JP3608402B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

内燃機関の可変動弁装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のバルブのリフト量や作用角等のバルブ特性を可変とする可変動弁装置、特にカム特性の異なる複数種のカムを備えると共に、機関バルブを開閉駆動するカムを選択的に切り換えることでバルブ特性を可変とするカム切り換え方式の可変動弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
4サイクル式の内燃機関では、一般に、機関出力軸と同期回転するカムによって機関バルブを開閉駆動させる動弁装置を備えている。
【0003】
こうした動弁装置では通常、熱膨張による機関バルブの突き上げを防止するため、「バルブクリアランス」あるいは「タペットクリアランス」といった空隙が設けられており、カムリフト量がこの空隙分に相当する量以上となるまで、機関バルブは実際には開閉駆動されないようになっている。すなわち、カムリフト量のうち、実質的に機関バルブの開弁が行われない範囲であるカムのベース円から上記空隙分に相当するカムリフト量までの範囲が「無効リフト範囲」となり、実質的な機関バルブの開弁が行われるこの無効リフト範囲以上の範囲が「有効リフト範囲」となる。
【0004】
また、図7に示すように、カムには、そのカムリフト曲線の両端部にカムリフト量の変化量、すなわち揚程変化率の変化量が非常に小さな区間が設けられている。この区間は、一般に「ランプ区間」と云われる。こうしたランプ区間は、機関バルブの開弁時におけるロッカアームのカムフォロワに対するカムの衝突や機関バルブの軸端に対するロッカアームの衝突、若しくは閉弁時おけるバルブシートに対する機関バルブの衝突に起因する異音の発生や衝撃による耐久性能の低下を抑制するために設定されている。
【0005】
また従来、内燃機関の性能向上を図るため、機関バルブのリフト量や作用角等のバルブ特性を可変とする可変動弁装置が開発され、実用されている。こうした可変動弁装置の一種として、上述のようにカム特性の異なる複数種のカムを選択的に切り換えることでバルブ特性を可変とするカム切り換え方式の可変動弁装置があり、例えば特開平2−42104号公報に記載の装置が知られている。
【0006】
図8に、上記公報に記載の可変動弁装置の正面断面構造を示す。
この可変動弁装置は、内燃機関の各気筒毎に、高速運転状態に対応した高速用カム110と低速運転状態に対応した2つの低速用カム120とを備えている。また、高速用カム110の押圧に基づき回動可能な高速用ロッカアーム50と低速用カム120の押圧に基づき回動可能な2つの低速用ロッカアーム51,52とがロッカシャフト200に軸支されている。各低速用ロッカアーム51,52には機関バルブ13が当接されている。そして、各低速用ロッカアーム51,52の回動に伴い機関バルブ13を押圧することで、同機関バルブ13は開閉駆動される。
【0007】
また、この可変動弁装置は、上記高速用ロッカアーム50と各低速用ロッカアーム51,52との相対回動を締結する状態と、同締結を解除して、それらの相対回動を許容してそれらロッカアームがそれぞれ個別に回動される状態とを選択的に切り換えるロック機構を備えている。
【0008】
このロック機構は、上記各ロッカアーム50〜52内に形成され、それらの回動位相が一致したときに連通するシリンダ穴55〜57と、これらシリンダ穴55〜57内に摺動可能に配設されたロックピン53とを備えている。
【0009】
このロックピン53は、コイルばね58の付勢力によって常時、低速用ロッカアーム51側(同図8の左側)に付勢されている。更に、低速用ロッカアーム51のシリンダ穴55には、ロックピン53によって区画される油圧室54が形成されている。この油圧室54は、ロッカシャフト200の内部等に形成された油通路に連通しており、該油通路を通じて油圧室54への作動油の供給、あるいは油圧室54からの作動油の排出が行われる。こうした作動油の供給、排出によって油圧室54内の油圧が調整され、またこうして調整される油圧室54内の油圧と上記コイルばね58の付勢力との釣り合いに応じて、ロックピン53が各シリンダ穴55〜57内を摺動し、その位置が変更される。
【0010】
このロックピン53は、上記各シリンダ穴55〜57内において、上記各ロッカアーム50〜52を締結してそれらの相対回動を規制(ロック)する所定の位置(規制位置)と該締結を解除してそれらの相対回動を許容する所定の位置(許容位置)との間を、油圧制御に基づき往復摺動される。なお、同図8はロックピン53が上記規制位置に位置するときの態様を示している。
【0011】
ロックピン53が規制位置に位置することで、各ロッカアーム50〜52は相互に連結され、これら各ロッカアーム50〜52の相対回動は規制(ロック)される。こうして各ロッカアーム50〜52は、よりカムリフト量やカム作用角が大きく設定された高速用カム110の押圧に基づき、一体となって回動するようになる。したがって、このときの機関バルブ13は、高速用カム11によって開閉駆動されるようになる。
