JP3609566B2 - Σ−δ変調方式adコンバータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はADコンバータの技術分野に係り、特に、Σ−Δ変調方式ADコンバータの特性を改善する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、アナログ録音のレコードに替え、ディジタル録音のコンパクトディスクやディジタルオーディオテープが普及しており、ADコンバータやDAコンバータが広く用いられている。
【0003】
ディジタルオーディオ技術の分野では、ADコンバータとして逐次比較方式が採用されていたが、その方式には高精度なDAコンバータが必要とされており、トリミングなしで12ビットの分解能を得ることが容易でないと言われている。また、高次・高精度なアナログフィルタも必要とされており、低価格化することが困難であった。
【0004】
そこで従来技術でも、逐次比較方式に替え、オーバサンプリング方式によるADコンバータが採用されるようになり、得たい帯域の周波数に対し、サンプリング周波数を数十倍と高くし(オーバーサンプリング)、その信号をディジタル処理することで、高価格なアナログフィルタを用いなくてもS/N比のよい信号が得られるようにされている。
【0005】
そのような従来技術のオーバサンプリング方式のADコンバータのうち、Σ−Δ変調方式のものを図4に示す。
このΣ−Δ変調方式ADコンバータ101は、モジュレータ111とディシメーションフィルタ112とを有しており、アナログ信号である差動入力信号INがモジュレータ111に入力されるように構成されている。
【0006】
入力された差動入力信号INは、モジュレータ111内でオーバーサンプリングされ、帯域内に含まれる量子化ノイズがモジュレータ111の伝達関数に基づいて帯域外にシェーピングされて、1ビットのデータ列に変換される。次に、ディシメーションフィルタ112にて、帯域外の量子化ノイズがその阻止帯域特性によって除去され、帯域内の出力信号(ディジタルデータ)として出力される。
【0007】
一般にΣ−Δ変調方式ADコンバータのモジュレータは、加算器と積分器と遅延回路とDAコンバータと比較器とで構成されており、このモジュレータ111が4次であるものとすると、4個の加算器131〜134と4個の積分器141〜144とが交互配置で直列接続され、最後段の積分器144の出力は、1ビットの比較器151に入力されている。比較器151は、入力された信号を基準電圧と比較して1ビットのデータ列を出力し、そのデータ列がディシメーションフィルタ112に出力されると共に、遅延回路160を介して、4個のDAコンバータ161〜164に入力されている。各DAコンバータ161〜164は、入力された1ビットのデータ列をアナログ信号に変換して各加算器131〜134に出力する。各加算器131〜134は、DAコンバータ161〜164の出力信号と差動入力信号IN又は前段の積分器141〜143の出力とを夫々加算して、各加算器131〜134の後段の積分器141〜144に出力する。このように、比較器151が出力する1ビットのデータ列は、出力信号としてディシメーションフィルタ112に入力されると共に、4個の積分器141〜144の入力段にそれぞれ帰還されるように構成されている。
【0008】
このような構成により、最前段の加算器131に差動入力電圧INが入力され、サンプリング周波数Fsの更に64倍の周波数でサンプリングが行われ、1ビットのデータ列が生成される際にノイズシェーピングされる。次に、ディシメーションフィルタ112にて、帯域外の量子化ノイズがその阻止帯域特性によって除去され、帯域内の信号成分がディジタルデータとして出力される。
このようなΣ−Δ変換方式ADコンバータは、入力信号の急峻な変化に追随でき、安価であることから中速用のADコンバータとして広く用いられている。
【0009】
