JP3607519B2 - 画像定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方法、インクジェット方法、及び印刷版を用いた印刷方法などの画像記録方法によって、溶媒とこの溶媒中で少なくとも一時的に電荷を保持できる着色微粒子が前記溶媒とともに、記録媒体に作像した画像を加圧定着させる画像定着装置に係り、詳しくは、電子写真方法によって潜像担持体に形成された潜像を溶媒に着色微粒子を分散させた液体現像剤で記録媒体に湿式現像した画像、インクジェット方法によって溶媒に着色微粒子を分散させた液体インクを記録媒体に直接投射して形成した画像、及び、印刷版を用いる印刷方法によって溶媒に着色微粒子を分散させた液体インクを記録媒体に印刷版を用いて転移した画像を加圧定着する画像定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の画像定着装置として、電子写真方法によって潜像担持体に形成された潜像を、溶媒としてのキャリア中に着色微粒子としてのトナーを分散させた液体現像剤を用いて、記録媒体としての記録シートに湿式現像したトナー画像を定着する画像定着装置が知られている。該画像定着装置において揮発性キャリアを使用する場合には加熱定着方法が主として用いられている。この加熱定着方法は、ローラ、ベルト等を加熱し、この加熱されたローラ、ベルト等をトナー画像に接触させて加熱する接触式加熱定着方法と、トナー画像を赤外線等の輻射によって加熱する非接触式加熱定着方法との2つの方法に大別される。一般的に、接触式加熱定着方法の方が非接触式加熱定着方法に比べて熱伝達効率が非常に良くなっている。加熱定着方法を用いる画像定着装置では、トナー画像の中にキャリアが残留していても、定着時の加熱で、キャリアがある程度、あるいはそのほとんどが揮発するため、加圧によって、トナー同士、あるいはトナーと記録シートとの間の結合力を強めて、記録シート上へトナー画像を定着できる。このため、記録シート上へのトナー画像の定着性は向上する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、揮発性キャリアを用いた場合、揮発したキャリアの処理が必要であることから、その使用範囲が制限されている。このため、近年、揮発性キャリアに代わって揮発成分を含まないキャリア(以下、非揮発性キャリアと称する)の開発、及びその適用が図られている。しかし、非揮発性キャリアにトナーを分散させた液体現像剤で記録媒体としての記録シートに湿式現像したトナー画像は、加熱によってトナーが軟化、あるいは溶融状態になっても、トナー間、トナーと記録シートとの間に入った非揮発性キャリアが、加圧したときに、トナー同士、トナーと記録シートとの結合を妨げる問題がある。このため、加圧によってトナー同士、トナーと記録シートとの結合力が強化されず記録シートへのトナー画像の十分な定着性が得られないと共に、接触部材として定着ローラにトナーが付着するいわゆるオフセットが発生し、かつ、記録シート上のトナー画像の乱れが生じることがある。
【0004】
上述した問題に対処できるものとして、ジョンセン―ラーベリック効果を用いて、キャリアにトナーを分散させた液体現像剤で記録シートに湿式現像されたトナー画像を加圧定着する画像定着装置が提案されている(特開平9―281753号参照)。この画像定着装置においては、記録シート上のトナー画像面を導電性電極としての導電性ローラで、その裏面を導電性ローラで転接し、これらの導電性ローラ間で記録シートのトナー画像の厚み方向に強制的に電流を流して、トナー同士を強く凝集させ、記録シート上にトナー画像を強固に付着させ(以下、仮定着という)、ついで、定着ローラと加圧ローラとの間で加熱及び加圧をして記録シート上にトナー画像を熱融着により定着(以下、本定着という)するとしている。しかし、この画像定着装置では、記録シート上のトナー画像は導電性ローラによる仮定着と、定着ローラと加圧ローラによる本定着の2つの工程を経なければならないため、定着効率が悪いと共に、装置をコンパクトにできないという不具合がある。
