JP3611168B2 - 周期性信号の適応制御方法 - Google Patents

周期性信号の適応制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周期性信号の能動抑制技術の技術分野に属する。たとえば、周期性信号が振動であれば能動制振の技術分野に属し、周期性信号が雑音であればアクティヴ・ノイズ・サプレッションの技術分野に属するなど、周期性信号の種類によって応用範囲は広く拡がっている。
【0002】
【従来の技術】
(従来技術1:基本DXHSアルゴリズム)
先ず、基本DXHSアルゴリズム(従来技術1)においては、その観測点への影響を及ぼす周期性信号f(n)は、次の数16で表される一次以上の調和振動であるものとする。
【0003】
【数16】
Figure 0003611168
【0004】
ただし、a は第k次成分の振幅、φ は第k次成分の位相(1≦k≦K’、kおよびK’は自然数)であり、K’は高調波成分の最高次数を示す自然数、Tはサンプリング周期、ω は周期性信号f(n)の基本角振動数である。なお、*は真値を表す記号として使用されている。
一方、この周期性信号f(n)と相殺し合って上記観測点での誤差信号e(n)のレベルを抑制すべき適応信号y(n)は、次の数17(適応信号発生アルゴリズム)に従って適応制御システムにより生成される。
【0005】
【数17】
Figure 0003611168
【0006】
ただし、aは第k次成分の振幅、φは第k次成分の位相(1≦k≦K≦K’、Kも自然数)であり、Kは高調波成分の最高次数を示す自然数、Tはサンプリング周期、ωは周期性信号f(n)の基本角振動数である。
観測点では前述の周期性信号f(n)と適応信号y(n)とが合成され、誤差信号e(n)=f(n)+y(n)が得られる。誤差信号e(n)のレベルの評価には、最小二乗法を適用するために次の数18で定義される瞬時誤差関数(評価関数)I(n)が採用されている。
【0007】
【数18】
I(n)=e(n)={f(n)+y(n)}
ここで、評価関数I(n)を最小化するように適応更新が行われるべき適応係数ベクトルW(n)は、離散時刻nにおいて次の数19の如く定義されている。
【0008】
【数19】
W(n)=[・・a(n)・・,・・φ(n)・・]このとき、勾配ベクトル∇(n)=∂I(n)/∂W(n)は、次の数20の如く展開される。
【0009】
【数20】
Figure 0003611168
【0010】
したがって、適正なステップサイズパラメータμ,μφを設定して最小二乗法を適用すると、適応係数ベクトルW(n)は、次の数21(適応係数ベクトル更新アルゴリズム)に従って更新される。
【0011】
【数21】
Figure 0003611168
【0012】
ここでμおよびμφは、それぞれ振幅成分および位相成分に関する適応処理のステップサイズパラメータである。
しかしながら、この基本DXHSアルゴリズムを実際の物理システムへの適用する際には、第k調波のそれぞれについて伝達系の位相遅れ成分を考慮する必要がある。そこで、適正な値の位相調整パラメータψを導入して上記数21を次の数22のように変更し、基本DXHSアルゴリズム(従来技術1)の適応係数ベクトル更新アルゴリズムとする。
【0013】
【数22】
Figure 0003611168
【0014】
(従来技術2:拡張DXHSアルゴリズム)
次に、以上の基本DXHSアルゴリズムに伝達系の遅延成分(位相遅れ)ψの推定機能を加えたもの想定し、これを拡張DXHSアルゴリズム(従来技術2)と本文中では呼ぶことにする。
拡張DXHSアルゴリズムでは、周期性信号f(n)の各次成分に伝達系の位相遅れψ が加わり、周期性信号f(n)は次の数23のように定義される。
【0015】
【数23】
Figure 0003611168
【0016】
同様に、適応信号y(n)にもその各次成分に伝達系の位相遅れψが加わり、適応信号y(n)は次の数23(適応信号発生アルゴリズム)に従って生成される。
【0017】
【数24】
Figure 0003611168
【0018】
誤差のレベルに関する評価関数I(n)は、同様に次の数25で定義される。
【0019】
【数25】
I(n) = e(n) = {f(n)+y(n)}
ここで、評価関数I(n)を最小化するように適応的に更新されるべき適応係数ベクトルW(n)は、離散時刻nにおいて次の数26の如く定義されている。
【0020】
【数26】
W(n)=[・・a(n)・・,・・φ(n)・・,・・ψ(n)・・]
すなわち、適応係数ベクトルW(n)には、各次成分に伝達系の位相遅れの推定値ψ(n)が加えられている点が、前述の従来技術1と異なっている。
このとき、勾配ベクトル∇(n)=∂I(n)/∂W(n)は、次の数27の如く展開される。
【0021】
【数27】
Figure 0003611168
【0022】
ところが、上記数27から明らかなように、各次数の調波成分において位相成分φ(n)と遅延成分ψ(n)とが同次元であるゆえに更新式が互いに同一になってしまい、遅延成分ψ(n)の推定に不都合が生じる。そこで、以下に説明する直交型拡張DXHSアルゴリズムへ移行してこの不都合を回避する。
(従来技術2’:直交型拡張DXHSアルゴリズム)
その影響を抑制すべき周期性信号f(n)を上記数16から直交型に展開すると、周期性信号f(n)は次の数28で定式化される。
【0023】
【数28】
Figure 0003611168
【0024】
ここで、第k次成分の振幅はa (n)={α (n)+β (n)}1/2、第k次成分の位相はφ =tan−1{β (n)/α (n)}であり、K’は高調波の最高次数(1≦k≦K’、kおよびK’は自然数)、Tはサンプリング周期、ω は周期性信号f(n)の基本角振動数である。
同様に、適応信号y(n)を上記数17から直交型に展開すると、適応信号y(n)は次の数29で表記される。
【0025】
【数29】
Figure 0003611168
【0026】
ここで、第k次成分の振幅はa(n)={α (n)+β (n)}1/2、第k次成第k次成分の位相はφ=tan−1{β(n)/α(n)}であり、Kは高調波の最高次数(1≦k≦K≦K’、Kも自然数)、Tはサンプリング周期、ωは適応信号y(n)の基本角振動数である。
誤差の評価には、次の数30で定義されているように、前述の各従来技術と同様に瞬時誤差の二乗である評価関数I(n)が用いられる。
【0027】
【数30】
I(n)=e(n)={f(n)+y(n)}
この評価関数I(n)が最小二乗法で最小化されるように適応更新を行うものとし、離散時刻nにおける適応係数ベクトルW(n)を次の数31の如く定義する。
【0028】
【数31】
W(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・]
すると、最小二乗法に用いる勾配ベクトル∇(n)=∂I(n)/∂W(n)は、次の数32の如くに展開される。
【0029】
【数32】
Figure 0003611168
【0030】
したがって、適正なステップサイズパラメータμ,μを設定して最小二乗法を適用すると、適応係数ベクトルW(n)は、次の数33(適応係数ベクトル更新アルゴリズム)に従って更新される。
【0031】
【数33】
Figure 0003611168
【0032】
このように、周期性信号f(n)および適応信号y(n)の正弦波を直交化表現に改めることによって、振幅a(n)、位相φ(n)および遅延成分(位相遅れ)ψ(n)を、それぞれ別の更新式で適応更新していることが可能になる。
この直交型拡張DXHSアルゴリズム(従来技術2’)を適応制御系として用いたシステムでは、図9に示すように、周期性信号源21から観測点24に周期性信号f(n)が加えられる。この周期性信号f(n)に対し、適応信号発生アルゴリズム11から適応信号y(n)が観測点24加えられて、周期性信号f(n)の影響が相殺され、誤差信号e(n)のレベルが抑制される。周期性信号f(n)を相殺しうる適応信号y(n)を発生させるために、適応信号発生アルゴリズム11の変数α(n),β(n),ψ(n)が、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12で誤差信号e(n)に基づき適応的に更新される。
【0033】
すなわち、適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・]の各要素が上記数33に従って更新され、遅延要素(位相遅れ)ψ(n)も含めて適応的に適応信号y(n)が調整される。この際、周期性信号f(n)の基本角振動数ω の計測値ωは、周期性信号源21に付設された角振動数計測手段22により計測され、適応信号発生アルゴリズム11および適応係数ベクトル更新アルゴリズム12に供給されるものとする。
【0034】
具体的な数値試験例として、周波数60HzでK’=K=1(基本振動のみ、すなわちk=1のみ)の周期性信号f(n)の観測点24への影響を抑制する数値シミュレーションを行った。その際の設定条件は、サンプリング周波数が3.6kHzであり、α(n)およびβ(n)のステップサイズパラメータはいずれもμ=0.005、位相遅れψ(n)のステップサイズパラメータはμ=1.7×10−9であった。
【0035】
その結果、図10に示すように、位相遅れψ(n)の初期値に真値を設定した場合には、約2000回のイタレーションで誤差信号e(n)はほぼ完全に収束した。一方、上記真値から90°の誤差を与えて位相遅れψ(n)の初期値を設定した場合には、約3000回のイタレーションで誤差信号e(n)はほぼ完全に収束した。すなわち、いずれの場合にも一秒以内に誤差信号e(n)の低減レベルは70dB程度に達しており、この直交型拡張DXHSアルゴリズム(従来技術2’)は、良好な遅延(位相遅れ)ψ(n)の推定機能を有することが明示された。
【0036】
なお、以上の各従来技術に関しては、特開平8−44377号公報および特開平8−272378号公報などに詳細が公開されている。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】
