に対応する受け面がガイド部材の一部に設けられ、上記押し下げ部は上記の枢着された箇所と付勢部材の付勢力方向とによって形成される死点を通過するように配置され、上記動作レバーの揺動により上記付勢部材を圧縮して可動把持部を被めっき板の把持に備えた待機位置とする場合には、縦部材に位置決めされたガイドロッドに動作レバーが枢着されているので、この枢着箇所は上下方向に移動不可とされている。したがって、動作レバーを揺動させると上記押し下げ部が受け面を押圧し、それによりガイド部材が付勢部材を圧縮させながら下降して行き、その後、押し下げ部が死点を通過すると可動把持部が略最下部で停止する。
【0013】
この停止位置が上記の待機位置であり、この位置で可動把持部に被めっき板を把持してから、再び動作レバーを上記揺動方向とは逆方向に揺動すると、押し下げ部が死点を通過する。この死点通過と同時にガイド部材が付勢部材で押し上げられ、被めっき板には付勢部材の付勢力が作用し被めっき板の緊張が図られる。この緊張状態は、付勢部材の付勢力とこの付勢力によって被めっき板に作用する反力とが均衡したところで維持される。このような均衡状態を、被めっき板にとって最適な付勢力のもとで成立させるために、付勢部材自体の付勢力をあらかじめ設定しておくことにより、被めっき板にとって最適な付勢力がえられ、適正な被めっき板の平板状態となる。
【0014】
本発明のめっき治具において、上記ガイドロッドは、上記ガイド部材に摺動可能な状態で貫通させてあり、ガイドロッドの端部に固定したばね座部材がガイド部材に対して摺動可能な状態で係合させてある場合には、上記ガイドロッドがガイド部材を貫通しているとともに、ガイドロッドの端部がばね座部材を介してガイド部材に摺動可能な状態で係合しているので、ガイド部材は上記付勢力を受けながら上記貫通箇所と上記係合箇所との2箇所でガイドロッドに対して可動性のある結合がなされる。したがって、ガイド部材の移動軌跡がガイドロッドにより確実に設定され、可動把持部の上下平行移動が正確になされて、被めっき板を正確に緊張させることができる。
【0015】
本発明のめっき治具において、上記可動把持部は、上記ガイド部材に一体的に結合され被めっき板へ通電する接点部と被めっき板の位置決め穴に嵌入する位置決めピンがもうけられているとともに金属製で絶縁被覆が施された導通バーと、この導通バーに沿って配置され被めっき板の上縁を把持する開閉式の絶縁材料製のクランプバーによって構成されている場合には、上記導通バーの接点部と位置決めピンに対して被めっき板を確実に押しつけることができるので、信頼性の高いめっき電流の導通が図られ、しかも被めっき板の可動把持部に対する位置決めが正確に実行される。
【0016】
上記接点部は通常表面が平面で形成され、そこに被めっき板の導電層が密着するのであるが、上記のようにクランプバーによって被めっき板が接点部に確実に押しつけられるので、接点部と被めっき板との密着箇所に電解液が浸入することがなく、良好な通電がなされる。また、金属製の導通バーは絶縁被覆が施されているので、導通バーの表面にめっきされることが回避でき、めっき層を剥ぎ取るような手間がかからない。また、金めっきのような高価なめっきの場合の節約にとっても有効である。さらに、クランプバーは、例えば合成樹脂のような絶縁材料で構成されているので、めっき電流が余分な部材に流れることが防止できる。
【0017】
さらに、接点部の配置態様として、接点部を、少なくとも被めっき板の両端部近傍と中央部近傍にめっき電流を通電するように複数配置しておくことにより、被めっき板への通電が可及的に均一な電流分布となるので、めっき層の厚さが均一化された良好なめっき品質がえられる。なお、必要に応じて、接点部の数を上記の事例よりもさらに増加することにより、電流分布をさらに向上させることができる。
【0018】
本発明のめっき治具において、上記クランプバーは、上記導通バーに固定された絶縁材料製の固定バーに枢着され、この固定バーに回動可能な状態で取付けられたクランプ部材がクランプバーを押圧するように構成した場合には、上記導通バーに対して固定状態にある固定バーにクランプバーが回動可能な状態で取付けられているので、クランプバーの回動部分の支持箇所が剛性の高い状態で支持され、クランプバーを強く導通バーに押し付けることが可能となり、良好な接点部の導通性や位置決めが実現する。そして、クランプ部材が固定バーに回動可能な状態で取付けられているので、クランプ部材からクランプバーに作用する押圧力をより強くするのに有効である。
【0019】
さらに、クランプ部材がクランプバーと固定バーを外側から挟みつけるようにしてクランプ動作をさせることができるので、クランプ部材は導通バーに直接接触することがない。したがって、導通バーにコーティングされている絶縁被覆に傷をつけたり剥離させたりすることが防止できる。とくに、絶縁性が良好で被覆しやすい材料であるフッ素系ゴムを採用した場合には、該ゴムの表面の滑り状態が良くないので、上記のようなクランプ部材と上記ゴムとの接触のない構成は、フッ素系ゴムの保護にとって好適である。