ここで、仮定着と本定着の両方を、同一定着ローラと加圧ローラとで行おうとして、定着ローラと加圧ローラとの間で、記録シートのトナー画像の厚み方向に電流を流すために低抵抗の定着ローラを用いた場合、定着ローラにクラシュなどの不完全な部分があると、定着ローラと加圧ローラとの接触部で異常放電が発生し、電流の集中により定着ローラの破壊が生じ、画像が良好に定着できない恐れがある。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、コンパクトな装置で、定着ローラにトナーが付着するオフセットを生じることなく、記録媒体への画像の定着性の良い画像定着装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、溶媒中で少なくとも一時的に電荷を保持できる着色微粒子が前記溶媒とともに記録媒体上に付着して形成されている画像を、内部に熱源を有し該記録媒体の画像面に接触する接触部材と、該記録媒体の裏面から該記録媒体を前記接触部材に押圧して該画像を加圧する加圧部材とにより、加熱しながら加圧して該記録媒体上に定着する画像定着装置において、前記接触部材が、導電部としての導電性ローラと該導電性ローラの表層に形成された高抵抗のセラミック薄膜とからなり、かつ、内部に熱源を有する定着ローラであり、前記加圧部材が、少なくとも半導電性を有するものであって、前記定着ローラの導電部と前記加圧部材との間で、前記記録媒体を介して電流を流すことを特徴とするものである。
【0007】
請求項1の装置では、仮定着と本定着とを分けずに、定着ローラと加圧部材との間において、記録媒体への画像の定着を行う。
また、導電性ローラの表層をセラミック薄膜とした定着ローラを用いることによって、定着ローラの表層を構造破壊に強い耐電流特性の優れた高抵抗層とすることができる。これにより、定着ローラと、少なくとも半導電性を有する加圧部材との間で、記録媒体の全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるようになる。
ここで、定着プロセスにおいて流す電流の量は、トナーオフセット量に影響することが知られている。即ち、電流量が少ないとオフセット量が増加し、電流量が所定の値以上になるとオフセットが全くなくなる。
【0008】
本発明の装置においては、定着ローラの表層の耐電流特性を向上させているので、定着ローラの導電部と前記加圧部材との間に流す電流量をオフセットが防止できる程度に多くすることが可能となる。
従って、定着ローラと加圧部材との間で、記録媒体上の画像の着色微粒子同士を強く凝集させ、かつ、記録媒体に着色微粒子を強く付着させつつ、画像の着色微粒子上への溶媒層の形成も記録媒体の全域にわたって良好に行うことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の画像定着装置において、前記定着ローラの表面と前記記録媒体の表面との間で、空気層を介して安定放電現象を発生させることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像定着装置において、前記記録媒体が前記定着ローラと前記加圧部材とで挟まれるニップ部の近傍で、前記着色微粒子に前記安定放電現象により電荷が供給され、前記画像が前記ニップ部に入ると前記電流により画像が前記着色微粒子の層と前記溶媒の層とに別れ、該ニップ部を通過する過程で前記着色微粒子が加熱によって軟化し、また加圧されることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、着色微粒子が溶媒中で少なくとも一時的に電荷を保持できれば、定着ローラと加圧部材との間で流される電流で、着色微粒子同士を強く凝集させ、かつ、記録媒体に着色微粒子を強く付着させて、着色微粒子の上に溶媒層を形成できる。
【0011】
請求項2あるいは3の装置では、定着ローラの表面と記録媒体の表面との間で、空気層を介して安定放電現象を発生させることにより、記録媒体上の画像の着色微粒子に電荷を積極的に供給し、着色微粒子に溶媒中で少なくとも一時的に電荷を保持させる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1、2または3の画像定着装置おいて、前記セラミック薄膜は、その主成分を酸化アルミニウムとすることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4の装置では、定着ローラのセラミック薄膜の主成分を酸化アルミニウムとすることによって、セラミック薄膜を完全に絶縁性でもなくまた電気抵抗が低すぎないようにでき、セラミック薄膜の電気抵抗特性を大変優れたものとすることができる。