JP3609309B2 - 建具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、引違い窓、縦辷り出し窓、およびドアといった建具に関する。
【0002】
【背景技術】
近年の建物においては、快適な生活空間を形成し、かつ冷暖房に使用するエネルギーを減少させて省エネルギー化をはかるために、外壁や建具等における断熱性能が重視されている。特に、新断熱基準や次世代省エネルギー基準等が策定されていることもあり、従来であれば、断熱サッシを利用していなかった地域においても、断熱サッシ等を採用する建物が増えてきている。
【0003】
ところで、断熱サッシの一つには、天然木の質感とアルミの持つ耐久、耐候性とを兼ね備えたサッシとして、障子の外部側にアルミ形材、室内側に天然木やそれらの集成材を用いたアルミ木複合サッシがある。この複合サッシは、室内側からは天然木の持つ質感や美観、触感等を楽しめる一方で、外部側がアルミ製のために耐久性を維持するためのメンテナンスが容易であるという特色を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、障子の室内側を天然木や集成材とした場合には、木を用いた場合の課題が発生する。すなわち、例えば引違い窓等においては、窓枠の下枠に設けられたガイドレール周りに雨水が滞留することがあるが、障子を構成する下框の下側は、そのガイドレール周りに溜まった雨水に直に触れることになるので、木の部分が吸水して膨らんだり、カビ等による腐朽が発生する。このため、このような木を用いた障子付きの建具は、そのような不具合を防止するための塗装等のメンテナンスが必要で管理が困難であり、費用が多くかかる。
【0005】
一方、木材の代わりに、メンテナンスが不要でかつ断熱性能が維持される合成樹脂材を用いることも考えられるが、框等の建具枠材を全てにわたって合成樹脂材製にすると、建具全体の風合いが天然木を用いたのと比べて極端に違ってしまいうという問題がある。
さらに、老朽化を抑えたい部分のみを合成樹脂材で製作し、質感、美観、触感等の内観上の特性を優先させたい部分を木で製作することも考えられるが、これでは部材点数が増えてしいまい、費用削減が阻害される可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、必要な部位に天然木に近い風合いを持たせることができるとともに、耐久性を持たせてメンテナンスコストを削減でき、かつ部品点数に係る生産コストも削減できる建具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の建具は、上枠、下枠、左右の縦枠で構成された窓枠内に、上框、下框、左右の竪框で構成された内障子および外障子が摺動自在に配置されることで引違い窓となっている建具において、前記各障子の下框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、この室内部材のうち室内側から内観視される部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が30重量%以上である樹脂部で形成され、前記室内部材のうち前記下枠に最も近接した部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されていることを特徴とする。
本発明の建具は、上枠、下枠、左右の縦枠で構成された窓枠内に、上框、下框、左右の竪框で構成された障子が辷り出しアームを介して配置されることで縦辷り出し窓となっている建具において、前記障子の各框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、これら室内部材のうち室内側に露出する部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が30重量%以上である樹脂部で形成され、前記各室内部材のうち前記窓枠の内周面に回されたシール材と密着する部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されていることを特徴とする。
本発明の建具は、上枠、下枠、左右の縦枠で構成されたドア枠内に、上框、下框、左右の竪框で構成されたドア本体がドアクローザおよびヒンジを介して配置されることでドアとなっている建具において、前記ドア本体の各框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、これら室内部材のうち室内側に露出する部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が30重量%以上である樹脂部で形成され、前記各室内部材のうち前記ドア枠の内周面に回されたシール材と密着する部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されていることを特徴とする。