【0012】
一方、ロックピン53が上記許容位置に位置することで、各ロッカアーム50〜52の相対回動は許容され、それぞれが高速用カム110及び低速用カム120の押圧に基づき独自に回動されるようになり、機関バルブ13は低速用カム120によって開閉駆動されるようになる。なお、このとき、高速用ロッカアーム50は高速用カム110の押圧に基づき回動されてはいるが、その動作は機関バルブ13の作動には何の影響も及ぼさない。
【0013】
ところで、この可変動弁装置では、高速用カム110及び低速用カム120のカムプロフィール形状を以下のように設定することで、機関の出力低下を抑制するようにしている。
【0014】
図9に、これらカムの各ランプ区間のカムリフト曲線を拡大して示す。なお、同図9において、曲線L1は高速用カム110の開弁側ランプ区間のカムリフト曲線を、曲線L2は高速用カム110の閉弁側、低速用カム120の開弁側及び閉弁側の各ランプ区間のカムリフト曲線をそれぞれ示している。
【0015】
同図9に示すように、高速用カム110の開弁側ランプ区間のカムリフト曲線L1の傾斜は、その他のランプ区間のカムリフト曲線L2に対して大きな傾斜角を有しており、揚程変化率が相対的に大きく設定されている。これは以下の理由による。
【0016】
先述したように通常、動弁装置では、熱膨張等による機関バルブ13の突き上げを防止するため、カムのリフトが所定高さ以上となるまで実質的に機関バルブの開閉動作には反映されないように上述の「無効リフト範囲」が設定されている。この無効リフト範囲は、部材の寸法公差や経時変化、熱変形等によってばらつきが生じることがある。特に、上記のようなロック機構を備える可変動弁装置の場合、ロックピン53の嵌合上のがたつきから無効リフト範囲のばらつきは増大する傾向にある。こうした無効リフト範囲のばらつきによって、機関バルブ13の開閉弁時期も変動するようになる。
【0017】
一方、開閉弁時期の変動の大きさは、ランプ区間の揚程変化率が大きな程小さくなる。図9に示すように、揚程変化率の大きな高速用カムの開弁側ランプ区間では、無効リフト範囲のばらつきΔに対する開閉弁時期の変動の大きさはδ1となり、その他のランプ区間における同じくばらつきΔに対する開閉弁時期の変動の大きさδ2に比して小さくなる。
【0018】
ここで一般に、機関バルブの開閉弁時期の大きな変動は、内燃機関の性能上好ましいものではない。特に、吸気バルブの開弁時期に大きな変動が生じると、バルブオーバラップの期間も過度に変動してしまうため、内燃機関の性能に及ぼす影響も大きい。
【0019】
そこで、上記可変動弁装置では、このように無効リフト範囲の大きさのばらつきが大きくなる傾向にあり、しかも開弁時期の変動が機関性能に及ぼす影響も大きな高速用カム110の開弁側ランプ区間の揚程変化率を相対的に大きく設定することで開弁時期の変動を低減している。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
このように高速用カム110の開弁側ランプ区間の揚程変化率を他のランプ区間に対して大きく設定することで、開弁時期の変動が低減され、内燃機関の性能も確かに維持される。しかしながら、このような設定では、カムの切り換えに際して次のような不具合が発生するおそれもある。
【0021】
先述のように、上記可変動弁装置では、低速用カム120から高速用カム110への切り換えに際して、ロックピン53を上記規制位置に移動させて上記各ロッカアーム50〜52の相対回動を規制(ロック)させている。こうしたカム切り換え動作の途中には、ロックピン53が完全に規制位置に移動しきっておらず、各ロッカアーム50〜52の相対回動も完全に規制(ロック)されていない期間が存在する。そして、この期間中に高速用カム110のリフト部にて高速用ロッカアーム50が押し下げられると、高速用ロッカアーム50と低速用ロッカアーム51,52との連結(締結)が完全でないために、ロックピン53や各シリンダ穴55〜57が損傷して、可変動弁装置の耐久性や信頼性が損なわれるおそれがある。
【0022】
したがって、上記可変動弁装置のように、高速用カム110の開弁側ランプ区間の揚程変化率を大きく設定すると、高速用ロッカアーム50の押し下げ速度も増大してしまい、上記ロックピン53にかかる衝撃も更に大きくなる。すなわち、上記耐久性や信頼性に関する不安が助長されるようになる。
【0023】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内燃機関の性能低下を抑制しつつも、カム切り換え時の衝撃荷重を好適に緩和することのできる内燃機関の可変動弁装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、カムプロフィール形状のそれぞれ異なる第1のカム及び第2のカムと、機関バルブを開閉駆動するロッカアームに設けられて前記第1のカムの押圧を受ける第1のフォロワと、同じくロッカアームに設けられて前記第2のカムの押圧を受ける第2のフォロワと、それら第1のフォロワと第2のフォロワとを選択的に締結若しくは締結解除するロック機構とを備え、前記ロック機構の締結解除に応じて前記第1のカムへ、同ロック機構の締結に応じて前記第2のカムへと前記機関バルブを開閉駆動せしめるカムを選択的に切り換える内燃機関の可変動弁装置において、前記第2のカムのカムプロフィール形状における開弁側のランプ区間の揚程変化率を、同第2のカムの閉弁側のランプ区間並びに前記第1のカムの開弁側及び閉弁側のランプ区間の揚程変化率に比して小さく設定したことをその要旨とする。
