JP3609282B2 - 屋根棟部に用いる棟役物並びに太陽電池を備えた屋根構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋根棟部に設けられる棟役物並びに太陽電池を備えた屋根構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅等の屋根の上に太陽電池を設置し、この太陽電池から電力を取り出して住宅に供給する住宅用太陽発電システムが普及してきている。
この種太陽電池システムとしては、既設の屋根の上にフレーム等を介して太陽電池ユニットを装着する後付型のものと、屋根材(瓦)に太陽電池を一体とした建材一体型の太陽電池モジュールを屋根の野地板上に葺いていく屋根一体型のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記後付型のものにあっては、太陽電池の電気ケーブルの屋内への引き込みを、建物の壁に設けた換気口や軒先側の隙間、或いは屋根に孔を穿けて行っており、これではケーブルが外部に露出することが多くなって風雨に曝され、耐久性の問題が生じていた。また、引き込み箇所が一定せず配線の取り回しが困難となって施工上手間がかかるものとなっていた。
その点、建材一体型の太陽電池屋根材を用いる場合、屋根葺き作業と合わせてケーブル配線が行えることから屋根材の下側にケーブルを這わすことが可能となり、外部に露出するようなことが少なくできるものの、屋内へのケーブル引き込みのために、現地合わせ等により野地板等に孔を穿けたり棟上部を覆う棟カバーに孔を穿ける作業を伴っており、施工の手間が多大となるとともに防水性に劣り、雨仕舞も困難なものとなっていた。
【0004】
そこで、本発明は、太陽電池等の配線を棟側から容易に引き込むことを可能とし、防水性の点で有利となる屋根棟部に用いる棟役物、並びに太陽電池を備えた屋根構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明の屋根棟部に用いる棟役物は、屋根棟部における野地板上に棟部に沿って取り付けられ、該野地板との間に屋根勾配方向に挿通する挿通口を形成可能な切欠部を備えているものである。
これによれば、野地板上に配設した太陽電池付き屋根材のケーブルを適宜経路を介して棟側に配設し、屋根棟部に設けた棟役物の切欠部を介して棟部から屋内へケーブルを引き込み可能となる。
【0006】
従って、屋内へのケーブル引き込みが所定個所から行えてケーブルの配線を容易に行いうるとともに、現地合わせによる孔穿け等も不要であることから施工上の手間が少なくなる。また、切欠部を棟役物の長手方向(棟長手方向)に複数設けることにより、屋根材の配置やケーブルの配設経路に影響されることなく、いずれかの切欠部を用いてケーブルを引き込み可能となっている。
また、この棟役物は、その軒側端部が最上段の屋根材の棟側端部上に配置されて棟側に延びる上壁部と、該上壁部の棟側端から下方に延びその下端部が野地板上に配置される立壁部とを有して構成し、この立壁部の下部に前記切欠部を形成し、上壁部の上面に、屋根棟部を覆う棟カバーを取付可能とするのが好ましい。
【0007】
このような構成によって、上壁部の軒側端を屋根材上に配置するとともに、上壁部の下側にケーブルを通して切欠部から棟側に引き出し、上壁部上面に棟カバーを設けることで、切欠部が棟カバー内に配置されることとなって切欠部からの浸水が防止され、更に、ケーブルの露出が防止されることから耐久性向上にも寄与するものとなる。
また、本発明は、太陽電池を備えた屋根材を含む複数の屋根材を野地板上に配設している太陽電池を備えた屋根構造において、
前記屋根材の下面に、電気ケーブルを挿通可能な挿通路を屋根勾配方向に設け、屋根棟部における野地板上に、前記ケーブルを棟部から屋内側に引き入れ可能とするように前記挿通路に対応して位置づけられた前記ケーブルの挿通口を有する棟役物を棟部に沿って設けていることを特徴とするものである。
【0008】
これによれば、太陽電池のケーブルを屋根材の下面を通して棟側に配設し、屋根棟部においては、棟役物の挿通口を介して容易に屋内へ引き込むことが可能となる。