【0020】
本発明のめっき治具において、上記接点部と上記位置決めピンとは接近した状態で配置され、クランプ部材によるクランプ力がクランプバーを介して接点部と位置決めピンの両方に作用するように構成した場合には、上記接点部と被めっき板との接触関係が確実に成立し、通電不良が発生したりしない。同時に、上記のように接点部と被めっき板との密着箇所に電解液が浸入することもない。さらに、上記位置決めピンが被めっき板の位置決め穴に確実に嵌入した状態でクランプ力が作用するので、上記接点部の密着と相俟って被めっき板の位置ずれ等が確実に防止できる。
【0021】
なお、弾性シート材を上記接点部に対応させてクランプバーに取付けた場合には、クランプ力はクランプバーから弾性シート材を介して接点部に作用するので、接点部と被めっき板との密着性が一層良好なものとなる。
【0022】
本発明のめっき治具において、上記導通バーとクランプバーとのあいだおよび/または導通バーと固定バーとのあいだにはそれぞれ空隙が設けられている場合には、めっき治具をめっき槽から引き上げたときに、電解液(めっき液)が上記空隙からめっき槽内に流下乃至は滴下するので、毛細管現象等で電解液が可動把持部に滞留することがなく液切れが完全になされる。したがって、電解液がめっき槽外へ持ち出されることが最小化でき、金めっき等の高価な電解液の消費量を少なくすることができる。また、電解液が槽外へこぼれたりすることが少なくなるので、工場環境の改善にも有効である。さらに、めっき治具をめっき槽から引き上げるときには、上記空隙により流体抵抗が軽減されるので、めっき治具の昇降に要する負荷を軽減させるのに有効である。また、電解液中で被めっき板に付着している気泡を上記空隙を通過させて槽外へ放散させるのに好都合である。
【0023】
本発明のめっき治具において、上記クランプバーと固定バーとのあいだに上記縦部材が位置するようにクランプバーと固定バーの長さが設定されている場合には、可動把持部が被めっき板に直交する方向に移動することが、クランプバーが縦部材に当たったり固定バーが縦部材に当たったりすることにより、大幅に制約される。したがって、被めっき板が異常に傾斜したりすることがなく、被めっき板と電極との間隔が正常に維持でき、良好なめっき品質がえられる。また、被めっき板に直交する方向で見ためっき治具の寸法が、上記のような傾斜の制約で最小化できるので、めっき槽内にできるだけ多くのめっき治具を浸漬することができ、生産性向上にとって有効である。
【0024】
本発明のめっき治具において、上記被めっき板の下縁を把持する静止把持部が上記縦部材の下端部において縦部材間に架設された状態で配置され、上記静止把持部は、縦部材に一体的に結合されている金属製で絶縁被覆が施された静止導通バーと、この静止導通バーに設けられた被めっき板への通電用の接点部および被めっき板の位置決め穴に嵌入する位置決めピンと、上記静止導通バーに沿って配置され被めっき板の下縁を把持する開閉式の絶縁材料製のクランプバーと、静止導通バーに固定されているとともに上記クランプバーが枢着されている絶縁材料製の固定バーと、この固定バーに回動可能な状態で取付けられクランプバーを押圧するクランプ部材から構成されている場合には、上述の可動把持部における作用効果の大部分が静止把持部において実現する。
【0025】
すなわち、下側に配置された横部材の部位に、被めっき板に接触する通電用の接点機能部と、被めっき板の位置決め機能部と、被めっき板を押圧するクランプ機能部が設けられて、被めっき板の下縁における把持機能が良好に果たされているのである。
【0026】
具体的には、上記静止把持部に配置された静止導通バーに接点部と位置決めピンが設けられ、これに対してクランプバーがクランプ部材で押圧されることにより、被めっき板と接点部との良好な密着や被めっき板の確実な位置決めがえられる。固定バーに取付けられたクランプ部材でクランプバーと固定バーの両方を挟みつけるので、静止導通バーの絶縁被覆に支障のないクランプ部材の動作がえられる。なお、静止把持部においても静止導通バーとクランプバーおよび固定バーとのあいだに空隙を設けておくことにより、上記可動把持部における作用効果が同様にえられる。
【0027】
このように上述の可動把持部でえられる作用効果の多くの事項が、静止把持部においてもえられるのである。
【0028】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0029】
図1は、本発明のめっき治具の一実施の形態を示す。このめっき治具1は、上側の横部材である長尺な支持材2と、それに対応する下側の横部材である静止導通バー3と、左右に配置された縦部材4を溶接等の方法で枠状に接合してある。上記支持材2は、めっき槽の上位に配置された通電・ガイドレール(図示していない)に係合させられてめっき治具1が所定のところまで電解液中に浸漬するようになっている。
【0030】
