JP4014871B2 - サッシ窓の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物に設けられる引違い窓、片引き窓、開き窓、辷り出し窓、上げ下げ窓、内開き窓、外開き窓等の各種サッシ窓の製造方法に係り、特に断熱性能を向上させたサッシ窓の製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
近年の建物においては、快適な生活空間を形成し、かつ冷暖房に使用するエネルギーを減少させて省エネルギー化をはかるために、外壁や建具等における断熱性能が重視されている。
このため、従来であれば、断熱サッシを利用していなかった地域においても、断熱サッシを採用する建物が増えてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、断熱サッシとしては、例えば、アルミなどの非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した断熱形材を用いた断熱形材サッシや、アルミなどの非鉄金属製の室外部材と樹脂などの断熱性部材からなる室内部材とから構成した複合サッシなどがある。
【0004】
これらの各種の断熱サッシは、窓枠および障子が各種類毎に設計されており、見込み寸法や形状等も異なるため、部品点数が増加しコストが高くなるとともに、決まった組み合わせの窓枠および障子しか選択できず断熱性能や意匠の選択自由度が低いという問題があった。
また、建物のサッシを施工後に断熱サッシに交換する場合には、窓枠を建物から外して交換する必要があり、施工作業が大がかりになってしまうという問題もあった。
【0005】
さらに、サッシにおける問題の一つとして結露の発生がある。特に断熱サッシを必要とする地域では、室内外の温度差も大きくなるため、結露が発生しやすい。このため、断熱性能を向上できるだけではなく、結露発生を抑えることができるサッシが求められていた。
【0006】
本発明の目的は、断熱性能や意匠の選択自由度が高く、施工後の交換も容易に行えてかつコストを抑えることができるとともに、結露の発生も抑えることができるサッシ窓の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のサッシ窓の製造方法は、上枠、下枠および左右の縦枠を四周枠組みした窓枠と、上框、下框および左右の竪框を四周框組みして面材を組み込んだ障子とを備えて構成されるサッシ窓の製造方法であって、前記窓枠として、(B)前記上枠および縦枠を非鉄金属で形成し、下枠を非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠を用意する工程と、前記障子として、(a)前記各框を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した障子、(b)前記各框を、非鉄金属製の室外部材と、断熱性部材からなる室内部材とから構成した障子を用意する工程と、前記(a)、(b)の障子のうちの一方の障子を選択する工程と、選択した障子を前記(B)窓枠に組み込む工程と、前記窓枠において障子を閉めた際に室内側に露出する露出面部を断熱性カバーで被覆する工程と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
このようなサッシ窓の製造方法においては、(B)窓枠と、(a)、(b)2種類の障子とを組み合わせてサッシ窓を構成しており、障子および窓枠の下枠には断熱部材が設けられているため、一般サッシに比べて断熱性能を高めることができる。
【0009】
また、(B)窓枠に対して(a)、(b)2種類の障子を適宜組み合わせることができるため、一方の障子を設置した後でも他方の障子に交換することができ、意匠や断熱性能等を考慮して施主が自由に選択、交換することができる。この際、窓枠は交換する必要がないため、交換作業を容易に行えてコストも低減できる上、窓枠は2種類の障子に合わせて複数種類製造する必要が無くなるため、部品種類を少なくできてコストを低減できる。
さらに、窓枠の露出面部には断熱性カバーが被覆されているので、窓枠での結露を抑えることができ、窓枠における断熱性能も高めることができる。
【0010】
請求項2に記載のサッシ窓の製造方法は、前記窓枠として、(B)前記上枠および縦枠を非鉄金属で形成し、下枠を非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠を用意する工程と、前記障子として、(a)前記各框を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した障子、(b)前記各框を、非鉄金属製の室外部材と、断熱性部材からなる室内部材とから構成した障子、(c)前記各框を、非鉄金属で形成した障子を用意する工程と、前記(a),(b),(c)の障子のうちの一つの障子を選択する工程と、選択した障子を前記(B)窓枠に組み込む工程と、前記窓枠において障子を閉めた際に室内側に露出する露出面部を断熱性カバーで被覆する工程と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
このような本発明においては、請求項1に記載のサッシ窓の製造方法と同じ作用効果が得られる上、前記(B)窓枠および(a)障子からなる断熱サッシ窓と、前記(B)窓枠および(b)障子からなる他のタイプの断熱サッシ窓とのほかに、前記(B)窓枠および(c)障子からなる窓枠のみが断熱性とされたサッシ窓との複数種類のサッシ窓を構成することができる。
そして、これらの各サッシ窓は、いずれも断熱性能や意匠が少しずつ異なるため、建物の立地地域、環境、窓の設置位置等に合わせた最適なサッシ窓を施主等が選択して設定できる。
【0012】
請求項3に記載のサッシ窓の製造方法は、前記窓枠として、(A)前記各枠を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠、(B)前記上枠および縦枠を非鉄金属で形成し、下枠を非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠を用意する工程と、前記障子として、(a)前記各框を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した障子、(b)前記各框を、非鉄金属製の室外部材と、断熱性部材からなる室内部材とから構成した障子を用意する工程と、前記(A),(B)の窓枠のうちの一方の窓枠を選択する工程と、前記(a),(b)の障子のうちの一方の障子を選択する工程と、前記選択した障子を選択した窓枠に組み込む工程と、前記窓枠において障子を閉めた際に室内側に露出する露出面部を断熱性カバーで被覆する工程と、を備えるものである。
【0013】
