JP3608372B2 - 棒型圧着端子の製造方法 - Google Patents

棒型圧着端子の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器への棒状差込部と、電線の芯線部分を挿入した状態で外部からの圧着によってその電線と電気的且つ機械的に接続を行う筒状接続部とを、単一素材から一体に構成してなる棒型圧着端子に関する。
【0002】
【従来の技術】
IV電線やVVFケーブルなどにみるような、1.6φや2.0φの単芯線を電源線として接続することを想定した各種の電気機器に、0.75mmや1.25mmなどの一般にコードと称される多芯電線を接続するような場合、芯線が柔らか過ぎて接続が困難な場合がある。このような場合、図3に示すような棒状差込部10と筒状接続部11とを一体に構成した棒型圧着端子1を介して接続を行う。
【0003】
すなわち、コードと称される多芯電線2の絶縁被覆20を剥がして露出させた芯線部21を、棒型圧着端子1の筒状接続部11に挿入した状態で外部からの圧着により、多芯電線2と棒型圧着端子1との電気的且つ機械的な接続を行って、図4に示す状態にした後、単芯線の接続を想定した電気機器の例えば電源線接続部に棒状差込部10を接続するのである。
【0004】
ところで、実開昭61−60474号公報には、前述したような棒型圧着端子に関する開示がなされている。そして、この実開昭61−60474号公報によれば、当初の棒型圧着端子1は、銅製あるいは銅合金製の帯状金属素材を、棒状差込部10と筒状接続部11との必要周長に合わせた二段幅のものに切り出し、次いで両幅部各々を同時あるいは別々にカーリング加工し、最後に筒状接続部11における当接または極近接した端縁11aどうしをロー付け接合したもので、図5に示すようなものであった。
【0005】
しかしながら、前述のような工程を経て製造される棒型圧着端子1にあっては、製造工程が多く特にロー付け作業に手間取り生産能率が悪くて製造コストの高いものとなり、しかも切り出し工程で多大な材料ロスを招き、更に圧着時においてロー付け部分が裂けたり割れたりして不良品の発生率が高く、歩留りが悪いといった欠点があった。
【0006】
そこで、実開昭61−60474号公報記載考案の考案者は、使用材料ならびに加工手段を抜本的に変えることにより、コストダウンならびに歩留り向上を図り得るものとして下記のような棒型圧着端子1を提案している。すなわち、線材から必要長さの中実棒状素材を切り出す工程と、この中実棒状素材に対してヘッティング加工という自動化の容易な冷間鍛造工程との、二工程をもって所定形状のものを得るとこができて、ロー付けの不要化と相まって生産能率の著しい増進が図れるとともに、その製造工程での材料ロスが皆無であり、しかも圧着時に強大な力を受ける筒状接続部を均質なものに形成できて、圧着時に裂けたり割れたりする恐れがなく、製品歩留りを顕著に向上するとこができるものであり、図4に示す棒型圧着端子1である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の棒型圧着端子にあっては、必要周長に合わせた二段幅のものに切り出す工程あるいは必要長さの中実棒状素材に切り出す工程、すなわち最初の工程にて、棒型圧着端子一個分の単一素材それぞれ切り出されて独立分離した状態となるものであるから、単一素材を順次次工程へ移送するには特別な移送装置が必要で、コストが嵩むという問題点があった。
【0008】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、筒状接続部の圧着時に裂けたり割れたりする恐れがなく、製品歩留りが良好で、棒型圧着端子一個分の単一素材を特別な移送装置を用いることなく順次次工程へ移送することのできる、安価で優れる棒型圧着端製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点を解決するため電気機器への棒状差込部と、電線の芯線部分を挿入した状態で外部からの圧着によってその電線と電気的且つ機械的に接続を行う筒状接続部とを、単一素材から一体に構成してなる棒型圧着端子であって、前記単一素材は、帯状金属素材から適正体積を有するように打ち抜かれたものであり、前記筒状接続部は、前記単一素材の所定部を鍛造工程にて形成した中実円柱状部に、その軸に添って孔を穿設することにより筒状にしたものである