これらの本発明においては、各樹脂部での要求される性能に応じて木粉の混合割合を異ならせればよい。つまり、老朽化をさほど考慮する必要がない樹脂部では、木粉の混合割合を多くし、より天然木に近い風合いを持たせる。また、框での老朽化を抑制したい部分では木粉を混合しないか、または混合割合を低くし、合成樹脂の特性である耐候性、耐水性、耐食性を発揮させ、老朽化等を防止して耐久性を向上させる。そして、複数の樹脂部は木粉の混合割合を異ならせた2色押出成形等で一体に成形可能であり、部材点数が増加する心配がない。
以上により、一部には天然木に近い風合いが付与され、他の一部では老朽化が抑制されて耐久性向上のためのメンテナンスコストが削減され、また、框を構成する部材の点数が増加しないことで生産コストが削減され、本発明の目的を達成できる。
【0008】
また、以上の発明において、木粉の混合割合が30重量%よりも小さいと、合成樹脂の前述した特性が確実に発揮され、30重量%以上であると、より天然木に近い風合いが得られる。
なお、本発明の前記一方の樹脂部としては、木粉が全く混合されていない場合(0重量%)も含んでおり、このような場合には、耐候性、耐水性、耐久性が格段に向上し、老朽化がほとんど生じない。
また、後述する実施形態では、木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%よりも小さものを合成樹脂材と称し、30重量%以上のものを合成木材と称する。
【0009】
そして、引違い窓とされた建具では、障子の下框を構成する室内部材のうち、窓枠の下枠に最も近い部位が雨水等に触れることになり、また、縦辷り出し窓やドアとされた建具では、窓枠の内周に回されたシール材に雨水等が着き易く、水が付着したシール材がさらに障子やドア本体の框を構成する室内部材に密着することで、結果的に水が室内部材に触れることになる。このように、框の水に触れる部位において、木粉の混合割合が30重量%よりも小さいと、合成樹脂の有する耐水性により、特に雨水等の吸水が防止され、框としての老朽化が確実に防止される。
【0010】
さらに、框のうち室内側から内観視可能な部位では、木粉の混合割合が30重量%以上であると、天然木の風合いを持つ部分が内観視されるようになるから、内観上の特性である質感、美観、触感に優れた建具を提供できる。
【0011】
一方、特に引違い窓とされた建具においては、前記各障子の上框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、この室内部材のうち室内側に露出する表面側は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が30重量%以上である樹脂部で形成され、前記室内部材のうち前記室外部材側は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されていることが望ましい。
【0012】
また、引違い窓とされた建具においては、前記各障子の上框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、この室内部材の前記室外部材との接合部分は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されていることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面においては図面を見やすくするために、窓枠や障子等の主要な構成部材には断面を示すハッチングを省略して記載している。
【0014】
図1,2には、本実施形態における建具(サッシ窓)である引違い窓1が示されている。引違い窓1は、図1に示すように、下枠に断熱部材が設けられたアルミ形材断熱窓枠2と、各框がアルミ材と樹脂製断熱性部材との複合材で構成されたアルミ樹脂複合障子6とを組み合わせて引違い窓1が構成されている。
【0015】
アルミ形材断熱窓枠2は、上枠11、下枠12と左右両端の縦枠13とを四角枠状に接合して形成されている。
上枠11および左右両端の縦枠13は、それぞれ非鉄金属であるアルミ製の形材で構成されている。
【0016】
下枠12は、アルミ製の室外部材12A、室内部材12Bと、これらの各部材を連結するウレタン樹脂等で形成された断熱部材12Cとで構成されている。
なお、下枠12としては、合成樹脂製の帯板状の断熱部材を各部材12A,12B間にそれぞれ1枚以上配置し、かしめて連結した構成でもよい。
