JP2002113882A - 液体収納容器、および液体吐出記録装置 - Google Patents

液体収納容器、および液体吐出記録装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体に関する化学的物性情報もしくは物理的
物性情報の検出や、この検出に関して外部と双方向に情
報のやり取りを行える機能を備えた、2室構造の液体収
納容器を提供する。 【解決手段】 密閉されたインク室2と一部が大気に連
通する負圧発生室1とを容器底部の連通路10bで連通
させ、負圧発生室1に液体吐出ヘッドへの供給口3を設
けてなる2室構造のインクタンク10の中に、インクに
関する情報を入手する機能および入手した情報を外部に
伝達する機能を少なくとも作り込んだ立体形半導体素子
11が液体に接するように1つ以上配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周囲の液体の物性
情報を入手し、その情報を外部へ伝達する機能を有する
液体収容容器、およびファクシミリ・プリンター・複写
機等に用いる該液体収容容器を搭載する液体吐出記録装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液体吐出記録装置としては、記録
ヘッドに設けた複数の噴射ノズルからインクを噴射させ
ながら、記録ヘッドを搭載したキャリッジを用紙に対し
て相対的に走査することで、画像をドットパターンで用
紙に形成するインクジェット記録装置が知られている。
この記録装置では、記録用のインクを収容したインクタ
ンクが備えられており、そのインクタンクのインクがイ
ンク供給路を介して記録ヘッドに供給される。そのた
め、インクタンクのインクの残量を検出するためのイン
ク残量検出装置が実用に供されるととにも、種々提案さ
れている。
【0003】例えば、特開平6−143607号公報に
開示されたものは、図30に示すように、非導電性のイ
ンクが満たされているインクタンク701の底側の内面
に配設された2本(1対)の電極702と、インクタン
ク701内のインク液面に浮遊している浮揚体703と
を有している。2本の電極702は、両者間の導通状態
を検知する検知部(不図示)にそれぞれ接続されてい
る。また、浮揚体703には、電極702と対向する位
置に電極704が配設されている。インクタンク701
内のインクが消費され、それと共に浮揚体703の位置
が低下して電極704が電極702と接触すると、検知
部により電極702間のの導通状態が検知される。これ
により、インクタンク701内のインクが無いことが検
出され、インクジェット記録ヘッド705の動作が停止
される。
【0004】また、特登録2947245号によれば、
図31に示すように、下部が底面に向かって漏斗状に形
成されるとともに、底面に2つの導電体801,802
が設けられ、インク803よりも比重の小さい金属球8
04が内部に設置される構成のインクジェットプリンタ
用インクカートリッジ805が開示されている。このよ
うな構成では、インク803が消費されて減っていくと
インク803の液面が下がる。それに伴って、インク8
03の表面に浮かんでいる金属球804の位置が下がっ
ていく。インク803の液面がインクカートリッジ筺体
の底面の位置まで下がると、金属球804は2つの導電
体801,802に接する。すると、導電体801,8
02が導通するので、その間に電流が流れる。その通流
を検出すれば、インクエンド状態を検出することができ
る。インクエンド状態が検出されれば、インクエンド状
態を示す情報が使用者に知らされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したインク検知構
成はいずれも、インクタンク内に設置された電極間の導
通の有無の検出によりインク無しを検出するものである
ので、インクタンク内に検出用の電極を配置する必要が
ある。しかも、インクタンク内にインクが存在している
ときにインクを介して電極間が導通しないようにするた
め、インク成分に金属イオンが用いられない等の、使用
するインクに制約が生じてしまう。
【0006】また、上記のインク検知構成ではインクの
有無しか検知することが出来ず、その他のタンク内情報
を外部が知ることが出来ない。例えば、インク残量がど
れくらいであるか、インクタンク内の圧力情報、インク
物性の変化などは、インクジェットヘッドを常に安定し
た吐出量で動作させるのに重要なパラメータであり、タ
ンク内のインク消費に伴って時々刻々と変化するタンク
内圧を外部のインクジェット記録装置にリアルタイムで
知らせたり、インク物性の変化を外部へ伝達できるタン
クが望まれている。
【0007】さらに、一方的にインクタンク内の検知し
た情報を外部へ知らせるのみならず、外部からの問いか
けに対して内部情報を返答するような双方向の情報のや
り取りを実施できるインクタンクが望まれている。
【0008】また、インクジェットヘッド用タンクの一
形態として、インクジェット記録ヘッドに対して所望の
負圧を発生する多孔質材や繊維体などの負圧発生部材を
収納した大気連通状態の第1室と、記録液をそのまま収
容した第2室とに区分された容器であって、その容器内
の第1室と第2室の仕切壁の底部に連通路が設けられた
ものが実用に供されている。このタンクは、負圧発生部
材を収納する室のみからなるタンクと比べて、インク収
容量が多い、インクジェット記録ヘッドに対する負圧を
安定させることができる、という利点がある。このた
め、上記の2室構造のタンクにおいて、タンク内のイン
ク残量、インク物性の変化などの情報を外部と双方向に
やり取りできる機能を備えたインクタンクが特に望まれ
ている。
【0009】上記のようなインクタンクを開発するにあ
たって、本発明者らは、直径1ミリのシリコン・ボール
の球面上に半導体集積回路を形成するというボール・セ
ミコンダクター社のボール・セミコンダクターに着目し
た。このボールセミコンダクターは球形であるため、こ
れをインクタンク内に収容すれば、周囲環境情報の検出
や外部との双方向の情報のやり取りを平面形に比べて非
常に効率良く行えることが予想された。しかしながら、
このような機能を持つものを調査したところ、ボール・
セミコンダクター同士を電気配線で接続する技術などが
存在する(米国特許明細書第5877943号参照)だ
けで、上記の機能を持つ素子自体の開発が必要となっ
た。また、この素子を上記のインクタンクにも有効に適
用できるものとするために、いくつかの固有の課題もあ
った。
【0010】第1に、タンク内に収容された素子を起動
させるための電力の供給である。素子の起動のための電
源をインクタンクに持たせるとタンクが大型になった
り、タンク外部に電源を備える場合でも電源と素子との
接続手段が必要になり、タンクの製造コストが増え、タ
ンクカートリッジが高価になるので、外部より非接触で
素子を起動させねばならない。
【0011】第2に、前記インクをそのまま収容する第
2室に素子を配置したい場合、インクタンクのインク液
面や液面より一定の距離沈んだインク中で素子を浮遊さ
せなければならない場合があることである。例えば、イ
ンクタンク内のインク消費に伴う負圧量の変動を経時的
に監視するには、インク液面に素子が位置するのが望ま
しいが、素子は水より比重の大きいシリコンからなるた
め、インクに浮遊させることは一般には困難である。
【0012】本発明の目的は、上記の2室構造タンクに
おいて、液体に関する化学的物性情報(pH変化、濃度
変化、密度変化)もしくは物理的物性情報(液体粘度、
表面張力、負圧量)の検出や、この検出に関して外部と
双方向に情報のやり取りを行える立体形半導体素子を備
えた液体収納容器、および該液体収納容器を備えた液体
吐出記録装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、液滴を吐出する液体吐出ヘッドに供給する
インクを収容する液体収納容器であって、前記液体収納
容器は、一部が大気に連通され、液体を吸収する吸収体
が収容された第1室と、外部から密閉され、前記液体を
収容する第2室と、容器底部付近にて前記第1室と前記
第2室を連通する連通路と、前記第1室に設けられた、
前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給口とを有し、
前記液体収納容器内には、少なくとも1つ以上の立体形
半導体素子が液体と接して配されており、前記立体形半
導体素子は、少なくとも前記液体の水素イオン濃度指
数、濃度、密度の一つを含む、前記液体の化学的物性の
情報を入手する情報入手手段(液体のイオン濃度を検出
する手段、イオンセンサ、イオン選択性電界効果トラン
ジスタ等)と、前記情報入手手段により入手された入手
情報を外部へ表示または伝達する情報伝達手段と、外部
から与えられるエネルギーを、前記情報入手手段および
前記情報伝達手段を動作させるための、前記エネルギー
とは異なる種類のエネルギーに変換するエネルギー変換
手段とを少なくとも有していることを特徴とする。
【0014】また本発明は、液滴を吐出する液体吐出ヘ
ッドに供給するインクを収容する液体収納容器であっ
て、前記液体収納容器は、一部が大気に連通され、液体
を吸収する吸収体が収容された第1室と、外部から密閉
され、前記液体を収容する第2室と、容器底部付近にて
前記第1室と前記第2室を連通する連通路と、前記第1
室に設けられた、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する
供給口とを有し、前記液体収納容器内には、少なくとも
1つ以上の立体形半導体素子が液体と接して配されてお
り、前記立体形半導体素子は、少なくとも前記液体の水
素イオン濃度指数、濃度、密度の一つを含む、前記液体
の化学的物性の情報を入手する情報入手手段と、前記情
報入手手段により入手された入手情報と比較するための
情報を蓄積する情報蓄積手段と、入手した前記液体の化
学的物性の変化情報を前記情報蓄積手段の情報と比較す
ることで液体の物理的物性値(少なくとも液体の粘度、
表面張力の一つを含む)の変化を推定して情報伝達の必
要性を判断する判断手段と、前記入手情報を外部へ表示
または伝達する情報伝達手段と、外部から与えられるエ
ネルギーを、前記情報入手手段および前記情報伝達手段
を動作させるための、前記エネルギーとは異なる種類の
エネルギーに変換するエネルギー変換手段とを少なくと
も有していることを特徴とする。
【0015】また本発明は、液滴を吐出する液体吐出ヘ
ッドに供給するインクを収容する液体収納容器であっ
て、前記液体収納容器は、一部が大気に連通され、液体
を吸収する吸収体が収容された第1室と、外部から密閉
され、前記液体を収容する第2室と、容器底部付近にて
前記第1室と前記第2室を連通する連通路と、前記第1
室に設けられた、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する
供給口とを有し、前記液体収納容器内には、少なくとも
1つ以上の立体形半導体素子が液体と接して配されてお
り、前記立体形半導体素子は、前記液体の力学的物性
(少なくとも静負圧、動負圧の一つを含む)の情報を入
手する情報入手手段と、前記情報入手手段により入手さ
れた入手情報を外部へ表示または伝達する情報伝達手段
と、外部から与えられるエネルギーを、前記情報入手手
段および前記情報伝達手段を動作させるための、前記エ
ネルギーとは異なる種類のエネルギーに変換するエネル
ギー変換手段とを少なくとも有していることを特徴とす
る。
【0016】上記のとおりの発明の液体収納容器内に配
する立体形半導体素子は、情報を入手すべき対象である
液体に接して置かれる。この状態で、情報入手手段によ
り、液体に関する情報を入手し、その情報を、情報伝達
手段により外部へ伝達する。これら情報入手手段および
情報伝達手段を作動させるためのエネルギーは、エネル
ギー変換手段によって、外部からのエネルギーが異なる
種類のエネルギーに変換されて与えられる。このよう
に、液体に関する情報を入手して外部に伝達する機能を
立体形の半導体素子に作り込んでいるので、情報の入手
および伝達を三次元的に行える。そのため、平板型の半
導体素子を用いる場合に比べ、情報の入手および伝達の
方向の制限も少ないので、液体に関する情報の入手およ
び外部への伝達が効率的に行えるようになる。
【0017】入手情報と比較するための情報を蓄積する
情報蓄積手段と、これに蓄積された情報と情報入手手段
で入手した情報とを比較し外部への情報の伝達の必要性
を判断する判断手段とを更に有することで、入手情報は