これにより、定着ローラと加圧部材との間で、記録媒体の幅方向全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるようになる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の画像定着装置において、前記定着ローラは、アルミニウムローラの表層をアノード酸化させたものであることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5の装置では、アルミニウムローラの表層をアノード酸化させることによって、後処理なしで酸化アルミニウム主体の電気抵抗特性の優れた高抵抗セラミック薄膜を形成でき、定着ローラと加圧部材との間で、記録媒体の幅方向全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるようになる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1、2、3または4の画像定着装置において、前記定着ローラは、前記導電性ローラの表面に蒸着法によりセラミック薄膜が形成されたものであることを特徴とするものである。
【0017】
請求項6の装置では、定着ローラが導電性ローラの表面に蒸着法によりセラミック薄膜が形成されたものであることによって、電気抵抗特性の優れた高抵抗セラミック薄膜となり、定着ローラと加圧部材との間で、記録媒体の幅方向全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるようになる。
また、定着ローラの導電部としての導電性ローラにアルミニウム以外の材料を用いることが可能となるため、定着ローラの熱的立ち上がりを良くするために導電性ローラを中空にする場合、定着ローラの強度が充分得られるような鉄等の材料を選択することが可能となる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1、2、3または4の画像定着装置において、前記定着ローラは、前記導電性ローラの表面に溶射法によりセラミック薄膜が形成されたものであることを特徴とするものである。
【0019】
請求項7の装置では、定着ローラが導電性ローラの表面に溶射法によりセラミック薄膜が形成されたものであることによって、電気抵抗特性の優れた高抵抗セラミック薄膜となり、定着ローラと加圧部材との間で、記録媒体の幅方向全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるようになる。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1の画像定着装置において、前記加圧部材は、少なくとも半導電性を有する弾性ローラであることを特徴とするものである。
【0021】
請求項8の装置では、加圧部材を少なくとも半導電性を有する弾性ローラとすることにより、定着ローラと弾性ローラとの間に安定したニップ部を簡易に構成できるようにし、このニップ部で安定した電流を流すことができるようにする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項1の画像定着装置おいて、前記加圧部材は、少なくとも半導電性を有する無端ベルトであることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項9の画像定着装置において、前記無端ベルトが該ベルトを前記定着ローラに押しつける加圧ローラと、該加圧ローラに近接して配置された保持ローラとの間に巻架されていることを特徴するものである。
【0023】
請求項9あるいは10の装置では、加圧部材を少なくとも半導電性を有する無端ベルトにし、定着ローラと無端ベルトとで形成されるニップ部の幅を拡大可能にする。
【0024】
請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の画像定着装置において、前記定着ローラの温度は、前記着色微粒子のガラス転移点と融点との間の温度に設定されていることを特徴とするものである。
【0025】
請求項11の装置では、定着ローラの温度を着色微粒子のガラス転移点と融点との間の温度に設定することで、定着ローラの温度がガラス転移点で十分な定着性となり、温度が上がると定着性は向上し、所定温度で完全となると共に、定着ローラの温度が融点よりも低い所定温度まではオフセット量は生じにくい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した画像定着装置の実施形態1について説明する。