【0025】
上記構成によれば、第2のカムのカムプロフィール形状における開弁側ランプ区間の揚程変化率を他のランプ区間の揚程変化率に比して小さく設定することで、第2のカムの開弁側ランプ区間における第1及び第2のフォロワ間の相対動作の速度を抑制することができるようになる。
【0026】
上記のような、第1及び第2のフォロワを締結あるいは締結解除することで、機関バルブを開閉駆動させるカムを切り換える方式の可変動弁装置では、カムの切り換えに際して、ロック機構に大きな衝撃荷重が負荷されることがある。この衝撃荷重は、各フォロワの締結が完了する以前に、第2のカムのリフトが開始され、これらフォロワ間の相対運動が生じたときに発生する。このときの衝撃荷重は、ランプ区間の揚程変化率を小さくして各フォロワ間の相対運動の動作速度を低速とすることで低減することができる。
【0027】
しかしながら、ランプ区間の揚程変化率を小さく設定すると、内燃機関の性能低下を招くおそれがある。これは、揚程変化率を小さくするほど、実質的に機関バルブの開弁が行われないカムリフト量の範囲(無効リフト範囲)の偏差に対する同機関バルブの開閉弁時期の変動の割合が大きくなるためである。
【0028】
その点、上記構成によれば、第2のカムの開弁側ランプ区間の揚程変化率のみを他のランプ区間に比べて小さく設定しているため、他のランプ区間では上記無効リフト範囲の変化に伴う機関バルブの開閉弁時期の変動も小さくすることができる。したがって、内燃機関の性能低下を最低限に抑えつつも、可変動弁装置の耐久性や信頼性を確保できるようになる。
【0029】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁装置は当該機関の吸気側及び排気側の両方に設けられたものであって、当該機関の吸気側及び排気側の両方に設けられたカムについて、前記第2のカムのカムプロフィール形状における開弁側のランプ区間の揚程変化率を、同第2のカムの閉弁側のランプ区間並びに前記第1のカムの開弁側及び閉弁側のランプ区間の揚程変化率に比して小さく設定したことをその要旨とする。
【0030】
上記構成によれば、当該機関の吸気側及び排気側の可変動弁装置の耐久性や信頼性をともに確保することができるようになる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁装置は、当該機関の吸気側及び排気側の両方に設けられたものであって、当該機関の排気側に設けられたカムについてのみ、前記第2のカムのカムプロフィール形状における開弁側のランプ区間の揚程変化率を、同第2のカムの閉弁側のランプ区間並びに前記第1のカムの開弁側及び閉弁側のランプ区間の揚程変化率に比して小さく設定したことをその要旨とする。
【0031】
排気バルブの閉弁時期と吸気バルブの開弁時期との間のバルブオーバラップ期間の変動は、内燃機関の性能に多大な影響を及ぼす。そのため、排気バルブの閉弁時期及び吸気バルブの開弁時期の変動は、可能な限り抑制することが好ましい。その点、上記構成によれば、排気側に設けられた高速用カムの開弁側ランプ区間の揚程変化率のみを小さく設定しているため、バブルオーバラップ期間の変動を抑えながらも、その上で排気側に設けられた可変動弁装置の耐久性や信頼性を確保することができる。
【0032】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記第2のカムのカムリフト高さ及びカム作用角の少なくとも一方が、前記第1のカムに比して大きく設定されてなることをその要旨とする。
【0033】
上記構成によれば、第2のカムの閉弁側ランプ区間の揚程変化率だけは大きく設定し、その閉弁時期の変動を抑制している。カムリフト高さあるいはカム作用角を大きく設定すると、当該機関の性能に対して機関バルブの開閉弁時期の変動の及ぼす影響が大きくなる傾向にある。そのため、第2のカムによる機関バルブの開閉駆動時における閉弁時期の変動を抑制したことで、当該機関の性能低下を抑制することができるようになる。
【0034】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記第2のフォロワは前記ロッカアームに摺動可能に配設される可動カムフォロワであり、前記ロック機構は、摺動可能に配設されたロックピンを有するとともに、前記ロッカアームに対する前記可動カムフォロワの運動を、同ロックピンの第1の摺動位置で規制し、該第1の摺動位置とは異なる第2の摺動位置で規制解除するものである