このような本発明においては、請求項1に記載のサッシ窓の製造方法と同じ作用効果が得られる上、(A)、(B)の2種類の断熱性能の異なる窓枠に、(a)、(b)の2種類の障子を組み合わせることができるため、断熱性能や意匠が少しずつ異なる4種類のサッシ窓を構成でき、建物の立地地域、環境、窓の設置位置等に合わせた最適なサッシ窓を設定できる。
さらに、(A)、(B)の窓枠は、上枠および縦枠の構成が異なるだけであって下枠は共通にできるため、部品種類を少なくすることができる。
【0014】
請求項4に記載のサッシ窓の製造方法は、前記窓枠として、(A)前記各枠を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠、(B)前記上枠および縦枠を非鉄金属で形成し、下枠を非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠を用意する工程と、前記障子として、(a)前記各框を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した障子、(b)前記各框を、非鉄金属製の室外部材と、断熱性部材からなる室内部材とから構成した障子、(c)前記各框を、非鉄金属で形成した障子を用意する工程と、前記(A),(B)の窓枠のうちの一方の窓枠を選択する工程と、前記(a),(b),(c)の障子のうちの一つの障子を選択する工程と、前記選択した障子を選択した窓枠に組み込む工程と、前記窓枠において障子を閉めた際に室内側に露出する露出面部を断熱性カバーで被覆する工程と、を備えることを特徴とするものである。
【0015】
このような本発明においては、請求項1に記載のサッシ窓の製造方法と同じ作用効果が得られる上、(A),(B)の2種類の窓枠と、(a),(b),(c)の3種類の障子とが用意されているので、これらを組み合わせることで計6種類のサッシ窓を構成することができる。そして、これらの各サッシ窓は、いずれも断熱性能や意匠が異なるため、建物の立地地域、環境、窓の設置位置等に合わせた最適なサッシ窓を設定できる。
【0016】
この際、前記(c)障子は、(c1)前記各框を非鉄金属で形成した障子、又は、(c2)前記各框を非鉄金属で形成し、かつ各框において面材の室内側に配置される室内部および室外側に配置される室外部間を連結する連結壁に断熱用の孔が形成されている障子、の少なくとも一方からなるものであってもよい。
【0017】
(c2)の室内外の連結壁に孔を形成した障子は、孔を形成することによって連結壁部分つまり障子の室外部および室内部間の熱伝導を低減することができる。このため、(c)非鉄金属製の障子であっても、(c1)の一般的な障子に比べて(c2)の室内外の連結壁に孔を形成した障子は断熱性能を向上でき、(a)、(b)の断熱障子に加えて(c1)、(c2)の各障子を選択肢に加えることで、サッシ窓の断熱性能をより一層細かく設定することができる。
【0018】
また、選択肢として用意する障子としては、前記各障子の組み合わせに限らず、前記各障子(a)〜(c)に加えてあるいは前記各障子の何れかに代えて、(d)前記各框を断熱性部材で形成した断熱障子を設けてもよい。
この(d)断熱障子が選択可能になっていれば、特に高い断熱性能が必要な地域でも本発明のサッシ窓を設置することができる。
【0019】
ここで、前記窓枠の下枠は、下枠の室内側に配置される仕上げ材の上面まで延長され、この下枠を被覆する断熱性カバーは、前記下枠の仕上げ材の上面まで延長された部分を含んで下枠の露出面部を被覆しているとともに、前記窓枠の上枠および縦枠は、上枠および縦枠の室内側に配置される仕上げ材の室内側に露出する表面側には延長されておらず、前記上枠および縦枠の露出面部を被覆する断熱性カバーのみが前記仕上げ材の表面側まで延長されていることが好ましい。
【0020】
各断熱性カバーを仕上げ材の室内側表面まで延長すれば、仕上げ材と窓枠との接触ラインが断熱性カバーで被覆されて室内側に露出しないので意匠性を向上できる。
また、窓枠の下枠に隣接する膳板等の仕上げ材の部分は、人が乗って荷重が加わる場合があるが、本発明ではこの仕上げ材の室内側表面まで延長された断熱性カバーの下側に下枠を配置しているので、断熱性カバーに加わる荷重を下枠で支持することができ、剛性を向上できて断熱性カバーの破損を防止できる。この際、窓枠の下枠は断熱部材を介在させているので、仕上げ材の室内側表面まで延長された下枠の室内部材は、室外からの熱伝達によって冷やされることを抑えることができ、下枠が仕上げ材の室内側表面まで延長されていても仕上げ材での結露発生を抑えることができる。
【0021】
ここで、前記障子の面材は、単板ガラスおよび複層ガラスの一方で構成されていることが好ましい。複層ガラスを用いれば、単板ガラスを用いた場合よりも断熱性能を向上することができ、これらのガラスを適宜使い分けることで断熱性能をより一層細かく設定することができる。
【0022】
さらに、本発明のサッシ窓を引違い窓用に用いる場合には、前記各障子を室外側の外障子および室内側の内障子で構成し、前記窓枠には前記外障子および内障子をガイドする室外側および室内側の2条のレールを設け、室外側レールのレール芯位置から外障子の室内面までの寸法を各障子間で同一とし、室外側レールのレール芯位置から外障子の召合せ框の室内面までの寸法を各障子間で同一とするとともに、室内側レールのレール芯位置から内障子の召合せ框の室外面までの寸法を各障子で同一とすればよい。
また、窓枠が複数設けられている場合には、各レール芯間寸法を各窓枠間で同一とすればよい。
【0023】
このようなサッシ窓は、室外側レールのレール芯位置から外障子の室内面までの寸法を各障子間で同一としているので、窓枠と外障子の室内面との間をシールするシール材の位置を一定にできる。
また、室外側レールのレール芯位置から外障子の召合せ框の室内面までの寸法を各障子間で同一とするとともに、室内側レールのレール芯位置から内障子の召合せ框の室外面までの寸法を各障子で同一とすれば、召合せ框部分のかみ合わせを各障子で同一にできる。
従って、窓枠及び障子を自由に組み合わせて引違い窓を構成することができ、シール性能等も一定に維持できる。
【0024】
また、本発明のサッシ窓を、前記各障子が室内外方向に開閉されるように構成された開き窓に用いる場合には、前記窓枠には障子の室外側および室内側の各被当接部に、気密材を介して当接する室外側および室内側の各当接部をそれぞれ設け、かつ前記各被当接部間の寸法を各障子間で同一とすればよい。
また、窓枠が複数設けられている場合には、各当接部間の寸法を各窓枠間で同一とすればよい。
この場合も、各障子および窓枠を自由に組み合わせて開き窓を構成することができ、シール性能も一定に維持できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面においては図面を見やすくするために、窓枠や障子等の主要な構成部材には断面を示すハッチングを省略して記載している。