前述の基本DXHSアルゴリズム(従来技術1)では、その適応係数ベクトル更新アルゴリズム(数21)で明らかなように、各次調波成分の位相φ(n)が直接適応係数ベクトルW(n)に含まれて更新されている。それゆえ、周期性信号f(n)の基本角振動数の真値ω に対して、その計測値ωが計測誤差を含んでいる場合にも、位相φ(n)を常時変化させることによりある程度のロバスト性を有している。すなわち、図11に示すように、誤差信号e(n)の低減レベルが70dBから20dB程度に劣化するには、周波数の真値60Hzに対し2〜3Hzもの計測誤差を要する。
【0038】
一方、前述のように、直交型拡張DXHSアルゴリズム(従来技術2’)は、良好な遅延(位相遅れ)の推定機能を有することが明らかになっている。しかしながら、その適応係数ベクトル更新アルゴリズム(数33)で明らかなように、各次調波成分の位相φ(n)が適応係数ベクトルW(n)に直接的には含まれていない。それゆえ、周期性信号f(n)の基本角振動数の真値ω に対して、その計測値ωが計測誤差を含んでいる場合には、適応性能が劇的に低下するという不都合が起こりうる。すなわち、図12に示すように、60Hzに対しほんの0.2Hz程度の計測誤差で、誤差信号e(n)の低減レベルが70dBから20dB程度に劣化し、周期性信号f(n)の基本角振動数の計測誤差に対するロバスト性が欠落していることが示されている。
【0039】
要約すると、直交型拡張DXHSアルゴリズム(従来技術2’)は、伝達系の位相遅れに対してはロバスト性を保持している反面、周期性信号f(n)の基本角振動数ω の変動やその計測誤差に対してはロバスト性を欠いている。それゆえ、従来技術1と従来技術2’とには一長一短があるので、両従来技術は、伝達系の位相遅れの変動および測定誤差と、周期性信号f(n)の基本角振動数ω の変動やその計測誤差との両方に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法ではない。
【0040】
そこで本発明は、先ず、周期性信号f(n)のうち抑制すべき成分の各角振動数ω または基本振動数ω の変動およびその計測誤差に対してロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することを、第1の解決すべき課題とする。
次に本発明は、伝達系の位相遅れの変動および測定誤差と、周期性信号f(n)のうち抑制すべき成分の各振動数ω または基本振動数ω の変動およびその計測誤差との両方に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することを第2の解決すべき課題とする。
【0041】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題を解決するために、発明者は以下の手段を発明した。
(第1手段)
本発明の第1手段は、請求項1記載の周期性信号の適応制御方法である。
本手段では、周期性信号f(n)のうち抑制すべき成分に複数の角振動数ω の成分がある場合には、同成分は必ずしも基本振動(ω )とその高調波成分(kω )の関係にあることを要しない。すなわち、本手段での周期性信号f(n)のうち抑制すべき成分の各角振動数ω は、互いに独立に設定されうるものであるとする。
【0042】
さて本手段では、離散時間における時刻nにおいて、適応信号発生アルゴリズムが適応信号y(n)を次の数34に従って発生させる。この際、伝達系の遅延(位相遅れ)ψは、予め周波数を掃引しながら伝達系に正弦波を入力して行うスウィープテスト等により計測されている値が、テーブルデータ等から所定の周期毎に与えられるものとする。
【0043】
【数34】
Figure 0003611168
【0044】
この適応信号y(n)は、観測点で周期性信号f(n)と合成されて周期性信号f(n)と相殺し合い、両者の合成である誤差信号e(n)=f(n)+y(n)のレベルを低減するように調整されなければならない。そこで、適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)および角振動数ω(n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ω(n)・・]を定義する。そして、適応係数ベクトル更新アルゴリズムは、最小二乗法に基づく次の数35に従って上記適応係数ベクトルW(n)の各要素を更新する。
【0045】
【数35】
Figure 0003611168
【0046】
ここでψは、別途行われたスウィープテストの計測データに基づいて予め用意されたテーブルデータ等から、基本角振動数の推定値ωに応じて上記更新式(数35)に与えられるものとする。
そして本手段では、更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)および角振動数ω(n)が更新される。すると、適応係数ベクトルW(n)の要素に各角振動数ω(n)が含まれており、各角振動数ω(n)に関する推定ないし適応的な調整が行われるので、周期性信号f(n)の各角振動数ω(n)の変動に対してロバスト性が発揮される。一方、各角振動数ω(n)の計測誤差に関しては、そもそも直接的な計測が行われないので完全に影響を受けることがなく、ロバストである。
【0047】
したがって本手段によれば、周期性信号f(n)の特定成分の角振動数ω の変動およびその計測誤差に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。
(第2手段)
本発明の第2手段は、請求項2記載の周期性信号の適応制御方法である。
【0048】
前述の第1手段では、周期性信号f(n)のうち抑制すべき成分は、各角振動数ω が互いに独立に設定されうるものであった。しかし本手段では、周期性信号f(n)のうち抑制すべき成分は、角振動数がkωと表記されるK次の調和振動(基本振動のみ、または基本振動およびその高調波)である。
それゆえ本手段では、適応信号y(n)も角振動数kω(n)のK次の調和振動であって、次の数36で表記される適応信号発生アルゴリズムに従って生成される。
【0049】
【数36】
Figure 0003611168
【0050】
一方、適応信号y(n)の各変数を成分とする適応係数ベクトルW(n)は、適応信号y(n)の全ての次数の角振動数kωを推定すべき要素とするのではなく、適応信号y(n)の基本角振動数ω(n)だけを取り上げている。すなわち、適応係数ベクトルW(n)は、適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)および推定基本角振動数ω(n)を成分とし、W(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,ω(n)]と定義される。この適応係数ベクトルW(n)は、最小二乗法に基づき、適応係数ベクトル更新アルゴリズムである次の数37に従って更新される。
【0051】
【数37】
Figure 0003611168
【0052】
ここでψは、上記第1手段と同様に、予め用意されたテーブルデータ等から基本角振動数の推定値ωに応じて上記更新式(数37)に与えられるものとする。
上記更新式(数37)においては、全ての周波数成分が動員されて基本角振動数ω(n)が推定されるところに特徴がある。それゆえ、周期性信号f(n)の基本角振動数ω に変動があった場合にも、基本角振動数ω(n)は速やかにかつ正確に周期性信号f(n)の基本角振動数ω に収束する。また、本手段では前述の第1手段と同様に、周期性信号f(n)の基本角振動数ω の直接的な計測を行っていないので、その計測誤差に関しては完全にロバストである。
【0053】
本手段でも、更新された適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)および推定基本角振動数ω(n)が更新される。その結果、上記数36の適応信号発生アルゴリズムは、周期性信号f(n)と正確に相殺して誤差信号e(n)を低レベルに抑制する適応信号y(n)を発生するに至る。
【0054】
したがって本手段によれば、調和振動である周期性信号f(n)のk次までの特定成分の基本角振動数ω の変動およびその計測誤差に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。
(第3手段)
本発明の第3手段は、請求項3記載の周期性信号の適応制御方法である。
【0055】
本手段では、適応信号発生アルゴリズムは前述の第2手段の適応信号発生アルゴリズムと同一であり、適応係数ベクトルW(n)も第2手段と共通であって、適応係数ベクトル更新アルゴリズムだけが前述の第2手段と異なっている。しかも、次の数38に示す適応係数ベクトル更新アルゴリズムの各要素の更新式のうち、α(n)およびβ(n)に関する部分は第2手段と共通であり、推定基本角振動数ω(n)の更新に関する一要素の分だけが異なっている。
【0056】
【数38】
Figure 0003611168
【0057】
すなわち、上記数38に明示されているように、推定基本角振動数ω(n)の更新に使用される成分は、誤差信号e(n)と適応信号y(n)の一次振動成分との組み合わせだけである。それゆえ、本手段では適応信号y(n)の最高次数Kが大きい場合にも、推定基本角振動数ω(n)の更新式の計算量が増えることはないので、計算量の節減になり、限定された能力のプロセッサでの制御計算の実施が容易になる。
【0058】
したがって本手段によれば、前述の第2手段に準ずる効果に加えて、適応制御演算機の計算量の節減になるという効果もある。
(第4手段)
本発明の第4手段は、請求項4記載の周期性信号の適応制御方法である。
本手段では、適応係数ベクトルW(n)がW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・,・・ω(n)・・]と定義されている。すなわち、本手段の適応係数ベクトルW(n)は、前述の第1手段の適応係数ベクトルW(n)に比べて、遅延成分(伝達系の位相遅れ)ψ(n)が適応的に更新されるべき変数に新たに加わっている。
【0059】