ロッカアームに配設された可動カムフォロワの摺動をロックピンによって締結あるいは締結解除することで機関バルブを開閉駆動するカムを切り換える方式の可変動弁装置では、第2のカムによる開閉駆動時には、可動カムフォロワとロックピンとが当接することによって第2のカムの押圧がロッカアームに伝達される。そのため、第1のカムから第2のカムの切り換えに際して生じるおそれのある上記衝撃の影響は特に大きくなる。その点、上記構成によれば、衝撃荷重を低減し、耐久性や信頼性の低下を大幅に抑えることができるようになる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内燃機関の可変動弁装置を具体化した一実施形態について説明する。
【0036】
まず、本実施形態の可変動弁装置において、カムを選択的に切り換えて機関バルブのバルブ特性を可変とするための構造及びその機能について、図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0037】
図1に本実施形態の可変動弁装置のロッカアーム付近の正面構造を、図2に同じくロッカアーム付近の側面構造を示す。
これら図1及び図2に示すように、この可変動弁装置において、カムシャフト10にはカムプロフィールのそれぞれ異なる2種類のカム11,12が設けられている。これらカムのうち、カム11はカムリフト量及びカム作用角の少なくとも一方がより大きく設定された高速用カムとなっており、またカム12は上記カムリフト量及びカム作用角の少なくとも一方がより小さく設定された低速用カムとなっている。
【0038】
一方、これらカム11,12が設けられたカムシャフト10の下方には、ロッカシャフト20に回動可能に支持されたロッカアーム21が配設されている。ロッカアーム21の先端側には、アーム22が設けられている。このアーム22の先端は一対の機関バルブ13(図2)の上端と当接され、機関バルブ13のバルブスプリング14(図2)の付勢力によって、それらバルブ13が閉量される側に押圧されている。そして前述のように、ロッカアーム21の回動に伴い揺動されるアーム22が機関バルブ13を押圧することによって、機関バルブ13は開閉駆動される。
【0039】
また、ロッカアーム21の上面には、高速用カム11と当接可能な可動カムフォロワ23と、低速用カム12と当接可能なローラカムフォロワ24とが配設されている。ローラカムフォロワ24は、ロッカアーム21に回転可能に支持されており、低速用カム12と転がり接触しつつ、その押圧を受け、同カム12の押圧をロッカアーム21に伝達可能となっている。
【0040】
他方、可動カムフォロワ23は、ロッカアーム21に対して上下方向に摺動自在に配設されている。可動カムフォロワ23は、コイルばね25の付勢力によって高速用カム11に向けて常時押圧されている。そのため可動カムフォロワ23は、高速用カム11とすべり接触しつつ、その押圧を受けるようになる。
【0041】
更に、ロッカアーム21には、上記可動カムフォロワ23のロッカアーム21に対する相対摺動を油圧制御に基づき選択的に許容または規制(ロック)するロック機構30が備えられている。このロック機構30の動作に使用される作動油は、上記ロッカシャフト20内に形成されたロッカシャフト油通路43及び上記ロッカアーム21内に形成されたロッカアーム油通路(図1及び図2では図示略)を通じて供給あるいは排出される。なお、ロック機構30を動作させる作動油は、内燃機関の各部の潤滑に使用される潤滑油の一部が流用されている。このロック機構30の詳細な構成及びその動作については後述する。
【0042】
さて、このロック機構30によってロッカアーム21に対する可動カムフォロワ23の相対摺動が許容されている場合、同可動カムフォロワ23はロッカアーム21の回動(アーム22の揺動)とは関係無く、独自に高速用カム11の押圧に基づき上下方向に摺動される。
【0043】
なお、可動カムフォロワ23を高速用カム11に向けて付勢するコイルばね25の付勢力は、上記機関バルブ13のバルブスプリング14の付勢力に対して十分に小さく設定されている。そのため、ロッカアーム21に対する可動カムフォロワ23の相対摺動が許容されている場合には、高速用カム11の押圧力は、可動カムフォロワ23によってほとんど吸収されてしまい、ロッカアーム21に対しては機関バルブ13を駆動する程の大きな力としては伝達されない。そのため、このときのロッカアーム21は、ローラカムフォロワ24を介して伝達される低速用カム12の押圧に基づき回動(揺動)し、機関バルブ13は、同カム12のカムプロフィール形状に応じて開閉駆動されるようになる。
【0044】
一方、ロック機構30によって上記相対摺動が規制(ロック)されている場合、高速用カム11の押圧は可動カムフォロワ23を介してロッカアーム21に伝達されるようになる。そのため、このときのロッカアーム21は、よりカムリフト量及びカム作用角の大きな高速用カム11の押圧に基づき回動(揺動)されるようになり、機関バルブ13は、同カム11のカムプロフィール形状に応じて開閉駆動されるようになる。
【0045】