この際、屋根材の挿通路に対応して棟役物の挿通口が設けられていることから、ケーブルを遠回しすることなく最短距離で棟部に配設することができるようになる。
また、前記挿通路を屋根材に対して棟長手方向に複数設け、前記挿通口を前記挿通路に対応して設けることにより、いずれかの挿通路を用いて電力の集電場所に応じたケーブル配線が行えながら、挿通路に対応する挿通口によりケーブルを最短で屋内に引き込むことが可能となっている。
【0009】
なお、棟役物として、前述したような上壁部と立壁部とを備えた構成とし、上壁部の軒側端を屋根材上に配置するとともに、立壁部の下端部を野地板上に配置し、上壁部の上面に棟カバーを取り付けるようにすれば、立壁部の切欠部が棟カバー内に配置されて切欠部からの水の侵入が防止されるとともに、上壁部でケーブルを覆って雨水等から保護できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図14には、太陽電池を備えた住宅等の建物1の屋根2A、2Bを示しており、この屋根2A、2Bは、複数の屋根材3、3Aを野地板4上に設置することにより構成され、例えば、南側に向く屋根2Aの全部又は一部には、太陽電池7を一体に備えた屋根材3Aが利用されている。
本図の例では、A枠内で示す範囲に太陽電池一体型の屋根材3Aが使用され、各屋根材3Aを縦横に整列状に配設したものとし、当該屋根2Aの他の部分及び反対側の屋根2Bには、太陽電池7を備えない屋根材3(例えば従来公知の金属製屋根材やセメント製屋根材)が用いられている。
【0011】
図6、図7及び図9に示すように、前記太陽電池付き屋根材3Aは、ベース6の上面に太陽電池7を備えて構成され、該太陽電池7は、ガラス材に太陽電池のセルを貼着し、下面に端子ボックス8を備えている。
太陽電池7の下面には、金属製板材よりなる基板9を有しており、図10に示すように、基板9の軒側端には下方に折曲する第1折片11と、該第1折片11から棟側に折曲した第2折片12と、該第2折片12から軒側に向けて折曲した軒側重合片13とを一体に備えている。
【0012】
また、基板9の棟側には、上方に突出するとともに軒側に向けてL字状に折曲された棟側重合片14が設けられている。
なお、図7に示すように、基板9の軒側には上下に貫通する窓10が形成され、太陽電池7下面の端子ボックス8が窓10を介して基板9の下側に突出するようになっている。
前記ベース6は、発泡樹脂材等により形成されており、屋根材としての踏み強度や断熱性を保つべく考慮されている。また、ベース6は、図6に示すように、軒側端部から棟側端部に向けて徐々に肉厚が薄くなるように側面視楔型に形成され、左右中央部で且つ軒側の端部には、前記端子ボックス8を収容する収容凹部15が形成されている。
【0013】
ベース6上面の左右両側には、帯状の金属板材よりなる一対の支持板16がベース6の屋根勾配方向に亘って設けられている。各支持板16の棟側端には、図9にも示すように、上下に突出するとともに軒側に折曲する略L字状の上下係止片17,18を備えており、支持板16の軒側端はベース6よりも突出されていて、この突出部分に連結ネジ19を介して吊り子20を固定している。
前記吊り子20は、支持板6の下面にネジ止めされる連結片20aと、該連結片20aの棟側端からベース6の軒側端面に沿って下方に延び、更に棟側に向けて折曲する前係止片20bを備えている。また前係止片20bから軒側に向けて折曲され、釘等の固定具21によって野地板4上に固定される固定片20cを一体に備えている。
【0014】
よって、ベース6は、軒側端で前係止片20bと支持板6とで挟持され、棟側端で下係止片18と支持板6との間で挟持されるようになり、ここにベース6、支持板16、吊り子20が一体となるように組み立てられている。
図10にも示すように、前記連結片21の軒側端には、上側が開放したコ字状の取付片23が一体に屈曲形成され、この取付片23の軒側端面にはネジ孔24が形成されている。また、取付片23の軒側端には、ネジ孔24に螺合する止めネジ25を介して着脱自在にストッパ部材26が固定される。
【0015】