図1は本実施形態1に係る画像定着装置の概略構成を示す図である。
画像定着装置1は、定着ローラ2を備えており、定着ローラ2は、芯金の導電性ローラとしてのアルミニウムローラ3の表層に高抵抗セラミック薄膜としてのアノード酸化皮膜4が形成されている。アルミニウムローラ3は外径φ45mmで、アノード酸化皮膜4はその厚みが60μmとなっている。アノード酸化皮膜4は、膜厚方向に小さい電位差のときには、良好な電気絶縁性を示すが、所定の電位差を越えると、電気抵抗が減少して電流が流れる電気抵抗特性を有している。定着ローラ2内部には熱源としてのハロゲンランプ5が配設されており、定着時にハロゲンランプ5を点灯し、定着ローラ2の表層を加熱可能となっている。上記アルミニウムローラ3には、バイアス電源6が接続されており、バイアス電源6から定着ローラ2のアルミニウムローラ3にバイアス電圧を印加可能となっている。定着ローラ2のアノード酸化皮膜4の外周に、その一端が接触可能にクリーニングブレード7が設けられており、該クリーニングブレード7でアノード酸化皮膜4の表面に付着した溶媒を主として除去するようになっている。
定着ローラ2に平行して、加圧部材としての加圧ローラ8が設けられており、この加圧ローラ8は、芯金としての金属ローラ9にEPDMの導電性ゴム10が被覆された弾性ゴムローラとなっている。導電性ゴム10は厚み5mm程度で、体積抵抗率は106〜108Ω・cm程度となっている。加圧ローラ8は、金属ローラ9部分で接地されている。定着ローラ2と加圧ローラ8とは所定圧で圧接され、ニップ部が形成されている。
【0027】
図2は、定着ローラ2表面と記録シートPとの間で形成される安定放電領域を説明する図である。
定着ローラ2のアルミニウムローラ3にバイアス電源6からバイアス電圧が印加され、アルミニウムローラ3と金属ローラ9との間が所定電位差となっているとき、定着ローラ2表面と記録シートPとの間に放電が安定的に発生する安定放電領域が形成される。
【0028】
上記定着ローラ2と定着ローラ8とに挟持、搬送される記録媒体としての記録シートP上には、溶媒としてキャリア液(以下、「キャリア」と称する)に分散された着色微粒子としてのトナー粒子(以下、「トナー」と称する)によっトナー画像が形成されている。トナーは樹脂、顔料、樹脂中に分散される材料、及び電荷制御剤等からなっている。キャリア中に分散されたトナーは、キャリア、あるいはキャリア中物質との電荷の授受によって帯電する。トナーは、キャリア中で、使用される樹脂の種類、顔料以外の樹脂中の材料、電荷制御剤等により、正負いずれかの電荷を帯びる傾向にある。なお、以下の説明では、キャリアとしてジメチルポリシロキサンを用い、トナーは正電荷を保持している場合について説明する。
【0029】
ついで、定着ローラ2の温度を一定とした場合に、定着ローラ2と加圧ローラ8との間で記録シートPに流される電流値と記録シートPへのトナー画像の定着性との関係、及び定着ローラ2と加圧ローラ8との間で記録シートPに流される電流値と定着ローラ2のオフセット量との関係の測定結果について説明する。
なお、定着ローラ2の温度はトナーのガラス転移点Tgと融点Tmとの中間の値である80℃に固定した。
【0030】
図3に示すように、定着ローラ2と加圧ローラ8との間で記録シートPを介して流れる電流値が大きくなるにともなって、定着ローラ2のオフセット量は低減し、一方、記録シートPへのトナー画像の定着性は向上していき、総電流値が1.5mA以上のとき、定着ローラ2にオフセットは全く生じず、かつ記録シートPへのトナー画像の完全な定着性を得られた。このように定着ローラ2にオフセットをなくすことと記録シートPへのトナー画像の完全な定着性を得られることの両立は、定着ローラ2の表面と記録シートPの表面との間での空気層を介して放電現象が発生し、記録シートP上に形成されたトナー画像のトナーに電荷が供給されることによると考えられる。
そこで、発明者が高抵抗薄膜を形成する材料について検討した結果、放電によって構造の破壊等が発生しにくいセラミック材が優れており、特に、酸化アルミニウムを主成分するセラミック材料が抵抗値に関してもに大変に優れていることが明らかになった。
【0031】
