JP3610296B2 - 液体収納容器 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、周囲の液体の物性情報を入手し、その情報を外部へ伝達する機能を有する液体収納容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体吐出記録装置としては、記録ヘッドに設けた複数の噴射ノズルからインクを噴射させながら、記録ヘッドを搭載したキャリッジを用紙に対して相対的に走査することで、画像をドットパターンで用紙に形成するインクジェット記録装置が知られている。この記録装置では、記録用のインクを収容したインクタンクが備えられており、そのインクタンクのインクがインク供給路を介して記録ヘッドに供給される。そのため、インクタンクのインクの残量を検出するためのインク残量検出装置が実用に供されるととにも、種々提案されている。
【0003】
例えば、特開平6−143607号公報に開示されたものは、図30に示すように、非導電性のインクが満たされているインクタンク701の底側の内面に配設された2本(1対)の電極702と、インクタンク701内のインク液面に浮遊している浮揚体703とを有している。2本の電極702は、両者間の導通状態を検知する検知部(不図示)にそれぞれ接続されている。また、浮揚体703には、電極702と対向する位置に電極704が配設されている。インクタンク701内のインクが消費され、それと共に浮揚体703の位置が低下して電極704が電極702と接触すると、検知部により電極702間のの導通状態が検知される。これにより、インクタンク701内のインクが無いことが検出され、インクジェット記録ヘッド705の動作が停止される。
【0004】
また、特登録2947245号によれば、図31に示すように、下部が底面に向かって漏斗状に形成されるとともに、底面に2つの導電体801,802が設けられ、インク803よりも比重の小さい金属球804が内部に設置される構成のインクジェットプリンタ用インクカートリッジ805が開示されている。このような構成では、インク803が消費されて減っていくとインク803の液面が下がる。それに伴って、インク803の表面に浮かんでいる金属球804の位置が下がっていく。インク803の液面がインクカートリッジ筺体の底面の位置まで下がると、金属球804は2つの導電体801,802に接する。すると、導電体801,802が導通するので、その間に電流が流れる。その通流を検出すれば、インクエンド状態を検出することができる。インクエンド状態が検出されれば、インクエンド状態を示す情報が使用者に知らされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したインク検知構成はいずれも、インクタンク内に設置された電極間の導通の有無の検出によりインク無しを検出するものであるので、インクタンク内に検出用の電極を配置する必要がある。しかも、インクタンク内にインクが存在しているときにインクを介して電極間が導通しないようにするため、インク成分に金属イオンが用いられない等の、使用するインクに制約が生じてしまう。
【0006】
また、上記のインク検知構成ではインクの有無しか検知することが出来ず、その他のタンク内情報を外部が知ることが出来ない。例えば、インク残量がどれくらいであるか、インクタンク内の圧力情報、インク物性の変化などは、インクジェットヘッドを常に安定した吐出量で動作させるのに重要なパラメータであり、タンク内のインク消費に伴って時々刻々と変化するタンク内圧を外部のインクジェット記録装置にリアルタイムで知らせたり、インク物性の変化を外部へ伝達できるタンクが望まれている。
【0007】
さらに、一方的にインクタンク内の検知した情報を外部へ知らせるのみならず、外部からの問いかけに対して内部情報を返答するような双方向の情報のやり取りを実施できるインクタンクが望まれている。
【0008】
また、インクジェットヘッド用タンクの一形態として、インクジェット記録ヘッドに対して所望の負圧を発生する多孔質材や繊維体などの負圧発生部材を収納した大気連通状態の第1室と、記録液をそのまま収容した第2室とに区分された容器であって、その容器内の第1室と第2室の仕切壁の底部に連通路が設けられたものが実用に供されている。このタンクは、負圧発生部材を収納する室のみからなるタンクと比べて、インク収容量が多い、インクジェット記録ヘッドに対する負圧を安定させることができる、という利点がある。このため、上記の2室構造のタンクにおいて、タンク内のインク残量、インク物性の変化などの情報を外部と双方向にやり取りできる機能を備えたインクタンクが特に望まれている。
【0009】
上記のようなインクタンクを開発するにあたって、本発明者らは、直径1ミリのシリコン・ボールの球面上に半導体集積回路を形成するというボール・セミコンダクター社のボール・セミコンダクターに着目した。このボールセミコンダクターは球形であるため、これをインクタンク内に収容すれば、周囲環境情報の検出や外部との双方向の情報のやり取りを平面形に比べて非常に効率良く行えることが予想された。しかしながら、このような機能を持つものを調査したところ、ボール・セミコンダクター同士を電気配線で接続する技術などが存在する(米国特許明細書第5877943号参照)だけで、上記の機能を持つ素子自体の開発が必要となった。また、この素子を上記のインクタンクにも有効に適用できるものとするために、いくつかの固有の課題もあった。
【0010】
第1に、タンク内に収容された素子を起動させるための電力の供給である。素子の起動のための電源をインクタンクに持たせるとタンクが大型になったり、タンク外部に電源を備える場合でも電源と素子との接続手段が必要になり、タンクの製造コストが増え、タンクカートリッジが高価になるので、外部より非接触で素子を起動させねばならない。
【0011】
第2に、前記インクをそのまま収容する第2室に素子を配置したい場合、インクタンクのインク液面や液面より一定の距離沈んだインク中で素子を浮遊させなければならない場合があることである。例えば、インクタンク内のインク消費に伴う負圧量の変動を経時的に監視するには、インク液面に素子が位置するのが望ましいが、素子は水より比重の大きいシリコンからなるため、インクに浮遊させることは一般には困難である。
【0012】
本発明の目的は、上記の2室構造タンクにおいて、タンク内の情報の検出や、この検出に関して外部と双方向に情報のやり取りを行える立体形半導体素子を備えた液体収納容器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、液滴を吐出する液体吐出ヘッドに供給されるインクを収容した液体収納容器であって、
前記液体収納容器は、一部が大気に連通されるとともに前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給口とを備え内部に液体を吸収する吸収体が収容された第1室と、外部から密閉され前記液体を直接収容する第2室と、前記液体収納容器の使用状態における底部側に前記第1室と前記第2室を連通する連通路とを有しており、
前記第1室内には前記第1室の圧力変動を監視する第1の監視手段としての第1の立体形半導体素子が、
前記第2室内には前記第2室の液量を監視するために、液面もしくは液中に浮かんで配された液体の残量を検知する残量検知手段を構成する第2の監視手段としての第2の立体形半導体素子が、
前記連通路には、前記第1の監視手段もしくは第2の監視手段からの情報に応じて前記連通路を流れる液体の流量を調節する流量調節装置としての第3の立体形半導体素子が、それぞれ配置されており、
前記第2の監視手段としての第2の立体形半導体素子は、液面もしくは液中の所定の高さで浮遊するための空洞部を有し、前記第2の立体形半導体素子の重心が当該素子の中心より下方に位置するとともに、当該素子のメタセンタが前記重心より常に上方に位置するように構成されたものであり、
前記流量調節装置としての第3立体形半導体素子は、前記第1の監視手段もしくは第2の監視手段からの情報を受信する受信手段と、前記受信した情報に応じて前記液体の流量の調整するために、球状シリコンと、該球状シリコンと間隔を有して片持ち支持されて前記第1もしくは第2の立体形半導体素子の情報に応じて開閉動作される第1可動部および第2可動部と、該第1可動部と第2可動部とをつなぎ前記球状シリコンとの間に空間として構成された通路と、前記球状シリコンの表面の一部に設けられた第1および第2ベース電極と、前記第1および第2ベース電極と対向し前記第1および第2可動部にそれぞれ設けられた第1および第2バルブ電極と、を備え、外部から与えられるエネルギーを、前記受信手段および前記可動部を動作させるための、前記エネルギーとは異なる種類のエネルギーに変換するエネルギー変換手段とを少なくとも有して構成されている、ことを特徴とする。
【0016】
上記のとおりの発明の液体収納容器内に配する立体形半導体素子は、情報を入手すべき対象である液体に接して置かれる。この状態で、情報入手手段により、液体に関する情報を入手し、その情報を、情報伝達手段により外部へ伝達する。これら情報入手手段および情報伝達手段を作動させるためのエネルギーは、エネルギー変換手段によって、外部からのエネルギーが異なる種類のエネルギーに変換されて与えられる。このように、液体に関する情報を入手して外部に伝達する機能を立体形の半導体素子に作り込んでいるので、情報の入手および伝達を三次元的に行える。そのため、平板型の半導体素子を用いる場合に比べ、情報の入手および伝達の方向の制限も少ないので、液体に関する情報の入手および外部への伝達が効率的に行えるようになる。
【0017】
入手情報と比較するための情報を蓄積する情報蓄積手段と、これに蓄積された情報と情報入手手段で入手した情報とを比較し外部への情報の伝達の必要性を判断する判断手段とを更に有することで、入手情報は必要に応じて外部へ伝達される。さらに、外部からの信号を受信する受信手段を付加することで、受信信号に応じて情報を入手し、蓄積情報との比較結果をその入手情報とともに外部へ伝達し、外部装置と双方向に信号の送受信を行うことも可能となる。
【0028】