このストッパ部材26は、取付片23の軒側端面に対向する縦片26aと、この縦片26aの上端から棟側に折曲する係止片26bと、縦片26aの下端から棟側に向けて斜め下方に折曲する止め片26cとを一体に備えている。
そして、前記太陽電池7は、その基板9の棟側端を支持板16の棟側端に設けた上係止片17に係合させるようにしてベース6上に載置され、基板9の軒側端では、第1折片11及び第2折片12が取付片23に係合するとともに、該取付片23の前端,第1折片11及びストッパ部材26を重ね合わせた状態で止めネジ25を締結することによりベース6に固定され、該ストッパ部材26の係止片26bにより太陽電池7の上方への浮き上がりが防止され、更に、縦片26aによって前方への移動が規制されるようになっている。
【0016】
また、ベース6に設けた収納凹部15に端子ボックス8が収納され、該端子ボックス8から2本のコネクタ付き接続ケーブル27が軒側に突出している。
上記構成の太陽電池付き屋根材3Aは、屋根2Aの棟側から順次設置されるようになっており、具体的には、図9及び図10に示すように、棟側(上段)に配置される屋根材3Aの軒側に突出する基板9の下側に、軒側(下段)に配置される屋根材3Aの棟側端部が挿入される。
そして、上段側の軒側重合片13と下段側の棟側重合片14とが上下に相対するように配置され、この棟側及び軒側重合片13,14に対して結合部材28が嵌合されるようになっている。
【0017】
この結合部材28は、上下の挟持片28aを有する側面視コ字状に形成され、上下挟持片28aをつなぐ連結片28bによって軒側及び棟側重合片13,14の先端部を塞ぐように取り付けられ、ここに両重合片13,14間からの雨水等の浸入防止を図っている。
また、上挟持片28aの上側には、軒側に折り返された掛止片28cが形成され、結合部材28を各重合片13,14に嵌合することによって、掛止片28cがストッパ部材26の止め片26cに係合し、ここに結合部材28の抜落を防止するとともに、上下段の屋根材3A,3Aの屋根勾配方向の位置ずれが防止されている。
【0018】
また、ストッパ部材26を取り外すことによって結合部材28を取外し、ベース6から太陽電池7を容易に取り外し可能であり、これにより太陽電池7の交換等のメンテナンスを容易に行い得るようにしている。
図11には、各屋根材3Aにおけるケーブルの接続構造を例示している。
本図では、左右3枚の屋根材3Aを上下4段に配設した状態を示しており、左右に隣接する屋根材3Aは、端子ボックス8から出ている接続ケーブル27によって接続され、左右一端側(右側)にある上2段、下2段の屋根材3A同士が接続ケーブル27及び中継ケーブル30を介して接続される。
【0019】
また、左右他端側(左側)にある各屋根材3Aの接続ケーブル27には、屋内側へと引き込まれる引込ケーブル31の一端が接続されるようになっており、よって上下各2段の屋根材3Aがそれぞれ直列に接続されている。
ここで、各接続ケーブル27,30,31は、図9に示すように、上段側の屋根材3Aと下段側の屋根材3Aとの間に形成される左右方向の空間32に配置されていて風雨等から保護されるようになり、更に、前記結合部材28により上下段の屋根材3A,3Aの隙間を塞いで浸水を防止していることから、より確実な保護が図れるようになっている。
【0020】
なお、各ケーブル27,30,31のコネクタ近傍には、図7に示すようなタグ33が取り付けられており、このタグ33は、厚紙等により形成されて、+−の極性や、接合相手を示す英数字等の符号が記載されるようになっており、これによって誤接続等を防止している。また、前記タグ33を押しピン等によって野地板4に仮止めすることにより、屋根材設置時にケーブル27,30,31が邪魔となったり踏みつけたりすることがないように避けることが可能となる。
図6及び図8に示すように、前記ベース6の下面には、左右複数(図例では4つ)の凹溝35が所定間隔をおいて設けられており、この凹溝35は、野地板4とベース6との間に屋根勾配方向の通路状の空間を形成し、この空間をケーブルの挿通路36としている。そして、前記中継ケーブル30及び引込ケーブル31は、この挿通路36のいずれかを通って棟部側へ配設されるようになっている。