上記縦部材4のあいだに架設された状態で可動把持部5が配置され、他方、この可動把持部5に対応する静止把持部6が縦部材4のあいだに架設された状態で配置されている。上記可動把持部5はめっき治具1の上側に寄った箇所に配置され、静止把持部6はめっき治具1の下端部に配置されている、可撓性のある被めっき板は、ここでは四角いプリント基板7であり、その上縁が可動把持部5に把持され、また、その下縁が静止把持部6に把持されるようになっている。
【0031】
上記可動把持部5は、主に、左右の縦部材4の内側間隔の寸法よりもわずかに短くされた導通バー8と、この導通バー8に沿って配置された細長い形状のクランプバー9と、上記導通バー8に固定されていてクランプバー9を回動可能に支持しているやはり細長い形状の固定バー10と、クランプバー9を導通バー8側に押しつけるクランプ部材11で構成されている。
【0032】
上記導通バー8,縦部材4,静止導通バー3等はステンレスや銅のような金属材料で構成され、その表面は絶縁材料の1つであるフッ素系ゴムでコーティングされている。このコーティング層は絶縁被覆12として図中に示してある。図3に示したように、導通バー8にはプリント基板7への通電を行なう接点部13が設けられその平坦な表面14にプリント基板7の導電層が密着するようになっている。また、位置決めピン15が導通バー8に固定してあり、プリント基板7の位置決め穴に嵌入するようになっている。
【0033】
ここで、図14および図15に示したプリント基板7について説明すると、これは、多数の配線が印刷された通常のものであり、絶縁基板16の表面に導電層17がめっき層として形成され、この導電層17が所要の形状、たとえば図14に示す可撓性のある回路線18としてエッチング等で形成されている。導電層17は絶縁材料製の被覆層19で覆われており、この被覆層19が除去された箇所に回路線18の端子板20が多数露出している。この実施の形態では、上記端子板20に金めっきを施して、酸化皮膜等による導電不良を防止するためのめっきである。上記位置決めピン15が嵌入する位置決め穴21がプリント基板7の端縁部にあけられている。また、上記接点部13が密着する箇所は、端縁近くの導電層17である。
【0034】
上記固定バー10は合成樹脂のような絶縁材料でつくられており、ボルト22により導通バー8に固定されている。そして、導通バー8と固定バー10とのあいだに空隙C1を設けるために、円筒状のカラー23が配置され、そこをボルト22が貫通している。固定バー10に一体化されている支持アーム24が導通バー8を超えてクランプバー9の方へ延ばしてあり、そこにクランプバー9に固定した枢軸25が回動自在に嵌入してある。この枢軸25はその軸線が導通バー8やクランプバー9等の長手方向に向けて配置してあり、それにより図6に2点鎖線で示すようなクランプバー9の開閉動作がなされる。なお、上記のように枢軸25を配置するために、クランプバー9の上側に切欠き部26が形成してある。
【0035】
導通バー8とクランプバー9とのあいだに空隙C2を設けるために、支持アーム24の長さを長く設定してあり、支持アーム24に支持されている枢軸25の位置によって空隙C2の大きさが設定される。また、図3に符号27で示されている部材は、固定バー10とクランプバー9との間隔を正常に保つためのストッパピンである。クランプバー9の内面には接点部13に対応する位置にゴムでできた弾性シート材28が接着してあり、また、位置決めピン15が嵌入する穴29がクランプバー9の内面にあけられている。
【0036】
図2および図3に示すように、接点部13と位置決めピン15とは接近させて対をなした状態で配置してあり、上記対は可動把持部5の長手方向で見て導通バー8の両端近傍(図2には右側だけが図示されている)と中央部の近傍に配置され、プリント基板7全域にわたってできるだけ均一に通電できるようにしてある。また、位置決めピン15も接点部13と同様に配置してあるので、プリント基板7を多数の箇所で位置決めをして、正確なプリント基板7の位置決め把持ができるようにしてある。
【0037】
図7に示すように上記クランプ部材11がステンレス板でつくられている。これは平板状のアーム部31とそれに連なるコ字型断面の挟持部32で構成され、アーム部31には枢軸の役割を果たすボルト軸33が溶接してある。また、挟持部32には指をかけるフランジ34が設けてある。図3の2点鎖線で示すように、ボルト軸33を固定バー10に貫通させ、ナット35で抜け止めがなされている。
【0038】
フランジ34を引き上げてクランプ部材11を起立させた姿勢のところまで回動すると、固定バー10とクランプバー9に対する挟みつけが解除され、図6の2点鎖線図示のように、クランプバー9が自由に開閉できるようになる。クランプバー9を開いてプリント基板7の位置決め穴21に位置決めピン15を嵌入し、クランプバー9を閉じてからクランプ部材11を回動させて挟持部32で固定バー10とクランプバー9を外側から挟みつけて、プリント基板7の把持が完了する。
【0039】