それゆえ、適応係数ベクトル更新アルゴリズムは、α(n),β(n),ψ(n),ω(n)の四種類の要素を更新することになる。ところが、勾配ベクトル∇(n)の各要素うち、ψ(n)に関する要素とω(n)に関する要素とが同一になってしまうので、ψ(n)に関する更新式とω(n)に関する更新式とが本質的に同一になってしまう。これではたいていの場合、ψ(n)に関する更新式とω(n)に関する更新式とが互いに干渉し合って適応的な調整が適正に行われず、誤差信号e(n)は低レベルに収束することが難しくなる。
【0060】
そこで本手段では、適応係数ベクトル更新アルゴリズムを、次に示すように、数39で表記される第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと、数40で表記される第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとに分けた。
【0061】
【数39】
Figure 0003611168
【0062】
【数40】
Figure 0003611168
【0063】
すなわち、上記数39で表記される第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムでは、ψ(n)とω(n)とのうちψ(n)のみが更新され、ω(n)の成分は全く更新されずに値が保存される。逆に、上記数40で表記される第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムでは、ω(n)のみが更新され、ψ(n)の成分は全く更新されずに値が保存される。
【0064】
そして、適応係数ベクトルW(n)の各成分は、第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとがそれぞれ所定回数ずつ交互に繰り返されて更新されていく。こうすれば、ψ(n)に関する更新式とω(n)に関する更新式とが所定回数毎に交代で行われるので、互いに干渉することがなくなり、適応係数ベクトルW(n)の全ての要素は適正な値へと収束していく。
【0065】
その結果、適応信号発生アルゴリズムである次の数41に従って演算される適応信号y(n)は、観測点において周期性信号f(n)と逆位相で同振幅となり、周期性信号f(n)と相殺するに至る。この際、もちろん適応信号y(n)の各次数の角振動数ω(n)は、周期性信号f(n)の各次数の角振動数ω (n)に収束している。
【0066】
【数41】
Figure 0003611168
【0067】
したがって本手段によれば、上記数41に従って生成される適応信号y(n)のJ次までの各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)、遅延成分ψ(n)および角振動数ω(n)が適正に更新される。その結果、本手段によれば、伝達系の位相遅れの変動および測定誤差と、周期性信号f(n)のJ次までの特定成分の振動数ω の変動およびその計測誤差との両方に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。
【0068】
(第5手段)
本発明の第5手段は、請求項5記載の周期性信号の適応制御方法である。
本手段では、第1手段に対する第2手段と同様に、前述の第4手段において必ずしも調和関数ではなかった周期性信号f(n)および適応信号y(n)を調和関数であるものとしている。そして、J個の角振動数ωを推定する代わりに、周期性信号f(n)の基本角振動数ω の推定値として、適応信号y(n)の基本角振動数ω(n)の推定が行われる。
【0069】
すなわち、適応係数ベクトルW(n)は、W(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・,ω(n)]と定義されており、推定すべき角振動数の成分は基本角振動数ω(n)ただ一つである。それゆえ、適応係数ベクトル更新アルゴリズムは、次の数42で表記される第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと、数43で表記される第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとに分かれており、両者が所定回数ずつ交互に演算される。
【0070】
【数42】
Figure 0003611168
【0071】
【数43】
Figure 0003611168
【0072】
上記更新式のうち、数42においては、各次数の位相遅れψ(n)が更新され、数43においては、全ての周波数成分が動員されて基本角振動数ω(n)が推定される。それゆえ、伝達系の位相遅れ特性が変動しても、上記数42の更新式で適応的に各次数の位相遅れψ(n)が調整され、適正な値に収束していく。また、周期性信号f(n)の基本角振動数ω に変動があった場合にも、適応信号y(n)の推定基本角振動数ω(n)は、速やかにかつ正確に周期性信号f(n)の基本角振動数ω に収束する。
【0073】
なお、本手段では前述の第3手段と同様に、伝達系の位相遅れ特性に関する予備計測等を必要とせず、適応的に各次数の位相遅れψ(n)が調整されるので、伝達系の位相遅れ特性の変動や計測誤差に対してロバストである。同様に、基本角振動数ω(n)の推定が全ての周波数成分が動員されて行われているので、基本角振動数ω(n)の変動に対してロバスト性を有する。また、本手段では前述の第3手段と同様に、周期性信号f(n)の基本角振動数ω の計測を行っていないので、その計測誤差に関しては完全にロバストである。
【0074】
本手段でも、更新された適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)のK次までの各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)、位相遅れψ(n)および推定基本角振動数ω(n)が更新される。その結果、次の数44で定義される適応信号発生アルゴリズムは、周期性信号f(n)のk次までの特定成分と正確に相殺して誤差信号e(n)を低レベルに抑制する適応信号y(n)を発生するに至る。
【0075】
【数44】
Figure 0003611168
【0076】
したがって本手段によれば、周期性信号f(n)が調和関数である場合に、伝達系の位相遅れの変動および測定誤差と、周期性信号f(n)の振動数ω の変動およびその計測誤差との両方に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。
(第6手段)
本発明の第6手段は、請求項6記載の周期性信号の適応制御方法である。
【0077】
本手段では、前述の第2手段に対する第3手段と同様に、第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムにおいて、適応信号y(n)の基本角振動数ω(n)の更新式が基本振動成分に基づいて行われる点が、前述の第5手段と異なっている。すなわち、適応係数ベクトルW(n)は、第5手段と同様に、W(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・,ω(n)]と定義されている。適応係数ベクトル更新アルゴリズムは、数45に示す第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと、数46に示す第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとに分かれており、交互に所定回数ずつ演算される。
【0078】
【数45】
Figure 0003611168
【0079】
【数46】
Figure 0003611168
【0080】
本手段でも、更新された適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)、位相遅れψ(n)および推定基本角振動数ω(n)が更新される。その結果、前述の第5手段と同一の適応信号発生アルゴリズム(上記数44)は、周期性信号f(n)のk次までの特性成分と正確に相殺して誤差信号e(n)を低レベルに抑制する適応信号y(n)を発生するに至る。
【0081】
したがって本手段によれば、前述の第5手段に準ずる効果に加えて、第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム(上記数46)での演算量が減るので、演算負荷が低減されるという効果がある。
(効果のまとめ)
以上をまとめると、第1手段から第3手段のうちいずれによっても前述の解決すべき課題のうち第1の課題が達成され、第4手段から第6手段のうちいずれによっても前述の解決すべき課題のうち第2の課題が達成される。
【0082】
すなわち、第1手段ないし第3手段によれば、周期性信号f(n)の角振動数ω または基本角振動数ω の変動およびその計測誤差に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。一方、第4手段ないし第6手段によれば、伝達系の位相遅れの変動および測定誤差と、周期性信号f(n)の振動数ω または基本角振動数ω の変動およびその計測誤差との両方に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。
【0083】
【発明の実施の形態および実施例】
本発明の周期性信号の適応制御方法の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
[実施例1]
(実施例1の導出)
本発明の実施例1としての周期性信号の適応制御方法は、以下のようにして理論的に導出される。
【0084】
先ず、周期性信号f(n)は、互いに任意の関係にある各角振動数ω (1≦j≦J’、jおよびJ’は自然数)の正弦波成分からなるものとし、直交表現で次の数47のように表記されるものとする。
【0085】
【数47】
Figure 0003611168
【0086】
ただし、上記正弦波成分の第j次成分の振幅はa =(α +β 1/2 、第j次成分の位相はφ =tan−1(β /α )であり、J’は角振動数ω の数(1≦j≦J’)、Tはサンプリング周期、ψ は伝達系の遅延成分(位相遅れ)、ω は上記各正弦波成分の角振動数である。
