JP3609961B2 - 燃料電池発電装置 - Google Patents
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- Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料電池発電装置に関し、特に低カロリーガスを原燃料とする燃料電池発電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃料電池発電装置は、エネルギーの高効率利用およびクリーン環境化を目指すコジェネレーションシステムとして注目されている。燃料電池の燃料源としては、一般に都市ガス13Aや天然ガス等の炭化水素を改質器で水蒸気と反応させて得られる水素リッチな改質ガスが使用されてきた。
【0003】
図7は従来の燃料電池発電装置を示すシステムフロー図である。
図7において、1は原燃料中に含まれる硫黄化合物を除去するための脱硫器、2は脱硫器1で硫黄化合物を除去された原燃料中に含まれるメタン等の炭化水素を水蒸気と反応させて水素リッチな改質ガスに変換する改質器、3は改質器2で改質された改質ガス中に含まれる一酸化炭素を水蒸気と反応させて水素に変換する一酸化炭素変成器、4は燃料ガス中の水素と空気中の酸素とから直流電力を発生させる電池スタックであり、この電池スタック4は燃料極4aと空気極4bとから構成されている。
【0004】
つぎに、従来のシステムの動作について説明する。
原燃料としての都市ガスは、まず脱硫器1に投入され、その中で、都市ガス中に含まれる付臭剤等の硫黄化合物が除去される。そして、硫黄化合物を除去された原燃料が、水蒸気とともにニッケル系の触媒が充填された改質器2に投入され、その中で改質反応が行われて、原燃料中の炭化水素が水蒸気と反応して、水素、二酸化炭素、一酸化炭素を含む改質ガスに変換される。この改質ガスを燃料ガスとして電池スタック4の燃料極4aに直接供給すると、改質ガス中の一酸化炭素が電池スタック4の燃料電極を被毒することになる。そこで、改質ガスを一酸化炭素変成器3に投入し、その中で一酸化炭素を水蒸気と反応させて水素と二酸化炭素とに変換し、一酸化炭素濃度が最終的に約1%以下に低減された変成ガスに変換する。そして、この変成ガスが燃料ガスとして電池スタック4の燃料極4aに供給されると同時に、空気が電池スタック4の空気極4bに供給される。
電池スタック4の燃料極4aと空気極4bでは、それぞれ式(1)、(2)の電気化学反応が進行し、直流電力が取り出される。
燃料極: H2 → 2H++2e− …(1)
空気極: 1/2・O2+2H++2e− → H2O …(2)
このようにして得られた直流電力は、インバータ(図示せず)により交流に変換され、交流出力として外部に取り出される。
【0005】
なお、燃料極4aに供給する水素量は、電池スタック4で必要とする量よりも過剰に供給し、余剰水素を改質器2のバーナ部(図示せず)で燃焼し、改質反応に必要な熱源としている。水素利用率(水素の消費量と供給量との比)は、通常75〜80%としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の燃料電池発電装置は、以上のように構成されているので、下水汚泥を嫌気処理して得られる消化ガスのような低カロリーガスを原燃料とする場合には、電池スタック4に供給する燃料ガス中の水素分圧が低くなり、水素利用率を高くすると、電池スタック4を損傷するおそれがあった。そして、水素利用率を高くできないため、発電効率が低くなるという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、消化ガスのような低カロリーガスを原燃料として用いた場合でも、電池スタックの損傷を防止でき、信頼性を向上させるとともに、水素利用率を高めて発電効率を高めることができる燃料電池発電装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る燃料電池発電装置は、イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成された電池スタックを備え、水素および少なくとも1種の他のガスを含む燃料ガスを該電池スタックの燃料極に供給するとともに、空気を電池スタックの空気極に供給して直流電流を発生させる燃料電池発電装置において、イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成され、直流電力が供給されて、アノード側の該ガス拡散電極で上記燃料ガス中の水素から水素イオンを生成し、該水素イオンを該イオン導電性電解質マトリクスを通ってカソード側に移動させ、カソード側の該ガス拡散電極で該水素イオンを水素に戻すように機能する水素濃縮装置を備え、上記水素濃縮装置が上記電池スタックの上流側に配され、上記燃料ガスを分岐して上記水素濃縮装置のアノード側およびカソード側に供給し、カソード出口ガスを上記燃料極に供給するようにしたものである。
【0009】
また、上記燃料極の出口ガスを上記水素濃縮装置のアノード側に供給するリサイクル回路を備えているものである。
【0010】
また、上記電池スタックで発生した直流電流を駆動力として上記水素濃縮装置に供給するようにしたものである。
【0011】
また、上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが電気的に直列に接続されているものである。