必要に応じて外部へ伝達される。さらに、外部からの信
号を受信する受信手段を付加することで、受信信号に応
じて情報を入手し、蓄積情報との比較結果をその入手情
報とともに外部へ伝達し、外部装置と双方向に信号の送
受信を行うことも可能となる。
【0018】液体に関する情報としては、例えば、液体
のpHや圧力などが挙げられ、特に、本発明の液体収納
容器のように、液体が容器内に収容されている場合に
は、その容器内での液体の残量が挙げられる。液体の残
量を入手する場合は、立体形半導体素子は、液体表面も
しくは液中に浮遊して配置されるのが望ましく、そのた
めに、空洞部を有する構成としてもよい。
【0019】本発明の液体収納容器は、好ましくは、イ
ンクジェット記録の分野における、記録用のインクに関
する情報を入手するのに用いられる。記録用のインク
は、一般的にはインクタンク内に収容されており、イン
クタンク内のインクに関する情報を入手することは、高
品位な記録を行う上で非常に重要である。
【0020】そこで本発明の液体収納容器は、液滴を吐
出する液体吐出ヘッドに供給する液体を収容し、かつ、
上記本発明の立体形半導体素子が前記液体に接して配さ
れている。立体形半導体素子の数は、一つでもよいし複
数でもよい。複数の立体形半導体素子を有する場合は、
それぞれが異なる情報を入手するものでもよいし、互い
に情報のやり取りを行えるようにしてもよい。
【0021】また本発明は、液滴を吐出する液体吐出ヘ
ッドに供給するインクを収容する液体収納容器であっ
て、前記液体収納容器は、一部が大気に連通され、液体
を吸収する吸収体が収容された第1室と、外部から密閉
され、前記液体を収容する第2室と、容器底部付近にて
前記第1室と前記第2室を連通する連通路と、前記第1
室に設けられた、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する
供給口とを有しており、前記第1室内に、前記第1室の
液量を監視する第1の監視手段が配置され、前記連通路
に、該第1の監視手段からの情報に応じて前記連通路の
流量を調節する流量調節装置が配置されていることを特
徴とする。
【0022】この場合、前記第2室内に、前記第2室の
液量を監視する第2の監視手段が配置されており、前記
流量調節装置は該第2の監視手段からの情報によっても
制御されることが好ましい。
【0023】前記第1の監視手段としては、液体の圧力
変動を検知する圧力検知手段と、該圧力検知手段で得た
圧力情報を前記流量調節装置に伝達する情報伝達手段
と、外部から与えられるエネルギーを、前記圧力検知手
段および前記情報伝達手段を動作させるための、前記エ
ネルギーとは異なる種類のエネルギーに変換するエネル
ギー変換手段とを少なくとも有する第1の立体形半導体
素子を用いることが好ましい。このような立体形半導体
素子であれば、電源配線が要らず、第1の監視手段を場
所に制限されることなく自由に配置できる。
【0024】特に、前記第1の立体形半導体素子は、前
記第2室から前記第1室への液体供給が途切れるおそれ
がある時の前記第1室の液面より上に配置され、かつ圧
力の変動が検知できる所に配置されていることが望まし
い。この場所に配置すれば、上記の液体供給の途切れを
未然に検知することが可能である。
【0025】前記流量調節装置は、前記第1の監視手段
からの圧力情報を受信する受信手段と、前記受信した圧
力情報に応じて動作する開閉バルブと、外部から与えら
れるエネルギーを、前記受信手段および前記開閉バルブ
を動作させるための、前記エネルギーとは異なる種類の
エネルギーに変換するエネルギー変換手段とを少なくと
も有する第2の立体形半導体素子であることが、電源配
線が要らず、狭い場所でも設置できるので好ましい。
【0026】さらに前記第2の監視手段は、液体の残量
を検知する残量検知手段と、該残量検知手段で得た残量
情報を前記流量調節手段に伝達する情報伝達手段と、外
部から与えられるエネルギーを、前記残量検知手段およ
び前記情報伝達手段を動作させるための、前記エネルギ
ーとは異なる種類のエネルギーに変換するエネルギー変
換手段とを少なくとも有する第3の立体形半導体素子で
あることが、電源配線が要らずに設置できるため好まし
い。
【0027】また本発明は、記録のために液滴を吐出す
る液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに供給する液
体を収容している本発明の液体収納容器とを搭載する液
体吐出記録装置を提供する。この場合、液体吐出ヘッド
は液体に熱エネルギーを付与したときの膜沸騰を利用し
てノズルより液滴を吐出するものが好ましいが、本発明
は、上記形態に限るものではない。本発明の液体吐出ヘ
ッドは、薄膜素子に電気信号を入力し、該薄膜素子を微
小変位させて、ノズルより液体を吐出させる形態のもの
にも適用される。
【0028】また本明細書中の「立体形半導体素子」の
「立体形」とは、三角柱、球、半球体、四角柱、回転楕
円体、一軸回転体など、種々の立体形を全て含む。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0030】(第1の実施の形態)図1は、本発明の液
体収納容器の第1の実施の形態を示す概略断面図であ
る。図1に示すインクタンク10は、互いに仕切壁10
aで仕切られた負圧発生室(第1室)1とインク室(第
2室)2とを有する。仕切壁10aの下端部は連通路1
0bとなっており、この連通路10bを介して、負圧発
生室1とインク室2とが連通している。負圧発生室1に
は、繊維体や多孔質体などで構成される負圧発生部材
(吸収体)が収納されており、負圧発生室1内でインク
は負圧発生部材に吸収された状態で保持されている。ま
た、負圧発生室1には、負圧発生室1内のインクをイン
クジェット記録ヘッド(不図示)等、外部に供給するた
めのインク供給口3と、負圧発生室1の内部を大気と連
通させる大気連通口(不図示)とが設けられている。イ
ンク室2は、連通路10bを除いて実質的に密閉構造
で、インクをそのまま保持している。このような構成の
インクタンク10によれば、インク供給口3からのイン
クの消費に伴い、連通路10bを介して、負圧発生室1
からインク室2へ気体(大気連通口から導入された気
体)が導出されるとともに、それと見合った量のインク
がインク室2から負圧発生室1へ導入され、これによ
り、負圧発生室1内に保持されるインクの量すなわち負
圧発生室1内の負圧がほぼ一定に保たれる。
【0031】そして、インク室2に保持されたインクの
液面に、インクに関する情報を入手して外部へ伝達でき
る立体形半導体素子11が浮かべられている。この素子
11を液面に浮かべる構成については後述する。なお、
立体形半導体素子はインク室52に限られず、インクに
関する情報を入手できれば負圧発生部材中に配置されて
いてもよく、また立体形半導体素子は1つの場所に限ら
ず、異なる箇所や同一箇所に複数個配置されてもよい。
【0032】図2は、本実施形態の立体形半導体素子1
1の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック
構成図である。本実施形態の立体形半導体素子(以下、
単に「素子」という)11は、外部Aから素子11に向
かって非接触で供給された起電力12を電力13に変換
するエネルギー変換手段14と、エネルギー変換手段1
4で変換された電力13により起動する情報入手手段1
5、判断手段16、情報蓄積手段17、および情報伝達
手段18とを備えている。少なくともエネルギー変換手
段14および情報入手手段15は素子11の表面もしく
は表面付近に形成されていることが望ましい。また、素
子11を動作させるために供給する起電力には、電磁誘
導、熱、光、放射線などを適用することができる。但
し、図1には、インクタンク10の下方に配置された外
部共振回路101からの電磁誘導による誘導起電力で素
子11は電力を発生し、かつ、共振周波数を発生してイ
ンクタンク10内のインク情報を外部に伝達する態様を
代表して概念的に表した。
【0033】情報入手手段15は、素子11の周囲環境
情報であるインクタンク内のインクに関する情報(イン
ク情報)を入手し、判断手段16へ出力する。判断手段
16は、情報入手手段15より入手したインク情報と情
報蓄積手段17に記憶されている情報とを比較し、入手
したインク情報を外部へ伝達する必要があるか否かを判
断する。情報蓄積手段17は、入手するインク情報と比
較する諸条件や情報入手手段15より入手したインク情
報そのものをデータテーブルとして蓄積する。情報伝達
手段18は、判断手段16からの命令に基づき、エネル
ギー変換手段14により与えられた電力を、インク情報
を外部A又は外部Bに伝達するためのエネルギーに変換
して、外部A又は外部Bへインク情報を伝達する。ここ
で、外部Bとは、起電力12の供給源である外部Aとは
異なる対象であり、この素子11が収容されるインクタ
ンクを搭載するインクジェット記録装置の他に、例え
ば、人の視覚や聴覚といった感覚器官も含む。
【0034】図3は、図2に示した素子の動作を説明す
るためのフローチャートである。図2及び図3を参照す
れば、外部Aから素子11に向かって起電力12を与え
ると、エネルギー変換手段14は起電力12を電力13
へと変換し、その電力13により情報入手手段15、判
断手段16、情報蓄積手段17、および情報伝達手段1
8を起動する。
【0035】起動した情報入手手段15は、素子11の
周囲環境情報であるインクタンク内のインク情報、例え
ば、インクの残量、インクの種類、温度、ペーハー(以
下、「pH」と記す。)などの情報を入手する(図3の
ステップS11)。更に、大気連通口を介して、インク
中の揮発成分が蒸発し、インク中の色材(染料や親水化
された顔料成分)が会合して、見かけ上、ゲル化(高分
子化)されていることも情報として入手することができ
る。(尚、詳細は、後述している)。次に、判断手段1
6は、入手したタンク内部情報と参照するための条件を
情報蓄積手段17より読み出し(図3のステップS1
2)、この読み出した条件と入手したタンク内部情報と
を比較し、情報伝達の必要性を判断する(図3のステッ
プS13)。ここで、情報蓄積手段17に予め設定して
ある条件に基づく判断は、例えばインク残量が2ml以
下になったり、インクのpHが大きく変化したりした為
にタンク交換が必要との判断を行うことが挙げられる。
【0036】ステップS13において判断手段16が外
部へタンク内の情報を伝達する必要がないと判断した場
合には、情報蓄積手段17に現在のインクタンク内の情
報が蓄積される(図3のステップS14)。なお、次に
情報入手手段15がインクタンク内の情報を入手したと
き、判断手段16は、その入手した情報とここで蓄積さ
れた情報とを比較してもよい。
【0037】またステップS13において、判断手段1
6がインクタンク内の情報を外部へ伝達する必要がある
と判断した場合には、エネルギー変換手段15により変
換され電力13が、情報伝達手段18でさらに、インク
タンク内の情報を外部へ伝達するためのエネルギーへと
変換される。この伝達するためのエネルギーとしては、
磁界、光、形、色、電波、音などを使用することが可能
であり、例えば、インク残量が2ml以下になったと判
断された場合には音を鳴らしてタンク交換が必要である
ことを外部B(例えば、インクジェット記録装置)に伝
達する(図3のステップS15)。また、伝達先はイン
クジェット記録装置のみでなく、特に光、形、色や音な
どの場合は人の視覚や聴覚に伝達してもよい。さらに、
インク残量が2ml以下になったと判断された場合には
音を発し、インクのpHが大きく変化したときには光を
発するなど、情報に応じてその伝達方法を変えてもよ
い。
【0038】インクジェット記録装置に用いられる場
合、素子11に外部エネルギーとして起電力を供給する
手段を設けるのに好ましい位置としては、シリアル型の
インクジェット記録装置を例に挙げると、記録ヘッド、
キャリッジ、記録ヘッドの回復ポジション、もしくはキ
ャリッジリターンポジション等が挙げられる。これ以外
にも、起電力を供給する手段を有する装置を用いれば、
インクジェット記録装置がなくてもインクタンク内部の
状態を知ることができ、例えば、工場や販売店で、実際
にインクタンクをインクジェット記録装置に装着するこ
となく、インクタンクの品質検査を行うこともできる。
【0039】本実施形態によれば、素子11がエネルギ
ー変換手段15を有しているので、外部と直接的な電気
的配線を行う必要がなくなり、外部と直接的な電気的配
線を行うことが困難な個所、例えば、図1に示したよう
