JP3609015B2 - プラズマ処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜、加工、表面処理などの処理を行うプラズマ処理方法に関し、更に詳しくは、プラズマ処理用ガスに基づくプラズマを発生させ、半導体膜や絶縁膜などの薄膜の成膜、加工、表面処理などの処理を行い、特にプラズマ処理用ガスの圧力範囲または高周波電力の周波数を特定することによって、高速処理を可能にするプラズマ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
半導体膜や絶縁膜などの薄膜の成膜、加工、表面処理などの処理を行うプラズマ処理においては、処理速度の高速化が要求されている。処理速度を高速にするために、一般的には、反応ガスの圧力を高めるという手法が採られている。ところが、反応ガスの圧力を高めると、プラズマを安定に発生させることが困難になる。
【0003】
そこで、特公平6−60412号公報、特許公報第2700177号、特開平6−299358号公報などには、反応ガスに不活性ガスを加えることにより、高圧力下で安定にプラズマを発生させ、維持する手法が開示されている。これらの公報によれば、反応ガスに大量の不活性ガスを加えているので、反応ガス分圧を高めても、プラズマを安定に発生、維持でき、処理速度を向上できる。
【0004】
上記の3つの公報は、反応ガスに不活性ガスを加え、高圧力下でプラズマ処理を行うという基本的な考え方において共通している。
そこで、一例として、特許公報第2700177号の開示内容について説明する。該公報は、薄膜形成方法に関するものであるが、その基本思想は、加工方法、表面処理方法に対しても共通するものである。
【0005】
さて、この特許公報に開示されたプラズマ処理装置は、主要部として反応容器を備え、この反応容器内に放電電極と対向電極とを有する。そしていずれの電極にも高抵抗体が取付けられている。対向電極は接地されており、対向電極の高抵抗体の上には基板が搭載される。放電電極は高周波電源と接続される。両電極の側方には、放電電極の高抵抗体と基板との間のギャップ部にプラズマ処理用ガスが供給されるように、ノズルとガス排出口とが設けられている。なお、薄膜を形成する場合には、基板はヒータによって加熱される。
【0006】
上記の構成において、反応ガスと不活性ガスとの混合ガスからなるプラズマ処理用ガスを、ノズルから反応容器の内部に導入し、放電電極に高周波電力を供給する。不活性ガスとしては、Heガスが用いられる。反応ガスとしては、基板上にアモルファスSi薄膜を形成する場合にはSiH4ガスが用いられる。反応容器内の前記プラズマ処理用ガスの圧力は大気圧近傍の圧力であり、このうち、Heガスの割合は90%以上である。高周波電力の周波数は13.56MHzである。上記の手法によって、前記ギャップ部でグロー放電が起こり、前記プラズマ処理用ガスに基づくプラズマが発生する。そして、反応ガスであるSiH4ガスが解離され、生成した反応種の作用によって、基板の上にアモルファスSi薄膜が形成される。
上記の手法によれば、プラズマ処理用ガス中の不活性ガス(この例においてはHeガス)の割合が大きいので、プラズマ処理用ガスの圧力が大気圧近傍の高圧力であってもグロー放電が起こり、プラズマを安定に発生、維持できる。不活性ガスであるHeガスの作用として、該公報には、下記の作用が記載されている。
【0007】
(a)Heは放電により励起されやすい。
(b)Heは多くの準安定状態を有し、励起状態の活性粒子(ラジカル)を多く作ることができる。
(c)Heの活性粒子(ラジカル)が高密度に存在すると、反応ガスの解離度を高めることができる。
(d)He中ではイオンが拡散しやすく、放電が広がりやすい。
このような性質のHeガスを加えることによって、反応ガス分圧が高い状態であっても、プラズマを安定に発生させ、維持できる。そして、反応ガス分圧が高いため、プラズマ処理の処理速度を高めることができる。
また、プラズマ処理用ガスの圧力が大気圧近傍の圧力であるので、反応容器内を真空に引かなくてもよい。したがって、真空チャンバや真空排気装置を必要とせず、設備に要するコストを大幅に低減できる。
【0008】
上記の従来技術では、反応ガスに大量の不活性ガスを加えているので、反応ガス分圧を高めてもプラズマを安定に発生、維持できる。そして、反応ガス分圧が高いため、プラズマ処理の処理速度を高めることができる。しかしながら、近年のプラズマ処理においては、薄膜太陽電池の製造プロセスに代表されるように、処理速度の高速化に対する要求が非常に厳しい。すなわち、処理速度の更なる向上が望まれている。処理速度の高速化に関し、従来技術では以下のことが教示されている。
【0009】
▲1▼特許公報第2700177号
反応ガス(SiH4ガス)と不活性ガス(Heガス)との混合ガスからなるプラズマ処理用ガスの圧力が大気圧近傍の圧力である場合について、不活性ガスに対する反応ガスの比率を大きくすることによって、処理速度が向上することが示されている。なお、このように、プラズマ処理用ガス(反応ガスと不活性ガスとの混合ガス)の圧力が一定の条件下で反応ガスの比率を大きくすることは、反応ガス分圧を高くすることに相当する。
【0010】
▲2▼特開平6−299358号公報
反応ガス分圧を高くし(10Torr以上)、それに応じて不活性ガスを加えることにより、処理速度が向上することが示されている。プラズマ処理用ガスの圧力は、10.2Torr〜100Torrに規定されているが、この圧力範囲は、反応ガスのみによるプラズマの発生限界と、低温プラズマの限界を示すものである。すなわち、処理速度向上の観点から決定された圧力範囲は示されていない。
【0011】
▲3▼特公平6−60412号公報
大気圧下の放電の安定性から、プラズマ処理用ガス(反応ガスと不活性ガスとの混合ガス)中の不活性ガスの割合を規定しているが、処理速度の高速化については教示していない。
【0012】
上記のように、従来技術は、反応ガス分圧を高めることによる処理速度の向上効果を示している。しかし、一定の反応ガス分圧に対する処理速度向上の指針は与えていない。すなわち、「反応ガス分圧が一定の条件下において、どの程度の不活性ガスを加えること(どの程度の不活性ガス分圧に設定すること)が、処理速度の向上に対して効果的であるか」という点については教示されていない。
【0013】