なお、酸化アルミニウムを主成分とする薄膜は、アルミニウムローラ3をセラミックコーティングすることによって得られ、たとえば、アルミニウムローラ3の表層をアノード酸化して形成、あるいは、アルミニウムローラ3に蒸着法(PVD法、CVD法、プラズマCVD法など)、及び溶射法によって酸化アルミニウムを主体とする成分を積層して皮膜を形成することによってできる。また、これらの方法により形成されたセラミック薄膜の表面が多孔質である場合には、さまざまな手法を用いて封孔処理や封孔埋めを施すことで,より安定した放電現象を発生させることができる。
【0032】
つづいて、定着ローラ2と加圧ローラ8との間で記録シートPに流れる電流値を一定、1.5mAとした場合に、定着ローラ2の温度と記録シートP上に形成されたトナー画像の定着性との関係、及び定着ローラ2の温度と定着ローラ2のオフセット量との関係の測定結果について説明する。
【0033】
図4に示すように、定着ローラ2の温度が高くなると、定着性は向上し、定着ローラ2の温度が高いほど、定着性はよくなるが、オフセットは所定温度を越えると急激に発生するようになる。この現象とトナーの物性とを照らし合わせた結果、トナーのガラス転移点Tg付近とそれより高い温度では定着性が良好であり、また融点Tmよりやや高い温度からはオフセットが急激に増えることが判明した。
以上の説明から、定着ローラ2の温度をトナーのガラス転移点Tgより高く、且つ融点Tmより低くすることで、記録シートPにトナー画像を十分に定着させると共に、定着ローラ2にオフセットを生じない定着性に優れた定着機構を構成することができる。
【0034】
以下、上述した画像定着装置1の定着動作を説明する。
電流値を1.5mA以上、定着ローラ2の温度をトナーのガラス転移点Tgと融点Tmとの範囲で、電流値を1.5mA、定着ローラ2の温度を80℃とする。
定着ローラ2のアルミニウムローラ3にバイアス電源6からバイアス電圧を印加し、アルミニウムローラ3と金属ローラ9との間で所定電位差とする。
定着ローラ2と加圧ローラ8とのニップ部の近傍に向けて、トナー画像が形成された記録シートPが搬送され、記録シートPのトナー画像が安定放電領域に入ると、トナー画像のトナーに電荷が供給される。
ついで、定着ローラ2と加圧ローラ8とのニップ部に、記録シートPが搬送されると、定着ローラ2から記録シートPを介して加圧ローラ8に電流が流され、トナー同士、及び記録シートPとトナーとの間に強い静電的な結合力が発生して、トナー同士は強く凝集すると共に、トナーは記録シートPに強固に付着する。この際、記録シートPに形成されたトナー画像のキャリアは浮きだし、キャリア層が形成される。トナー画像はトナー層とキャリア層とに分かれる。
【0035】
ついで、定着ローラ2によって加熱されたトナーは軟化し、記録シートPがニップ部を通過する過程で、記録シートP上のトナー画像側が定着ローラ2で、その反対側を加圧ローラ8で加圧されて記録シートPにトナー画像が固着される。トナー画像が固着された記録シートPはニップ部の外へ搬送される。記録シートPのトナー画像のキャリアの一部は定着ローラ2の表面に付着する。定着ローラ2の回転に伴い、定着ローラ2の表面に付着したキャリアはクリーニングブレード7でクリーニングされる。
上述したように、トナー画像の形成された記録シートPは、ニップ部の近傍の安定放電領域で、記録シートP上のトナー画像のトナーに電荷が供給される。ついで、記録シートPのトナー画像がニップ部に入ると、記録シートPに流される電流でトナー画像がトナー層とキャリア層とに分かれ、ニップ部を通過する過程でトナー画像のトナーは定着ローラ2で加熱され、軟化したトナーが加圧される。このため、定着ローラ2にトナーが付着するオフセットが生じることなく、記録シートP上にトナー画像は強固に固着される。
また、上述したように、定着ローラ2の表層がセラミックコーティングされていることにより、従来の定着ローラ2の表面、たとえば、樹脂製あるいはゴム製定着ローラの表面に比べて格段に高い耐摩耗性を有するので、定着ローラ2と接触する記録シートP及びクリーニングブレード7に対して摩耗しにくいという効果がある。
【0036】
ついで、図5に基づいて実施形態2について説明する。
上述した実施形態1を一部変更し、加圧ローラ8に近接してベルト保持ローラ11を設け、これら加圧ローラ8とベルト保持ローラ11との間に加圧部材として無端ベルト12を巻架して、定着ローラ2と無端ベルト12とが当接するようにする。定着ローラ2と無端ベルト12との当接により、ニップ部が形成される。
なお、ベルト材としては、弾性ローラ材としての導電性ゴムと同程度の体積抵抗率を有するポリイミド材を用いる。