また本明細書中の「立体形半導体素子」の「立体形」とは、三角柱、球、半球体、四角柱、回転楕円体、一軸回転体など、種々の立体形を全て含む。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の液体収納容器の第1の実施の形態を示す概略断面図である。図1に示すインクタンク10は、互いに仕切壁10aで仕切られた負圧発生室(第1室)1とインク室(第2室)2とを有する。仕切壁10aの下端部は連通路10bとなっており、この連通路10bを介して、負圧発生室1とインク室2とが連通している。負圧発生室1には、繊維体や多孔質体などで構成される負圧発生部材(吸収体)が収納されており、負圧発生室1内でインクは負圧発生部材に吸収された状態で保持されている。また、負圧発生室1には、負圧発生室1内のインクをインクジェット記録ヘッド(不図示)等、外部に供給するためのインク供給口3と、負圧発生室1の内部を大気と連通させる大気連通口(不図示)とが設けられている。インク室2は、連通路10bを除いて実質的に密閉構造で、インクをそのまま保持している。このような構成のインクタンク10によれば、インク供給口3からのインクの消費に伴い、連通路10bを介して、負圧発生室1からインク室2へ気体(大気連通口から導入された気体)が導出されるとともに、それと見合った量のインクがインク室2から負圧発生室1へ導入され、これにより、負圧発生室1内に保持されるインクの量すなわち負圧発生室1内の負圧がほぼ一定に保たれる。
【0031】
そして、インク室2に保持されたインクの液面に、インクに関する情報を入手して外部へ伝達できる立体形半導体素子11が浮かべられている。この素子11を液面に浮かべる構成については後述する。なお、立体形半導体素子はインク室52に限られず、インクに関する情報を入手できれば負圧発生部材中に配置されていてもよく、また立体形半導体素子は1つの場所に限らず、異なる箇所や同一箇所に複数個配置されてもよい。
【0032】
図2は、本実施形態の立体形半導体素子11の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。本実施形態の立体形半導体素子(以下、単に「素子」という)11は、外部Aから素子11に向かって非接触で供給された起電力12を電力13に変換するエネルギー変換手段14と、エネルギー変換手段14で変換された電力13により起動する情報入手手段15、判断手段16、情報蓄積手段17、および情報伝達手段18とを備えている。少なくともエネルギー変換手段14および情報入手手段15は素子11の表面もしくは表面付近に形成されていることが望ましい。また、素子11を動作させるために供給する起電力には、電磁誘導、熱、光、放射線などを適用することができる。但し、図1には、インクタンク10の下方に配置された外部共振回路101からの電磁誘導による誘導起電力で素子11は電力を発生し、かつ、共振周波数を発生してインクタンク10内のインク情報を外部に伝達する態様を代表して概念的に表した。
【0033】
情報入手手段15は、素子11の周囲環境情報であるインクタンク内のインクに関する情報(インク情報)を入手し、判断手段16へ出力する。判断手段16は、情報入手手段15より入手したインク情報と情報蓄積手段17に記憶されている情報とを比較し、入手したインク情報を外部へ伝達する必要があるか否かを判断する。情報蓄積手段17は、入手するインク情報と比較する諸条件や情報入手手段15より入手したインク情報そのものをデータテーブルとして蓄積する。情報伝達手段18は、判断手段16からの命令に基づき、エネルギー変換手段14により与えられた電力を、インク情報を外部A又は外部Bに伝達するためのエネルギーに変換して、外部A又は外部Bへインク情報を伝達する。ここで、外部Bとは、起電力12の供給源である外部Aとは異なる対象であり、この素子11が収容されるインクタンクを搭載するインクジェット記録装置の他に、例えば、人の視覚や聴覚といった感覚器官も含む。
【0034】
図3は、図2に示した素子の動作を説明するためのフローチャートである。図2及び図3を参照すれば、外部Aから素子11に向かって起電力12を与えると、エネルギー変換手段14は起電力12を電力13へと変換し、その電力13により情報入手手段15、判断手段16、情報蓄積手段17、および情報伝達手段18を起動する。
【0035】
起動した情報入手手段15は、素子11の周囲環境情報であるインクタンク内のインク情報、例えば、インクの残量、インクの種類、温度、ペーハー(以下、「pH」と記す。)などの情報を入手する(図3のステップS11)。更に、大気連通口を介して、インク中の揮発成分が蒸発し、インク中の色材(染料や親水化された顔料成分)が会合して、見かけ上、ゲル化(高分子化)されていることも情報として入手することができる。(尚、詳細は、後述している)。次に、判断手段16は、入手したタンク内部情報と参照するための条件を情報蓄積手段17より読み出し(図3のステップS12)、この読み出した条件と入手したタンク内部情報とを比較し、情報伝達の必要性を判断する(図3のステップS13)。ここで、情報蓄積手段17に予め設定してある条件に基づく判断は、例えばインク残量が2ml以下になったり、インクのpHが大きく変化したりした為にタンク交換が必要との判断を行うことが挙げられる。
【0036】
ステップS13において判断手段16が外部へタンク内の情報を伝達する必要がないと判断した場合には、情報蓄積手段17に現在のインクタンク内の情報が蓄積される(図3のステップS14)。なお、次に情報入手手段15がインクタンク内の情報を入手したとき、判断手段16は、その入手した情報とここで蓄積された情報とを比較してもよい。
【0037】
またステップS13において、判断手段16がインクタンク内の情報を外部へ伝達する必要があると判断した場合には、エネルギー変換手段15により変換され電力13が、情報伝達手段18でさらに、インクタンク内の情報を外部へ伝達するためのエネルギーへと変換される。この伝達するためのエネルギーとしては、磁界、光、形、色、電波、音などを使用することが可能であり、例えば、インク残量が2ml以下になったと判断された場合には音を鳴らしてタンク交換が必要であることを外部B(例えば、インクジェット記録装置)に伝達する(図3のステップS15)。また、伝達先はインクジェット記録装置のみでなく、特に光、形、色や音などの場合は人の視覚や聴覚に伝達してもよい。さらに、インク残量が2ml以下になったと判断された場合には音を発し、インクのpHが大きく変化したときには光を発するなど、情報に応じてその伝達方法を変えてもよい。
【0038】
インクジェット記録装置に用いられる場合、素子11に外部エネルギーとして起電力を供給する手段を設けるのに好ましい位置としては、シリアル型のインクジェット記録装置を例に挙げると、記録ヘッド、キャリッジ、記録ヘッドの回復ポジション、もしくはキャリッジリターンポジション等が挙げられる。これ以外にも、起電力を供給する手段を有する装置を用いれば、インクジェット記録装置がなくてもインクタンク内部の状態を知ることができ、例えば、工場や販売店で、実際にインクタンクをインクジェット記録装置に装着することなく、インクタンクの品質検査を行うこともできる。
【0039】
本実施形態によれば、素子11がエネルギー変換手段15を有しているので、外部と直接的な電気的配線を行う必要がなくなり、外部と直接的な電気的配線を行うことが困難な個所、例えば、図1に示したようなインク中の他にも負圧発生部材中など、対象物中のどの個所であっても素子11を使用することができる。インクに接するように素子11を配すれば、インクの状態をリアルタイムで正確に把握することが可能となる。
【0040】
また、素子11がエネルギー変換手段15を有しているので、素子11を動作させるための起電力を蓄積する手段(本例では電源)を素子11に設ける必要がなくなる。そのため、素子11の小型化が可能となり、狭い個所であっても素子を使用することができる。尚、本形態では素子11と非接触で素子11に起電力を供給したが、一時的に外部と接触して起電力を供給した後、外部と非接触となる形態でもよい。
【0041】
ここで、エネルギー変換手段14について、図1にも表したように電磁誘導を利用して電力を発生させる場合を例に挙げて説明する。
【0042】
図4は、本発明の立体形半導体素子の構成要素であるエネルギー変換手段の電力発生原理を説明するための図である。
【0043】
図4において、コイルLaを有する外部共振回路101と、コイルLを有する発振回路102とを、両コイルLa,Lを隣接させて設置する。この状態で、外部共振回路101を通じてコイルLaに電流Iaを流すと、電流Iaによって発振回路102のコイルLを貫く磁束Bが生じる。ここで、電流Iaを変化させるとコイルLを貫く磁束Bが変化するので、コイルLには誘導起電力Vが生じる。したがって、素子11にエネルギー変換手段として発振回路102を作り込み、素子11の外部の例えばインクジェット記録装置に、外部共振回路101を、素子側の発振回路102のコイルLと素子外部の共振回路101のコイルLaとが隣接するように配設する事により、外部からの電磁誘導による誘導起電力で、素子11を動作させる電力を発生することができる。
【0044】
素子11にエネルギー変換手段として作り込んだ発振回路102のコイルLを貫く磁束Bは、外部共振回路101のコイルLaの巻き数Nと電流Iの積に比例するから、比例定数をkとして、
【0045】
【数1】
B=k*N*I (1)
コイルLに生じる起電力Vは、
【0046】
【数2】
Figure 0003610296
ここで、磁束Bは、コイルの磁心の透磁率をμ、磁界をHとすると、
【0047】
【数3】
Figure 0003610296
となる。ここで、zは、外部共振回路のコイルと球状シリコンに作り込んだコイルとの距離を示している。
【0048】
式(2)の相互インダクタンス:Mは、
【0049】
【数4】
Figure 0003610296
となる。ここで、μは、真空の透磁率である。
【0050】
そして、球状シリコンに作り込んだ発信回路のインピーダンス:Zは、
【0051】
【数5】
Z(ω)=R+j{ωL−(1/ωC)} (5)
と表され、外部共振回路のインピーダンス:Zaは、
【0052】
【数6】
Za(ω)=Ra+jωLa−{ω/Z(ω)} (6)
となる。ここで、Jは、磁化を表している。そして、この外部共振回路が共振(電流値:Iaが最大になるとき)した時のインピーダンス:Zoは、
【0053】
【数7】
Zo(ωo)=Ra+jLaωo−(ω /R) (7)
となり、この共振回路の位相の遅れ:φは、
【0054】
【数8】
tanφ={jLaωo−(ω /R)}/R (8)
となる。
【0055】
そして、この外部共振回路の共振周波数:foは、
【0056】
【数9】
fo=1/2π(LC)1/2 (9)
で求められる。
【0057】
上記のような関係から、素子11に作り込んだ発振回路102のインピーダンスZがインクタンク内のインクの変化に応じて変化すると、外部共振回路101の周波数が変化し、外部共振回路101のインピーダンスZaの振幅および位相差に、上記のインクの変化が表れてくる。さらには、この位相差や振幅には、インク残量(即ち、Zの変化)も含まれている。