固定バー10とクランプバー9とのあいだに縦部材4が位置するように、クランプバー9と固定バー10との長さが設定してある。図3および図4に示すように、クランプバー9と固定バー10の端部を延ばしてそれぞれストッパ部36と37が形成され、このストッパ部36と37のあいだに縦部材4が配置されている。こうすることにより、可動把持部5がプリント基板7に直交する方向に移動することが、クランプバー9が縦部材4に当たったり固定バー10が縦部材4に当たったりすることにより、大幅に制約される。したがって、プリント基板7が異常に傾斜したりすることがなく、プリント基板7と槽内の電極(図示していない)との間隔が正常に維持でき、良好なめっき品質がえられる。また、プリント基板7に直交する方向で見ためっき治具1の寸法が、上記のような傾斜の制約で最小化できるので、めっき槽内にできるだけ多くのめっき治具1を浸漬することができ、生産性向上にとって有効である。
【0040】
上記可動把持部5の一部を形成する導通バー8の両端部には、ステンレス製のガイド部材38が溶接されている。このガイド部材38は、帯状のステンレス板を屈曲させた屈曲部39と真直ぐなステンレス製の支持脚40で構成され、屈曲部39と支持脚40は溶接されて一体化され、それぞれの端部が導通バー8に溶接されている。屈曲部39には、後述の動作レバーの押し下げ部に対応する受け面41が、水平方向の平板状の形態で形成されている。
【0041】
上記ガイド部材38の上下移動を許容するガイドロッド42が、上記受け面41の部分を摺動可能な状態で貫通している。上記ガイドロッド42の上端は結合位置を任意に変えられる結合部43を介して縦部材4に結合されている。結合部43の具体的な構造としてはいろいろなものが採用できるが、ここでは図8および図9に示すように、縦部材4に所定間隔であけられた多数の係合穴44に、ガイドロッド42の上端部に溶接された係合ピン45が嵌め込まれる形式のものを採用している。係合ピン45が係合穴44から勝手に抜けるのを防止するために、制動片46が設けられている。この制動片46は、短冊状の板材を略コ字型に屈曲させたもので、係合ピン45が貫通した状態でガイドロッド42に溶接されている。係合ピン45がいずれかの係合穴44に嵌入されると、それと同時に縦部材4が制動片46内へ相対的に入りこみ、縦部材4と制動片46のあいだの摩擦力で抜け止めがなされるようになっている。
【0042】
上記ガイドロッド42は、図10および図11に示すように、断面円形の細いステンレス製の線材47を細長いU字型に折り曲げたもので、いわゆる二股構造となっている。上記線材47が受け面41の部分の2箇所を貫通し、その下端部には平板状のばね座部材48が固定されている。このばね座部材48とガイド部材38の一部である受け面41の部分とのあいだに付勢部材である圧縮コイルスプリング49が介在してある。この圧縮コイルスプリング49は2本配置され、それぞれの内部を線材47が貫通している。
【0043】
上記ばね座部材48には切欠き部50が形成され、ここに屈曲部39が摺動可能な状態ではめ込んである。
【0044】
可動把持部5を上下に移動させる動作レバー51は、その揺動中心をなす枢軸52がガイドロッド42に配置されている。図10および図2に示すように、線材47を1回転させて環状の軸受部53を構成し、ここに上記枢軸52を貫通させて動作レバー51の枢着がなされている。これにより2本の線材のあいだに動作レバー51の一部が入りこむことができるようになっている。上記枢軸52から離れた位置に押し下げ部54が配置されている。この押し下げ部54にはローラ55が取付けられ、このローラ55が動作レバー51の揺動にともなって上記受け面41上を転動してガイド部材38を押し下げる。なお、図10は図13(C)のように動作レバー51が傾斜した状態を示している。
【0045】
上記圧縮コイルスプリング49を押し縮めながら動作レバー51を回動させて行き、図13(B)の状態になると、押し下げ部54は、枢軸52と圧縮コイルスプリング49によるばね力方向によって形成される死点を通過するように、枢軸52の位置が設定されている。
【0046】
図1に示す2点鎖線よりも下側の縦部材4,導通バー8,ガイド部材38,静止導通バー3には、上記のようなフッ素系ゴムの絶縁被覆12が全面的に施されている。
【0047】
図12は、めっき治具1の下側に配置された静止把持部6の断面図である。この部分の構造は、上述のガイド部材38,ガイドロッド42,圧縮コイルスプリング49,結合部43,動作レバー51等の可動把持部5を上下動させる機構部以外は同じ構造とされている。上記可動把持部5と同じ機能を果たす部材に同様の符号を図12に記載してある。なお、図3は可動把持部5の部分を示しているが、同図のガイド部材38を除去して縦部材4と導通バー8を結合すれば、静止把持部6の部分を平面的に見た構造として理解することができる。
【0048】