本発明の第1の目的は、反応ガスと不活性ガスとの混合ガスからなるプラズマ処理用ガスを用いたプラズマ処理方法において、更なる処理速度の高速化を図ることにある。ここで、前記したように反応ガス分圧を高めること、及び、投入電力を高めることによって、プラズマ処理速度が向上することは公知の通りである。したがって、従来に比べて大幅な処理速度の向上を図るには、更に、一定の反応ガス分圧、及び、一定の投入電力の条件下において、反応ガスの利用効率と投入電力の利用効率とを高めて、プラズマ処理速度を向上させることが重要である。この考え方をイメージ的に表現すると下式のようになる。
Rate=η×F(W,Pr) (a)
【0014】
ここで、Rate:プラズマ処理速度、η:処理効率、W:投入電力、
Pr:反応ガス分圧、F(W,Pr):W、及び、Prの関数
である。(a)式において、Wを大きくすること、及び、Prを大きくすることによってF(W,Pr)が大きくなり、その結果Rateが向上することは公知である。例えば、先に示した3件の従来技術は、反応ガスに不活性ガスを加えることによって反応ガス分圧Prを高めることを可能とし、このような反応ガス分圧Prを高めたことによってF(W,Pr)を大きくしている。この点については、特開平6−299358号公報の図2に明示されている。
【0015】
これに対し、本発明は、(a)式における処理効率ηを向上させることを目指しているのであって、従来技術とは処理速度Rateの高速化に対する基本指針が全く異なる。すなわち本発明の目指すところは、一定の反応ガス分圧Pr及び一定の投入電力Wの条件下(F(W,Pr)が一定の条件下)における、処理速度Rate(処理効率η)の向上である。
【0016】
特公平6−60412号公報や特許公報第2700177号によれば、反応ガスと不活性ガスとの混合ガスからなるプラズマ処理用ガスの圧力を大気圧近傍の圧力としているので、反応容器内を真空に引かなくてもよい。このため、真空チャンバや真空排気装置を必要とせず、設備に要するコストを大幅に低減できる。しかし、真空に引かなくても、反応容器の内部には、プラズマ処理用ガス(反応ガスと不活性ガスとの混合ガス)が1気圧分充填されていなければならない。つまり、前記プラズマ処理用ガスの圧力が高ければ、その分だけ多くのプラズマ処理用ガスを反応容器内に導入する必要がある。特に、不活性ガスは反応容器内に大量に導入する必要があり、これに要するコストが非常に高くなってくる。すなわち、上記の従来技術によれば、設備に要するコストが削減できる一方で、消耗品に要するコストが高くなり、総合的に判断すると高コストになってしまう。
【0017】
本発明の第2の目的は、プラズマ処理の処理速度を高めながらも、低コスト化を図ることである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、電極と、ホルダーに保持された基板とが対向して配置され、前記電極と前記ホルダーとの間に高周波電力を供給することによって、前記電極と前記基板との間で、プラズマ処理用ガスに基づくプラズマを発生させ、前記基板に対して、成膜、加工および表面処理などの処理を行うプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ処理用ガスが反応ガスと不活性ガスとの混合ガスよりなり、
前記反応ガスが、Si原子を含むガスのグループから選ばれたガスもしくはハロゲン系ガスのグループから選ばれたガスを含み、前記プラズマ処理用ガスの圧力P(Torr)を、
前記反応ガスの分圧をPr(Torr)とするとき、
4×Pr(Torr)≦P(Torr)≦500(Torr)
なる関係を満たすように設定することを特徴とするプラズマ処理方法を提供する。
すなわち、本発明は、プラズマ処理用ガスの圧力範囲を特定することによって、一定の投入電力および一定の反応ガス分圧の条件下においても処理速度を高め、かつ低コスト化を可能にするものである。
【0019】
本発明において、プラズマ処理用ガスの圧力P(Torr)は、
前記反応ガスの分圧Pr(Torr)に対して、
P(Torr)≦20×Pr(Torr)
なる関係を満足するように設定してもよい。
更に、高周波電力の周波数f(Hz)は、プラズマ処理用ガスの圧力P(Torr)に対して、
0.8×106(Hz/Torr)×P(Torr)≦f(Hz)≦5×106(Hz/Torr)×P(Torr)
なる関係を満たすように設定してもよい。
更に、高周波電力の周波数f(Hz)は、プラズマ処理用ガスの圧力P(Torr)に対して、
3×106(Hz/Torr)×P(Torr)≦f(Hz)
なる関係を満たすように設定するのが好ましい。
【0020】
本発明は、別の観点によれば、電極と、ホルダーに保持された基板とが対向して配置され、前記電極と前記ホルダーとの間に高周波電力を供給することによって、前記電極と前記基板との間で、プラズマ処理用ガスに基づくプラズマを発生させ、前記基板に対して、成膜、加工および表面処理などの処理を行うプラズマ処理方法であって、
高周波電力の周波数f(Hz)を、プラズマ処理用ガス圧力P(Torr)に対して、
3×106(Hz/Torr)×P(Torr)≦f(Hz)≦5×106(Hz/Torr)×P(Torr)
なる関係を満たすように設定するプラズマ処理方法を提供する。
【0021】
本発明において、不活性ガスとしては、Heガス、Arガス、Neガスなどが単体で、あるいは相互に混合して用いられる。ただし、放電の安定性と基板へのダメージの抑制とを考慮すると、Heガスを用いることが望ましい。一方、反応ガスには、プラズマ処理の目的に応じたガスが用いられる。例えばアモルファス、微結晶や多結晶のSi薄膜を形成する場合には、SiH4、Si2H6ガスなどのSi原子を含むガスが単体で、あるいはH2などの他のガスと混合して用いられる。Si系基板の加工(プラズマエッチング)を行う場合には、SF6、CF4、C2F6、C3F8、CCl4、PCl3などのハロゲン系ガスが単体で、あるいはO2などの他のガスと混合して用いられる。親水性の表面処理を施す場合には、アルコール類のような有機溶媒が用いられる。
本発明に係るプラズマ処理方法は、以上の構成により、成膜、加工、表面処理、特に基板に対して半導体膜や絶縁膜などの薄膜の成膜処理を行う方法として好適に採用できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。プラズマ処理を行う装置は、放電電極と基板との間でプラズマを発生させる構成のものであれば良く、特に限定しない。但し、本発明では、プラズマ処理の処理速度を高速としているため、放電空間に効率的にプラズマ処理用ガスを供給し、又、プラズマ処理後のガスを効率的に排気する構成が望ましい。例えば、図5に示したプラズマ処理装置20が用いられる。