なインク中の他にも負圧発生部材中など、対象物中のど
の個所であっても素子11を使用することができる。イ
ンクに接するように素子11を配すれば、インクの状態
をリアルタイムで正確に把握することが可能となる。
【0040】また、素子11がエネルギー変換手段15
を有しているので、素子11を動作させるための起電力
を蓄積する手段(本例では電源)を素子11に設ける必
要がなくなる。そのため、素子11の小型化が可能とな
り、狭い個所であっても素子を使用することができる。
尚、本形態では素子11と非接触で素子11に起電力を
供給したが、一時的に外部と接触して起電力を供給した
後、外部と非接触となる形態でもよい。
【0041】ここで、エネルギー変換手段14につい
て、図1にも表したように電磁誘導を利用して電力を発
生させる場合を例に挙げて説明する。
【0042】図4は、本発明の立体形半導体素子の構成
要素であるエネルギー変換手段の電力発生原理を説明す
るための図である。
【0043】図4において、コイルLaを有する外部共
振回路101と、コイルLを有する発振回路102と
を、両コイルLa,Lを隣接させて設置する。この状態
で、外部共振回路101を通じてコイルLaに電流Ia
を流すと、電流Iaによって発振回路102のコイルL
を貫く磁束Bが生じる。ここで、電流Iaを変化させる
とコイルLを貫く磁束Bが変化するので、コイルLには
誘導起電力Vが生じる。したがって、素子11にエネル
ギー変換手段として発振回路102を作り込み、素子1
1の外部の例えばインクジェット記録装置に、外部共振
回路101を、素子側の発振回路102のコイルLと素
子外部の共振回路101のコイルLaとが隣接するよう
に配設する事により、外部からの電磁誘導による誘導起
電力で、素子11を動作させる電力を発生することがで
きる。
【0044】素子11にエネルギー変換手段として作り
込んだ発振回路102のコイルLを貫く磁束Bは、外部
共振回路101のコイルLaの巻き数Naと電流Iaの積
に比例するから、比例定数をkとして、
【0045】
【数1】 B=k*Na*Ia (1) コイルLに生じる起電力Vは、
【0046】
【数2】 V=−N{dB/dt} =−kNaN{dIa/dt} =−M{dIa/dt} (2) ここで、磁束Bは、コイルの磁心の透磁率をμa、磁界
をHとすると、
【0047】
【数3】 B=μaH(z) ={μaaaa 2/2(ra 2+z23/2 (3) となる。ここで、zは、外部共振回路のコイルと球状シ
リコンに作り込んだコイルとの距離を示している。
【0048】式(2)の相互インダクタンス:Mは、
【0049】
【数4】 M={μN/μaIa}∫sB・dS ={μμaa 2aNS/2μo(ra 2+z23/2} (4) となる。ここで、μoは、真空の透磁率である。
【0050】そして、球状シリコンに作り込んだ発信回
路のインピーダンス:Zは、
【0051】
【数5】 Z(ω)=R+j{ωL−(1/ωC)} (5) と表され、外部共振回路のインピーダンス:Zaは、
【0052】
【数6】 Za(ω)=Ra+jωLa−{ω22/Z(ω)} (6) となる。ここで、Jは、磁化を表している。そして、こ
の外部共振回路が共振(電流値:Iaが最大になると
き)した時のインピーダンス:Zoは、
【0053】
【数7】 Zo(ωo)=Ra+jLaωo−(ωo 22/R) (7) となり、この共振回路の位相の遅れ:φは、
【0054】
【数8】 tanφ={jLaωo−(ωo 22/R)}/R (8) となる。
【0055】そして、この外部共振回路の共振周波数:
foは、
【0056】
【数9】 fo=1/2π(LC)1/2 (9) で求められる。
【0057】上記のような関係から、素子11に作り込
んだ発振回路102のインピーダンスZがインクタンク
内のインクの変化に応じて変化すると、外部共振回路1
01の周波数が変化し、外部共振回路101のインピー
ダンスZaの振幅および位相差に、上記のインクの変化
が表れてくる。さらには、この位相差や振幅には、イン
ク残量(即ち、Zの変化)も含まれている。
【0058】例えば、外部共振回路101の共振周波数
0を変化させることで、素子11に作り込んだ発振回
路102からの出力(インピーダンスZ)が、周囲の環
境変化に応じて変化するので、この周波数依存性を検出
することで、インクの有無やインク残量を検出すること
ができる。
【0059】したがって、素子11に作り込む発振回路
102は、電力を発生させるエネルギー変換手段14と
してのみならず、その発振回路102と外部共振回路1
01との関係で、インクタンク内のインクの変化を検知
する情報入手手段15の一部を兼用している。
【0060】ここで、素子11に設けられた発振回路で
発生する出力の例を、共振周波数と振幅との関係とし
て、図5に示す。図5に示すように、発振回路で発生す
る出力は、インクタンク50内(正確にはインク室5
2)のインクの状況に応じて、例えばa〜cのように、
振幅のピーク値を示す共振周波数およびそのピーク値で
の振幅にそれぞれ違いが生じる。具体的には、図6
(a)に示すように、振幅のピーク値を示す共振周波数
fa、fb、fcは、インクのpHと相関関係をもってい
る。この図6(a)に示す関係を予め測定しておくこと
で、インクのpHの変化を検知することができる。イン
クの濃度に関しても、違う周波数領域帯で同様の関係が
あり、その関係を予め測定しておくことで、インクの濃
度変化を検知することができる。
【0061】また、図5に示した共振周波数領域での振
幅値の変化A,B,Cは、図6(b)に示すように、素
子11と外部共振回路101との距離と相関関係をもっ
ている。従って、インクが満タンのときと空のときとの
振幅値を予め測定しておくことで、インクタンク50内
での素子11の位置、すなわちインクの残量を検知する
ことができる。
【0062】また、液体の密度は、状態方程式 PV=nRT (10) (ここで、P:圧力、V:体積、n:グラム分子量、
R:気体定数、T:絶対温度)を用いて近似することも
可能である。
【0063】式(10)において、Tを一定とすると、
密度ρは、
【0064】
【数10】 ρ=M/V=MP/RT (Mは分子量) (11) で表される。すなわち、液体の圧力および温度を検知す
ることができれば、液体の密度の状態変化も測定可能で
ある。
【0065】液体の圧力については、例えば、詳しくは
後述するが、ポリシリコン膜でダイアフラムを構成し、
圧力の変化によるダイアフラムの変位に伴う抵抗値変化
を利用した圧力センサを、本実施形態の素子11に作り
込むことで検知することができる。
【0066】また、液体の温度については、例えば、特
開平7−52387号公報に記載されている、記録ヘッ
ドの温度を検知するためのダイオードセンサを本実施形
態の素子11に作り込むことによって、検知することが
できる。
【0067】以上のように、素子11に圧力センサおよ
び温度センサを作り込むことで、インクの密度を検知す
ることができる。経時変化も同様に検知できると、液体
の粘度/表面張力の変化も推定することができる。
【0068】液体の粘度に関しては、オリック・アーバ
ーの式
【0069】
【数11】 ln(η/ρM)=A+(B/T) (12) (ここで、η:粘度、A:定数、B:定数)から、密度
の変化により液体の粘度の変化を推定することができ
る。
【0070】液体の表面張力と密度との間には、マクレ
オドによる、
【0071】
【数12】 γ={C(ρ0−ρ)}4.0 (13) (ここで、γ:表面張力、C:液体により決められた定
数)の関係式がある。この関係式から、密度の変化によ
り、液体の表面張力の変化を推定することができる。
【0072】以上のことから、素子11をインクタンク
10に適用することにより、インクのpH、濃度、密度
などといったインク情報を経時的に検知しインクタンク
10の外部へ伝達することが可能となるので、例えば、
使用していたインクタンクが別のものに換えられたり、
インクタンク10内に別のインクが注入され、インクの
量が異常に増加したりインクの成分が変化した場合であ
っても、これらを異常として正確に検知することができ
る。また、インクの粘度や表面張力の変化も推定するこ
とができるので、記録ヘッドの制御部へこれらの情報を
伝達し、安定した吐出特性を保つ駆動条件を設定するこ
ともできる。
【0073】なお、図1では、図2に示した構成を有す
る素子11を用いたが、判断手段16および情報蓄積手
段17は、素子11にでなくインクタンク10の外部に
設けてもよい。
【0074】ところで、前述したように、図1に示すイ
ンクタンク10では素子11はインク液面に浮かべられ
ているが、そのようなインク液面に浮かぶ素子11につ
いて、その製造方法とともに、以下に説明する。
【0075】図7は、図1に示す浮遊型の素子11を、
前述したボール・セミコンダクターのベースとなる球状
シリコンを用いて製造する場合の製造方法の一例を説明
するための一連の工程を示す図である。なお、図7で
は、各工程を球状シリコンの中心を通る断面で示してい
る。また、ここでは、球状シリコンの重心を中心より下
部になるように作成し、且つ、球面体内部の上部を空洞
にして、更に、その空洞部を気密状態に保持する場合の
製造方法を例に挙げる。
【0076】まず、図7(a)に示す球状シリコン20
1に対し、その全表面上に、図7(b)に示すように熱
酸化のSiO2膜202を形成する。その後、図7
(c)に示すようにSiO2膜202の一部に開口20
3を形成するため、フォトリソグラフィプロセスを用い
て、パターニングをする。
【0077】そして、図7(d)に示すように、開口2
03を通じてのKOH溶液を用いた異方性エッチングに
より、球状シリコン201の上半部を除去し、空洞部2
04を形成する。その後、図7(e)に示すように、L
PCVD法を用いて、空洞部204の内面も含む、球状
シリコン201およびSiO2膜202の全露出面をS
iN膜205で被覆する。
【0078】更に、図7(f)に示すように、メタルC
VD法を用いて、SiN膜205の外表面上にCu膜2
06を形成する。そして、図7(g)に示すように、周
知のフォトリソグラフィプロセスを用いてCu膜206
をパターニングし、発振回路102(図4参照)の一部
である導電体コイルLを巻き数Nで形成する。その後、
導電体コイルLを形成した立体形素子を真空装置から大
気中に出し、上部の開口203を樹脂や栓などの封止部
材207で塞ぎ、球面体内部の空洞部204を密閉状態
にする。このように製造すれば、シリコンからなる素子
自体に浮力を持たせることができる。
【0079】また、このような浮遊型の立体形半導体素
子を製造する前に球状シリコンに形成しておくコイルL
以外の駆動回路素子は、N−MOS回路素子を用いてい
る。図8に、N−MOS回路素子を縦断するように切断
した模式的断面図を示す。
【0080】図8によれば、P導電体のSi基板401
に、一般的なMosプロセスを用いたイオンプランテー
ション等の不純物導入および拡散により、N型ウェル領
域402にP−Mos450が構成され、P型ウェル領
域403にN−Mos451が構成されている。P−M
os450およびN−Mos451は、それぞれ厚さ数
百Åのゲート絶縁膜408を介して、4000Å以上5
000Å以下の厚さにCVD法で堆積したpoly-S
iによるゲート配線415、およびN型あるいはP型の
不純物導入をしたソース領域405、ドレイン領域40
6等で構成され、それらP−Mos450とN−Mos
451によりC−Mosロジックが構成されている。
【0081】素子駆動用のN−Mosトランジスタ30
1は、やはり不純物導入および拡散等の工程により、P
型ウェル基板402上のドレイン領域411、ソース領
域412およびゲート配線413等で構成されている。
【0082】ここで、素子駆動ドライバとしてN−Mo
sトランジスタ301を使うと、1つのトランジスタを
構成するドレインゲート間の距離Lは、最小値で約10
μmとなる。その10μmの内訳の1つは、ソースとド
レインのコンタクト417の幅であり、それらの幅分は
2×2μmであるが、実際は、その半分が隣のトランジ
スタとの兼用となるため、その1/2の2μmである。
内訳の他は、コンタクト417とゲート413の距離分
の2×2μmの4μmと、ゲート413の幅分の4μm
であり、合計10μmとなる。
【0083】各素子間には、5000Å以上10000
Å以下の厚さのフィールド酸化により酸化膜分離領域4
53が形成され、素子分離されている。このフィールド
酸化膜は、一層目の蓄熱層414として作用する。