【0058】
例えば、外部共振回路101の共振周波数fを変化させることで、素子11に作り込んだ発振回路102からの出力(インピーダンスZ)が、周囲の環境変化に応じて変化するので、この周波数依存性を検出することで、インクの有無やインク残量を検出することができる。
【0059】
したがって、素子11に作り込む発振回路102は、電力を発生させるエネルギー変換手段14としてのみならず、その発振回路102と外部共振回路101との関係で、インクタンク内のインクの変化を検知する情報入手手段15の一部を兼用している。
【0060】
ここで、素子11に設けられた発振回路で発生する出力の例を、共振周波数と振幅との関係として、図5に示す。図5に示すように、発振回路で発生する出力は、インクタンク50内(正確にはインク室52)のインクの状況に応じて、例えばa〜cのように、振幅のピーク値を示す共振周波数およびそのピーク値での振幅にそれぞれ違いが生じる。具体的には、図6(a)に示すように、振幅のピーク値を示す共振周波数fa、fb、fcは、インクのpHと相関関係をもっている。この図6(a)に示す関係を予め測定しておくことで、インクのpHの変化を検知することができる。インクの濃度に関しても、違う周波数領域帯で同様の関係があり、その関係を予め測定しておくことで、インクの濃度変化を検知することができる。
【0061】
また、図5に示した共振周波数領域での振幅値の変化A,B,Cは、図6(b)に示すように、素子11と外部共振回路101との距離と相関関係をもっている。従って、インクが満タンのときと空のときとの振幅値を予め測定しておくことで、インクタンク50内での素子11の位置、すなわちインクの残量を検知することができる。
【0062】
また、液体の密度は、状態方程式
PV=nRT (10)
(ここで、P:圧力、V:体積、n:グラム分子量、R:気体定数、T:絶対温度)
を用いて近似することも可能である。
【0063】
式(10)において、Tを一定とすると、密度ρは、
【0064】
【数10】
ρ=M/V=MP/RT (Mは分子量) (11)
で表される。すなわち、液体の圧力および温度を検知することができれば、液体の密度の状態変化も測定可能である。
【0065】
液体の圧力については、例えば、詳しくは後述するが、ポリシリコン膜でダイアフラムを構成し、圧力の変化によるダイアフラムの変位に伴う抵抗値変化を利用した圧力センサを、本実施形態の素子11に作り込むことで検知することができる。
【0066】
また、液体の温度については、例えば、特開平7−52387号公報に記載されている、記録ヘッドの温度を検知するためのダイオードセンサを本実施形態の素子11に作り込むことによって、検知することができる。
【0067】
以上のように、素子11に圧力センサおよび温度センサを作り込むことで、インクの密度を検知することができる。経時変化も同様に検知できると、液体の粘度/表面張力の変化も推定することができる。
【0068】
液体の粘度に関しては、オリック・アーバーの式
【0069】
【数11】
ln(η/ρM)=A+(B/T) (12)
(ここで、η:粘度、A:定数、B:定数)
から、密度の変化により液体の粘度の変化を推定することができる。
【0070】
液体の表面張力と密度との間には、マクレオドによる、
【0071】
【数12】
γ={C(ρ−ρ)}4.0 (13)
(ここで、γ:表面張力、C:液体により決められた定数)
の関係式がある。この関係式から、密度の変化により、液体の表面張力の変化を推定することができる。
【0072】
以上のことから、素子11をインクタンク10に適用することにより、インクのpH、濃度、密度などといったインク情報を経時的に検知しインクタンク10の外部へ伝達することが可能となるので、例えば、使用していたインクタンクが別のものに換えられたり、インクタンク10内に別のインクが注入され、インクの量が異常に増加したりインクの成分が変化した場合であっても、これらを異常として正確に検知することができる。また、インクの粘度や表面張力の変化も推定することができるので、記録ヘッドの制御部へこれらの情報を伝達し、安定した吐出特性を保つ駆動条件を設定することもできる。
【0073】
なお、図1では、図2に示した構成を有する素子11を用いたが、判断手段16および情報蓄積手段17は、素子11にでなくインクタンク10の外部に設けてもよい。
【0074】
ところで、前述したように、図1に示すインクタンク10では素子11はインク液面に浮かべられているが、そのようなインク液面に浮かぶ素子11について、その製造方法とともに、以下に説明する。
【0075】
図7は、図1に示す浮遊型の素子11を、前述したボール・セミコンダクターのベースとなる球状シリコンを用いて製造する場合の製造方法の一例を説明するための一連の工程を示す図である。なお、図7では、各工程を球状シリコンの中心を通る断面で示している。また、ここでは、球状シリコンの重心を中心より下部になるように作成し、且つ、球面体内部の上部を空洞にして、更に、その空洞部を気密状態に保持する場合の製造方法を例に挙げる。
【0076】
まず、図7(a)に示す球状シリコン201に対し、その全表面上に、図7(b)に示すように熱酸化のSiO膜202を形成する。その後、図7(c)に示すようにSiO膜202の一部に開口203を形成するため、フォトリソグラフィプロセスを用いて、パターニングをする。
【0077】
そして、図7(d)に示すように、開口203を通じてのKOH溶液を用いた異方性エッチングにより、球状シリコン201の上半部を除去し、空洞部204を形成する。その後、図7(e)に示すように、LPCVD法を用いて、空洞部204の内面も含む、球状シリコン201およびSiO膜202の全露出面をSiN膜205で被覆する。
【0078】
更に、図7(f)に示すように、メタルCVD法を用いて、SiN膜205の外表面上にCu膜206を形成する。そして、図7(g)に示すように、周知のフォトリソグラフィプロセスを用いてCu膜206をパターニングし、発振回路102(図4参照)の一部である導電体コイルLを巻き数Nで形成する。その後、導電体コイルLを形成した立体形素子を真空装置から大気中に出し、上部の開口203を樹脂や栓などの封止部材207で塞ぎ、球面体内部の空洞部204を密閉状態にする。このように製造すれば、シリコンからなる素子自体に浮力を持たせることができる。
【0079】
また、このような浮遊型の立体形半導体素子を製造する前に球状シリコンに形成しておくコイルL以外の駆動回路素子は、N−MOS回路素子を用いている。図8に、N−MOS回路素子を縦断するように切断した模式的断面図を示す。
【0080】
図8によれば、P導電体のSi基板401に、一般的なMosプロセスを用いたイオンプランテーション等の不純物導入および拡散により、N型ウェル領域402にP−Mos450が構成され、P型ウェル領域403にN−Mos451が構成されている。P−Mos450およびN−Mos451は、それぞれ厚さ数百Åのゲート絶縁膜408を介して、4000Å以上5000Å以下の厚さにCVD法で堆積したpoly−Siによるゲート配線415、およびN型あるいはP型の不純物導入をしたソース領域405、ドレイン領域406等で構成され、それらP−Mos450とN−Mos451によりC−Mosロジックが構成されている。
【0081】
素子駆動用のN−Mosトランジスタ301は、やはり不純物導入および拡散等の工程により、P型ウェル基板402上のドレイン領域411、ソース領域412およびゲート配線413等で構成されている。
【0082】
ここで、素子駆動ドライバとしてN−Mosトランジスタ301を使うと、1つのトランジスタを構成するドレインゲート間の距離Lは、最小値で約10μmとなる。その10μmの内訳の1つは、ソースとドレインのコンタクト417の幅であり、それらの幅分は2×2μmであるが、実際は、その半分が隣のトランジスタとの兼用となるため、その1/2の2μmである。内訳の他は、コンタクト417とゲート413の距離分の2×2μmの4μmと、ゲート413の幅分の4μmであり、合計10μmとなる。
【0083】
各素子間には、5000Å以上10000Å以下の厚さのフィールド酸化により酸化膜分離領域453が形成され、素子分離されている。このフィールド酸化膜は、一層目の蓄熱層414として作用する。
【0084】
各素子が形成された後、層間絶縁膜416が約7000Åの厚さにCVD法によるPSG、BPSG膜等で堆積され、熱処理により平坦化処理等をされてから、コンタクトホールを介して、第1の配線層となるAl電極417により配線が行なわれている。その後、プラズマCVD法によるSiO膜等の層間絶縁膜418を10000Å以上15000Å以下の厚さに堆積し、更にスルーホールを形成した。
【0085】
このN−Mos回路を、浮遊型の素子を形成する前に形成しておく。そして、本発明のエネルギー変換手段としての発振回路などとの接続を上記スルーホールを介して行なう。尚、ここで形成したN−Mos回路は、球状シリコン上に形成したイオンセンサや、圧力センサ、および、後述する開閉バルブを制御したり、該センサ等で検出した情報をCPU等の演算回路へ伝達するものであり、C−MOS回路やD−MOS回路等を採用しても同様の効果が期待できる。
【0086】
図1に示した例では、素子11を起動させる電力を供給する外部エネルギーにコイルによる電磁誘導を利用したが、これ以外に、光の明暗を利用してもよい。光の明暗を電気信号に変換する場合は、光の照射により抵抗値が変化する材料(例えば、光導電体)を用いて、光導電効果により電力を発生させることができる。光導電体としては例えば、CdS,InSbやHg0.8Cd0.2Teなどの二元合金/三元合金や、GaAs,Si,Va−Siなどが用いられる。さらに、起電力として熱を使用する場合は、物質の放射エネルギーから量子効果により電力を発生させることができる。
【0087】
(第2の実施の形態)
次に、本発明のインクタンクの第2の実施の形態を説明する。ここでは、図1に例示した2室構造のインクタンクに収容する、第1の実施の形態で説明した機能の立体形半導体素子とは異なる素子を例に挙げる。
【0088】