【0023】
すなわち、プラズマ処理装置20は、その主要な構成として反応容器1を備え、この反応容器内には放電電極2と対向電極3とを有している。そして何れの電極2,3にも高抵抗体4,5が取り付けられている。対向電極3は接地されており、対向電極3の高抵抗体5の上には基板6が搭載されている。放電電極2は高周波電源8と接続される。両電極2,3の側方には、放電電極2の高抵抗体4と基板6との間のギャップg部にプラズマ処理用ガスが供給されるように、ノズル7とガス排出口10とが設けられている。
【0024】
そこで、図5のプラズマ処理装置20を用いる本発明のプラズマ処理方法について説明する。なお、本発明においては、反応容器1は少なくとも1Torr以下程度の真空度を維持できるものとしている。また、図示しない真空排気装置が設けられている。ヒータ9は、目的とするプラズマ処理の形態に応じて必要があれば用いる。薄膜を形成する場合は、基板6がヒータ9によって加熱される。高抵抗体4,5は、アーク放電を防止し安定なグロー放電を得るために設けているが、これらがなくても、又は何れか一方のみを設けていても安定なグロー放電が得られる場合には適宜に取り外してもよい。
【0025】
反応容器1の内部は、図示しない真空排気装置によって一旦減圧される。その後、反応ガスと不活性ガスとの混合ガスからなるプラズマ処理用ガスを、ノズル7から反応容器1の内部に導入し、反応容器1内のプラズマ処理用ガス圧力Pを所定の圧力に保持する。
【0026】
反応ガスには、プラズマ処理の目的に応じたガスが用いられる。例えば、アモルファス、微結晶や多結晶のSi薄膜を形成する場合には、SiH4やSi2H6などのSi原子を含むガスが単体で、あるいはH2などの他のガスと混合して用いられる。Si系基板の加工(プラズマエッチング)を行う場合には、SF6、CF4、C2F6、C3F8、CCl4、PCl3などのハロゲン系ガスが単体で、あるいはO2などの他のガスと混合して用いられる。親水性の表面処理を施す場合には、アルコール類のような有機溶媒が用いられる。一方、不活性ガスには、Heガス、Arガス、Neガスなどが単体で、あるいは相互に混合して用いられる。但し、放電の安定性と、基板へのダメージの抑制とを考慮すると、Heガスを用いることが望ましい。
【0027】
前記プラズマ処理用ガスの反応容器内の圧力Pは、下記(b)式のように、反応ガス分圧Prと不活性ガス分圧Piとの和によって表される。
ここで、反応ガス分圧Prは、後記の(A)式を成立させるための必要条件として、少なくとも125Torr以下とされている。反応ガスの種類にもよるが、0.1Torr〜100Torr程度の範囲内の分圧Prが適切である。
【0028】
不活性ガス分圧Piは、反応ガス分圧Prに対してプラズマ処理用ガス圧力Pが下記(A)式を満たすように、設定されている。
4×Pr(Torr)≦P(Torr)≦500(Torr) (A)
プラズマ処理用ガス圧力Pは、好ましくは、(A)式の範囲内にあって、かつ、下記(B)式を満たすように設定される。
P(Torr)≦20×Pr(Torr) (B)
【0029】
上記のようにプラズマ処理用ガス圧力Pを所定の圧力に設定した状態で、この圧力を維持しながら、ノズル7とガス排出口10とによってプラズマ処理用ガスを一定流量で流す。ギャップg部の大きさは0.1〜10mm程度であり、プラズマ処理用ガスのチャンバベースの総流量Qcは数100cc/min〜数1000L/min程度である。なお、「チャンバベース総流量Qc」は下記の(d)式のように定義され、また、これと関連する「総流量Q」、「反応ガス流量Qr」、「不活性ガス流量Qi」については、夫々、(c)式、(e)式、および(f)式のように定義される。
【0030】
【0031】
上記の構成において、放電電極2に高周波電力を供給すると、ギャップg部でグロー放電が起こり、前記プラズマ処理用ガスに基づくプラズマが発生する。そして、プラズマ処理用ガス中の反応ガス分子がプラズマによって分解、励起されて、反応種が生成される。この反応種の作用により、基板6に対する所望のプラズマ処理が施される。
ここで、放電電極2に供給される高周波電力の周波数fは、前記プラズマ処理用ガス圧力Pに対して、
0.8×106(Hz/Torr)×P(Torr)≦f(Hz)≦5×106(Hz/Torr)×P(Torr)(C)
なる関係を満たすように設定される。好ましくは、(C)式の範囲内にあって、かつ、
3×106(Hz/Torr)×P(Torr)≦f(Hz) (D)なる関係を満たすように設定される。
【0032】
次に、本発明のプラズマ処理方法の作用を、以下の項目にて説明する。
I.「(A)(B)式にて規定されるプラズマ処理用ガス圧力Pの作用」
II.「(C)(D)式にて規定される周波数fの作用」
【0033】
I.「(A)(B)式にて規定されるプラズマ処理用ガス圧力Pの作用」
従来技術の説明と重複するが、まず、反応ガスに不活性ガスを加えることの効果を説明する。最も好ましい不活性ガスはHeガスと考えられるが、Heガスの効果としては、放電開始電圧が低いこと、及び、高エネルギ(約20eV)の準安定状態をもつことが挙げられる。しかも、準安定状態のHeラジカルは、寿命が極めて長く拡散速度も速い。このような性質のHeガスを加えることによって、反応ガス分圧Prを高めてもプラズマ安定に発生、維持できる。そして、反応ガス分圧Prを高くできるので、プラズマ処理速度を高速化することができる。なお、ArやNeなどのHe以外の不活性ガスについては、放電開始電圧やラジカル寿命などの数値がHeとは異なるものの、上記と同様の効果を呈する。
【0034】
上記のように、不活性ガス(好ましくはHeガス)は、反応ガス分圧Prを高めた状態でプラズマを安定に維持するために不可欠である。しかしながら、処理速度の観点においては、不活性ガスが大量にあることが必ずしも望ましいとは限らない。すなわち、反応ガス分圧Prが一定である場合に、不活性ガス分圧Piが高ければ高いほど処理速度が速いとは限らない。この点が本発明の着眼点である。いま、投入電力W、及び、反応ガス分圧Prを一定として、不活性ガス分圧Piを低くする(プラズマ処理用ガス圧力Pを低くする)場合について考える。この場合には、例えば、以下のような相反する現象が考えられる。
【0035】
▲1▼不活性ガス分圧Piが低い分、準安定状態の不活性ガスラジカルの密度が減少し、不活性ガスラジカルと反応ガス分子との単位時間当たりの衝突回数が減少する。このために、反応ガス分子の解離が起こりにくくなり、プラズマ処理に係わる反応種の密度が減少して処理速度が遅くなる。