【0017】
これらの上枠11、下枠12、縦枠13には、各枠11,12,13が取り付けられるまぐさ7、窓台8、柱9の室外面に当接する取付片が形成され、各取付片を釘やビスによってまぐさ7、窓台8、柱9に取り付けることで、アルミ形材断熱窓枠2は建物躯体側に取り付けられている。なお、本実施形態では、下枠12の窓台8からの突出寸法が大きいため、L字状の支持プレートを例えば下枠12の左右2カ所などに設けて下枠12を支持してもよい。
また、上枠11、下枠12、縦枠13と建物外壁との間には、適宜、バックアップ材26および充填材27が充填されてシールされている。
【0018】
上枠11の下面には、外レール16が垂設され、この外レール16の室内側つまり窓枠2の開口内周面には断熱性を有する樹脂等で形成された断熱性カバー71が取り付けられている。上枠11は、まぐさ7の室外面部分までしか設けられていないが、断熱性カバー71は額縁81まで延長されており、上枠11の室内側露出面部を被覆している。なお、露出面部とは、窓枠2の開口内周面においてアルミ樹脂複合障子6を閉めた際に室内側に露出する部分(見えがかり部分)を意味する。
【0019】
また、上枠11には、内レール17用の金属製の部材が配置されている。この内レール17は、ビスによって当該断熱性カバー71に取り付けられている。これにより、内レール17部分は室内側に露出するが、断熱性カバー71が介在されていることで上枠11からの熱の伝導が抑えられている。
【0020】
一方、下枠12の前記室外部材12Aの上面には、外、内の各下レール18,19が立設されている。また、上枠11の室外側および下枠12の室外部材12Aには網戸レール20がそれぞれ設けられている
【0021】
窓枠2の下枠12および縦枠13には、上枠11における断熱性カバー71と同様に、各障子6A,6Bを閉めた際に室内側に露出する露出面部を被覆する断熱性カバー72〜76がそれぞれ取り付けられている。
【0022】
断熱性カバー72は、下枠12の室内部材12Bの開口内面側、つまり室内側に露出する露出面部を被覆している。
断熱性カバー73は、下枠12の内レール19と室内部材12Bとの間に嵌挿され、内レール19の室内側面および室内部材12Bの室外側面をそれぞれ被覆している。
断熱性カバー74は、前記内レール19の室外側に配置されて前記内レール19にビス等で取り付けられている。他の断熱性カバー72,73は下枠12の全長に渡って設けられているのに対し、断熱性カバー74は外障子6Aを閉めた際に外障子6Aが配置される部分、つまり下枠12の全長の約半分の部分に配置されている。この断熱性カバー74には気密材74Aが室外側に向けて取り付けられ、外障子6Aを閉めた際に外障子6Aの室内面に圧接してシールするように構成されている。
断熱性カバー75は、縦枠13において内障子6Bを閉めた際に室内側に露出する露出面部を被覆し、ビス等で縦枠13に取り付けられている。
断熱性カバー76は、外障子6Aを閉めた際に室内側に露出する露出面部を被覆し、ビス等で縦枠13に取り付けられている。
【0023】
以上のようなアルミ形材断熱窓枠2内に配置されるアルミ樹脂複合障子6は、外障子6Aが室外側に配置されて外レール16,18でガイドされ、内障子6Bが室内側に配置されて内レール17,19でガイドされる。このため、前記断熱部材12Cは、内障子6Bの室内側に沿って配置されている。
外障子6Aは、上框61と、下框63と、竪框65と、外召合せ框(竪框)67とを四角枠状に組んで構成されている。また、内障子6Bは、上框62と、下框64と、竪框66と、内召合せ框(竪框)68とを四角枠状に組んで構成されている。各框61〜68の内周面には、複層ガラス29がガスケット30を介して嵌合されている。この際、竪框65〜68の上端側には、図1に示すように、各レール16,17を挟み込む摺動片31が嵌入され、各下框63,64には、前記各レール18,19上を転動する戸車32が回転自在に支持されている。
【0024】
各障子6A,6Bの框61〜66,68は、室外部材61A〜66A,68Aと室内部材61B〜66B,68Bとを接合して構成され、外障子6Aの外召合せ框(竪框)67は、全体がアルミ形材で構成されている。
全ての室外部材61A〜66A,68Aは、アルミ形材で構成されている。
上框61,62および竪框65,66,68の室内部材61A,62A,65A,66A,68Aは、押出成形された合成木材により構成されている。
この合成木材は、具体的には、木材を粉砕してふるいにより選択された100メッシュ以上200メッシュ以下の木粉100重量部と、熱可塑性樹脂としてポリプロピレン100重量部とを混合し、さらにこれらの相溶化剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレン重量1部を混入し、溶融混合した後、押出成形により成形したものであり、質感、美観、触感等に関して天然木に極近い風合いを有している。各室内部材61B〜66B,68Bには軽量化のための中空部が設けられている。