【0021】
従って、野地板4上に配設した屋根材3Aには、図3に示すように、左右方向の収納空間32と屋根勾配方向の挿通路36とによって縦横にケーブル27,30,31の配設が可能であり、挿通路36を複数設けることによって、建物の構造や電力の集電場所に応じて挿通路36を選択することができ、また、凹溝35をベース6の幅に亘るように広く形成するのではなく、細幅のものを複数形成していることから、野地板4上への載置面積(接触面積)を可及的に拡げて強度を確保している。
【0022】
なお、図3の例では、一番端(左側)に設けられた挿通路36に引込ケーブル31を配設した状態を示している。
前記凹溝35は、ベース6に対して所定間隔で4つ(左右対称位置に2つずつ)形成されていることから、上下段の屋根材3Aを幅1/2ずらした状態で配設した場合でも、各凹溝35が屋根勾配方向に連続し、軒側から棟側へ連通した連通路36が形成されるようになっている。
図2には、屋根棟部Bの詳細を示している。
【0023】
屋根棟部Bの上方には、断面傘状に形成された棟カバー38が設けられており、該棟カバー38は、屋根勾配に略沿った傾斜面38aによって屋根面2A、2Bに雨水等を導くようになされており、該棟カバー38の一側(太陽電池を備えた屋根2A側)は、野地板4上に固定されたベース部材(本発明にかかる棟役物)40を介して固定され、他側(通常の屋根2B側)は、屋根材3上に固定したベース板39等を介して固定されている。なお、45は棟木、46は垂木である。
【0024】
このベース部材40は、図3〜図5にも示すように、左右方向(棟長手方向)に長尺の金属製板材を屈曲形成してなり、屋根勾配に沿う方向の上壁部41と、該上壁部41の棟側端から下方に延びる立壁部42と、該立壁部42の下端から軒側に折曲する折り返し部43とを有して構成されている。また、ベース部材40は、長手方向に複数の吊り子44を有している。
前記吊り子44は、金属製板材を屈曲形成してなり、上壁部41の下面に面接される上面部44aと、上面部44aの棟側端から下方に延びて立壁部42の前面に面接される後面部44bと、上面部44aの軒側端から下方に延びるとともに軒側に屈曲する固定部44cとを有し、該固定部44cには貫通孔44dが形成されていて釘等の結合部材47(図2参照)によって野地板4上に固定され、また、後面部44bと立壁部42とはリベット48等によって結合される。
【0025】
最上段の屋根材3Aは、図1に示すように、吊り子44の固定部44cにおける立ち上がり部分44eに近接して配置されており、この屋根材3Aの上方に、前記上壁部41の軒側端が配置されるようになっている。
また、上壁部41の上面には、側面視L字状の取付ブラケット49がネジ59により固定され、該取付ブラケット49に棟カバー38一側の縦壁部分38bがネジ50により結合されるようになっている。そして、棟カバー38は、縦壁部38b下端から軒側に屈曲する斜辺部38cを有し、該斜辺部38cが上壁部41の上面に沿って配置されるようになっており、棟カバー38とベース部材との間からの雨水の浸入を防止している。
【0026】
前記ベース部材40において、その立壁部42の下端部には、棟長手方向に複数の切欠部51を形成している。この切欠部51は、野地板4との間で屋根勾配方向に挿通する挿通口52を形成するようになっており、各挿通口52は、屋根材3Aに設けた各挿通路36よりも広幅に形成されていて、2つ又は3つ以上の挿通路36に対して左右方向に関して対応するように位置づけられている。
従って、挿通路36に配設された引込ケーブル31を、挿通口52を介して直線的に棟部へ渡して屋内に引き込み可能であり、ここに、前記挿通口52(切欠部51)は、引込ケーブル31を遠回しすることなく最短距離で容易に棟部Bに引き込むことができるようにして配線施工性の向上を図っている。
【0027】