【0084】各素子が形成された後、層間絶縁膜416
が約7000Åの厚さにCVD法によるPSG、BPS
G膜等で堆積され、熱処理により平坦化処理等をされて
から、コンタクトホールを介して、第1の配線層となる
Al電極417により配線が行なわれている。その後、
プラズマCVD法によるSiO2膜等の層間絶縁膜41
8を10000Å以上15000Å以下の厚さに堆積
し、更にスルーホールを形成した。
【0085】このN−Mos回路を、浮遊型の素子を形
成する前に形成しておく。そして、本発明のエネルギー
変換手段としての発振回路などとの接続を上記スルーホ
ールを介して行なう。尚、ここで形成したN−Mos回
路は、球状シリコン上に形成したイオンセンサや、圧力
センサ、および、後述する開閉バルブを制御したり、該
センサ等で検出した情報をCPU等の演算回路へ伝達す
るものであり、C−MOS回路やD−MOS回路等を採
用しても同様の効果が期待できる。
【0086】図1に示した例では、素子11を起動させ
る電力を供給する外部エネルギーにコイルによる電磁誘
導を利用したが、これ以外に、光の明暗を利用してもよ
い。光の明暗を電気信号に変換する場合は、光の照射に
より抵抗値が変化する材料(例えば、光導電体)を用い
て、光導電効果により電力を発生させることができる。
光導電体としては例えば、CdS,InSbやHg0.8
Cd0.2Teなどの二元合金/三元合金や、GaAs,
Si,Va−Siなどが用いられる。さらに、起電力と
して熱を使用する場合は、物質の放射エネルギーから量
子効果により電力を発生させることができる。
【0087】(第2の実施の形態)次に、本発明のイン
クタンクの第2の実施の形態を説明する。ここでは、図
1に例示した2室構造のインクタンクに収容する、第1
の実施の形態で説明した機能の立体形半導体素子とは異
なる素子を例に挙げる。
【0088】図9は、本実施形態による立体形半導体素
子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロック
構成図である。この図に示す立体形半導体素子(以下、
単に「素子」という)21は、図1に示した2室構造の
インクタンク内に少なくとも1つ配置されており、外部
Aから素子21に向かって非接触で供給された起電力2
2を電力23に変換するエネルギー変換手段24と、エ
ネルギー変換手段24で変換された電力により起動する
情報入手手段25、判断手段26、情報蓄積手段27、
情報伝達手段28、および受信手段29とを備えてい
る。本実施形態は、第1の実施の形態とは受信機能を有
する点、すなわち受信手段29を有する点が第1の実施
形態と異なり、その他は第1の実施形態と同様である。
素子21を動作させるために供給する起電力22には、
電磁誘導、熱、光、放射線などを適用することができ
る。また、少なくともエネルギー変換手段24、情報入
手手段25および受信手段29は素子21の表面もしく
は表面付近に形成されていることが望ましい。
【0089】情報入手手段25は、素子21の周囲環境
情報であるインクタンク内のインク情報を入手する。受
信手段29は外部Aまたは外部Bからの入力信号30を
受信する。判断手段26は、受信手段29からの入力信
号に応じて、情報入手手段25にインク情報を入手さ
せ、この入手したインク情報と情報蓄積手段27に記憶
してある情報とを比較し、入手したインク情報が所定の
条件を満たすかどうかを判断する。情報蓄積手段27
は、入手するインク情報と比較する諸条件や情報入手手
段25より入手したインク情報そのものをデータテーブ
ルとして蓄積する。情報伝達手段28は、判断手段26
の命令によって、電力を、インク情報を外部A、外部B
または外部Cへ伝達するためのエネルギーに変換して、
判断手段26による判断結果を外部A、外部Bまたは外
部Cへ表示、伝達する。
【0090】図10は、図9に示した素子の動作を説明
するためのフローチャートである。図9及び図10を参
照すれば、外部Aから素子21に向かって起電力22を
与えると、エネルギー変換手段24は起電力22を電力
23へと変換し、その電力により情報入手手段25、判
断手段26、情報蓄積手段27、情報伝達手段28およ
び受信手段29を起動する。
【0091】この状態で、外部A又は外部Bから、素子
21にインクタンク内の情報を聞くための信号30を送
信する。この入力信号30は、例えばインクタンク内に
まだインクが残っているかどうかを素子21に聞くため
の信号であり、受信手段29で受信される(図10のス
テップS21)。すると、判断手段26は、情報入手手
段25に、インクタンク内のインク情報、例えばインク
の残量、インクの種類、温度、pHなどの情報を入手さ
せ(図10のステップS22)、かつ入手したインク情
報と参照するための条件を情報蓄積手段27より読み出
し(図10のステップS23)、入手したインク情報が
設定条件を満たすかどうかを判断する(図10のステッ
プS24)。
【0092】ステップS24において入手情報が設定条
件を満たさないと判断した場合にはその満たしていない
旨を、入手情報が設定条件を満たすと判断した場合には
その満たしている旨を外部A又は外部B又は外部Cに伝
達する(ステップS25,S26)。このとき、判断結
果に併せて入手情報も伝達してもよい。この伝達は、エ
ネルギー変換により得られた電力を、情報伝達手段28
でさらに、インクタンク内のインク情報を外部へ伝達す
るためのエネルギーへ変換することで行なう。この伝達
するためのエネルギーとしては、磁界、光、形、色、電
波、音などを使用することが可能であり、判断結果に応
じて変化させ、また、判断すべき質問内容(例えば、イ
ンク残量が2ml以下であるかや、インクのpHが変化
しているか等)に応じて、その伝達方法を変えてもよ
い。
【0093】なお、外部A又は外部Bからの入力信号3
0と共に起電力をも素子21に与えても良く、例えばそ
の起電力が電磁誘導の場合はインクの残量について聞く
ための信号、光の場合はpHを聞くための信号など、情
報の種類によって使い道を分けて与えても良い。
【0094】本実施形態によれば、外部からの信号を受
信する機能を有しているため、第1の実施の形態による
効果に加え、外部からの様々な種類の信号による質問に
対して返答することが可能となり、素子と外部とで情報
のやり取りを行うことができる。
【0095】(第3の実施の形態)次に、本発明のイン
クタンクの第3の実施の形態を説明する。ここでも、図
1に例示した2室構造のインクタンクに収容する、第1
の実施の形態で説明した機能の立体形半導体素子とは異
なる素子を例に挙げる。
【0096】図11は、本実施形態による立体形半導体
素子の内部構成および外部とのやり取りを表したブロッ
ク構成図である。この図で示す形態の立体形半導体素子
(以下、単に「素子」という)31は、インクタンク内
に配置されており、外部Aから素子31に向かって非接
触で供給された起電力32を電力33に変換するエネル
ギー変換手段34と、エネルギー変換手段34で変換さ
れた電力を用いて浮力を発生させる浮力発生手段35と
を備えている。
【0097】本実施形態では、外部Aから素子31に向
かって起電力32を与えると、エネルギー変換手段34
は起電力32を電力33へと変換し、その電力33を用
いて浮力発生手段35は素子31の浮力を発生し、素子
31をインク液面で浮遊させる。この浮力は必ずしもイ
ンク液面だけでなく、インクが空の状態で吐出を行うの
を防止するために、素子31の位置が必ずインク液面か
ら一定距離下方に存在するようにしてもよい。
【0098】図12に、図1と同等のインクタンクのイ
ンク中に浮遊させた素子の位置を、インクの消費変化と
ともに示す。
【0099】図12に示すように2室構造のインクタン
クでは、インク供給口36より負圧発生部材37のイン
クが外部へ導出され所定の位置まで下がると、そこから
は負圧発生部材37内のインク液面は下がらず、消費さ
れた分のインクが生インクの収容室から負圧発生部材3
7に導入される。これにより、インク室内のインク38
中の素子31は、インク液面Hから一定距離下方に存在
した状態で、インクの消費によるインク液面Hの位置の
低下と共に移動する。
【0100】図13は、素子31の位置を確認し、タン
ク交換の必要性を判断するためのフローチャートであ
る。図11及び図13のステップS31〜S34を参照
すると、外部A又は外部B(例えばインクジェット記録
装置)により素子31に向けて光を発信し、その光を外
部A又は外部B(例えばインクジェット記録装置)又は
外部Cで受信することにより素子31の位置が検知さ
れ、この検出された素子31の位置により、インクタン
クを交換する必要があるか等をインクジェット記録装置
が判断し、必要がある場合はタンク交換を音や光等で報
知する。
【0101】素子31の位置の検出方法としては、エネ
ルギー変換手段34として図4に示した発振回路102
を用い、インクタンクの外部に外部共振回路101と設
置すれば、発振回路102からの出力に基づいて第1の
実施形態と同様に検知する方法が挙げられる。また、そ
の他に、インク液面の変位に伴って素子31が通過する
位置に発光手段と受光手段とを対向配置し、発光手段か
ら発せられた光を素子31が遮蔽することにより素子3
1の位置を検出する方法、または、発光手段から発した
光を素子31で反射させ、その反射光により素子31の
位置を検出する方法などが挙げられる。
【0102】本実施形態によれば、第1の実施形態にお
いて図7を参照して説明したように内部に空洞部を設け
なくても素子31を浮遊させることができ、しかも、液
体の比重(もしくは、密度)が異なるなど、素子31が
用いられる環境により素子31に必要な浮力などが変化
する場合においても、外部からの起電力32をエネルギ
ー変換手段34により変換して所望の位置に常に素子が
存在するように設定することができるので、素子31が
置かれる環境に拘わらず素子31を使用することが可能
である。
【0103】なお、本実施形態は上述した第1及び第2
の実施の形態に適宜組み合わせることも可能である。
【0104】(第4の実施の形態)本実施形態は、第1
又は第2の実施形態と同様の構成を有する素子に、他の
素子に情報を伝達する機能を付与し、これらを図1に示
した2室構造のインクタンク内に複数配置した構成とし
たものである。
【0105】まず、本実施形態の概念について図14を
参照して説明する。図14は、本発明のインクタンクの
第4の実施の形態の概念を説明するための図である。
【0106】図14(A)に示す例では、第1の実施の
形態と同様の構成を有する複数の素子41,42,…,
43が対象物中に配されており、各素子41,42,
…,43に外部A又は外部Bより起電力が供給される
と、各素子41,42,…,43はそれぞれ周囲環境情
報を入手する。そして、素子41の入手情報aは素子4
2へ、素子41及び素子42の入手情報a,bは次の素
子へと順次伝達され、最後の素子43はすべての入手情
報を外部A又は外部Bに伝達する。
【0107】また、図14(B)に示す例では、第2の
実施の形態と同様の構成を有する複数の素子51,5
2,…,53が対象物中に配され、各素子51,52,
…,53に外部A、外部B又は外部Cより起電力が供給
されている。例えば、素子53に外部A又は外部Bから
信号による所定の質問が入力されると、素子51又は5
2はそれぞれ質問に応じた情報を入手して回答を行な
い、素子51又は52の質問回答は他の素子へと順次伝
達され、所望の素子53より外部A又は外部B又は外部
Cに返答される。
【0108】また、図14(C)に示す例では、第2の
実施の形態と同様の構成を有する複数の素子61,6
2,…,63が対象物中に配され、各素子61,62,
…,63に外部A、外部B又は外部Cより起電力が供給
されている。外部A又は外部Bより例えば素子63に対
してある信号が入力されると、その信号は素子62およ
び素子61へと順次伝達され、素子61により外部A又
は外部B又は外部Cへ表示を行なう。
【0109】なお、図14の(A)〜(C)の例では、
複数の素子のうち一つを、第3の実施の形態と同様に浮
力発生手段を備えたものとしてもよい。
【0110】以上、本実施形態の概念について説明した
が、以下に、上述の概念に基づいた本実施形態でのイン
クに関する情報の入手について、図15及び図16を参
照して説明する。
【0111】図15は、インクタンク内及びこれに接続
したインクジェット記録ヘッド内にそれぞれ、第1、第
2又は第3の実施の形態の構成を適宜組み合わせた素子
を配置した例を示している。この例では、第1の実施の