▲2▼不活性ガス分圧Piが低い分(プラズマ処理用ガス圧力Pが低い分)、不活性ガス原子(またはラジカル)に対する電子の衝突回数が減少して、電界による電子のドリフト速度が大きくなる。一方、反応ガス分圧Pr(すなわち反応ガス分子密度)は一定であるから、電子ドリフト速度の増大に伴い、電子と反応ガス分子との単位時間当たりの衝突回数が増加する。また、このときに電子の持つ運動エネルギは大きい。これにより反応ガス分子の解離が促進される。その結果、プラズマ処理に係わる反応種の密度が増加し、処理速度が向上する。
【0036】
実際には上記▲1▼▲2▼の現象が複合的に作用するものと予測されるが、プラズマ処理速度には、何らかの不活性ガス分圧Pi(プラズマ処理用ガス圧力P)依存性があるものと考え、これを確認する実験(後記の実施例1)を行った。そして、実験結果を分析したところ、上記▲2▼の因子が支配的に寄与していることを見いだし、従来では「反応ガス分圧Prを高めた状態でも、プラズマを安定に維持できる」という長所のみがクローズアップされていた不活性ガスに対して、「この不活性ガスが多すぎると(不活性ガス分圧Piが高すぎると)、逆に処理速度が低下する」という新たな知見を得た。すなわち、反応ガス分子の解離には、反応ガス分子に対する不活性ガスラジカルの衝突よりも、むしろ電子の衝突の方が支配的に寄与していることが分かった。
【0037】
上記の知見に基づくと、反応ガス分圧Prが一定の条件下では、「プラズマの安定維持が可能な程度に不活性ガスを加え、不活性ガス分圧Pi(プラズマ処理用ガス圧力P)はなるべく低い圧力に設定されること」が望ましい。これによって、電子のドリフト速度が増加し、効率的に反応ガス分子が解離される。上記の(A)式及び(B)式は、この望ましいプラズマ処理用ガス圧力Pの範囲(不活性ガス分圧Piの範囲)を、実験結果(実施例1)に基づいて定式化したものであり、図1の模式図を参照することによってより明確に理解できる。
【0038】
図1(a)は、反応ガス分圧Pr及び投入電力Wを一定とした場合について、プラズマ処理用ガス圧力Pと電子ドリフト速度vdeとの関係を示した模式図である。電子ドリフト速度vdeは、プラズマ処理用ガス圧力Pを低くすることにより(不活性ガス分圧Piを低くすることにより)増加するが、この増加割合は、後記の実施例1に示すように500Torr以下の圧力Pに対して顕著なものとなる。上記したように、反応ガス分圧Prが一定の条件下では、電子ドリフト速度vdeの増加に伴ってプラズマ処理速度が向上するため、プラズマ処理用ガス圧力Pは500Torr以下であって、なるべく低い圧力に設定されることが望ましい。
【0039】
しかしながら、プラズマ処理用ガス圧力P(不活性ガス分圧Pi)を低圧力化しようとしても、プラズマ安定性の観点から圧力Pには下限が存在する。すなわち、反応ガス分圧Prに応じて、所定量以上の不活性ガスを加えなければ(不活性ガス分圧Piを所定値以上としなければ)、プラズマを安定に維持できない。図1(b)は、プラズマ処理用ガス圧力Pとプラズマ安定度との関係をイメージ的に表現した図である。プラズマを安定に維持するためには、後記の実施例1に示すように、反応ガス分圧Prの3倍以上の不活性ガス分圧Pi(反応ガス分圧Prの4倍以上のプラズマ処理用ガス圧力P)が必要である。
【0040】
図1(a)に示した電子ドリフト速度と、図1(b)に示したプラズマ安定度との相関により、プラズマ処理用ガス圧力Pとプラズマ処理速度との関係は、模式的に図1(c)のように表される。図1(c)中に、(A)式及び(B)式にて規定される圧力範囲を示しているが、(A)式を満たす範囲内、特に(A)式かつ(B)式を満たす範囲内に、プラズマ処理速度のピークが存在する。したがって、一定の反応ガス分圧Prに対して、(A)式及び(B)式にて規定される範囲内にプラズマ処理用ガス圧力Pを設定することによって、投入電力、及び、反応ガスの利用効率を高めて、プラズマ処理速度を向上させることができる。
【0041】
II .「(C)(D)式にて規定される周波数fの作用」
図1(a)に示したように、反応ガス分圧Prを一定として、プラズマ処理用ガス圧力P(不活性ガス分圧Pi)を低圧力化すると、電子ドリフト速度vdeが増加する。図2は、この内容を、高周波電力の周波数fを横軸として模式的に表現したものである。縦軸は電子ドリフト速度vdeを示し、横軸、縦軸とも対数で表現している。P1、P2、P3は、下式の(g−1)〜(g−3)に示される圧力であり、これらと,(A)式で規定されたプラズマ処理用ガス圧力Pとの間には(g−4)式に示す関係がある。
P1=500Torr (g−1)
P2=4×Pr(Torr) (g−2)
P3<4×Pr(Torr) (g−3)
P3<P2≦P≦P1 (g−4)
【0042】
図2より、周波数f=faのときに、プラズマ処理用ガス圧力をP1→P2→P3と低圧力化すると、電子ドリフト速度はvde1→vde2→vde3に増加する。しかしながら、図1(b)に示したようなプラズマ安定性の観点から、P2→P3なる低圧力化は行えず、ドリフト速度がvde2以下に制限される。すなわち、(A)式によるプラズマ処理用ガス圧力P(不活性ガス分圧Pi)の設定のみでは、プラズマ処理速度が制限を受ける。そこで、「反応ガスと不活性ガスとの混合ガスからなるプラズマ処理用ガスを用いたプラズマ処理方法においては、反応ガス分子に対する不活性ガスラジカルの衝突よりも、電子の衝突の方が反応ガス分子の解離に支配的に寄与している」という上記の知見に基づき、さらに、高周波電力の周波数fを(C)式及び(D)式に規定される範囲内に設定した。そして、これによって更なる処理速度の向上を図った。すなわち、プラズマ処理用ガス圧力Pの設定によって電子ドリフト速度vdeを高めるとともに、更に、周波数fの設定によって、電子に効率的にエネルギを供給し、また電子密度を高めて、反応ガス分子の解離を一層促進させた。
【0043】
図3(a)は、(g−4)式の関係にあるプラズマ処理用ガス圧力Pに対して、周波数fと、電子および不活性ガスイオン(例えばHe+)のドリフト速度vde、vdiの関係を示したものである。また図3(b)は、図3(a)のドリフト速度vde、vdiを積分して得られるドリフト振幅Ade、Adiを縦軸とした図である。図3(a)、(b)においても、横軸、縦軸とも対数で表現している。
【0044】
fceおよびfciは、それぞれ、電子および不活性ガスイオンが高周波電界に追従する臨界の周波数を表している。臨界周波数fce、fciは、後記の項目[補足説明1.電子およびイオンのドリフト振動]にて補足するように、プラズマ処理用ガス圧力Pに応じて変化し、