上述したように定着ローラ2と無端ベルト12とで形成されたニップ部の幅は、定着ローラ2と加圧ローラ8とで形成されたニップ部の幅よりも大幅に拡大できる。これにより、定着ローラ2とベルト12とで形成されたニップ部は、記録シートPのトナー画像に十分な熱エネルギーを与えることができるので、定着速度の高速化に容易に対応することができる。
【0037】
本発明に適用できる実施形態1及び2は以上である。尚、高抵抗セラミック薄膜の体積抵抗率が一般的に107Ωcm以上のものを使用しているため、導電性ローラとしては体積抵抗率が103Ωcm以下のものであれば使用可能である。本実施形態の定着ローラ2の導電性ローラには、アルミニウムローラ3を用いているが、このほか、鉄、ステンレス等の金属を用いることもできる。ただし、導電性ローラにどのような材質のものを用いるかは、高抵抗セラミック薄膜の形成方法にも関わるものである。
【0038】
【発明の効果】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11の発明によれば、定着ローラと加圧部材との間において、記録媒体への画像の定着を行うので、仮定着と本定着とを分けるのに比して装置をコンパクト化できる。
また、定着ローラと、少なくとも半導電性を有する加圧部材との間で、記録媒体の幅方向全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるので、記録媒体へ画像の十分な定着性を得ることができる。
また、定着ローラの導電部と前記加圧部材との間に流す電流量をオフセットが防止できる程度に多くすることが可能となるので、定着ローラに着色微粒子が付着するオフセットを防止することができる。
以上のことから、コンパクトな装置で、定着ローラにトナーが付着するオフセットを生じることなく、記録媒体への画像の定着性の良い画像定着装置を提供することができるという優れた効果がある。
【0039】
特に、請求項2あるいは3の発明によれば、着色微粒子に溶媒中で少なくとも一時的に電荷を保持させることができるので、記録媒体への画像の定着性をより良好にすることができるという優れた効果がある。
【0040】
特に、請求項4の発明によれば、定着ローラと加圧部材との間で、記録媒体の幅方向全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるようになるので、記録媒体への画像の定着性をより良好にすることができるとともに、オフセットをより確実に防止できるという優れた効果がある。
また、酸化アルミニウムは安価であり入手しやすいので、上記効果を得るための定着ローラを容易に供給できるという優れた効果もある。
【0041】
特に、請求項5の発明によれば、定着ローラと加圧部材との間で、記録媒体の幅方向全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるので、記録媒体への画像の定着性をより良好にすることができるとともに、オフセットをより確実に防止できるという優れた効果がある。
また、後処理なしで均一な厚みの高抵抗セラミック薄膜を形成することができるので、高抵抗のセラミック薄膜を容易に形成できるという優れた効果もある。
【0042】
請求項6の発明によれば、定着ローラと加圧部材との間で、記録媒体の幅方向全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるので、記録媒体への画像の定着性をより良好にすることができるとともに、オフセットをより確実に防止できるという優れた効果がある。
更に、定着ローラの熱的立ち上がりを良くすることが容易にできるという優れた効果もある。
【0043】
請求項7の発明によれば、定着ローラと加圧部材との間で、記録媒体の幅方向全域にわたって電流を均一かつ安定して流すことができるので、オフセットをより確実に防止できるという優れた効果がある。
また、溶射法により、かなりの短時間でセラミック薄膜を形成できるという優れた効果もある。
【0044】
特に、請求項8の発明によれば、定着ローラと弾性ローラとの間のニップ部において記録媒体上の画像に電流を安定して流すことができるので、オフセットをより確実に防止できるという優れた効果がある。
【0045】
特に、請求項9あるいは10の発明によれば、定着ローラと無端ベルトとで形成されるニップ部の幅を拡大できるので、定着ローラから記録媒体に十分な熱エネルギーを供給して、定着スピードを上げることができるという優れた効果がある。