本実施形態は、引違い窓に本発明を適用したものであり、図1に示すように、窓枠として(A)各枠材が断熱形材で構成された断熱窓枠1と、(B)下枠のみが断熱形材とされた断熱窓枠2との2種類が用意され、障子として(a)各框が断熱形材で構成された断熱形材障子5、(b)各框がアルミ材と樹脂材との複合材で構成されたアルミ樹脂複合障子6、(c)アルミ製の各框に単板ガラスまたは複層ガラスを組み込んだ一般障子7(本実施形態では複層ガラスを組み込んでいる)との3種類が用意されている。そして、建物にサッシ窓として設置する場合には、その建物の立地条件や意匠の施主の要望等から窓枠1,2の一方と、障子5,6,7の内の1つとを組み合わせて引違いのサッシ窓を構成している。
【0026】
図2および図3は、(A)断熱窓枠1と(a)断熱形材障子5とを組み合わせたサッシ窓10の縦断面図および横断面図である。
断熱窓枠1は、上枠11、下枠12と左右両端の縦枠13とを四角枠状に接合して形成されている。
【0027】
各枠11,12,13は、それぞれ非鉄金属であるアルミ製の室外部材11A,12A,13Aと、アルミ製の室内部材11B,12B,13Bと、これらの室外部材11A,12A,13Aおよび室内部材11B,12B,13Bをそれぞれ連結するウレタン樹脂製の断熱部材11C,12C,13Cとで構成されている。
【0028】
なお、これらの各枠11,12,13は、樹脂注入方式で製造されている。すなわち、前記室外部材11A,12A,13Aおよび室内部材11B,12B,13Bは、それぞれアルミの押出成形によって一体成形されており、この一体成形された各枠11,12,13の凹状のウレタン注入ポケット14にウレタン樹脂を注入して硬化させた後に、前記室外部材11A,12A,13Aおよび室内部材11B,12B,13Bの連結部をカッター等で切断して分離することで枠11,12,13を製造している。そして、各断熱部材11C,12C,13Cは、各枠11,12,13を枠組みすることで互いに当接され、窓枠1に四周連続する断熱ラインを形成している。
【0029】
上枠11の下面には、外、内の各上レール16,17が垂設され、下枠12の上面には外、内の各下レール18,19が立設されている。また、上下枠11,12の室外側には網戸レール20がそれぞれ設けられている。
なお、これらの各レール16〜20は、各枠11,12の室外部材11A,12Aに設けられている。
【0030】
一方、断熱窓枠1内に配置される(a)断熱形材障子5は、室外側に配置されて外側のレール16,18でガイドされる外障子5Aと、室内側に配置されて内側のレール17,19でガイドされる内障子5Bとを備えている。このため、前記断熱部材11C,12C,13Cによる断熱ラインは、内障子5Bの室内側に沿って形成されている。
【0031】
これらの各障子5A,5Bは、上框51,52と、下框53,54と、左右の竪框55,56と、外召合せ框57および内召合せ框58とをそれぞれ四角枠状に組んで構成されている。そして、各框51〜58の内周面には、面材である複層ガラス29がガスケット30を介して嵌合されている。なお、本実施形態では、室外側のガラスは網入りガラスとされている。
【0032】
各框51〜56は、それぞれアルミ製の室外部材51A〜56Aと、アルミ製の室内部材51B〜56Bと、これらの室外部材51A〜56Aおよび室内部材51B〜56Bを連結するウレタン樹脂製の断熱部材51C〜56Cとで構成されている。このうち、外障子5Aの下框53は、高さ寸法が大きいため、2本の断熱部材53Cで室外部材53A、室内部材53Bを連結している。
【0033】
また、外障子5Aの外召合せ框57は、図3に示すように、複層ガラス29が保持される2つのガラス保持辺57A,57Bのうち、室内側に配置される保持辺(室内部材)57Bを保持辺(室外部材)57A側から断熱するように、断熱部材57Cが配置されている。
一方、内障子5Bの内召合せ框58も同様に、複層ガラス29が保持される2つのガラス保持辺58A,58Bのうち、室外側に配置される保持辺(室外部材)58Aを保持辺(室内部材)58B側から断熱するように、断熱部材58Cが配置されている。
【0034】
また、各上框51,52には、前記上レール16,17を挟み込む摺動片31が嵌入され、各下框53,54には、前記下レール18,19上を転動する戸車32が回転自在に支持されている。
また、これらの障子5A,5Bの室外側には、網戸レール20でガイドされた網戸33がレール20に沿って移動可能に配置されている。
【0035】
さらに、窓枠1において各障子5A,5Bを閉めた際に室内側に露出する露出面部(見えがかり部)には、断熱性カバーがそれぞれ取り付けられている。
【0036】
すなわち、上枠11には断熱性カバー201,202が取り付けられ、下枠12には断熱性カバー203,204が取り付けられ、各縦枠13にはそれぞれ断熱性カバー205,206が取り付けられている。
【0037】
断熱性カバー201は、上枠11の内レール17の室内側部分に取り付けられ、内レール17の室内面、断熱部材11Cおよび室内部材11Bの各開口内面側、つまり室内側に露出する露出面部をそれぞれ被覆している。なお、上枠11の室内部材11Bは額縁210の下面(室内側表面)までは延長されていないが、断熱性カバー201は額縁210の下面まで延長されている。
【0038】
断熱性カバー202は、上枠11の外レール16および内レール17間に取り付けられ、外レール16の室内面および室外部材11Aの下面、つまり外障子5Aを閉めた際に室内側に露出する露出面部をそれぞれ被覆している。
【0039】
断熱性カバー203は、下枠12の各内レール19の室内側部分に取り付けられ、断熱部材12Cおよび室内部材12Bの各開口内面側、つまり室内側に露出する露出面部をそれぞれ被覆している。なお、室内部材12Bは膳板211の上面(室内側表面)まで延長され、断熱性カバー203もこの室内部材12Bの延長部分を完全に被覆するように延長されている。
【0040】
断熱性カバー204は、前記内レール19の室外側に配置されている。他の断熱性カバー201〜206は各枠11〜13の全長に渡って設けられているのに対し、断熱性カバー204は外障子5Aを閉めた際に外障子5Aが配置される部分、つまり下枠12の全長の約半分の部分に配置されている。そして断熱性カバー204には軟質のヒレ204Aが室外側に向けて一体に形成され、外障子5Aを閉めた際に外障子5Aの室内面に圧接してシールするように構成されている。
【0041】
断熱性カバー205は、一方の縦枠13において内障子5Bの戸先側の竪框56と対向した位置に設けられたガイド片13Dの室内側部分に取り付けられ、ガイド片13Dの室内面、断熱部材13Cおよび室内部材13Bの各開口内面側、つまり内障子5Bを閉めた際に室内側に露出する露出面部をそれぞれ被覆している。