図9は、本実施形態による立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。この図に示す立体形半導体素子(以下、単に「素子」という)21は、図1に示した2室構造のインクタンク内に少なくとも1つ配置されており、外部Aから素子21に向かって非接触で供給された起電力22を電力23に変換するエネルギー変換手段24と、エネルギー変換手段24で変換された電力により起動する情報入手手段25、判断手段26、情報蓄積手段27、情報伝達手段28、および受信手段29とを備えている。本実施形態は、第1の実施の形態とは受信機能を有する点、すなわち受信手段29を有する点が第1の実施形態と異なり、その他は第1の実施形態と同様である。素子21を動作させるために供給する起電力22には、電磁誘導、熱、光、放射線などを適用することができる。また、少なくともエネルギー変換手段24、情報入手手段25および受信手段29は素子21の表面もしくは表面付近に形成されていることが望ましい。
【0089】
情報入手手段25は、素子21の周囲環境情報であるインクタンク内のインク情報を入手する。受信手段29は外部Aまたは外部Bからの入力信号30を受信する。判断手段26は、受信手段29からの入力信号に応じて、情報入手手段25にインク情報を入手させ、この入手したインク情報と情報蓄積手段27に記憶してある情報とを比較し、入手したインク情報が所定の条件を満たすかどうかを判断する。情報蓄積手段27は、入手するインク情報と比較する諸条件や情報入手手段25より入手したインク情報そのものをデータテーブルとして蓄積する。情報伝達手段28は、判断手段26の命令によって、電力を、インク情報を外部A、外部Bまたは外部Cへ伝達するためのエネルギーに変換して、判断手段26による判断結果を外部A、外部Bまたは外部Cへ表示、伝達する。
【0090】
図10は、図9に示した素子の動作を説明するためのフローチャートである。図9及び図10を参照すれば、外部Aから素子21に向かって起電力22を与えると、エネルギー変換手段24は起電力22を電力23へと変換し、その電力により情報入手手段25、判断手段26、情報蓄積手段27、情報伝達手段28および受信手段29を起動する。
【0091】
この状態で、外部A又は外部Bから、素子21にインクタンク内の情報を聞くための信号30を送信する。この入力信号30は、例えばインクタンク内にまだインクが残っているかどうかを素子21に聞くための信号であり、受信手段29で受信される(図10のステップS21)。すると、判断手段26は、情報入手手段25に、インクタンク内のインク情報、例えばインクの残量、インクの種類、温度、pHなどの情報を入手させ(図10のステップS22)、かつ入手したインク情報と参照するための条件を情報蓄積手段27より読み出し(図10のステップS23)、入手したインク情報が設定条件を満たすかどうかを判断する(図10のステップS24)。
【0092】
ステップS24において入手情報が設定条件を満たさないと判断した場合にはその満たしていない旨を、入手情報が設定条件を満たすと判断した場合にはその満たしている旨を外部A又は外部B又は外部Cに伝達する(ステップS25,S26)。このとき、判断結果に併せて入手情報も伝達してもよい。この伝達は、エネルギー変換により得られた電力を、情報伝達手段28でさらに、インクタンク内のインク情報を外部へ伝達するためのエネルギーへ変換することで行なう。この伝達するためのエネルギーとしては、磁界、光、形、色、電波、音などを使用することが可能であり、判断結果に応じて変化させ、また、判断すべき質問内容(例えば、インク残量が2ml以下であるかや、インクのpHが変化しているか等)に応じて、その伝達方法を変えてもよい。
【0093】
なお、外部A又は外部Bからの入力信号30と共に起電力をも素子21に与えても良く、例えばその起電力が電磁誘導の場合はインクの残量について聞くための信号、光の場合はpHを聞くための信号など、情報の種類によって使い道を分けて与えても良い。
【0094】
本実施形態によれば、外部からの信号を受信する機能を有しているため、第1の実施の形態による効果に加え、外部からの様々な種類の信号による質問に対して返答することが可能となり、素子と外部とで情報のやり取りを行うことができる。
【0095】
(第3の実施の形態)
次に、本発明のインクタンクの第3の実施の形態を説明する。ここでも、図1に例示した2室構造のインクタンクに収容する、第1の実施の形態で説明した機能の立体形半導体素子とは異なる素子を例に挙げる。
【0096】
図11は、本実施形態による立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。この図で示す形態の立体形半導体素子(以下、単に「素子」という)31は、インクタンク内に配置されており、外部Aから素子31に向かって非接触で供給された起電力32を電力33に変換するエネルギー変換手段34と、エネルギー変換手段34で変換された電力を用いて浮力を発生させる浮力発生手段35とを備えている。
【0097】
本実施形態では、外部Aから素子31に向かって起電力32を与えると、エネルギー変換手段34は起電力32を電力33へと変換し、その電力33を用いて浮力発生手段35は素子31の浮力を発生し、素子31をインク液面で浮遊させる。この浮力は必ずしもインク液面だけでなく、インクが空の状態で吐出を行うのを防止するために、素子31の位置が必ずインク液面から一定距離下方に存在するようにしてもよい。
【0098】
図12に、図1と同等のインクタンクのインク中に浮遊させた素子の位置を、インクの消費変化とともに示す。
【0099】
図12に示すように2室構造のインクタンクでは、インク供給口36より負圧発生部材37のインクが外部へ導出され所定の位置まで下がると、そこからは負圧発生部材37内のインク液面は下がらず、消費された分のインクが生インクの収容室から負圧発生部材37に導入される。これにより、インク室内のインク38中の素子31は、インク液面Hから一定距離下方に存在した状態で、インクの消費によるインク液面Hの位置の低下と共に移動する。
【0100】
図13は、素子31の位置を確認し、タンク交換の必要性を判断するためのフローチャートである。図11及び図13のステップS31〜S34を参照すると、外部A又は外部B(例えばインクジェット記録装置)により素子31に向けて光を発信し、その光を外部A又は外部B(例えばインクジェット記録装置)又は外部Cで受信することにより素子31の位置が検知され、この検出された素子31の位置により、インクタンクを交換する必要があるか等をインクジェット記録装置が判断し、必要がある場合はタンク交換を音や光等で報知する。
【0101】
素子31の位置の検出方法としては、エネルギー変換手段34として図4に示した発振回路102を用い、インクタンクの外部に外部共振回路101と設置すれば、発振回路102からの出力に基づいて第1の実施形態と同様に検知する方法が挙げられる。また、その他に、インク液面の変位に伴って素子31が通過する位置に発光手段と受光手段とを対向配置し、発光手段から発せられた光を素子31が遮蔽することにより素子31の位置を検出する方法、または、発光手段から発した光を素子31で反射させ、その反射光により素子31の位置を検出する方法などが挙げられる。
【0102】
本実施形態によれば、第1の実施形態において図7を参照して説明したように内部に空洞部を設けなくても素子31を浮遊させることができ、しかも、液体の比重(もしくは、密度)が異なるなど、素子31が用いられる環境により素子31に必要な浮力などが変化する場合においても、外部からの起電力32をエネルギー変換手段34により変換して所望の位置に常に素子が存在するように設定することができるので、素子31が置かれる環境に拘わらず素子31を使用することが可能である。
【0103】
なお、本実施形態は上述した第1及び第2の実施の形態に適宜組み合わせることも可能である。
【0104】
(第4の実施の形態)
本実施形態は、第1又は第2の実施形態と同様の構成を有する素子に、他の素子に情報を伝達する機能を付与し、これらを図1に示した2室構造のインクタンク内に複数配置した構成としたものである。
【0105】
まず、本実施形態の概念について図14を参照して説明する。図14は、本発明のインクタンクの第4の実施の形態の概念を説明するための図である。
【0106】
図14(A)に示す例では、第1の実施の形態と同様の構成を有する複数の素子41,42,…,43が対象物中に配されており、各素子41,42,…,43に外部A又は外部Bより起電力が供給されると、各素子41,42,…,43はそれぞれ周囲環境情報を入手する。そして、素子41の入手情報aは素子42へ、素子41及び素子42の入手情報a,bは次の素子へと順次伝達され、最後の素子43はすべての入手情報を外部A又は外部Bに伝達する。
【0107】
また、図14(B)に示す例では、第2の実施の形態と同様の構成を有する複数の素子51,52,…,53が対象物中に配され、各素子51,52,…,53に外部A、外部B又は外部Cより起電力が供給されている。例えば、素子53に外部A又は外部Bから信号による所定の質問が入力されると、素子51又は52はそれぞれ質問に応じた情報を入手して回答を行ない、素子51又は52の質問回答は他の素子へと順次伝達され、所望の素子53より外部A又は外部B又は外部Cに返答される。
【0108】
また、図14(C)に示す例では、第2の実施の形態と同様の構成を有する複数の素子61,62,…,63が対象物中に配され、各素子61,62,…,63に外部A、外部B又は外部Cより起電力が供給されている。外部A又は外部Bより例えば素子63に対してある信号が入力されると、その信号は素子62および素子61へと順次伝達され、素子61により外部A又は外部B又は外部Cへ表示を行なう。
【0109】
なお、図14の(A)〜(C)の例では、複数の素子のうち一つを、第3の実施の形態と同様に浮力発生手段を備えたものとしてもよい。
【0110】
以上、本実施形態の概念について説明したが、以下に、上述の概念に基づいた本実施形態でのインクに関する情報の入手について、図15及び図16を参照して説明する。
【0111】
図15は、インクタンク内及びこれに接続したインクジェット記録ヘッド内にそれぞれ、第1、第2又は第3の実施の形態の構成を適宜組み合わせた素子を配置した例を示している。この例では、第1の実施の形態に対して第3の実施の形態の浮力発生手段および他の素子79への情報伝達機能を付加した素子71が、図1と同様の2室構造のインクタンク72のインク73中の所望の位置に配置される。一方、インクタンク72のインク供給口74と連結した液路75及び液室76を通じて供給されたインクを印字のために吐出口77から吐出する記録ヘッド78には、ID機能(認証機能)を備えた、第2の実施の形態と同様の構成を有する素子79が配置される。この素子79への電力供給は、素子表面に配した電極部と記録ヘッド78を駆動するための電気基板上のコンタクト部との接触によって行なってもよい。
【0112】