すなわち、上記プリント基板7の下縁を把持する静止把持部6が上記縦部材4の下端部において縦部材4間に架設された状態で配置され、上記静止把持部6は、縦部材4に一体的に結合されている金属製で絶縁被覆が施された静止導通バー3と、この静止導通バー3に設けられたプリント基板7への通電用の接点部13およびプリント基板7の位置決め穴21に嵌入する位置決めピン15と、上記静止導通バー3に沿って配置されプリント基板7の下縁を把持する開閉式の絶縁材料製のクランプバー9と、静止導通バー3に固定されているとともに上記クランプバー9が枢着されている絶縁材料製の固定バー10と、この固定バー10に回動可能な状態で取付けられクランプバー9を押圧するクランプ部材11から構成されている。なお、位置決めピン15は、図12には図示されていない。
【0049】
すなわち、下側に配置された横部材の部位に、プリント基板7に接触する通電用の接点機能部と、プリント基板7の位置決め機能部と、プリント基板7を押圧するクランプ機能部が設けられて、プリント基板7の下縁における把持機能が良好に果たされているのである。
【0050】
具体的には、上記静止把持部6に配置された静止導通バー3に接点部13と位置決めピン15が設けられ、これに対してクランプバー9がクランプ部材11で押圧されることにより、プリント基板7と接点部13との良好な密着やプリント基板7の確実な位置決めがえられる。固定バー10に取付けられたクランプ部材11でクランプバー9と固定バー10の両方を挟みつけるので、静止導通バー3の絶縁被覆12に支障のないクランプ部材11の動作がえられる。なお、静止把持部6においても静止導通バー3とクランプバー9および固定バー10とのあいだに空隙C1,C2を設けておくことにより、上記可動把持部5における作用効果が同様にえられる。
【0051】
図13(A)から(C)にしたがって本発明のめっき治具1の動作を説明する。
【0052】
(A)は、めっき治具1が不使用の状態であり、このときには動作レバー51は起立した位置におかれ、可動把持部5は最も上位の位置となっている。つぎにプリント基板7の大きさに応じて結合部43の位置を調整するのであるが、図示の場合はプリント基板7がこのめっき治具1にとってもっとも大きなサイズなので、結合部43は最上位の結合位置とされている。したがって、可動把持部5と静止把持部6との間隔は、L1のように最大距離となっている。
【0053】
つぎに、動作レバー51を(A)の位置から反時計方向に揺動させると、押し下げ部54がガイド部材38を押し込んで行き、上記死点を通過した位置で(B)の位置に停止する。この状態では、圧縮コイルスプリング49が最も縮められており、可動把持部5は最下位の位置すなわちプリント基板7の把持に備えた待機位置となる。したがって、可動把持部5と静止把持部6との間隔は、L2のように最小距離となっている。この状態でクランプバー9やクランプ部材11を操作して、プリント基板7を可動把持部5と静止把持部6の両方において把持すると、プリント基板7はある程度の波うち変形や撓み変形を呈する状態になる。
【0054】
その後、動作レバー51を時計方向に揺動して押し下げ部54が死点を通過すると、圧縮コイルスプリング49の張力がプリント基板7に作用して、プリント基板7の波うち変形や撓み変形が除去された緊張状態になる。すなわち、(C)の状態である。したがって、可動把持部5と静止把持部6との間隔は、L3のようにプリント基板7のサイズに応じた距離となっている。
【0055】
図13に示したプリント基板7よりも上下寸法の小さなプリント基板7をめっき治具1に把持するときには、このプリント基板7の上下寸法に合わせて結合部43の結合位置を下げ、このプリント基板7に適した距離L2を設定する。その後は、上記の手順で把持乃至はプリント基板7の緊張がなされる。上記のように結合部43を移動させることは、プリント基板7に付与される牽引長さを圧縮コイルスプリング49の弾性的な伸長範囲内に設定することを意味している。いわゆる可動把持部5の「引き代」を常に一定範囲内におさめているのである。
【0056】
以上に述べた実施の形態により、つぎのような作用効果がえられる。
【0057】
すなわち、上記縦部材4,4間に架設された状態の可動把持部5でプリント基板7の上縁を把持し、この可動把持部5の両端部にプリント基板7を緊張させるスプリング力が作用させてあるから、プリント基板7の上縁の全幅に対して緊張力が作用し、プリント基板7が完全な平板もしくはそれに近い状態になる。したがって、プリント基板7とめっき槽内の電極との距離が正常に維持でき、めっき層の厚さを均一にして、良好なめっき品質がえられる。
【0058】
上記プリント基板7の大きさ、とくに上下方向の大きさに合わせて上記結合部43の結合位置を任意に選定し、その上でガイド部材38の一部に圧縮コイルスプリング49のばね力が作用するので、可動把持部5はガイド部材38を介してばね力を受けた状態で支持される。したがって、可動把持部5に把持されたプリント基板7に対するばね力は、プリント基板7の大きさに適応させて常に一定の値となり、プリント基板7に過大な張力を付与したりすることがなく、プリント基板7の適正な緊張状態がえられる。
【0059】
