JP3607451B2 - 分岐器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は分岐器、殊にCATV用として好適な分岐器に関する。
【0002】
【従来の技術】
CATV用のケーブルは、電柱を利用して空中に架設される場合と、地中に埋設される場合とがある。
よって、空中に架設されたケーブルに取り付けるエアリアルタイプの分岐器は、図5の(a)に例示するように、入出力端子A,Bを互いに対向する面に設けた形態のものが採用され、又地中に埋設されたケーブルに取り付けるペデスタルタイプの分岐器は、図5の(b)に示すように、入出力端子A,Bを同一面に設けた形態をしたものが採用されている。
又、前記ケーブルに接続される分岐器は、加入者数や電送信号のレベルによって分岐数、電送方向、損失などといった仕様がまちまちで、而も、加入者数は常時変動するし、電送経路の変更により電送方向が逆になってしまうなど、取り付け態様の変更も多い。
そのため、各分岐器は、設置する場所により方向性、分岐端子数、損失など、要求される総ての特性を満足するように、特性の組み合わせを変えた様々な仕様のものをラインナップし、顧客の要求に対応している。
そしていずれも一体式で、方向性を逆とした機種相互間にあってすらも互換性は全くなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
仕様の異なる製品を多種類製造したりストックしておくのは合理的ではないし、又、設置後に加入者の増加や伝送系路の変更があると、機器をまるごと交換せざるを得ないが、それまで取り付けられていた機器を取り外したときに高周波信号や電流の伝達が途絶えてしまうし、機器の取り外しは、ケーブルと機器との接続部分を切り離すように切断してしまうので、ケーブルの長さが不足して交換用の機器をそのままでは接続できなくなってしまう。
その上、エアリアルタイプは高所に配置されるため、交換しずらく、作業性の改善が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、製造やストックの合理化、及び作業性の改善を図った分岐器であって、その構成は、長手方向の片側に一回線分のケーブル接続部を、他側に二回線分のケーブル接続部を夫々設け、中央部には互いに同一間隔を保って幹線接続端子を配置し、それらの幹線接続端子と前記各ケーブル接続部とを個別に電気的接続した蓋体と、前記幹線接続端子間に相当する間隔で一対の送電端子を配置し、それら送電端子間を電流通過回路で接続すると共に、各送電端子に対して高周波信号を伝送可能に接続した一対の中継端子を設け、前記送電端子を前記蓋体の中央部に配置された幹線接続端子のうちから選択した二つに対し、着脱可能に接続して蓋体内に取り付けられるマザーボードと、そのマザーボードの各中継端子に対応する一対の接続端子と、それら接続端子間から高周波信号を分岐端子に出力する分岐回路を備え、前記マザーボードの中継端子に対して接続端子を着脱可能に接続してマザーボードに装着される分岐ユニットと、入力端子から入力された高周波信号を複数の分配端子に分配する分配回路を有したタップボードが組み付けられていて、前記分岐ユニットの分岐端子に対して入力端子を着脱自在に接続し、前記蓋体と合体される本体とで構成され、前記分岐ユニット及び本体とを、分岐端子の数に応じて仕様の異なる複数種の中から組み合わせ選択されるようにしたことにある。
尚ここで高周波信号とは、テレビ信号やコントロール信号、連絡用の電話的な変調信号を含む。
【0005】
前記幹線接続端子は、蓋体の中心点を挟んだ上部左右の二箇所と、その二箇所のうちの片側に対して上下関係となる一箇所との計三箇所に配置したり、前記マザーボードに、分岐ユニットの着脱操作に連動し、離脱時に中継端子間を短絡させるスイッチを設けることができる。
【0006】
【作用】
蓋体、マザーボード、分岐ユニット及び本体とが、互いに各接続端子同士を着脱可能に接続することによって組み合わせ構成されているので、マザーボードの送電端子と蓋体の幹線接続端子との接続の組み合わせを変更することにより、エアリアルタイプとペデスタルタイプとのいずれかを選択できる。
