JP3610560B2 - 導波管の製造方法及び導波管 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高周波大電力伝送用導波管の製造方法及び同製造方法により製造された導波管に係り、たとえば、物理研究用や医療用の粒子加速器、工業用のシンクロトロン放射光装置への高周波大電力供給用線路に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
図4は、粒子加速器の模式図である。例えば、超高真空中において電子銃より電子e− を発生させ、図示していないが入射器よりダンピングリング、予備加速器を介して多段の加速管よりなる主線形加速器31に入射させる。各加速管32は前記電子の通過する超高真空管路35に配置され、この管路に高周波大電力を供給するため、高周波電力源であるクライストロン33とこのクライストロンよりの出力を前記管路に送り込む導波管34よりなる。
このような構成によって、クライストロン33で発生し、導波管34で導びかれて前記加速管32に入力する大電力高周波パルスによって、電子e− は順次加速され、主線形加速器31より出力する。
ここで用いられるクライストロンの周波数は、たとえばSバンド帯域の周波数の加速器では、予備加速器、主線形加速器ともに約2.8GHz付近で、最大電力は数十メガワットから大きなもので 400メガワットとなる。そしてこのような加速器で、粒子(電子、陽子など)は真空中での取り扱いであり、導波管を含めて多種の真空ポンプを組み合わせ、又は単独で運転し、管内を超高真空に維持している。
【0003】
前述のように管路を進行する粒子を加速するため、クライストロンにより高周波パルスを発生させ、この導波管を用いて高周波大電力を加速管に送るのであるが、このような導波管としてこれまで用いられてきたものは以下に述べる方法によって制作されたものである。
すなわち、図3に示すように、銅パイプ基材として無酸素銅(純度 99.96%以上)の銅パイプ41を用い、外形を決めるダイス42と内径を決めるプラグ43によりパイプの厚みを定め、潤滑油、または粉末潤滑剤をダイス、プラグとパイプの間に分散させ、ダイス、プラグを固定して銅パイプを引き抜き、引き抜き時の加工硬化を戻すためこれを焼鈍し、銅パイプを清浄化し、ダイス、プラグの径を変え、引き抜きと焼鈍と清浄化を繰り返し、所定の断面形状を備える導波管に形成し、できあがった導波管の内壁面を清浄化して用いていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような導波管に大電力の高周波パルスを導入すると、導波管内部に発生する高い電圧によって導波管の内壁面から不純物が飛び出し、導波管内部で放電現象を発生してしまい、必要な大電力パルスを注入することはできない。
なお、このような放電現象は図4の観測窓からの光学観測や、又はイオン検出計で検知することができる。
このため、装置組立時、主線形加速器を形成する各導波管について、導波管内部に放電を生じた場合、導波管に低電力の高周波を加えたり、加熱したりしながら導波管の内壁面に吸着している不純物を気化させて真空ポンプで排出し、再び超高真空に保ち、前記発生の放電原因を逐次解消しながら高周波パルス注入の増大を計り、増大させた状態で、前述のような放電が生じれば、前記と同様な操作をして所定の大電力高周波パルスが注入できるようになるまで繰り返している。このような操作は、各加速管について行うので、この調整に要する時間は各加速管の導波管系毎にゆうに 200時間を越えることがある。
【0005】