しかしながら、上述したような従来技術のΣ−Δ変調方式ADコンバータでは、その出力のディジタルデータ中には、ディシメーションフィルタ112で除去され切れなかったノイズばかりでなく、アナログ信号がゼロVであってもディジタル信号がゼロにならないことによるノイズが含まれていることが知られている。アナログ信号がゼロVの時は、差動入力信号INがゼロVであり、AC成分を含まないことから、ディジタル信号もゼロを示しているはずである。しかしながら、その場合でも、ディジタル出力データ中には、帯域内の周波数成分(1つの周波数成分、あるいは複数の周波数成分)をもったノイズ信号が含まれており、このノイズ信号は高品質を要求されるオーディオシステム等では無視できない問題となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたもので、その目的は、低ノイズのΣ−Δ変調方式ADコンバータを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、入力されたアナログ信号をオーバー・サンプリングしてディジタルデータ列を生成するモジュレータと、前記モジュレータの後段に配置され、動作開始から所定の時間においては第1の次数のフィルタとして動作し、所定の時間の経過後には前記第1の次数よりも次数の高い第2の次数のフィルタとして動作するディジタルフィルタと、を有するΣ−Δ変調方式ADコンバータである。
請求項2記載の発明は、前記ディジタルフィルタがディジタルハイパスフィルタである請求項1に記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータである。
請求項3記載の発明は、前記ディジタルハイパスフィルタが、第1の端子が信号入力端子に接続された加算器と、前記加算器の出力に接続された第1の次数のディジタルハイパスフィルタと、前記第1の次数のディジタルハイパスフィルタの出力に接続された第3の次数のディジタルハイパスフィルタと、前記第1の次数のディジタルハイパスフィルタの出力と前記第3の次数のディジタルハイパスフィルタの出力の一方を選択して前記加算器の第2の端子に接続する第1のスイッチと、前記第1の次数のディジタルハイパスフィルタの出力と前記第3の次数のディジタルハイパスフィルタの出力の一方を選択して信号出力端子に接続する第2のスイッチとを有する請求項2に記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータである。
請求項4記載の発明は、前記モジュレータの前段又は信号サンプリング段に配置され、前記アナログ信号にDC電圧を電畳するDC電圧重畳回路を有する請求項2又は3に記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータである。
請求項5記載の発明は、前記モジュレータと前記ディジタルハイパスフィルタとの間に配置され、前記ディジタルデータ列をディジタル処理して高周波成分を除去するディシメーションフィルタを有する請求項2乃至4の何れかに記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータである。
請求項6記載の発明は、前記ディジタルハイパスフィルタにおける第1の次数から第2の次数への切り替えが、前記重畳されたDC電圧成分が所定のレベルまで減衰した後に行なわれる請求項4又は5に記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータである。
請求項7記載の発明は、前記ディジタルフィルタは、前記第1の次数よりも前記第2の次数のときの方が減衰特性に優れた請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータである。
請求項8記載の発明は、前記ディジタルフィルタは、前記第1の次数のときよりも前記第2の次数のときの方が減衰率の増加速度が緩やかである請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータである。
一般に、Σ−Δ変調方式ADコンバータにおいては、モジュレータやデシメーションフィルタがアイドリング状態にあるときには、モジュレータの出力データ列、ディシメーションフィルタ内部のデータ列、あるいはディシメーションフィルタの出力に、特定のアイドリングパターンが生じていることが知られている。
【0012】
そのアイドリングパターン中に含まれる周波数帯域の成分や、折り返し周波数成分が電源ラインやグランドライン等を経由してモジュレータ内や、前段のアナログ信号処理系に侵入した場合には、それらはノイズ信号となる。モジュレータ内では、そのノイズ信号が音声信号等の変換対象の信号と同等にサンプリングされ、アナログ信号がゼロVであるゼロDC信号入力時であっても、出力信号にあるノイズ強度をもったノイズ音が含まれてしまうと考えられている。