又、分岐ユニットの接続端子とマザーボードの中継端子との接続を逆にすると、電送方向も逆向きになる。
更に、分岐端子数の異なる本体と交換すれば、分岐数も変更できる。
そして、幹線接続端子を、蓋体の中心点を挟んだ上部左右の二箇所と、その二箇所のうちの片側に対して上下関係となる一箇所との計三箇所に配置すれば、前記中心点を軸としてマザーボードを90度回転させることによりケーブル接続部の位置変更を簡単に行える。
更に、分岐ユニットを外した際、スイッチによって出力端子間を短絡させることにより、分岐ユニットを外しても高周波信号の伝送を途絶えさせることはなくなるし、分岐ユニットと本体とに複数の仕様を設定しておけば、目的に応じて選択、組み合わせすることで、セミオーダーメイドの機器を提供でき、既に取り付けられている機器の仕様変更に対しては、蓋体をケーブルに接続したままでマザーボード、分岐ユニット、本体の付け替えをすることができる。
【0007】
【実施例】
本発明に係る分岐器の実施例を図面に基づいて説明する。
図1、図2及び図3において、1は一面が開放された蓋体であり、その蓋体1には、片側に一回線分のケーブル接続部2が、他側に二回線分のケーブル接続部3,4が設けられ、それらのケーブル接続部2,3,4は、いずれも隅角部を挟んだ側面の2箇所づつにケーブル挿通孔2a,2b,3a,3b,4a,4bを備えている。
又、蓋体1内の中央にあたる接続部5には、蓋体1の中心点Pを挟んだ上部左右の二箇所と、その二箇所のうちの右側に対して上下関係となる一箇所との計三箇所に幹線接続端子5a,5b、5cが設けられており、それら幹線接続端子5a,5b、5cは、前記ケーブル接続部2,3,4に対し、幹線接続端子5aとケーブル接続部2、幹線接続端子5bとケーブル接続部3、幹線接続端子5cとケーブル接続部4とが夫々同軸管と称される金属筒内に中心導体を挿通して同軸状に形成された伝送ケーブルで接続されている。
このような構造の伝送ケーブルは、外部導体と内部導体との間が空気層であるため、同軸管の径が大きくならず、伝送損失が少ないメリットがある。
6はマザーボードで、裏面には前記幹線接続端子5a,5b(5b,5c)の距離に相当する間隔で送電端子7,7が、又表面には、中継端子8,8が設けられ、その中継端子8と前記送電端子7とは、夫々コンデンサ9aを介在させ、高周波信号の通過を許容した高周波通過回路9で結ばれ、更に前記送電端子7,7間は、コイル10aを介在させた電流通過回路10により接続されている。
マザーボード6には、蓋体1に突設されたガイドピン11,11・・に対応してガイド穴12,12・・が設けられており、前記幹線接続端子5a,5b、5cが装着時に見えなくてもそのガイド穴12に前記ガイドピン11を夫々挿入することによって、例えば送電端子7,7が夫々幹線接続端子5a,5bに接続されるよう容易に位置決めすることができ、ねじ13,13により蓋体1に固定される。
又マザーボード6には、送電端子7,7の外側にあたる位置に、夫々スリット状の係止孔14,14が形成されている。
【0008】
15は、箱状の分岐ユニットであり、この分岐ユニット15の片面には前記マザーボード6の中継端子8,8に対応した一対の接続端子16,16´が、他面には分岐端子17が夫々設けられ、それら接続端子16,16´と分岐端子17とは、前記接続端子16,16´間から高周波信号を分岐出力すべく内蔵された分岐回路に接続されている。
又前記分岐ユニット15は、一方の接続端子16が入力側、他方の接続端子16´が出力側に設定され、高周波信号に対して方向性を有しており、その分岐ユニット15の両側には、接続端子16,16´が設けられている面側に向けて係止爪18,18が突設されている。
そしてこの分岐ユニット15は、前記マザーボード6に対し、係止爪18,18を係止孔14,14に挿入することにより係止させれば、各中継端子8,8と接続端子16,16´とが接続された状態で装着される。
尚、マザーボードに対する分岐ユニットの装着手段は、分岐ユニットに形成された係止爪を案内片に変更し、その案内片をマザーボードに形成された係止孔に挿通する構造、ねじやクリップを利用して固定する等、適宜変更して差し支えない。