すなわち、ガイドロッド42はガイド部材38の上下移動を許容する状態で配置され、しかもガイドロッド42の下端部とガイド部材38とのあいだに圧縮コイルスプリング49が配置してあるから、プリント基板7は、ガイドロッド42の下端部に支持された圧縮コイルスプリング49とガイド部材38と可動把持部5を経由して圧縮コイルスプリング49で支持された状態になる。そして、ガイドロッド42の下端部の位置が上記結合部43によってプリント基板7の大きさに応じて変更されるので、プリント基板7の大きさに適合したばね力がえられる。また、上記のように圧縮コイルスプリング49を用いた場合には、ガイドロッド42の下端部とガイド部材38とのあいだに配置することが行ないやすくなり、構造をコンパクトにするのに有利である。
【0060】
上記縦部材4に位置決めされたガイドロッド42に動作レバー51が枢着されているので、この枢着箇所は上下方向に移動不可とされている。したがって、動作レバー51を揺動させると上記押し下げ部54が受け面41を押圧し、それによりガイド部材38が圧縮コイルスプリング49を圧縮させながら下降して行き、その後、押し下げ部54が死点を通過すると可動把持部5が略最下部で停止する。
【0061】
この停止位置が上記の待機位置であり、この位置で可動把持部5にプリント基板7を把持してから、再び動作レバー51を上記揺動方向とは逆方向に揺動すると、押し下げ部54が死点を通過する。この死点通過と同時にガイド部材38が圧縮コイルスプリング49で押し上げられ、プリント基板7にはばね力が作用しプリント基板7の緊張が図られる。この緊張状態は、上記ばね力とこのばね力によってプリント基板7に作用する反力とが均衡したところで維持される。このような均衡状態を、プリント基板7にとって最適なばね力のもとで成立させるために、圧縮コイルスプリング49自体のばね常数をあらかじめ設定しておくことにより、プリント基板7にとって最適なばね力がえられ、適正なプリント基板7の平板状態となる。
【0062】
上記ガイドロッド42がガイド部材38を貫通しているとともに、ガイドロッド42の端部がばね座部材48を介してガイド部材38に摺動可能な状態で係合しているので、ガイド部材38は上記ばね力を受けながら上記貫通箇所と上記係合箇所との2箇所でガイドロッド42に対して可動性のある結合がなされる。したがって、ガイド部材38の移動軌跡がガイドロッド42により確実に設定され、可動把持部5の上下平行移動が正確になされて、プリント基板7を正確に緊張させることができる。
【0063】
上記導通バー8に対して固定状態にある固定バー10にクランプバー9が回動可能な状態で取付けられているので、クランプバー9の回動部分の支持箇所が剛性の高い状態で支持され、クランプバー9を強く導通バー8に押し付けることが可能となり、良好な接点部13の導通性や位置決めが実現する。そして、クランプ部材11が固定バー10に回動可能な状態で取付けられているので、クランプ部材11からクランプバー9に作用する押圧力をより強くするのに有効である。
【0064】
さらに、クランプ部材11がクランプバー9と固定バー10を外側から挟みつけるようにしてクランプ動作をさせることができるので、クランプ部材11は導通バー8に直接接触することがない。したがって、導通バー8にコーティングされている絶縁被覆12に傷をつけたり剥離させたりすることが防止できる。とくに、絶縁性が良好で被覆しやすい材料であるフッ素系ゴムを採用した場合には、該ゴムの表面の滑り状態が良くないので、上記のようなクランプ部材11と上記ゴムとの接触のない構成は、フッ素系ゴムの保護にとって好適である。
【0065】
上記接点部13とプリント基板7との接触関係が確実に成立し、通電不良が発生したりしない。同時に、上記のように接点部13とプリント基板7との密着箇所に電解液が浸入することもない。さらに、上記位置決めピン15がプリント基板7の位置決め穴21に確実に嵌入した状態でクランプ力が作用するので、上記接点部13の密着と相俟ってプリント基板7の位置ずれ等が確実に防止できる。
【0066】
なお、弾性シート材28を上記接点部13に対応させてクランプバー9に取付けた場合には、クランプ力はクランプバー9から弾性シート材28を介して接点部13に作用するので、接点部13とプリント基板7との密着性が一層良好なものとなる。
【0067】
上記導通バー8とクランプバー9とのあいだおよび/または導通バー8と固定バー10とのあいだにはそれぞれ空隙C1,C2が設けられているので、めっき治具1をめっき槽から引き上げたときに、電解液(めっき液)が上記空隙C1,C2からめっき槽内に流下乃至は滴下するので、毛細管現象等で電解液が可動把持部5に滞留することがなく液切れが完全になされる。したがって、電解液がめっき槽外へ持ち出されることが最小化でき、金めっき等の高価な電解液の消費量を少なくすることができる。また、電解液が槽外へこぼれたりすることが少なくなるので、工場環境の改善にも有効である。さらに、めっき治具1をめっき槽から引き上げるときには、上記空隙C1,C2により流体抵抗が軽減されるので、めっき治具1の昇降に要する負荷を軽減させるのに有効である。また、電解液中でプリント基板7に付着している気泡を上記空隙C1,C2を通過させて槽外へ放散させるのに好都合である。