【0013】
図5は、従来技術のΣ−Δ変調方式ADコンバータにおいて、アナログ信号ゼロV時に左右2チャンネルのディジタル出力中に含まれるノイズを示している。
【0014】
差動アナログ入力の低レベル側を2.5Vに固定し、高レベル側の電位を2.2Vから2.9Vの間で変化させた場合の差動入力DC電圧(AC成分は含まれていない。)を横軸にとり、周波数を縦軸にとり、差動入力DC電圧を変化させたとき、その差動DC電圧とピークノイズ周波数との関係を、図6のグラフにして示す。
【0015】
差動入力DC電圧がゼロVでは、ノイズピークはゼロHzに近い低周波であるが、差動入力DC電圧の絶対値を増加させると、ピークノイズの周波数は直線的に高くなり、±0.1Vのところで24kHzとなり、更に増加させると減少に転じ、±0.2Vのところで、ゼロVを与えたときと同じ周波数になる。
【0016】
このように、差動入力DC電圧の大きさにより、ピークノイズの周波数は低周波〜24kHzの間で、折り返し特性を示すが、そのノイズピークの強度は、ゼロV〜±0.1Vの範囲では約−110dB、±(0.1〜0.2)Vの範囲では、約−125dBとなっており、差動入力DC電圧が大きくなると、ノイズ強度は小さくなることが分かる。
【0017】
しかしながら、この図6に示すノイズ強度のグラフからは、モジュレータの伝達関数(ノイズシェーピング特性)や、ディシメーションフィルタの特性に対する依存性は観察されず、ノイズ強度対周波数の関係は、帯域(図6では、差動入力DC電圧が −0.2、0、0.2Vを中心として、それぞれ±0.1Vの範囲)内ではノイズ強度は一定であり、しかも、ノイズ強度は、ピークノイズの周波数が折り返す毎に減少している。
【0018】
本発明の発明者等は、オーディオシステムにおける無音時のように、アナログ信号が入力されない時(差動アナログ信号のAC成分とDC成分がゼロVの状態)に発生するノイズ強度よりも、DC電圧が重畳されることによって、周波数が折り返えされていたときの方がノイズ強度が小さいという知見を得ている
【0019】
アナログ信号に対してDC電圧を重畳すると、上述したようにアイドリングパターンに起因するノイズ強度は小さくなる。一般に、ディシメーションフィルタから出力されるディジタル信号のノイズフロアーレベルは−120dB程度であるので、DC電圧を重畳することで、−120dB以下のノイズ強度にすれば問題はない。
【0020】
ディシメーションフィルタ、重畳されたDC電圧成分をディジタル処理で除去できるように構成しておくと、Σ−Δ変調方式ADコンバータの出力に、重畳したDC電圧が影響を与えることがなくなる。
【0021】
また、ディシメーションフィルタの後段に補正演算回路を設け、ディシメーションフィルタの出力に演算処理を施すことで、ディシメーションフィルタの出力中から重畳されたDC電圧成分を除去するようにしても、同様に、Σ−Δ変調方式ADコンバータの出力に、重畳したDC電圧が影響を与えることがなくなる。
【0022】
更にまた、ディシメーションフィルタの後段にディジタルハイパスフィルタを設け、重畳されたDC電圧成分を後段に伝達しないように構成しても同様である。
【0023】
そのディジタルハイパスフィルタについては、動作開始後、所定時間だけ減衰率の増加速度が速く、所定時間経過後は減衰率の増加速度を緩やかにして重畳したDC電圧成分を除去するようにすると、初めから減衰率が緩やかな場合よりもセットリングタイムが短くなり、Σ−Δ変調方式ADコンバータが所定性能で動作を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0024】
重畳するDC電圧成分の大きさは、Σ−Δ変調方式ADコンバータの種類によって一定であるので、減衰率を切替える際には、減衰率が小さい状態で一定時間経過し、前記重畳されたDC電圧成分が所定レベルまで減衰されるようになった後、切替え、減衰率を大きくすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1の符号2は、本発明の一実施形態のオーディオ用のΣ−Δ変調方式ADコンバータであり、ステレオオーディオ信号における左右のチャネルを示す差動アナログ信号IN1、IN2として入力されると、ディジタル信号に変換されて1つの出力信号DATAとして出力される。即ち、演奏や音声を2チャンネルのステレオ方式で収集し、2チャンネルの差動アナログ信号としたときに、1つのディジタルデータに変換して出力できるように構成されている(ここでは、差動入力信号IN1は1チャネル側、差動入力信号IN2は2チャネル側であるものとする)。