【0012】
また、上記水素濃縮装置の単電池の外形寸法を上記電池スタックの単電池の外形寸法と実質的に同じくし、上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが積層一体化されているものである。
【0013】
また、上記イオン導電性電解質マトリクスは、イオン導電性電解質が多孔性基材に含浸されて構成されているものである。
【0014】
また、上記イオン導電性電解質がリン酸であるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る燃料電池発電装置を示すシステムフロー図であり、図において図7に示した従来の燃料電池発電装置と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図1において、5は電池スタック4の前段(上流側)に配され、電池スタック4に供給される燃料ガス中の水素濃度を高めるための水素濃縮装置である。
なお、この実施の形態1による燃料電池発電装置は、水素濃縮装置5が電池スタック4の前段に設けられ、下水汚泥を嫌気処理して得られる消化ガス(CH4:60%、CO2:40%、H2S:10ppm)が原燃料として用いられている点を除いて、図7に示した従来の燃料電池発電装置と同様に構成されている。
【0016】
ここで、水素濃縮装置5の具体的構成と電池スタック4との接続について図2を参照しつつ説明する。
水素濃縮装置5は、一対のガス拡散電極であるアノード5aおよびカソード5bをイオン導電性電解質マトリクス5cの両側に配してなる単電池を複数個積層して構成されている。このイオン導電性電解質マトリクス5cは、リン酸等の水素イオン導電性電解質をシリコンカーバイドの微粉末を膜状に成形してなる多孔性基材に含浸させて構成されている。
また、電池スタック4は、一対のガス拡散電極である燃料極4aおよび空気極4bをイオン導電性電解質マトリクス4cの両側に配してなる単電池を多数個積層して構成されたリン酸型燃料電池である。
そして、一酸化炭素変成器3の出口配管である燃料ガス供給配管6から分岐するアノード供給配管7aおよびカソード供給配管7bが、水素濃縮装置5のアノード5aおよびカソード5bに接続されている。また、水素濃縮装置5のカソード出口配管8bが、電池スタック4の燃料極4aに接続されている。
なお、図2では、説明を簡略化するために1個の単電池のみを示している。
【0017】
つぎに、この実施の形態1による燃料電池発電装置の動作を説明する。
脱硫器1から一酸化炭素変成器3までの動作は、原燃料として消化ガスを用いている点を除いて、図7に示した従来の装置と同様に動作する。
一酸化炭素変成器3から排出された変成ガスは、燃料ガスとして、燃料ガス供給配管6、アノード供給配管7aおよびカソード供給配管7bを介して水素濃縮装置5のアノード5aおよびカソード5bのそれぞれに供給される。水素濃縮装置5のアノード5aおよびカソード5bでは、外部からの直流電力により、それぞれ式(3)、(4)の電気化学反応が進行し、カソード5b側の燃料ガスの水素濃度が高められる。
アノード: H2 → 2H++2e− …(3)
カソード: 2H++2e− → H2 …(4)
つまり、アノード5a側に供給された燃料ガス中の水素はアノード5aで電子を失い水素イオンとなる。この水素イオンは、イオン導電性電解質マトリクス5cを通りカソード5bまで進み、そこで電子を受け取って水素に戻る。このようにして、アノード5a側に供給された燃料ガス中の水素がカソード5b側に移動し、カソード5b側を流れる燃料ガスの水素濃度が高められる。
この水素濃度が高められた燃料ガスは、カソード出口配管8bを介して電池スタック4の燃料極4aに供給され、直流電力が取り出され、さらにインバータ(図示せず)により交流に変換される。一方、水素濃度が低められた燃料ガスは、アノード出口配管8aを介して外部に排出される。
【0018】
ここで、水素濃縮装置5においては、アノード5a側からカソード5b側への水素の透過量は、電流値と単電池の積層数とに比例する。即ち、外部から供給される直流電力が大きくなるほど、単電池の積層数が多いほど、カソード5bの出口ガスの水素濃度が高められる。
【0019】
このように、この実施の形態1によれば、水素濃縮装置5を電池スタック4の前段に配しているので、カソード5bの出口における燃料ガスの水素濃度が水素濃縮装置5に供給される供給ガスの水素濃度より高められる。
そこで、原燃料として安価な消化ガスを用いても、電池スタック4の燃料極4aに供給される燃料ガス中の水素分圧が高められ、燃料ガス中の水素分圧が低いことに起因する電池スタック4の損傷が防止され、信頼性を向上させることができる。また、電池スタック4の燃料極4aに供給される燃料ガスの水素濃度を高くできるので、発電効率を高めることができる。
また、一酸化炭素変成器3からの変成ガスを分岐して水素濃縮装置5のアノード5aおよびカソード5bに供給しているので、変成ガスの全量をアノード5aに供給する場合と比較して、アノード5aからカソード5bに移動すべき水素量を減らすことができ、水素濃縮のための電力を低減することができる。さらに、アノード5aとカソード5bとの流量比および電流値を制御することにより、水素濃度を自由に設定することができる。
【0020】
