JPH1185211A - 周期性信号の適応制御方法 - Google Patents

周期性信号の適応制御方法

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JPH1185211A
JPH1185211A JP9243625A JP24362597A JPH1185211A JP H1185211 A JPH1185211 A JP H1185211A JP 9243625 A JP9243625 A JP 9243625A JP 24362597 A JP24362597 A JP 24362597A JP H1185211 A JPH1185211 A JP H1185211A
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泰幸 嶋田
Hiroyuki Ichikawa
浩幸 市川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周期性信号f(n)の角振動数の変動等に対
してロバストな周期性信号の適応制御方法を提供するこ
と。 【解決手段】 本発明の周期性信号の適応制御方法は、
観測点24に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対し適
応信号y(n)を逆位相で加えることによって、周期性
信号f(n)の特定成分の影響を能動的に除去し、誤差
信号e(n)を抑制する。本方法は、直交表現の適応信
号y(n)を発生させる適応信号発生アルゴリズム11
と、適応信号y(n)の両振幅αj (n),βj (n)
および角振動数ωj (n)を成分とする適応係数ベクト
ルW(n)=[・・αj (n)・・,・・βj (n)・
・,・・ωj (n)・・]T を適応的に更新する適応係
数ベクトル更新アルゴリズム12とを有する。角振動数
ωj (n)も推定されるので、周期性信号f(n)の角
振動数の変動に対してロバスト性が発揮される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周期性信号の能動
抑制技術の技術分野に属する。たとえば、周期性信号が
振動であれば能動制振の技術分野に属し、周期性信号が
雑音であればアクティヴ・ノイズ・サプレッションの技
術分野に属するなど、周期性信号の種類によって応用範
囲は広く拡がっている。
【0002】
【従来の技術】
(従来技術1:基本DXHSアルゴリズム)先ず、基本
DXHSアルゴリズム(従来技術1)においては、その
観測点への影響を及ぼす周期性信号f(n)は、次の数
16で表される一次以上の調和振動であるものとする。
【0003】
【数16】
【0004】ただし、a* kは第k次成分の振幅、φ* k
第k次成分の位相(1≦k≦K’、kおよびK’は自然
数)であり、K’は高調波成分の最高次数を示す自然
数、Tはサンプリング周期、ω* 0は周期性信号f(n)
の基本角振動数である。なお、*は真値を表す記号とし
て使用されている。一方、この周期性信号f(n)と相
殺し合って上記観測点での誤差信号e(n)のレベルを
抑制すべき適応信号y(n)は、次の数17(適応信号
発生アルゴリズム)に従って適応制御システムにより生
成される。
【0005】
【数17】
【0006】ただし、ak は第k次成分の振幅、φk
第k次成分の位相(1≦k≦K≦K’、Kも自然数)で
あり、Kは高調波成分の最高次数を示す自然数、Tはサ
ンプリング周期、ω0 は周期性信号f(n)の基本角振
動数である。観測点では前述の周期性信号f(n)と適
応信号y(n)とが合成され、誤差信号e(n)=f
(n)+y(n)が得られる。誤差信号e(n)のレベ
ルの評価には、最小二乗法を適用するために次の数18
で定義される瞬時誤差関数(評価関数)I(n)が採用
されている。
【0007】
【数18】 I(n)=e2(n)={f(n)+y
(n)}2 ここで、評価関数I(n)を最小化するように適応更新
が行われるべき適応係数ベクトルW(n)は、離散時刻
nにおいて次の数19の如く定義されている。
【0008】
【数19】 W(n)=[・・ak(n)・・,・・φk
(n)・・]T このとき、勾配ベクトル∇(n)=∂I(n)/∂W
(n)は、次の数20の如く展開される。
【0009】
【数20】
【0010】したがって、適正なステップサイズパラメ
ータμa ,μφを設定して最小二乗法を適用すると、適
応係数ベクトルW(n)は、次の数21(適応係数ベク
トル更新アルゴリズム)に従って更新される。
【0011】
【数21】
【0012】ここでμa およびμφは、それぞれ振幅成
分および位相成分に関する適応処理のステップサイズパ
ラメータである。しかしながら、この基本DXHSアル
ゴリズムを実際の物理システムへの適用する際には、第
k調波のそれぞれについて伝達系の位相遅れ成分を考慮
する必要がある。そこで、適正な値の位相調整パラメー
タψk を導入して上記数21を次の数22のように変更
し、基本DXHSアルゴリズム(従来技術1)の適応係
数ベクトル更新アルゴリズムとする。
【0013】
【数22】
【0014】(従来技術2:拡張DXHSアルゴリズ
ム) 次に、以上の基本DXHSアルゴリズムに伝達系の遅延
成分(位相遅れ)ψkの推定機能を加えたもの想定し、
これを拡張DXHSアルゴリズム(従来技術2)と本文
中では呼ぶことにする。拡張DXHSアルゴリズムで
は、周期性信号f(n)の各次成分に伝達系の位相遅れ
ψ* kが加わり、周期性信号f(n)は次の数23のよう
に定義される。
【0015】
【数23】
【0016】同様に、適応信号y(n)にもその各次成
分に伝達系の位相遅れψk が加わり、適応信号y(n)
は次の数23(適応信号発生アルゴリズム)に従って生
成される。
【0017】
【数24】
【0018】誤差のレベルに関する評価関数I(n)
は、同様に次の数25で定義される。
【0019】
【数25】 I(n) = e2(n) = {f
(n)+y(n)}2 ここで、評価関数I(n)を最小化するように適応的に
更新されるべき適応係数ベクトルW(n)は、離散時刻
nにおいて次の数26の如く定義されている。
【0020】
【数26】W(n)=[・・ak(n)・・,・・φ
k(n)・・,・・ψk(n)・・]T すなわち、適応係数ベクトルW(n)には、各次成分に
伝達系の位相遅れの推定値ψk (n)が加えられている
点が、前述の従来技術1と異なっている。このとき、勾
配ベクトル∇(n)=∂I(n)/∂W(n)は、次の
数27の如く展開される。
【0021】
【数27】
【0022】ところが、上記数27から明らかなよう
に、各次数の調波成分において位相成分φk (n)と遅
延成分ψk (n)とが同次元であるゆえに更新式が互い
に同一になってしまい、遅延成分ψk (n)の推定に不
都合が生じる。そこで、以下に説明する直交型拡張DX
HSアルゴリズムへ移行してこの不都合を回避する。 (従来技術2’:直交型拡張DXHSアルゴリズム)そ
の影響を抑制すべき周期性信号f(n)を上記数16か
ら直交型に展開すると、周期性信号f(n)は次の数2
8で定式化される。
【0023】
【数28】
【0024】ここで、第k次成分の振幅はa* k(n)=
{α* k 2(n)+β* k 2(n)}1/2、第k次成分の位相
はφ* k=tan-1{β* k(n)/α* k(n)}であり、
K’は高調波の最高次数(1≦k≦K’、kおよびK’
は自然数)、Tはサンプリング周期、ω* 0は周期性信号
f(n)の基本角振動数である。同様に、適応信号y
(n)を上記数17から直交型に展開すると、適応信号
y(n)は次の数29で表記される。
【0025】
【数29】
【0026】ここで、第k次成分の振幅はak(n)=
{αk 2(n)+βk 2(n)}1/2、第k次成第k次成分
の位相はφk=tan-1{βk(n)/αk(n)}であ
り、Kは高調波の最高次数(1≦k≦K≦K’、Kも自
然数)、Tはサンプリング周期、ω0 は適応信号y
(n)の基本角振動数である。誤差の評価には、次の数
30で定義されているように、前述の各従来技術と同様
に瞬時誤差の二乗である評価関数I(n)が用いられ
る。
【0027】
【数30】 I(n)=e2(n)={f(n)+y
(n)}2 この評価関数I(n)が最小二乗法で最小化されるよう
に適応更新を行うものとし、離散時刻nにおける適応係
数ベクトルW(n)を次の数31の如く定義する。
【0028】
【数31】W(n)=[・・αk(n)・・,・・β
k(n)・・,・・ψk(n)・・]T すると、最小二乗法に用いる勾配ベクトル∇(n)=∂
I(n)/∂W(n)は、次の数32の如くに展開され
る。
【0029】
【数32】
【0030】したがって、適正なステップサイズパラメ
ータμ,μd を設定して最小二乗法を適用すると、適応
係数ベクトルW(n)は、次の数33(適応係数ベクト
ル更新アルゴリズム)に従って更新される。
【0031】
【数33】
【0032】このように、周期性信号f(n)および適
応信号y(n)の正弦波を直交化表現に改めることによ
って、振幅ak (n)、位相φk (n)および遅延成分
(位相遅れ)ψk (n)を、それぞれ別の更新式で適応
更新していることが可能になる。この直交型拡張DXH
Sアルゴリズム(従来技術2’)を適応制御系として用
いたシステムでは、図9に示すように、周期性信号源2
1から観測点24に周期性信号f(n)が加えられる。
この周期性信号f(n)に対し、適応信号発生アルゴリ
ズム11から適応信号y(n)が観測点24加えられ
て、周期性信号f(n)の影響が相殺され、誤差信号e
(n)のレベルが抑制される。周期性信号f(n)を相
殺しうる適応信号y(n)を発生させるために、適応信
号発生アルゴリズム11の変数αk (n),β
k (n),ψk (n)が、適応係数ベクトル更新アルゴ
リズム12で誤差信号e(n)に基づき適応的に更新さ
れる。