断熱性カバー206は、他方の縦枠13において外障子5Aの戸先側の竪框55の室内面にほぼ沿った位置に設けられた突部13Eの室内側部分に取り付けられ、室外部材13Aの突部13Eよりも室内側の部分、断熱部材13Cおよび室内部材13Bの各開口内面側、つまり外障子5Aを閉めた際に室内側に露出する露出面部をそれぞれ被覆している。
【0042】
なお、縦枠13の室内部材13Bは額縁212の内面(室内側表面)までは延長されていないが、断熱性カバー205,206は額縁212の内面まで延長されている。
各断熱性カバー201〜206は、それぞれビス等で各枠11〜13に固定されている。
【0043】
なお、図4に示すように、断熱性カバー203は、室内側端縁が室内部材12Bに係合され、室外側端縁に形成された凹溝に断熱性カバー204を固定するビス207の先端を係合させることで固定されている。
また、断熱性カバー203の室内側端縁には、軟質のヒレ203Aが形成されており、このヒレ203Aが膳板211に圧接することで室内側の空気が断熱性カバー203の下面側つまり室内部材12B側に侵入しないようにシールしている。
【0044】
なお、図4に示すように、断熱窓枠1の見込み寸法(室内外方向の寸法)はL1とされている。
また、外障子5Aの戸車32(レール16,18の芯位置)から外障子5Aの室外面までの寸法はL2とされ、戸車32から外障子5Aの室内面(上枠11,下枠12,縦枠13の室内面)までの寸法はL3とされている。
【0045】
さらに、外障子5Aの戸車32(レール16,18の芯位置)から外障子5Aの外召合せ框57の室内面(煙返し部分)までの寸法はL4とされ、内障子5Bの戸車32(レール17,19の芯位置)から内障子5Bの内召合せ框58の室外面(煙返し部分)までの寸法はL5とされている。
【0046】
また、各障子5A,5Bのガラス開口部分の開口寸法はL6とされ、外レール16,18と内レール17,19との間の寸法はL7とされている。これらの各寸法L1〜L7は、実施にあたって適宜設定されるが、本実施形態ではL1は約70mm、L2は12.2mm、L3は19.8mm、L4は24.8mm、L5は14.7mm、L6は26mm、L7は36.7mmとされている。
【0047】
次に、(B)断熱窓枠2と(b)アルミ樹脂複合障子6とを組み合わせたサッシ窓40について、図5の縦断面図および図6の横断面図を参照して説明する。なお、以下の説明において前記サッシ窓10の各構成要素と同一あるいは相当構成要素には同一符号を付し、説明を省略あるいは簡略する。
【0048】
断熱窓枠2は、断熱窓枠1と同一の下枠12と、非鉄金属であるアルミ製の上枠41および左右両端の縦枠43とを四角枠状に接合して形成されている。
上枠41の下面には、外レール16が垂設され、この外レール16の室内側には断熱性カバー221が取り付けられている。上枠41は、額縁210の下面まで延長されていないが、この断熱性カバー221は額縁210の下面まで延長され、上枠41の室内側露出面部を被覆している。
【0049】
また、上枠41には、断熱性カバー221を介して内レール17用の部材がビス止めされている。これにより、内レール17部分は室内側に露出するが、断熱性カバー221が介在されていることで上枠41からの熱の伝達が抑えられている。
【0050】
縦枠43は、断熱部材13Cが介在されていないが、前記サッシ窓10の縦枠13とほぼ同様の形状である。この縦枠43は、額縁212の内面までは延長されていないが、各断熱性カバー205,206は額縁212の内面まで延長されている。
【0051】
また、断熱窓枠2内に配置される(b)アルミ樹脂複合障子6は、室外側に配置されて外側のレール16,18でガイドされる外障子6Aと、室内側に配置されて内側のレール17,19でガイドされる内障子6Bとを備えている。
【0052】
これらの各障子6A,6Bは、上框61,62と、下框63,64と、左右の竪框65,66と、外召合せ框67および内召合せ框68とをそれぞれ四角枠状に組んで構成されている。
【0053】
各框61〜66,68は、それぞれアルミ製の室外部材61A〜66A,68Aと、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製や木製等の断熱性を有する室内部材61B〜66B,68Bとを接合して構成されている。外召合せ框67は、アルミ製の形材で構成されている。
【0054】
なお、各框61〜66,68の室外部材61A〜66A,68Aには、複層ガラス29を保持する2つのガラス保持辺が形成されている。そして、前記室内部材61B〜66B,68Bは、このガラス保持辺を含めて各室外部材61A〜66A,68Aが室内側の露出しないように、ビスや係合により取り付けられている
【0055】
なお、図7に示すように、断熱窓枠2の見込み寸法(室内外方向の寸法)は断熱窓枠1と同じL1とされている。
また、外障子6Aの戸車32(レール16,18の芯位置)から外障子6Aの室外面までの寸法はL2とされ、戸車32から外障子6Aの室内面(上枠11,下枠12,縦枠13の室内面)までの寸法はL3とされ、これらもサッシ窓10と同一である。
【0056】
さらに、外障子6Aの戸車32(レール16,18の芯位置)から外障子6Aの外召合せ框67の室内面(煙返し部分)までの寸法はL4とされ、内障子6Bの戸車32(レール17,19の芯位置)から内障子6Bの内召合せ框68の室外面(煙返し部分)までの寸法はL5とされ、サッシ窓10と同一である。
また、各障子6A,6Bのガラス開口部分の開口寸法L6や各レール16〜18間の寸法L7もサッシ窓10と同一とされている。
【0057】
以上、本実施形態における窓枠1,2と障子5,6,7との組み合わせのうちの2つの例を説明したが、他の組み合わせも同様な構成となる。
すなわち、サッシ窓としては、上記2つのサッシ窓10,40のほかに、(A)断熱窓枠1と(b)アルミ樹脂複合障子6とを組み合わせたサッシ窓、(A)断熱窓枠1と(c)一般障子7とを組み合わせたサッシ窓、図8に示すように、(B)断熱窓枠2と(a)断熱形材障子5とを組み合わせたサッシ窓80、(B)断熱窓枠2と(c)一般障子7とを組み合わせたサッシ窓が構成できる。
これらの各サッシ窓の構成は前記各サッシ窓10,40と同様なため、説明を省略する。なお、(c)一般障子7は、図1に示すように、外障子7A、内障子7Bの各框をアルミなどの非鉄金属で構成した一般的な障子であり、図示しないが各寸法L1〜L7も前記各サッシ窓10,40と同一とされている。
【0058】
このような本実施形態においては、サッシ窓を設置する建物を建てる地域や環境、建物におけるサッシ窓の設置箇所、意匠等を考慮して、適切な窓枠1,2及び障子5〜7を組み合わせて各サッシ窓10,40,80を構成すればよい。
例えば、内壁の色に合わせて障子の色を選択したい場合には、比較的カラーリングの自由度が高い樹脂製の室内部材61B〜68Bを用いた(b)アルミ樹脂複合障子6を選択すればよい。