そして、各素子71,79に外部から起電力を供給すると、インク73中の素子71は、インク情報として例えばインクの残量情報を入手し、記録ヘッド78側の素子79は例えばタンク交換のためのインク残量を判断するID情報を素子71に伝達する。すると、素子71は入手したインク残量とIDとを比較し、これらが一致したときのみ、素子79に、外部へタンク交換を知らせるよう伝達指示する。素子79はこれを受信して外部にタンク交換を知らせる信号を伝達したり、人の目や聴覚に訴える音や光等を出力する。
【0113】
また、図14及び図15に示した例では、各々の素子に起電力を供給する構成としたが、これに限らず、ある素子に供給した起電力を情報とともに他の素子に順次伝達する構成であってもよい。
【0114】
例えば図16に示すように、第1の実施の形態の構成に、第3の実施の形態と同様の浮力発生手段と、他の素子への情報伝達機能および起電力供給機能とを付加した素子81、及び、第2の実施の形態の構成に、第3の実施の形態と同様の浮力発生手段と、他の素子への情報伝達機能および起電力供給機能とを付加した素子82がそれぞれ、図15と同様のインクタンク72のインク73中の所望の位置に配置される。一方、インクタンク72と連結した記録ヘッド78には、ID機能(認証機能)を備えた、第2の実施の形態と同様の構成を有する素子83が配置される。この素子83への電力供給は素子表面に配した電極部と記録ヘッド78を駆動するための電気基板上のコンタクト部との接触によって行なってもよい。
【0115】
そして、素子81に外部から起電力を供給すると、インク73中の一方の素子81は、インク情報として例えばインクの残量情報を入手して、この情報を内部の規定条件と比較し、他方の素子82へ伝達の必要がある場合は、入手したインク残量情報を他方の素子82に、その素子82を動作させる起電力とともに伝達する。起電力が供給された他方の素子82は、素子81から伝達されたインク残量情報を受信するとともに、インクに関する情報として例えばインクのpH情報を入手し、記録ヘッド78側の素子83に、素子83を動作させる起電力を伝達する。すると、起電力が供給された記録ヘッド78側の素子83は例えばタンク交換のためのインク残量又はインクのpHを判断するID情報を素子82に伝達する。そして素子82は、入手したインク残量情報およびpH情報とIDを比較し、一致したときのみ、素子83に外部へタンク交換を知らせるよう伝達指示する。素子83はこれを受信して外部にタンク交換を知らせる信号を伝達したり、人の目や聴覚に訴える音や光等を出力する。このように、ある素子から他の素子へと情報とともに起電力を供給する方法も考えられる。
【0116】
なお、記録ヘッド78は、液路内でヒーター等の電気熱変換素子の熱によりインクを発泡させ、その気泡成長エネルギーにより、液路と連通する微小開口よりインク滴を吐出するものが考えられる。
【0117】
(第5の実施の形態)
次に、本発明のインクタンクの第5の実施の形態を説明する。ここでは、図1に示した2室構造のインクタンクのインク供給口から外部へのインク供給において信頼性をより高く保てる構成例を挙げる。
【0118】
図1に示した2室構造のインクタンクでは、既に述べたとおり、インク供給口3からのインク導出中、先ずは負圧発生室1の負圧発生部材中からインクがインク供給口3に対して等方的に消費される。そのインク液面が連通路10bに達すると、負圧発生室1内に入り込んでいた大気が連通路10bを通ってインク室2に入り、それと見合った量のインクがインク室2から負圧発生室1へ導入され、負圧発生部材中のインクが消費される代わりにインク室2内のインクが消費される。この状態(以下、「気液交換時」とも称す)では負圧発生部材中のインク液面はほとんど変化しないため、インクジェットヘッドに対する負圧量が一定となり、インクジェットヘッドを常に安定した吐出量で動作させることができる。しかし、気液交換時のインク室2から負圧発生室1へのインク供給量よりも、インク供給口3からのインク消費量の方が大きい場合、インク室2と負圧発生室1のインク供給口3との間のインクパスが途切れたり、負圧発生室5へ十分なインク量を補給できなくなったりすることがある。この問題の対して、インク供給口3の周辺の負圧発生部材の材質をインク供給口3の周辺以外よりインク吸収力の高いもの(例えばPP圧接体)に変えて対応している。しかし、この対策では上記の問題の発生を予期して瞬時(デジタル的)に対応することはできない。そこで、上記の問題発生を予期したら瞬時に対応できる機能が望まれた。このような今までにない機能を持った、図1と同等の2室構造のインクタンクをここでは提案する。
【0119】
図17は本発明のインクタンクの第5の実施の形態を示す概略断面図である。この図に示す2室構造のインクタンク(図1と同様)において、圧力変動を検知する圧力センサ(圧力検知手段)を有する立体形半導体素子4(第1の監視手段)が負圧発生室1に配置され、連通路50bには開閉バルブを有する立体形半導体素子5(流量調節装置)が配置されていて、立体形半導体素子4からの圧力信号を受信し、前記開閉バルブによって連通路50bの流量を調節する。但し、立体形半導体素子4の位置はインク切れを未然に防止する目的から、インク切れが起きる限界線(図S1中の点線で示す気液界面。)より直ぐ上に配置される必要がある。
【0120】
また、立体形半導体素子4には第1又は第2の実施の形態(図2又は図9の構成)が適用でき、この場合、素子4における情報入手手段は圧力センサである。一方、立体形半導体素子5には、第2の実施の形態(図9の構成)において情報伝達手段を開閉バルブに代え、かつ情報入手手段を備えていないものが適用できる。このように、連通路50bに配置する開閉バルブ装置として、第2の実施の形態による立体形半導体素子を利用したが、本発明は電源を持たず非接触で連通路の流量調節を行えるバルブ装置であれば、立体形半導体素子でなくともよい。
【0121】
また必要に応じて、インク室2内のインク液面には、インク残量を検知し、ある一定量レベル以下になると立体形半導体素子5の開閉バルブを全開にしておくように制御する手段を有する立体形半導体素子6(第2の監視手段)が浮かべられている。この立体形半導体素子6によるインク残量検知および浮力発生の方法については第1の実施の形態と同じ方法を採ることができる。
【0122】
さらに、立体形半導体素子4,5,6の起動は図4を用いて説明した誘導起電力で行うことが考えられる。
【0123】
次に、この形態のインクタンクによるインク供給動作を説明する。
【0124】
図17を参照すると、前述したような気液交換時に負圧発生室1の液面が、これ以上下がるとインクパス切れが起きるおそれのある限界線(図中の点線)に達した場合、立体形半導体素子4が前記液面より上方となって大気にさらされる。このように素子4周囲の負圧発生部材に液体が存在する状態から液体の無い状態になる時には圧力変動が生じるため、素子4の圧力センサーがこの圧力変動を検知することで、インク室2からインク供給口3へのインクパスが切れる状態を未然に察知することが出来る。そして、立体形半導体素子4は圧力センサーで得た圧力変動情報を、連通路50bの立体形半導体素子5に伝達する。
【0125】
立体形半導体素子5は立体形半導体素子4からの圧力変動情報を受信し、この圧力変動情報に応じて開閉バルブを制御する。つまり、負圧発生室1の液面が下がってインクパス切れが起きるおそれのある限界線に達したら、連通路50bの素子5の開閉バルブをより開くことでインク室2から負圧発生室1へのインク供給量を上げる。また、インクパス切れが起こらない状態に液面が復帰したことが圧力センサーで得た素子4周辺の圧力値によって判断できたら、連通路50bの立体形半導体素子5の開閉バルブを絞り、通常の流量にする。
【0126】
以上のようにして、図1と同等の2室構造のインクタンクにおいて、インク室2から負圧発生室1のインク供給口3へのインクパス切れ等の起こりうる状態を察知し、この状態にならないよう瞬時に対応する機能を持たせることができる。
【0127】
なお、インク室2に立体形半導体素子6を備えている場合は、立体形半導体素子6で得たインク室2内のインク残量情報を立体形半導体素子5が受信し、インク残量がある一定量レベル以下である判断すると開閉バルブを全開に制御する。これにより、インク室2内のインク残量が減っても負圧発生室1への十分な供給量が確保でき、インク供給の信頼性のより一層高い2室構造タンクを提供する事が出来る。
【0128】
立体形半導体素子6によるインク室2内のインク残量検知は第1の実施の形態で説明したように、共振周波数領域での振幅値が素子と外部共振回路との距離によって変化することを利用して行う方法に限らず、次のような方法であってもよい。すなわち、立体形半導体素子6にインク室2内の圧力を検知する圧力センサーを設け、インク室2内の液体が消費される前のインク室2内の初期圧Pと、インク室2内の液体が消費されているある時点の圧力Pとを検知することで圧力損失h(図17参照)を求め、この圧力損失hの情報を立体形半導体素子5に伝達してもよい。圧力損失hは h=(P−P)/ρg (ここで、ρgは立体形半導体素子の比重量である。)によって求められる。この圧力損失の上限値は、各々の記録ヘッドの仕様(例えば、ノズル数、吐出量、駆動周波数、インクタンクから記録ヘッドのインク供給口のサイズ等)によって設定されており、前記記録ヘッドの使用中に、この上限値を超えた場合には、Emergency信号が本発明の立体形半導体素子から記録ヘッド及び、記録装置へ伝送されて、記録装置から記録ヘッドへの画像データや記録ヘッドを制御している駆動信号を転送停止にすることで、記録ヘッドへのインクの供給不足による画像劣化を防止することができる。
【0129】
(その他の実施の形態)
以下に、上述した各実施形態に適用可能なその他の実施形態について説明する。
【0130】
〈浮遊型の立体形半導体素子の液面での安定化〉
立体形半導体素子が、図7に示すような空洞部を有する構成であり、また、立体形半導体素子への電力の供給が、図4に示した発振回路と外部共振回路とによりなされる場合、インクタンクがどのような状態においても、素子に作り込まれた発振回路と外部の外部共振回路との間で安定した磁束(磁界)が働いている必要がある。つまり、外部共振回路に対する素子の向きが安定している必要がある。しかし、素子がインクなど液体中に浮遊している場合、外部振動により液面が振動し、素子の向きが変動することがある。そのような場合でも、素子が液体中で安定した姿勢を保持するために、浮遊型の立体形半導体素子の重心を以下のように決定する。
【0131】
図18で示しているように、球体として形成した立体形半導体素子210を液体中に浮遊させた場合、図18(a)のように、釣り合いの状態にあるためには、