【0046】
また特に、請求項10の発明によれば、定着ローラの温度を着色微粒子のガラス転移点と融点との間とするので、記録媒体へ画像の十分な定着性を得ることができると共に、定着ローラのオフセット量を軽減させることができる。
さらに、定着ローラの温度範囲を着色微粒子のガラス転移点から融点までの温度範囲よりも狭い温度範囲に設定しても、記録媒体へ画像の完全な定着性を得ることできると共に、定着ローラのオフセットを完全になくすことができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態1に係る画像定着装置の概略構成を示す図。
【図2】同定着ローラ2表面と記録シートPとの間で形成される安定放電領域を説明する図。
【図3】記録シートに流される電流値と同定着ローラの温度を一定とした場合に、定着ローラと加圧ローラとの間で記録シートへのトナー画像の定着性との関係、及び定着ローラと加圧ローラとの間で記録シートに流される電流値と定着ローラのオフセット量との関係を測定した測定結果を示す図。
【図4】同定着ローラと加圧ローラとの間で記録シートに流れる電流値を一定とした場合の定着ローラの温度と記録シートへの画像の定着性との関係、及び定着ローラの温度と定着ローラのオフセット量の関係の測定結果を示す図。
【図5】実施形態2に係る定着ローラ、加圧ローラ、ベルト保持ローラ、及びベルトなどの概略構成を示す図。
【符号の説明】
1 画像定着装置
2 定着ローラ
3 アルミニウムローラ
4 アノード酸化皮膜
5 ハロゲンランプ
6 バイアス電源
7 クリーニングブレード
8 加圧ローラ
9 金属芯金
10 導電性ゴム
11 保持ローラ
12 ベルト
P 記録シート
Claims (11)
- 溶媒中で少なくとも一時的に電荷を保持できる着色微粒子が前記溶媒とともに記録媒体上に付着して形成されている画像を、内部に熱源を有し該記録媒体の画像面に接触する接触部材と、該記録媒体の裏面から該記録媒体を前記接触部材に押圧して該画像を加圧する加圧部材とにより、加熱しながら加圧して該記録媒体上に定着する画像定着装置において、
前記接触部材が、導電部としての導電性ローラと該導電性ローラの表層に形成された高抵抗のセラミック薄膜とからなり、かつ、内部に熱源を有する定着ローラであり、
前記加圧部材が、少なくとも半導電性を有するものであって、
前記定着ローラの導電部と前記加圧部材との間で、前記記録媒体を介して電流を流すことを特徴とする画像定着装置。 - 前記定着ローラの表面と前記記録媒体の表面との間で、空気層を介して安定放電現象を発生させることを特徴とする請求項1の画像定着装置。
- 前記記録媒体が前記定着ローラと前記加圧部材とで挟まれるニップ部の近傍で、前記着色微粒子に前記安定放電現象により電荷が供給され、前記画像が前記ニップ部に入ると前記電流により画像が前記着色微粒子の層と前記溶媒の層とに別れ、該ニップ部を通過する過程で前記着色微粒子が加熱によって軟化し、また加圧されることを特徴とする請求項2の画像定着装置。
- 前記セラミック薄膜は、その主成分を酸化アルミニウムとすることを特徴とする請求項1、2または3の画像定着装置。
- 前記定着ローラは、アルミニウムローラの表層をアノード酸化させたものであることを特徴とする請求項1、2、3または4の画像定着装置。
- 前記定着ローラは、前記導電性ローラの表面に蒸着法によりセラミック薄膜が形成されたものであることを特徴とする請求項1、2、3または4の画像定着装置。
- 前記定着ローラは、前記導電性ローラの表面に溶射法によりセラミック薄膜が形成されたものであることを特徴とする請求項1、2、3または4の画像定着装置。
- 前記加圧部材は、少なくとも半導電性を有する弾性ローラであることを特徴とする請求項1の画像定着装置。
- 前記加圧部材は、少なくとも半導電性を有する無端ベルトであることを特徴とする請求項1の画像定着装置。
- 前記無端ベルトが該ベルトを前記定着ローラに押しつける加圧ローラと、該加圧ローラに近接して配置された保持ローラとの間に巻架されていることを特徴する請求項9の画像定着装置。
- 前記定着ローラの温度を、前記着色微粒子のガラス転移点と融点との間の温度に設定してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の画像定着装置。
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