JP3611440B2 - ダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置 - Google Patents

ダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダクタイル鋳鉄管の離脱防止を図った管継手として図7に示す管継手1が知られている。
【0003】
この管継手1は、挿口突部3を形成した挿口2を、内面にロックリング5を嵌め込んだ受口4に挿入し、管継手1に抜け出し力が作用した場合、挿口突部3とロックリング5とにより抜け出しを防止するようにしたものである。
【0004】
ところで、一般に鋳鉄管、ダクタイル鋳鉄管は遠心力鋳造法によって成形されるから挿口突部3は鋳造時に一体成形するのは無理で、鋳造後にリング状部材を溶接により後付けすることによって挿口突部3を設けることが行なわれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、挿口突部3を溶接により後付けした場合、挿口突部の表面には溶接ビード6が残るので、これを研削して除去する必要がある。
【0006】
従来では、この溶接ビード6の除去には、図8に示すようにグラインダ7で溶接面を倣いながら人手により研削することが行なわれていた。
しかし、挿口突部3は受口4内面と挿口2外面の狭い隙間S(図7)に介挿されるので厚さに関する交差が、例えばプラス方向には0、マイナス方向には0.5mmといった値とされる。
【0007】
このため、研削作業には熟練を要し、誰でも容易に行なえない欠点があった。もっとも、コンピュータ制御を用いた加工ロボットなどで研削加工すれば上述の問題は一気に解決するが、挿口突部研削装置としては高価にすぎ、コスト的に実施が困難となる問題があった。
【0008】
この発明は上記問題点を解消することを目的としてなされたものであり、熟練等を必要とせず自動的な研削加工が可能であり、しかも高価なコンピュータ制御なども必要としないダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置を得ることを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、この発明のダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置は、溶接した挿口突部外周に接して自由回転するビード検出ロールと、該ビード検出ロールを軸支する軸の一端に同軸に固定されたロールであって、規格上の挿口突部高さに等しい量だけ前記ビード検出ロールより半径が大きく、前記ダクタイル鋳鉄管の挿口外周に接して従動回転可能な管外面検知ロールと、前記軸の他端に同軸に固定されたピニオンギヤと前記軸をダクタイル鋳鉄管の管壁に沿って管軸に平行にかつ径方向に接近可能に支持する基枠と、前記ピニオンギヤと噛み合い前記基枠に対し摺動移動可能に支持されたラックと該ラックと同期して前記ダクタイル鋳鉄管の径方向に変位可能とされたビード研削グラインダとからなることを特徴とするものである。
【0010】
この構成により溶接ビードの頂点にビード検出ロールを常時接触させて自由回転させ、この接触によりビード検出ロールの軸をダクタイル鋳鉄管の径方向に変位させ、挿口突部の高さが規格高さとなったとき、管外面検知ロールを管外面に接触させ、この管外面検知ロールの回転運動を検知してビード研削グラインダーを離隔させ自動的に挿口突部外面の研削を行なうのである。
【0011】
なお、管外面検知ロールの回転を検知してグラインダを接近離隔させる手段としては、ラックピニオンを用いた機械的手段と、リミットスイッチと電磁弁を用いた電気的手段とがある。
【0012】
【発明の実施の形態】
次にこの発明の実施の形態を説明する。
図1はこの発明の一実施の形態を示す正面断面図、図2は図1の左側面図、図3は図1のX−X線矢視断面図、図4は図1のY−Y線矢視断面図である。
【0013】
図1〜図4において、2は挿口、3は挿口2外面に溶接された挿口突部を示し、この溶接部には図示のように溶接ビード6が盛り上がっている。
そしてダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置8は、前記溶接により成形した挿口突部3外周に盛り上がる溶接ビード6の凹凸従って図の矢印で示すように上下に変位するビード検出ロール9と、該ビード検出ロール9を例えばロールベアリング9Aを介して自由回転可能に軸支する軸10の一端に、同軸に固定されたロール11であって、規格上の挿口突部高さhに等しい量だけ前記ビード検出ロール9より半径が大きく、前記ダクタイル鋳鉄管の挿口2外周に接して従動回転可能な管外面検知ロール11と、前記軸をダクタイル鋳鉄管の管壁に沿って管軸に平行にかつ径方向に接近可能に支持する基枠12と、管外面検知ロール11の回転を検知し該検知と同期して前記ダクタイル鋳鉄管の径方向に変位可能に前記基枠12に支持されたビード研削グラインダ13とから構成されている。
【0014】
なお、図中17は基台を示し、摺動溝17Aを介して基枠12を図の上下方向に摺動可能に支持している。
上記管外面検知ロール11の回転を検知し、該検知と同期してビード研削グラインダ13を変位させる装置は、管外面検知ロール11の軸10の他端に固定され前記管外面検知ロール11と同体となって回転するピニオンギヤ14と、該ピニオンギヤ14と噛み合い前記管の径方向外側に駆動可能とされたラック15とからなり、該ラック15にビード研削グラインダ13がアーム16を介して一体的に固定されて構成されている。