本実施形態の可変動弁装置では、基本的にはこのようにして機関バルブ13を開閉駆動するカムを選択的に切り換え、バルブ特性を可変としている。
続いて、上記ロック機構30の詳細な構成及びその動作について説明する。
【0046】
図3及び図4は、ロック機構30の側部断面構造を示す断面図である。なお、図3は上記相対摺動が許容された状態を、図4は上記相対摺動が規制(ロック)された状態をそれぞれ示す。
【0047】
これら図3及び図4に示すように、高速用カム11(図1,図2)と当接される可動カムフォロワ23は、ロッカアーム21を上下方向に貫く摺動孔35内に摺動自在に遊嵌されている。また、ロッカアーム21の下部には、上記摺動孔35と交差するシリンダ穴36が前後方向に向けて形成されている。このシリンダ穴36内には、ロックピン31が摺動可能に遊嵌されている。ロックピン31は、コイルばね33の付勢力によって摺動孔35から離間する方向、すなわちロッカアーム21の基端方向に常時付勢されている。
【0048】
このロックピン31の先端側には、溝32が形成されている。この溝32には、可動カムフォロワ23の下端部が嵌入可能となっている。この溝32のロッカアーム21の先端側は底面が切り欠かれており、図3に示すように、ロックピン31がロッカアーム21の基端側に位置するときには、摺動孔35内での可動カムフォロワ23の上下方向への摺動が許容される。すなわち、可動カムフォロワ23のロッカアーム21(ローラカムフォロワ24)との締結が解除される。
【0049】
一方、上記溝32のロッカアーム21の基端側には底面が残されており、図4に示すように、ロックピン31がロッカアーム21の先端側に位置するときには、可動カムフォロワ23の底面が該溝32の底面に当接して、同フォロワ23の上記様態での摺動が規制(ロック)される。すなわち、可動カムフォロワ23がロッカアーム21(ローラカムフォロワ24)に締結される。
【0050】
このロックピン31が配設されたシリンダ穴36にあって、ロックピン31によって区画された基端側の空間34は、ロックピン31を摺動させるための作動油が導入される油圧室となっている。この油圧室34は、ロッカアーム21内に形成されたロッカアーム油通路49に接続されている。このロッカアーム油通路49は、前記ロッカシャフト油通路43(図1,図2)と連通されている。そして、これら油通路43,49を通じて、油圧室34との間で作動油の供給及び排出が行われることで、同油圧室34内の油圧が調整される。
【0051】
すなわち、ロッカアーム21に対する可動カムフォロワ23の相対摺動を許容する場合、油圧室34内から作動油を排出し、同室34内の油圧を低下させる。油圧の低下に伴いロックピン31は、コイルばね33の付勢力によってロッカアーム21の基端側の所定位置(許容位置)に移動する。その結果、可動カムフォロワ23の下端部は、図3に示すように、溝32の先端側の底面が切り欠かれた部分に位置するようになり、その上下方向の相対摺動が許容される。このとき高速用カム11の押圧は、先述したようにロッカアーム21に対してはほとんど伝達されないため、同ロッカアーム21は低速用カム12(図1,図2)によって揺動されるようになる。
【0052】
一方、可動カムフォロワ23の上記相対摺動を規制(ロック)する場合には、油圧室34内に作動油を供給して、同室34内の油圧を高くする。ロックピン31は、油圧の上昇に伴い、コイルばね33の付勢力に抗しながらロッカアーム21の先端側の所定位置(規制位置)に移動する。こうしてロックピン31が移動することで、可動カムフォロワ23の底面は、図4に示すように、溝32の基端側の底面が残された部分に位置し、この底面に乗りかかるような態様で当接するようになる。その結果、高速用カム11の押圧は、可動カムフォロワ23及びロックピン31の当接を通じてロッカアーム21にも直接伝達されるようになる。そしてこの場合には、先述したように、ロッカアーム21は、よりカムリフト量及びカム作用角の少なくとも一方が大きく設定された高速用カム11によって揺動されるようになる。
【0053】
次に、こうしたカム切り換え時におけるロックピン31及び可動カムフォロワ23の挙動について、図5に基づき説明する。
図5は、本実施形態の可変動弁装置のロックピン31の先端部及び可動カムフォロワ23の下端部の拡大断面構造を示している。図5(a)は、ロックピン31が上記許容位置に位置するときの態様を、図5(b)は上記規制位置に位置するときの態様をそれぞれ示している。
【0054】
同図5(a)に示すように、ロックピン31が許容位置に位置するときには、可動カムフォロワ23の下端部は同ロックピン31の溝32の底面が切り欠かれた部分32aに位置し、ロッカアーム21に対する同可動カムフォロワ23の相対摺動が許容される。また同図5(b)に示すようにロックピン31が規制位置に位置するときには、可動カムフォロワ23の下端部が同ロックピン31の溝32の底面が残された部分32bに位置する。このとき、可動カムフォロワ23の下端全面が溝32の底面が残された部分32bと当接するため、高速用カム11の押圧を十分に受圧することができる。
【0055】