また、窓枠を選択するにあたっては、断熱性能を重視する場合には、(A)断熱窓枠1を選択すればよく、温暖な地方で断熱性能がそれほど求められない場合には、(B)断熱窓枠2を選択しても良い。
【0059】
なお、窓枠1,2は施工後に交換することは困難であるが、断熱性能は障子5〜7を交換することで調整でき、施工後に窓枠1,2までを交換する必要性は実際には高くないため、問題とはならない。
【0060】
また、障子5〜7は、もともと窓枠1,2に対して着脱可能であるから、窓枠1あるいは2が既に設置されているサッシ窓において、障子5〜7を適宜交換して断熱性能を変化させてもよい。
【0061】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
1)2種類の窓枠1,2と3種類の障子5〜7とを用意し、これらの各窓枠1,2と障子5〜7とを自由に組み合わせて6種類のサッシ窓10,40,80を構成できるので、意匠、特に内部意匠や断熱性能の異なる各種のサッシ窓を容易に構成することができる。
このため、従来に比べて各建物や建物における窓の設置位置、さらには施主の要望に合わせた断熱性能や意匠のサッシ窓を容易に設定することができる。この結果、アルミなどの非鉄金属のみで構成された一般の窓枠や障子に比べてコストが高い断熱窓枠1,2や障子5,6を最小限必要な分だけ用いることができ、断熱性能に見合った安価なサッシ窓を提供することができる。従って、従来の断熱サッシ窓ではコスト的に見合わなかったために一般的なサッシ窓を用いていた地方においても、それほどコストを増加させることなく断熱性能を向上させたサッシ窓を用いることができる。従って、建物における冷暖房効果を向上できて省エネルギー化も図ることができるとともに、結露の発生も押さえることができる。
【0062】
2)各障子5〜7は、どちらの窓枠1,2に対しても取り付けることができるため、例えば断熱形材障子5が取り付けられていた建物であっても、後から障子5を他の障子6,7に交換して断熱性能や意匠を変えたサッシ窓を構成することができる。特に、障子5〜7はもともと窓枠1、2から取り外しできるようにされているため、簡単に交換することができ、既設のサッシ窓の断熱性能も簡単にかつ安価に変更することができる。
【0063】
3)障子5〜7を交換する際に、窓枠1,2は交換する必要がないため、交換作業を容易に行えてコストも低減できる。また、各障子5〜7に対応して専用の窓枠を製造する必要が無く、窓枠は2種類(断熱性能を変える必要がなければ窓枠1,2のいずれか一方でよい)用意すれば良いため、部品種類を少なくできてコストを低減できる。
【0064】
4)窓枠1,2の露出面部には断熱性カバー201〜206、221が被覆されているので、窓枠1,2での結露を抑えることができ、窓枠1,2における断熱性能も高めることができる。
【0065】
5)上枠11,41や縦枠13,43は、額縁210,212の室内面には延長されておらず、断熱性カバー201,221,205,206のみを延長しているので、断熱性カバー201,221,205,206の額縁210,212の室内面に延長された部分には上枠11,41や縦枠13,43が直接接触せず、枠材からの熱伝達を抑えることができる。このため、仮に上枠11,41や縦枠13,43が外気で冷やされた場合でも、断熱性カバー201,221,205,206の室内側端部には熱が伝達されにくいため、結露の発生を抑えることができる。
【0066】
6)一方、断熱窓枠1,2の下枠12は、膳板211の室内面まで延長されているが、断熱部材12Cを介在させて室外部材12Aと室内部材12Bとの熱伝達を抑えているため、室内部材12Bによって断熱性カバー203が冷やされることがほとんどなく、結露発生を抑えることができる。
さらに、断熱性カバー203には、軟質樹脂製のヒレ203Aを設けているので、ヒレ203Aを膳板211に接触させてその隙間をシールすることができる。このため、室内の空気が下枠12の室内部材12B側に流入することを防止でき、結露発生をより一層抑えることができる。
【0067】
7)断熱性カバー201〜206,221を、額縁210、膳板211、額縁212の室内側表面まで延長しているので、額縁210、膳板211、額縁212と窓枠1,2との接触ラインが断熱性カバー201〜206,221で被覆されて室内側に露出しないので意匠性を向上できる。
【0068】
8)各障子5〜7で外障子5A,6Aの戸車32から外障子5A,6Aの室外面までの寸法L2を同一にしているので、外障子5A,6Aの室外側に配置される網戸33も共通のものが利用でき、コストをより低減できる。
さらに、各障子5〜7で戸車32から外障子5A,6Aの室内面までの寸法L3と、各レール16〜18間の寸法L7とを同一にしているので、断熱性カバー204のヒレ204Aとの接触圧も一定にでき、確実なシール性能を確保することができる。
また、各障子5〜7で外召合せ框57,67および内召合せ框58,68の煙返し部分までの寸法L4,L5をそれぞれ同一としているので、外障子5A,6Aと内障子5B,6Bとを自由に組み合わせることもできる。
【0069】
9)窓枠1,2の見込み寸法を寸法L1で共通化しているので、サッシ窓を取り付ける躯体側の構成(納まり)、例えばサッシ窓内部の仕上げ材に対する取付構造や、外壁材に対する取付構造等をどの窓枠1,2と障子5,6,7との組み合わせでもほぼ共通にすることができる。このため、どの組み合わせのサッシ窓においても、設計や施工が簡単になって作業性を向上でき、コストも低減することができる。
【0070】
10)一つの建物において南面および北面等で取り付けるサッシ窓の種類を、要求される断熱性能などに応じて異ならせた場合でも、取付構造や意匠を共通化することができ、施工性がよく、外観や内観も統一された建物を構成することができる。
従って、一つの建物においても、環境の異なる南面、北面等の各部分に最適なサッシ窓を適宜選択して設置することができる。
【0071】
11)断熱窓枠1においては、四周連続する断熱部材11C〜13Cをレール16〜19よりも室内側の位置つまり内障子5B,6Bの室内側に沿って設けているので、各レール16〜19は室外部材11A,12Aに設けられ、各レール16〜19が外気に触れて冷やされても、その温度が室内部材11B,12Bに伝達されることを防止でき、断熱性能を向上させることができる。
このため、断熱窓枠1においては、結露の発生を一般窓枠に比べて抑えることができ、より快適な住空間を形成することができる。
【0072】
12)アルミ樹脂複合障子6においては、断熱性の室内部材61B〜68Bに中空部を形成しているため、断熱性能をより一層向上することができる。
同様に、断熱形材障子5の上框51、下框53、内召合せ框58の各室内部材51B,53B,58Bには中空部が形成されているので、断熱性能をより一層向上することができる。