なる関係にて表される。すなわち、(C)式にて規定される周波数範囲は、
なる関係を満たす十分条件である。
【0045】
図3(a)を参照して、(C)式を満たす周波数領域、すなわち、(j)式を十分に満たす周波数領域においては、不活性ガスイオンを高周波電界に追従させず、電子のみを電界に追従させることができる。したがって、イオンに対して電界からのエネルギを消費させずに、反応ガス分子の解離に支配的に寄与する電子に対してのみ、効率的にエネルギを供給することができる。したがって、(C)式の設定によって反応ガス分子の解離が促進され、プラズマ処理速度をさらに向上させることができる。しかも、上記設定においては、図3(b)に示す如くにイオンの振幅Adiをかなり小さくできるので、基板に対するダメージも少なくて済む。
【0046】
次に、(C)式の範囲内において周波数fを高めていくと、図3(a)(b)に示すように、電子ドリフト速度Vdeを維持しながら、電子ドリフト振幅Adeを小さくすることができる。このように電子ドリフト振幅Adeを小さくすると、図4に示す如くに、ギャップg部内のイオンシースを薄くし、バルクプラズマにおける電子密度を高めることができる。上記したように、反応ガス分子の解離には電子の衝突が支配的に寄与しているから、周波数fを高めて電子密度を高めることによって、プラズマ処理速度の更なる向上を図ることができる。一方、f>fceなる領域まで周波数fを高めると、電子が高周波電界に追従できなくなり、電界から十分なエネルギを得られなくなる。またドリフト速度Vdeも低下するので、逆にプラズマ処理速度が低下してしまう。したがって、(C)式を満たす範囲内にあって、かつ、(D)式を満たすようななるべく高い周波数fを選定することによって、電子に効率的にエネルギを供給し、更に電子密度を高めてプラズマ処理速度を向上させることができる。
【0047】
なお、(C)式および(D)式に規定される周波数範囲については、不活性ガスを用いずに、プラズマ処理用ガスとして反応ガスのみを用いた場合にも成立するものである。なぜなら、プラズマ処理用ガスが反応ガスのみであるので、反応ガス分子は、当然、電子との衝突によって解離されるからである。すなわち、電子に効率的にエネルギを供給でき、また電子密度を高められる条件の(C)式および(D)式は、不活性ガスを用いない場合においても好適な条件となるのである。
【0048】
上記で説明してきたように、本発明では、「一定の反応ガス分圧Prに対して、不活性ガス分圧Piが高すぎると、逆に処理速度が低下する」との知見に基づき、プラズマ処理用ガス圧力Pを(A)式及び(B)式を満たすように設定した。その結果、電子のドリフト速度Vdeが増大し、これによってプラズマ処理速度を大幅に向上させることができた。具体的には、投入電力W及び反応ガス分圧Prが一定の条件下において、(A)式及び(B)式を満たす範囲内にプラズマ処理用ガス圧力Pを設定したところ、これが大気圧付近の場合に比べて大幅に処理速度が向上した。すなわち、投入電力、及び反応ガスの利用効率を大幅に向上でき、本発明の第1の目的を達成できた。また、プラズマ処理速度を高めながらも、プラズマ処理用ガスの圧力を500Torr以下としたため、これを1気圧とした場合に比べて反応容器内に導入する不活性ガスが少なくて済んだ。すなわち、不活性ガスに要するコストを削減でき、本発明の第2の目的を達成できた。
【0049】
更に、本発明では、上記範囲内のプラズマ処理用ガス圧力Pに対して、高周波電力の周波数fを(C)式及び(D)式にて規定される範囲内に設定したから、電子に効率的にエネルギを供給し、また電子密度を高めて、プラズマ処理速度を更に向上させることができた。
以下に、上記で規定したプラズマ処理用ガス圧力Pの限定理由と、周波数fの限定理由とに関わる実験結果について説明する。
【0050】
[実施例1]
本実施例では、上記(A)、(B)式に示したプラズマ処理用ガス圧力Pの限定理由に関わる実験結果について説明する。
不活性ガスとしてHeガスを用い、また、反応ガスとしてSiH4とH2との混合ガスを用いて、ガラス基板に対するSi薄膜の成膜実験を行った。プラズマ処理に用いた装置は図5と同型の装置であり、高周波電力の周波数は13.56MHzとした。
具体的な実験方法について説明する。反応ガス(SiH4ガスとH2ガスとの混合ガス)の分圧Prおよび投入電力を一定とし、プラズマ処理用ガス圧力P(Heガス分圧Pi)を変化させて、成膜速度の変化を調べた。
【0051】
図6は、2種類の反応ガス分圧Prに対して、上記実験を行った結果である。なお、図中の同一シンボルの間では、Heガス分圧Pi以外の条件は同一条件とし、またチャンバベース総流量Qc(cc/min)も一定としたため、(e)式に基づき、反応ガス流量Qr(SCCM)も一定である。図において成膜速度:0Å/Sのプロットは、放電が不安定となりプラズマを維持できなかった場合を示している。
【0052】
図6の結果は図1(c)に示した模式図と符合しており、何れの反応ガス分圧Prに対しても、プラズマ処理用ガス圧力P:500Torrを臨界点とし、これ以下においては圧力Pを低くすることによって成膜速度が向上している。そして、成膜速度がピークをとった後は、圧力Pの低圧力化に伴い成膜速度が低下する。図7は、圧力Pが760Torrのときの値で規格化した成膜速度を、図6中の各々の反応ガス分圧に対して示したものであり、上記の臨界圧力(500Torr)をより明確に確認できる。
【0053】
次に、上記実験結果を分析したところ、成膜速度は電子のドリフト速度vdeと強い相関があることが分かった。図8は、プラズマ処理用ガス圧力Pの(−0.5)乗を横軸として図6のグラフを書き直したものである。この図より、P(−0.5)が比較的小さい領域(圧力Pが比較的高い領域)においては、成膜速度が圧力Pの(−0.5)乗にほぼ比例している。一方、後記の項目[補足説明2.電子ドリフト速度のプラズマ処理用ガス圧力依存性]にて補足するように、電子のドリフト速度vdeも理論的に圧力Pの(−0.5)乗に比例するから、成膜速度は、電子のドリフト速度vdeにほぼ比例していることが分かる。すなわち、図6の結果は、プラズマ処理用ガス圧力P(Heガス分圧Pi)の低圧力化によって電子のドリフト速度vdeが増大し、これに伴って成膜速度が増加したものと解釈できる。以上の分析より、反応ガス分子の解離には、反応ガス分子に対するHeラジカルの衝突よりも電子の衝突の方が支配的に寄与しており、プラズマ処理用ガス圧力P(不活性ガス分圧Pi)を低圧力化することの効果を、物理現象に立脚したものとして確認できた。そして、圧力Pを低くすることの効果(電子のドリフト速度を増加させることによって、成膜速度を増加させる効果)が、500Torr以下の圧力Pにおいて顕著なものとなることを実験的に確認できた。すなわち、成膜速度を向上させるためのプラズマ処理用ガス圧力Pとして、