この周期性信号f(n)は観測点に加えられるので、適応制御アルゴリズムを内蔵している制御装置は、周期性信号f(n)の各周波数成分に対し同一の振幅で逆位相の周波数成分を含む適応信号y(n)を観測点に加える。そうすれば、観測点において周期性信号f(n)の特定成分(適応信号y(n)に含まれている成分)と適応信号y(n)とが相殺し合い、観測点で観測される誤差信号e(n)=f(n)+y(n)が低レベルに抑制されるであろうと目論んでのことである。適応信号y(n)は、次の数48に示す適応信号発生アルゴリズムに従って生成される。
【0087】
【数48】
Figure 0003611168
【0088】
ここで、自然数Jは角振動数ωの数であって1≦j≦J≦J’の範囲にあり、適応信号y(n)は、必ずしも周期性信号f(n)の全ての成分(J’個)を含んでいるわけではない。すなわち、通常は少なからずある周期性信号f(n)の各周波数成分のうち、抑制すべき主要なJ個の周波数成分だけを選定して、適応信号y(n)により相殺することを図るものとする。
【0089】
抑制されるべき観測点での誤差信号e(n)=f(n)+y(n)の評価には、瞬時誤差の二乗である評価関数I(n)=e(n)= {f(n)+y(n)} を使用することにする。
そして、適応的に更新されて調整される適応係数ベクトルW(n)には、角振動数ω成分の推定も加え、W(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・、・・ω(n)・・]と定義する。
【0090】
このとき、最小二乗法の適用に供する勾配ベクトル∇(n)=∂I(n)/∂W(n)は、次の数49に示すように展開される。
【0091】
【数49】
Figure 0003611168
【0092】
そこで、適正なステップサイズパラメータμ,μを設定すれば、適応係数ベクトルW(n)は、次の数50で表記される適応係数ベクトル更新アルゴリズムにより更新されていくものとする。
【0093】
【数50】
Figure 0003611168
【0094】
以上で、適応信号発生アルゴリズム(上記数48)と適応係数ベクトル更新アルゴリズム(上記数50)とが導き出され、本実施例の周期性信号の適応制御方法の実施が可能になった。
(実施例1の構成)
本発明の実施例1としての周期性信号の適応制御方法は、図1に示すように、周期性信号源21から発生する周期性信号f(n)の観測点24への影響を能動的に抑制する制御方法である。
【0095】
すなわち、少なくとも一つの角振動数ω (1≦j≦J’、jおよびJ’は自然数)の信号成分を含み観測点24に影響を及ぼす周期性信号f(n)が周期性信号源21から発生する。この周期性信号f(n)に対し、角振動数ω のうちJ個の推定値である推定角振動数ω(n)(1≦j≦J≦J’、Jも自然数)を角振動数とする正弦波信号からなる適応信号y(n)が、観測点24に逆位相で直接、加えられる。本実施例は、この適応信号y(n)によって周期性信号f(n)の特定成分の観測点24への影響を能動的に除去し、観測点24で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制御方法である。
【0096】
本実施例の周期性信号の適応制御方法は、適応信号発生アルゴリズム11と適応係数ベクトル更新アルゴリズム12とを、適応制御アルゴリズム1として有する。
適応信号発生アルゴリズム11は、離散時間における時刻nにおいて、適応信号y(n)を次の数51に従って発生させるアルゴリズムである。
【0097】
【数51】
Figure 0003611168
【0098】
一方、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12は、この適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)および角振動数ω(n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ω(n)・・]を、次の数52に従って更新するアルゴリズムである。
【0099】
【数52】
Figure 0003611168
【0100】
そして、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12によって更新された適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)および角振動数ω(n)が更新される。なお、位相遅れψは、別途行われた予備試験により予め用意されているテーブルデータ等から、推定角振動数ω(n)に対応して所定の周期毎に適正な値に更新されるものとする。
【0101】
(実施例1の作用効果)
本実施例の周期性信号の適応制御方法は、以上のように構成されているので、以下のような作用効果を発揮する。
本実施例の周期性信号の適応制御方法は、離散時間における時刻nにおいて、適応信号発生アルゴリズム11が適応信号y(n)を上記数51に従って発生させる。この際、伝達系の遅延(位相遅れ)ψは、予め周波数を掃引しながら伝達系に正弦波を入力して行うスウィープテスト等により計測されている値がテーブルデータ等から与えられるものとする。
【0102】
この適応信号y(n)は、観測点で周期性信号f(n)と合成されて周期性信号f(n)と相殺し合い、両者の合成である誤差信号e(n)=f(n)+y(n)のレベルを低減するように調整されなければならない。そこで、適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)および角振動数ω(n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ω(n)・・]が適応的に更新されて調整される。すなわち、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12は、最小二乗法に基づく上記数52に従って上記適応係数ベクトルW(n)の各要素を更新する。
【0103】
そして本実施例では、更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)および角振動数ω(n)が更新される。すると、適応係数ベクトルW(n)の要素に各角振動数ω(n)が含まれており、各角振動数ω(n)に関する推定ないし適応的な調整が行われるので、周期性信号f(n)の特定成分の各角振動数ω(n)の変動に対してロバスト性が発揮される。
【0104】
すなわち、周期性信号f(n)の角振動数ω が比較的安定している場合には、各角振動数ω(n)の計測誤差に関しては、そもそも計測が行われないので完全に影響を受けることがなく、ロバストである。一方、周期性信号f(n)の角振動数ω の変動やノイズが大きい場合には、これらが小さい場合のようには誤差信号e(n)の収束特性は速やかではない。しかしこの場合にも、角振動数ω を計測してその計測値を利用し、計測誤差を動的に補正するなどの処置を取れば、より高い精度での適応制御が可能になる。
【0105】
したがって本実施例によれば、周期性信号f(n)の抑制すべき特定成分の角振動数ω の変動およびその計測誤差に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。
(実施例1の数値シミュレーション)
以上の本実施例の周期性信号の適応制御方法の作用効果を確認するために、発明者らは数値シミュレーションをいくつか行ったので、その結果の一部をここに紹介する。
【0106】
先ず、数値試験1として、周波数の推定機能を確認する数値シミュレーションを行った。同数値シミュレーションでは、周期性信号f(n)として60Hzの単一正弦波を入力とした。その際の条件としては、サンプリング周波数は3.6kHzであり、振幅a(n)および位相φ(n)の直交成分であるα(n),β(n)の更新用ステップサイズパラメータはμ=0.05、角振動数ω(n)の更新用ステップサイズパラメータはμ=1.7×10−2であった。
【0107】
本数値シミュレーションでは、二つのケースが設定された。第1のケースでは、適応制御アルゴリズム1での適応係数ベクトルW(n)の初期値を、α(0)=0,β(0)=0とし、角振動数の初期値ω(0)を真値である60Hz相当に設定して数値シミュレーションを行った。第2のケースでは、適応係数ベクトルW(n)の初期値のうち、α(0)=0,β(0)=0である点は第1のケースと同様であるが、角振動数の初期値ω(0)を50Hz相当として10Hz相当の初期誤差を与えて数値シミュレーションを行った。
【0108】
その結果、図2に示すように、角振動数の初期値ω(0)に真値を与えた場合には約1000回弱のイタレーションで収束し、角振動数の初期値ω(0)に10Hz分の誤差を与えた場合には約1400回のイタレーションで収束した。すなわち、いずれのケースにおいても、0.4秒以内に適応動作が完了しており、その際の誤差信号e(n)の低減レベルは70dB程度であって極めて優れた収束特性が明示されている。
【0109】
また、図3に示すように、適応信号y(n)の角振動数ω(n)は、約1000回強のイタレーションで真値に収束している。
以上の数値シミュレーションから、本実施例の周期性信号の適応制御方法は、周期性信号f(n)の角振動数ωの変動や計測誤差に対して、ロバスト性を有することが明らかになった。
【0110】
次に、数値試験2として、周期性信号f(n)が一次から三次の調和振動である場合の数値シミュレーションを行い、三つの角振動数成分に対して本実施例の周期性信号の適応制御方法がいかに適応するかを確認した。
本数値シミュレーションでは、周期性信号f(n)の一次から三次の周波数は、それぞれ60Hz,120Hz,180Hzに設定されていた。これに対し、三成分の適応信号y(n)の角振動数の初期値ω(n)(k=1,2,3)は、それぞれ50Hz,100Hz,150Hz相当に設定されていた。その他の条件は、前述の数値試験1と同様である。
【0111】
その結果、図4に示すように、約2000回強のイタレーションで適応制御アルゴリズム1は収束し、70dBを超える誤差信号e(n)の低減レベルが発揮された。その際、図5に示すように、各角振動数ω(n)の推定値は2000回未満のイタレーションで収束しており、それ以後は2000回強のイタレーションに至るまで、各次数のα(n)およびβ(n)の微調整に費やされているものと推測される。ここで、各角振動数ω(n)の収束波形がそれぞれ異なっていることから、各角振動数ω(n)は、互いに関連がある調和振動(基本振動およびその高調波)としてではなく、それぞれ互いに独立に更新されていることが明らかである。