ここで、電気化学プロセスを利用した水素濃縮装置としては、例えば特開平6−65774号公報に記載されたイオン導電性固体電解質膜を用いた装置が提案されている。この従来の水素濃縮装置においては、燃料ガス中の一酸化炭素の影響を強く受けるため、一酸化炭素濃度をppbオーダまで除去する必要があった。また、燃料ガス中に陽イオン成分が含まれていると、電解質の抵抗が増加してしまい、これらの不純物の除去が必要となり、燃料ガスの不純物成分の除去装置を別途設ける必要があった。
一方、この実施の形態1による水素濃縮装置5においては、一酸化炭素の許容濃度が約1%程度あり、リン酸型燃料電池発電装置で用いられている一酸化炭素変成器3の出口ガス相当の燃料ガスをそのまま用いることが可能である。また、燃料ガス中のイオン成分の影響も、リン酸が強酸であることから、イオン導電性固体電解質膜を用いる場合と比較して、影響を受けにくく、従来の水素濃縮装置で必要であった燃料ガスの不純物成分の除去装置が不要となる。
【0021】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る燃料電池発電装置における水素濃縮装置周りを示すシステムフロー図である。
図3において、9は電池スタック4の燃料極4aの出口とアノード供給配管7aとを連結するリサイクル回路、10はリサイクル回路9の経路中に配設されたブロワである。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0022】
電池スタック4の燃料極4aの出口ガスは、改質器2のバーナ部に供し、燃焼させることにより改質反応に必要な熱源としている。そして、電池スタック4での水素利用率の設定条件によっては、改質反応に必要な熱量以上の燃料極4aの出口ガスが排出される。
この実施の形態2では、ブロワ10を作動させることにより、燃料極4aの出口ガスの全部または一部がリサイクル回路9を介してアノード供給配管7aに供給され、一酸化炭素変成器3から排出された燃料ガスと合流して、アノード5aに供給される。そして、水素濃縮装置5において、アノード5aに供給された燃料ガスと燃料極4aの出口ガスとから水素がカソード5b側に取り出され、カソード5bの出口ガスの水素濃度が高められる。
【0023】
この実施の形態2によれば、燃料極4aの出口ガスの余剰分から水素を取り出せるので、その分原燃料の供給量を低減でき、低コスト化が図られるとともに、発電効率を向上させることができる。
【0024】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
図4において、11は電池スタック4で発生した直流を交流に変換するインバータ、12は電池スタック4で発生した直流の一部を分岐し、水素濃縮装置5に供給する直流に変換するDC/DCコンバータである。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0025】
この実施の形態3では、電池スタック4で発生した直流の一部がDC/DCコンバータ12で直流に変換されて水素濃縮装置5に供給され、水素濃縮装置5における電気化学反応が進行される。
従って、電池スタック4で発生した直流を水素濃縮装置5における電気化学反応の駆動力として利用しているので、水素濃縮装置5に直流電力を供給する直流電源を別途設ける必要がなく、装置の簡略化および低価格化が図られる。
【0026】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
図5において、電池スタック4と水素濃縮装置5とが電気的に直列に接続されている。
なお、他の構成は上記実施の形態3と同様に構成されている。
【0027】
この実施の形態4では、電池スタック4で発生した直流電流が直接水素濃縮装置5に供給され、水素濃縮装置5における電気化学反応が進行される。
従って、電池スタック4で発生した直流電流を制御するDC/DCコンバータ12が不要となり、装置の簡略化および低価格化が図られる。
【0028】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
図6において、水素濃縮装置5を構成する単電池の外形寸法が電池スタック4を構成する単電池の外形寸法と実質的に同一に形成され、水素濃縮装置5と電池スタック4とが積層され、かつ、電気的に直列に接続されている。
なお、他の構成は上記実施の形態4と同様に構成されている。
【0029】
この実施の形態5では、電池スタック4と水素濃縮装置5とが積層一体化されているので、装置構成がシンプルになるとともに、装置のコンパクト化が図られる。
【0030】
なお、上記各実施の形態では、電池スタック4としてリン酸型燃料電池を用いるものとして説明しているが、電池スタックはリン酸型燃料電池に限定されるものではなく、例えば固体高分子膜型燃料電池や溶融炭酸塩型燃料電池でもよい。
また、上記各実施の形態では、水素濃縮装置5のイオン導電性電解質マトリクス5cがリン酸等の水素イオン導電性電解質をシリコンカーバイドの微粉末を膜状に成形してなる多孔性基材に含浸させて構成されているものとして説明しているが、イオン導電性電解質マトリクスはこれに限定されるものではなく、例えばイオン導電性固体電解質膜でもよい。この場合、リン酸等の水素イオン導電性電解質をシリコンカーバイドの微粉末を膜状に成形してなる多孔性基材に含浸させて構成されたイオン導電性電解質マトリクス5cに比べて、燃料ガス中の一酸化炭素濃度および不純物成分に影響されやすく、それらの除去装置が必要となり、装置の大型化を招いてしまうという不具合があるが、燃料ガス中の一酸化炭素および不純物成分が十分に除去されていれば、イオン導電性電解質マトリクス5cと同等の水素濃縮効果が得られる。