【0010】
請求項記載の発明にあっては、電気機器への棒状差込部と、電線の芯線部分を挿入した状態で外部からの圧着によってその電線と電気的且つ機械的に接続を行う筒状接続部とを、単一素材から一体に構成してなる棒型圧着端子の製造方法であって、帯状金属素材から適正体積の単一素材を打ち抜く打ち抜き工程と、打ち抜き工程を経て得た単一素材の所定部を中実円柱状部に塑性変形することによって中間加工材を形成する鍛造工程と、鍛造工程を経て得た中間加工材の中実円柱状部に、その軸に添って孔を穿設することによって筒状接続部を形成する穿設工程とを備え、前記打ち抜き工程で、帯状金属素材を順次連続的に送り出しながら、余分な部分を切り落とし、帯状金属素材の長手方向の一方側を連接代として連ねて残すとともに、連接代に根元代をもって接続する単一素材を残すように加工し、前記鍛造工程、穿設工程の各工程では、根元代をもって連接代に接続された状態で順次連続的に移送されるようになしたことを特徴とする製造方法である。
【0011】
請求項記載の発明にあっては、電気機器への棒状差込部と、電線の芯線部分を挿入した状態で外部からの圧着によってその電線と電気的且つ機械的に接続を行う筒状接続部とを、単一素材から一体に構成してなる棒型圧着端子の製造方法であって、帯状金属素材から根元代を具備して適正体積の単一素材を連ねて打ち抜く打ち抜き工程と、打ち抜き工程を経て得た連ねた状態の単一素材を根元代にて鍛造工程に適する向きに捻る捻り工程と、捻り工程を経て得た連ねた状態の単一素材の所定部を中実円柱状部に塑性変形することによって中間加工材を形成する鍛造工程と、鍛造工程を経て得た連ねた状態の中間加工材の中実円柱状部に、その軸に添って孔を穿設する穿設工程に適する向きに中間加工材を根元代にて折り曲げる折り曲げ工程と、折り曲げ工程を経て得た連ねた状態の中間加工材の中実円柱状部に、その軸に添って孔を穿設することによって筒状接続部を形成する穿設工程とを備えることを特徴とする製造方法である。
【0012】
請求項記載の発明にあっては、前記捻り工程における捻り角度は90度であり、前記折り曲げ工程における折り曲げ角度は90度であることを特徴とする製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る棒型圧着端子およびその製造方法の一実施の形態を図1および図2に基づいて詳細に説明する。図1は棒型圧着端子の製造方法を説明する斜視図、図2は棒型圧着端子を示す斜視図である。
【0014】
本発明に係る棒型圧着端子は、図1に示すような手順にて製造される。すなわち、銅製あるいは銅合金製の帯状金属素材を順次連続的に送り出しながら、先ず連続プレス打ち抜き加工にて余分な部分を切り落とし、帯状金属素材の長手の一方側を連接代Pとして連ねて残すとともに、連接代Pに根元代Qをもって接続する図1(a)に示すような単一素材Aを残すように加工する。単一素材Aは角柱部Aと幅広部Aとを備える。角柱部Aは、最終的に円柱の棒状差込部10に成形される部分であり、一辺が略帯状金属素材の板厚である断面略正方形の棒とされている。幅広部Aは、最終的に筒状接続部11に成形される部分であり、後工程の鍛造工程にてちょうど筒状接続部11と同じ外径の中実円柱状部に仕上げ可能な体積にされている。
【0015】