【0112】
この数値試験2から、本実施例の周期性信号の適応制御方法は、複数の周波数成分からなる周期性信号f(n)の角振動数ω の変動や計測誤差に対しても、ロバスト性を有して速やかに適応することができることが明らかになった。
本実施例ではさらに、数値試験3として、推定されるべき周期性信号f(n)の周波数を60Hzとしたまま、適応係数ベクトルW(n)中の角振動数の初期値ω(0)を20〜180Hzの範囲で変更して数値シミュレーションを行った。この際、サンプリング周期は同じく3.6kHzであるが、適応制御に許されるイタレーションを5000回(約1.4秒の短時間)に限定し、この間にどの程度誤差信号e(n)の抑制機能を発揮できるかを検討した。
【0113】
その結果、図6に示すように、角振動数の初期値ω(0)が20Hzから170Hz強に至るまで、上記短時間の間に適応制御に成功している。この結果から、適正な角振動数の初期値ω(0)の設定範囲は、比較的この面でのロバスト性が高かった従来技術1と比較しても、かなり広く許容されることが分かる。それゆえ、本実施例の周期性信号の適応制御方法は、角振動数の初期値ω(0)の設定範囲についても、極めて高いロバスト性を有することが明らかになった。
【0114】
なお、プログラミング技法上の問題であるが、前述の数値シミュレーションのいずれにおいても、離散時刻nがオーバーフローしないように、適当な周期をおいて剰余が取られている。具体的には、本実施例の数値シミュレーションでは、毎秒に一度、サンプリング周期Tの逆数1/Tに関して離散時刻nの剰余n mod(1/T)を取っている。別法として、適当な周期毎に離散時刻nの剰余n mod{2π/ω(n)T}が取られても良い。
【0115】
この離散時刻nのオーバーフローを防止するプログラミング技法は、本実施例の数値シミュレーションだけではなく、後述の実施例の数値シミュレーションにおいても同様に採用されている。
(実施例1の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、周期性信号f(n)のうちその影響を抑制すべき成分が調和関数(基本振動のみ、または基本振動およびその高調波)である場合に限っては、推定する角振動数を基本角振動数のみに絞った周期性信号の適応制御方法の実施が可能である。
【0116】
すなわち、基本角振動数ω からそのK’次までの高次角振動数kω (1≦k≦K’、kおよびK’は自然数)の信号成分を含み観測点24(図1参照)に影響を及ぼす周期性信号f(n)を想定する。この周期性信号f(n)に対し、基本角振動数ω の推定値である推定基本角振動数ω(n)から推定基本角振動数ω(n)のK次までの推定高次角振動数kω(n)(1≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分からなる適応信号y(n)を発生させる。そしてこの適応信号y(n)を、逆位相で直接または間接的に加えることによって、周期性信号f(n)のK次までの信号成分の観測点への影響を能動的に除去し、観測点24で検知される誤差信号e(n)を抑制することができる。
【0117】
本変形態様の適応信号発生アルゴリズム11は、離散時間における時刻nにおいて、適応信号y(n)を次の数53に従って発生させるアルゴリズムであり、適応信号y(n)が調和関数で構成されている点が実施例1と異なる。
【0118】
【数53】
Figure 0003611168
【0119】
一方、適応的に更新されるべき適応係数ベクトルW(n)は、適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)および前記推定基本角振動数ω(n)を成分とし、適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,ω(n)]と定義される。本変形態様の適応係数ベクトルW(n)は、角振動数の要素が基本角振動数ω(n)ただ一つになっている点が、実施例1と異なっている。
【0120】
本変形態様の適応係数ベクトル更新アルゴリズム12は、適応係数ベクトルW(n)を次の数54に従って更新するアルゴリズムである。
【0121】
【数54】
Figure 0003611168
【0122】
上記数54によって更新されていく適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)および推定基本角振動数ω(n)が、離散時刻nの経過毎に更新される。
上記更新式(数54)においては、全ての周波数成分が動員されて基本角振動数ω(n)が推定されるところに特徴がある。それゆえ、周期性信号f(n)の基本角振動数ω に変動があった場合にも、基本角振動数ω(n)は、速やかにかつ正確に周期性信号f(n)のK次までの特定成分の基本角振動数ω に収束する。また、本変形態様では、前述の実施例1と同様に、周期性信号f(n)の基本角振動数ω の計測を行っていないので、その計測誤差に関してはロバストである。
【0123】
本変形態様では、更新された適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)および推定基本角振動数ω(n)が更新される。その結果、上記数53の適応信号発生アルゴリズムは、周期性信号f(n)のK次までの特定成分と正確に相殺して誤差信号e(n)を低レベルに抑制する適応信号y(n)を発生するに至る。
【0124】
したがって本変形態様によれば、調和振動である周期性信号f(n)の基本角振動数ω の変動およびその計測誤差に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。
(実施例1の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、以上の変形態様1において、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12の基本角振動数ω(n)の更新式のみを簡略化した適応係数ベクトル更新アルゴリズム12を使用する周期性信号の適応制御方法の実施が可能である。
【0125】
本手段では、適応信号発生アルゴリズム11は、前述の変形態様1の適応信号発生アルゴリズムと同一であって、次の数55に示すように、適応信号y(n)はK次の調和関数である(Kは自然数)。
【0126】
【数55】
Figure 0003611168
【0127】
適応係数ベクトルW(n)も前述の変形態様1と共通であって、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12だけが前述の変形態様1と異なっている。しかも、次の数56に示す適応係数ベクトル更新アルゴリズムの各要素の更新式のうち、α(n)およびβ(n)に関する部分は変形態様1と共通であり、推定基本角振動数ω(n)の更新に関する一要素の分だけが変形態様1と異なっている。
【0128】
【数56】
Figure 0003611168
【0129】
すなわち、上記数56に明示されているように、推定基本角振動数ω(n)の更新に使用される成分は、適応信号y(n)の一次振動成分(基本振動成分)と誤差信号e(n)との組み合わせだけである。それゆえ本変形態様では、適応信号y(n)の最高次数Kが大きい場合にも、推定基本角振動数ω(n)の更新式の計算量が増えることはないので、計算量の節減になり、限定された能力のプロセッサでの制御計算の実施が容易になる。
【0130】
したがって本変形態様によれば、前述の変形態様1に準ずる効果に加えて、適応制御演算機の計算量の節減になるという効果もある。それゆえ、本変形態様の方が前述の変形態様1よりも実用性に富んでいる。
[実施例2]
(実施例2の必要性)
本発明の実施例2としての周期性信号の適応制御方法は、各振動成分の角振動数の推定機能に加えて、伝達系の遅延成分(位相遅れ)の推定機能をもつことを特徴としている。
【0131】
前述の実施例1では、各振動成分の角振動数の推定機能については満足すべき性能が得られている旨の説明があったが、伝達系の遅延成分の変動や計測誤差についての評価はなされていない。実施例1では、伝達系の遅延成分(位相遅れ)については、予めスウィープテスト等で準備されており角振動数の変動に応じて与えられるものとしていたので、伝達系の遅延成分についてのロバスト性は評価の対象にされていない。
【0132】
逆に、前述の従来技術の説明により、直交型拡張DXHSアルゴリズム(従来技術2’)では、伝達系の遅延成分(位相遅れ)の変動にはロバスト性が発揮される反面、角振動数の計測誤差や変動に対してはロバスト性が欠如していることが明らかになっている。
そこで、本実施例では、各振動成分の角振動数の推定機能に加えて、伝達系の遅延成分(位相遅れ)の推定機能をも有する周期性信号の適応制御方法を提供することにする。
【0133】
(実施例2の構成)
すなわち、本実施例の周期性信号の適応制御方法は、以下のような特徴を備えている。
図7に示すように、本実施例では、周期性信号源21が、少なくとも一つの角振動数ω (1≦j≦J’、jおよびJ’は自然数)の信号成分を含み観測点24に影響を及ぼす周期性信号f(n)を発生させる。そして、周期性信号f(n)は、観測点24に加えられる。ここで、周期性信号f(n)の角振動数ω は基本振動とその高調波とであることを要せず、これらの角振動数ω の互いの関係は任意に設定され得るものとする。
【0134】
この周期性信号f(n)に対し、角振動数ω のうちJ個の推定値である推定角振動数ω(n)(1≦j≦J≦J’、Jも自然数)を角振動数とする正弦波信号からなる適応信号y(n)が、適応信号発生アルゴリズム11によって生成され、観測点24に加えられる。その結果、周期性信号f(n)と適応信号y(n)とが互いに相殺し合えば、周期性信号f(n)の特定成分の観測点24への影響は能動的に除去され、観測点24で検知される誤差信号e(n)は低レベルに抑制される。
【0135】
適応信号発生アルゴリズム11は、離散時間における時刻nにおいて、適応信号y(n)を次の数57に従って発生させるアルゴリズムである。
【0136】