【0031】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0032】
この発明によれば、イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成された電池スタックを備え、水素および少なくとも1種の他のガスを含む燃料ガスを該電池スタックの燃料極に供給するとともに、空気を電池スタックの空気極に供給して直流電流を発生させる燃料電池発電装置において、イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成され、直流電力が供給されて、アノード側の該ガス拡散電極で上記燃料ガス中の水素から水素イオンを生成し、該水素イオンを該イオン導電性電解質マトリクスを通ってカソード側に移動させ、カソード側の該ガス拡散電極で該水素イオンを水素に戻すように機能する水素濃縮装置を備え、上記水素濃縮装置が上記電池スタックの上流側に配され、上記燃料ガスを分岐して上記水素濃縮装置のアノード側およびカソード側に供給し、カソード出口ガスを上記燃料極に供給するようにしたので、消化ガスのような低カロリーガスを原燃料として用いた場合でも、電池スタックの損傷を防止でき、信頼性を向上させるとともに、水素利用率を高めて発電効率を高めることができる燃料電池発電装置が得られる。
【0033】
また、上記燃料極の出口ガスを上記水素濃縮装置のアノード側に供給するリサイクル回路を備えているので、燃料極の出口ガスの余剰分から水素を回収して原燃料の供給量を低減でき、低コスト化が図られるとともに、発電効率を向上させることができる。
【0034】
また、上記電池スタックで発生した直流電流を駆動力として上記水素濃縮装置に供給するようにしたので、水素濃縮装置用の直流電源を別途設ける必要がなく、装置の簡略化および低価格化が図られる。
【0035】
また、上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが電気的に直列に接続されているので、電池スタックで発生した直流電流を制御するDC/DCコンバータ等が不要となり、装置の簡略化および低価格化が図られる。
【0036】
また、上記水素濃縮装置の単電池の外形寸法を上記電池スタックの単電池の外形寸法と実質的に同じくし、上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが積層一体化されているので、装置構成がシンプルになるとともに、装置のコンパクト化が図られる。
【0037】
また、上記イオン導電性電解質マトリクスは、イオン導電性電解質が多孔性基材に含浸されて構成されているので、燃料ガス中の一酸化炭素やイオン成分に影響を受けにくい水素濃縮装置が得られる。
【0038】
また、上記イオン導電性電解質がリン酸であるので、一般的な燃料電池発電装置に用いられる一酸化炭素変成器の出口ガス相当の燃料ガスをそのまま使用できるとともに、燃料ガス中の不純物成分の除去装置を不要となり、装置の簡略化が図られ、低価格化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る燃料電池発電装置を示すシステムシステムフロー図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る燃料電池発電装置における水素濃縮装置周りを示すシステムフロー図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る燃料電池発電装置における水素濃縮装置周りを示すシステムフロー図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る燃料電池発電装置における水素濃縮装置周りを示すシステムフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
【図7】従来の燃料電池発電装置を示すシステムフロー図である。
【符号の説明】
4 電池スタック、4a 燃料極、4b 空気極、4c イオン導電性電解質マトリクス、5 水素濃縮装置、5a アノード、5b カソード、5c イオン導電性電解質マトリクス、9 リサイクル回路。
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料電池発電装置に関し、特に低カロリーガスを原燃料とする燃料電池発電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃料電池発電装置は、エネルギーの高効率利用およびクリーン環境化を目指すコジェネレーションシステムとして注目されている。燃料電池の燃料源としては、一般に都市ガス13Aや天然ガス等の炭化水素を改質器で水蒸気と反応させて得られる水素リッチな改質ガスが使用されてきた。
【0003】
図7は従来の燃料電池発電装置を示すシステムフロー図である。
図7において、1は原燃料中に含まれる硫黄化合物を除去するための脱硫器、2は脱硫器1で硫黄化合物を除去された原燃料中に含まれるメタン等の炭化水素を水蒸気と反応させて水素リッチな改質ガスに変換する改質器、3は改質器2で改質された改質ガス中に含まれる一酸化炭素を水蒸気と反応させて水素に変換する一酸化炭素変成器、4は燃料ガス中の水素と空気中の酸素とから直流電力を発生させる電池スタックであり、この電池スタック4は燃料極4aと空気極4bとから構成されている。