【0033】すなわち、適応係数ベクトルW(n)=
[・・αk(n)・・,・・βk(n)・・,・・ψ
k(n)・・]Tの各要素が上記数33に従って更新さ
れ、遅延要素(位相遅れ)ψk (n)も含めて適応的に
適応信号y(n)が調整される。この際、周期性信号f
(n)の基本角振動数ω* 0の計測値ω0 は、周期性信号
源21に付設された角振動数計測手段22により計測さ
れ、適応信号発生アルゴリズム11および適応係数ベク
トル更新アルゴリズム12に供給されるものとする。
【0034】具体的な数値試験例として、周波数60H
zでK’=K=1(基本振動のみ、すなわちk=1の
み)の周期性信号f(n)の観測点24への影響を抑制
する数値シミュレーションを行った。その際の設定条件
は、サンプリング周波数が3.6kHzであり、α
k (n)およびβk (n)のステップサイズパラメータ
はいずれもμ=0.005、位相遅れψk (n)のステ
ップサイズパラメータはμd=1.7×10-9であっ
た。
【0035】その結果、図10に示すように、位相遅れ
ψk (n)の初期値に真値を設定した場合には、約20
00回のイタレーションで誤差信号e(n)はほぼ完全
に収束した。一方、上記真値から90°の誤差を与えて
位相遅れψk (n)の初期値を設定した場合には、約3
000回のイタレーションで誤差信号e(n)はほぼ完
全に収束した。すなわち、いずれの場合にも一秒以内に
誤差信号e(n)の低減レベルは70dB程度に達して
おり、この直交型拡張DXHSアルゴリズム(従来技術
2’)は、良好な遅延(位相遅れ)ψk (n)の推定機
能を有することが明示された。
【0036】なお、以上の各従来技術に関しては、特開
平8−44377号公報および特開平8−272378
号公報などに詳細が公開されている。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】前述の基本DXHSア
ルゴリズム(従来技術1)では、その適応係数ベクトル
更新アルゴリズム(数21)で明らかなように、各次調
波成分の位相φk (n)が直接適応係数ベクトルW
(n)に含まれて更新されている。それゆえ、周期性信
号f(n)の基本角振動数の真値ω* 0に対して、その計
測値ω0 が計測誤差を含んでいる場合にも、位相φ
k (n)を常時変化させることによりある程度のロバス
ト性を有している。すなわち、図11に示すように、誤
差信号e(n)の低減レベルが70dBから20dB程
度に劣化するには、周波数の真値60Hzに対し2〜3
Hzもの計測誤差を要する。
【0038】一方、前述のように、直交型拡張DXHS
アルゴリズム(従来技術2’)は、良好な遅延(位相遅
れ)の推定機能を有することが明らかになっている。し
かしながら、その適応係数ベクトル更新アルゴリズム
(数33)で明らかなように、各次調波成分の位相φk
(n)が適応係数ベクトルW(n)に直接的には含まれ
ていない。それゆえ、周期性信号f(n)の基本角振動
数の真値ω* 0に対して、その計測値ω0 が計測誤差を含
んでいる場合には、適応性能が劇的に低下するという不
都合が起こりうる。すなわち、図12に示すように、6
0Hzに対しほんの0.2Hz程度の計測誤差で、誤差
信号e(n)の低減レベルが70dBから20dB程度
に劣化し、周期性信号f(n)の基本角振動数の計測誤
差に対するロバスト性が欠落していることが示されてい
る。
【0039】要約すると、直交型拡張DXHSアルゴリ
ズム(従来技術2’)は、伝達系の位相遅れに対しては
ロバスト性を保持している反面、周期性信号f(n)の
基本角振動数ω* 0の変動やその計測誤差に対してはロバ
スト性を欠いている。それゆえ、従来技術1と従来技術
2’とには一長一短があるので、両従来技術は、伝達系
の位相遅れの変動および測定誤差と、周期性信号f
(n)の基本角振動数ω* 0の変動やその計測誤差との両
方に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法では
ない。
【0040】そこで本発明は、先ず、周期性信号f
(n)のうち抑制すべき成分の各角振動数ω* kまたは基
本振動数ω* 0の変動およびその計測誤差に対してロバス
トな周期性信号の適応制御方法を提供することを、第1
の解決すべき課題とする。次に本発明は、伝達系の位相
遅れの変動および測定誤差と、周期性信号f(n)のう
ち抑制すべき成分の各振動数ω* kまたは基本振動数ω* 0
の変動およびその計測誤差との両方に対して、ロバスト
な周期性信号の適応制御方法を提供することを第2の解
決すべき課題とする。
【0041】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するために、発明者は以下の手段を発明し
た。 (第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載の周期
性信号の適応制御方法である。本手段では、周期性信号
f(n)のうち抑制すべき成分に複数の角振動数ω* j
成分がある場合には、同成分は必ずしも基本振動
(ω* 0)とその高調波成分(kω* 0)の関係にあること
を要しない。すなわち、本手段での周期性信号f(n)
のうち抑制すべき成分の各角振動数ω* jは、互いに独立
に設定されうるものであるとする。
【0042】さて本手段では、離散時間における時刻n
において、適応信号発生アルゴリズムが適応信号y
(n)を次の数34に従って発生させる。この際、伝達
系の遅延(位相遅れ)ψj は、予め周波数を掃引しなが
ら伝達系に正弦波を入力して行うスウィープテスト等に
より計測されている値が、テーブルデータ等から所定の
周期毎に与えられるものとする。
【0043】
【数34】
【0044】この適応信号y(n)は、観測点で周期性
信号f(n)と合成されて周期性信号f(n)と相殺し
合い、両者の合成である誤差信号e(n)=f(n)+
y(n)のレベルを低減するように調整されなければな
らない。そこで、適応信号y(n)の両振幅α
j (n),βj (n)および角振動数ωj (n)を成分
とする適応係数ベクトルW(n)=[・・αj (n)・
・,・・βj (n)・・,・・ωj (n)・・]T を定
義する。そして、適応係数ベクトル更新アルゴリズム
は、最小二乗法に基づく次の数35に従って上記適応係
数ベクトルW(n)の各要素を更新する。
【0045】
【数35】
【0046】ここでψj は、別途行われたスウィープテ
ストの計測データに基づいて予め用意されたテーブルデ
ータ等から、基本角振動数の推定値ω0 に応じて上記更
新式(数35)に与えられるものとする。そして本手段
では、更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分を
もって、適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦
波信号の両振幅αj (n),βj(n)および角振動数
ωj (n)が更新される。すると、適応係数ベクトルW
(n)の要素に各角振動数ωj (n)が含まれており、
各角振動数ωj (n)に関する推定ないし適応的な調整
が行われるので、周期性信号f(n)の各角振動数ωj
(n)の変動に対してロバスト性が発揮される。一方、
各角振動数ωj (n)の計測誤差に関しては、そもそも
直接的な計測が行われないので完全に影響を受けること
がなく、ロバストである。
【0047】したがって本手段によれば、周期性信号f
(n)の特定成分の角振動数ω* jの変動およびその計測
誤差に対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を
提供することができるという効果がある。 (第2手段)本発明の第2手段は、請求項2記載の周期
性信号の適応制御方法である。
【0048】前述の第1手段では、周期性信号f(n)
のうち抑制すべき成分は、各角振動数ω* jが互いに独立
に設定されうるものであった。しかし本手段では、周期
性信号f(n)のうち抑制すべき成分は、角振動数がk
ω0 と表記されるK次の調和振動(基本振動のみ、また
は基本振動およびその高調波)である。それゆえ本手段
では、適応信号y(n)も角振動数kω0 (n)のK次
の調和振動であって、次の数36で表記される適応信号
発生アルゴリズムに従って生成される。
【0049】
【数36】
【0050】一方、適応信号y(n)の各変数を成分と
する適応係数ベクトルW(n)は、適応信号y(n)の
全ての次数の角振動数kω0 を推定すべき要素とするの
ではなく、適応信号y(n)の基本角振動数ω0 (n)
だけを取り上げている。すなわち、適応係数ベクトルW
(n)は、適応信号y(n)の両振幅αk (n),β k
(n)および推定基本角振動数ω0 (n)を成分とし、
W(n)=[・・αk(n)・・,・・βk (n)・
・,ω0 (n)]T と定義される。この適応係数ベクト
ルW(n)は、最小二乗法に基づき、適応係数ベクトル
更新アルゴリズムである次の数37に従って更新され
る。
【0051】
【数37】
【0052】ここでψk は、上記第1手段と同様に、予
め用意されたテーブルデータ等から基本角振動数の推定
値ω0 に応じて上記更新式(数37)に与えられるもの
とする。上記更新式(数37)においては、全ての周波
数成分が動員されて基本角振動数ω0 (n)が推定され
るところに特徴がある。それゆえ、周期性信号f(n)
の基本角振動数ω* 0に変動があった場合にも、基本角振
動数ω0 (n)は速やかにかつ正確に周期性信号f
(n)の基本角振動数ω* 0に収束する。また、本手段で
は前述の第1手段と同様に、周期性信号f(n)の基本
角振動数ω* 0の直接的な計測を行っていないので、その
計測誤差に関しては完全にロバストである。
【0053】本手段でも、更新された適応係数ベクトル
W(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波