また、前記挿通口52は棟カバー38内に配置されることとなり、雨水等は棟カバー38の傾斜面38aから縦壁部38b、斜辺部38cを経て屋根面2Aに流下するようになっており、これによって挿通口52からの雨水等に浸入を防止可能であり、上壁部41の下側に引込ケーブル31が配置されることから該ケーブル31が上方側から保護されるようになっている。
なお、前記上壁部41の軒側端は若干下方に屈曲されており、この屈曲部41aは、屋根材3Aの棟側重合片14の前側に配置されるようになっており、よって、屈曲部41aは、当該屋根材3Aの軒側への移動を規制するストッパとしての役割を担うとともに、上壁部41と屋根材3Aとの間の雨水等に浸入を防ぐ遮蔽部とされている。
【0028】
そして、太陽電池付き屋根材3Aを備えた野地板4の棟側端は、少なくともケーブル31の引込部位が棟頂部よりも若干後退しており、屋内へのケーブル引込を可能としている。
前記挿通口52(切欠部51)は、屋根材3Aの各挿通路36に1対1で対応するように該挿通路36と同数形成してもよい。
太陽電池7付き屋根材3Aが屋根2の棟部Bまで至らない場合には(最上段側が太陽電池7を備えない屋根材3の場合)には、最上段側の屋根材3として、前述のベース6上に太陽電池7に代わるダミーの屋根部材7’を備えたものとするとともに、これを下段側の太陽電池7付き屋根材3Aに対して屋根勾配方向に連続して設けることで挿通路36を連通させ、上記と同様の配置でベース部材40及び棟カバー38を設けるようにすればよい。
【0029】
図1及び図4に示すように、複数の引込ケーブル31は、挿通路36内等において結束部材54を介して束ねられ、野地板4上に固定されるようになっている。
この結束部材54は、図12に示すように、合成樹脂材等により形成されていて、板状の受け部材55と覆い部材56とを有し、この受け部材55及び覆い部材56は、その長手方向一端部で薄肉状のヒンジ部57によって一体的に連結され、開閉自在となっている。
【0030】
また、受け部材55の上面には、ケーブル径に応じた円弧状の保持凹部55aが複数形成され、覆い部材56の下面にも同様の保持凹部56aが同数形成され、受け部材55の保持凹部55a内に複数のケーブル31を嵌合するとともに覆い部材56で挟むことにより複数の引込ケーブル31を結束可能としてある。
また、受け部材55の下面は、平坦面に形成されて野地板4上に面接可能であり、受け部材55及び覆い部材56の両端には平板状の固定部55b,56bを備えていて、これら固定部55b,56bには貫通孔58を形成しており、ケーブル31の保持状態で受け部材55及び覆い部材56の固定部55b,56bが重合されるとともに、貫通孔58を介して釘や止めネジ等の結合部材で野地板4に固定することにより、各引込ケーブル31を横並びに整列した状態で配線可能としてある。
【0031】
これにより、各ケーブル31が団子状に束ねられるようなことが防止され、挿通路36の上下幅が狭い場合でも引込ケーブル31を挿通可能となって取り回しが容易に行え、逆に言えば、屋根材ベース6に形成した凹溝35の深さを浅く形成することが可能となってベース6の剛性確保が図られるようになっている。
また、図13には、結束部材54の変形例を示しており、これは、1つの板材60の長手方向中央部を上方にコ字状に屈曲し、この屈曲部60a内に横並びにケーブルを配設するとともに、両端の固定部60bに形成した貫通孔60cを介して野地板4に固定するようにしたものであり、上記と略同様の効果が得られるものとなる。しかし、先に示した図12の場合、受け部材55と覆い部材56とによってケーブル31の整列状態を保持した状態で容易に野地板4上に固定できるようにしていることから、この点で図12の結束部材54の方が有利なものとなっている。
【0032】
ところで、本発明は、上記実施形態に限ることなく適宜設計変更可能である。
例えば、屋根材の詳細構造やその配設状態、各ケーブル27,30,31の接続構造等は上記実施形態に限られるものではなく適宜変更可能である。
また、本発明の棟役物は、棟カバーを一体に形成したものであってもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、野地板や棟カバー等に孔を穿ける必要もなく、太陽電池のケーブルを棟部から屋内へ容易に引き込むことが可能で、施工性向上を図れるとともに防水性の点でも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の要部を示す側面断面図である。