(1)浮力F=物体の重量W、かつ、
(2)浮力の作用線と重量の作用線(重心Gを通る線)とが一致、
という関係が成り立っていることが必要である。
【0132】
そして、図18(b)のように、外力により液体が振動して、立体形半導体素子210が、釣り合いの状態から少し傾いた時、浮力の中心Cが移動し、浮力と重量とで偶力となる。
【0133】
ここで、釣り合いの状態にあるときの重量の作用線(図18(b)中の一点鎖線)と、傾いたときの浮力の作用線(図18(b)中の実線)との交点をメタセンタといい、メタセンタと重心Gとの距離hをメタセンタの高さという。
【0134】
立体形半導体素子210のメタセンタは重心Gよりも高い位置にあり、これにより、偶力(復元力)は元の釣り合いの位置に戻そうとする向きに作用する。この復元力Tは、
【0135】
【数13】
Figure 0003610296
で表される。ここで、Vは、立体形半導体素子210が排除した液体の体積、ρgは、立体形半導体素子210の比重量である。
【0136】
そこで、この復元力Tを正にするためには、h>0となることが必要十分条件である。
【0137】
そして、図18(b)から、
【0138】
【数14】
Figure 0003610296
となる。ここで、IはO軸回りの慣性モーメントである。よって、
【0139】
【数15】
Figure 0003610296
となることが、立体形半導体素子210が、インク中で安定して浮遊し、外部共振回路からの誘電起電力の供給や、素子外部の通信手段との双方向通信を行うための必要条件となる。
【0140】
〈情報入手手段〉
インクに関する情報およびその情報を入手する情報入手手段としては、上述した各実施形態で述べたものの他に、(1)SiO膜やSiN膜をイオン感応膜として作り、インクのpHを検知するセンサ(イオンセンサ)、(2)ダイヤフラム構造を有し、タンク内の圧力変化を検知する圧力センサ、(3)光を熱エネルギーに変換し、焦電効果を有するフォトダイオードを作り込み、現在の位置を検出し、インク残量を検知するセンサ、(4)材料の導電効果を用いて、タンク内の水分量によりインク有無を検知するセンサ等が挙げられる。
【0141】
〈イオンセンサ〉
上記の情報入手手段をイオンセンサとした場合について詳細に説明する。
【0142】
図19は、本発明の立体形半導体素子に設けられたイオンセンサの断面図である。
【0143】
図19に示すように、立体形半導体素子のベースとなる球状シリコン301の表面には、SiNまたはSiOからなるイオン感応膜302が、その一部を間隙部307を介して球状シリコン301と間隔をあけて形成されている。イオン感応膜302の表面にはゲート絶縁膜303が形成されている。さらに、ゲート絶縁膜303の表面には、N型不純物を導入したソース領域304aおよびドレイン領域304bからなるN型ウェル層が形成され、さらにその上に、P型ウェル層305が形成されている。また、間隙部307が形成された領域の、球状シリコン301の表面の一部には参照電極306が形成され、以上により、イオン選択性FET(電界効果トランジスタ)であるイオンセンサ300が構成される。
【0144】
間隙部307は、参照電極306が形成された球状シリコン301の表面に、インク感応膜302等を形成する前に、参照電極306を覆って犠牲層を形成しておき、P型ウェル領域305が形成された後、この犠牲層をエッチング等により除去することで形成することができる。また、間隙部307は、不図示の連通部を介してイオンセンサ300の外部と連通しており、この立体形半導体素子がインク中に設置された状態では、インクは連通部を介して間隙部307内を自由に行き来できる。
【0145】
インク感応膜302がインクと接することにより、インク感応膜302とインクとの間でインク中のイオン種とその濃度に応じた界面電位が発生する。イオンセンサ300のソース−ドレイン間に所定のバイアス電圧を印加しておくことにより、界面電位に応じたドレイン電流が流れる。測定時には、参照電極306とソースとの間に適当なバイアスを印加しておき、界面電位とこのバイアスとの和に応じたドレイン電流を観測する。あるいは、イオンセンサ300をソースフォロア回路として構成し、抵抗を介して電位として出力を得るようにしてもよい。
【0146】
ところで、インクジェット記録装置で使用されるインクは、一般的に、溶媒としての水に、染料や顔料を溶解または分散させたものである。具体的には、カルボキシル基や水酸基を有する染料イオンや、これらの基を有する分散剤によって親水化された顔料や、これらの基を付着させた顔料粒子を水に溶解または分散させたものである。このような染料あるいは顔料は、水溶液系であるインク中で、図20(a)、(b)に示すように、水素結合などの比較的弱い結合により、会合状態を形成する。このような会合状態が数十/数百の分子間で起こると、仮想的に高分子の色材分子となり、インクの動的粘度を低下させ、その結果、記録ヘッドからの吐出特性の劣化をもたらすことになる。
【0147】
上述した会合状態が形成されると、見かけ上、イオンとしてのカルボキシル基や水酸基の活量が低下することになるとともに、イオン自体の実効的な分子量が大きくなるため、イオンセンサ300での検出電位に変化を生じさせることになる。本例の立体形半導体素子は、例えば記録ヘッドのインクと接触する領域に設置し、インク中での染料イオン等の会合状態をイオンセンサ300によって検知し、必要に応じて記録ヘッドの回復動作等を行って、記録ヘッド内のインクを常に一定の解離状態にする。
【0148】
図21(a)は、イオンセンサでの検知結果を出力するための回路の一例を示す図であり、図21(b)は、図21(a)の回路をロジック回路として表したものである。ここでは、イオン濃度に応じて発振周波数が変化する発振回路を説明する。
【0149】
図21に示す例では、MOSトランジスタ320,321を直列に接続してインバータ回路322,323が構成され、このようなインバータ回路322,323を2段、リング状に接続して発振回路を構成し、さらにインバータ回路323の出力をバッファとしての1段のインバータ回路322を介して取り出すことにより、発振出力としている。イオンセンサ300は、インバータ回路322の出力(すなわちインバータ回路323の入力)と接地点との間に挿入されている。この回路によれば、イオンセンサ300での検出電位に応じて発振周波数が変化する。従って、この発振周波数を検出することにより、インクのイオン濃度を検出することができる。
【0150】
本発明の立体形半導体素子をインクタンクのインク中、特に液面付近に配しておくと、上述したように、インク中の色材分子等が会合していくと、仮想的に高分子状態になり、底面付近に沈降し、インクタンク中のインクに濃度分布やpH分布が発生するのを検知することができる。その結果を外部に伝達することで、これらの分布をなくす動作を機能させることが可能となる。
【0151】
イオンセンサ300での検出電圧値は、ネルンスト(Nernst)の式によって支配されるため、温度の関数でもある。そこで、温度の影響をなくすため、例えば温度センサも別に設け、温度の測定値に応じてイオン濃度の測定値を補正できるようにしてもよい。このように温度センサを設けた場合には、イオンセンサと温度センサとを同一の素子に形成してもよいし、それぞれ別の素子に形成し、第4の実施形態のように、温度センサを形成した素子が入手した情報を、イオンセンサを形成した素子に伝達する構成としてもよい。
【0152】
また、流体力学の面から導かれたストークス(Stokes)の法則によれば、イオンのモル濃度λは、
【0153】
【数16】
Figure 0003610296
(ここで、Z:イオンの電荷数、F:ファラデー定数、N:単位面積当たりの分子数、η:粘性率、r:イオン半径)
で与えられ、また、イオンの拡散係数Dは、
【0154】
【数17】
Figure 0003610296
(ここで、R:気体定数、T:絶対温度)
で与えられる。この流体力学のストークスの法則がインク中のイオンの運動に当てはめることができるとする。その際、インクカートリッジやインクタンクに注入する前に、インクのモル伝導度λや拡散係数Dを測定しておいて、素子に設けられている情報蓄積手段または素子の外部に予め設けられているメモリに認識させておく。
【0155】
インク中の色材成分(染料もしくは顔料)にのみ着目してみると、イオン半径r、粘性率η、電荷数Zが、可変するパラメータになる。
【0156】
さらに、着目したイオンの双極子モーメントμは、
【0157】
【数18】
Figure 0003610296
で表され、インクの被誘電率εは、
【0158】
【数19】
Figure 0003610296
(ここで、g:隣接分子の相対的な配向で決まる量、k:ボルツマン定数)
で表される。
【0159】
上述のイオンセンサを用いて、検出電位の変化が、(イオンの電荷数Z/イオン半径r)に比例すると考えると、式(10)から、粘性率ηの変化を相対的に見積もることができる、この粘性率ηの変化に応じて吐出特性を一定にするためのパルス制御が、極めて有効な手段になると考えられる。又、インクタンク内での上記変化が、インク中に発生した場合には、本発明の立体形半導体素子に不図示の発熱素子を配して、インクタンク中のインクを温めることで、インク中の染料や親水化された顔料成分のイオン成分の拡散係数を増すことで、上記成分の会合状態を遮断して、イオン化を促進して、インクの粘性の増加を抑制することができる。
【0160】
〈圧力センサ〉
前記情報入手手段として利用される圧力センサの一例について詳しく説明する。
【0161】
図22は、本発明のインクタンクに収容する立体形半導体素子に設けられる圧力センサの構造の一例を説明する断面図である。
【0162】
図22に示す圧力センサは、ポリシリコン膜におけるピエゾ抵抗効果を利用した半導体歪ゲージであり、球状シリコンから作られる立体形半導体素子の表面の常にインクと接する部位に形成されている。ポリシリコン抵抗層221は、球状シリコン200の表面に、空洞部225を介して部分的に浮き上がったダイアフラムとして形成されている。ポリシリコン抵抗層221の浮き上がった領域での両端部には、例えばCuまたはWからなる配線222が設けられている。そして、ポリシリコン抵抗層221および配線222は、SiNからなる保護膜223で覆われ、これにより圧力センサが構成されている。
【0163】
次に、図22に示す圧力センサによる圧力検知原理について、図22、および図22に示すポリシリコン抵抗層からの出力をモニタする回路の回路図である図23を参照して説明する。
【0164】
図23において、ポリシリコン抵抗層221の通常時の抵抗値をrとすると、電流計230には、