さらに述べれば、放電現象を生じる原因は、引き抜き工程中に銅パイプに加わる圧力によって、パイプの表面、内壁面に潤滑油あるいは粉末潤滑剤が圧入され、さらにダイス、プラグと銅パイプの摩擦熱によって焼き込まれた状態となり、潤滑油あるいは粉末潤滑剤の分子又は分子の化合物が不純物として強固に吸着されたものと考えられ、そしてこのような強固に吸着された不純物は通常の洗浄で除去することができていないことに起因するものと理解される。そして放電現象が一度発生すれば導波管内の絶縁性は保たれなくなり、高周波電力の投入はそれ以上できないのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、銅のパイプに引き抜き加工を施して導波管を形成する工程の最終引き抜き時に、導波管の内壁面の断面寸法を仕上げの断面寸法より僅かに小さく形成し、該内壁面断面寸法に対し、僅かに大きく、且同形状の研削面を備えるブローチを用いて前記内壁面にブローチ加工を施して導波管を作る。この場合、銅パイプ基材としては無酸素銅(JISによれば 99.96%以上、のぞましくは 99.99%以上)が用いられ、ブローチ加工の際には潤滑油や粉末潤滑剤を使用し、又は使用せずに加工を行うことができる。
【0007】
図1は本発明の導波管製造工程とその右側に順次塑性変形により形成される銅パイプ変形の一態様を示す。右側のa,b,c,d,eで示すように銅パイプは順次変形され、eで示すようにブローチ加工を施して清浄化後、本発明の導波管ができ上がる。
左側の工程図に示すように、銅パイプは、図3により説明したような引き抜き工程1によって径、厚みを変え、長さ方向に延び、例えばbの形状に変形され、塑性硬化を生じるので、例えば 550℃で30〜60分程度焼鈍工程2にかけられ、その後、例えば有機溶剤で洗浄する工程3にかけられ、これら工程は必要に応じ繰り返し行われ、その後最終的に引き抜き(仕上げ)工程4を終え、dで示す断面形状のものが得られ、ここで、寸法検査5が行われ、後に述べるようにこの段階で所定の断面形状を有するものが選択され、図示していないが、必要あれば焼鈍し、洗浄工程6を経てブローチ加工7に入り、加工を終えた後eの導波管が得られ、寸法検査8を行い、洗浄9を終えて本発明の導波管が得られる。前記最終的の引き抜きの段階での導波管内面壁の断面寸法は同仕上がり寸法より両側合わせて 100〜300 μm小さくすることが必要である。
【0008】
前記ブローチ加工には、例えば図2に示すようなブローチが用いられる。通常一軸上に、複数切刃からなる荒削り刃11と仕上げ刃12からなっている。その一つの切刃はA−A面によって示しているが、その外形はブローチ加工すべき、導波管の内壁断面に対応した形状をなし、この場合は矩形をなし、その全周に切刃が形成されている。切刃はタングステンカーバイト、焼結ダイヤモンド、高速度鋼等よりなる。
また、ブローチは一軸の前後に前方支持部、後方支持部が形成されており、ブローチ加工を行うとき、前方支持部13はブローチを引張り、後方支持部14はブローチを押すか又は前方支持部13の引張りに対してこの引張りを抑制しながらブローチを前進させるような抑制力を付加するための力点として用いられる。
前方支持部13の直後の荒削り刃11より切刃形状は順に後方に進む程大きくなり、仕上げ刃12の最後部の切刃が最っとも大きく、これが導波管の内壁面仕上げの断面寸法にほぼ等しい寸法とし、前方支持部13の直後の荒削り刃11刃の形状は最終段階の引き抜き工程(仕上げ)を終えた導波管の内壁面断面形状より僅かに小さくしてブローチの荒削り刃11の一部が導波管の内部に若干挿入された状態でブローチ加工が始まるようにする。このようにしてブローチを導波管に対して引張ることによってブローチ加工ができる。
なお、ブローチ加工を行う際、ブローチの挿入によって導波管壁面に歪みを生じるような場合、あらかじめ導波管壁面を外側から変形を押さえるような手段を採ることが必要である。
【0009】
【作用】
最終段階の引き抜き加工時に不純物が侵入する深さは10μm程度であるが、最終段階の引き抜き加工による内径寸法の誤差もあり、 100〜300 μm程度の切削を行うことで不純物は完全に除去できる。
しかも、ブローチ加工は切削加工であるので潤滑油、粉末潤滑剤を使用したとしても油分、粉末を基材の中に圧入する作用はない。従って洗浄によって導波管内面に付着した不純物を容易に除去することができる。
また、必要あれば潤滑油、粉末潤滑剤を用いずとも加工することができる。ただ、仕上り面の平滑度や加工能率の点では潤滑油、粉末潤滑剤を使用する方が良好であるので、加工の経済性、仕上り品の平滑度又は清浄度いずれかを重視することによって選定すればよい。いずれにしても引き抜き加工のみを実施する場合よりはるかに清浄な表面が得られる。
【0010】
【実施例】