【図2】屋根棟部の側面断面図である。
【図3】屋根材及び棟役物の配置状態を示す平面図である。
【図4】本発明に係る棟役物の斜視図である。
【図5】(a)は棟役物の平面図、(b)は、背面図である。
【図6】屋根材の分解斜視図である。
【図7】屋根材の平面図である。
【図8】屋根材の正面断面図である。
【図9】屋根材の上下段の連結状態を示す側面断面図である。
【図10】屋根材の上下段の連結状態を拡大して示す側面断面図である。
【図11】屋根材の配線構造を示す概略図である。
【図12】(a)は結束部材の変形例を正面図、(b)は同斜視図である。
【図13】(a)は結束部材の変形例を示す正面図、(b)は同斜視図である。
【図14】太陽電池付き屋根を備えた建物の斜視図である。
【符号の説明】
2 屋根
3A 屋根材
4 野地板
36 挿通路
38 棟カバー
40 ベース部材(棟役物)
41 上壁部
42 立壁部
51 切欠部
52 挿通口
Claims (6)
- 太陽電池(7)を備えた屋根材(3A)を含む複数の屋根材(3,3A)を配設した屋根の屋根棟部(B)における野地板(4)上に屋根棟部(B)に沿って取り付けられる棟役物であって、
軒側端部が最上段の屋根材(3,3A)上に配置されて棟側に延びる上壁部(41)を有し、上壁部(41)の上面に、屋根棟部(B)を覆う棟カバー(38)が取付可能とされた屋根棟部に用いる棟役物において、
太陽電池(7)の電気ケーブル(31)を、上壁部(41)の下方を通して棟カバー(38)下方で軒側から棟側に挿通するための挿通口(52)が、具備されていることを特徴とする屋根棟部に用いる棟役物。 - 前記上壁部(41)の他に、該上壁部(41)の棟側端部から下方に延びその下端部が野地板(4)上に配置される立壁部(42)を有して構成され、この立壁部(42)の下部に前記挿通口(52)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の屋根棟部に用いる棟役物。
- 前記挿通口(52)を棟長手方向に複数形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋根棟部に用いる棟役物。
- 太陽電池(7)を備えた屋根材(3A)を含む複数の屋根材(3,3A)を野地板(4)上に配設し、屋根の屋根棟部(B)における野地板(4)上に棟役物(40)を屋根棟部(B)に沿って取り付け、前記棟役物(40)は、軒側端部が最上段の屋根材(3A)上に配置されて棟側に延びる上壁部(41)を有し、上壁部(41)の上面に、屋根棟部(B)を覆う棟カバー(38)を取り付けている太陽電池を備えた屋根構造において、
前記屋根材(3,3A)の下面に、電気ケーブル(31)を挿通可能な挿通路(36)を屋根勾配方向に設け、前記電気ケーブル(31)を棟部(B)から屋内に引き入れ可能とするように、太陽電池(7)の電気ケーブル(31)を、前記挿通路(36)に対応して上壁部(41)の下方を通すと共に、太陽電池(7)の電気ケーブル(31)を、棟カバー(38)下方で軒側から棟側に挿通するための挿通口(52)を、前記棟役物(40)に具備していることを特徴とする太陽電池を備えた屋根構造。 - 前記棟役物(40)は、前記上壁部(41)の他に、該上壁部(41)の棟側端から下方に延びその下端部が野地板(4)上に配置される立壁部(42)を有して構成され、この立壁部(42)の下部に前記挿通口(52)が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池を備えた屋根構造。
- 前記挿通路(36)を屋根材(3,3A)に対して棟長手方向に複数設け、前記挿通口(52)を前記挿通路(36)に対応して設けていることを特徴とする請求項4又は5に記載の太陽電池を備えた屋根構造。
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