【0073】
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されない。
断熱窓枠1,2としては、前記実施形態のものに限らず、その構成は適宜設定すればよい。例えば、断熱窓枠として、アルミ等の非鉄金属製の室外部材と室内部材とを別々に成形し、合成樹脂製の板状の断熱部材を各部材間に1枚以上配置し、これらをかしめて連結した断熱窓枠を用いてもよい。
【0074】
また、窓枠の上枠および縦枠としては、前記各断熱窓枠1,2のものに限らず、例えば、アルミ等の非鉄金属製の室外部材と断熱性部材である木製の室内部材とを接合して構成された断熱窓枠や、アルミ等の非鉄金属製の室外部材とポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製の室内部材とを接合して構成された断熱窓枠等を用いてもよい。
【0075】
さらに、断熱窓枠は、1種類のみ設けても良いし、前述の各窓枠を含んで3種類以上の断熱窓枠を設けても良い。要するに、本発明において断熱窓枠は、少なくとも下枠12が非鉄金属製の室内外部材と、これらを連結する断熱部材(ウレタン等の合成樹脂等)を有し、室外部材の温度が室内側まで伝わらないように構成されていればよく、その具体的構成は実施にあたって適宜設定すればよい。
【0076】
また、断熱窓枠を引違い窓用に用いる場合には、前記寸法L3〜L5,L7がそれぞれ共通化されていればよい。これにより、どの窓枠1,2においても障子5〜7を取り付けることができる。さらに、窓枠1,2の見込み寸法を寸法L1で共通化しておけば、窓枠1,2を躯体に取り付ける際に取付構造を共通化できて施工作業性を向上することができる。また、寸法L2を共通化すれば網戸33も共通化することができる。
【0077】
また、断熱障子としても前記実施形態のものに限らず、例えば非鉄金属製の室外部材と室内部材とを別々に成形し、合成樹脂製の板状の断熱部材を各部材間に1枚以上配置してかしめて連結した断熱障子を用いてもよい。
また、非鉄金属製の室外部材と木製の室内部材とを接合して構成された断熱複層障子を用いてもよい。さらに、框材が合成樹脂等の断熱性部材のみで構成された断熱障子を用いてもよい。
【0078】
要するに、断熱障子としては、少なくとも一部に断熱性を有する部分(ウレタン等の合成樹脂や木等で構成された部材等)を有し、室外部材の温度が室内側まで伝わらないように構成されていればよい。
【0079】
さらに、前記実施形態では、引違い窓として用いられるサッシ窓について説明したが、本発明は、引違い窓以外の片引き窓、開き窓、辷り出し窓、縦辷り出し窓、上げ下げ窓、内開き窓、外開き窓等の窓枠と障子とを有する各種サッシ窓に適用することができる。
【0080】
例えば、図9に示すように、縦辷り出し窓を構成するために、窓枠として、(A1)上枠311および下枠312を非鉄金属製の室内部材311A,312Aおよび室外部材311B,312Bと、この室内外部材を連結する断熱部材311C,312Cとから構成した断熱窓枠301、(B1)上枠341および縦枠を非鉄金属で形成し、下枠312を非鉄金属製の室内部材312Aおよび室外部材312Bと、この室内外部材を連結する断熱部材312Cとから構成した断熱窓枠302の2種類を用意し、障子として(a1)各框351を非鉄金属製の室内部材351Aおよび室外部材351Bと、この室内外部材を連結する断熱部材351Cとから構成した断熱障子305、(b1)各框361を非鉄金属製の室外部材361Aおよび断熱性部材からなる室内部材361Bから構成した断熱障子306、(c1)前記各框371を非鉄金属で形成した一般障子307の3種類を用意し、これらの窓枠301,302の一方と、障子305,306,307の内の1つとを組み合わせて縦辷り出し窓を構成すればよい。
【0081】
この際、前記窓枠301,302には、各障子305〜307の室外側および室内側が当接される当接部が形成され、この当接部にはそれぞれ気密材330,331が取り付けられている。
また、各障子305〜307には、前記窓枠301,302の各気密材330,331に当接する室外側および室内側の各被当接部335,336が設けられている。
これらの各気密材330,331間(各当接部間)の寸法L8は、各窓枠301,302間で同一とされているとともに、各障子305〜307の各被当接部335,336間の寸法L9とも同一とされている
【0082】
このような縦辷り出し窓においても、(A1)断熱窓枠301+(a1)断熱障子305、(A1)断熱窓枠301+(b1)断熱障子306、(A1)断熱窓枠301+(c1)一般障子307、(B1)断熱窓枠302+(a1)断熱障子305、(B1)断熱窓枠302+(b1)断熱障子306、(B1)断熱窓枠302+(c1)一般障子307の6種類の組み合わせの縦辷り出し窓を構成することができる。そして、これらの6種類の縦辷り出し窓は、断熱性能や内部意匠、価格等が少しずつ異なるため、建物の立地地域、環境、窓の設置位置、施主の要望等に合わせた最適なサッシ窓を設定できる。
【0083】
なお、縦辷り出し窓以外の、片引き窓、開き窓、横辷り出し窓、上げ下げ窓、内開き窓、外開き窓等においても同様に設定できる。ここで、これらの各窓において断熱窓枠を構成する際には、半外付け形式とするとともに、躯体への取付片よりも室内側に断熱部材を設ければよい。このように躯体取付片よりも室内側に断熱部材を設ければ、窓枠の室外面からの熱伝導を断熱部材で確実に遮断できて、窓枠の室内面の温度低下を抑えることができ、防露性能を向上することができる。
一方、前記実施形態のように、引違い窓等の内外の障子が設けられている場合には、半外付けや外付け窓にかかわらず、窓枠の断熱部材は内障子の室内側に沿って設ければよい。
【0084】
また、各種窓枠や障子は、各種窓を構成する際に自由に組み合わせることができるように、窓の種類に応じて設定される共通化すべき構成、例えば引違い窓においては窓枠のレール芯間の寸法と各障子の戸車間の寸法を同一にする構成であり、他の窓においては例えば各障子の見込み幅が同一である等の構成を合わせておけばよい。
【0085】
さらに、各窓枠や障子の断熱部材以外の部分はアルミやステンレス等の非鉄金属で形成されていればよく、具体的な材質は設置する建物周りの環境等に応じて適宜選択すればよい。
【0086】
また、本発明は、前記実施形態のように、(A),(B)の2種類の窓枠1,2と、(a),(b),(c)の3種類の障子5〜7を備えたものに限らず、例えば、1種類の(B)窓枠2と、(a)および(b)の2種類の障子5,6とを用意し、これらの窓枠2と障子5,7とを適宜組み合わせてサッシ窓を構成してもよい。
【0087】