【0026】
このΣ−Δ変調方式ADコンバータ2は、モジュレータ11と、ディシメーションフィルタ12と、ディジタルハイパスフィルタ13と、インターフェース14とを有している。
【0027】
モジュレータ11内には、図4の符号111に示した4次の単位モジュレータが2個内蔵されており、それぞれ1チャネル側と2チャネル側に割り当てられている。モジュレータ11に入力された2つのアナログ信号は、帯域(24kHz)の2倍のサンプリング周波数Fsに対して64倍の周波数(3.072MHz)で、各単位モジュレータによって、それぞれオーバーサンプリングされ、図4に示したような、4次のノイズシェーピングが行われ、1チャネル側と2チャネル側との2つの1ビットデータ列(ディジタル密度変調信号)に変換される。
【0028】
各1ビットデータ列から成る2つのディジタル信号は、ディシメーションフィルタ12にそれぞれ入力されると、ディシメーションフィルタ12内のディジタルローパスフィルタによってモジュレータ11でのノイズシェーピング後における帯域外のノイズ成分が除去される。次いで、64Fsレートのディジタルデータ列が1Fsレートのデータにディシメーションされ、周波数Fsの20ビットのディジタル信号として出力される。
【0029】
そのディジタル信号は、ディジタルハイパスフィルタ13を介してインターフェース14に入力され、1チャネル側と2チャネル側の2系統のディジタル信号は1つのディジタル信号に合成され、ディジタル信号である出力信号(DATA)として出力される。
【0030】
このΣ−Δ変調方式ADコンバータ2の入力段又は信号サンプリング段には、入力された信号に対して所望のDC電圧(デルタオフセット:Δ)を重畳できるように構成されたDC電圧重畳回路41、42が設けられており、収集された左右2チャンネルの差動入力信号IN1、IN2は、先ず、DC電圧重畳回路41、42にそれぞれ入力され、各DC電圧重畳回路41、42によって、予め設定されたDC電圧が重畳された後、前述のモジュレータ11にそれぞれ入力されるように構成されている。
【0031】
このΣ−Δ変調方式ADコンバータ2の、差動入力信号IN1のAC信号がゼロVのとき、DC電圧重畳回路41によってDC電圧を重畳した場合、そのDC電圧の大きさとピークノイズ周波数との関係を図2(a)のグラフに示す。
【0032】
DC電圧を重畳しない場合(ゼロV)には、ピークノイズの周波数はゼロHzに近い低周波であるが、重畳するDC電圧を大きくする(絶対値を増加させる)と、ピークノイズの周波数は直線的に高くなり、±0.1Vのところで24kHzとなっている。更に重畳するDC電圧を正負方向に大きくすると、周波数は減少に転じ、±0.2Vのところで、DC電圧を重畳しないときと同じ程度の低周波となる。
更に重畳するDC電圧を正負方向に大きくし、±0.2V以上にすると、ピークノイズの周波数は再び増加に転じる。
【0033】
このように、重畳するDC電圧の大きさにより、ピークノイズの周波数は直線的に変化し、特定の大きさのDC電圧以上になると、低周波〜24kHzの間で折り返す特性を示すが、そのピークノイズの強度は、−0.1V〜+0.1Vの範囲では約−110dB、−0.1V以下の範囲と+0.1V以上の範囲では、約−125dBとなっており、重畳するDC電圧の絶対値を大きくすると、ピークノイズ強度が小さくなる。
【0034】
このグラフに基いて、上述のDC電圧重畳回路41は、差動入力信号IN1に対して約+0.12VのDC電圧(Δ1=0.12V)を重畳するように設定されており、差動入力信号IN1がゼロV(オーディオ信号では無音時)であっても、モジュレータ11のチャネル1側には、Δ1の大きさのDC電圧が入力されるように構成されている。従って、差動入力信号IN1がゼロVの時のピークノイズ強度は−125dB以下になる。
【0035】
次に、チャネル1側に+0.12VのDC電圧を重畳した状態で、DC電圧重畳回路42を動作させ、チャネル2側の差動入力信号IN2に対してDC電圧を重畳した。そのときのDC電圧とピークノイズの周波数の関係を図2(b)の実線のグラフで示す。この図2(b)には、図2(a)のグラフを破線で重ねて記載してある。