【0004】
つぎに、従来のシステムの動作について説明する。
原燃料としての都市ガスは、まず脱硫器1に投入され、その中で、都市ガス中に含まれる付臭剤等の硫黄化合物が除去される。そして、硫黄化合物を除去された原燃料が、水蒸気とともにニッケル系の触媒が充填された改質器2に投入され、その中で改質反応が行われて、原燃料中の炭化水素が水蒸気と反応して、水素、二酸化炭素、一酸化炭素を含む改質ガスに変換される。この改質ガスを燃料ガスとして電池スタック4の燃料極4aに直接供給すると、改質ガス中の一酸化炭素が電池スタック4の燃料電極を被毒することになる。そこで、改質ガスを一酸化炭素変成器3に投入し、その中で一酸化炭素を水蒸気と反応させて水素と二酸化炭素とに変換し、一酸化炭素濃度が最終的に約1%以下に低減された変成ガスに変換する。そして、この変成ガスが燃料ガスとして電池スタック4の燃料極4aに供給されると同時に、空気が電池スタック4の空気極4bに供給される。
電池スタック4の燃料極4aと空気極4bでは、それぞれ式(1)、(2)の電気化学反応が進行し、直流電力が取り出される。
燃料極: H2 → 2H++2e− …(1)
空気極: 1/2・O2+2H++2e− → H2O …(2)
このようにして得られた直流電力は、インバータ(図示せず)により交流に変換され、交流出力として外部に取り出される。
【0005】
なお、燃料極4aに供給する水素量は、電池スタック4で必要とする量よりも過剰に供給し、余剰水素を改質器2のバーナ部(図示せず)で燃焼し、改質反応に必要な熱源としている。水素利用率(水素の消費量と供給量との比)は、通常75〜80%としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の燃料電池発電装置は、以上のように構成されているので、下水汚泥を嫌気処理して得られる消化ガスのような低カロリーガスを原燃料とする場合には、電池スタック4に供給する燃料ガス中の水素分圧が低くなり、水素利用率を高くすると、電池スタック4を損傷するおそれがあった。そして、水素利用率を高くできないため、発電効率が低くなるという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、消化ガスのような低カロリーガスを原燃料として用いた場合でも、電池スタックの損傷を防止でき、信頼性を向上させるとともに、水素利用率を高めて発電効率を高めることができる燃料電池発電装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る燃料電池発電装置は、イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成された電池スタックを備え、水素および少なくとも1種の他のガスを含む燃料ガスを該電池スタックの燃料極に供給するとともに、空気を電池スタックの空気極に供給して直流電流を発生させる燃料電池発電装置において、イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成され、直流電力が供給されて、アノード側の該ガス拡散電極で上記燃料ガス中の水素から水素イオンを生成し、該水素イオンを該イオン導電性電解質マトリクスを通ってカソード側に移動させ、カソード側の該ガス拡散電極で該水素イオンを水素に戻すように機能する水素濃縮装置を備え、上記水素濃縮装置が上記電池スタックの上流側に配され、上記燃料ガスを分岐して上記水素濃縮装置のアノード側およびカソード側に供給し、カソード出口ガスを上記燃料極に供給するようにしたものである。
【0009】
また、上記燃料極の出口ガスを上記水素濃縮装置のアノード側に供給するリサイクル回路を備えているものである。
【0010】
また、上記電池スタックで発生した直流電流を駆動力として上記水素濃縮装置に供給するようにしたものである。
【0011】
また、上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが電気的に直列に接続されているものである。
【0012】
また、上記水素濃縮装置の単電池の外形寸法を上記電池スタックの単電池の外形寸法と実質的に同じくし、上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが積層一体化されているものである。
【0013】
また、上記イオン導電性電解質マトリクスは、イオン導電性電解質が多孔性基材に含浸されて構成されているものである。
【0014】
また、上記イオン導電性電解質がリン酸であるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る燃料電池発電装置を示すシステムフロー図であり、図において図7に示した従来の燃料電池発電装置と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
図1において、5は電池スタック4の前段(上流側)に配され、電池スタック4に供給される燃料ガス中の水素濃度を高めるための水素濃縮装置である。
なお、この実施の形態1による燃料電池発電装置は、水素濃縮装置5が電池スタック4の前段に設けられ、下水汚泥を嫌気処理して得られる消化ガス(CH4:60%、CO2:40%、H2S:10ppm)が原燃料として用いられている点を除いて、図7に示した従来の燃料電池発電装置と同様に構成されている。
【0016】