形態に対して第3の実施の形態の浮力発生手段および他
の素子79への情報伝達機能を付加した素子71が、図
1と同様の2室構造のインクタンク72のインク73中
の所望の位置に配置される。一方、インクタンク72の
インク供給口74と連結した液路75及び液室76を通
じて供給されたインクを印字のために吐出口77から吐
出する記録ヘッド78には、ID機能(認証機能)を備
えた、第2の実施の形態と同様の構成を有する素子79
が配置される。この素子79への電力供給は、素子表面
に配した電極部と記録ヘッド78を駆動するための電気
基板上のコンタクト部との接触によって行なってもよ
い。
【0112】そして、各素子71,79に外部から起電
力を供給すると、インク73中の素子71は、インク情
報として例えばインクの残量情報を入手し、記録ヘッド
78側の素子79は例えばタンク交換のためのインク残
量を判断するID情報を素子71に伝達する。すると、
素子71は入手したインク残量とIDとを比較し、これ
らが一致したときのみ、素子79に、外部へタンク交換
を知らせるよう伝達指示する。素子79はこれを受信し
て外部にタンク交換を知らせる信号を伝達したり、人の
目や聴覚に訴える音や光等を出力する。
【0113】また、図14及び図15に示した例では、
各々の素子に起電力を供給する構成としたが、これに限
らず、ある素子に供給した起電力を情報とともに他の素
子に順次伝達する構成であってもよい。
【0114】例えば図16に示すように、第1の実施の
形態の構成に、第3の実施の形態と同様の浮力発生手段
と、他の素子への情報伝達機能および起電力供給機能と
を付加した素子81、及び、第2の実施の形態の構成
に、第3の実施の形態と同様の浮力発生手段と、他の素
子への情報伝達機能および起電力供給機能とを付加した
素子82がそれぞれ、図15と同様のインクタンク72
のインク73中の所望の位置に配置される。一方、イン
クタンク72と連結した記録ヘッド78には、ID機能
(認証機能)を備えた、第2の実施の形態と同様の構成
を有する素子83が配置される。この素子83への電力
供給は素子表面に配した電極部と記録ヘッド78を駆動
するための電気基板上のコンタクト部との接触によって
行なってもよい。
【0115】そして、素子81に外部から起電力を供給
すると、インク73中の一方の素子81は、インク情報
として例えばインクの残量情報を入手して、この情報を
内部の規定条件と比較し、他方の素子82へ伝達の必要
がある場合は、入手したインク残量情報を他方の素子8
2に、その素子82を動作させる起電力とともに伝達す
る。起電力が供給された他方の素子82は、素子81か
ら伝達されたインク残量情報を受信するとともに、イン
クに関する情報として例えばインクのpH情報を入手
し、記録ヘッド78側の素子83に、素子83を動作さ
せる起電力を伝達する。すると、起電力が供給された記
録ヘッド78側の素子83は例えばタンク交換のための
インク残量又はインクのpHを判断するID情報を素子
82に伝達する。そして素子82は、入手したインク残
量情報およびpH情報とIDを比較し、一致したときの
み、素子83に外部へタンク交換を知らせるよう伝達指
示する。素子83はこれを受信して外部にタンク交換を
知らせる信号を伝達したり、人の目や聴覚に訴える音や
光等を出力する。このように、ある素子から他の素子へ
と情報とともに起電力を供給する方法も考えられる。
【0116】なお、記録ヘッド78は、液路内でヒータ
ー等の電気熱変換素子の熱によりインクを発泡させ、そ
の気泡成長エネルギーにより、液路と連通する微小開口
よりインク滴を吐出するものが考えられる。
【0117】(第5の実施の形態)次に、本発明のイン
クタンクの第5の実施の形態を説明する。ここでは、図
1に示した2室構造のインクタンクのインク供給口から
外部へのインク供給において信頼性をより高く保てる構
成例を挙げる。
【0118】図1に示した2室構造のインクタンクで
は、既に述べたとおり、インク供給口3からのインク導
出中、先ずは負圧発生室1の負圧発生部材中からインク
がインク供給口3に対して等方的に消費される。そのイ
ンク液面が連通路10bに達すると、負圧発生室1内に
入り込んでいた大気が連通路10bを通ってインク室2
に入り、それと見合った量のインクがインク室2から負
圧発生室1へ導入され、負圧発生部材中のインクが消費
される代わりにインク室2内のインクが消費される。こ
の状態(以下、「気液交換時」とも称す)では負圧発生
部材中のインク液面はほとんど変化しないため、インク
ジェットヘッドに対する負圧量が一定となり、インクジ
ェットヘッドを常に安定した吐出量で動作させることが
できる。しかし、気液交換時のインク室2から負圧発生
室1へのインク供給量よりも、インク供給口3からのイ
ンク消費量の方が大きい場合、インク室2と負圧発生室
1のインク供給口3との間のインクパスが途切れたり、
負圧発生室5へ十分なインク量を補給できなくなったり
することがある。この問題の対して、インク供給口3の
周辺の負圧発生部材の材質をインク供給口3の周辺以外
よりインク吸収力の高いもの(例えばPP圧接体)に変
えて対応している。しかし、この対策では上記の問題の
発生を予期して瞬時(デジタル的)に対応することはで
きない。そこで、上記の問題発生を予期したら瞬時に対
応できる機能が望まれた。このような今までにない機能
を持った、図1と同等の2室構造のインクタンクをここ
では提案する。
【0119】図17は本発明のインクタンクの第5の実
施の形態を示す概略断面図である。この図に示す2室構
造のインクタンク(図1と同様)において、圧力変動を
検知する圧力センサ(圧力検知手段)を有する立体形半
導体素子4(第1の監視手段)が負圧発生室1に配置さ
れ、連通路50bには開閉バルブを有する立体形半導体
素子5(流量調節装置)が配置されていて、立体形半導
体素子4からの圧力信号を受信し、前記開閉バルブによ
って連通路50bの流量を調節する。但し、立体形半導
体素子4の位置はインク切れを未然に防止する目的か
ら、インク切れが起きる限界線(図S1中の点線で示す
気液界面。)より直ぐ上に配置される必要がある。
【0120】また、立体形半導体素子4には第1又は第
2の実施の形態(図2又は図9の構成)が適用でき、こ
の場合、素子4における情報入手手段は圧力センサであ
る。一方、立体形半導体素子5には、第2の実施の形態
(図9の構成)において情報伝達手段を開閉バルブに代
え、かつ情報入手手段を備えていないものが適用でき
る。このように、連通路50bに配置する開閉バルブ装
置として、第2の実施の形態による立体形半導体素子を
利用したが、本発明は電源を持たず非接触で連通路の流
量調節を行えるバルブ装置であれば、立体形半導体素子
でなくともよい。
【0121】また必要に応じて、インク室2内のインク
液面には、インク残量を検知し、ある一定量レベル以下
になると立体形半導体素子5の開閉バルブを全開にして
おくように制御する手段を有する立体形半導体素子6
(第2の監視手段)が浮かべられている。この立体形半
導体素子6によるインク残量検知および浮力発生の方法
については第1の実施の形態と同じ方法を採ることがで
きる。
【0122】さらに、立体形半導体素子4,5,6の起
動は図4を用いて説明した誘導起電力で行うことが考え
られる。
【0123】次に、この形態のインクタンクによるイン
ク供給動作を説明する。
【0124】図17を参照すると、前述したような気液
交換時に負圧発生室1の液面が、これ以上下がるとイン
クパス切れが起きるおそれのある限界線(図中の点線)
に達した場合、立体形半導体素子4が前記液面より上方
となって大気にさらされる。このように素子4周囲の負
圧発生部材に液体が存在する状態から液体の無い状態に
なる時には圧力変動が生じるため、素子4の圧力センサ
ーがこの圧力変動を検知することで、インク室2からイ
ンク供給口3へのインクパスが切れる状態を未然に察知
することが出来る。そして、立体形半導体素子4は圧力
センサーで得た圧力変動情報を、連通路50bの立体形
半導体素子5に伝達する。
【0125】立体形半導体素子5は立体形半導体素子4
からの圧力変動情報を受信し、この圧力変動情報に応じ
て開閉バルブを制御する。つまり、負圧発生室1の液面
が下がってインクパス切れが起きるおそれのある限界線
に達したら、連通路50bの素子5の開閉バルブをより
開くことでインク室2から負圧発生室1へのインク供給
量を上げる。また、インクパス切れが起こらない状態に
液面が復帰したことが圧力センサーで得た素子4周辺の
圧力値によって判断できたら、連通路50bの立体形半
導体素子5の開閉バルブを絞り、通常の流量にする。
【0126】以上のようにして、図1と同等の2室構造
のインクタンクにおいて、インク室2から負圧発生室1
のインク供給口3へのインクパス切れ等の起こりうる状
態を察知し、この状態にならないよう瞬時に対応する機
能を持たせることができる。
【0127】なお、インク室2に立体形半導体素子6を
備えている場合は、立体形半導体素子6で得たインク室
2内のインク残量情報を立体形半導体素子5が受信し、
インク残量がある一定量レベル以下である判断すると開
閉バルブを全開に制御する。これにより、インク室2内
のインク残量が減っても負圧発生室1への十分な供給量
が確保でき、インク供給の信頼性のより一層高い2室構
造タンクを提供する事が出来る。
【0128】立体形半導体素子6によるインク室2内の
インク残量検知は第1の実施の形態で説明したように、
共振周波数領域での振幅値が素子と外部共振回路との距
離によって変化することを利用して行う方法に限らず、
次のような方法であってもよい。すなわち、立体形半導
体素子6にインク室2内の圧力を検知する圧力センサー
を設け、インク室2内の液体が消費される前のインク室
2内の初期圧P0と、インク室2内の液体が消費されて
いるある時点の圧力Pとを検知することで圧力損失h
(図17参照)を求め、この圧力損失hの情報を立体形
半導体素子5に伝達してもよい。圧力損失hは h=
(P0−P)/ρg (ここで、ρgは立体形半導体素
子の比重量である。)によって求められる。この圧力損
失の上限値は、各々の記録ヘッドの仕様(例えば、ノズ
ル数、吐出量、駆動周波数、インクタンクから記録ヘッ
ドのインク供給口のサイズ等)によって設定されてお
り、前記記録ヘッドの使用中に、この上限値を超えた場
合には、Emergency信号が本発明の立体形半導体素子か
ら記録ヘッド及び、記録装置へ伝送されて、記録装置か
ら記録ヘッドへの画像データや記録ヘッドを制御してい
る駆動信号を転送停止にすることで、記録ヘッドへのイ
ンクの供給不足による画像劣化を防止することができ
る。
【0129】(その他の実施の形態)以下に、上述した
各実施形態に適用可能なその他の実施形態について説明
する。
【0130】〈浮遊型の立体形半導体素子の液面での安
定化〉立体形半導体素子が、図7に示すような空洞部を
有する構成であり、また、立体形半導体素子への電力の
供給が、図4に示した発振回路と外部共振回路とにより
なされる場合、インクタンクがどのような状態において
も、素子に作り込まれた発振回路と外部の外部共振回路
との間で安定した磁束(磁界)が働いている必要があ
る。つまり、外部共振回路に対する素子の向きが安定し
ている必要がある。しかし、素子がインクなど液体中に
浮遊している場合、外部振動により液面が振動し、素子
の向きが変動することがある。そのような場合でも、素
子が液体中で安定した姿勢を保持するために、浮遊型の
立体形半導体素子の重心を以下のように決定する。
【0131】図18で示しているように、球体として形
成した立体形半導体素子210を液体中に浮遊させた場
合、図18(a)のように、釣り合いの状態にあるため
には、(1)浮力F=物体の重量W、かつ、(2)浮力
の作用線と重量の作用線(重心Gを通る線)とが一致、
という関係が成り立っていることが必要である。
【0132】そして、図18(b)のように、外力によ
り液体が振動して、立体形半導体素子210が、釣り合
いの状態から少し傾いた時、浮力の中心Cが移動し、浮
力と重量とで偶力となる。
【0133】ここで、釣り合いの状態にあるときの重量
の作用線(図18(b)中の一点鎖線)と、傾いたとき
の浮力の作用線(図18(b)中の実線)との交点をメ
タセンタといい、メタセンタと重心Gとの距離hをメタ
センタの高さという。
【0134】立体形半導体素子210のメタセンタは重
心Gよりも高い位置にあり、これにより、偶力(復元
力)は元の釣り合いの位置に戻そうとする向きに作用す
る。この復元力Tは、
【0135】