【0036】
チャネル2側に於いて、重畳するDC電圧がゼロVの状態から正負方向に大きくして行くと、ピークノイズ周波数は減少し始め、約±0.12Vのところで、最も低周波となり、正負方向にそれ以上大きくすると、ピークノイズの周波数は再度増加に転じる。
【0037】
重畳するDC電圧の大きさが±0.2Vを超えたところで、−110dBから−125dB以下になる。このグラフから、2チャネルの場合、約0.22VのDC電圧を重畳すると(Δ2=0.22V)、差動入力信号IN2がゼロV、並びにゼロVに近い状態であっても、アイドリングパターンに起因するノイズを−125dB以下にできる。
【0038】
このように、2つの差動アナログ信号から成る差動入力信号IN1、IN2には、DC電圧重畳回路41、42によって、それぞれΔ1=0.12VとΔ2=0.22VのDC電圧が重畳されており、モジュレータ11に対して入力される差動アナログ信号は、DC電圧重畳回路41、42が重畳するDC電圧分だけ、その入力電圧範囲がシフトされていることになる(DC電圧がプラスの場合、最大入力電圧と最小入力電圧がそのDC電圧分だけ大きくなり、DC電圧がマイナスの場合、DC電圧分だけ小さくなる)。
【0039】
従って、このモジュレータ11の入力電圧範囲は、重畳されるDC電圧分だけ余裕をもって設定されており、ディシメーションフィルタ段でも、内部処理ビット数が増やされている。
【0040】
また、Σ−Δ変調方式では、DC電圧成分もディジタルデータに変換されるので、このΣ−Δ変調方式ADコンバータ2のモジュレータ11から出力される1ビットのデータ列には、それら重畳されたDC電圧成分が含まれていることになる。
【0041】
更に、そのDC電圧が含まれた1ビットのデータ列がディシメーションフィルタ12に入力されると、そのディシメーションフィルタ12は、入力されたデータ列をディジタル処理し、20ビットの信号を生成するので、ディシメーションフィルタ12の出力にもDC電圧重畳回路41、42が重畳したDC電圧成分が含まれていることになる。
【0042】
そこで、このΣ−Δ変調方式ADコンバータ2では、ディシメーションフィルタ12から出力された20ビットのディジタル信号をディジタルハイパスフィルタ13に入力させ、その重畳されたDC電圧成分が除去されるように構成されている。
【0043】
そのようなディジタルハイパスフィルタ13の構成の一例を、図3の模式的なブロック図で示す。
このディジタルハイパスフィルタ13では、スイッチSW1、SW2によって、13次のディジタルハイパスフィルタとして使用する場合と、9次のディジタルハイパスフィルタとして使用する場合とに切換えられるように構成されているものとし、ここでは時刻ゼロのときに、このΣ−Δ変調方式ADコンバータ2に電源が投入され、内部回路が動作し始めるものとする。尚、13次のディジタルハイパスフィルタとして機能する場合は1Hz以下の周波数の減衰率が−3dBであり、9次のディジタルハイパスフィルタとして機能する場合は165Hz以下の周波数の減衰率が−3dBである。
【0044】
このハイパスフィルタ13の動作を模式的に説明すると、先ず、スイッチSW1、SW2を9次のディジタルハイパスフィルタの出力側に接続しておき、前段のディシメーションフィルタ12から入力される20ビットの信号X(z)に対し、9次のディジタルハイパスフィルタとして動作させる。
【0045】
この間、ディジタルハイパスフィルタ13の減衰率は、9次のディジタルハイパスフィルタの減衰特性に従ってゼロdBから徐々に小さくなる。これを図3(b)の模式的な減衰率のグラフで示すと、符号L1で示す破線の直線が9次のディジタルハイパスフィルタの減衰特性である。
【0046】
所定時間経過の後、時刻t1のときにスイッチSW1、SW2を合計の次数が13次となるディジタルハイパスフィルタの出力側に接続すると、それ以後、ディジタルハイパスフィルタ13は、13次のハイパスフィルタとして動作し始める。この場合、ディジタルハイパスフィルタ13の出力は、9次のディジタルハイパスフィルタが時刻t1で到達した減衰率−Aから、その13次のディジタルハイパスフィルタの減衰特性に従って減衰を開始し始め、時刻t2で−60dBの減衰率に到達する。符号L2で示す破線の直線が、当初よりスイッチSW1、SW2を合計の次数が13次となるディジタルハイパスフィルタ側に接続した場合の、ディジタルハイパスフィルタ13の減衰特性である。