P≦500Torr (k)
なる条件を規定できた。なお、上記のようにHeラジカルが反応ガス分子の解離にあまり寄与しない理由については、以下のように考えている。すなわち、Heラジカルは、高エネルギを有しているものの質量が重く、また電気的に中性であるために電界によって加速されない。このため、電子に比べて反応ガス分子との衝突回数が少なく、反応ガス分子の解離効果があまり大きくないものと考えている。
【0054】
ここまでは、プラズマ処理用ガス圧力Pの低圧力化によって、成膜速度が増加する点について説明してきた。しかしながら、プラズマ処理用ガス圧力P(Heガス分圧Pi)を低圧力化しすぎると、プラズマの安定性が失われてくる。すなわち、プラズマ処理用ガス圧力Pには下限が存在する。図9は、下記(l)式にて定義されるHeガス濃度Ciを横軸にとり、主に図6のグラフを書き直したものである。図9中には、図6の条件に加え、反応ガス分圧Prが比較的高い場合(16Torr)の結果も示している。
【0055】
図9より、Heガス濃度Ci:0.75以上の条件においては、0.48〜16Torrの範囲の如何なる反応ガス分圧Prに対しても、プラズマの安定維持が可能であることを確認できる。すなわち、プラズマを安定に維持するためのプラズマ処理用ガス圧力Pとして、
P≧4×Pr (m)なる条件を規定できた。なお、プラズマの安定性を一層高めるには、プラズマ処理用ガス圧力Pを(m)式で規定される下限圧力よりも少し高めておく方が好ましい。
【0056】
本発明では、上記の(k)式および(m)式に基づき、プラズマ処理用ガス圧力Pの範囲を(A)式のように規定した。
4×Pr(Torr)≦P(Torr)≦500(Torr) (A)
そして、プラズマ処理用ガス圧力Pを、(A)式で規定される範囲内にあって、かつ、(B)式に示すような、なるべく低い圧力に設定することによって、成膜速度を向上させた。
P(Torr)≦20×Pr(Torr) (B)
【0057】
図10は、図6の横軸を拡大し、比較的低圧力側のデータを示したものであるが、(A)式の範囲内、特に(A)式かつ(B)式を満たす範囲内に、成膜速度のピークが存在することを確認できる。
ここで、先に示した図6の結果について一部注釈を加えておく。図6は、「反応ガス分圧Prが一定の場合に、プラズマ処理用ガス圧力Pを低くすることによって成膜速度が向上する」という結果を示していたが、この結果は、「下記(n)式に基づく反応ガス濃度Crの増加による成膜速度の向上」を表しているものと誤解されるかもしれない。
【0058】
しかし、成膜速度の向上効果は、反応ガス濃度Crの増加によるものではなく、あくまでプラズマ処理用ガス圧力P(不活性ガス分圧Pi)を低くすることによって得られているものである。この点については図11より明らかである。図11は、電力、反応ガス濃度Cr、および反応ガス流量Qrを一定として、成膜速度のプラズマ処理用ガス圧力P依存性を調べた結果である。図には3つの異なる条件の結果を示しているが、反応ガス濃度Crが一定である(又は、反応ガス分圧Prが低い)にも拘わらず、プラズマ処理用ガスの圧力Pを低くすることによって、成膜速度が向上しているのを確認できる。
【0059】
次に、本実施例によって作成されたアモルファスSi薄膜の特性を調べた。図12は、図10に示した条件で作製したSi薄膜の光感度を、プラズマ処理用ガス圧力Pに対してプロットしたものである。図10と図12を比較して、成膜速度が最大となるプラズマ処理用ガス圧力Pの付近で、光感度も最大値をとっていることが分かる。この理由は定かではないが、プラズマの安定性を維持しつつ、反応ガスを効率的に分解する圧力条件((A)及び(B)式)において、薄膜形成のための望ましい反応種が生成できたものと思われる。なお、上記現象の理解としては、例えば、反応ガス分子が効率的に分解されることによって(反応ガス分子(親分子)の密度が減少することによって)、解離された反応種と反応ガス分子(親分子)との重合が抑制されたり、Heガスが適量に含まれることによって、ガス温度が適切に調整されていることなどが予測されるが、明確な知見は得られていない。
【0060】
[実施例2]
上記の実施例1では、不活性ガスとしてHeを用いた実験結果を示した。しかしながら、本発明の不活性ガスは、これに限定されない。1例として、不活性ガスにArを用いて実験を行った。実験条件は、図10中の○プロットで示した条件と同じであり、プラズマ処理用ガス圧力Pは8Torrとした。その結果、成膜速度は30Å/sであり、Heを用いた場合の結果と大差はなかった。また、105〜106オーダの光感度を有するアモルファスSi薄膜が得られた。
【0061】
[実施例3]
上記の実施例1では、反応ガスとしてSiH4とH2との混合ガスを用い、Si薄膜の成膜実験の結果について説明してきた。しかしながら、本発明の反応ガスはこれに限定されず、また、プラズマ処理の形態も成膜には限定されない。本実施例では、不活性ガスとしてHeガスを用い、また反応ガスとしてSF6を用いて、シリコン基板のエッチング実験を行った。具体的には、SF6ガス分圧Prおよび投入電力を一定とし、プラズマ処理用ガス圧力P(Heガス分圧Pi)を変化させて、シリコン基板のエッチング速度の変化を調べた。実験に用いた高周波電力の周波数は50MHzである。なお、本実験においても、Heガス分圧Pi以外の条件は同一条件とし、チャンバベース総流量Qc(cc/min)も一定としたため、(e)式に基づき、反応ガス流量Qr(SCCM)も一定である。
【0062】
実験結果は図13に示す如くで、実施例1(図7)と同様に、プラズマ処理用ガス圧力P:500Torrを臨界点とし、これ以下においては圧力Pを低くすることによってエッチング速度が増加することを確認できた。また、図14に示すように、エッチング速度が、圧力Pの(−0.5)乗にほぼ比例していることを確認できた。
【0063】
[実施例4]
本実施例では、上記(C)、(D)式に示した周波数fの限定範囲に関わる実験結果について説明する。図10中の□プロットで示した条件のうちプラズマ処理用ガス圧力P=15Torrのデータに対して、周波数fを変更して成膜速度の変化を調べた。(C)式かつ(D)式を満たす様に、周波数fを50MHzに設定したところ、成膜速度が90Å/S以上と、13.56MHzの場合の1.2倍以上に向上した。一方、(C)式の範囲外となる100MHzにまで周波数fを高めると成膜速度は約70Å/Sと、13.56MHzの場合よりも若干低下した。