ここで、水素濃縮装置5の具体的構成と電池スタック4との接続について図2を参照しつつ説明する。
水素濃縮装置5は、一対のガス拡散電極であるアノード5aおよびカソード5bをイオン導電性電解質マトリクス5cの両側に配してなる単電池を複数個積層して構成されている。このイオン導電性電解質マトリクス5cは、リン酸等の水素イオン導電性電解質をシリコンカーバイドの微粉末を膜状に成形してなる多孔性基材に含浸させて構成されている。
また、電池スタック4は、一対のガス拡散電極である燃料極4aおよび空気極4bをイオン導電性電解質マトリクス4cの両側に配してなる単電池を多数個積層して構成されたリン酸型燃料電池である。
そして、一酸化炭素変成器3の出口配管である燃料ガス供給配管6から分岐するアノード供給配管7aおよびカソード供給配管7bが、水素濃縮装置5のアノード5aおよびカソード5bに接続されている。また、水素濃縮装置5のカソード出口配管8bが、電池スタック4の燃料極4aに接続されている。
なお、図2では、説明を簡略化するために1個の単電池のみを示している。
【0017】
つぎに、この実施の形態1による燃料電池発電装置の動作を説明する。
脱硫器1から一酸化炭素変成器3までの動作は、原燃料として消化ガスを用いている点を除いて、図7に示した従来の装置と同様に動作する。
一酸化炭素変成器3から排出された変成ガスは、燃料ガスとして、燃料ガス供給配管6、アノード供給配管7aおよびカソード供給配管7bを介して水素濃縮装置5のアノード5aおよびカソード5bのそれぞれに供給される。水素濃縮装置5のアノード5aおよびカソード5bでは、外部からの直流電力により、それぞれ式(3)、(4)の電気化学反応が進行し、カソード5b側の燃料ガスの水素濃度が高められる。
アノード: H2 → 2H++2e− …(3)
カソード: 2H++2e− → H2 …(4)
つまり、アノード5a側に供給された燃料ガス中の水素はアノード5aで電子を失い水素イオンとなる。この水素イオンは、イオン導電性電解質マトリクス5cを通りカソード5bまで進み、そこで電子を受け取って水素に戻る。このようにして、アノード5a側に供給された燃料ガス中の水素がカソード5b側に移動し、カソード5b側を流れる燃料ガスの水素濃度が高められる。
この水素濃度が高められた燃料ガスは、カソード出口配管8bを介して電池スタック4の燃料極4aに供給され、直流電力が取り出され、さらにインバータ(図示せず)により交流に変換される。一方、水素濃度が低められた燃料ガスは、アノード出口配管8aを介して外部に排出される。
【0018】
ここで、水素濃縮装置5においては、アノード5a側からカソード5b側への水素の透過量は、電流値と単電池の積層数とに比例する。即ち、外部から供給される直流電力が大きくなるほど、単電池の積層数が多いほど、カソード5bの出口ガスの水素濃度が高められる。
【0019】
このように、この実施の形態1によれば、水素濃縮装置5を電池スタック4の前段に配しているので、カソード5bの出口における燃料ガスの水素濃度が水素濃縮装置5に供給される供給ガスの水素濃度より高められる。
そこで、原燃料として安価な消化ガスを用いても、電池スタック4の燃料極4aに供給される燃料ガス中の水素分圧が高められ、燃料ガス中の水素分圧が低いことに起因する電池スタック4の損傷が防止され、信頼性を向上させることができる。また、電池スタック4の燃料極4aに供給される燃料ガスの水素濃度を高くできるので、発電効率を高めることができる。
また、一酸化炭素変成器3からの変成ガスを分岐して水素濃縮装置5のアノード5aおよびカソード5bに供給しているので、変成ガスの全量をアノード5aに供給する場合と比較して、アノード5aからカソード5bに移動すべき水素量を減らすことができ、水素濃縮のための電力を低減することができる。さらに、アノード5aとカソード5bとの流量比および電流値を制御することにより、水素濃度を自由に設定することができる。
【0020】
ここで、電気化学プロセスを利用した水素濃縮装置としては、例えば特開平6−65774号公報に記載されたイオン導電性固体電解質膜を用いた装置が提案されている。この従来の水素濃縮装置においては、燃料ガス中の一酸化炭素の影響を強く受けるため、一酸化炭素濃度をppbオーダまで除去する必要があった。また、燃料ガス中に陽イオン成分が含まれていると、電解質の抵抗が増加してしまい、これらの不純物の除去が必要となり、燃料ガスの不純物成分の除去装置を別途設ける必要があった。
一方、この実施の形態1による水素濃縮装置5においては、一酸化炭素の許容濃度が約1%程度あり、リン酸型燃料電池発電装置で用いられている一酸化炭素変成器3の出口ガス相当の燃料ガスをそのまま用いることが可能である。また、燃料ガス中のイオン成分の影響も、リン酸が強酸であることから、イオン導電性固体電解質膜を用いる場合と比較して、影響を受けにくく、従来の水素濃縮装置で必要であった燃料ガスの不純物成分の除去装置が不要となる。
【0021】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る燃料電池発電装置における水素濃縮装置周りを示すシステムフロー図である。
図3において、9は電池スタック4の燃料極4aの出口とアノード供給配管7aとを連結するリサイクル回路、10はリサイクル回路9の経路中に配設されたブロワである。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0022】