信号および各余弦波信号の両振幅αk (n),β
k (n)および推定基本角振動数ω0 (n)が更新され
る。その結果、上記数36の適応信号発生アルゴリズム
は、周期性信号f(n)と正確に相殺して誤差信号e
(n)を低レベルに抑制する適応信号y(n)を発生す
るに至る。
【0054】したがって本手段によれば、調和振動であ
る周期性信号f(n)のk次までの特定成分の基本角振
動数ω* 0の変動およびその計測誤差に対して、ロバスト
な周期性信号の適応制御方法を提供することができると
いう効果がある。 (第3手段)本発明の第3手段は、請求項3記載の周期
性信号の適応制御方法である。
【0055】本手段では、適応信号発生アルゴリズムは
前述の第2手段の適応信号発生アルゴリズムと同一であ
り、適応係数ベクトルW(n)も第2手段と共通であっ
て、適応係数ベクトル更新アルゴリズムだけが前述の第
2手段と異なっている。しかも、次の数38に示す適応
係数ベクトル更新アルゴリズムの各要素の更新式のう
ち、αk (n)およびβk (n)に関する部分は第2手
段と共通であり、推定基本角振動数ω(n)の更新に関
する一要素の分だけが異なっている。
【0056】
【数38】
【0057】すなわち、上記数38に明示されているよ
うに、推定基本角振動数ω0 (n)の更新に使用される
成分は、誤差信号e(n)と適応信号y(n)の一次振
動成分との組み合わせだけである。それゆえ、本手段で
は適応信号y(n)の最高次数Kが大きい場合にも、推
定基本角振動数ω0 (n)の更新式の計算量が増えるこ
とはないので、計算量の節減になり、限定された能力の
プロセッサでの制御計算の実施が容易になる。
【0058】したがって本手段によれば、前述の第2手
段に準ずる効果に加えて、適応制御演算機の計算量の節
減になるという効果もある。 (第4手段)本発明の第4手段は、請求項4記載の周期
性信号の適応制御方法である。本手段では、適応係数ベ
クトルW(n)がW(n)=[・・αj (n)・・,・
・βj (n)・・,・・ψj (n)・・,・・ω
j (n)・・]T と定義されている。すなわち、本手段
の適応係数ベクトルW(n)は、前述の第1手段の適応
係数ベクトルW(n)に比べて、遅延成分(伝達系の位
相遅れ)ψj (n)が適応的に更新されるべき変数に新
たに加わっている。
【0059】それゆえ、適応係数ベクトル更新アルゴリ
ズムは、αj (n),βj (n),ψj (n),ω
j (n)の四種類の要素を更新することになる。ところ
が、勾配ベクトル∇(n)の各要素うち、ψj (n)に
関する要素とωj (n)に関する要素とが同一になって
しまうので、ψj (n)に関する更新式とωj (n)に
関する更新式とが本質的に同一になってしまう。これで
はたいていの場合、ψj (n)に関する更新式とω
j (n)に関する更新式とが互いに干渉し合って適応的
な調整が適正に行われず、誤差信号e(n)は低レベル
に収束することが難しくなる。
【0060】そこで本手段では、適応係数ベクトル更新
アルゴリズムを、次に示すように、数39で表記される
第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと、数40で表
記される第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとに分
けた。
【0061】
【数39】
【0062】
【数40】
【0063】すなわち、上記数39で表記される第1適
応係数ベクトル更新アルゴリズムでは、ψj (n)とω
j (n)とのうちψj (n)のみが更新され、ω
j (n)の成分は全く更新されずに値が保存される。逆
に、上記数40で表記される第2適応係数ベクトル更新
アルゴリズムでは、ωj (n)のみが更新され、ψ
j (n)の成分は全く更新されずに値が保存される。
【0064】そして、適応係数ベクトルW(n)の各成
分は、第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと第2適
応係数ベクトル更新アルゴリズムとがそれぞれ所定回数
ずつ交互に繰り返されて更新されていく。こうすれば、
ψj (n)に関する更新式とωj (n)に関する更新式
とが所定回数毎に交代で行われるので、互いに干渉する
ことがなくなり、適応係数ベクトルW(n)の全ての要
素は適正な値へと収束していく。
【0065】その結果、適応信号発生アルゴリズムであ
る次の数41に従って演算される適応信号y(n)は、
観測点において周期性信号f(n)と逆位相で同振幅と
なり、周期性信号f(n)と相殺するに至る。この際、
もちろん適応信号y(n)の各次数の角振動数ω
j (n)は、周期性信号f(n)の各次数の角振動数ω
* j(n)に収束している。
【0066】
【数41】
【0067】したがって本手段によれば、上記数41に
従って生成される適応信号y(n)のJ次までの各正弦
波信号および各余弦波信号の両振幅αj (n),β
j (n)、遅延成分ψj (n)および角振動数ω
j (n)が適正に更新される。その結果、本手段によれ
ば、伝達系の位相遅れの変動および測定誤差と、周期性
信号f(n)のJ次までの特定成分の振動数ω* jの変動
およびその計測誤差との両方に対して、ロバストな周期
性信号の適応制御方法を提供することができるという効
果がある。
【0068】(第5手段)本発明の第5手段は、請求項
5記載の周期性信号の適応制御方法である。本手段で
は、第1手段に対する第2手段と同様に、前述の第4手
段において必ずしも調和関数ではなかった周期性信号f
(n)および適応信号y(n)を調和関数であるものと
している。そして、J個の角振動数ωj を推定する代わ
りに、周期性信号f(n)の基本角振動数ω* 0の推定値
として、適応信号y(n)の基本角振動数ω0 (n)の
推定が行われる。
【0069】すなわち、適応係数ベクトルW(n)は、
W(n)=[・・αk (n)・・,・・βk (n)・
・,・・ψk (n)・・,ω0 (n)]T と定義されて
おり、推定すべき角振動数の成分は基本角振動数ω
0 (n)ただ一つである。それゆえ、適応係数ベクトル
更新アルゴリズムは、次の数42で表記される第1適応
係数ベクトル更新アルゴリズムと、数43で表記される
第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとに分かれてお
り、両者が所定回数ずつ交互に演算される。
【0070】
【数42】
【0071】
【数43】
【0072】上記更新式のうち、数42においては、各
次数の位相遅れψk (n)が更新され、数43において
は、全ての周波数成分が動員されて基本角振動数ω
(n)が推定される。それゆえ、伝達系の位相遅れ特性
が変動しても、上記数42の更新式で適応的に各次数の
位相遅れψk (n)が調整され、適正な値に収束してい
く。また、周期性信号f(n)の基本角振動数ω* 0に変
動があった場合にも、適応信号y(n)の推定基本角振
動数ω0 (n)は、速やかにかつ正確に周期性信号f
(n)の基本角振動数ω* 0に収束する。
【0073】なお、本手段では前述の第3手段と同様
に、伝達系の位相遅れ特性に関する予備計測等を必要と
せず、適応的に各次数の位相遅れψk (n)が調整され
るので、伝達系の位相遅れ特性の変動や計測誤差に対し
てロバストである。同様に、基本角振動数ω0 (n)の
推定が全ての周波数成分が動員されて行われているの
で、基本角振動数ω0 (n)の変動に対してロバスト性
を有する。また、本手段では前述の第3手段と同様に、
周期性信号f(n)の基本角振動数ω* 0の計測を行って
いないので、その計測誤差に関しては完全にロバストで
ある。
【0074】本手段でも、更新された適応係数ベクトル
W(n)の成分をもって、適応信号y(n)のK次まで
の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α
k (n),β k (n)、位相遅れψk (n)および推定
基本角振動数ω0 (n)が更新される。その結果、次の
数44で定義される適応信号発生アルゴリズムは、周期
性信号f(n)のk次までの特定成分と正確に相殺して
誤差信号e(n)を低レベルに抑制する適応信号y
(n)を発生するに至る。
【0075】
【数44】
【0076】したがって本手段によれば、周期性信号f
(n)が調和関数である場合に、伝達系の位相遅れの変
動および測定誤差と、周期性信号f(n)の振動数ω* k
の変動およびその計測誤差との両方に対して、ロバスト
な周期性信号の適応制御方法を提供することができると
いう効果がある。 (第6手段)本発明の第6手段は、請求項6記載の周期
性信号の適応制御方法である。
【0077】本手段では、前述の第2手段に対する第3
手段と同様に、第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム
において、適応信号y(n)の基本角振動数ω(n)の
更新式が基本振動成分に基づいて行われる点が、前述の
第5手段と異なっている。すなわち、適応係数ベクトル
W(n)は、第5手段と同様に、W(n)=[・・α k
(n)・・,・・βk (n)・・,・・ψk (n)・
・,ω0 (n)]T と定義されている。適応係数ベクト
ル更新アルゴリズムは、数45に示す第1適応係数ベク
トル更新アルゴリズムと、数46に示す第2適応係数ベ
クトル更新アルゴリズムとに分かれており、交互に所定
回数ずつ演算される。
【0078】
【数45】
【0079】
【数46】
【0080】本手段でも、更新された適応係数ベクトル
W(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波
信号および各余弦波信号の両振幅αk (n),β
k (n)、位相遅れψk (n)および推定基本角振動数
ω0 (n)が更新される。その結果、前述の第5手段と
同一の適応信号発生アルゴリズム(上記数44)は、周