前記マザーボード6にはプッシュ式のスイッチ19が設けられており、分岐ユニット15を装着すると、その分岐ユニット15の外表面で押圧操作されることによってOFF作動し、分岐ユニット15を外すことによって押圧が解除されるとON作動して両中継端子8,8間を短絡させ、送電端子7,7間に、高周波信号の通過を許容するようになっている。
前記マザーボード6は電流通過回路10を備えているから、分岐ユニット15が装着されているか否かに拘らず、送電端子7,7間には、電流と高周波信号との通過機能が確保されるのである。
【0009】
20はタップボードであり、このタップボード20は、本体21の内面に組み付けられていて、分配回路と、本体表面に露出される複数の分岐端子22,22・・とを有し、内面には前記分岐ユニット15の分岐端子17に対応した入力端子23を備えており、本体21を、蓋体1の開口面を覆うように合体させることにより、入力端子23が前記分岐端子17に接続された状態となる。
尚、蓋体1と本体21との相互間には、分岐器側に対して電流の通過を許容する電流通過用接点24,25が設けられている。
【0010】
このように形成された分岐器は、分岐ユニット15の接続端子16がケーブル接続部2側に、接続端子16´がケーブル接続部3側に夫々接続されるように装着すれば、図4の(a)に示すように、ケーブル接続部2を入力端子、ケーブル接続部3を出力端子としたエアリアルタイプとして機能する。
ここで入力端子と出力端子とを逆の配置にしたい場合は、図4の(b)に示すように、分岐ユニット15を一旦外し、180度水平回転させ、中継端子8,8に対して接続端子16,16´を逆に接続するだけで簡単に変更できる。
又、ペデスタルタイプに対応できるようにするには、マザーボード6を一旦外し、図4の(c)に示すように時計方向に90度回転させれば、接続端子16,16´が送電端子7,7を介して夫々幹線接続端子5b,5cに接続され、ケーブル接続部3を入力端子、ケーブル接続部4を出力端子としたペデスタルタイプに変更できる。
入力端子と出力端子とを逆の配置にしたい場合は、図示はしないが、前記エアリアルタイプと同様に、分岐ユニット15を一旦外し、180度水平回転させて逆に接続されるよう付け替えるだけで簡単に変更できる。
更に、分岐数を変更したい場合は、タップボード20が組み付けられた本体21と、マザーボード6に装着されている分岐ユニット15とを所望の分岐数に対応した分配回路が組み付けられた別の本体と分岐ユニットに交換することにより可能である。
この分岐ユニットの交換に際し、分岐ユニット15は、係止爪18と係止穴14との係止を解除するだけで外すことができ、又、分岐ユニット15を外すと、スイッチ19がON作動して送電端子7,7間が短絡され、高周波信号の通過が許容されるので、ケーブル接続部間における高周波信号の伝達が途絶えることはない。
【0011】
このように実施例の分岐器は、マザーボードを90度回動させたり、分岐ユニットと本体とを交換するだけで、ケーブル接続部の位置や分岐数を変更できるから、操作性に優れ、一機種で複数タイプに対応できるし、分岐ユニットや本体を外しても入力側から出力側への電流や高周波信号の通過が遮断されることがなく、チェック機能が維持される。
そして各ケーブル接続部は、一回線毎に、隅角部を挟んだ二つの面にケーブル引き出し孔が設けられているので、ケーブル引き出し方向のバリエーションを自由に選択できる。
【0012】
尚、各ケーブル接続部は、ケーブル挿入孔から挿入させた同軸ケーブルの芯線をマザーボードにねじ止めする構造ばかりでなく、コネクタを利用して接続するようにしても差し支えない。
そして分岐数は増加させるばかりでなく減少させる場合もあって、本体の分岐数はいくつでもかまわない。
又実施例は、幹線接続端子を、蓋体の中心を挟んだ上部左右の二箇所と、その二箇所のうちの片側に対して上下関係となる一箇所との計三箇所に配置し、マザーボードを回転させてそのマザーボードの送電端子に接続される幹線接続端子を選択するものであるが、対として選択される幹線接続端子を、相互の間隔が等しくなるよう配置し、マザーボードをずらせたり移動させて組み付け位置を変えることにより、接続すべき幹線接続端子と接続されるようにすることもできる。