【数13】 T=Whsinθ=Fhsinθ =ρgVhsinθ (>0) (14) で表される。ここで、Vは、立体形半導体素子210が
排除した液体の体積、ρgは、立体形半導体素子210
の比重量である。
【0136】そこで、この復元力Tを正にするために
は、h>0となることが必要十分条件である。
【0137】そして、図18(b)から、
【0138】
【数14】 となる。ここで、IはO軸回りの慣性モーメントであ
る。よって、
【0139】
【数15】 となることが、立体形半導体素子210が、インク中で
安定して浮遊し、外部共振回路からの誘電起電力の供給
や、素子外部の通信手段との双方向通信を行うための必
要条件となる。
【0140】〈情報入手手段〉インクに関する情報およ
びその情報を入手する情報入手手段としては、上述した
各実施形態で述べたものの他に、(1)SiO2膜やS
iN膜をイオン感応膜として作り、インクのpHを検知
するセンサ(イオンセンサ)、(2)ダイヤフラム構造
を有し、タンク内の圧力変化を検知する圧力センサ、
(3)光を熱エネルギーに変換し、焦電効果を有するフ
ォトダイオードを作り込み、現在の位置を検出し、イン
ク残量を検知するセンサ、(4)材料の導電効果を用い
て、タンク内の水分量によりインク有無を検知するセン
サ等が挙げられる。
【0141】〈イオンセンサ〉上記の情報入手手段をイ
オンセンサとした場合について詳細に説明する。
【0142】図19は、本発明の立体形半導体素子に設
けられたイオンセンサの断面図である。
【0143】図19に示すように、立体形半導体素子の
ベースとなる球状シリコン301の表面には、SiNま
たはSiO2からなるイオン感応膜302が、その一部
を間隙部307を介して球状シリコン301と間隔をあ
けて形成されている。イオン感応膜302の表面にはゲ
ート絶縁膜303が形成されている。さらに、ゲート絶
縁膜303の表面には、N型不純物を導入したソース領
域304aおよびドレイン領域304bからなるN型ウ
ェル層が形成され、さらにその上に、P型ウェル層30
5が形成されている。また、間隙部307が形成された
領域の、球状シリコン301の表面の一部には参照電極
306が形成され、以上により、イオン選択性FET
(電界効果トランジスタ)であるイオンセンサ300が
構成される。
【0144】間隙部307は、参照電極306が形成さ
れた球状シリコン301の表面に、インク感応膜302
等を形成する前に、参照電極306を覆って犠牲層を形
成しておき、P型ウェル領域305が形成された後、こ
の犠牲層をエッチング等により除去することで形成する
ことができる。また、間隙部307は、不図示の連通部
を介してイオンセンサ300の外部と連通しており、こ
の立体形半導体素子がインク中に設置された状態では、
インクは連通部を介して間隙部307内を自由に行き来
できる。
【0145】インク感応膜302がインクと接すること
により、インク感応膜302とインクとの間でインク中
のイオン種とその濃度に応じた界面電位が発生する。イ
オンセンサ300のソース−ドレイン間に所定のバイア
ス電圧を印加しておくことにより、界面電位に応じたド
レイン電流が流れる。測定時には、参照電極306とソ
ースとの間に適当なバイアスを印加しておき、界面電位
とこのバイアスとの和に応じたドレイン電流を観測す
る。あるいは、イオンセンサ300をソースフォロア回
路として構成し、抵抗を介して電位として出力を得るよ
うにしてもよい。
【0146】ところで、インクジェット記録装置で使用
されるインクは、一般的に、溶媒としての水に、染料や
顔料を溶解または分散させたものである。具体的には、
カルボキシル基や水酸基を有する染料イオンや、これら
の基を有する分散剤によって親水化された顔料や、これ
らの基を付着させた顔料粒子を水に溶解または分散させ
たものである。このような染料あるいは顔料は、水溶液
系であるインク中で、図20(a)、(b)に示すよう
に、水素結合などの比較的弱い結合により、会合状態を
形成する。このような会合状態が数十/数百の分子間で
起こると、仮想的に高分子の色材分子となり、インクの
動的粘度を低下させ、その結果、記録ヘッドからの吐出
特性の劣化をもたらすことになる。
【0147】上述した会合状態が形成されると、見かけ
上、イオンとしてのカルボキシル基や水酸基の活量が低
下することになるとともに、イオン自体の実効的な分子
量が大きくなるため、イオンセンサ300での検出電位
に変化を生じさせることになる。本例の立体形半導体素
子は、例えば記録ヘッドのインクと接触する領域に設置
し、インク中での染料イオン等の会合状態をイオンセン
サ300によって検知し、必要に応じて記録ヘッドの回
復動作等を行って、記録ヘッド内のインクを常に一定の
解離状態にする。
【0148】図21(a)は、イオンセンサでの検知結
果を出力するための回路の一例を示す図であり、図21
(b)は、図21(a)の回路をロジック回路として表
したものである。ここでは、イオン濃度に応じて発振周
波数が変化する発振回路を説明する。
【0149】図21に示す例では、MOSトランジスタ
320,321を直列に接続してインバータ回路32
2,323が構成され、このようなインバータ回路32
2,323を2段、リング状に接続して発振回路を構成
し、さらにインバータ回路323の出力をバッファとし
ての1段のインバータ回路322を介して取り出すこと
により、発振出力としている。イオンセンサ300は、
インバータ回路322の出力(すなわちインバータ回路
323の入力)と接地点との間に挿入されている。この
回路によれば、イオンセンサ300での検出電位に応じ
て発振周波数が変化する。従って、この発振周波数を検
出することにより、インクのイオン濃度を検出すること
ができる。
【0150】本発明の立体形半導体素子をインクタンク
のインク中、特に液面付近に配しておくと、上述したよ
うに、インク中の色材分子等が会合していくと、仮想的
に高分子状態になり、底面付近に沈降し、インクタンク
中のインクに濃度分布やpH分布が発生するのを検知す
ることができる。その結果を外部に伝達することで、こ
れらの分布をなくす動作を機能させることが可能とな
る。
【0151】イオンセンサ300での検出電圧値は、ネ
ルンスト(Nernst)の式によって支配されるため、温度
の関数でもある。そこで、温度の影響をなくすため、例
えば温度センサも別に設け、温度の測定値に応じてイオ
ン濃度の測定値を補正できるようにしてもよい。このよ
うに温度センサを設けた場合には、イオンセンサと温度
センサとを同一の素子に形成してもよいし、それぞれ別
の素子に形成し、第4の実施形態のように、温度センサ
を形成した素子が入手した情報を、イオンセンサを形成
した素子に伝達する構成としてもよい。
【0152】また、流体力学の面から導かれたストーク
ス(Stokes)の法則によれば、イオンのモル濃度λは、
【0153】
【数16】 (ここで、Z:イオンの電荷数、F:ファラデー定数、
N:単位面積当たりの分子数、η:粘性率、r:イオン
半径)で与えられ、また、イオンの拡散係数Dは、
【0154】
【数17】 (ここで、R:気体定数、T:絶対温度)で与えられ
る。この流体力学のストークスの法則がインク中のイオ
ンの運動に当てはめることができるとする。その際、イ
ンクカートリッジやインクタンクに注入する前に、イン
クのモル伝導度λや拡散係数Dを測定しておいて、素子
に設けられている情報蓄積手段または素子の外部に予め
設けられているメモリに認識させておく。
【0155】インク中の色材成分(染料もしくは顔料)
にのみ着目してみると、イオン半径r、粘性率η、電荷
数Zが、可変するパラメータになる。
【0156】さらに、着目したイオンの双極子モーメン
トμは、
【0157】
【数18】 で表され、インクの被誘電率εは、
【0158】
【数19】 (ここで、g:隣接分子の相対的な配向で決まる量、
k:ボルツマン定数)で表される。
【0159】上述のイオンセンサを用いて、検出電位の
変化が、(イオンの電荷数Z/イオン半径r)に比例す
ると考えると、式(10)から、粘性率ηの変化を相対的に
見積もることができる、この粘性率ηの変化に応じて吐
出特性を一定にするためのパルス制御が、極めて有効な
手段になると考えられる。又、インクタンク内での上記
変化が、インク中に発生した場合には、本発明の立体形
半導体素子に不図示の発熱素子を配して、インクタンク
中のインクを温めることで、インク中の染料や親水化さ
れた顔料成分のイオン成分の拡散係数を増すことで、上
記成分の会合状態を遮断して、イオン化を促進して、イ
ンクの粘性の増加を抑制することができる。
【0160】〈圧力センサ〉前記情報入手手段として利
用される圧力センサの一例について詳しく説明する。
【0161】図22は、本発明のインクタンクに収容す
る立体形半導体素子に設けられる圧力センサの構造の一
例を説明する断面図である。
【0162】図22に示す圧力センサは、ポリシリコン
膜におけるピエゾ抵抗効果を利用した半導体歪ゲージで
あり、球状シリコンから作られる立体形半導体素子の表
面の常にインクと接する部位に形成されている。ポリシ
リコン抵抗層221は、球状シリコン200の表面に、
空洞部225を介して部分的に浮き上がったダイアフラ
ムとして形成されている。ポリシリコン抵抗層221の
浮き上がった領域での両端部には、例えばCuまたはW
からなる配線222が設けられている。そして、ポリシ
リコン抵抗層221および配線222は、SiNからな
る保護膜223で覆われ、これにより圧力センサが構成
されている。
【0163】次に、図22に示す圧力センサによる圧力
検知原理について、図22、および図22に示すポリシ
リコン抵抗層からの出力をモニタする回路の回路図であ
る図23を参照して説明する。
【0164】図23において、ポリシリコン抵抗層22
1の通常時の抵抗値をrとすると、電流計230には、 i=VDD/{R0+R×r(R+r)} (21) の電流が流れる。また、ポリシリコンは、その変位にほ
ぼ比例して抵抗値が増加する特性を有する。従って、通
路212の圧力の変化によってポリシリコン抵抗層22
1が変位すると、ポリシリコン抵抗層221の抵抗値r
が変化し、その結果、電流計230で測定される電流i
も変化する。すなわち、電流iの変化からポリシリコン
抵抗層221の変位量がわかり、それによってインクの
圧力が検知可能となる。
【0165】更に詳細に説明すると、ポリシリコン抵抗
層221の長さをL、断面積をSとすると、抵抗率ρを
用い、全抵抗値Rは、 R=ρL/S (22) で表される。ここで、ポリシリコン抵抗層221が、圧
力変化に伴って変化すると、その長さはL+ΔLと長く
なり、抵抗値が増加する。一方、断面積はS−ΔSと小
さくなり、また、ρもρ’と変化する。抵抗値の増加分
ΔRと長さの増加部ΔLとの関係は、
【0166】
【数20】 で表され、更に、
【0167】
【数21】 となる。ここで、kgは、歪みに対する抵抗値の変化係
数を表している。
【0168】そして、ブリッジ回路等を用いて、抵抗値
の変化分ΔRを検出することで圧力変動を求めることが
できる。
【0169】ポリシリコンは温度によって歪み抵抗が変
化する特性を持つ。そのため、ポリシリコン抵抗層22
1を有する圧力検知センサでは、ポリシリコン抵抗層2
21の温度をモニタする温度センサを更に備えることが
望ましい。つまり、ポリシリコン抵抗層221に、温度
センサを介して電圧VDDを供給することにより、環境
温度の変化によるポリシリコン抵抗層221の抵抗変化
を補償して、インクの圧力をより正確に検知することが
できる。
【0170】〈開閉バルブ〉前述した第5の実施の形態
における開閉バルブの具体的な構造の一例について、そ
の製造工程とともに説明する。
【0171】図24は、第5の実施の形態の開閉バルブ
が形成された立体形半導体素子の構造の一例を、前述し
たボール・セミコンダクタに用いられる球状シリコンに
形成する場合について説明する図であり、図25は、図
24に示す圧力調整手段の製造工程を説明する図であ
る。なお、図24および図25では、球状シリコンの中
心を通る断面で示している。
【0172】図24に示すように、球状シリコン200
の互いに相対する2つの箇所にそれぞれベース電極20
1が形成されている。また、球状シリコン200を取り
囲んで、SiN膜206が形成されている。SiN膜2
06は、各ベース電極201と対向する領域が、球状シ
リコン200の表面と間隔をあけて片持ち支持された可
動部210,211となっている。各可動部210,2
11には、それぞれベース電極201と対向するバルブ
電極205が設けられている。また、SiN膜2106