期性信号f(n)のk次までの特性成分と正確に相殺し
て誤差信号e(n)を低レベルに抑制する適応信号y
(n)を発生するに至る。
【0081】したがって本手段によれば、前述の第5手
段に準ずる効果に加えて、第2適応係数ベクトル更新ア
ルゴリズム(上記数46)での演算量が減るので、演算
負荷が低減されるという効果がある。 (効果のまとめ)以上をまとめると、第1手段から第3
手段のうちいずれによっても前述の解決すべき課題のう
ち第1の課題が達成され、第4手段から第6手段のうち
いずれによっても前述の解決すべき課題のうち第2の課
題が達成される。
【0082】すなわち、第1手段ないし第3手段によれ
ば、周期性信号f(n)の角振動数ω* jまたは基本角振
動数ω* 0の変動およびその計測誤差に対して、ロバスト
な周期性信号の適応制御方法を提供することができると
いう効果がある。一方、第4手段ないし第6手段によれ
ば、伝達系の位相遅れの変動および測定誤差と、周期性
信号f(n)の振動数ω* jまたは基本角振動数ω* 0の変
動およびその計測誤差との両方に対して、ロバストな周
期性信号の適応制御方法を提供することができるという
効果がある。
【0083】
【発明の実施の形態および実施例】本発明の周期性信号
の適応制御方法の実施の形態については、当業者に実施
可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十
分に説明する。 [実施例1] (実施例1の導出)本発明の実施例1としての周期性信
号の適応制御方法は、以下のようにして理論的に導出さ
れる。
【0084】先ず、周期性信号f(n)は、互いに任意
の関係にある各角振動数ω* j(1≦j≦J’、jおよび
J’は自然数)の正弦波成分からなるものとし、直交表
現で次の数47のように表記されるものとする。
【0085】
【数47】
【0086】ただし、上記正弦波成分の第j次成分の振
幅はa* j=(α* j 2+β* j 21/2 、第j次成分の位相は
φ* j=tan-1(β* j/α* j)であり、J’は角振動数
ω* jの数(1≦j≦J’)、Tはサンプリング周期、ψ
* jは伝達系の遅延成分(位相遅れ)、ω* jは上記各正弦
波成分の角振動数である。この周期性信号f(n)は観
測点に加えられるので、適応制御アルゴリズムを内蔵し
ている制御装置は、周期性信号f(n)の各周波数成分
に対し同一の振幅で逆位相の周波数成分を含む適応信号
y(n)を観測点に加える。そうすれば、観測点におい
て周期性信号f(n)の特定成分(適応信号y(n)に
含まれている成分)と適応信号y(n)とが相殺し合
い、観測点で観測される誤差信号e(n)=f(n)+
y(n)が低レベルに抑制されるであろうと目論んでの
ことである。適応信号y(n)は、次の数48に示す適
応信号発生アルゴリズムに従って生成される。
【0087】
【数48】
【0088】ここで、自然数Jは角振動数ωj の数であ
って1≦j≦J≦J’の範囲にあり、適応信号y(n)
は、必ずしも周期性信号f(n)の全ての成分(J’
個)を含んでいるわけではない。すなわち、通常は少な
からずある周期性信号f(n)の各周波数成分のうち、
抑制すべき主要なJ個の周波数成分だけを選定して、適
応信号y(n)により相殺することを図るものとする。
【0089】抑制されるべき観測点での誤差信号e
(n)=f(n)+y(n)の評価には、瞬時誤差の二
乗である評価関数I(n)=e2 (n)= {f(n)
+y(n)} 2 を使用することにする。そして、適応
的に更新されて調整される適応係数ベクトルW(n)に
は、角振動数ωk 成分の推定も加え、W(n)=[・・
αj (n)・・,・・βj (n)・・、・・ωj (n)
・・]T と定義する。
【0090】このとき、最小二乗法の適用に供する勾配
ベクトル∇(n)=∂I(n)/∂W(n)は、次の数
49に示すように展開される。
【0091】
【数49】
【0092】そこで、適正なステップサイズパラメータ
μ,μf を設定すれば、適応係数ベクトルW(n)は、
次の数50で表記される適応係数ベクトル更新アルゴリ
ズムにより更新されていくものとする。
【0093】
【数50】
【0094】以上で、適応信号発生アルゴリズム(上記
数48)と適応係数ベクトル更新アルゴリズム(上記数
50)とが導き出され、本実施例の周期性信号の適応制
御方法の実施が可能になった。 (実施例1の構成)本発明の実施例1としての周期性信
号の適応制御方法は、図1に示すように、周期性信号源
21から発生する周期性信号f(n)の観測点24への
影響を能動的に抑制する制御方法である。
【0095】すなわち、少なくとも一つの角振動数ω* j
(1≦j≦J’、jおよびJ’は自然数)の信号成分を
含み観測点24に影響を及ぼす周期性信号f(n)が周
期性信号源21から発生する。この周期性信号f(n)
に対し、角振動数ω* jのうちJ個の推定値である推定角
振動数ωj (n)(1≦j≦J≦J’、Jも自然数)を
角振動数とする正弦波信号からなる適応信号y(n)
が、観測点24に逆位相で直接、加えられる。本実施例
は、この適応信号y(n)によって周期性信号f(n)
の特定成分の観測点24への影響を能動的に除去し、観
測点24で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期
性信号の適応制御方法である。
【0096】本実施例の周期性信号の適応制御方法は、
適応信号発生アルゴリズム11と適応係数ベクトル更新
アルゴリズム12とを、適応制御アルゴリズム1として
有する。適応信号発生アルゴリズム11は、離散時間に
おける時刻nにおいて、適応信号y(n)を次の数51
に従って発生させるアルゴリズムである。
【0097】
【数51】
【0098】一方、適応係数ベクトル更新アルゴリズム
12は、この適応信号y(n)の両振幅αj (n),β
j (n)および角振動数ωj (n)を成分とする適応係
数ベクトルW(n)=[・・αj (n)・・,・・βj
(n)・・,・・ωj (n)・・]T を、次の数52に
従って更新するアルゴリズムである。
【0099】
【数52】
【0100】そして、適応係数ベクトル更新アルゴリズ
ム12によって更新された適応係数ベクトルW(n)の
成分をもって、適応信号y(n)の各正弦波信号および
各余弦波信号の両振幅αj (n),βj (n)および角
振動数ωj (n)が更新される。なお、位相遅れψ
k は、別途行われた予備試験により予め用意されている
テーブルデータ等から、推定角振動数ωj (n)に対応
して所定の周期毎に適正な値に更新されるものとする。
【0101】(実施例1の作用効果)本実施例の周期性
信号の適応制御方法は、以上のように構成されているの
で、以下のような作用効果を発揮する。本実施例の周期
性信号の適応制御方法は、離散時間における時刻nにお
いて、適応信号発生アルゴリズム11が適応信号y
(n)を上記数51に従って発生させる。この際、伝達
系の遅延(位相遅れ)ψj は、予め周波数を掃引しなが
ら伝達系に正弦波を入力して行うスウィープテスト等に
より計測されている値がテーブルデータ等から与えられ
るものとする。
【0102】この適応信号y(n)は、観測点で周期性
信号f(n)と合成されて周期性信号f(n)と相殺し
合い、両者の合成である誤差信号e(n)=f(n)+
y(n)のレベルを低減するように調整されなければな
らない。そこで、適応信号y(n)の両振幅α
j (n),βj (n)および角振動数ωj (n)を成分
とする適応係数ベクトルW(n)=[・・αj (n)・
・,・・βj (n)・・,・・ωj (n)・・]T が適
応的に更新されて調整される。すなわち、適応係数ベク
トル更新アルゴリズム12は、最小二乗法に基づく上記
数52に従って上記適応係数ベクトルW(n)の各要素
を更新する。
【0103】そして本実施例では、更新された該適応係
数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)
の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α
j (n),β j (n)および角振動数ωj (n)が更新
される。すると、適応係数ベクトルW(n)の要素に各
角振動数ωj (n)が含まれており、各角振動数ω
j (n)に関する推定ないし適応的な調整が行われるの
で、周期性信号f(n)の特定成分の各角振動数ω
j (n)の変動に対してロバスト性が発揮される。
【0104】すなわち、周期性信号f(n)の角振動数
ω* jが比較的安定している場合には、各角振動数ω
j (n)の計測誤差に関しては、そもそも計測が行われ
ないので完全に影響を受けることがなく、ロバストであ
る。一方、周期性信号f(n)の角振動数ωj *の変動や
ノイズが大きい場合には、これらが小さい場合のように
は誤差信号e(n)の収束特性は速やかではない。しか
しこの場合にも、角振動数ωj *を計測してその計測値を
利用し、計測誤差を動的に補正するなどの処置を取れ
ば、より高い精度での適応制御が可能になる。
【0105】したがって本実施例によれば、周期性信号
f(n)の抑制すべき特定成分の角振動数ω* jの変動お
よびその計測誤差に対して、ロバストな周期性信号の適
応制御方法を提供することができるという効果がある。 (実施例1の数値シミュレーション)以上の本実施例の
周期性信号の適応制御方法の作用効果を確認するため
に、発明者らは数値シミュレーションをいくつか行った
ので、その結果の一部をここに紹介する。
【0106】先ず、数値試験1として、周波数の推定機
能を確認する数値シミュレーションを行った。同数値シ
ミュレーションでは、周期性信号f(n)として60H
zの単一正弦波を入力とした。その際の条件としては、
サンプリング周波数は3.6kHzであり、振幅a
(n)および位相φ(n)の直交成分であるα(n),
β(n)の更新用ステップサイズパラメータはμ=0.