【数57】
Figure 0003611168
【0137】
ここで、適応係数ベクトルW(n)は、適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)、遅延成分ψ(n)および角振動数ω(n)を成分とし、W(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・,・・ω(n)・・]と定義されている。
適応係数ベクトルW(n)を更新するのは適応係数ベクトル更新アルゴリズム12であるが、本実施例では適応係数ベクトル更新アルゴリズム12が二種類のアルゴリズムに分かれている。すなわち、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12は、次の数58に示す第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’と、次の数59に示す第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”との二つがある。
【0138】
【数58】
Figure 0003611168
【0139】
【数59】
Figure 0003611168
【0140】
第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’と第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”とは、それぞれ所定回数ずつ交互に繰り返して演算される。同所定回数は、両アルゴリズム12’,12”で同一である必要はなく、またシステムの状態によって適宜変更されても良い。両アルゴリズム12’,12”がそれぞれ繰り返して演算されるうちに、適応係数ベクトルW(n)は適応的に更新されていく。そして、適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)、遅延成分ψ(n)および角振動数ω(n)が更新される。
【0141】
(実施例2の作用効果)
本実施例では、適応係数ベクトルW(n)が、W(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・,・・ω(n)・・]と定義されている。すなわち、適応係数ベクトルW(n)は、前述の実施例1の適応係数ベクトルW(n)に比べて、新たに遅延成分(伝達系の位相遅れ)ψ(n)が、適応的に更新されるべき変数に加わっている。
【0142】
それゆえ、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12は、α(n),β(n),ψ(n),ω(n)の四種類の要素を更新することになる。ところが、勾配ベクトル∇(n)=∂I(n)/∂W(n)を展開してみると、次の数60に示すように、その各要素うちψ(n)に関する要素とω(n)に関する要素とが同一になってしまう。
【0143】
【数60】
Figure 0003611168
【0144】
それゆえ、上記数60の勾配ベクトル∇(n)に基づいて適応係数ベクトル更新アルゴリズム12を定めると、伝達系の位相遅れψ(n)に関する更新式と角振動数ω(n)に関する更新式とが、本質的に同一になってしまう。これではたいていの場合に、位相遅れψ(n)に関する更新式とω(n)に関する更新式とが互いに干渉し合ってしまう。その結果、適応的な調整が適正に行われず、誤差信号e(n)は低レベルに収束することが難しくなる。
【0145】
そこで本実施例では、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12を、第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’(上記数58)と、第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”(上記数59)とに分けた。
すなわち、第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’(上記数58)では、ψ(n)とω(n)とのうちψ(n)のみが更新され、ω(n)の成分は全く更新されずに値が保存される。逆に、第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”(上記数59)では、ω(n)のみが更新され、ψ(n)の成分は全く更新されずに値が保存される。
【0146】
そして、適応係数ベクトルW(n)の各成分は、第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’と第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”とが、それぞれ所定回数ずつ交互に繰り返されていく間に更新されていく。こうすれば、ψ(n)に関する更新式とω(n)に関する更新式とが同時には作用せず、所定回数毎に交代で行われるので、互いに干渉することが防止される。その結果、適応係数ベクトルW(n)の全ての要素は、適応的に調整されて適正な値へと収束していくようになる。
【0147】
すると、適応信号発生アルゴリズム11(上記数57)によって生成される適応信号y(n)は、観測点24において周期性信号f(n)と逆位相で同振幅となり、周期性信号f(n)と相殺するに至る。この際、もちろん適応信号y(n)の各次数の角振動数ω(n)は、周期性信号f(n)の抑制すべき特定成分の角振動数ω (n)に収束している。
【0148】
したがって本実施例によれば、適応信号発生アルゴリズム11(上記数57)により生成される適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)、遅延成分ψ(n)および角振動数ω(n)が適正に更新される。その結果、本実施例によれば、伝達系の位相遅れψ の変動および測定誤差と、周期性信号f(n)の角振動数ω の変動およびその計測誤差との両方に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。
【0149】
(実施例2の数値シミュレーション)
本実施例の周期性信号の適応制御方法の効果を確認する目的で、数値試験(数値シミュレーション)を行ったので、ここに簡潔に報告する。
その際に設定された条件は、以下の通りである。
先ず、周期性信号f(n)は単一成分の正弦波関数であり、サンプリング周期は実施例1の各数値試験と同じ3.6kHzである。また、α(n)およびβ(n)のステップサイズパラメータは、遅延時間推定時(適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’)にはμ=0.005であり、角振動数推定時(適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”)にはμ=0.05である。さらに、伝達系の遅延成分(位相遅れ)ψ(n)のステップサイズパラメータはμ=1.5×10−9であり、角振動数ω(n)のステップサイズパラメータはμ=1.7×10−2である。
【0150】
次に、伝達系の遅延成分(位相遅れ)の真値ψ=1080°に対し、推定値はψ(0)=1170°と、90°の誤差をもって初期値の設定がなされた。同様に、周期性信号f(n)の角振動数ωが周波数60Hz相当であるのに対し、推定値ω(0)は周波数50Hz相当と、10Hz相当の誤差をもって初期値の設定がなされた。
【0151】
そして、遅延時間の推定に重点を置いて両適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’,12”の演算回数を設定した。すなわち、ψ(n)を更新する適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’(上記数58)を95回演算した後、ω(n)を更新する適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”を1回演算し、以後これを繰り返すように設定した。
【0152】
その結果、図8に示すように、一万回程度のイタレーションで約70dBの誤差信号e(n)レベルの低減効果が得られるという数値試験結果が得られた。
以上の数値試験から、本実施例の周期性信号の適応制御方法は、伝達系の位相遅れψ の変動および測定誤差と、周期性信号f(n)の振動数ω の変動およびその計測誤差との両方に対して、ロバストであることが明らかになった。
【0153】
(実施例2の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、実施例1に対するその変形態様1と同様に、周期性信号f(n)のうち抑制すべき特定成分が調和関数(基本振動だけであるか、または基本振動およびその高調波)である場合を想定する。この場合には、適応係数ベクトルW(n)のうち角振動数の成分を基本角振動数ω(n)のみに限定した周期性信号の適応制御方法を、実施することが可能になる。
【0154】
本変形態様では、基本角振動数ω からそのK’次までの高次角振動数kω (1≦k≦K’)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対して周期性信号の適応制御方法が適用される。この周期性信号f(n)は、周期性信号源21により生成され、観測点24に加えられる。これに対して、基本角振動数ω の推定値である推定基本角振動数ω(n)から推定基本角振動数ω(n)のK次までの推定高次角振動数kω(n)(1≦k≦K≦K’)の信号成分からなる適応信号y(n)が、観測点24加えられる。
【0155】
そして観測点24で、周期性信号f(n)と適応信号y(n)とが互いに相殺し合うことによって、周期性信号f(n)のK次までの信号成分の観測点24への影響が能動的に除去される。その結果、観測点24で検知される誤差信号e(n)のレベルは低く抑制されるに至る。
すなわち、適応信号発生アルゴリズム11は、離散時間における時刻nにおいて、適応信号y(n)を次の数61に従って発生させる。
【0156】
【数61】
Figure 0003611168
【0157】