まず、基材として無酸素銅はJIS規定では純度 99.96%以上であるが、 99.99%以上の同パイプを使用する。基材としてはできる限り高導電性で、超高真空に適した安定な材料であることが望ましい。
基材の導電性としては銅、アルミニウムいずれも適用できるが、アルミニウムは銅に比べて導電率が劣り、表面酸化が生じやすく、加工性の点でも銅が優れている。
一例として無酸素銅パイプφ140mm 、厚み10mmのものを使用し、5回の引き抜き加工により、約72mm×34mmの角形導波管を形成し、さらにブローチ加工を行い、導波管を洗浄して内径 72.14×34.04mm のWR−284型導波管の仕上げ品ができ上る。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、大電力の導波管について、その内面を極めて清浄に製造することができ、粒子加速器等の設備の組立時調整、メンテナンスが著しく容易となる。具体的には、不純物の発生源がブローチ加工によって皆無とできるので、真空ポンプへの負担が軽減されるし、粒子加速器の主通路の部分等への汚染の心配がなくなる。
そしてすでに述べたような長時間にわたる浄化処理の必要もなくなり、数十時間で所定の大電力を投入することができるようになるものと期待される。
また、本発明の導波管はたとえば9GHz や実施例のWR−284型導波管では2.856GHzで使用されるが、このような周波数領域では、表皮効果として知られるように、導体の表面の導電性が重要となるが、表皮効果の影響の大きい部分は、1〜2μである。
このため、表面10μまで不純物層があれば、副次的影響としてこれらの高周波電流の抵抗ロスが増えることになるが、本発明の導波管であれば、このようなロスが生じる心配もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程と銅パイプの工程各段における変形を断面で示す。
【図2】本発明において使用されるブローチの一例を示す。
【図3】銅パイプ引き抜き加工の説明図である。
【図4】粒子加速器を模式図で示す。
【符号の説明】
1 引き抜き工程
2 焼鈍工程
3 洗浄工程
4 引き抜き(仕上げ)工程
5 寸法検査
6 洗浄工程
7 ブローチ加工工程
8 寸法検査
9 洗浄工程
11 荒削刃
12 仕上げ刃
31 主線形加速器
32 加速管
33 クライストロン
34 導波管
35 真空管路
36 観測窓
41 銅パイプ
42 ダイス
43 プラグ
Claims (6)
- 銅パイプに引き抜き加工を施して導波管を形成する工程の最終引き抜き時に、導波管内壁面の断面寸法を仕上げの断面寸法より僅かに小さく形成し、該内壁面断面寸法に対し、僅かに大きく、且同形状の研削面を備えるブローチを用いて前記内壁面にブローチ加工を施すことにより製造されたことを特徴とする導波管。
- 銅パイプ基材として無酸素銅を用いることを特徴とする請求項1に記載の導波管。
- 潤滑油、又は粉末潤滑剤を用いてブローチ加工を施すことを特徴とする請求項2に記載の導波管。
- 銅パイプに引き抜き加工を施して導波管を形成する工程の最終引き抜き時に、導波管内壁面の断面寸法を仕上げの断面寸法より僅かに小さく形成し、該内壁面断面寸法に対し、僅かに大きく、且同形状の研削面を備えるブローチを用いて前記内壁面にブローチ加工を施すことを特徴とする導波管の製造方法。
- 銅パイプ基材として無酸素銅を用いることを特徴とする請求項4による導波管の製造方法。
- 潤滑油、又は粉末潤滑剤を用いてブローチ加工を施すことを特徴とする請求項5による導波管の製造方法。
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JP4233195A JP3610560B2 (ja) | 1995-02-06 | 1995-02-06 | 導波管の製造方法及び導波管 |
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JPH08213812A JPH08213812A (ja) | 1996-08-20 |
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