05、角振動数ω(n)の更新用ステップサイズパラメ
ータはμf =1.7×10-2であった。
【0107】本数値シミュレーションでは、二つのケー
スが設定された。第1のケースでは、適応制御アルゴリ
ズム1での適応係数ベクトルW(n)の初期値を、α
(0)=0,β(0)=0とし、角振動数の初期値ω
(0)を真値である60Hz相当に設定して数値シミュ
レーションを行った。第2のケースでは、適応係数ベク
トルW(n)の初期値のうち、α(0)=0,β(0)
=0である点は第1のケースと同様であるが、角振動数
の初期値ω(0)を50Hz相当として10Hz相当の
初期誤差を与えて数値シミュレーションを行った。
【0108】その結果、図2に示すように、角振動数の
初期値ω(0)に真値を与えた場合には約1000回弱
のイタレーションで収束し、角振動数の初期値ω(0)
に10Hz分の誤差を与えた場合には約1400回のイ
タレーションで収束した。すなわち、いずれのケースに
おいても、0.4秒以内に適応動作が完了しており、そ
の際の誤差信号e(n)の低減レベルは70dB程度で
あって極めて優れた収束特性が明示されている。
【0109】また、図3に示すように、適応信号y
(n)の角振動数ω(n)は、約1000回強のイタレ
ーションで真値に収束している。以上の数値シミュレー
ションから、本実施例の周期性信号の適応制御方法は、
周期性信号f(n)の角振動数ω* の変動や計測誤差に
対して、ロバスト性を有することが明らかになった。
【0110】次に、数値試験2として、周期性信号f
(n)が一次から三次の調和振動である場合の数値シミ
ュレーションを行い、三つの角振動数成分に対して本実
施例の周期性信号の適応制御方法がいかに適応するかを
確認した。本数値シミュレーションでは、周期性信号f
(n)の一次から三次の周波数は、それぞれ60Hz,
120Hz,180Hzに設定されていた。これに対
し、三成分の適応信号y(n)の角振動数の初期値ωk
(n)(k=1,2,3)は、それぞれ50Hz,10
0Hz,150Hz相当に設定されていた。その他の条
件は、前述の数値試験1と同様である。
【0111】その結果、図4に示すように、約2000
回強のイタレーションで適応制御アルゴリズム1は収束
し、70dBを超える誤差信号e(n)の低減レベルが
発揮された。その際、図5に示すように、各角振動数ω
j (n)の推定値は2000回未満のイタレーションで
収束しており、それ以後は2000回強のイタレーショ
ンに至るまで、各次数のαj (n)およびβj (n)の
微調整に費やされているものと推測される。ここで、各
角振動数ωj (n)の収束波形がそれぞれ異なっている
ことから、各角振動数ωj (n)は、互いに関連がある
調和振動(基本振動およびその高調波)としてではな
く、それぞれ互いに独立に更新されていることが明らか
である。
【0112】この数値試験2から、本実施例の周期性信
号の適応制御方法は、複数の周波数成分からなる周期性
信号f(n)の角振動数ω* jの変動や計測誤差に対して
も、ロバスト性を有して速やかに適応することができる
ことが明らかになった。本実施例ではさらに、数値試験
3として、推定されるべき周期性信号f(n)の周波数
を60Hzとしたまま、適応係数ベクトルW(n)中の
角振動数の初期値ω(0)を20〜180Hzの範囲で
変更して数値シミュレーションを行った。この際、サン
プリング周期は同じく3.6kHzであるが、適応制御
に許されるイタレーションを5000回(約1.4秒の
短時間)に限定し、この間にどの程度誤差信号e(n)
の抑制機能を発揮できるかを検討した。
【0113】その結果、図6に示すように、角振動数の
初期値ω(0)が20Hzから170Hz強に至るま
で、上記短時間の間に適応制御に成功している。この結
果から、適正な角振動数の初期値ω(0)の設定範囲
は、比較的この面でのロバスト性が高かった従来技術1
と比較しても、かなり広く許容されることが分かる。そ
れゆえ、本実施例の周期性信号の適応制御方法は、角振
動数の初期値ω(0)の設定範囲についても、極めて高
いロバスト性を有することが明らかになった。
【0114】なお、プログラミング技法上の問題である
が、前述の数値シミュレーションのいずれにおいても、
離散時刻nがオーバーフローしないように、適当な周期
をおいて剰余が取られている。具体的には、本実施例の
数値シミュレーションでは、毎秒に一度、サンプリング
周期Tの逆数1/Tに関して離散時刻nの剰余n mod
(1/T)を取っている。別法として、適当な周期毎に
離散時刻nの剰余n mod{2π/ω0 (n)T}が取ら
れても良い。
【0115】この離散時刻nのオーバーフローを防止す
るプログラミング技法は、本実施例の数値シミュレーシ
ョンだけではなく、後述の実施例の数値シミュレーショ
ンにおいても同様に採用されている。 (実施例1の変形態様1)本実施例の変形態様1とし
て、周期性信号f(n)のうちその影響を抑制すべき成
分が調和関数(基本振動のみ、または基本振動およびそ
の高調波)である場合に限っては、推定する角振動数を
基本角振動数のみに絞った周期性信号の適応制御方法の
実施が可能である。
【0116】すなわち、基本角振動数ω* 0からそのK’
次までの高次角振動数kω* 0(1≦k≦K’、kおよび
K’は自然数)の信号成分を含み観測点24(図1参
照)に影響を及ぼす周期性信号f(n)を想定する。こ
の周期性信号f(n)に対し、基本角振動数ω* 0の推定
値である推定基本角振動数ω0 (n)から推定基本角振
動数ω0 (n)のK次までの推定高次角振動数kω
0 (n)(1≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分
からなる適応信号y(n)を発生させる。そしてこの適
応信号y(n)を、逆位相で直接または間接的に加える
ことによって、周期性信号f(n)のK次までの信号成
分の観測点への影響を能動的に除去し、観測点24で検
知される誤差信号e(n)を抑制することができる。
【0117】本変形態様の適応信号発生アルゴリズム1
1は、離散時間における時刻nにおいて、適応信号y
(n)を次の数53に従って発生させるアルゴリズムで
あり、適応信号y(n)が調和関数で構成されている点
が実施例1と異なる。
【0118】
【数53】
【0119】一方、適応的に更新されるべき適応係数ベ
クトルW(n)は、適応信号y(n)の両振幅α
k (n),βk (n)および前記推定基本角振動数ω
(n)を成分とし、適応係数ベクトルW(n)=[・・
αk (n)・・,・・βk (n)・・,ω0 (n)]T
と定義される。本変形態様の適応係数ベクトルW(n)
は、角振動数の要素が基本角振動数ω0 (n)ただ一つ
になっている点が、実施例1と異なっている。
【0120】本変形態様の適応係数ベクトル更新アルゴ
リズム12は、適応係数ベクトルW(n)を次の数54
に従って更新するアルゴリズムである。
【0121】
【数54】
【0122】上記数54によって更新されていく適応係
数ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)
の各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅α
k (n),β k (n)および推定基本角振動数ω
0 (n)が、離散時刻nの経過毎に更新される。上記更
新式(数54)においては、全ての周波数成分が動員さ
れて基本角振動数ω0 (n)が推定されるところに特徴
がある。それゆえ、周期性信号f(n)の基本角振動数
ω* 0に変動があった場合にも、基本角振動数ω0 (n)
は、速やかにかつ正確に周期性信号f(n)のK次まで
の特定成分の基本角振動数ω* 0に収束する。また、本変
形態様では、前述の実施例1と同様に、周期性信号f
(n)の基本角振動数ω* 0の計測を行っていないので、
その計測誤差に関してはロバストである。
【0123】本変形態様では、更新された適応係数ベク
トルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正
弦波信号および各余弦波信号の両振幅αk (n),βk
(n)および推定基本角振動数ω0 (n)が更新され
る。その結果、上記数53の適応信号発生アルゴリズム
は、周期性信号f(n)のK次までの特定成分と正確に
相殺して誤差信号e(n)を低レベルに抑制する適応信
号y(n)を発生するに至る。
【0124】したがって本変形態様によれば、調和振動
である周期性信号f(n)の基本角振動数ω* 0の変動お
よびその計測誤差に対して、ロバストな周期性信号の適
応制御方法を提供することができるという効果がある。 (実施例1の変形態様2)本実施例の変形態様2とし
て、以上の変形態様1において、適応係数ベクトル更新
アルゴリズム12の基本角振動数ω(n)の更新式のみ
を簡略化した適応係数ベクトル更新アルゴリズム12を
使用する周期性信号の適応制御方法の実施が可能であ
る。
【0125】本手段では、適応信号発生アルゴリズム1
1は、前述の変形態様1の適応信号発生アルゴリズムと
同一であって、次の数55に示すように、適応信号y
(n)はK次の調和関数である(Kは自然数)。
【0126】
【数55】
【0127】適応係数ベクトルW(n)も前述の変形態
様1と共通であって、適応係数ベクトル更新アルゴリズ
ム12だけが前述の変形態様1と異なっている。しか
も、次の数56に示す適応係数ベクトル更新アルゴリズ
ムの各要素の更新式のうち、α k (n)およびβ
k (n)に関する部分は変形態様1と共通であり、推定
基本角振動数ω0 (n)の更新に関する一要素の分だけ
が変形態様1と異なっている。
【0128】
【数56】
【0129】すなわち、上記数56に明示されているよ