i=VDD/{R+R×r(R+r)} (21)
の電流が流れる。また、ポリシリコンは、その変位にほぼ比例して抵抗値が増加する特性を有する。従って、通路212の圧力の変化によってポリシリコン抵抗層221が変位すると、ポリシリコン抵抗層221の抵抗値rが変化し、その結果、電流計230で測定される電流iも変化する。すなわち、電流iの変化からポリシリコン抵抗層221の変位量がわかり、それによってインクの圧力が検知可能となる。
【0165】
更に詳細に説明すると、ポリシリコン抵抗層221の長さをL、断面積をSとすると、抵抗率ρを用い、全抵抗値Rは、
R=ρL/S (22)
で表される。ここで、ポリシリコン抵抗層221が、圧力変化に伴って変化すると、その長さはL+ΔLと長くなり、抵抗値が増加する。一方、断面積はS−ΔSと小さくなり、また、ρもρ’と変化する。抵抗値の増加分ΔRと長さの増加部ΔLとの関係は、
【0166】
【数20】
Figure 0003610296
で表され、更に、
【0167】
【数21】
Figure 0003610296
となる。ここで、kgは、歪みに対する抵抗値の変化係数を表している。
【0168】
そして、ブリッジ回路等を用いて、抵抗値の変化分ΔRを検出することで圧力変動を求めることができる。
【0169】
ポリシリコンは温度によって歪み抵抗が変化する特性を持つ。そのため、ポリシリコン抵抗層221を有する圧力検知センサでは、ポリシリコン抵抗層221の温度をモニタする温度センサを更に備えることが望ましい。つまり、ポリシリコン抵抗層221に、温度センサを介して電圧VDDを供給することにより、環境温度の変化によるポリシリコン抵抗層221の抵抗変化を補償して、インクの圧力をより正確に検知することができる。
【0170】
〈開閉バルブ〉
前述した第5の実施の形態における開閉バルブの具体的な構造の一例について、その製造工程とともに説明する。
【0171】
図24は、第5の実施の形態の開閉バルブが形成された立体形半導体素子の構造の一例を、前述したボール・セミコンダクタに用いられる球状シリコンに形成する場合について説明する図であり、図25は、図24に示す圧力調整手段の製造工程を説明する図である。なお、図24および図25では、球状シリコンの中心を通る断面で示している。
【0172】
図24に示すように、球状シリコン200の互いに相対する2つの箇所にそれぞれベース電極201が形成されている。また、球状シリコン200を取り囲んで、SiN膜206が形成されている。SiN膜206は、各ベース電極201と対向する領域が、球状シリコン200の表面と間隔をあけて片持ち支持された可動部210,211となっている。各可動部210,211には、それぞれベース電極201と対向するバルブ電極205が設けられている。また、SiN膜2106は、部分的に、一方のベース電極201から他方のベース電極201にわたる領域が球状シリコン200と間隔をあけて形成されており、この部分が、一方の可動部210側と他方の可動部211側との間での気体の流通を可能とする通路212となっている。
【0173】
次に、図24に示した開閉バルブの製造方法について図25を参照して説明する。
【0174】
まず、図25(a)に示す球状シリコン201に対し、その全表面上に、図25(b)に示すようにPSG(phospho silicate glass)膜202を形成する。なお、 PSG膜202を形成する前に、球状シリコン201には、その中心に対して対称となる2カ所に、それぞれベース電極201が予め形成されている。その後、図25(c)に示すようにPSG膜202に少なくともベース電極201を露出させる開口203、および後述する通路を形成するため、フォトリソグラフィプロセスを用いて、通路となる部分を残してPSG膜202をパターニングする。
【0175】
そして、図25(d)に示すように、ベース電極201およびPSG膜202を覆って、メタルCVD法によってCu膜204を形成し、そのCu膜204を、ベース電極201上およびその周囲の部分を残して除去する。その後、図25(e)に示すように、Cu膜204上の、後述する可動部となる部分にバルブ電極205を形成し、さらに、球状シリコン200の全周に、これらPSG膜202、Cu膜204およびバルブ電極205を覆って、PECVD法を用いてSiN膜206を形成する。
【0176】
更に、図25(f)に示すように、SiN膜206を、可動部の形状にパターニングする。この段階での素子の概略の平面図を図26に示す。SiN膜206のパターニングにより、図26に示すように、SiN膜206のCu膜204上の部分に、放射状のスリット206aが形成される。そして、Cu膜204およびPSG膜202を適宜溶剤で溶解して除去する。これにより、図25(g)に示すように、上部および下部の2カ所にそれぞれ球状シリコン200と間隔をあけて支持されて弁として作用する可動部210,211を複数備え、上部の可動部210と球状シリコン200との間の空間と、下部の可動部211と球状シリコン200との間の空間とが、複数の通路212によって互いに繋がった構造を有する立体形半導体素子が得られる。
【0177】
この立体形半導体素子を図17に示したインクタンクの連通路50bに配置する際は、一方の可動部210を図17に示したインクタンクのインク室2側に位置させ、他方の可動部211を図17インクタンクの負圧発生室1側に位置させる。
【0178】
次に、上述した開閉バルブを有する立体形半導体素子が取り付けられたインクタンクでのインク供給量調整方法について、図24、図27および図28を参照して説明する。
【0179】
図27は、図24に示す開閉バルブに関連する電気的構成の等価回路図である。この図から明らかなように、互いに対向するバルブ電極とベース電極との間でコンデンサCが構成されている。
【0180】
また、図11は、図7に示す圧力調整手段の、バルブ電極およびベース電極への印加信号の一例のタイミングチャートである。
【0181】
まず最初に、ベース電極201およびバルブ電極205をGNDレベルに設定しておく。そして、ベース電極201にハイレベル信号を印加し、さらにバルブ電極205にハイレベル信号を印加する。これにより、バルブ電極205とベース電極201との間に静電引力が働き、バルブ電極205がベース電極201に引き寄せられるので、結果的に、通路212の両端の可動部210,211が球状シリコン200側に変位して球状シリコン200と接触し、通路212の両端が、スリット206aによる隙間を残して閉鎖される。各通路212の両端の可動部210,211のバルブ電極205全てにハイレベル信号を印加すれば、全ての通路212の出入口が最小に絞られる。
【0182】
この状態を初期状態とし、流量を上げるときは、所望の数の通路212の両端の可動部210,211のバルブ電極205にローレベル信号を印加する。これにより、可動部210,211は球状シリコン200から離れ、通路212の出入口が大きく開く。開く通路の数に応じて流量を調節することができる。また、再び流量を絞るときは、再びバルブ電極205にハイレベル信号を印加して可動部210,211を変位させ、通路212を閉鎖する。この場合も、閉鎖する通路の数によって、絞る流量を調節することができる。
【0183】
〈インクジェット記録装置〉
図29に、本発明のインクタンクを搭載するインクジェット記録装置(液体吐出記録装置)の概略斜視図を示す。図29に示されるインクジェット記録装置600に搭載されたヘッドカートリッジ601は、印字記録のためにインクを吐出する液体吐出ヘッドと、その液体吐出ヘッドに供給される液体を保持する図1に示した2室構造のインクタンクとを有するものである。また、インクタンク内に配された立体形半導体素子(不図示)へ外部エネルギーである起電力を供給する外部エネルギー供給手段622や、立体形半導体素子と情報を双方向に通信する手段(不図示)が記録装置600内に設置されている。
【0184】
ヘッドカートリッジ601は、図29に示すように、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギヤ603および604を介して回転するリードスクリュー605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されている。駆動モータ602の動力によってヘッドカートリッジ601がキャリッジ607と共にガイド608に沿って矢印aおよびbの方向に往復移動される。
【0185】
インクジェット記録装置600には、ヘッドカートリッジ601から吐出されたインクなどの液体を受ける被記録媒体としてのプリント用紙Pを搬送する被記録媒体搬送手段(不図示)が備えられている。その被記録媒体搬送手段によってプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pの紙押さえ板610は、キャリッジ607の移動方向にわたってプリント用紙Pをプラテン609に対して押圧する。
【0186】
リードスクリュー605の一端の近傍には、フォトカプラ611および612が配設されている。フォトカプラ611および612は、キャリッジ607のレバー607aの、フォトカプラ611および612の領域での存在を確認して駆動モータ602の回転方向の切り換えなどを行うためのホームポジション検知手段である。プラテン609の一端の近傍には、ヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面を覆うキャップ部材614を支持する支持部材613が備えられている。また、ヘッドカートリッジ601から空吐出などされてキャップ部材614の内部に溜まったインクを吸引するインク吸引手段615が備えられている。このインク吸引手段615によりキャップ部材614の開口部を介してヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。
【0187】
インクジェット記録装置600には本体支持体619が備えられている。この本体支持体619には移動部材618が、前後方向、すなわちキャリッジ607の移動方向に対して直角な方向に移動可能に支持されている。移動部材618には、クリーニングブレード617が取り付けられている。クリーニングブレード617はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニングブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段615による吸引回復操作にあたって吸引を開始するためのレバー620が備えられており、レバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換えなどの公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカートリッジ601に設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は記録装置本体側に設けられており、図29では示されていない。