は、部分的に、一方のベース電極201から他方のベー
ス電極201にわたる領域が球状シリコン200と間隔
をあけて形成されており、この部分が、一方の可動部2
10側と他方の可動部211側との間での気体の流通を
可能とする通路212となっている。
【0173】次に、図24に示した開閉バルブの製造方
法について図25を参照して説明する。
【0174】まず、図25(a)に示す球状シリコン2
01に対し、その全表面上に、図25(b)に示すよう
にPSG(phospho silicate glass)膜202を形成す
る。なお、 PSG膜202を形成する前に、球状シリ
コン201には、その中心に対して対称となる2カ所
に、それぞれベース電極201が予め形成されている。
その後、図25(c)に示すようにPSG膜202に少
なくともベース電極201を露出させる開口203、お
よび後述する通路を形成するため、フォトリソグラフィ
プロセスを用いて、通路となる部分を残してPSG膜2
02をパターニングする。
【0175】そして、図25(d)に示すように、ベー
ス電極201およびPSG膜202を覆って、メタルC
VD法によってCu膜204を形成し、そのCu膜20
4を、ベース電極201上およびその周囲の部分を残し
て除去する。その後、図25(e)に示すように、Cu
膜204上の、後述する可動部となる部分にバルブ電極
205を形成し、さらに、球状シリコン200の全周
に、これらPSG膜202、Cu膜204およびバルブ
電極205を覆って、PECVD法を用いてSiN膜2
06を形成する。
【0176】更に、図25(f)に示すように、SiN
膜206を、可動部の形状にパターニングする。この段
階での素子の概略の平面図を図26に示す。SiN膜2
06のパターニングにより、図26に示すように、Si
N膜206のCu膜204上の部分に、放射状のスリッ
ト206aが形成される。そして、Cu膜204および
PSG膜202を適宜溶剤で溶解して除去する。これに
より、図25(g)に示すように、上部および下部の2
カ所にそれぞれ球状シリコン200と間隔をあけて支持
されて弁として作用する可動部210,211を複数備
え、上部の可動部210と球状シリコン200との間の
空間と、下部の可動部211と球状シリコン200との
間の空間とが、複数の通路212によって互いに繋がっ
た構造を有する立体形半導体素子が得られる。
【0177】この立体形半導体素子を図17に示したイ
ンクタンクの連通路50bに配置する際は、一方の可動
部210を図17に示したインクタンクのインク室2側
に位置させ、他方の可動部211を図17インクタンク
の負圧発生室1側に位置させる。
【0178】次に、上述した開閉バルブを有する立体形
半導体素子が取り付けられたインクタンクでのインク供
給量調整方法について、図24、図27および図28を
参照して説明する。
【0179】図27は、図24に示す開閉バルブに関連
する電気的構成の等価回路図である。この図から明らか
なように、互いに対向するバルブ電極とベース電極との
間でコンデンサCが構成されている。
【0180】また、図11は、図7に示す圧力調整手段
の、バルブ電極およびベース電極への印加信号の一例の
タイミングチャートである。
【0181】まず最初に、ベース電極201およびバル
ブ電極205をGNDレベルに設定しておく。そして、
ベース電極201にハイレベル信号を印加し、さらにバ
ルブ電極205にハイレベル信号を印加する。これによ
り、バルブ電極205とベース電極201との間に静電
引力が働き、バルブ電極205がベース電極201に引
き寄せられるので、結果的に、通路212の両端の可動
部210,211が球状シリコン200側に変位して球
状シリコン200と接触し、通路212の両端が、スリ
ット206aによる隙間を残して閉鎖される。各通路2
12の両端の可動部210,211のバルブ電極205
全てにハイレベル信号を印加すれば、全ての通路212
の出入口が最小に絞られる。
【0182】この状態を初期状態とし、流量を上げると
きは、所望の数の通路212の両端の可動部210,2
11のバルブ電極205にローレベル信号を印加する。
これにより、可動部210,211は球状シリコン20
0から離れ、通路212の出入口が大きく開く。開く通
路の数に応じて流量を調節することができる。また、再
び流量を絞るときは、再びバルブ電極205にハイレベ
ル信号を印加して可動部210,211を変位させ、通
路212を閉鎖する。この場合も、閉鎖する通路の数に
よって、絞る流量を調節することができる。
【0183】〈インクジェット記録装置〉図29に、本
発明のインクタンクを搭載するインクジェット記録装置
(液体吐出記録装置)の概略斜視図を示す。図29に示
されるインクジェット記録装置600に搭載されたヘッ
ドカートリッジ601は、印字記録のためにインクを吐
出する液体吐出ヘッドと、その液体吐出ヘッドに供給さ
れる液体を保持する図1に示した2室構造のインクタン
クとを有するものである。また、インクタンク内に配さ
れた立体形半導体素子(不図示)へ外部エネルギーであ
る起電力を供給する外部エネルギー供給手段622や、
立体形半導体素子と情報を双方向に通信する手段(不図
示)が記録装置600内に設置されている。
【0184】ヘッドカートリッジ601は、図29に示
すように、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動
力伝達ギヤ603および604を介して回転するリード
スクリュー605の螺旋溝606に対して係合するキャ
リッジ607上に搭載されている。駆動モータ602の
動力によってヘッドカートリッジ601がキャリッジ6
07と共にガイド608に沿って矢印aおよびbの方向
に往復移動される。
【0185】インクジェット記録装置600には、ヘッ
ドカートリッジ601から吐出されたインクなどの液体
を受ける被記録媒体としてのプリント用紙Pを搬送する
被記録媒体搬送手段(不図示)が備えられている。その
被記録媒体搬送手段によってプラテン609上を搬送さ
れるプリント用紙Pの紙押さえ板610は、キャリッジ
607の移動方向にわたってプリント用紙Pをプラテン
609に対して押圧する。
【0186】リードスクリュー605の一端の近傍に
は、フォトカプラ611および612が配設されてい
る。フォトカプラ611および612は、キャリッジ6
07のレバー607aの、フォトカプラ611および6
12の領域での存在を確認して駆動モータ602の回転
方向の切り換えなどを行うためのホームポジション検知
手段である。プラテン609の一端の近傍には、ヘッド
カートリッジ601の吐出口のある前面を覆うキャップ
部材614を支持する支持部材613が備えられてい
る。また、ヘッドカートリッジ601から空吐出などさ
れてキャップ部材614の内部に溜まったインクを吸引
するインク吸引手段615が備えられている。このイン
ク吸引手段615によりキャップ部材614の開口部を
介してヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われ
る。
【0187】インクジェット記録装置600には本体支
持体619が備えられている。この本体支持体619に
は移動部材618が、前後方向、すなわちキャリッジ6
07の移動方向に対して直角な方向に移動可能に支持さ
れている。移動部材618には、クリーニングブレード
617が取り付けられている。クリーニングブレード6
17はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニン
グブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段6
15による吸引回復操作にあたって吸引を開始するため
のレバー620が備えられており、レバー620は、キ
ャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移
動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換
えなどの公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカー
トリッジ601に設けられた発熱体に信号を付与した
り、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジ
ェット記録制御部は記録装置本体側に設けられており、
図29では示されていない。
【0188】上述した構成を有するインクジェット記録
装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラ
テン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘ
ッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわた
って往復移動する。この移動時に不図示の駆動信号供給
手段からヘッドカートリッジ601に駆動信号が供給さ
れると、この信号に応じて液体吐出ヘッド部から被記録
媒体に対してインク(記録液体)が吐出され、記録が行
われる。
【0189】なお、図29ではインクジェット記録装置
の外装は示していないが、外装のカバーを半透明など中
の状態が見れるものを用い、インクタンクも半透明のも
のを用いた場合には光を伝達手段として用いると、タン
クの光をユーザーが見ることができるので、例えば「タ
ンク交換の必要がある」ことが分かり易く、ユーザー
に、タンク交換の必要性を喚起することができる。従来
は、記録装置本体の操作ボタンに発光手段を設け、その
発光手段を発光させることによってタンク交換をユーザ
ーに知らせていたが、発光手段は幾つかの表示機能を兼
用している場合が多く、発光手段が発光してもユーザー
はこの発光が何を意味しているのか分かりにくい場合が
多かった。
【0190】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、密
閉された液体収容室と一部が大気に連通する吸収体収容
室とを容器底部の連通路で連通させ、吸収体収容室に液
体吐出ヘッドへの供給口を設けてなる2室構造の液体収
納容器において、液体(インク)に関する情報を入手す
る機能と、入手した情報を外部に伝達する機能とを少な
くとも作り込んだ素子を液体に接するように1つ以上配
置することで、液体に関する情報の入手および外部への
伝達を効率的に行うことができる。特に、立体形半導体
素子が入手した情報に基づいて記録装置の駆動やインク
供給量等を制御し、高品位な記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクタンクの第1の実施の形態を示
す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態における立体形半導体素子の
内部構成および外部とのやり取りを表したブロック構成
図である。
【図3】図2に示した立体形半導体素子の動作を説明す
るためのフローチャートである。
【図4】本発明に適用する立体形半導体素子の構成要素
であるエネルギー変換手段の電力発生原理を説明するた
めの図である。
【図5】図4に示す発振回路からの出力を共振周波数と
振幅との関係で示す図である。
【図6】図4に示す発振回路からの出力の振幅のピーク
値とインクのpHとの関係を示す図である。
【図7】図1に示す浮遊型の立体形半導体素子の製造方
法の一例を説明するための一連の工程を示す図である。
【図8】本発明に適用する立体形半導体素子を駆動制御
するN−MOS回路素子を縦断するように切断した模式
的断面図である。
【図9】本発明に適用する立体形半導体素子の第2の実
施の形態の内部構成および外部とのやり取りを表したブ
ロック構成図である。
【図10】図9に示した立体形半導体素子の動作を説明
するためのフローチャートである。
【図11】本発明に適用する立体形半導体素子の第3の
実施の形態の内部構成および外部とのやり取りを表した
ブロック構成図である。
【図12】インクタンクのインク中に浮遊させた図9の
構成の素子の位置を、インクの消費変化とともに示す図
である。
【図13】図9に示す構成の素子の位置を確認し、タン
ク交換の必要性を判断するためのフローチャートであ
る。
【図14】本発明のインクタンクの第4の実施の形態の
概念を説明するための図である。
【図15】インクタンク内及びこれに接続したインクジ
ェットヘッド内にそれぞれ、第1、第2又は第3の実施
の形態を適宜組み合わせた立体形半導体素子を配置した
例を示す図である。