ところが、上記構造のロック機構30では、低速用カム12から高速用カム11への切り換え動作途中には、ロックピン31が完全に上記規制位置に移動しきっていない期間が存在する。こうしたカム切り換え動作途中の期間に、高速用カム11のリフト部にて可動カムフォロワ23が押し下げられると、図5(c)に示すように、ロックピン31は所定の規制位置に位置しないまま、同可動カムフォロワ23と当接してしまう。
【0056】
このとき、可動カムフォロワ23の下端は、その一部でしか上記溝32の底面が残された部分32bと当接していないため、これらの当接面には高速用カム11の押圧に対して非常に高い面圧が加えられる。この面圧によって、可動カムフォロワ23やロックピン31の損傷が生じるおそれがある。また、場合によっては、可動カムフォロワ23との当接時の衝撃によって、ロックピン31が上記許容位置側に押し戻されることもある。こうして可変動弁装置の信頼性や耐久性が損なわれてしまう。
【0057】
なお、このように移動途中にロックピン31が可動カムフォロワ23と当接したり、当接時の衝撃によって押し戻されたりしても、高速用カム11のリフト部による押し下げが一旦終わり、次回の押し下げが開始されるまでの間に、同ロックピン31は所定の規制位置に移動することができるため、カムの切り換えは行うことができる。
【0058】
このようなカム切り換えに際しての損傷を低減すべく、本実施形態の可変動弁装置では、カムプロフィール形状に以下のような改良を施している。
図6(a)に、本実施形態の可変動弁装置の高速用カム11及び低速用カム12のカムリフト曲線を示す。また、図6(b)に、これらカム11,12のカムリフト曲線のランプ区間を拡大して示す。
【0059】
本実施形態の可変動弁装置において、高速用カム11及び低速用カム12のランプ区間の揚程変化率は、図6(b)に示すように、高速用カム11の開弁側Hoの揚程変化率が、同高速用カム11の閉弁側Hc、並びに低速用カム12の開弁側Lo及び閉弁側Lcの揚程変化率に対して小さく設定されている。したがって、高速用カム11の開弁側ランプ区間における機関バルブ13の動作速度(可動カムフォロワ23の押し下げ速度)は相対的に低速となる。
【0060】
なお、本実施形態の可変動弁装置では、ランプ区間における最大リフト量(ランプ高さ)hは、各カム11,12の開弁側、閉弁側ともに、同一の大きさとなっている。そのため、ランプ区間の長さ、すなわちランプ区間に相当するカムシャフトの回転位相角は、高速用カム11の閉弁側のランプ区間長b及び低速用カム12の開弁側及び閉弁側のランプ区間長cに対して、高速用カム11の開弁側のランプ区間長aの方が大きく設定されている(a>b,c)。
【0061】
先述した可動カムフォロワ23とロックピン31との衝突は、高速用カム11によって可動カムフォロワ23の押し下げが開始された直後、すなわち同カム11の開弁側ランプ区間Hoにて同フォロワ23の押し下げが行われているときに発生する。そのため、このように高速用カム11の開弁側ランプ区間Hoの揚程変化率のみを相対的に小さく設定することで、ロック機構30にかかる衝撃を緩和し、その耐久性や信頼性を保持することができるようになる。
【0062】
なお先述したように、ランプ区間の揚程変化率を小さく設定すると、無効リフト範囲の変化に応じて機関バルブ13の開閉弁時期が変動し、内燃機関の性能上も好ましくない。しかし本実施形態の可変動弁装置では、上述のように高速用カム11の開弁側ランプ区間(Ho)の揚程変化率のみが相対的に小さく設定されており、その他の区間、すなわち高速用カム11の閉弁側(Hc)並びに低速用カム12の開弁側(Lo)及び閉弁側(Lc)のランプ区間の揚程変化率は、十分に大きく設定されている。その結果、これらの区間(Hc,Lo,Lc)では、上記無効リフト範囲の変化に伴う機関バルブ13の開閉弁時期の変化は相対的に小さくなり、内燃機関の性能に及ぼす悪影響も最小限のものとなる。すなわち、本実施の形態の可変動弁装置では、高速用カム11の開弁側ランプ区間の揚程変化率のみを他のランプ区間に比べて小さく設定したことで、内燃機関の性能低下を最低限に抑えつつも、ロック機構30の耐久性や信頼性を確保できるようにしている。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の内燃機関の可変動弁装置によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)高速用カム11の開弁側ランプ区間Hoの揚程変化率を、同高速用カム11の閉弁側ランプ区間Hc並びに低速用カム12の開弁側及び閉弁側ランプ区間Lo,Lcに比して小さく設定したことで、ロック機構30にかかる衝撃を緩和し、その耐久性や信頼性を高く保持することができるようになる。
【0064】
(2)また、高速用カム11の開弁側ランプ区間Hoの揚程変化率のみを相対的に小さく設定しているため、他のランプ区間Hc,Lo,Lcの揚程変化率は相対的に大きく設定されている。その結果、高速用カム11の開弁側ランプ区間Hoの揚程変化率を小さくしたことに伴う機関バルブ13の開閉弁時期の変動の増大を最低限に抑制することができ、内燃機関の性能低下も最小限に抑えることができるようになる。