図1(a)に示すように切り出し加工された単一素材Aは、図1(b)に示すように、そのまま平行移動された状態で、角柱部Aを円柱部Aに且つ先端を先細りに塑性加工される。図1(b)に示すように塑性加工された単一素材Aは、図1(c)に示すように、根元代Qにて90度時計方向に捻られる。この90度の捻り工程は、前後の加工途中材が邪魔にならないような状態で鍛造型を押し当てて幅広部Aを幅方向から押し潰すことが可能なように、連接代Pの送り方向に対して直交する方向に幅広部Aの幅方向を向けるために行われる工程である。
【0016】
図1(c)に示すように根元代Qにて90度捻られた単一素材Aの幅広部Aは、鍛造型(図示せず)にて押し潰されて中実円柱状部Bに成形され、図1(d)に示すような状態の中間加工材Bに成形される。鍛造工程で図1(d)に示す状態に成形された中間加工材Bは、根元代Qにて下向きに直角に折り曲げられ、図1(e)に示す状態にされて、円柱部Aの先端は下方を向く。この折り曲げ工程は、連接代Pが邪魔にならないような状態で、中実円柱状部Bの軸に添った孔を抜き加工またはドリルなどにて穿設可能なように、連接代Pのなす平面に対して直交する方向に中実円柱状部Bの軸を向けるために行われる工程である。
【0017】
図1(e)に示すように根元代Qにて下向きに直角に折り曲げられた中実円柱状部Bには、図1(f)に示すように、中実円柱状部Bの軸に添った貫通した孔B10が穿設されて、根元代Qにて連接代Pに接続しているものの、棒型圧着端子の最終的な形状は一応完成することになる。このようにして、図1に示す(a)〜(f)の一連の工程を経て図1(f)の状態になったものは、連接代Pとともに連続焼鈍工程へ送って例えば400°Cで2時間程度の焼き鈍し処理を施し、その後連接代Pとともに連続メッキ工程へ送って例えば錫メッキを施し、その上で最後に根元代Qを切断して連接代Pから切り離して、図2に示すような棒型圧着端子1が完成する。なお、連接代Pに穿設された孔Pは、順次移送するための送りピッチ孔である。また、焼き鈍し処理やメッキ処理にあっては、根元代Qを切断して連接代Pから切り離した、バラバラの状態にしてから行なってもよい。
【0018】
上述のような製造方法によると、中間加工材Bは根元代Qをもってベルト状の連接代Pに接続しているので、連接代Pを移送することで中間加工材Bを各工程に順次連続的に移送することが簡単に可能となり、小さなバラ部品を搬送する特別な搬送装置は不要であるとともに、メッキ工程などでは通電しながら順次連続してメッキ液中を通過せしめることが可能となり、製造能率がすこぶる向上する。
【0019】
さらに、上述のような製造方法で製造された棒型圧着端子1にあっては、筒状接続部11にロー付けなどによる接合部分はなく、しかも鍛造にて加工されているので粘りがあり、コードなどの芯線を筒状接続部11に挿入して圧着しても裂けたり割れたりする恐れがなく、製品歩留りが良好で、且つ安価に棒型圧着端子1を製造できる。
【0020】
なお、本発明は上記の実施の形態の棒型圧着端子に限定されるものではなく、根元代Qによる捻り角度や折り曲げ角度あるいは棒状差込部10の形状などは適宜変更することが可能であるとともに、請求項に記載する内容の範囲で各種の変形が可能であり、本発明はこれらの全てを含むものである。
【0021】
【発明の効果】
発明によれば、筒状接続部にはロー付けにより接合された部分はなく、しかも鍛造にて加工されているので粘りがあり、コードなどの芯線を筒状接続部に挿入して圧着しても裂けたり割れたりする恐れがなく、製品歩留りが良好で安価な、優れる棒型圧着端子を提供できるという効果を奏する。
【0022】
請求項記載の発明によれば、筒状接続部にはロー付けにより接合された部分はなく、しかも鍛造にて加工されているので粘りがあり、コードなどの芯線を筒状接続部に挿入して圧着しても裂けたり割れたりする恐れがなく、製品歩留りが良好で安価な、優れる棒型圧着端子が得られ、小さなバラ部品を搬送する特別な搬送装置が不要な棒型圧着端子の製造方法を提供できるという効果を奏する。
【0023】