うに、推定基本角振動数ω0 (n)の更新に使用される
成分は、適応信号y(n)の一次振動成分(基本振動成
分)と誤差信号e(n)との組み合わせだけである。そ
れゆえ本変形態様では、適応信号y(n)の最高次数K
が大きい場合にも、推定基本角振動数ω0 (n)の更新
式の計算量が増えることはないので、計算量の節減にな
り、限定された能力のプロセッサでの制御計算の実施が
容易になる。
【0130】したがって本変形態様によれば、前述の変
形態様1に準ずる効果に加えて、適応制御演算機の計算
量の節減になるという効果もある。それゆえ、本変形態
様の方が前述の変形態様1よりも実用性に富んでいる。 [実施例2] (実施例2の必要性)本発明の実施例2としての周期性
信号の適応制御方法は、各振動成分の角振動数の推定機
能に加えて、伝達系の遅延成分(位相遅れ)の推定機能
をもつことを特徴としている。
【0131】前述の実施例1では、各振動成分の角振動
数の推定機能については満足すべき性能が得られている
旨の説明があったが、伝達系の遅延成分の変動や計測誤
差についての評価はなされていない。実施例1では、伝
達系の遅延成分(位相遅れ)については、予めスウィー
プテスト等で準備されており角振動数の変動に応じて与
えられるものとしていたので、伝達系の遅延成分につい
てのロバスト性は評価の対象にされていない。
【0132】逆に、前述の従来技術の説明により、直交
型拡張DXHSアルゴリズム(従来技術2’)では、伝
達系の遅延成分(位相遅れ)の変動にはロバスト性が発
揮される反面、角振動数の計測誤差や変動に対してはロ
バスト性が欠如していることが明らかになっている。そ
こで、本実施例では、各振動成分の角振動数の推定機能
に加えて、伝達系の遅延成分(位相遅れ)の推定機能を
も有する周期性信号の適応制御方法を提供することにす
る。
【0133】(実施例2の構成)すなわち、本実施例の
周期性信号の適応制御方法は、以下のような特徴を備え
ている。図7に示すように、本実施例では、周期性信号
源21が、少なくとも一つの角振動数ω* j(1≦j≦
J’、jおよびJ’は自然数)の信号成分を含み観測点
24に影響を及ぼす周期性信号f(n)を発生させる。
そして、周期性信号f(n)は、観測点24に加えられ
る。ここで、周期性信号f(n)の角振動数ω* jは基本
振動とその高調波とであることを要せず、これらの角振
動数ω* jの互いの関係は任意に設定され得るものとす
る。
【0134】この周期性信号f(n)に対し、角振動数
ω* jのうちJ個の推定値である推定角振動数ωj (n)
(1≦j≦J≦J’、Jも自然数)を角振動数とする正
弦波信号からなる適応信号y(n)が、適応信号発生ア
ルゴリズム11によって生成され、観測点24に加えら
れる。その結果、周期性信号f(n)と適応信号y
(n)とが互いに相殺し合えば、周期性信号f(n)の
特定成分の観測点24への影響は能動的に除去され、観
測点24で検知される誤差信号e(n)は低レベルに抑
制される。
【0135】適応信号発生アルゴリズム11は、離散時
間における時刻nにおいて、適応信号y(n)を次の数
57に従って発生させるアルゴリズムである。
【0136】
【数57】
【0137】ここで、適応係数ベクトルW(n)は、適
応信号y(n)の両振幅αj (n),βj (n)、遅延
成分ψj (n)および角振動数ωj (n)を成分とし、
W(n)=[・・αj (n)・・,・・βj (n)・
・,・・ψj (n)・・,・・ωj (n)・・]T と定
義されている。適応係数ベクトルW(n)を更新するの
は適応係数ベクトル更新アルゴリズム12であるが、本
実施例では適応係数ベクトル更新アルゴリズム12が二
種類のアルゴリズムに分かれている。すなわち、適応係
数ベクトル更新アルゴリズム12は、次の数58に示す
第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’と、次の
数59に示す第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム1
2”との二つがある。
【0138】
【数58】
【0139】
【数59】
【0140】第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム1
2’と第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”と
は、それぞれ所定回数ずつ交互に繰り返して演算され
る。同所定回数は、両アルゴリズム12’,12”で同
一である必要はなく、またシステムの状態によって適宜
変更されても良い。両アルゴリズム12’,12”がそ
れぞれ繰り返して演算されるうちに、適応係数ベクトル
W(n)は適応的に更新されていく。そして、適応係数
ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の
各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅αj (n),
βj (n)、遅延成分ψj (n)および角振動数ω
j (n)が更新される。
【0141】(実施例2の作用効果)本実施例では、適
応係数ベクトルW(n)が、W(n)=[・・α
j (n)・・,・・βj (n)・・,・・ψj (n)・
・,・・ωj (n)・・]T と定義されている。すなわ
ち、適応係数ベクトルW(n)は、前述の実施例1の適
応係数ベクトルW(n)に比べて、新たに遅延成分(伝
達系の位相遅れ)ψj (n)が、適応的に更新されるべ
き変数に加わっている。
【0142】それゆえ、適応係数ベクトル更新アルゴリ
ズム12は、αj (n),βj (n),ψj (n),ω
j (n)の四種類の要素を更新することになる。ところ
が、勾配ベクトル∇(n)=∂I(n)/∂W(n)を
展開してみると、次の数60に示すように、その各要素
うちψj (n)に関する要素とωj (n)に関する要素
とが同一になってしまう。
【0143】
【数60】
【0144】それゆえ、上記数60の勾配ベクトル∇
(n)に基づいて適応係数ベクトル更新アルゴリズム1
2を定めると、伝達系の位相遅れψj (n)に関する更
新式と角振動数ωj (n)に関する更新式とが、本質的
に同一になってしまう。これではたいていの場合に、位
相遅れψj (n)に関する更新式とωj (n)に関する
更新式とが互いに干渉し合ってしまう。その結果、適応
的な調整が適正に行われず、誤差信号e(n)は低レベ
ルに収束することが難しくなる。
【0145】そこで本実施例では、適応係数ベクトル更
新アルゴリズム12を、第1適応係数ベクトル更新アル
ゴリズム12’(上記数58)と、第2適応係数ベクト
ル更新アルゴリズム12”(上記数59)とに分けた。
すなわち、第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム1
2’(上記数58)では、ψj (n)とωj (n)との
うちψj (n)のみが更新され、ωj (n)の成分は全
く更新されずに値が保存される。逆に、第2適応係数ベ
クトル更新アルゴリズム12”(上記数59)では、ω
j (n)のみが更新され、ψj (n)の成分は全く更新
されずに値が保存される。
【0146】そして、適応係数ベクトルW(n)の各成
分は、第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’と
第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”とが、そ
れぞれ所定回数ずつ交互に繰り返されていく間に更新さ
れていく。こうすれば、ψj(n)に関する更新式とω
j (n)に関する更新式とが同時には作用せず、所定回
数毎に交代で行われるので、互いに干渉することが防止
される。その結果、適応係数ベクトルW(n)の全ての
要素は、適応的に調整されて適正な値へと収束していく
ようになる。
【0147】すると、適応信号発生アルゴリズム11
(上記数57)によって生成される適応信号y(n)
は、観測点24において周期性信号f(n)と逆位相で
同振幅となり、周期性信号f(n)と相殺するに至る。
この際、もちろん適応信号y(n)の各次数の角振動数
ωj (n)は、周期性信号f(n)の抑制すべき特定成
分の角振動数ω* j(n)に収束している。
【0148】したがって本実施例によれば、適応信号発
生アルゴリズム11(上記数57)により生成される適
応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波信号の両
振幅αj (n),βj (n)、遅延成分ψj (n)およ
び角振動数ωj (n)が適正に更新される。その結果、
本実施例によれば、伝達系の位相遅れψ* jの変動および
測定誤差と、周期性信号f(n)の角振動数ω* jの変動
およびその計測誤差との両方に対して、ロバストな周期
性信号の適応制御方法を提供することができるという効
果がある。
【0149】(実施例2の数値シミュレーション)本実
施例の周期性信号の適応制御方法の効果を確認する目的
で、数値試験(数値シミュレーション)を行ったので、
ここに簡潔に報告する。その際に設定された条件は、以
下の通りである。先ず、周期性信号f(n)は単一成分
の正弦波関数であり、サンプリング周期は実施例1の各
数値試験と同じ3.6kHzである。また、αj (n)
およびβ j (n)のステップサイズパラメータは、遅延
時間推定時(適応係数ベクトル更新アルゴリズム1
2’)にはμ1 =0.005であり、角振動数推定時
(適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”)にはμ2
=0.05である。さらに、伝達系の遅延成分(位相遅
れ)ψ(n)のステップサイズパラメータはμd =1.