【0065】
なお、本発明の実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の可変動弁装置では、各カム11,12の開弁側、閉弁側のランプ高さhを全て同じとし、それらのランプ区間長a,b,cを変えることで、高速用カム11の開弁側ランプ区間Hoの揚程変化率を相対的に小さく設定させていたが、これらランプ区間のランプ高さを適宜調整することによって、あるいはランプ区間長及びランプ高さをそれぞれ調整することによっても、上記の設定を行うことができる。
【0066】
・また、上記実施形態の可変動弁装置では、高速用カム11の閉弁側並びに低速用カム12の開弁側及び閉弁側のランプ区間の揚程変化率は全て同一に設定されていたが、高速用カム11の開弁側ランプ区間の揚程変化率に比して大きく設定されていれば、これら区間の揚程変化率の間に差異があったとしても本実施形態の効果に準じた効果を得ることができる。
【0067】
・吸気系、排気系ともにカム切り換え方式の可変動弁装置が設けられる構成の内燃機関の場合、本発明にかかる可変動弁装置、すなわちロック機構の締結に応じて機関バルブを押圧するようになるカムの開弁側ランプ区間の揚程変化率を他のランプ区間に比して小さく設定した可変動弁装置をどちらか一方の系だけに適用する構成としても、あるいは両方の系ともに適用する構成としてもよい。吸気系、排気系ともに本発明にかかる可変動弁装置を適用した場合、これら両方の系に設けられた可変動弁装置の耐久性や信頼性をともに確保することができるようになる。
【0068】
・また特に、排気系のみに本発明にかかる可変動弁装置を適用した場合には、内燃機関の性能低下を大幅に抑制することができるようになる。これは以下の理由による。排気バルブの閉弁時期と吸気バルブの開弁時期との間のバルブオーバラップ期間の変動は、内燃機関の性能に多大な影響を及ぼす。そのため、排気バルブの閉弁時期及び吸気バルブの開弁時期の変動は、可能な限り抑制することが好ましい。したがって、排気側に設けられた高速用カムの開弁側ランプ区間の揚程変化率のみを小さく設定することで、バブルオーバラップ期間の変動を抑え、内燃機関の性能の低下を大幅に抑制しながらも、その上で排気側に設けられた可変動弁装置の耐久性や信頼性を確保することができる。
【0069】
・また、上記実施形態の可変動弁装置では、高速用カム11側は可動カムフォロワ23とすべり接触し、低速用カム12側はローラカムフォロワ24と転がり接触する構成となっているが、これらカム11,12の接触態様はこれに限定されない。例えば、高速用カム11も低速用カム12も転がり接触する構成としたり、高速用カム11側が転がり接触し、低速用カム12側がすべり接触する構成としてもよい。すなわち、本発明はカムの接触態様の如何に関わらず適用することができる。
【0070】
・また、揚程変化率を相対的に小さく設定するランプ区間は、上記実施形態の可変動弁装置のように高速用カム11の開弁側ランプ区間に限定されるものではない。上記のように揚程変化率を相対的に小さく設定するランプ区間は、要するにカムプロフィール形状の異なる複数種のカムによってそれぞれ独自に動作される部材間の相対運動を規制したときに能動となり、機関バルブを開閉駆動させるようになるカムの開弁側ランプ区間であって、可変動弁装置の構成の違いによっては上記設定の対象となるカムが異なる構成となることがある。例えば、高速用カムはロッカアームを直接押圧し、低速用カムは同ロッカアームに対して相対運動可能に配設された可動カムフォロワを押圧する構成とするとともに、同可動カムフォロワを高速用カムとロッカアームとの当接部に対してカムシャフトの回転軸心により近い位置で低速用カムと可動カムフォロワとが当接するように同可動カムフォロワの相対運動を規制するロック機構を備える可変動弁装置等、低速用カムの押圧に基づき動作される部材の上記相対運動を規制あるいは許容することでカムの切り換えを行う可変動弁装置では、低速用カムの開弁側ランプ区間の揚程変化率をその他のランプ区間に比して小さく設定することで、本実施形態の効果に準じた効果を得ることができるようになる。
【0071】
・また、本発明は、先の図8に例示したような、複数種のカムの押圧によってそれぞれ独自に回動される複数のロッカアームを備えると共に、これらのロッカアームを互いに連結あるいは分離することで機関バルブを開閉駆動せしめるカムを切り換える機構の可変動弁装置にも同様に適用することができる。要は、それがカムプロフィール形状の異なる複数種のカムによってそれぞれ動作される部材を備え、これら部材間の相対運動を選択的に規制あるいは許容するロック機構の動作に基づき機関バルブを開閉駆動させるカムを選択的に切り換えることでバルブ特性を可変とする可変動弁装置であれば、上記実施形態に準じたカムプロフィール形状を設定することで、上記実施形態の効果に準じた効果を得ることはできる。