電池スタック4の燃料極4aの出口ガスは、改質器2のバーナ部に供し、燃焼させることにより改質反応に必要な熱源としている。そして、電池スタック4での水素利用率の設定条件によっては、改質反応に必要な熱量以上の燃料極4aの出口ガスが排出される。
この実施の形態2では、ブロワ10を作動させることにより、燃料極4aの出口ガスの全部または一部がリサイクル回路9を介してアノード供給配管7aに供給され、一酸化炭素変成器3から排出された燃料ガスと合流して、アノード5aに供給される。そして、水素濃縮装置5において、アノード5aに供給された燃料ガスと燃料極4aの出口ガスとから水素がカソード5b側に取り出され、カソード5bの出口ガスの水素濃度が高められる。
【0023】
この実施の形態2によれば、燃料極4aの出口ガスの余剰分から水素を取り出せるので、その分原燃料の供給量を低減でき、低コスト化が図られるとともに、発電効率を向上させることができる。
【0024】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
図4において、11は電池スタック4で発生した直流を交流に変換するインバータ、12は電池スタック4で発生した直流の一部を分岐し、水素濃縮装置5に供給する直流に変換するDC/DCコンバータである。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
【0025】
この実施の形態3では、電池スタック4で発生した直流の一部がDC/DCコンバータ12で直流に変換されて水素濃縮装置5に供給され、水素濃縮装置5における電気化学反応が進行される。
従って、電池スタック4で発生した直流を水素濃縮装置5における電気化学反応の駆動力として利用しているので、水素濃縮装置5に直流電力を供給する直流電源を別途設ける必要がなく、装置の簡略化および低価格化が図られる。
【0026】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
図5において、電池スタック4と水素濃縮装置5とが電気的に直列に接続されている。
なお、他の構成は上記実施の形態3と同様に構成されている。
【0027】
この実施の形態4では、電池スタック4で発生した直流電流が直接水素濃縮装置5に供給され、水素濃縮装置5における電気化学反応が進行される。
従って、電池スタック4で発生した直流電流を制御するDC/DCコンバータ12が不要となり、装置の簡略化および低価格化が図られる。
【0028】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
図6において、水素濃縮装置5を構成する単電池の外形寸法が電池スタック4を構成する単電池の外形寸法と実質的に同一に形成され、水素濃縮装置5と電池スタック4とが積層され、かつ、電気的に直列に接続されている。
なお、他の構成は上記実施の形態4と同様に構成されている。
【0029】
この実施の形態5では、電池スタック4と水素濃縮装置5とが積層一体化されているので、装置構成がシンプルになるとともに、装置のコンパクト化が図られる。
【0030】
なお、上記各実施の形態では、電池スタック4としてリン酸型燃料電池を用いるものとして説明しているが、電池スタックはリン酸型燃料電池に限定されるものではなく、例えば固体高分子膜型燃料電池や溶融炭酸塩型燃料電池でもよい。
また、上記各実施の形態では、水素濃縮装置5のイオン導電性電解質マトリクス5cがリン酸等の水素イオン導電性電解質をシリコンカーバイドの微粉末を膜状に成形してなる多孔性基材に含浸させて構成されているものとして説明しているが、イオン導電性電解質マトリクスはこれに限定されるものではなく、例えばイオン導電性固体電解質膜でもよい。この場合、リン酸等の水素イオン導電性電解質をシリコンカーバイドの微粉末を膜状に成形してなる多孔性基材に含浸させて構成されたイオン導電性電解質マトリクス5cに比べて、燃料ガス中の一酸化炭素濃度および不純物成分に影響されやすく、それらの除去装置が必要となり、装置の大型化を招いてしまうという不具合があるが、燃料ガス中の一酸化炭素および不純物成分が十分に除去されていれば、イオン導電性電解質マトリクス5cと同等の水素濃縮効果が得られる。
【0031】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0032】
この発明によれば、イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成された電池スタックを備え、水素および少なくとも1種の他のガスを含む燃料ガスを該電池スタックの燃料極に供給するとともに、空気を電池スタックの空気極に供給して直流電流を発生させる燃料電池発電装置において、イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成され、直流電力が供給されて、アノード側の該ガス拡散電極で上記燃料ガス中の水素から水素イオンを生成し、該水素イオンを該イオン導電性電解質マトリクスを通ってカソード側に移動させ、カソード側の該ガス拡散電極で該水素イオンを水素に戻すように機能する水素濃縮装置を備え、上記水素濃縮装置が上記電池スタックの上流側に配され、上記燃料ガスを分岐して上記水素濃縮装置のアノード側およびカソード側に供給し、カソード出口ガスを上記燃料極に供給するようにしたので、消化ガスのような低カロリーガスを原燃料として用いた場合でも、電池スタックの損傷を防止でき、信頼性を向上させるとともに、水素利用率を高めて発電効率を高めることができる燃料電池発電装置が得られる。