5×10-9であり、角振動数ω(n)のステップサイズ
パラメータはμf =1.7×10-2である。
【0150】次に、伝達系の遅延成分(位相遅れ)の真
値ψ* =1080°に対し、推定値はψ(0)=117
0°と、90°の誤差をもって初期値の設定がなされ
た。同様に、周期性信号f(n)の角振動数ω* が周波
数60Hz相当であるのに対し、推定値ω(0)は周波
数50Hz相当と、10Hz相当の誤差をもって初期値
の設定がなされた。
【0151】そして、遅延時間の推定に重点を置いて両
適応係数ベクトル更新アルゴリズム12’,12”の演
算回数を設定した。すなわち、ψ(n)を更新する適応
係数ベクトル更新アルゴリズム12’(上記数58)を
95回演算した後、ω(n)を更新する適応係数ベクト
ル更新アルゴリズム12”を1回演算し、以後これを繰
り返すように設定した。
【0152】その結果、図8に示すように、一万回程度
のイタレーションで約70dBの誤差信号e(n)レベ
ルの低減効果が得られるという数値試験結果が得られ
た。以上の数値試験から、本実施例の周期性信号の適応
制御方法は、伝達系の位相遅れψ* jの変動および測定誤
差と、周期性信号f(n)の振動数ω* jの変動およびそ
の計測誤差との両方に対して、ロバストであることが明
らかになった。
【0153】(実施例2の変形態様1)本実施例の変形
態様1として、実施例1に対するその変形態様1と同様
に、周期性信号f(n)のうち抑制すべき特定成分が調
和関数(基本振動だけであるか、または基本振動および
その高調波)である場合を想定する。この場合には、適
応係数ベクトルW(n)のうち角振動数の成分を基本角
振動数ω0 (n)のみに限定した周期性信号の適応制御
方法を、実施することが可能になる。
【0154】本変形態様では、基本角振動数ω* 0からそ
のK’次までの高次角振動数kω* 0(1≦k≦K’)の
信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号f
(n)に対して周期性信号の適応制御方法が適用され
る。この周期性信号f(n)は、周期性信号源21によ
り生成され、観測点24に加えられる。これに対して、
基本角振動数ω* 0の推定値である推定基本角振動数ω0
(n)から推定基本角振動数ω0 (n)のK次までの推
定高次角振動数kω0 (n)(1≦k≦K≦K’)の信
号成分からなる適応信号y(n)が、観測点24加えら
れる。
【0155】そして観測点24で、周期性信号f(n)
と適応信号y(n)とが互いに相殺し合うことによっ
て、周期性信号f(n)のK次までの信号成分の観測点
24への影響が能動的に除去される。その結果、観測点
24で検知される誤差信号e(n)のレベルは低く抑制
されるに至る。すなわち、適応信号発生アルゴリズム1
1は、離散時間における時刻nにおいて、適応信号y
(n)を次の数61に従って発生させる。
【0156】
【数61】
【0157】ここで、適応係数ベクトルW(n)は、適
応信号y(n)の両振幅αk (n),βk (n)、遅延
成分ψk (n)および前記推定基本角振動数ω0 (n)
を成分とし、W(n)=[・・αk (n)・・,・・β
k (n)・・,・・ψk (n)・・,ω0 (n)]T
定義されている。適応係数ベクトルW(n)のうち、角
振動数の成分は基本角振動数ω(n)のみに限定されて
いる。
【0158】適応係数ベクトル更新アルゴリズム12
は、前述の実施例2と同様の理由で、次の数62に従っ
て更新する第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム1
2’と、次の数63に従って更新する第2適応係数ベク
トル更新アルゴリズム12”とに分かれている。
【0159】
【数62】
【0160】
【数63】
【0161】ここで、上記数62の第1適応係数ベクト
ル更新アルゴリズム12’は、前述の実施例2のものと
同一である。本変形態様でも、第1適応係数ベクトル更
新アルゴリズム12’と該第2適応係数ベクトル更新ア
ルゴリズム12”とが、それぞれ所定回数ずつ交互に繰
り返して演算される。こうして更新されていく適応係数
ベクトルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の
各正弦波信号および各余弦波信号の両振幅αk (n),
βk (n)、遅延成分ψk (n)および該推定基本角振
動数ω0 (n)が更新される。
【0162】上記更新式12’,12”のうち、数62
においては、各次数の位相遅れψk(n)が更新され、
数63においては、全ての周波数成分が動員されて基本
角振動数ω0 (n)が推定される。それゆえ、伝達系の
位相遅れ特性が変動しても、上記数62の更新式で適応
的に各次数の位相遅れψk (n)が調整され、適正な値
に収束していく。また、周期性信号f(n)の基本角振
動数ω* 0に変動があった場合にも、適応信号y(n)の
基本角振動数ω0 (n)は速やかにかつ正確に周期性信
号f(n)の基本角振動数ω* 0に収束する。
【0163】なお、本変形態様では前述の実施例2と同
様に、伝達系の位相遅れ特性に関する予備計測等を必要
とせず、適応的に各次数の位相遅れψk (n)が調整さ
れるので、伝達系の位相遅れ特性の変動や計測誤差に対
してロバストである。同様に、基本角振動数ω0 (n)
の推定が全ての周波数成分が動員されて速やかに行われ
ているので、基本角振動数ω0 (n)の変動に対してロ
バスト性を有する。また、本手段では前述の実施例2と
同様に、周期性信号f(n)の基本角振動数ω * 0の計測
を行っていないので、その計測誤差に関してはロバスト
である。
【0164】本変形態様でも、更新された適応係数ベク
トルW(n)の成分をもって、適応信号y(n)の各正
弦波信号および各余弦波信号の両振幅αk (n),βk
(n)、位相遅れψk (n)および推定基本角振動数ω
0 (n)が更新される。その結果、上記数61の適応信
号発生アルゴリズム11は、周期性信号f(n)のK次
までの特定成分と正確に相殺して誤差信号e(n)を低
レベルに抑制する適応信号y(n)を発生するに至る。
【0165】したがって本変形態様によれば、周期性信
号f(n)が調和関数である場合に、伝達系の位相遅れ
の変動および測定誤差と、周期性信号f(n)の各次数
の角振動数kω* 0の変動およびその計測誤差との両方に
対して、ロバストな周期性信号の適応制御方法を提供す
ることができるという効果がある。 (実施例2の変形態様2)本実施例の変形態様2とし
て、実施例1の変形態様1に対する同変形態様2と同様
に、適応係数ベクトル更新アルゴリズム12のうち第2
適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”のみが異なる
周期性信号の適応制御方法の実施が可能である。
【0166】すなわち、本変形態様では、適応信号発生
アルゴリズム11(上記数61)および第1適応係数ベ
クトル更新アルゴリズム12’(上記数62)は、前述
の実施例2の変形態様1のものと同一である。異なるの
は、第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム12”のみ
であり、しかもそのうち最後の基本角振動数ω(n)の
成分の更新式が異なっているのみである。すなわち、適
応係数ベクトル更新アルゴリズム12”においては、次
の数64に示すように、基本角振動数ω(n)の成分の
更新式は一次成分(基本振動成分)のみで演算される。
【0167】
【数64】
【0168】それゆえ、基本角振動数ω0 (n)の成分
の更新式において、前述の変形態様1の第2適応係数ベ
クトル更新アルゴリズム12”(上記数63)のように
各次数について総和を取ることがないので、演算量が低
減されている。したがって本変形態様によれば、前述の
変形態様1に準ずる効果に加えて、第2適応係数ベクト
ル更新アルゴリズム12”(上記数64)での演算量が
減るので、プロセッサの演算負荷が低減されるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のシステム構成を示すブロック線図
【図2】 実施例1の数値試験1の結果を示すグラフ1
【図3】 実施例1の数値試験1の結果を示すグラフ2
【図4】 実施例1の数値試験2の結果を示すグラフ1
【図5】 実施例1の数値試験2の結果を示すグラフ2
【図6】 実施例1の数値試験3の結果を示すグラフ
【図7】 実施例2のシステム構成を示すブロック線図
【図8】 実施例2の数値試験における制御成績を示す
グラフ
【図9】 従来技術2’のシステム構成を示すブロック
線図
【図10】従来技術2’の収束特性を示すグラフ
【図11】従来技術1の周波数変動に対する収束特性を
示すグラフ
【図12】従来技術2’の周波数変動に対する収束特性
を示すグラフ
【符号の説明】
1:適応制御アルゴリズム 11:適応信号発生アルゴリズム 12:適応係数ベクトル更新アルゴリズム 12’:第1適応係数ベクトル更新アルゴリズム 12”:第2適応係数ベクトル更新アルゴリズム 21:周期性信号源 22:角振動数計測手段 2
4:観測点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後藤 勝博 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一つの角振動数ω* j(1≦j≦
    J’、jおよびJ’は自然数)の信号成分を含み観測点
    に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対し、該角振動数
    ω* jのうちJ個の推定値である推定角振動数ωj (n)
    (1≦j≦J≦J’、Jも自然数)を角振動数とする正
    弦波信号からなる適応信号y(n)を逆位相で直接また
    は間接的に加えることによって、該周期性信号f(n)
    の特定成分の該観測点への影響を能動的に除去し、該観
    測点で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信
    号の適応制御方法において、 離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y
    (n)を数1に従って発生させる適応信号発生アルゴリ
    ズムと、 該適応信号y(n)の両振幅αj (n),βj (n)お
    よび角振動数ωj (n)を成分とする適応係数ベクトル
    W(n)=[・・αj (n)・・,・・βj (n)・
    ・,・・ωj (n)・・]T を、数2に従って更新する
    適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、 更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分をもっ
    て、該適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波
    信号の両該振幅αj (n),βj (n)および該角振動
    数ωj (n)が更新されることを特徴とする、 周期性信号の適応制御方法。 【数1】 【数2】
  2. 【請求項2】基本角振動数ω* 0からそのK’次までの高
    次角振動数kω* 0(1≦k≦K’、kおよびK’は自然