【0072】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、第2のカムのカムプロフィール形状における開弁側ランプ区間の揚程変化率を他のランプ区間の揚程変化率に比して小さく設定することで、内燃機関の性能低下を最低限に抑えつつも、可変動弁装置の耐久性や信頼性を確保できるようになる。
【0073】
また、請求項2に記載の発明によれば、当該機関の吸気側及び排気側の可変動弁装置の耐久性や信頼性をともに確保することができるようになる。
また、請求項3に記載の発明によれば、排気側に設けられた高速用カムの開弁側ランプ区間の揚程変化率のみを小さく設定しているため、バブルオーバラップ期間の変動を抑えながらも、その上で排気側に設けられた可変動弁装置の耐久性や信頼性を確保することができる。
【0074】
また、請求項4に記載の発明によれば、第2のカムの閉弁側ランプ区間の揚程変化率だけは大きく設定し、その閉弁時期の変動を抑制したことで、当該機関の性能低下を最小限に抑制することができるようになる。
【0075】
また、請求項5に記載の発明によれば、衝撃荷重を低減し、耐久性や信頼性の低下を大幅に抑えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内燃機関の可変動弁装置の一実施形態についてそのロッカアーム付近の正面図。
【図2】同可変動弁装置のロッカアーム付近の側面図。
【図3】同可変動弁装置のロック機構の構造を示す断面図。
【図4】同可変動弁装置のロック機構の構造を示す断面図。
【図5】同可変動弁装置のロック機構のロックピン先端付近の拡大断面斜視図。
【図6】同可変動弁装置のカムのカムリフト曲線を示すグラフ。
【図7】従来の動弁装置のカムリフト曲線を示すグラフ。
【図8】従来の可変動弁装置の正面断面構造を示す断面図。
【図9】同じく従来の可変動弁装置のカムリフト曲線を示すグラフ。
【符号の説明】
10…カムシャフト、11,110…高速用カム、12…低速用カム、13…機関バルブ、14…バルブスプリング、20…ロッカシャフト、21…ロッカアーム、22…アーム、23…可動カムフォロワ、24…ローラカムフォロワ、25…コイルばね、30…ロック機構、31…ロックピン、32…溝、33…コイルばね、34…油圧室、35…摺動孔、36…シリンダ穴、43…ロッカシャフト油通路、49…ロッカアーム油通路。

Claims (5)

  1. カムプロフィール形状のそれぞれ異なる第1のカム及び第2のカムと、機関バルブを開閉駆動するロッカアームに設けられて前記第1のカムの押圧を受ける第1のフォロワと、同じくロッカアームに設けられて前記第2のカムの押圧を受ける第2のフォロワと、それら第1のフォロワと第2のフォロワとを選択的に締結若しくは締結解除するロック機構とを備え、前記ロック機構の締結解除に応じて前記第1のカムへ、同ロック機構の締結に応じて前記第2のカムへと前記機関バルブを開閉駆動せしめるカムを選択的に切り換える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記第2のカムのカムプロフィール形状における開弁側のランプ区間の揚程変化率を、同第2のカムの閉弁側のランプ区間並びに前記第1のカムの開弁側及び閉弁側のランプ区間の揚程変化率に比して小さく設定した
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 前記可変動弁装置は、当該機関の吸気側及び排気側の両方に設けられたものであって、
    当該機関の吸気側及び排気側の両方に設けられたカムについて、前記第2のカムのカムプロフィール形状における開弁側のランプ区間の揚程変化率を、同第2のカムの閉弁側のランプ区間並びに前記第1のカムの開弁側及び閉弁側のランプ区間の揚程変化率に比して小さく設定した
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  3. 前記可変動弁装置は、当該機関の吸気側及び排気側の両方に設けられたものであって、
    当該機関の排気側に設けられたカムについてのみ、前記第2のカムのカムプロフィール形状における開弁側のランプ区間の揚程変化率を、同第2のカムの閉弁側のランプ区間並びに前記第1のカムの開弁側及び閉弁側のランプ区間の揚程変化率に比して小さく設定した
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。
  4. 前記第2のカムのカムリフト高さ及びカム作用角の少なくとも一方が、前記第1のカムに比して大きく設定されてなる
    請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
  5. 前記第2のフォロワは前記ロッカアームに摺動可能に配設される可動カムフォロワであり、
    前記ロック機構は、摺動可能に配設されたロックピンを有するとともに、前記ロッカアームに対する前記可動カムフォロワの運動を、同ロックピンの第1の摺動位置で規制し、該第1の摺動位置とは異なる第2の摺動位置で規制解除するものである
    請求項4に記載の内燃機関の可変動弁装置。
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