【0047】
一般に、ディジタルハイパスフィルタの場合、低次のフィルタと高次のフィルタでは、減衰特性は高次の方が優れているが、減衰率の増加速度が緩やかであり、所望の減衰率に到達するまでのセットリングタイムに長時間を要するという欠点がある。図3(b)のグラフから明らかなように、9次と13次のディジタルハイパスフィルタが同じ−60dBの減衰率に到達する時刻は、13次の方が遅い。
【0048】
一般に、ディジタルハイパスフィルタの次数をn、動作周波数をf(このΣ−Δ変調方式ADコンバータ2では前述したFSである。)とした場合、そのn次ハイパスフィルタが所定の減衰率H(dB表記では20×logH)に達するまでのセットリング時間Tは、
T = 2n×f×ln(1/H)
で表されることが知られている。
【0049】
上式によると、同じ減衰率に達するまでに、13次のディジタルハイパスフィルタは、9次のディジタルハイパスフィルタの24倍(213/29=24)のセットリング時間を要することになる。
【0050】
このディジタルハイパスフィルタ13では、動作開始直後は、低次(9次)のディジタルハイパスフィルタとして動作し、その状態である程度動作が安定した後、13次のディジタルハイパスフィルタとしての動作を開始するので(時刻t1)、符号Lで示す折線のように減衰特性が変化する。従って、当初の減衰率は速く増加し、始めから13次のディジタルフィルタとして動作していた場合よりも短い時間(時刻t2)で目標の−60dBの減衰率が得られている。その時刻t2以降は、−60dB〜−80dBの減衰率で動作する。
【0051】
以上説明したように、上述のΣ−Δ変調方式ADコンバータ2では、DC電圧重畳回路41、42によってDC電圧を重畳し、差動入力電圧IN1、IN2がゼロVの時のノイズを低減してアナログの差動入力信号IN1、IN2をディジタル信号に変換し、次いで、重畳したDC電圧Δ1、Δ2を、セットリングタイムが短く、高性能のディジタルハイパスフィルタ13によって除去しているので、高品質のアナログ/ディジタル変換を行うことができる。
【0052】
上述したΣ−Δ変調方式ADコンバータ2は、2チャネルステレオ入力タイプであったが、本発明のΣ−Δ変調方式ADコンバータはそれに限定されるものではない。N個の差動入力電圧IN1〜INNを個別に処理するN個の単位モジュレータがある場合、N個のDC電圧重畳回路41〜4Nにより、各差動入力電圧IN1〜INNに、DC電圧Δ1〜ΔNを重畳することができる。その場合の、ディシメーションフィルタから出力を、図2(a)、(b)と同様に、図2(c)のグラフに示す。
【0053】
この図2(c)のグラフでは、1チャネルと2チャネルのグラフを破線で示し、Nチャネル目のグラフを実線で示してあり、他のグラフは省略した。実線のグラフのピークノイズ強度は−110dBである。
【0054】
1チャネル目と2チャネル目の差動入力電圧IN1、IN2には、上述したDC電圧Δ1、Δ2を重畳した。3チャネル目〜Nチャネル目まで、同様にDC電圧Δ3〜ΔNを重畳し、ピークノイズ強度を−120dB以下にした。
【0055】
ところで、上述したDC電圧は、ディジタルハイパスフィルタで除去する必要はない。例えば、ディジタルハイパスフィルタに替え、ディシメーションフィルタの後段に補正演算回路を設け、20ビットのデータ中から重畳したDC電圧を示すデータを削除してもよい。また、ディシメーションフィルタ内のディジタルローパスフィルタをディジタルバンドパスフィルタに替え、高周波成分を除去する際に、低周波である重畳したDC電圧成分を一緒に除去するようにしてもよい。
【0056】
また、ディシメーションフィルタ内に、ディジタルローパスフィルタとは別個にディジタルハイパスフィルタを設けてもよい。要するに、重畳されたDC電圧は、モジュレータやディシメーションフィルタが出力するディジタル信号中にディジタルデータとして含まれているので、そのディジタル信号をディジタル処理し、重畳されたDC電圧成分を示すデータを削除すれば、出力されるディジタルデータにはDC電圧成分の影響を無くすことができる。
【0057】
なお、上述した図2(a)〜(c)のグラフは、本発明のΣ−Δ変調方式ADコンバータの動作原理を示すものであり、ノイズ強度の値は一例である。
【0058】
【発明の効果】