ここで、適応係数ベクトルW(n)は、適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)、遅延成分ψ(n)および前記推定基本角振動数ω(n)を成分とし、W(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・,ω(n)]と定義されている。適応係数ベクトルW(n)のうち、角振動数の成分は基本角振動数ω(n)のみに限定されている。
【0158】
適応係数ベクトル更新アルゴリズム12は、前述の実施例2と同様の理由で、次の数62に従って更新する第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’と、次の数63に従って更新する第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”とに分かれている。
【0159】
【数62】
Figure 0003611168
【0160】
【数63】
Figure 0003611168
【0161】
ここで、上記数62の第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’は、前述の実施例2のものと同一である。
本変形態様でも、第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’と該第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”とが、それぞれ所定回数ずつ交互に繰り返して演算される。こうして更新されていく適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)、遅延成分ψ(n)および該推定基本角振動数ω(n)が更新される。
【0162】
上記更新式12’,12”のうち、数62においては、各次数の位相遅れψ(n)が更新され、数63においては、全ての周波数成分が動員されて基本角振動数ω(n)が推定される。それゆえ、伝達系の位相遅れ特性が変動しても、上記数62の更新式で適応的に各次数の位相遅れψ(n)が調整され、適正な値に収束していく。また、周期性信号f(n)の基本角振動数ω に変動があった場合にも、適応信号y(n)の基本角振動数ω(n)は速やかにかつ正確に周期性信号f(n)の基本角振動数ω に収束する。
【0163】
なお、本変形態様では前述の実施例2と同様に、伝達系の位相遅れ特性に関する予備計測等を必要とせず、適応的に各次数の位相遅れψ(n)が調整されるので、伝達系の位相遅れ特性の変動や計測誤差に対してロバストである。同様に、基本角振動数ω(n)の推定が全ての周波数成分が動員されて速やかに行われているので、基本角振動数ω(n)の変動に対してロバスト性を有する。また、本手段では前述の実施例2と同様に、周期性信号f(n)の基本角振動数ω の計測を行っていないので、その計測誤差に関してはロバストである。
【0164】
本変形態様でも、更新された適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α(n),β(n)、位相遅れψ(n)および推定基本角振動数ω(n)が更新される。その結果、上記数61の適応信号発生アルゴリズム11は、周期性信号f(n)のK次までの特定成分と正確に相殺して誤差信号e(n)を低レベルに抑制する適応信号y(n)を発生するに至る。
【0165】
したがって本変形態様によれば、周期性信号f(n)が調和関数である場合に、伝達系の位相遅れの変動および測定誤差と、周期性信号f(n)の各次数の角振動数kω の変動およびその計測誤差との両方に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供することができるという効果がある。
(実施例2の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、実施例1の変形態様1に対する同変形態様2と同様に、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12のうち第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”のみが異なる周期性信号の適応制御方法の実施が可能である。
【0166】
すなわち、本変形態様では、適応信号発生アルゴリズム11(上記数61)および第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’(上記数62)は、前述の実施例2の変形態様1のものと同一である。異なるのは、第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”のみであり、しかもそのうち最後の基本角振動数ω(n)の成分の更新式が異なっているのみである。すなわち、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”においては、次の数64に示すように、基本角振動数ω(n)の成分の更新式は一次成分(基本振動成分)のみで演算される。
【0167】
【数64】
Figure 0003611168
【0168】
それゆえ、基本角振動数ω(n)の成分の更新式において、前述の変形態様1の第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”(上記数63)のように各次数について総和を取ることがないので、演算量が低減されている。
したがって本変形態様によれば、前述の変形態様1に準ずる効果に加えて、第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”(上記数64)での演算量が減るので、プロセッサの演算負荷が低減されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のシステム構成を示すブロック線図
【図2】実施例1の数値試験1の結果を示すグラフ1
【図3】実施例1の数値試験1の結果を示すグラフ2
【図4】実施例1の数値試験2の結果を示すグラフ1
【図5】実施例1の数値試験2の結果を示すグラフ2
【図6】実施例1の数値試験3の結果を示すグラフ
【図7】実施例2のシステム構成を示すブロック線図
【図8】実施例2の数値試験における制御成績を示すグラフ
【図9】従来技術2’のシステム構成を示すブロック線図
【図10】従来技術2’の収束特性を示すグラフ
【図11】従来技術1の周波数変動に対する収束特性を示すグラフ
【図12】従来技術2’の周波数変動に対する収束特性を示すグラフ
【符号の説明】
1:適応制御アルゴリズム
11:適応信号発生アルゴリズム
12:適応係数ベクトル更新アルゴリズム
12’:第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム
12”:第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム
21:周期性信号源 22:角振動数計測手段 24:観測点

Claims (6)

  1. 少なくとも一つの角振動数ω (1≦j≦J’、jおよびJ’は自然数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対し、該角振動数ω のうちJ個の推定値である推定角振動数ω(n)(1≦j≦J≦J’、Jも自然数)を角振動数とする正弦波信号からなる適応信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えることによって、該周期性信号f(n)の特定成分の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制御方法において、
    離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y(n)を数1に従って発生させる適応信号発生アルゴリズムと、
    該適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)および角振動数ω(n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ω(n)・・]を、数2に従って更新する適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、
    更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、該適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両該振幅α(n),β(n)および該角振動数ω(n)が更新されることを特徴とする、
    周期性信号の適応制御方法。
    Figure 0003611168
    Figure 0003611168
  2. 基本角振動数ω からそのK’次までの高次角振動数kω (1≦k≦K’、kおよびK’は自然数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対し、該基本角振動数ω の推定値である推定基本角振動数ω(n)から該推定基本角振動数ω(n)のK次までの推定高次角振動数kω(n)(1≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分からなる適応信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えることによって、該周期性信号f(n)のK次までの信号成分の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制御方法において、
    離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y(n)を数3に従って発生させる適応信号発生アルゴリズムと、
    該適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)および前記推定基本角振動数ω(n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,ω(n)]を、数4に従って更新する適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、