【0033】
また、上記燃料極の出口ガスを上記水素濃縮装置のアノード側に供給するリサイクル回路を備えているので、燃料極の出口ガスの余剰分から水素を回収して原燃料の供給量を低減でき、低コスト化が図られるとともに、発電効率を向上させることができる。
【0034】
また、上記電池スタックで発生した直流電流を駆動力として上記水素濃縮装置に供給するようにしたので、水素濃縮装置用の直流電源を別途設ける必要がなく、装置の簡略化および低価格化が図られる。
【0035】
また、上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが電気的に直列に接続されているので、電池スタックで発生した直流電流を制御するDC/DCコンバータ等が不要となり、装置の簡略化および低価格化が図られる。
【0036】
また、上記水素濃縮装置の単電池の外形寸法を上記電池スタックの単電池の外形寸法と実質的に同じくし、上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが積層一体化されているので、装置構成がシンプルになるとともに、装置のコンパクト化が図られる。
【0037】
また、上記イオン導電性電解質マトリクスは、イオン導電性電解質が多孔性基材に含浸されて構成されているので、燃料ガス中の一酸化炭素やイオン成分に影響を受けにくい水素濃縮装置が得られる。
【0038】
また、上記イオン導電性電解質がリン酸であるので、一般的な燃料電池発電装置に用いられる一酸化炭素変成器の出口ガス相当の燃料ガスをそのまま使用できるとともに、燃料ガス中の不純物成分の除去装置を不要となり、装置の簡略化が図られ、低価格化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る燃料電池発電装置を示すシステムシステムフロー図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る燃料電池発電装置における水素濃縮装置周りを示すシステムフロー図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る燃料電池発電装置における水素濃縮装置周りを示すシステムフロー図である。
【図4】この発明の実施の形態3に係る燃料電池発電装置における水素濃縮装置周りを示すシステムフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態4に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
【図6】この発明の実施の形態5に係る燃料電池発電装置の要部を示すシステムフロー図である。
【図7】従来の燃料電池発電装置を示すシステムフロー図である。
【符号の説明】
4 電池スタック、4a 燃料極、4b 空気極、4c イオン導電性電解質マトリクス、5 水素濃縮装置、5a アノード、5b カソード、5c イオン導電性電解質マトリクス、9 リサイクル回路。
Claims (7)
- イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成された電池スタックを備え、水素および少なくとも1種の他のガスを含む燃料ガスを該電池スタックの燃料極に供給するとともに、空気を電池スタックの空気極に供給して直流電流を発生させる燃料電池発電装置において、
イオン導電性電解質マトリクスの両側に一対のガス拡散電極を配してなる単電池を複数個積層して構成され、直流電力が供給されて、アノード側の該ガス拡散電極で上記燃料ガス中の水素から水素イオンを生成し、該水素イオンを該イオン導電性電解質マトリクスを通ってカソード側に移動させ、カソード側の該ガス拡散電極で該水素イオンを水素に戻すように機能する水素濃縮装置を備え、
上記水素濃縮装置が上記電池スタックの上流側に配され、上記燃料ガスを分岐して上記水素濃縮装置のアノード側およびカソード側に供給し、カソード出口ガスを上記燃料極に供給するようにしたことを特徴とする燃料電池発電装置。 - 上記燃料極の出口ガスを上記水素濃縮装置のアノード側に供給するリサイクル回路を備えていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池発電装置。
- 上記電池スタックで発生した直流電流を駆動力として上記水素濃縮装置に供給するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料電池発電装置。
- 上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが電気的に直列に接続されていることを特徴とする請求項3記載の燃料電池発電装置。
- 上記水素濃縮装置の単電池の外形寸法を上記電池スタックの単電池の外形寸法と実質的に同じくし、上記電池スタックと上記水素濃縮装置とが積層一体化されていることを特徴とする請求項4記載の燃料電池発電装置。
- 上記イオン導電性電解質マトリクスは、イオン導電性電解質が多孔性基材に含浸されて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の燃料電池発電装置。
- 上記イオン導電性電解質がリン酸であることを特徴とする請求項6記載の燃料電池発電装置。
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