【0188】
上述した構成を有するインクジェット記録装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラテン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわたって往復移動する。この移動時に不図示の駆動信号供給手段からヘッドカートリッジ601に駆動信号が供給されると、この信号に応じて液体吐出ヘッド部から被記録媒体に対してインク(記録液体)が吐出され、記録が行われる。
【0189】
なお、図29ではインクジェット記録装置の外装は示していないが、外装のカバーを半透明など中の状態が見れるものを用い、インクタンクも半透明のものを用いた場合には光を伝達手段として用いると、タンクの光をユーザーが見ることができるので、例えば「タンク交換の必要がある」ことが分かり易く、ユーザーに、タンク交換の必要性を喚起することができる。従来は、記録装置本体の操作ボタンに発光手段を設け、その発光手段を発光させることによってタンク交換をユーザーに知らせていたが、発光手段は幾つかの表示機能を兼用している場合が多く、発光手段が発光してもユーザーはこの発光が何を意味しているのか分かりにくい場合が多かった。
【0190】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、密閉された液体収容室と一部が大気に連通する吸収体収容室とを容器底部の連通路で連通させ、吸収体収容室に液体吐出ヘッドへの供給口を設けてなる2室構造の液体収納容器において、液体(インク)に関する情報を入手する機能と、入手した情報を外部に伝達する機能とを少なくとも作り込んだ素子を液体に接するように1つ以上配置することで、液体に関する情報の入手および外部への伝達を効率的に行うことができる。特に、立体形半導体素子が入手した情報に基づいて記録装置の駆動やインク供給量等を制御し、高品位な記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクタンクの第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態における立体形半導体素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。
【図3】図2に示した立体形半導体素子の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明に適用する立体形半導体素子の構成要素であるエネルギー変換手段の電力発生原理を説明するための図である。
【図5】図4に示す発振回路からの出力を共振周波数と振幅との関係で示す図である。
【図6】図4に示す発振回路からの出力の振幅のピーク値とインクのpHとの関係を示す図である。
【図7】図1に示す浮遊型の立体形半導体素子の製造方法の一例を説明するための一連の工程を示す図である。
【図8】本発明に適用する立体形半導体素子を駆動制御するN−MOS回路素子を縦断するように切断した模式的断面図である。
【図9】本発明に適用する立体形半導体素子の第2の実施の形態の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。
【図10】図9に示した立体形半導体素子の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明に適用する立体形半導体素子の第3の実施の形態の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成図である。
【図12】インクタンクのインク中に浮遊させた図9の構成の素子の位置を、インクの消費変化とともに示す図である。
【図13】図9に示す構成の素子の位置を確認し、タンク交換の必要性を判断するためのフローチャートである。
【図14】本発明のインクタンクの第4の実施の形態の概念を説明するための図である。
【図15】インクタンク内及びこれに接続したインクジェットヘッド内にそれぞれ、第1、第2又は第3の実施の形態を適宜組み合わせた立体形半導体素子を配置した例を示す図である。
【図16】インクタンク内及びこれに接続したインクジェットヘッド内にて、ある立体形半導体素子に供給した起電力を情報とともに他の立体形半導体素子に順次伝達する構成例を示す図である。
【図17】本発明のインクタンクの第5の実施の形態を示す概略断面図である。
【図18】図7で示す方法で製造した立体形半導体素子が液体中で安定した状態を保持するための条件を説明するための図である。
【図19】本発明の立体形半導体素子を構成する情報入手手段の一例であるイオンセンサを説明する図である。
【図20】インク中の染料イオンの会合状態を説明する図である。
【図21】図19に示すイオンセンサでの検知結果を出力するための回路の一例を示す図である。
【図22】本発明の立体形半導体素子に設けられる圧力センサの構造の一例を説明する図である。
【図23】図22に示すポリシリコン抵抗層からの出力をモニタする回路の回路図である。
【図24】図17のインクタンクの連通路に配される立体形半導体素子の圧力バルブの構造の一例を説明する図である。
【図25】図24に示す圧力バルブの製造工程を説明する図である。
【図26】図25(f)に示す状態での立体形半導体素子の平面図である。
【図27】図24に示す圧力バルブに関連する電気的構成の等価回路図である。
【図28】図24に示す圧力バルブの、バルブ電極およびベース電極への印加信号の一例のタイミングチャートである。
【図29】本発明のインクタンクを搭載するインクジェット記録装置の一例の概略斜視図である。
【図30】従来のインク残量検知装置の一例を示す図である。
【図31】従来のインク残量検知装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 負圧発生室
2 インク室
3 インク供給口
10 インクタンク
10a 仕切壁
10b 連通路
4、5,6,11,21,31,41,51,61,71,79,81,82,83 立体形半導体素子
12,22,32 起電力
13,23,33 電力
14,24,34 エネルギー変換手段
15,25 情報入手手段
16,26 判断手段
17,27 情報蓄積手段
18,28 情報伝達手段
29 受信手段
30 入力信号
35 浮力発生手段
36、74 インク供給口
37 負圧発生部材
38,73 インク
72 インクタンク
75 液路
76 液室
77 吐出口
78 記録ヘッド
101 外部共振回路
102 発振回路
201,301 球状シリコン
202 SiO2膜
203 開口
204 空洞部
205 SiN膜
206 Cu膜
207 封止部材
300 イオンセンサ
302 インク感応膜
303 ゲート絶縁膜
304a ソース領域
304b ドレイン領域
305 P型ウェル層
306 参照電極
307 間隙部
600 インクジェット記録装置
601 ヘッドカートリッジ
607 キャリッジ
622 外部エネルギー供給手段

Claims (3)

  1. 液滴を吐出する液体吐出ヘッドに供給されるインクを収容した液体収納容器であって、
    前記液体収納容器は、一部が大気に連通されるとともに前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給口とを備え内部に液体を吸収する吸収体が収容された第1室と、外部から密閉され前記液体を直接収容する第2室と、前記液体収納容器の使用状態における底部側に前記第1室と前記第2室を連通する連通路とを有しており、
    前記第1室内には前記第1室の圧力変動を監視する第1の監視手段としての第1の立体形半導体素子が、
    前記第2室内には前記第2室の液量を監視するために、液面もしくは液中に浮かんで配された液体の残量を検知する残量検知手段を構成する第2の監視手段としての第2の立体形半導体素子が、
    前記連通路には、前記第1の監視手段もしくは第2の監視手段からの情報に応じて前記連通路を流れる液体の流量を調節する流量調節装置としての第3の立体形半導体素子が、それぞれ配置されており、
    前記第2監視手段としての第2の立体形半導体素子は、液面もしくは液中の所定の高さで浮遊するための空洞部を有し、前記第2の立体形半導体素子の重心が当該素子の中心より下方に位置するとともに、当該素子のメタセンタが前記重心より常に上方に位置するように構成されたものであり、
    前記流量調節装置としての第3立体形半導体素子は、前記第1の監視手段もしくは第2の監視手段からの情報を受信する受信手段と、前記受信した情報に応じて前記液体の流量を調整するために、球状シリコンと、該球状シリコンと間隔を有して片持ち支持されて前記第1もしくは第2の立体形半導体素子の情報に応じて開閉動作される第1可動部および第2可動部と、該第1可動部と第2可動部とをつなぎ前記球状シリコンとの間に空間として構成された通路と、前記球状シリコンの表面の一部に設けられた第1および第2ベース電極と、前記第1および第2ベース電極と対向し前記第1および第2可動部にそれぞれ設けられた第1および第2バルブ電極と、を備え、外部から与えられるエネルギーを、前記受信手段および前記可動部を動作させるための前記エネルギーとは異なる種類のエネルギーに変換するエネルギー変換手段とを少なくとも有して構成されている、ことを特徴とする液体収納容器。
  2. 前記第1、第2の前記立体形半導体素子は、少なくとも前記液体の水素イオン濃度指数、濃度、密度の一つを含む、前記液体の化学的物性の情報を入手する情報入手手段として機能させることを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
  3. 前記第1、第2の前記立体形半導体素子は、さらに前記情報入手手段により入手された入手情報と比較するための情報を蓄積する情報蓄積手段と、入手した前記液体の化学的物性の変化情報を前記情報蓄積手段の情報と比較することで液体の物理的物性値の変化を推定して情報伝達の必要性を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の液体収納容器。
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