そしてこのようにマザーボードの付け替え操作により、入出力端子の配置を変更させる思想は、分岐器以外の高周波信号処理装置にも活用できる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、出力端子の配置、分岐端子数の増減や、伝送方向の設定、変更を自由にできる。
そして幹線接続端子を、蓋体の中心を挟んだ上部左右の二箇所と、その二箇所のうちの片側に対して上下関係になる一箇所との計三箇所に配置すれば、マザーボードを90度回転させることにより、入出力端子の位置をエアリアルタイプとペデスタルタイプとのいずれかを選択できる。
又、マザーボードに、分岐ユニットの着脱操作に連動し、離脱時に中継端子間を短絡させるスイッチを設けることによって、分岐ユニットを逆に付け換えて電送方向を変更する際に、ケーブル接続部間に高周波信号の通過が遮断されることがなくなり、組み合わせによって供給すれば製造量やストックしておく数が最小限で済むし、仕様の変更に際しては、部分的な交換にて対応できるから、ケーブルを切断して機器をケーブルから取り外す必要が無く、作業性が向上し、高所でもやりやすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る分岐器の実施例を示す分解説明図である。
【図2】各部材の平面図である。
【図3】各部材の回路を示す説明図である。
【図4】(a),(b),(c)は、夫々入出力端子の位置変更操作例を示す説明図である。
【図5】(a),(b)は従来例の説明図である。
【符号の説明】
1・・蓋体、2,3,4・・ケーブル接続部、2a,2b,3a,3b,4a,4b・・ケーブル挿通孔、5・・接続部、5a、5b,5c・・幹線接続端子、6・・マザーボード、7・・送電端子、8・・中継端子、9・・高周波通過回路、9a・・コンデンサ、10・・電流通過回路、10a・・コイル、11・・ガイドピン、12・・ガイド穴、13・・ねじ、14・・係止孔、15・・分岐ユニット、16・・接続端子(入力側)16´・・接続端子(出力側)、17・・分岐端子、18・・係止爪、19・・スイッチ、20・・タップボード、21・・本体、22・・分岐端子、23・・入力端子、24,25・・電流通過用接点、P・・中心点。
Claims (3)
- 長手方向の片側に一回線分のケーブル接続部を、他側に二回線分のケーブル接続部を夫々設け、中央部には互いに同一間隔を保って幹線接続端子を配置し、それらの幹線接続端子と前記各ケーブル接続部とを個別に電気的接続した蓋体と、前記幹線接続端子間に相当する間隔で一対の送電端子を配置し、それら送電端子間を電流通過回路で接続すると共に、各送電端子に対して高周波信号を伝送可能に接続した一対の中継端子を設け、前記送電端子を前記蓋体の中央部に配置された幹線接続端子のうちから選択した二つに対し、着脱可能に接続して蓋体内に取り付けられるマザーボードと、そのマザーボードの各中継端子に対応する一対の接続端子と、それら接続端子間から高周波信号を分岐端子に出力する分岐回路を備え、前記マザーボードの中継端子に対して接続端子を着脱可能に接続してマザーボードに装着される分岐ユニットと、入力端子から入力された高周波信号を複数の分配端子に分配する分配回路を有したタップボードが組み付けられていて、前記分岐ユニットの分岐端子に対して入力端子を着脱自在に接続し、前記蓋体と合体される本体とで構成され、前記分岐ユニット及び本体とを、分岐端子の数に応じて仕様の異なる複数種の中から組み合わせ選択されるようにした分岐器。
- 前記幹線接続端子を、蓋体の中心点を挟んだ上部左右の二箇所と、その二箇所のうちの片側に対して上下関係となる一箇所との計三箇所に配置した請求項1に記載の分岐器。
- 前記マザーボードに、分岐ユニットの着脱操作に連動し、離脱時に中継端子間を短絡させるスイッチを設けた請求項1又は2に記載の分岐器。
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