    更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、該適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両該振幅α(n),β(n)および該推定基本角振動数ω(n)が更新されることを特徴とする、
    周期性信号の適応制御方法。
    Figure 0003611168
    Figure 0003611168
  3. 基本角振動数ω からそのK’次までの高次角振動数kω (1≦k≦K’、kおよびK’は自然数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対し、該基本角振動数ω の推定値である推定基本角振動数ω(n)から該推定基本角振動数ω(n)のK次までの推定高次角振動数kω(n)(1≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分からなる適応信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えることによって、該周期性信号f(n)のK次までの信号成分の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制御方法において、
    離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y(n)を数5に従って発生させる適応信号発生アルゴリズムと、
    該適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)および前記推定基本角振動数ω(n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,ω(n)]を、数6に従って更新する適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、
    更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、該適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両該振幅α(n),β(n)および該推定基本角振動数ω(n)が更新されることを特徴とする、
    周期性信号の適応制御方法。
    Figure 0003611168
    Figure 0003611168
  4. 少なくとも一つの角振動数ω (1≦j≦J’、jおよびJ’は自然数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対し、該角振動数ω のうちJ個の推定値である推定角振動数ω(n)(1≦j≦J≦J’、Jも自然数)を角振動数とする正弦波信号からなる適応信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えることによって、該周期性信号f(n)の特定成分の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制御方法において、
    離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y(n)を数7に従って発生させる適応信号発生アルゴリズムと、
    該適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)、遅延成分ψ(n)および角振動数ω(n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・,・・ω(n)・・]を、数8に従って更新する第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと、数9に従って更新する第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、
    該第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと該第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとをそれぞれ所定回数ずつ交互に繰り返して更新されていく該適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、該適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両該振幅α(n),β(n)、該遅延成分ψ(n)および該角振動数ω(n)が更新されることを特徴とする、
    周期性信号の適応制御方法。
    Figure 0003611168
    Figure 0003611168
    Figure 0003611168
  5. 基本角振動数ω からそのK’次までの高次角振動数kω (1≦k≦K’、kおよびK’は自然数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対し、該基本角振動数ω の推定値である推定基本角振動数ω(n)から該推定基本角振動数ω(n)のK次までの推定高次角振動数kω(n)(1≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分からなる適応信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えることによって、該周期性信号f(n)のK次までの信号成分の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制御方法において、
    離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y(n)を数10に従って発生させる適応信号発生アルゴリズムと、
    該適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)、遅延成分ψ(n)および前記推定基本角振動数ω(n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・,ω(n)]を、数11に従って更新する第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと、数12に従って更新する第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、
    該第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと該第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとをそれぞれ所定回数ずつ交互に繰り返して更新されていく該適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、該適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両該振幅α(n),β(n)、該遅延成分ψ(n)および該推定基本角振動数ω(n)が更新されることを特徴とする、
    周期性信号の適応制御方法。
    Figure 0003611168
    Figure 0003611168
    Figure 0003611168
  6. 基本角振動数ω からそのK’次までの高次角振動数kω (1≦k≦K’、kおよびK’は自然数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対し、該基本角振動数ω の推定値である推定基本角振動数ω(n)から該推定基本角振動数ω(n)のK次までの推定高次角振動数kω(n)(1≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分からなる適応信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えることによって、該周期性信号f(n)のK次までの信号成分の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制御方法において、
    離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y(n)を数13に従って発生させる適応信号発生アルゴリズムと、
    該適応信号y(n)の両振幅α(n),β(n)、遅延成分ψ(n)および前記推定基本角振動数ω(n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・・α(n)・・,・・β(n)・・,・・ψ(n)・・,ω(n)]を、数14に従って更新する第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと、数15に従って更新する第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、
    該第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと該第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとをそれぞれ所定回数ずつ交互に繰り返して更新されていく該適応係数ベクトルW(n)の成分をもって、該適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両該振幅α(n),β(n)、該遅延成分ψ(n)および該推定基本角振動数ω(n)が更新されることを特徴とする、
    周期性信号の適応制御方法。
    Figure 0003611168
    Figure 0003611168
    Figure 0003611168
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