【0025】
これに対して下框63,64の室内部材63B,64Bは、本発明に係る建具枠材であり、図3,4に示すように、上側の第1樹脂部631,641と下側の第2樹脂部632,642とで構成されている。
第1樹脂部631,641は、他の室内部材61A,62A,65A,66A,68Aと同じく、樹脂に対する木粉の混合割合が50重量%の合成木材からる。一方、第2樹脂部632,642は、木粉が全く混合されていない合成樹脂材からなり、良好な耐候性、耐水性、耐食性を有している。これらの第1樹脂部631,641および第2樹脂部632,642は、合成樹脂の成形で一般的に行われる2色押出成形によって一体に成形されている。この際、室内部材63B(図3)では、第2樹脂部631に木粉が混合されていないことで第1樹脂部631よりも剛性を大きくできるため、その分大きな中空部を設けて肉厚を薄くでき、全体を合成木材とするよりも更なる軽量化を図ることが可能である。
【0026】
これらの室内部材61B〜66B,68Bには溝部が形成され、この溝部に各室外部材61A〜66A,68Aが係合されることで、室外部材61A〜66A,68Aに対する室内部材61B〜66B,68Bの室内外方向の位置が規制されている。また、各室内部材61B〜66B,68Bは、この係合状態で室外部材61A〜66A,68Aにビス等の固定手段により固定されており、室外部材61A〜66A,68Aに対する各室内部材61B〜66B,68Bの長手方向の位置も固定されている。
【0027】
さらに、竪框に下框等の端部が当接されて接合された竪勝ち構成の本実施形態では、外召合せ框(竪框)67を除く各竪框65,66,68において、室内部材65B,66B,68Bの下端には、木粉が混合されていない合成樹脂材製の摺動片が設けられている。図5に外レール18に対する外障子6Aの竪框65の摺動片65Cを示す。なお、竪框66,68に関しても、摺動片65Cと略同様な摺動片をそれぞれ有しているが、ここではそれらの図示を省略する。
図5において、摺動片65Cは、室外側に設けられたブロック状の挿入部651が竪框65の中空部65D内に挿入され、この状態で竪框65の側方からビス652で固定されている。
【0028】
以上説明した各障子6A,6Bでは、下框63,64の室内部材63B,64Bのうちの合成木材製の第1樹脂部631,641、および竪框65,66,68の合成木材製の室内部材65B,66B,68Bの略全体は、下枠12の断熱性カバー72よりも上方に位置し、各障子6A,6Bの中でも室内側から内観視できる部位を形成している。また、上框61,62における合成木材製の室内部材61B,62Bも同様に、室内側に露出し、内観視可能である。
一方、下框63,64の室内部材63B,64Bのうちの合成樹脂材製の第2樹脂部632,642、および竪框65,66,68の下端に設けられた合成樹脂材製の摺動片65Cは、断熱性カバー72に遮られて内観視できないか、あるいは視認困難になっている。これら第2樹脂部632,642および摺動片65Cは、窓枠2の下枠12に最も近接して設けられ、降雨直後などに各障子6A,6Bを開けたりした場合、窓枠2の下枠12上に付着した雨水等に触れることになり、雨水が木粉を多く含んだ合成木材製の第1樹脂部631,641や竪框65,66,68の室内部材65B,66B,68Bに触れることはない。
【0029】
すなわち、障子6A,6Bの各框61〜66,68では、雨水などが降りかかり易い室外側が耐水性を有するアルミ製の室外部材61A〜66A,68Aで形成され、また、室内側であっても、下框63,64および竪框65,66,68の下端のように、窓枠2の下枠12上に滞留した雨水に浸り易い部位は、耐水性を有する合成樹脂材製の第2樹脂部632,642および摺動片65Cで形成され、これによって障子6A,6Bが雨水を吸水するのを防いでいる。
これに対し、障子6A,6Bの室内側から内観視可能な部位は、天然木に近い合成木材製の室内部材61B,62B,65B,66B,68Bの全体、および室内部材63B,64Bの第1樹脂部631,641で形成され、内観上の質感や触感等の向上が図られている。
【0030】