さらには、(c)非鉄金属製の障子として、(c1)前記各框を非鉄金属で形成した障子、又は、(c2)前記各框を非鉄金属で形成し、かつ各框において面材の室内側に配置される室外部間を連結する連結壁に断熱用の孔が形成されている障子を設けても良い。(c2)の障子は、連結壁に孔が形成されているため、室外部材から室内部材への熱伝達を少なくでき、(c1)の障子に比べて断熱性能を向上することができる。このため、このような(c2)の障子をも用意することで、断熱性能の違いによる選択肢を増やすことができ、施主の要望などにより一層容易に対応することができる。
【0088】
また、前記各種障子(a)〜(c)に加えて、あるいは前記各種障子の何れかに代えて、(d)前記各框を断熱性部材で形成した断熱障子を設けてもよい。すなわち、(a)〜(d)の4種類の障子を用意したり、(a)、(b)、(d)や(a)、(c)、(d)等の3種類の障子を用意したり、(a)および(d)、(b)および(d)、(c)および(d)等の2種類の障子を用意して選択できるようにしてもよい。
この(d)断熱障子を用意することで、断熱性能の違いによる選択肢をより一層増やすことができ、特に断熱性能の要求が厳しい地域にもより一層容易に対応することができる。
【0089】
要するに、本発明は、少なくとも2種類以上の障子と、1種類以上の窓枠とを用意し、これらの各障子および窓枠を適宜組み合わせることでサッシ窓の断熱性能や意匠を異ならせることができるように構成されていればよい。
【0090】
また、アルミ樹脂複合障子6では、室内部材61B〜68Bに中空部を形成して断熱性能を向上させていたが、この室内部材61B〜68Bの形状は適宜設定すればよい。また、室内部材61B〜68Bでは、見込み寸法の制限等で中空部を形成できない部分があるが、この中空部が形成されていない部分に接する室外部材61A〜68Aの一部を切り欠いて断熱性の室内部材61B〜68Bへの接触面積を減少させることで非鉄金属製の室外部材61A〜68Aからの熱伝達を抑えてもよい。
【0091】
また、前記各障子5〜7,305〜307には、複層ガラス29を配置していたが、単板ガラスを配置してもよく、これらも断熱性能などを考慮して設定すればよい。この際、各障子5〜7にそれぞれ複層ガラスを用いたタイプと、単板ガラスを用いたタイプとを設定すれば、断熱性能がより一層細かく設定された各種のサッシ窓を構成することができる。但し、単板ガラスは複層ガラスに比べて断熱性能が低下するため、断熱障子5,6,305,306には複層ガラスを用い、障子7,307のみに複層ガラスおよび単板ガラスを用いたタイプを設定してもよい。
【0092】
【発明の効果】
このような本発明のサッシ窓の製造方法によれば、断熱性能や意匠の選択自由度が高く、施工後の交換も容易に行えてかつコストを抑えることができるとともに、結露の発生も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるサッシ窓の組み合わせを示す図である。
【図2】前記実施形態における(A)断熱窓枠と(a)断熱形材障子とを組み合わせたサッシ窓を示す縦断面図である。
【図3】図2に示すサッシ窓の横断面図である。
【図4】図2に示すサッシ窓の下枠部分を示す拡大断面図である。
【図5】前記実施形態における(B)断熱窓枠と(b)アルミ樹脂複合障子とを組み合わせたサッシ窓を示す縦断面図である。
【図6】図5に示すサッシ窓の横断面図である。
【図7】図5に示すサッシ窓の下枠部分を示す拡大断面図である。
【図8】前記実施形態における(B)断熱窓枠と(a)断熱形材障子とを組み合わせたサッシ窓を示す縦断面図である。
【図9】本発明の変形例におけるサッシ窓の組み合わせを示す図である。
【符号の説明】
1,2…断熱窓枠、5…断熱形材障子、6…アルミ樹脂複合障子、7…一般障子、10,40,80…サッシ窓、11,41,311,341…上枠、12,42,312…下枠、13,43…縦枠、21,22,51,52,61,62,351,361,371…上框、23,24,53,54,63,64…下框、25,26,55,56,65,66…竪框、27,57,67…外召合せ框、28,58,68…内召合せ框、32…戸車、201〜206,221…断熱性カバー、210…額縁、211…膳板、212…額縁、301,302…断熱窓枠、305,306…断熱障子、307…一般障子。

Claims (12)

  1. 上枠、下枠および左右の縦枠を四周枠組みした窓枠と、上框、下框および左右の竪框を四周框組みして面材を組み込んだ障子とを備えて構成されるサッシ窓の製造方法であって、
    前記窓枠として、
    (B)前記上枠および縦枠を非鉄金属で形成し、下枠を非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠を用意する工程と、
    前記障子として、
    (a)前記各框を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した障子、
    (b)前記各框を、非鉄金属製の室外部材と、断熱性部材からなる室内部材とから構成した障子を用意する工程と、
    前記(a)、(b)の障子のうちの一方の障子を選択する工程と、
    選択した障子を前記(B)窓枠に組み込む工程と、
    前記窓枠において障子を閉めた際に室内側に露出する露出面部を断熱性カバーで被覆する工程と、を備えることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  2. 上枠、下枠および左右の縦枠を四周枠組みした窓枠と、上框、下框および左右の竪框を四周框組みして面材を組み込んだ障子とを備えて構成されるサッシ窓の製造方法であって、
    前記窓枠として、
    (B)前記上枠および縦枠を非鉄金属で形成し、下枠を非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠を用意する工程と、
    前記障子として、
    (a)前記各框を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した障子、
    (b)前記各框を、非鉄金属製の室外部材と、断熱性部材からなる室内部材とから構成した障子、
    (c)前記各框を、非鉄金属で形成した障子を用意する工程と、
    前記(a),(b),(c)の障子のうちの一つの障子を選択する工程と、
    選択した障子を前記(B)窓枠に組み込む工程と、
    前記窓枠において障子を閉めた際に室内側に露出する露出面部を断熱性カバーで被覆する工程と、を備えることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  3. 上枠、下枠および左右の縦枠を四周枠組みした窓枠と、上框、下框および左右の竪框を四周框組みして面材を組み込んだ障子とを備えて構成されるサッシ窓の製造方法であって、
    前記窓枠として、