【0068】
上記クランプバー9と固定バー10とのあいだに上記縦部材4が位置するようにクランプバー9と固定バー10の長さが設定されていることにより、可動把持部5がプリント基板7に直交する方向に移動することが、クランプバー9が縦部材4に当たったり固定バー10が縦部材4に当たったりすることにより、大幅に制約される。したがって、プリント基板7が異常に傾斜したりすることがなく、プリント基板7と電極との間隔が正常に維持でき、良好なめっき品質がえられる。また、プリント基板7に直交する方向で見ためっき治具1の寸法が、上記のような傾斜の制約で最小化できるので、めっき槽内にできるだけ多くのめっき治具1を浸漬することができ、生産性向上にとって有効である。
【0069】
めっき治具1の下側においては、下側に配置された横部材の部位に、プリント基板7に接触する通電用の接点機能部と、プリント基板7の位置決め機能部と、プリント基板7を押圧するクランプ機能部が設けられて、プリント基板7の下縁における把持機能が良好に果たされているのである。
【0070】
具体的には、上記静止把持部6に配置された静止導通バー3に接点部13と位置決めピン15が設けられ、これに対してクランプバー9がクランプ部材11で押圧されることにより、プリント基板7と接点部13との良好な密着やプリント基板7の確実な位置決めがえられる。固定バー10に取付けられたクランプ部材11でクランプバー9と固定バー10の両方を挟みつけるので、静止導通バー3の絶縁被覆12に支障のないクランプ部材11の動作がえられる。なお、静止把持部6においても静止導通バー3とクランプバー9および固定バー10とのあいだに空隙C1,C2を設けておくことにより、上記可動把持部5における作用効果が同様にえられる。
【0071】
左右に配置されたガイド部材38には、導通バー8の中央よりに結合した支持脚40が設けられている。このような構造により、めっき電流は屈曲部39から導通バー8の両端部に流されるのとともに、支持脚40から導通バー8の中央よりの部分に流されることとなり、これによって複数配置された接点部13への電流分布が可及的に均一化され、プリント基板7全域への電流密度が良好な状態になる。
【0072】
上記の実施の形態においては、可動把持部5の空隙C1,C2が可動把持部5を上下させる機構、例えば、ガイド部材38,ガイドロッド42,動作レバー51等との組合わせのもとで存在させてあるが、このような組合わせを止めて空隙C1,C2だけについての構成と作用効果を上述のようにえることができる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように、本発明のめっき治具によれば、上記縦部材間に架設された状態の可動把持部で被めっき板の上縁を把持し、この可動把持部の両端部に被めっき板を緊張させる付勢力が作用させてあるから、被めっき板の上縁の全幅に対して緊張力が作用し、被めっき板が完全な平板もしくはそれに近い状態になる。したがって、被めっき板とめっき槽内の電極との距離が正常に維持でき、めっき層の厚さを均一にして、良好なめっき品質がえられる。なお、被めっき板の下縁は下側の横部材に略全幅にわたって把持されているので、上記のように良好な被めっき板の緊張状態がえられる。
【0074】
上記被めっき板の大きさ、とくに上下方向の大きさに合わせて上記結合部の結合位置を任意に選定し、その上でガイド部材の一部に付勢部材の付勢力が作用するので、可動把持部はガイド部材を介して付勢力を受けた状態で支持される。したがって、可動把持部に把持された被めっき板に対する付勢力は、被めっき板の大きさに適応させて常に一定範囲の値となり、被めっき板に過大な張力を付与したりすることがなく、被めっき板の適正な緊張状態がえられる。
【0075】
すなわち、ガイドロッドはガイド部材の上下移動を許容する状態で配置され、しかもガイドロッドの下端部とガイド部材とのあいだに付勢部材が配置してあるから、被めっき板は、ガイドロッドの下端部に支持された付勢部材とガイド部材と可動把持部を経由して付勢部材で支持された状態になる。そして、ガイドロッドの下端部の位置が上記結合部によって被めっき板の大きさに応じて変更されるので、被めっき板の大きさに適合した付勢力がえられる。また、上記付勢部材を圧縮コイルスプリングで構成した場合には、ガイドロッドの下端部とガイド部材とのあいだに配置することが行ないやすくなり、構造をコンパクトにするのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のめっき治具を示す正面図である。
【図2】めっき治具の一部を拡大した正面図である。
【図3】可動把持部の一部を横断した断面図である。
【図4】可動把持部の一部を示す正面図である。
【図5】接点部の拡大断面図である。
【図6】図3の〔6〕−〔6〕断面図である。
【図7】クランプ部材の斜視図である。