各框61〜66,68の室外部材61A〜66A,68Aには、複層ガラス29の室外側を保持するガラス保持辺が形成され、室内部材61B〜66B,68Bには複層ガラス29の室内側を保持するガラス保持辺が形成されている。このため、各障子6A,6Bでは、前述したように、木材からなる断熱性を有した室内部材61B〜66B,68Bが室内側に露出し、アルミ製の室外部材61A〜66A,68Aが室内側に露出しないので、断熱性能や防露性能が向上されている。また、室内部材61B〜66B,68Bと室外部材61A〜66A,68Aとの間には若干の隙間が形成され、この隙間を断熱層として作用させることで、断熱性能を一層向上させている。
なお、室外部材61A〜66A,68Aの内面には、図示しない断面L字形状の金属製の脱落防止具が設けられ、火災時に各室内部材61B〜66B,68Bが燃えてしまっても、複層ガラス29が外れて室内側に落下しないようになっている。
【0031】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)引違い窓1を構成する各障子6A,6Bの下框63,64において、室内部材63B,64Bの第1樹脂部631,632は、木粉が混合された合成木材で形成されているので、天然木と同様に柾目模様を表現できるなど、この部分での風合いを天然木に酷似させることができる。
また、第2樹脂部632,642は、木粉が全く混合されていない合成樹脂材で形成されているため、この部分での老朽化を防止して耐久性を向上させることができ、メンテナンスコストを削減できる。
そして、第1樹脂部631,641および第2樹脂部632,642からなる下框63,64は、2色押出成形によって一体に形成されているので、それぞれの樹脂部を個別の部材で製作する必要がなく、部材点数を削減でき、生産コストも削減できる。
【0032】
(2)下枠12の内観視される部位が合成木材製の第1樹脂部631,641で形成されているため、全体が同様な合成木材からなる室内部材61B,62B,65B,66B、68Bとのマッチングを図りながら、各障子6A,6B全体の質感、美観、触感等の内観上の特性を向上させることができる。
【0033】
(3)各障子6A,6Bでは、耐水性を有する第2樹脂部632,642で下枠12に滞留する雨水と接触する部位を形成しているから、特に雨水の吸水を防止して膨れやカビの発生を防止でき、耐久性を確実に向上させることができる。
【0034】
(4)下枠12だけではなく、竪框65,66,68においても、雨水と接触し易い下端側が合成樹脂材製の摺動片65Cで形成されているため、その直上にある合成木材製の室内部材65B、66B、68Cに雨水が触れる心配がなく、竪框65,66,68の老朽化も防止できる。
【0035】
(5)第1樹脂部631,641や、室内部材61B,62B,65B,66B、68Bは、樹脂に対する木粉の混合割合が50重量%と大きいので、その風合いを天然木により近づけることができ、内観上の特性を一層良好にできる。また、第2樹脂部632,642では、木粉が全く混合されていないから、樹脂の特性である耐候性、耐水性、耐食性を十分に発揮させることができ、老朽化をより確実に防止できる。
【0036】
(6)引違い窓1では、天然木を一切使用しないから、窓枠2の各枠11〜13や障子6の各框61〜68のメンテナンス作業を不要にして管理を容易にできるだけではなく、それらの反りや歪みなどの形状変化や寸法変化を少なくでき、材質、性能のばらつきも無くすことができる。
【0037】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、下框63,64において、室内部材63B,64Bの第1樹脂部631,641を形成する合成木材の材質としては、前記実施形態のものに限らない。すなわち、木粉としては、木材を粉砕して得られるものに限らず、椰子殻、コーヒーかす、古紙、廃材などのセルロース系材料を粉砕等で粉状にしたものでもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレンに限らず、ポリエチレン、塩化ビニル樹脂等でもよい。
【0038】
そして、第1樹脂部631,641での木粉および樹脂の配合割合は、その材質や要求する性能、内観などに応じて適宜設定すればよいが、特に、熱可塑性樹脂は70〜30重量%であり、木粉は30〜70重量%であることが好ましい。また、木粉の粒径も、その木粉の材質や要求する性能、外観などに応じて適宜設定すればよいが、特に、10〜300メッシュ、より好ましくは10〜100メッシュの範囲のものであることが好ましい。
【0039】
前記実施形態では、下框63,64の第2樹脂部632,642は、木粉が全く含まれていない合成樹脂材製であったが、このような第2樹脂部632,642を若干の木粉が混合されたもので形成してもよい。このような場合には、第2樹脂部632,642にも幾分天然木の風合いを持たせることができ、障子6全体の内観特性をより向上させることができる。ただし、第2樹脂部632,642は雨水と接触し易い部位であるから、耐水性を持たせるためにも、樹脂に対する混合割合を30重量%よりも小さい範囲で設定することが望ましい。