請求項記載の発明によれば、筒状接続部にはロー付けにより接合された部分はなく、しかも鍛造にて加工されているので粘りがあり、コードなどの芯線を筒状接続部に挿入して圧着しても裂けたり割れたりする恐れがなく、製品歩留りが良好で、また、連接代を移送することで中間加工材を各工程に順次移送することが可能となり、小さなバラ部品を搬送する特別な搬送装置は不要であり、メッキ工程などでは通電しながら順次連続してメッキ液中を通過せしめることが可能となり製造能率がすこぶる向上し、さらに、根元代にて適宜角度で捻ったり折り曲げたりできるので、鍛造工程や穿設工程における加工機械の配設構成の自由度を増すことが可能で、前後の中間加工材どうしのピッチが狭くとも、前後の中間加工材が加工の邪魔にならないようにでき、安価で、優れる棒型圧着端子の製造方法を提供できるという効果を奏する。
【0024】
請求項記載の発明によれば、捻り工程における捻り角度を90度にするとともに、折り曲げ工程における折り曲げ角度を90度にするので、請求項記載の発明の効果に加えて更に、鍛造工程や穿設工程における加工機械の配設構成を単純且つコンパクトに構成できる、優れる棒型圧着端子の製造方法を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施の形態の棒型圧着端子の製造方法を説明する斜視図である。
【図2】上記製造方法で製造した棒型圧着端子を示す斜視図である。
【図3】従来の棒型圧着端子を示す斜視図である。
【図4】従来の棒型圧着端子の筒状接続部にコードの芯線を挿入した上で圧着した状態を示す断面図である。
【図5】従来の他の棒型圧着端子を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 棒型圧着端子
10 棒状差込部
11 筒状接続部
A 単一素材
所定部
B 中間加工材
中実円柱状部
10
Q 根元代

Claims (3)

  1. 電気機器への棒状差込部と、電線の芯線部分を挿入した状態で外部からの圧着によってその電線と電気的且つ機械的に接続を行う筒状接続部とを、単一素材から一体に構成してなる棒型圧着端子の製造方法であって、帯状金属素材から適正体積の単一素材を打ち抜く打ち抜き工程と、打ち抜き工程を経て得た単一素材の所定部を中実円柱状部に塑性変形することによって中間加工材を形成する鍛造工程と、鍛造工程を経て得た中間加工材の中実円柱状部に、その軸に添って孔を穿設することによって筒状接続部を形成する穿設工程とを備え、前記打ち抜き工程で、帯状金属素材を順次連続的に送り出しながら、余分な部分を切り落とし、帯状金属素材の長手方向の一方側を連接代として連ねて残すとともに、連接代に根元代をもって接続する単一素材を残すように加工し、前記鍛造工程、穿設工程の各工程では、根元代をもって連接代に接続された状態で順次連続的に移送されるようになしたことを特徴とする棒型圧着端子の製造方法。
  2. 電気機器への棒状差込部と、電線の芯線部分を挿入した状態で外部からの圧着によってその電線と電気的且つ機械的に接続を行う筒状接続部とを、単一素材から一体に構成してなる棒型圧着端子の製造方法であって、帯状金属素材から根元代を具備して適正体積の単一素材を連ねて打ち抜く打ち抜き工程と、打ち抜き工程を経て得た連ねた状態の単一素材を根元代にて鍛造工程に適する向きに捻る捻り工程と、捻り工程を経て得た連ねた状態の単一素材の所定部を中実円柱状部に塑性変形することによって中間加工材を形成する鍛造工程と、鍛造工程を経て得た連ねた状態の中間加工材の中実円柱状部に、その軸に添って孔を穿設する穿設工程に適する向きに中間加工材を根元代にて折り曲げる折り曲げ工程と、折り曲げ工程を経て得た連ねた状態の中間加工材の中実円柱状部に、その軸に添って孔を穿設することによって筒状接続部を形成する穿設工程とを備えることを特徴とする棒型圧着端子の製造方法。
  3. 前記捻り工程における捻り角度は90度であり、前記折り曲げ工程における折り曲げ角度は90度であることを特徴とする請求項記載の棒型圧着端子の製造方法。
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