【0064】
[変形例1]
上記の実施例1〜4では、プラズマ処理装置として、図5に示す装置を用いた結果を示した。しかしながら、本発明に使用するプラズマ処理装置は如何なる形態のものであってもよい。一例として、公知のシャワー電極タイプのプラズマ処理装置を用いて、実施例1と同様の実験を行った。成膜速度は図10のデータに比べ数%程度高い値で、図10と同様の傾向が得られた。
【0065】
[補足説明1.電子およびイオンのドリフト振動]
電子およびイオンの臨界周波数fce、fciに関する、上記の(h)式および(i)式について、その導出過程を説明する。
プラズマ中の個々の電子は、熱運動による無秩序速度をもって他の粒子と衝突しつつ、全体としては電界方向に移動している。この全体的な運動の速度が電子ドリフト速度vdeであり、電子の無秩序速度とは区別して考えるものである。なお、電子の無秩序速度は分布関数で表現されるが、平均化して扱い、これを電子熱速度vteと呼ぶことにする。
【0066】
電界中の電子のドリフト運動の方程式は、下式で与えられる。
me・dvde/dt+νe・me・vde=e・E (1)
ここで、
me:電子の質量、vde:電子のドリフト速度、t:時間、
νe:電子の衝突頻度(1個の電子が、単位時間内に、プラズマ処理用ガス中のその他の粒子と衝突する回数)
e:電子の電荷、E:高周波電源によって与えられる高周波電界
であり、更に電界Eは(2)式のように、また衝突頻度νeは(3)式のように表せる。
E=E0・exp(j・2π・f・t) (2)
(E0:高周波電界の振幅、f:高周波電力の周波数、j:虚数)
νe=vte/λe (3)
(λe:電子の平均自由行程、vte:電子の熱速度)
また、(3)式中の電子の平均自由行程λeは、
λe=(k・Tg/P)/(πr2) (4)
(k:ボルツマン定数、P:プラズマ処理用ガスの圧力、
r:プラズマ処理用ガス中に存在する粒子の平均半径、Tg:気体温度)
で表される。
【0067】
(1)式を解くと、
vde=(e・E/me)/(j・2π・f+νe) (5)
が得られる。なお(5)式は、衝突頻度νe(電子の熱速度vte)が電子ドリフト速度vdeに依存しないものとして得た解であるが、ここでは特には問題とならない。なぜなら、後記するように、vteを(13)式のように置くことによって、臨界周波数fceを求めているからである。
また、不活性ガスイオンのドリフト速度vdi、衝突頻度νiについても、(5)式及び(3)式と同様に表され、
vdi=(e・E/mi)/(j・2π・f+νi) (6)
(mi:イオンの質量、νi:イオンの衝突頻度)
νi=vti/λi (7)
(λi:イオンの平均自由行程、vti:イオンの熱速度)
となる。なお、(7)式中のイオンの平均自由行程λiは、
λi=(k・Tg/P)/(4π・r2) (8)
で表される。
【0068】
(5)式および(6)式より、高周波電力の周波数fと、電子及びイオンのドリフト速度vde、vdiの関係は、先に示した図3(a)のようになる。ここで、電子及びイオンの臨界周波数fce、fciは、下式のように表される。
fce=νe/(2π) (9)
fci=νi/(2π) (10)
(3)(4)(9)式から、fceは、
fce=vte・P・r2/(2k・Tg) (11)
となり、また(7)(8)(10)式より、fciは、
fci=2・vti・P・r2/(k・Tg) (12)
となる。
【0069】
ここで、電子の熱速度vteは、電界が強く電子のドリフト速度vdeが大きくなると増加する傾向にあるが、少なくとも以下の関係を満たしている。
vte≧{(8・k・Te)/(π・me)}1/2(Te:イオン温度)(13)
また、イオンの熱速度vtiは、概ね下式のようにあらわされる。
vti={(8・k・Ti)/(π・mi)}1/2(Ti:イオン温度)(14)
なお、(13)式および(14)式の右辺は、電子およびイオンの無秩序速度がMaxwellの速度分布に従うとしたときの平均速度を表している。
【0070】
(11)式および(13)式より、
fce≧[0.80・{(k・me)−0.5・r2}・{Te 0.5/Tg}]・P(15)
また、(12)式および(14)式より、
fci=[3.2・{(k・mi)−0.5・r2}・{Ti 0.5/Tg}]・P(16)
が得られる。
【0071】
気体温度Tg、電子温度Te、および、イオン温度Tiは、プラズマ処理用ガス圧力Pによって変化するものであるが、少なくとも、下式のような関係にある。
500K≦Ti≒Tg≦5000K (17)
Te≧5000K (18)
したがって、(15)式および(16)式において、(17)、(18)式の関係を考慮し、更に、k=1.38×10−23(J/K)を代入すると、
fce≧[3.0×109(J−0.5)]×[{(me −0.5・r2)・P}(J0.5・Hz)] (19)
fci≦[3.9×1010(J−0.5)]×[{(mi −0.5・r2)・P}(J0.5・Hz)] (20)が得られる。
【0072】
ここで、プラズマ処理用ガス中の大部分の粒子は、(A)式に示されるように不活性ガス原子(またはラジカル)であり、不活性ガスのうち最も原子半径の小さいものはHeであるから、如何なる不活性ガスを用いた場合においても、
r≧1.1×10−10(m) (21)
なる関係が成立する。したがって、(19)式に、me=9.11×10−31(kg)を代入し、更に(21)式の関係を考慮することによって、
が得られる。
【0073】
次に、(20)式中の(mi −0.5・r2)なるパラメータに着目した場合、不活性ガスのうち、このパラメータを最大とするものはHeであるから、如何なる不活性ガスを用いた場合においても、
なる関係が成立する。したがって、この関係を考慮すると、
が得られる。
【0074】
[補足説明2.電子ドリフト速度のプラズマ処理用ガス圧力依存性]
電子ドリフト速度のプラズマ処理用ガス圧力依存性について説明する。本発明では、(C)式に規定されるように、f≦fceなる周波数fを用いているが、このような周波数領域いおいては、電子の慣性の効果((1)式中のme・dvde/dtの項)が無視でき、電子ドリフト速度vdeは、
vde=(e・E)/(me・νe) (25)
で表される。ここで、電子は質量が小さく電界によって加速されやすい。このため、電界が強い場合には、電子が運動エネルギーの一定割合αを他の粒子との衝突によって失い、これと等しいエネルギを電界から得るものと考えられる。すなわち下式が成り立つ。