【0040】
前記実施形態では、下框63,64の室内部材63B、64Bのみにおいて、内観視される部位が第1樹脂部631,641で形成され、雨水と接触する部位が第2樹脂部632,642で形成されていたが、例えば、雨水と接触する可能性の低い上框61,62の室内部材61B,62Bなどにおいても、木粉の混合割合が異なる複数の樹脂部で形成してもよい。図6には、そのような室内部材61B,62Bが示されている。
この室内部材61B,62Bでは、室内側に露出する表面側が木粉の混合割合を多くした合成木材製の第1樹脂部611,621で形成され、アルミ製の図示しない室外部材側が木粉を含まないか、あるいは混合割合が小さい合成樹脂材製の第2樹脂部612,622で形成されている。
このような場合でも、表面側が合成木材製であることにより、室内側からは天然木に近い風合いを楽しむことができ、他の部分が合成樹脂材製であることで、室内部材61B,62Bとしての耐久性等を向上させることができ、メンテナンスコストを削減できる。また、2色押出成形によって一体成形でき、生産コストも削減できる。よって、本発明の目的を達成できる。
【0041】
また、図6に示す上框61,62では、合成樹脂製の第2樹脂部612,622には、図示しない室外部材が係合される溝部69A,69B,69C、および室外部材との接合用のビス69Dが螺合される厚肉の螺合部69Eが設けられている。
このような構成では、第2樹脂部612,622は、木粉を含まないか、または木粉の混合割合が小さいことで強度が大きいから、溝部69A,69B,69Cが容易に欠損するのをより確実に防止できるうえ、螺合部69Eのビス孔がルーズになるのを有効に防止でき、室外部材との接合強度を向上させることができるという効果がある。
つまり、このような溝部69A,69B,69Cおよび螺合部69Eが前記請求項3に係る室内部材の接合部分になっている。
【0043】
図7には、本発明を縦辷り出し窓100に適用した例が示されている。
縦辷り出し窓100は、上枠121、下枠122、および左右の縦枠123を四周枠組みした窓枠102内に、辷り出しアーム145を介して障子103を配置した構成である。また、この障子103は、上框131、下框132、および左右の竪框(不図示)を四周框組みした中に、複層ガラス135を配置した構成である。
障子103の各框131,132は、室外部材131A,132Aと、室内部材131B,132Bとで構成されている。
室外部材131A,132Aがアルミ製であるのに対し、室内部材131B,132Bは、図8に室内部材131Bを代表して示すように、室内側に露出する上側の部分が、合成木材製の第1樹脂部701で形成されて天然木の風合いを有し、障子103を閉めた際に、窓枠102の内周面に回されたシール材104が密着する下側部分が、合成樹脂材製の第2樹脂部702で形成されて耐水性を有している。
【0044】
このような構成の室内部材131Bでは、室内側からは、天然木に近い第1樹脂部701のみを室内網戸を通して内観視できるようになっている。また、シール材104と密着する部分が耐水性を有する第2樹脂部702で形成されているから、シール材104に付着した水滴等が第2樹脂部702に触れる等しても吸水される心配はなく、カビ等の発生を防止して老朽化を抑制でき、耐久性を向上させてメンテナンス等にかかるるコストを削減できる。また、各樹脂部701,702を2色押出成形で一体成形すりことにより、生産コストも削減できる。よって、本発明の目的を達成できる。
【0045】
図9には、本発明をドア300に適用した例が示されている。
ドア300は、上枠311、下枠312、および左右の縦枠313を四周枠組みしたドア枠301内に、ドアクローザ368および図示しないヒンジを介してドア本体306を配置した構成である。ドア本体306は、上框361、下框362、左右の竪框(不図示)、および中骨364を框組みした中に複層ガラス365を配置した構成である。
ドア本体306の上框361、下框362、および中骨364は、室外部材361A,362A,364Aと、室内部材361B,362B,364Bとで構成されている。
室外部材361A,362A,364Aがアルミ製であるのに対し、室内部材361B,362B,364Bは、図10に室内部材362Bを代表して示すように、室内側に露出する上側の部分が合成樹脂材製の第1樹脂部801で形成され、ドア本体306を閉めた際に、ドア枠301の内周面に回されたシール材304が密着する下側部分が合成樹脂材製の第2樹脂部802で形成されている。
このような構成でも、図7,8で示した縦辷り出し窓100と同様に本発明の目的を達成できる。