【図16】インクタンク内及びこれに接続したインクジ
ェットヘッド内にて、ある立体形半導体素子に供給した
起電力を情報とともに他の立体形半導体素子に順次伝達
する構成例を示す図である。
【図17】本発明のインクタンクの第5の実施の形態を
示す概略断面図である。
【図18】図7で示す方法で製造した立体形半導体素子
が液体中で安定した状態を保持するための条件を説明す
るための図である。
【図19】本発明の立体形半導体素子を構成する情報入
手手段の一例であるイオンセンサを説明する図である。
【図20】インク中の染料イオンの会合状態を説明する
図である。
【図21】図19に示すイオンセンサでの検知結果を出
力するための回路の一例を示す図である。
【図22】本発明の立体形半導体素子に設けられる圧力
センサの構造の一例を説明する図である。
【図23】図22に示すポリシリコン抵抗層からの出力
をモニタする回路の回路図である。
【図24】図17のインクタンクの連通路に配される立
体形半導体素子の圧力バルブの構造の一例を説明する図
である。
【図25】図24に示す圧力バルブの製造工程を説明す
る図である。
【図26】図25(f)に示す状態での立体形半導体素
子の平面図である。
【図27】図24に示す圧力バルブに関連する電気的構
成の等価回路図である。
【図28】図24に示す圧力バルブの、バルブ電極およ
びベース電極への印加信号の一例のタイミングチャート
である。
【図29】本発明のインクタンクを搭載するインクジェ
ット記録装置の一例の概略斜視図である。
【図30】従来のインク残量検知装置の一例を示す図で
ある。
【図31】従来のインク残量検知装置の他の例を示す図
である。
【符号の説明】
1 負圧発生室 2 インク室 3 インク供給口 10 インクタンク 10a 仕切壁 10b 連通路 4、5,6,11,21,31,41,51,61,7
1,79,81,82,83 立体形半導体素子 12,22,32 起電力 13,23,33 電力 14,24,34 エネルギー変換手段 15,25 情報入手手段 16,26 判断手段 17,27 情報蓄積手段 18,28 情報伝達手段 29 受信手段 30 入力信号 35 浮力発生手段 36、74 インク供給口 37 負圧発生部材 38,73 インク 72 インクタンク 75 液路 76 液室 77 吐出口 78 記録ヘッド 101 外部共振回路 102 発振回路 201,301 球状シリコン 202 SiO2膜 203 開口 204 空洞部 205 SiN膜 206 Cu膜 207 封止部材 300 イオンセンサ 302 インク感応膜 303 ゲート絶縁膜 304a ソース領域 304b ドレイン領域 305 P型ウェル層 306 参照電極 307 間隙部 600 インクジェット記録装置 601 ヘッドカートリッジ 607 キャリッジ 622 外部エネルギー供給手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01F 23/76 H01L 29/06 G01N 27/414 B41J 3/04 102Z 27/416 G01N 27/30 301Z H01L 29/06 27/46 353Z (72)発明者 西田 真紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA29 EB20 EB29 EB30 EB32 EB34 EB48 EB53 EC18 EC19 EC26 EC40 FA03 KC11 KC13 KC16 KC30 2F013 AA01 AB01 BC03 BD01 BD02 2F014 AA01 AA09 AB02 AB03 BA10

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出する液体吐出ヘッドに供給す
    るインクを収容する液体収納容器であって、 前記液体収納容器は、一部が大気に連通され、液体を吸
    収する吸収体が収容された第1室と、外部から密閉さ
    れ、前記液体を収容する第2室と、容器底部付近にて前
    記第1室と前記第2室を連通する連通路と、前記第1室
    に設けられた、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供
    給口とを有し、 前記液体収納容器内には、少なくとも1つ以上の立体形
    半導体素子が液体と接して配されており、 前記立体形半導体素子は、少なくとも前記液体の水素イ
    オン濃度指数、濃度、密度の一つを含む、前記液体の化
    学的物性の情報を入手する情報入手手段と、前記情報入
    手手段により入手された入手情報を外部へ表示または伝
    達する情報伝達手段と、外部から与えられるエネルギー
    を、前記情報入手手段および前記情報伝達手段を動作さ
    せるための、前記エネルギーとは異なる種類のエネルギ
    ーに変換するエネルギー変換手段とを少なくとも有して
    いることを特徴とする液体収納容器。
  2. 【請求項2】 液滴を吐出する液体吐出ヘッドに供給す
    るインクを収容する液体収納容器であって、 前記液体収納容器は、一部が大気に連通され、液体を吸
    収する吸収体が収容された第1室と、外部から密閉さ
    れ、前記液体を収容する第2室と、容器底部付近にて前
    記第1室と前記第2室を連通する連通路と、前記第1室
    に設けられた、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供
    給口とを有し、 前記液体収納容器内には、少なくとも1つ以上の立体形
    半導体素子が液体と接して配されており、 前記立体形半導体素子は、少なくとも前記液体の水素イ
    オン濃度指数、濃度、密度の一つを含む、前記液体の化
    学的物性の情報を入手する情報入手手段と、前記情報入
    手手段により入手された入手情報と比較するための情報
    を蓄積する情報蓄積手段と、入手した前記液体の化学的
    物性の変化情報を前記情報蓄積手段の情報と比較するこ
    とで液体の物理的物性値の変化を推定して情報伝達の必
    要性を判断する判断手段と、前記入手情報を外部へ表示
    または伝達する情報伝達手段と、外部から与えられるエ
    ネルギーを、前記情報入手手段および前記情報伝達手段
    を動作させるための、前記エネルギーとは異なる種類の
    エネルギーに変換するエネルギー変換手段とを少なくと
    も有していることを特徴とする液体収納容器。
  3. 【請求項3】 液滴を吐出する液体吐出ヘッドに供給す
    るインクを収容する液体収納容器であって、 前記液体収納容器は、一部が大気に連通され、液体を吸
    収する吸収体が収容された第1室と、外部から密閉さ
    れ、前記液体を収容する第2室と、容器底部付近にて前
    記第1室と前記第2室を連通する連通路と、前記第1室
    に設けられた、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供
    給口とを有し、 前記液体収納容器内には、少なくとも1つ以上の立体形
    半導体素子が液体と接して配されており、 前記立体形半導体素子は、前記液体の力学的物性の情報
    を入手する情報入手手段と、前記情報入手手段により入
    手された入手情報を外部へ表示または伝達する情報伝達
    手段と、外部から与えられるエネルギーを、前記情報入
    手手段および前記情報伝達手段を動作させるための、前
    記エネルギーとは異なる種類のエネルギーに変換するエ
    ネルギー変換手段とを少なくとも有していることを特徴
    とする液体収納容器。
  4. 【請求項4】 前記立体形半導体素子は外部からの信号
    を受信する受信手段を有し、前記情報入手手段は前記受
    信手段の受信信号に応じて情報を入手することを特徴と
    する請求項1から3のいずれか1項に記載の液体収納容
    器。
  5. 【請求項5】 前記情報入手手段は液体のイオン濃度を
    検出する手段である、請求項1に記載の液体収納容器。
  6. 【請求項6】 前記情報入手手段はイオンセンサであ
    る、請求項1に記載の液体収納容器。
  7. 【請求項7】 前記情報入手手段はイオン選択性電界効
    果トランジスタである、請求項1に記載の液体収納容
    器。
  8. 【請求項8】 前記液体の物理的物性は、少なくとも液
    体の粘度、表面張力の一つを含む、請求項2に記載の液
    体収納容器。
  9. 【請求項9】 前記液体の力学的物性は、少なくとも静
    負圧、動負圧の一つを含む、請求項3に記載の液体収納
    容器。
  10. 【請求項10】 液滴を吐出する液体吐出ヘッドに供給
    するインクを収容する液体収納容器であって、 前記液体収納容器は、一部が大気に連通され、液体を吸
    収する吸収体が収容された第1室と、外部から密閉さ
    れ、前記液体を収容する第2室と、容器底部付近にて前
    記第1室と前記第2室を連通する連通路と、前記第1室
    に設けられた、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供
    給口とを有し、 前記第1室内に、前記第1室の液量を監視する第1の監
    視手段が配置され、前記連通路に、該第1の監視手段か
    らの情報に応じて前記連通路の流量を調節する流量調節
    装置が配置されていることを特徴とする液体収納容器。
  11. 【請求項11】 前記第2室内に、前記第2室の液量を
    監視する第2の監視手段が配置されており、前記流量調
    節装置は該第2の監視手段からの情報によっても制御さ
    れることを特徴とする請求項10に記載の液体収納容
    器。
  12. 【請求項12】 前記第1の監視手段は、液体の圧力変
    動を検知する圧力検知手段と、該圧力検知手段で得た圧
    力情報を前記流量調節装置に伝達する情報伝達手段と、
    外部から与えられるエネルギーを、前記圧力検知手段お
    よび前記情報伝達手段を動作させるための、前記エネル
    ギーとは異なる種類のエネルギーに変換するエネルギー
    変換手段とを少なくとも有する第1の立体形半導体素子
    であることを特徴とする請求項10に記載の液体収納容
    器。
  13. 【請求項13】 前記第1の立体形半導体素子は、前記
    第2室から前記第1室への液体供給が途切れるおそれが
    ある時の前記第1室の液面より上に配置され、かつ圧力
    の変動が検知できる所に配置されていることを特徴とす
    る請求項12に記載の液体収納容器。
  14. 【請求項14】 前記流量調節装置は、前記第1の監視
    手段からの圧力情報を受信する受信手段と、前記受信し
    た圧力情報に応じて動作する開閉バルブと、外部から与
    えられるエネルギーを、前記受信手段および前記開閉バ
    ルブを動作させるための、前記エネルギーとは異なる種
    類のエネルギーに変換するエネルギー変換手段とを少な
    くとも有する第2の立体形半導体素子であることを特徴
    とする請求項12に記載の液体収納容器。
  15. 【請求項15】 前記第2の監視手段は、液体の残量を
    検知する残量検知手段と、該残量検知手段で得た残量情
    報を前記流量調節手段に伝達する情報伝達手段と、外部
    から与えられるエネルギーを、前記残量検知手段および
    前記情報伝達手段を動作させるための、前記エネルギー
    とは異なる種類のエネルギーに変換するエネルギー変換
    手段とを少なくとも有する第3の立体形半導体素子であ
    ることを特徴とする請求項11に記載の液体収納容器。
  16. 【請求項16】 前記第3の立体形半導体素子は液面も
    しくは液中に浮かんでいることを特徴とする請求項15
    に記載の液体収納容器。
  17. 【請求項17】 記録のために液滴を吐出する液体吐出
    ヘッドと、該液体吐出ヘッドに供給する液体を収容して
    いる請求項1から16のいずれか1項に記載の液体収納
    容器とを搭載する液体吐出記録装置。
  18. 【請求項18】 前記液体吐出ヘッドは、液体に熱エネ
    ルギーを付与したときの膜沸騰を利用してノズルより液
    滴を吐出するものである請求項17に記載の液体吐出記
    録装置。
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