    数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号
    f(n)に対し、該基本角振動数ω* 0の推定値である推
    定基本角振動数ω0 (n)から該推定基本角振動数ω0
    (n)のK次までの推定高次角振動数kω0 (n)(1
    ≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分からなる適応
    信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えること
    によって、該周期性信号f(n)のK次までの信号成分
    の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で検知
    される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制
    御方法において、 離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y
    (n)を数3に従って発生させる適応信号発生アルゴリ
    ズムと、 該適応信号y(n)の両振幅αk (n),βk (n)お
    よび前記推定基本角振動数ω0 (n)を成分とする適応
    係数ベクトルW(n)=[・・αk (n)・・,・・β
    k (n)・・,ω0 (n)]T を、数4に従って更新す
    る適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、 更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分をもっ
    て、該適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波
    信号の両該振幅αk (n),βk (n)および該推定基
    本角振動数ω0 (n)が更新されることを特徴とする、 周期性信号の適応制御方法。 【数3】 【数4】
  3. 【請求項3】基本角振動数ω* 0からそのK’次までの高
    次角振動数kω* 0(1≦k≦K’、kおよびK’は自然
    数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号
    f(n)に対し、該基本角振動数ω* 0の推定値である推
    定基本角振動数ω0 (n)から該推定基本角振動数ω0
    (n)のK次までの推定高次角振動数kω0 (n)(1
    ≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分からなる適応
    信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えること
    によって、該周期性信号f(n)のK次までの信号成分
    の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で検知
    される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制
    御方法において、 離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y
    (n)を数5に従って発生させる適応信号発生アルゴリ
    ズムと、 該適応信号y(n)の両振幅αk (n),βk (n)お
    よび前記推定基本角振動数ω0 (n)を成分とする適応
    係数ベクトルW(n)=[・・αk (n)・・,・・β
    k (n)・・,ω0 (n)]T を、数6に従って更新す
    る適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、 更新された該適応係数ベクトルW(n)の成分をもっ
    て、該適応信号y(n)の各正弦波信号および各余弦波
    信号の両該振幅αk (n),βk (n)および該推定基
    本角振動数ω0 (n)が更新されることを特徴とする、 周期性信号の適応制御方法。 【数5】 【数6】
  4. 【請求項4】少なくとも一つの角振動数ω* j(1≦j≦
    J’、jおよびJ’は自然数)の信号成分を含み観測点
    に影響を及ぼす周期性信号f(n)に対し、該角振動数
    ω* jのうちJ個の推定値である推定角振動数ωj (n)
    (1≦j≦J≦J’、Jも自然数)を角振動数とする正
    弦波信号からなる適応信号y(n)を逆位相で直接また
    は間接的に加えることによって、該周期性信号f(n)
    の特定成分の該観測点への影響を能動的に除去し、該観
    測点で検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信
    号の適応制御方法において、 離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y
    (n)を数7に従って発生させる適応信号発生アルゴリ
    ズムと、 該適応信号y(n)の両振幅αj (n),βj (n)、
    遅延成分ψj (n)および角振動数ωj (n)を成分と
    する適応係数ベクトルW(n)=[・・αj (n)・
    ・,・・βj (n)・・,・・ψj (n)・・,・・ω
    j (n)・・]Tを、数8に従って更新する第1適応係
    数ベクトル更新アルゴリズムと、数9に従って更新する
    第2適応係数ベクトル更新アルゴリズムとを有し、 該第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと該第2適応
    係数ベクトル更新アルゴリズムとをそれぞれ所定回数ず
    つ交互に繰り返して更新されていく該適応係数ベクトル
    W(n)の成分をもって、該適応信号y(n)の各正弦
    波信号および各余弦波信号の両該振幅αj (n),βj
    (n)、該遅延成分ψj (n)および該角振動数ω
    j (n)が更新されることを特徴とする、 周期性信号の適応制御方法。 【数7】 【数8】 【数9】
  5. 【請求項5】基本角振動数ω* 0からそのK’次までの高
    次角振動数kω* 0(1≦k≦K’、kおよびK’は自然
    数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号
    f(n)に対し、該基本角振動数ω* 0の推定値である推
    定基本角振動数ω0 (n)から該推定基本角振動数ω0
    (n)のK次までの推定高次角振動数kω0 (n)(1
    ≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分からなる適応
    信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加えること
    によって、該周期性信号f(n)のK次までの信号成分
    の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で検知
    される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適応制
    御方法において、 離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y
    (n)を数10に従って発生させる適応信号発生アルゴ
    リズムと、 該適応信号y(n)の両振幅αk (n),βk (n)、
    遅延成分ψk (n)および前記推定基本角振動数ω
    0 (n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・
    ・αk (n)・・,・・βk (n)・・,・・ψ
    k (n)・・,ω0 (n)]T を、数11に従って更新
    する第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと、数12
    に従って更新する第2適応係数ベクトル更新アルゴリズ
    ムとを有し、 該第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと該第2適応
    係数ベクトル更新アルゴリズムとをそれぞれ所定回数ず
    つ交互に繰り返して更新されていく該適応係数ベクトル
    W(n)の成分をもって、該適応信号y(n)の各正弦
    波信号および各余弦波信号の両該振幅αk (n),βk
    (n)、該遅延成分ψk (n)および該推定基本角振動
    数ω0 (n)が更新されることを特徴とする、 周期性信号の適応制御方法。 【数10】 【数11】 【数12】
  6. 【請求項6】基本角振動数ω* 0からそのK’次までの高
    次角振動数kω* 0(1≦k≦K’、kおよびK’は自然
    数)の信号成分を含み観測点に影響を及ぼす周期性信号
    f(n)に対し、該基本角振動数ω* 0の推定値である推
    定基本角振動数ω(n)から該推定基本角振動数ω
    0 (n)のK次までの推定高次角振動数kω0 (n)
    (1≦k≦K≦K’、Kも自然数)の信号成分からなる
    適応信号y(n)を逆位相で直接または間接的に加える
    ことによって、該周期性信号f(n)のK次までの信号
    成分の該観測点への影響を能動的に除去し、該観測点で
    検知される誤差信号e(n)を抑制する周期性信号の適
    応制御方法において、 離散時間における時刻nにおいて、前記適応信号y
    (n)を数13に従って発生させる適応信号発生アルゴ
    リズムと、 該適応信号y(n)の両振幅αk (n),βk (n)、
    遅延成分ψk (n)および前記推定基本角振動数ω
    0 (n)を成分とする適応係数ベクトルW(n)=[・
    ・αk (n)・・,・・βk (n)・・,・・ψ
    k (n)・・,ω0 (n)]T を、数14に従って更新
    する第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと、数15
    に従って更新する第2適応係数ベクトル更新アルゴリズ
    ムとを有し、 該第1適応係数ベクトル更新アルゴリズムと該第2適応
    係数ベクトル更新アルゴリズムとをそれぞれ所定回数ず
    つ交互に繰り返して更新されていく該適応係数ベクトル
    W(n)の成分をもって、該適応信号y(n)の各正弦
    波信号および各余弦波信号の両該振幅αk (n),βk
    (n)、該遅延成分ψk (n)および該推定基本角振動
    数ω0 (n)が更新されることを特徴とする、 周期性信号の適応制御方法。 【数13】 【数14】 【数15】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022250066A1 (ja) * 2021-05-25 2022-12-01 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 情報処理装置、制御設計支援方法およびプログラム

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