【0047】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、必要な部位に天然木に近い風合いを持たせることができるとともに、耐久性を持たせてメンテナンスコストを削減でき、かつ部品点数に係る生産コストも削減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る建具を示す縦断面図である。
【図2】前記実施形態を示す横断面図である。
【図3】前記実施形態の構成部材を示す拡大図である。
【図4】前記実施形態の別の構成部材を示す拡大図である。
【図5】前記実施形態の要部を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の変形例を示す拡大図である。
【図7】本発明の他の変形例を示す縦断面図である。
【図8】前記他の変形例の構成部材を示す拡大図である。
【図9】本発明のさらに他の変形例を示す縦断面図である。
【図10】前記さらに他の変形例の構成部材を示す拡大図である。
【符号の説明】
1…建具である引違い窓、63B,64B,131B,132B,361B,362B,364B…建具枠材である室内部材、100…建具である縦辷り出し窓、300…建具であるドア、611,621,631,641,701,801…第1樹脂部、612,622,632,642,702,802…第2樹脂部。
Claims (5)
- 上枠、下枠、左右の縦枠で構成された窓枠内に、上框、下框、左右の竪框で構成された内障子および外障子が摺動自在に配置されることで引違い窓となっている建具において、
前記各障子の下框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、
この室内部材のうち室内側から内観視される部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が30重量%以上である樹脂部で形成され、
前記室内部材のうち前記下枠に最も近接した部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されている
ことを特徴とする建具。 - 前記各障子の上框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、
この室内部材のうち室内側に露出する表面側は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が30重量%以上である樹脂部で形成され、
前記室内部材のうち前記室外部材側は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。 - 前記各障子の上框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、
この室内部材の前記室外部材との接合部分は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建具。 - 上枠、下枠、左右の縦枠で構成された窓枠内に、上框、下框、左右の竪框で構成された障子が辷り出しアームを介して配置されることで縦辷り出し窓となっている建具において、
前記障子の各框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、
これら室内部材のうち室内側に露出する部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が30重量%以上である樹脂部で形成され、
前記各室内部材のうち前記窓枠の内周面に回されたシール材と密着する部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されている
ことを特徴とする建具。 - 上枠、下枠、左右の縦枠で構成されたドア枠内に、上框、下框、左右の竪框で構成されたドア本体がドアクローザおよびヒンジを介して配置されることでドアとなっている建具において、
前記ドア本体の各框は、アルミ製の室外部材と、この室外部材に接合された室内部材とで構成され、
これら室内部材のうち室内側に露出する部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が30重量%以上である樹脂部で形成され、
前記各室内部材のうち前記ドア枠の内周面に回されたシール材と密着する部位は、合成樹脂に対する木粉の混合割合が0重量%以上で30重量%より小さい樹脂部で形成されている
ことを特徴とする建具。
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