【0015】
なお、ラック15は基枠12に形成した摺動溝12Aにラック15の運動方向に摺動可能に支持されている。
次に上記装置の作動を説明する。
【0016】
図1に示すように矢印方向に回転するダクタイル鋳鉄管の挿口2に対し基枠12を基台17に沿って下降させ、挿口突部3のビード6に、ビード検出ロール9を接触させ、ビード研削グラインダ13を駆動させる。
【0017】
このとき、溶接ビード6の頂部は挿口突部3の規格高さより高いので、管外面検知ロール11は図1に示すようにビード検出ロール9との半径の差より挿口2外面2Aより浮き上がった状態となり、管外面検知ロール11は自由回転可能な状態となっている。
【0018】
従って、ラック15から伝わる自重によってピニオンギヤ14が空転しラック15は落下する。
その結果、ラック15と連動するビード研削グラインダ13は溶接ビード6上面に接し研削を行なう。
【0019】
ビード研削が進み、図5に示すように挿口突部3の高さが規格の高さとなれば、管外面検知ロール11がダクタイル鋳鉄管の挿口外面に接触し、相対回転するダクタイル鋳鉄管との摩擦により従動回転させられる。
【0020】
この回転に伴いピニオンギヤ14も同時に回転し、これと噛み合うラック15は図の上方へ押し上げられる。
なお、ラック15は図示のようにピニオンギヤ14で上方へ押し上げられた後、上方へ押し上げられたままピニオンギヤ14が空転するため落下してこない。
【0021】
この押し上げに伴ってビード研削グラインダ13も上方へ引き上げられ挿口突部3から離れ、研削が終了するのである。
なお、ビード検出ロール9の検出位置とビード研削グラインダ13の位置が周方向に離れているが、研削開始前の溶接ビード6の高さはほぼ均一であることと、ビード研削グラインダ13の研削切込み速度と挿口2の回転速度の調整により全周にわたりほぼ均一な状態で何周にもわたって研削するようにすれば、上記の離隔位置は殆ど問題とはならない。
【0022】
上記実施の形態として機械的な検知手段を説明したが、電気的に検知することもできる。
図6は電気的検知手段の実施の形態を示す側面図を示す。
【0023】
図6に示した研削装置8は、管外面検知ロール11の軸10にピニオンギヤ14を設け、基枠12にピニオンギヤと噛み合うラック15を摺動可能に設ける点は既述の構成と同じであるが、ラック15の移動圏にリミットスイッチ16を設け、この検知情報によって作動する電磁弁19を研削グラインダ13の支持アーム16に設けると共に、電磁弁19の磁励により作動する伸縮部16Aを支持アーム16に設けた点が異なる。
【0024】
即ち、研削終了と共に回転するピニオンギヤ14によってラック15が押し上げられ、ラック15が上限位置となった時リミットスイッチ16がオンとなり、電磁弁17が駆動され、ビード研削グラインダ13が上方へ引き上げられる構成としたものである。
【0025】
この場合ラック15にグラインダ13の重量が加わらないので装置が小型化出来て都合が良い。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置によれば、挿口突部の溶接ビードを研削する場合、ビード検出ロールを溶接ビード上に設置し、ダクタイル鋳鉄管を回転させると同時にビード研削グラインダを駆動すれば後は管外面検知ロールが作動するまで自動的に溶接ビードが研削され、高価な制御装置を用いることなく、しかも自動的なビードの研削作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置の実施の形態の正面断面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1のX−X線矢視断面図である。
【図4】図1のY−Y線矢視断面図である。
【図5】管外面検知ロール11の作動状態を示す正面断面図である。
【図6】他の実施の形態を示す断面図である。
【図7】挿口突部の説明断面図である。
【図8】従来の挿口突部の溶接ビードの研削状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 管継手
2 挿口
3 挿口突部
6 溶接ビード
8 ダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置
9 ビード検出ロール
10 軸
11 管外面検知ロール
12 基枠
13 ビード研削グラインダ
14 ピニオンギヤ
15 ラック
16 アーム
17 基台
18 リミットスイッチ
19 電磁弁

Claims (1)

  1. ダクタイル鋳鉄管の挿口突部外面に盛り上がる溶接ビードを研削する装置であって、溶接した前記挿口突部外周に接して自由回転するビード検出ロールと、該ビード検出ロールを軸支する軸の一端に同軸に固定されたロールであって、規格上の挿口突部高さに等しい量だけ前記ビード検出ロールより半径が大きく、前記ダクタイル鋳鉄管の挿口外周に接して従動回転可能な管外面検知ロールと、前記軸の他端に同軸に固定されたピニオンギヤと前記軸をダクタイル鋳鉄管の管壁に沿って管軸に平行にかつ径方向に接近可能に支持する基枠と、前記ピニオンギヤと噛み合い前記基枠に対し摺動移動可能に支持されたラックと該ラックと同期して前記ダクタイル鋳鉄管の径方向に変位可能とされたビード研削グラインダとからなることを特徴とするダクタイル鋳鉄管の挿口突部研削装置。
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