DC電圧を重畳することで、アイドリングパターンによるノイズの強度を小さくできるので、低ノイズのΣ−Δ変調方式ADコンバータを提供することが可能となる。また、Σ−Δ変調方式ADコンバータのディジタルフィルタ、特に、ディジタルハイパスフィルタの次数を起動時に低いものとし、所定の時間経過後により高いものに切り換える構成とすることにより、精度の高いディジタルフィルタを速いセットリング時間で起動でき、延いては、精度の高いディジタルフィルタを有するΣ−Δ変調方式ADコンバータを速い時間で起動できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示すブロック図
【図2】(a)〜(c):ピークノイズの周波数及び強度DC電圧との関係を説明するためのグラフ
【図3】(a):ディジタルハイパスフィルタの一例
(b):そのセットリングタイムを説明するためのグラフ
【図4】従来技術のΣ−Δ変調方式ADコンバータのブロック図
【図5】そのピークノイズ周波数と強度の関係を示す実測値のグラフ
【図6】DC電圧に対するピークノイズの周波数及び強度の実測値のグラフ
【符号の説明】
2……Σ−Δ変調方式ADコンバータ 41、42……DC電圧重畳装置 11……モジュレータ 12……ディシメーションフィルタ 13……ディジタルハイパスフィルタ

Claims (8)

  1. 入力されたアナログ信号をオーバー・サンプリングしてディジタルデータ列を生成するモジュレータと、
    前記モジュレータの後段に配置され、動作開始から所定の時間においては第1の次数のフィルタとして動作し、所定の時間の経過後には前記第1の次数よりも次数の高い第2の次数のフィルタとして動作するディジタルフィルタと、
    を有するΣ−Δ変調方式ADコンバータ。
  2. 前記ディジタルフィルタがディジタルハイパスフィルタである請求項1に記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータ。
  3. 前記ディジタルハイパスフィルタが、第1の端子が信号入力端子に接続された加算器と、前記加算器の出力に接続された第1の次数のディジタルハイパスフィルタと、前記第1の次数のディジタルハイパスフィルタの出力に接続された第3の次数のディジタルハイパスフィルタと、前記第1の次数のディジタルハイパスフィルタの出力と前記第3の次数のディジタルハイパスフィルタの出力の一方を選択して前記加算器の第2の端子に接続する第1のスイッチと、前記第1の次数のディジタルハイパスフィルタの出力と前記第3の次数のディジタルハイパスフィルタの出力の一方を選択して信号出力端子に接続する第2のスイッチとを有する請求項2に記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータ。
  4. 前記モジュレータの前段又は信号サンプリング段に配置され、前記アナログ信号にDC電圧を電畳するDC電圧重畳回路を有する請求項2又は3に記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータ。
  5. 前記モジュレータと前記ディジタルハイパスフィルタとの間に配置され、前記ディジタルデータ列をディジタル処理して高周波成分を除去するディシメーションフィルタを有する請求項2乃至4の何れかに記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータ。
  6. 前記ディジタルハイパスフィルタにおける第1の次数から第2の次数への切り替えが、前記重畳されたDC電圧成分が所定のレベルまで減衰した後に行なわれる請求項4又は5に記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータ。
  7. 前記ディジタルフィルタは、前記第1の次数よりも前記第2の次数のときの方が減衰特性に優れた請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータ。
  8. 前記ディジタルフィルタは、前記第1の次数のときよりも前記第2の次数のときの方が減衰率の増加速度が緩やかである請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のΣ−Δ変調方式ADコンバータ。
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