e・E・vde=α・{(1/2)・me・vte 2}・νe (26)
【0075】
(3)式の関係を用い、(25)式と(26)式との連立方程式を解くと、
vde=(α/2)1/4・(e・E・λe/me)1/2 (27)
が得られる。(4)式から、電子の平均自由行程λeは、λe∝P−1であるから、
vde∝P−1/2 (28)
が成立つ。
なお、(27)式は、(2)式を用いて以下のようにも表現できる。
(符号の+は、sin(2π・f・t)≧0のとき
符号の−は、sin(2π・f・t)<0のとき)
また、(29)式より、ドリフト運動に基づく電子の振動振幅Ade(peak−to−peak)は、
となる。
【0076】
【発明の効果】
本発明は、反応ガスと不活性ガスとの混合ガスからなるプラズマ処理用ガスを用いたプラズマ処理方法において、反応ガス分圧Pr(Torr)に対して、
4×Pr(Torr)≦P(Torr)≦500(Torr)
なる関係を満たすようにプラズマ処理用ガスの圧力P(Torr)を設定しているので、投入電力、及び、反応ガスの利用効率を向上させて、プラズマ処理速度を大幅に向上させることができる。
更に、本発明は、プラズマ処理速度を高めながらも、プラズマ処理用ガスの圧力を500Torr以下としているため、これを1気圧とした場合に比べて反応容器内に導入する不活性ガスが少なくて済む。すなわち、不活性ガスに要するコストを削減できる。
更に、本発明では、上記のプラズマ処理用ガス圧力Pに対して、
0.8×106(Hz/Torr)×P(Torr)≦f(Hz)≦5×106(Hz/Torr)×P(Torr)となる関係を満たすように高周波電力の周波数f(Hz)を設定しているので、電子に効率的にエネルギを供給し、また電子密度を高めて、プラズマ処理速度を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で規定されるプラズマ処理用ガス圧力Pの作用を説明する図である。
【図2】横軸を周波数f、縦軸を電子ドリフト速度vdeとして、プラズマ処理用ガス圧力Pの低圧力化に伴う、電子ドリフト速度vdeの変化を説明する図である。
【図3】本発明で規定される周波数fの作用を説明する図である。
【図4】電子のドリフト振動振幅Adeを小さくすることによる作用を説明する図である。
【図5】本発明に用いられるプラズマ処理装置の基本構成図である。
【図6】本発明の実施例1による実験結果で、プラズマ処理用ガス圧力Pと成膜速度の関係を示すグラフである。
【図7】成膜速度の相対値を縦軸として、図6を表現し直したグラフである。
【図8】プラズマ処理用ガス圧力Pの(−0.5)乗を横軸として、図6を表現し直したグラフである。
【図9】本発明の実施例1による実験結果で、Heガス濃度Ciと成膜速度の関係を示すグラフである。
【図10】図6の横軸を拡大し、併せて、(A)式および(B)式にて規定されるプラズマ処理用ガス圧力Pの範囲を示したグラフである。
【図11】本発明の実施例1による実験結果で、反応ガス濃度を一定とした場合の、プラズマ処理用ガス圧力Pと成膜速度の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例1による実験結果で、プラズマ処理用ガス圧力Pと、成膜されたSi薄膜の光感度との関係を示すグラフである。
【図13】本発明の実施例3による実験結果で、プラズマ処理用ガス圧力Pとエッチング速度の関係を示すグラフである。
【図14】プラズマ処理用ガス圧力Pの(−0.5)乗を横軸として、図13を表現し直したグラフである。
【符号の説明】
1 反応容器
2 放電電極
3 対向電極
4 高抵抗体
5 高抵抗体
6 基板
7 ノズル
8 高周波電源
10 ガス排出口
20 プラズマ処理装置
Claims (6)
- 電極と、ホルダーに保持された基板とが対向して配置され、前記電極と前記ホルダーとの間に高周波電力を供給することによって、前記電極と前記基板との間で、プラズマ処理用ガスに基づくプラズマを発生させ、前記基板に対して、成膜、加工および表面処理などの処理を行うプラズマ処理方法であって、
前記プラズマ処理用ガスが反応ガスと不活性ガスとの混合ガスよりなり、
前記反応ガスが、Si原子を含むガスのグループから選ばれたガスもしくはハロゲン系ガスのグループから選ばれたガスを含み、前記プラズマ処理用ガスの圧力P(Torr)を、
前記反応ガスの分圧をPr(Torr)とするとき、
4×Pr(Torr)≦P(Torr)≦500(Torr)
なる関係を満たすように設定することを特徴とするプラズマ処理方法。 - 前記プラズマ処理用ガスの圧力P(Torr)は、
前記反応ガスの分圧Pr(Torr)に対して、
P(Torr)≦20×Pr(Torr)
なる関係を満足するように設定されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。 - 前記高周波電力の周波数f(Hz)は、
前記プラズマ処理用ガスの圧力P(Torr)に対して、
0.8×106(Hz/Torr)×P(Torr)≦
f(Hz)≦5×106(Hz/Torr)×P(Torr)
なる関係を満たすように設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ処理方法。 - 前記高周波電力の周波数f(Hz)は、
前記プラズマ処理用ガスの圧力P(Torr)に対して、
3×106(Hz/Torr)×P(Torr)≦f(Hz)
なる関係を満たすように設定されることを特徴とする請求項3に記載のプラズマ処理方法。 - 前記不活性ガスは、Heガスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
- 電極と、ホルダーに保持された基板とが対向して配置され、前記電極と前記ホルダーとの間に高周波電力を供給することによって、前記電極と前記基板との間で、プラズマ処理用ガスに基づくプラズマを発生させ、前記基板に対して、成膜、加工および表面処理などの処理を行うプラズマ処理方法であって、
前記高周波電力の周波数f(Hz)を、
前記プラズマ処理用ガス圧力P(Torr)に対して、
3×106(Hz/Torr)×P(Torr)≦
f(Hz)≦5×106(Hz/Torr)×P(Torr)
なる関係を満たすように設定されることを特徴とするプラズマ処理方法。
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