【図8】結合部の正面図である。
【図9】図8の〔9〕−〔9〕断面図である。
【図10】ガイドロッドとガイド部材の部分を示す側面図である。
【図11】図10の〔11〕−〔11〕断面図である。
【図12】静止把持部の断面図である。
【図13】めっき治具の動作過程を示す正面図である。
【図14】プリント基板の平面図である。
【図15】図14の〔15〕−〔15〕断面図である。
【符号の説明】
1 めっき治具
2 支持材
3 静止導通バー
4 縦部材
5 可動把持部
6 静止把持部
7 プリント基板,被めっき板
8 導通バー
9 クランプバー
10 固定バー
11 クランプ部材
C1 空隙
C2 空隙
12 絶縁被覆
13 接点部
14 表面
15 位置決めピン
16 絶縁基板
17 導電層
18 回路線
19 被覆層
20 端子板
21 位置決め穴
22 ボルト
23 カラー
24 支持アーム
25 枢軸
26 切欠き部
27 ストッパピン
28 弾性シート材
29 穴
30 ナット
31 アーム部
32 挟持部
33 ボルト軸
34 フランジ
35 ナット
36 ストッパ部
37 ストッパ部
38 ガイド部材
39 屈曲部
40 支持脚
41 受け面
42 ガイドロッド
43 結合部
44 係合穴
45 係合ピン
46 制動片
47 線材
48 ばね座部材
49 圧縮コイルスプリング
50 切欠き部
51 動作レバー
52 枢軸
53 軸受部
54 押し下げ部
55 ローラ
L1,L2,L3 可動把持部と静止把持部との間隔距離

Claims (9)

  1. 上下に配置された横部材と左右に配置された縦部材により支持枠を構成し、この支持枠で可撓性のある被めっき板の周縁部を把持するめっき治具であって、上記被めっき板の上縁を把持して被めっき板に牽引力を付与する可動把持部が上記縦部材間に架設された状態で配置され、上記可動把持部の両端部に被めっき板を緊張させる方向の付勢力が作用するように構成され、上記可動把持部の両端にガイド部材が結合され、上記ガイド部材の上下移動を許容するガイドロッドが設けられ、上記ガイドロッドの上端部は結合位置を任意に変えられる結合部を介して上記縦部材に結合され、上記ガイドロッドの下端部とガイド部材とのあいだに被めっき板に張力を付与する付勢部材が配置されていることを特徴とするめっき治具。
  2. 上記ガイドロッドに枢着された動作レバーの一部に押し下げ部が形成され、この押し下げ部に対応する受け面がガイド部材の一部に設けられ、上記押し下げ部は上記の枢着された箇所と付勢部材の付勢力方向とによって形成される死点を通過するように配置され、上記動作レバーの揺動により上記付勢部材を圧縮して可動把持部を被めっき板の把持に備えた待機位置とする請求項記載のめっき治具。
  3. 上記ガイドロッドは、上記ガイド部材に摺動可能な状態で貫通させてあり、ガイドロッドの端部に固定したばね座部材がガイド部材に対して摺動可能な状態で係合させてある請求項または記載のめっき治具。
  4. 上記可動把持部は、上記ガイド部材に一体的に結合され被めっき板へ通電する接点部と被めっき板の位置決め穴に嵌入する位置決めピンがもうけられているとともに金属製で絶縁被覆が施された導通バーと、この導通バーに沿って配置され被めっき板の上縁を把持する開閉式の絶縁材料製のクランプバーによって構成されている請求項のいずれか一項に記載のめっき治具。
  5. 上記クランプバーは、上記導通バーに固定された絶縁材料製の固定バーに枢着され、この固定バーに回動可能な状態で取付けられたクランプ部材がクランプバーを押圧するように構成した請求項記載のめっき治具。
  6. 上記接点部と上記位置決めピンとは接近した状態で配置され、クランプ部材によるクランプ力がクランプバーを介して接点部と位置決めピンの両方に作用するように構成した請求項記載のめっき治具。
  7. 上記導通バーとクランプバーとのあいだおよび/または導通バーと固定バーとのあいだにはそれぞれ空隙が設けられている請求項のいずれか一項に記載のめっき治具。
  8. 上記クランプバーと固定バーとのあいだに上記縦部材が位置するようにクランプバーと固定バーの長さが設定されている請求項のいずれか一項に記載のめっき治具。
  9. 上記被めっき板の下縁を把持する静止把持部が上記縦部材の下端部において縦部材間に架設された状態で配置され、上記静止把持部は、縦部材に一体的に結合されている金属製で絶縁被覆が施された静止導通バーと、この静止導通バーに設けられた被めっき板への通電用の接点部および被めっき板の位置決め穴に嵌入する位置決めピンと、上記静止導通バーに沿って配置され被めっき板の下縁を把持する開閉式の絶縁材料製のクランプバーと、静止導通バーに固定されているとともに上記クランプバーが枢着されている絶縁材料製の固定バーと、この固定バーに回動可能な状態で取付けられクランプバーを押圧するクランプ部材から構成されている請求項1〜のいずれか一項に記載のめっき治具。
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