    (A)前記各枠を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠、
    (B)前記上枠および縦枠を非鉄金属で形成し、下枠を非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠を用意する工程と、
    前記障子として、
    (a)前記各框を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した障子、
    (b)前記各框を、非鉄金属製の室外部材と、断熱性部材からなる室内部材とから構成した障子を用意する工程と、
    前記(A),(B)の窓枠のうちの一方の窓枠を選択する工程と、
    前記(a),(b)の障子のうちの一方の障子を選択する工程と、
    前記選択した障子を選択した窓枠に組み込む工程と、
    前記窓枠において障子を閉めた際に室内側に露出する露出面部を断熱性カバーで被覆する工程と、を備えることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  4. 上枠、下枠および左右の縦枠を四周枠組みした窓枠と、上框、下框および左右の竪框を四周框組みして面材を組み込んだ障子とを備えて構成されるサッシ窓の製造方法であって、
    前記窓枠として、
    (A)前記各枠を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠、
    (B)前記上枠および縦枠を非鉄金属で形成し、下枠を非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した窓枠を用意する工程と、
    前記障子として、
    (a)前記各框を、非鉄金属製の室内部材および室外部材と、この室内外部材を連結する断熱部材とから構成した障子、
    (b)前記各框を、非鉄金属製の室外部材と、断熱性部材からなる室内部材とから構成した障子、
    (c)前記各框を、非鉄金属で形成した障子を用意する工程と、
    前記(A),(B)の窓枠のうちの一方の窓枠を選択する工程と、
    前記(a),(b),(c)の障子のうちの一つの障子を選択する工程と、
    前記選択した障子を選択した窓枠に組み込む工程と、
    前記窓枠において障子を閉めた際に室内側に露出する露出面部を断熱性カバーで被覆する工程と、を備えることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  5. 請求項2または請求項4に記載のサッシ窓の製造方法において、
    前記(c)障子を用意する工程は、
    (c1)前記各框を非鉄金属で形成した障子、
    (c2)前記各框を非鉄金属で形成し、かつ各框において面材の室内側に配置される室内部および室外側に配置される室外部間を連結する連結壁に断熱用の孔が形成されている障子、
    の少なくとも一方の障子を用意するものであることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のサッシ窓の製造方法において、
    前記各障子に加えてあるいは前記各障子の何れかに代えて、(d)前記各框を断熱性部材で形成した断熱障子を用意する工程を備え、
    前記障子を選択する工程では、この(d)断熱障子を含む各障子から障子を選択することを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のサッシ窓の製造方法において、
    前記窓枠の下枠は、下枠の室内側に配置される仕上げ材の上面まで延長され、この下枠を被覆する断熱性カバーは、前記下枠の前記仕上げ材の上面まで延長された部分を含んで下枠の露出面部を被覆しているとともに、
    前記窓枠の上枠および縦枠は、上枠および縦枠の室内側に配置される仕上げ材の室内側に露出する表面側には延長されておらず、前記上枠および縦枠の露出面部を被覆する断熱性カバーのみが前記仕上げ材の表面側まで延長されていることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のサッシ窓の製造方法において、前記各障子の面材は、単板ガラスおよび複層ガラスの一方で構成されていることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載されたサッシ窓の製造方法において、
    前記各障子は、それぞれ室外側の外障子および室内側の内障子を備えて構成され、前記窓枠には前記外障子および内障子をガイドする室外側および室内側の2条のレールが設けられ、室外側レールのレール芯位置から外障子の室内面までの寸法が各障子間で同一とされ、室外側レールのレール芯位置から外障子の召合せ框の室内面までの寸法が各障子間で同一とされているとともに、室内側レールのレール芯位置から内障子の召合せ框の室外面までの寸法が各障子で同一とされていることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  10. 請求項3または請求項4に記載されたサッシ窓の製造方法において、
    前記各障子は、それぞれ室外側の外障子および室内側の内障子を備えて構成され、前記各窓枠には前記外障子および内障子をガイドする室外側および室内側の2条のレールがそれぞれ設けられ、これらの2条のレール芯間の寸法が各窓枠間で同一とされ、室外側レールのレール芯位置から外障子の室内面までの寸法が各障子間で同一とされ、室外側レールのレール芯位置から外障子の召合せ框の室内面までの寸法が各障子間で同一とされているとともに、室内側レールのレール芯位置から内障子の召合せ框の室外面までの寸法が各障子で同一とされていることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載されたサッシ窓の製造方法において、
    前記各障子は、室内外方向に開閉されるように構成され、前記窓枠には障子の室外側および室内側の各被当接部に、気密材を介して当接する室外側および室内側の各当接部がそれぞれ設けられ、前記障子の各被当接部間の寸法が各障子間で同一とされていることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
  12. 請求項3または請求項4に記載されたサッシ窓の製造方法において、
    前記各障子は、室内外方向に開閉されるように構成され、前記窓枠には障子の室外側および室内側の各被当接部に、気密材を介して当接する室外側および室内側の各当接部がそれぞれ設けられ、これらの各当接部間の寸法が各窓枠間で同一とされているとともに、前記障子の各被当接部間の寸法が各障子間で同一とされていることを特徴とするサッシ窓の製造方法。
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